6 イメージ処理および仮想モザイク
この章では、GCP地理参照、再投影、幾何補正、オルソ補正、ワーピング、イメージのスケール変更、ストレッチ、フィルタリング、マスキング、セグメント化、NDVI計算、タッセルド・キャップ変換、イメージの追加、バンドのマージ、大規模な拡張イメージ・モザイク処理などの高度なイメージ処理機能について説明します。
この章では、大規模なイメージ・データベースとそれに対するオンザフライ空間問合せのコンテキスト内における仮想モザイクの概念および適用についても説明します。
この章の操作は、地理空間イメージ(特に衛星によるRAWイメージや航空写真)を処理するために最もよく使用されます。ただし、これらの操作は、GeoRasterラスター代数と同様にすべてのラスター・データ型に適用されます。
この章の内容は次のとおりです。
- 高度な地理参照
空間参照機能以外に、高度な地理参照機能を使用できます。 - イメージの再投影
イメージの再投影は、イメージをあるSRS (空間参照システム、または座標系)から別のSRSに変換するプロセスです。 - イメージの幾何補正
地上のリモート・センサーから取得されるほとんどのラスター・データは、通常、地形を原因とするひずみ、計器の視野角、および地球の不規則な形状の影響を受けます。この項で説明するイメージの幾何補正は、イメージを変換してそのひずみを低減するプロセスです。 - イメージのオルソ補正
オルソ補正は、地球の標高、地形および形状に関する情報を使用して出力幾何補正イメージの品質を向上する幾何補正変換プロセスです。Oracle GeoRasterでは、高さの平均値またはDEMを使用した単一のイメージ・オルソ補正がサポートされます。 - イメージのワーピング
イメージのワーピングでは、指定されたSDO_GEOR_SRSオブジェクトから空間参照情報を使用して、入力GeoRasterオブジェクトを出力GeoRasterオブジェクトに変換します。 - イメージのアファイン変換およびスケール変更
アファイン変換は、イメージの変換、スケーリング、回転、切断および反射のジオメトリ変換を使用するプロセスです。 - イメージのストレッチ、正規化、均等化、ヒストグラム一致および覆い焼き
イメージの色およびコントラストを拡張して視覚品質を改善できます。SDO_GEOR_IPパッケージ(イメージ処理の「IP」)は、イメージのストレッチ、イメージの正規化、イメージの均等化、ヒストグラム一致およびイメージの覆い焼きを含むイメージを拡張する一連のサブプログラムを提供します。 - イメージのフィルタ処理
イメージのフィルタ処理は、特定の目的を実現するためにイメージの畳込みフィルタを適用するプロセスです。たとえば、イメージの低域フィルタを適用すると、イメージのノイズを平滑にして減らすことができます。また、イメージの高域フィルタを適用すると、イメージの詳細を拡張したり、イメージ内部のエッジを検出することもできます。 - イメージのセグメント化
セグメント化は、単純なタイプの分類アルゴリズムで、一定のタイプのイメージをより大きい地表特徴カテゴリ(陸地、雲、水、雪など)に分類する場合に役立ちます。 - イメージのピラミッド化: パラレル生成および部分更新
イメージのピラミッド化は、大規模なイメージ・データベースの構築に最もよく使用されるプロセスの1つです。 - ビットマップのピラミッド化
ビットマップのピラミッド化では、従来のピラミッド化が適切でない特定の場合に高品質のピラミッドを作成できます。 - 植生指標計算
リモート・センシングで、正規化植生指標(NDVI)は、広く使用されている植生指標であり、植生領域を迅速に識別して植物の成長と状態を監視できます。 - タッセルド・キャップ変換
タッセルド・キャップ変換(TCT)は、リモート・センシングされたイメージを使用して物理的な地表特徴を分析する場合に役立つツールです。 - イメージのマスキング
イメージ・マスキングを実行するには、アプリケーションを使用してGeoRasterデータベースでビットマップ・マスクを問い合せ、目的となる1つ以上のビットマップ・マスクを取得して、オブジェクトの表示や他の処理を実行する目的でターゲットGeoRasterオブジェクトにマスキング操作を適用します。 - バンドのマージ
イメージ分類、時系列分析およびラスターGISモデリングでは、状況により、異なるGeoRasterオブジェクトの複数のバンドまたはレイヤーをマージして1つのGeoRasterオブジェクトにする必要があります。 - イメージの追加
2つのイメージに同じ数のバンドが含まれる場合、一方のイメージをもう一方のイメージに追加できます。 - 大規模イメージのモザイク処理
大規模な地理空間領域は、通常、多くの小さい航空写真または衛星イメージで構成されます。大規模イメージのモザイク処理では、それらの小さい地理空間イメージを貼り合せて1つの大きいイメージにし、空間領域全体のわかりやすいビューを取得します。 - 仮想モザイク
仮想モザイクでは、1つの大規模な仮想化されたモザイク・イメージとして一連のGeoRasterイメージが扱われます。 - イメージの提供
イメージおよびラスター・データのクライアントまたはアプリケーションへの提供は、GeoRaster PL/SQLおよびJava APIの多くの機能を通じてサポートされます。