1 RDFグラフの概要
セマンティク・テクノロジに対するOracle Graphのサポートは、主にResource Description Framework (RDF)とWeb Ontology Language (OWL)のサブセットで構成されます。これらの機能は、Oracle GraphのRDFグラフ機能と呼ばれます。
RDFグラフ機能を使用すると、Oracleデータベースに1つ以上のRDFネットワークを作成できます。各ネットワークには、RDFデータが含まれています。
この章では、読者がRDFおよびOWLに関する主要な概念({主語、述語、目的語}のトリプル、{主語、述語、目的語}のクアッド、URI、空白ノード、プレーン・リテラル、型付きリテラル、オントロジなど)についてよく理解していることを前提とします。こうした概念の詳細は説明しないかわりに、各概念がどのようにOracleに実装されているかを重点的に解説します。
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RDFの概念に関する優れた解説が、
http://www.w3.org/TR/rdf-primer/
のWorld Wide Web Consortium (W3C)による「RDF Primer」にあります。 -
OWLの詳細は、
http://www.w3.org/TR/owl-ref/
の「OWL Web Ontology Language Reference」を参照してください。
RDFデータを操作するためのPL/SQLサブプログラムは、SEM_APISパッケージに含まれています。詳細は、「SEM_APISパッケージのサブプログラム」を参照してください。
RDFサポートおよびOWLサポートは、Oracle Graphの機能です。これらの機能を使用するには、Oracle Graphをインストールする必要があります。ただし、RDFおよびOWLの使用は、空間データに制限されません。
ノート:
リリース12.2よりも前のOracle Databaseで作成されたRDFデータがある場合は、「リリース12.2よりも前のRDFデータに必要な移行作業」を参照してください。
OWLの概念とOracle DatabaseによるOWL機能のサポートの詳細は、「OWLの概要」を参照してください。
ノート:
このマニュアルで説明している操作を実行するには、RDFセマンティク・グラフ・サポートの有効化に示すように、前もってデータベースでRDFグラフ・サポートを有効にして他の前提条件も満たす必要があります。- Oracleセマンティク・テクノロジ・サポートの概要
Oracle Databaseでは、RDFデータとオントロジの格納、RDFデータの問合せ、およびエンタープライズ・リレーショナル・データに対するオントロジ支援型の問合せが可能です。また、付属の推論またはユーザー定義の推論を使用して、RDFデータに対する問合せ機能を拡張することもできます。 - RDFグラフを使用するための主な用語と概念
Oracleの用語と、Oracle DatabaseのRDFグラフ機能を使用するための概念について学習します。 - RDFデータのモデル化
RDFデータには、その形式意味論に加え、有向グラフを使用して効率的にモデル化される単純なデータ構造が含まれます。 - データベース内のRDFデータ
Oracle DatabaseのRDFデータは、1つ以上のRDFネットワークに格納されます。 - RDFメタデータの表およびビュー
Oracle Databaseでは、RDFデータに関連するメタデータを保持するために、ネットワーク所有者のスキーマで複数の表およびビューが管理されます。 - RDFのデータ型、コンストラクタおよびメソッド
SDO_RDF_TRIPLE_Sオブジェクト型は、RDFグラフのエッジ(つまり、トリプルおよびクワッド)を表すために使用されます。 - SEM_MATCH表関数を使用したRDFデータの問合せ
RDFデータを問い合せるには、SEM_MATCH表関数を使用します。 - 結果表を使用した問合せ実行の高速化
結果表は、RDFグラフまたはRDFグラフ・コレクションに対して実行されるSPARQL問合せの一般的なパターンの結果を格納する補助表です。 - SEM_APIS.SPARQL_TO_SQL関数を使用したRDFデータの問合せ
SEM_APIS.SPARQL_TO_SQL関数をSEM_MATCH表関数のかわりに使用してRDFデータを問い合せることができます。 - SEM_APIS.GET_SQL関数およびSEM_SQL SQLマクロを使用したRDFデータの問合せ
SEM_APIS.GET_SQL関数をSEM_MATCH表関数のかわりに使用してRDFデータを問い合せることができます。 - セマンティク・データのロードとエクスポート
RDFデータをデータベース内のRDFグラフにロードすることや、データベースからステージング表へエクスポートすることができます。 - RDFネットワーク索引の使用
RDFネットワーク索引は、RDFネットワークでRDFグラフおよび推論グラフで使用するために追加、変更および削除できる一意のBツリー索引です。 - データ型索引の使用
データ型索引は、RDFネットワークに格納された型付きリテラルの値に対する索引です。 - RDFグラフおよびRDFネットワークの統計の管理
統計は、Oracleデータベースに格納されているRDFデータに対するSPARQL問合せおよびOWL推論のパフォーマンスにとって重要です。 - RDFグラフでのSPARQL更新操作のサポート
Oracle Databaseリリース12.2では、RDFグラフでSPARQL更新操作を実行できます。 - RDFによるOracle Database In-Memoryのサポート
RDFでは、インメモリー列ストアなどの、Oracle Database In-Memoryの一連のインメモリー機能を使用して、リアルタイム分析および混合ワークロードのパフォーマンスを向上できます。 - マテリアライズド結合ビューのRDFのサポート
RDF問合せで最も頻繁に使用される結合は、主語と主語、および主語と目的語の間の結合です。RDF問合せのパフォーマンスを向上させるため、これら2つの列に対してマテリアライズド結合ビューを作成できます。 - Oracle SQL DeveloperでのRDFのサポート
Oracle SQL Developerを使用して、Oracle GraphのRDFナレッジ・グラフ機能に関連する操作を実行できます。 - 強化されたRDF ORDER BY問合せ処理
Oracle Databaseリリース12.2では、SPARQL ORDER BYセマンティクを使用するRDFデータの処理効率が、以前のリリースに比べて向上しています。 - Oracle Machine LearningアルゴリズムのRDFデータへの適用
Oracle Machine LearningアルゴリズムはRDFデータに適用できます。 - RDFグラフ管理の例(PL/SQLおよびJava)
PL/SQLの例がこのトピックに示されています。 - リリース11.1以降のソフトウェアでの名称変更
Oracle Databaseリリース11.1では、RDFデータのサポートが元のRDFの対象範囲を超えて拡張されているため、多くのソフトウェア・オブジェクト(PL/SQLパッケージ、関数およびプロシージャ、システム表およびビューなど)の名前が変更されています。 - RDFグラフの詳細
RDFグラフのサポートおよび関連するトピックの詳細を知ることができます。 - リリース12.2よりも前のRDFデータに必要な移行作業
Oracle Database 11.1、11.2または12.1で作成されたRDFデータがある場合、そのデータをOracle Database 12.2の環境で使用するには、データの移行が必要です。 - アクセシビリティをサポートするOracle RDF Graphの機能
この項では、Oracle RDF Graphの機能により提供されるアクセシビリティ・サポートについて説明します。
親トピック: 概念および使用方法に関する情報