Oracle Databaseリファレンス 11g リリース1(11.1) E05771-04 |
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この章では、データベース初期化パラメータをアルファベット順に説明します。
この章では、次の内容について説明します。
初期化パラメータは様々な機能グループに分類されます。たとえば、パラメータによって次のことができます。
変数パラメータは、主にデータベースのパフォーマンス向上に使用されるため、データベース管理者には特に便利です。
データベース管理者は、初期化パラメータを使用して次のことができます。
初期化パラメータの多くは、データベースのパフォーマンスを改善するために微調整できます。それ以外のパラメータは、変更しないでください。変更する場合は、Oracleサポート・サービスの指示に従ってください。
すべての初期化パラメータは省略可能です。Oracleには、各パラメータにデフォルト値が用意されています。パラメータのデフォルト値は、オペレーティング・システムによって異なる場合があります。
Oracle Databaseサーバーには、次のタイプの初期化パラメータがあります。
初期化パラメータには、導出されるものがあります。導出とは、その値がその他のパラメータの値から算出されることを意味します。通常、導出パラメータの値は変更しないでください。変更した場合、算出された値は指定値によってオーバーライドされます。
たとえば、SESSIONS
パラメータのデフォルト値は、PROCESSES
パラメータの値から導出される値です。PROCESSES
の値が変更されると、SESSIONS
のデフォルト値も変更されます。ただし、値を指定してオーバーライドした場合を除きます。
初期化パラメータには、有効な値または範囲が、ホスト・オペレーティング・システムに依存するものがあります。たとえば、パラメータDB_BLOCK_BUFFERS
は、メイン・メモリー内のデータ・バッファの数を示し、その最大値は、オペレーティング・システムに依存します。これらのバッファのサイズはDB_BLOCK_SIZE
で設定します。デフォルト値は、オペレーティング・システムに依存します。
変数初期化パラメータを使用すると、多くの場合、システムのパフォーマンスが改善します。変数パラメータには、容量の制限を設定してもパフォーマンスに影響しないパラメータもあります。たとえば、OPEN_CURSORS
の値が10である場合、その11番目のカーソルをオープンしようとするユーザー・プロセスは、エラーを受け取ります。また、変数パラメータには、パフォーマンスには影響しても義務的な制限を課さないパラメータもあります。たとえば、DB_BLOCK_BUFFERS
の値を小さくした場合、パフォーマンスが劣化することはあっても、作業の妨げにはなりません。
変数パラメータの値を大きくすると、システムのパフォーマンスが改善されることがあります。ただし、ほとんどのパラメータの場合、値を大きくすることで、システム・グローバル領域(SGA)のサイズも大きくなります。SGAが大きくても、ある程度まではデータベースのパフォーマンスを改善できます。仮想メモリー・オペレーティング・システムでは、SGAが大きすぎると、メモリーにスワップ・インされたりスワップ・アウトされる場合、パフォーマンスが劣化することがあります。仮想メモリー作業領域を制御するオペレーティング・システムのパラメータは、SGAのサイズを考慮して設定してください。オペレーティング・システムの構成によって、SGAの最大サイズを制限することもできます。
データベースの基本的な初期化パラメータは次のとおりです。ほとんどのデータベースは、基本パラメータを設定することで、適切かつ効率的に稼働します。基本パラメータについては詳しく理解し、他のパラメータは機能マニュアルで指定されている場合のみ、または特別な状況でのみ使用することをお薦めします。
CLUSTER_DATABASE
COMPATIBLE
CONTROL_FILES
DB_BLOCK_SIZE
DB_CREATE_FILE_DEST
DB_CREATE_ONLINE_LOG_DEST_
n
DB_DOMAIN
DB_NAME
DB_RECOVERY_FILE_DEST
DB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE
DB_UNIQUE_NAME
INSTANCE_NUMBER
LDAP_DIRECTORY_SYSAUTH
LOG_ARCHIVE_DEST_
n
LOG_ARCHIVE_DEST_STATE_
n
NLS_LANGUAGE
NLS_TERRITORY
OPEN_CURSORS
PGA_AGGREGATE_TARGET
PROCESSES
REMOTE_LISTENER
REMOTE_LOGIN_PASSWORDFILE
SESSIONS
SGA_TARGET
SHARED_SERVERS
STAR_TRANSFORMATION_ENABLED
UNDO_TABLESPACE
パラメータ・ファイルは、初期化パラメータのリストおよび各パラメータの値を格納しているファイルです。初期化パラメータをパラメータ・ファイルに指定して、特定のインストールを反映させます。Oracleは、次の2種類のパラメータ・ファイルをサポートしています。
サーバー・パラメータ・ファイルは、初期化パラメータのリポジトリとして機能するバイナリ・ファイルです。このファイルは、Oracle Databaseサーバーが稼働しているマシンに格納できます。サーバー・パラメータ・ファイルに格納された初期化パラメータは永続的で、インスタンスの実行中に行ったパラメータの変更は、インスタンスを停止し、起動しても有効です。
初期化パラメータ・ファイルは、初期化パラメータのリストを含むテキスト・ファイルです。このファイルに書き込む場合は、クライアント側のデフォルトのキャラクタ・セットを使用してください。
次に、初期化パラメータ・ファイルのサンプル・エントリを示します。
PROCESSES = 100 OPEN_LINKS = 12 GLOBAL_NAMES = true
初期化パラメータ・ファイルの名前は、オペレーティング・システムによって異なります。たとえば、大文字と小文字または小文字のみで表記されていたり、論理名、またはinit.ora
という名前が変化したものであることもあります。データ・ウェアハウスおよびデータ・マート用の推奨されるパラメータが設定されているinitdw.ora
ファイルもあります。データベース管理者は、初期化パラメータ・ファイル用に異なるファイル名を選択できます。
初期化パラメータ・ファイルのオペレーティング・システム上でのデフォルトの位置およびファイル名については、オペレーティング・システム固有のOracleマニュアルを参照してください。初期化パラメータ・ファイルは、サーバーを起動するためにクライアント側ツール(たとえば、SQL*Plus)が読み込むファイルです。
サンプル初期化パラメータ・ファイルは、それぞれのオペレーティング・システム用のOracle配布媒体により提供されます。当面の使用には、サンプル・ファイルで間に合いますが、最高のパフォーマンスを得るためにデータベースをチューニングするには、このファイルを変更します。すべての変更は、インスタンスを完全に停止してから再起動することによって有効になります。
この項では、初期化パラメータ・ファイル内のパラメータ値の設定に関する様々な事項について説明します。
初期化パラメータ・ファイル内のパラメータは、次のルールに基づいて指定します。
PROCESSES = 100 CPU_COUNT = 1 OPEN_CURSORS = 10
ROLLBACK_SEGMENTS
など)。複数の値を入力する場合は、カッコで囲みカンマで区切ります。たとえば、次のように使用します。
ROLLBACK_SEGMENTS = (SEG1, SEG2, SEG3, SEG4, SEG5)
また、カッコとカンマを使用しなくても複数の値を入力できます。たとえば、次のように使用します。
ROLLBACK_SEGMENTS = SEG1 SEG2 SEG3 SEG4 SEG5
前述の構文はどちらも有効です。
1つのパラメータに複数のエントリで値を入力する場合、エントリは連続する行にある必要があります。エントリが連続する行にない場合、最初のエントリが適切に処理されません。たとえば、次のエントリでは、SEG3
およびSEG4
は、SEG1
およびSEG2
をオーバーライドします。
ROLLBACK_SEGMENTS = SEG1 SEG2 OPEN_CURSORS = 10 ROLLBACK_SEGMENTS = SEG3 SEG4
ROLLBACK_SEGMENTS = (SEG1, SEG2, \ SEG3, SEG4, SEG5)
IFILE
初期化パラメータを使用すると、現行の初期化パラメータ・ファイルに他の初期化パラメータ・ファイルの内容を埋め込むことができます。
NLS_TERRITORY = 'CZECH REPUBLIC'
パラメータに特殊文字を含む値を指定する場合は、その特殊文字の前にバックスラッシュを付けるか、またはパラメータ全体を引用符で囲む必要があります。次のいずれかを使用して、特殊文字を指定できます。
DB_DOMAIN = 'JAPAN.ACME#.COM' DB_DOMAIN = JAPAN.ACME\#.COM
表1-1に、初期化パラメータ・ファイルで使用できる特殊文字を示します。
文字 | 名前 | 説明 |
---|---|---|
|
シャープ記号 |
コメント |
|
左カッコ |
値リストの開始 |
|
右カッコ |
値リストの終了 |
|
二重引用符 |
引用符で囲む文字列の開始または終了 |
|
一重引用符 |
引用符で囲む文字列の開始または終了 |
|
等号 |
キーワードと値のセパレータ |
|
カンマ |
要素のセパレータ |
|
マイナス記号 |
UNIXスタイルのキーワードの接頭辞 |
|
バックスラッシュ |
エスケープ文字 |
特殊文字を初期化パラメータ・ファイルでリテラルとして指定する場合は、その特殊文字の前にバックスラッシュを付けるか、またはその特殊文字を含む文字列全体を引用符で囲む必要があります。
「初期化パラメータ・ファイルを管理するルール」で説明したように、バックスラッシュ(\)は行の継続も示します。英数字の前に指定したバックスラッシュは、通常の文字として扱われます。英数字以外の文字の前に指定したバックスラッシュは、バックスラッシュまたは継続文字として扱われます。
引用符をネストする2つの方法を次に示します。まず、ネストした文字列に引用符を二重に付ける方法です。たとえば、次のように使用します。
NLS_DATE_FORMAT = '''Today is'' MM/DD/YYYY'
次は、一重引用符と二重引用符を交互に付ける方法です。たとえば、次のように使用します。
NLS_DATE_FORMAT = '"Today is" MM/DD/YYYY'
パラメータ・ファイルのパラメータ値は、次のいずれかの方法で変更します。
ほとんどの場合は、次にデータベースのインスタンスを起動したとき、新しいパラメータ値が使用されます。
ALTER SYSTEM SET ... SCOPE=SPFILE
文を発行してサーバー・パラメータ・ファイルを更新する。
次に、初期化パラメータを機能カテゴリ別に示します。
BLANK_TRIMMING
BACKUP_TAPE_IO_SLAVES
RECYCLEBIN
TAPE_ASYNCH_IO
SESSION_MAX_OPEN_FILES
CLIENT_RESULT_CACHE_LAG
CLIENT_RESULT_CACHE_SIZE
DB_
n
K_CACHE_SIZE
DB_BLOCK_BUFFERS
DB_BLOCK_SIZE
DB_CACHE_ADVICE
DB_CACHE_SIZE
DB_FILE_MULTIBLOCK_READ_COUNT
DB_KEEP_CACHE_SIZE
DB_RECYCLE_CACHE_SIZE
DB_WRITER_PROCESSES
DBWR_IO_SLAVES
DISK_ASYNCH_IO
FILESYSTEMIO_OPTIONS
READ_ONLY_OPEN_DELAYED
RESULT_CACHE_MAX_RESULT
RESULT_CACHE_MAX_SIZE
RESULT_CACHE_MODE
USE_INDIRECT_DATA_BUFFERS
CURSOR_SHARING
CURSOR_SPACE_FOR_TIME
OPEN_CURSORS
SESSION_CACHED_CURSORS
DB_DOMAIN
DB_NAME
INSTANCE_NAME
BACKGROUND_CORE_DUMP
BACKGROUND_DUMP_DEST
CORE_DUMP_DEST
DB_BLOCK_CHECKING
DB_BLOCK_CHECKSUM
DIAGNOSTIC_DEST
EVENT
MAX_DUMP_FILE_SIZE
SHADOW_CORE_DUMP
STATISTICS_LEVEL
TIMED_OS_STATISTICS
TIMED_STATISTICS
TRACE_ENABLED
TRACEFILE_IDENTIFIER
USER_DUMP_DEST
COMMIT_POINT_STRENGTH
DISTRIBUTED_LOCK_TIMEOUT
GLOBAL_NAMES
HS_AUTOREGISTER
OPEN_LINKS
OPEN_LINKS_PER_INSTANCE
REPLICATION_DEPENDENCY_TRACKING
AUDIT_FILE_DEST
BACKGROUND_CORE_DUMP
BACKGROUND_DUMP_DEST
CONTROL_FILES
CORE_DUMP_DEST
DB_CREATE_FILE_DEST
DB_CREATE_ONLINE_LOG_DEST_
n
DB_FILES
DB_RECOVERY_FILE_DEST
DB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE
FILE_MAPPING
IFILE
LOG_ARCHIVE_DEST_
n
SPFILE
NLS_CALENDAR
NLS_COMP
NLS_CURRENCY
NLS_DATE_FORMAT
NLS_DATE_LANGUAGE
NLS_DUAL_CURRENCY
NLS_ISO_CURRENCY
NLS_LANGUAGE
NLS_LENGTH_SEMANTICS
NLS_NCHAR_CONV_EXCP
NLS_NUMERIC_CHARACTERS
NLS_SORT
NLS_TERRITORY
NLS_TIMESTAMP_FORMAT
NLS_TIMESTAMP_TZ_FORMAT
JAVA_JIT_ENABLED
JAVA_MAX_SESSIONSPACE_SIZE
JAVA_POOL_SIZE
JAVA_SOFT_SESSIONSPACE_LIMIT
JOB_QUEUE_PROCESSES
LICENSE_MAX_SESSIONS
LICENSE_MAX_USERS
LICENSE_SESSIONS_WARNING
MEMORY_MAX_TARGET
MEMORY_TARGET
AQ_TM_PROCESSES
ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPS
COMPATIBLE
FIXED_DATE
LDAP_DIRECTORY_SYSAUTH
XML_DB_EVENTS
LOCAL_LISTENER
REMOTE_LISTENER
SERVICE_NAMES
OBJECT_CACHE_MAX_SIZE_PERCENT
OBJECT_CACHE_OPTIMAL_SIZE
OLAP_PAGE_POOL_SIZE
OPTIMIZER_CAPTURE_SQL_PLAN_BASELINES
OPTIMIZER_DYNAMIC_SAMPLING
OPTIMIZER_FEATURES_ENABLE
OPTIMIZER_INDEX_CACHING
OPTIMIZER_INDEX_COST_ADJ
OPTIMIZER_MODE
OPTIMIZER_SECURE_VIEW_MERGING
OPTIMIZER_USE_PENDING_STATISTICS
OPTIMIZER_USE_SQL_PLAN_BASELINES
QUERY_REWRITE_ENABLED
QUERY_REWRITE_INTEGRITY
STAR_TRANSFORMATION_ENABLED
PARALLEL_ADAPTIVE_MULTI_USER
PARALLEL_EXECUTION_MESSAGE_SIZE
PARALLEL_MAX_SERVERS
PARALLEL_MIN_PERCENT
PARALLEL_MIN_SERVERS
PARALLEL_THREADS_PER_CPU
PLSQL_NATIVE_LIBRARY_DIR
PLSQL_NATIVE_LIBRARY_SUBDIR_COUNT
PLSQL_V2_COMPATIBILITY
REMOTE_DEPENDENCIES_MODE
UTL_FILE_DIR
PLSCOPE_SETTINGS
PLSQL_CCFLAGS
PLSQL_CODE_TYPE
PLSQL_DEBUG
PLSQL_OPTIMIZE_LEVEL
PLSQL_WARNINGS
NLS_LENGTH_SEMANTICS
DB_
n
K_CACHE_SIZE
DB_CACHE_SIZE
HI_SHARED_MEMORY_ADDRESS
JAVA_POOL_SIZE
LARGE_POOL_SIZE
LOCK_SGA
OLAP_PAGE_POOL_SIZE
PRE_PAGE_SGA
SGA_MAX_SIZE
SGA_TARGET
SHARED_MEMORY_ADDRESS
SHARED_POOL_RESERVED_SIZE
SHARED_POOL_SIZE
STREAMS_POOL_SIZE
ACTIVE_INSTANCE_COUNT
CLUSTER_DATABASE
CLUSTER_DATABASE_INSTANCES
CLUSTER_INTERCONNECTS
GC_FILES_TO_LOCKS
INSTANCE_NUMBER
PARALLEL_INSTANCE_GROUP
THREAD
CONTROL_FILE_RECORD_KEEP_TIME
DB_CREATE_ONLINE_LOG_DEST_
n
DB_RECOVERY_FILE_DEST
DB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE
FAST_START_MTTR_TARGET
LOG_BUFFER
LOG_CHECKPOINT_INTERVAL
LOG_CHECKPOINT_TIMEOUT
LOG_CHECKPOINTS_TO_ALERT
LOG_ARCHIVE_CONFIG
LOG_ARCHIVE_DEST_
n
LOG_ARCHIVE_DEST_STATE_
n
LOG_ARCHIVE_DUPLEX_DEST
LOG_ARCHIVE_FORMAT
LOG_ARCHIVE_MAX_PROCESSES
LOG_ARCHIVE_MIN_SUCCEED_DEST
LOG_ARCHIVE_TRACE
REDO_TRANSPORT_USER
RECOVERY_PARALLELISM
RESOURCE_LIMIT
RESOURCE_MANAGER_CPU_ALLOCATION
RESOURCE_MANAGER_PLAN
AUDIT_FILE_DEST
AUDIT_SYS_OPERATIONS
AUDIT_SYSLOG_LEVEL
AUDIT_TRAIL
COMMIT_LOGGING
COMMIT_WAIT
O7_DICTIONARY_ACCESSIBILITY
OS_AUTHENT_PREFIX
OS_ROLES
RDBMS_SERVER_DN
REMOTE_LOGIN_PASSWORDFILE
REMOTE_OS_AUTHENT
REMOTE_OS_ROLES
SEC_CASE_SENSITIVE_LOGON
SEC_MAX_FAILED_LOGIN_ATTEMPTS
SEC_PROTOCOL_ERROR_FURTHER_ACTION
SEC_PROTOCOL_ERROR_TRACE_ACTION
SEC_RETURN_SERVER_RELEASE_BANNER
SQL92_SECURITY