この章では、Instant Messaging コンポーネント (サーバー、マルチプレクサ、カレンダエージェント、クラスタエージェント、およびウォッチドッグ) の管理方法について説明するとともに、設定パラメータの変更やバックアップの作成など、その他の管理作業の実施方法について説明します。
この章には、次の節があります。各節では、Instant Messaging のさまざまな管理作業について説明します。
imadmin コマンドを使用すると、次のことを行うことができます。
すべての Instant Messaging コンポーネント (サーバー、マルチプレクサ、カレンダエージェント、クラスタエージェント、およびウォッチドッグ) を起動および停止する。
特定の Instant Messaging コンポーネントを起動および停止する。
すべての Instant Messaging コンポーネントの設定を更新する。
Instant Messaging コンポーネントを個別に更新する。
Instant Messaging コンポーネントのステータスを確認する。
imadmin コマンド行ユーティリティーを実行できるのは、root または Instant Messaging サーバーおよびマルチプレクサが実行されているシステムに対する管理者権限を持つユーザーのみです。この管理者権限を持つユーザーの例としては、サーバーを実行するユーザーとして、サーバーのインストール時に指定したユーザーが挙げられます。
Solaris の場合: inetuser。
Sun JavaTM System Access Manager を含む配備では、Sun Java System Portal Server と Instant Messaging サーバーが同一ホスト上にインストールされている場合、Access Manager を実行できるのは root ユーザーのみのため、imadmin コマンドを実行できるのユーザーも、root のみとなります。
imadmin コマンド行ユーティリティーは、次のディレクトリ内に格納されています。
im-svr-base/sbin
Instant Messaging サーバーを起動すると、Instant Messenger からサーバーに接続できるようになります。Instant Messaging サーバーを停止すると、すべての接続が閉じられ、すべての Instant Messenger クライアントとの接続が切断されます。
すべてのコンポーネントを同時に起動することも、各コンポーネントを個別に起動することもできます。
Instant Messaging サーバー、マルチプレクサ、カレンダエージェント、クラスタエージェント、およびウォッチドッグを起動するには、どのコンポーネントを有効にするかに応じて start オプションが指定された imadmin コマンドを使用します。
コマンド行で次のように入力します。
imadmin start |
サーバーとマルチプレクサの両方が有効になっていた場合、このコマンドによって、まず Instant Messaging サーバーが起動され、続いてマルチプレクサが起動されます。
ウォッチドッグが有効な場合 (デフォルト)、このコマンドによってウォッチドッグが起動され、ウォッチドッグが設定ファイルを読み取り、必要に応じて Instant Messaging サーバーまたはマルチプレクサ、あるいはその両方を起動します。
コマンド行で imadmin start コマンドを入力する際に、次のようにコンポーネントを特定する引数を指定します。
サーバー:
imadmin start server |
マルチプレクサ:
imadmin start multiplexor |
カレンダエージェント:
imadmin start agent-calendar |
ウォッチドッグ:
imadmin start watchdog |
すべてのコンポーネントを同時に停止することも、各コンポーネントを個別に停止することもできます。
Instant Messaging サーバー、マルチプレクサ、カレンダエージェント、クラスタエージェント、およびウォッチドッグを停止するには、どのコンポーネントを有効にするかに応じて stop オプションが指定された imadmin コマンドを使用します。
コマンド行で次のように入力します。
imadmin stop |
ウォッチドッグが実行されている場合、imadmin は最初にウォッチドッグを停止し、次にサーバーまたはマルチプレクサ、あるいはその両方を停止します。
このコマンドを実行すると、サーバー、マルチプレクサ、カレンダエージェント、クラスタエージェント、およびウォッチドッグが停止し、全エンドユーザーの接続が終了し、設定されているすべての送受信サーバーへの接続が切断されます。
コマンド行で imadmin stop コマンドを入力する際に、次のようにコンポーネントを特定する引数を指定します。
サーバー:
imadmin stop server |
マルチプレクサ:
imadmin stop multiplexor |
カレンダエージェント:
imadmin stop agent-calendar |
ウォッチドッグ:
imadmin stop watchdog |
refresh オプションを指定した imadmin コマンドを使用して、個々の Instant Messaging コンポーネントを停止および再起動し、コンポーネントの設定を更新します。
すべてのコンポーネントを同時に更新することも、各コンポーネントを個別に更新することもできます。
iim.conf ファイル内の設定パラメータを変更した場合、設定の更新も行う必要があります。
コマンド行で次のように入力します。
imadmin refresh |
このコマンドを実行すると、サーバー、マルチプレクサ、カレンダエージェント、クラスタエージェント、およびウォッチドッグが停止し、全エンドユーザーの接続が終了し、設定されているすべての送受信サーバーへの接続が切断されます。
ウォッチドッグが実行されている場合、imadmin は最初にウォッチドッグを停止し、次にサーバーまたはマルチプレクサ、あるいはその両方を停止します。次にウォッチドッグが起動され、ウォッチドッグが設定ファイルを読み取り、必要に応じて Instant Messaging サーバーまたはマルチプレクサ、あるいはその両方を起動します。
コマンド行で imadmin refresh コマンドを入力する際に、次のようにコンポーネントを特定する引数を指定します。
サーバー:
imadmin refresh server |
マルチプレクサ:
imadmin refresh multiplexor |
カレンダエージェント:
imadmin refresh agent-calendar |
クラスタエージェント:
imadmin refresh monitor |
ウォッチドッグ:
imadmin refresh watchdog |
status オプションを指定した imadmin コマンドを使用して、すべてのコンポーネントのステータスを同時に確認することも、各コンポーネントのステータスを個別に確認することもできます。このコマンドから返される結果の形式は、次のとおりです。
Component [status] |
たとえば、次のようになります。
Server [UP] Multiplexor [UP] Agent:calendar [DOWN] Watchdog [UP] |
コマンド行で imadmin status コマンドを入力する際に、次のようにコンポーネントを特定する引数を指定します。
サーバー:
imadmin status server |
マルチプレクサ:
imadmin status multiplexor |
カレンダエージェント:
imadmin status agent-calendar |
ウォッチドッグ:
imadmin status watchdog |
Instant Messaging の設定パラメータは、iim.conf ファイルに格納されます。設定パラメータの完全な一覧については、付録 A 「iim.conf の Instant Messaging の設定パラメータ」を参照してください。
設定パラメータを変更するには、iim.conf ファイル内の設定パラメータとその値を手動で編集したあと、Instant Messaging サーバーの設定を更新します。マルチプレクサパラメータを変更した場合は、次のようにマルチプレクサを更新するだけでかまいません。
imadmin refresh multiplexor |
パラメータとその値の完全な一覧については、付録 A 「iim.conf の Instant Messaging の設定パラメータ」を参照してください。
im-cfg-base ディレクトリに移動します。
im-cfg-base の特定方法については、「Instant Messaging サーバーのディレクトリ構造」を参照してください。
テキストエディタを使って iim.conf を編集します。
変更内容を保存します。
imadmin を使って設定を更新します。
たとえば、次のように入力します。
imadmin refresh |
マルチプレクサの待機ポート (iim_mux.listenport) またはマルチプレクサのホストを変更した場合、それに応じて im.html または im.jnlp ファイルを変更してください。そうしないと、Instant Messenger がサーバーに接続できなくなります。詳細は、第 15 章「Instant Messenger の管理」を参照してください。
Instant Messaging には障害復旧ツールは付属していません。サイトのバックアップシステムを使って、設定ディレクトリとデータベースディレクトリを定期的にバックアップしてください。ここでは、次の各節で Instant Messaging のバックアップについて説明します。
バックアップすべき Instant Messaging 情報の種類は、次のとおりです。
設定情報
Instant Messaging エンドユーザーデータ
Instant Messenger リソース
設定情報は設定ディレクトリ (im-cfg-base) に格納されています。デフォルトのパスについては、「Instant Messaging サーバーのディレクトリ構造」を参照してください。
Instant Messaging データはデータベースディレクトリ (im-db-base) に格納されます。im-db-base のデフォルトについても、「Instant Messaging サーバーのディレクトリ構造」を参照してください。
Instant Messenger リソースがカスタマイズされている場合、それらのリソースもバックアップする必要があります。Instant Messenger リソースの場所は、インストール時に指定します。
設定情報はあまり頻繁には変更されませんが、Instant Messaging エンドユーザーデータは頻繁に変更されます。したがって、Instant Messaging エンドユーザーデータが失われることのないよう、それらを定期的にバックアップすることをお勧めします。バックアップは、インストールプログラムやアンインストールプログラムの実行前に実行する必要があります。
エンドユーザーデータや設定情報をバックアップする際、Instant Messaging サーバーを停止する必要はありません。というのも、サーバーによるすべてのディスクコミットは自動的に実行されるからです。
ディスクに障害が発生し、すべてのエンドユーザーデータと設定情報が失われた場合、バックアップしたエンドユーザーデータと設定情報を復元する必要があります。
im-runtime-base ディレクトリに移動します。
im-runtime-base の場所については、「Instant Messaging サーバーのディレクトリ構造」を参照してください。
Instant Messaging サーバーを停止します。
imadmin stop |
バックアップデータを im-db-base ディレクトリにコピーします。
バックアップされたデータのディレクトリ構造が保持されていることを確認してください。
新しく復元したデータのアクセス権と所有者を確認します。
ファイルの所有者は、Instant Messaging のシステムユーザーであるはずです。このユーザーについては、「UNIX システムユーザーおよびグループの作成」を参照してください。アクセス権は次のように設定されているはずです。
ファイル: 600 (所有者だけが読み取りと書き込みの権限を持つ)
ディレクトリ: 700 (所有者だけが読み取り、書き込み、および実行の権限を持つ)
アクセス権と所有者を変更する方法については、オペレーティングシステムのマニュアルを参照してください。
Instant Messaging サーバーを起動します。
imadmin start