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Oracle Assetsユーザー・ガイド
リリース12
E06049-01
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グループ減価償却

この章のトピックは、次のとおりです。

グループ減価償却

グループ減価償却機能を使用すると、規定要件と独自のビジネス・ニーズに基づいて資産の論理グループを設定できます。これらの資産の論理グループはグループ資産と呼ばれます。個別資産のレベルではなく、グループ資産に対して減価償却パラメータを定義することによって、データ入力要件を削減できます。また、グループ減価償却では、グループ資産とそのメンバー資産に関する複雑な取引も処理されます。

多くの国の企業は、ローカルの税規約によって、資産ごとに個別に減価償却するかわりに、複合形式または集計形式で資産を減価償却することを要求されます。グループ減価償却では、この複合形式または集計形式の資産の減価償却に対する要件が処理されます。

大規模な法人企業には大量の資産があるため、多くの場合、財務レポートを容易にするために、類似した資産の複数の集合がまとめてプールされています。グループには、異なる年度に事業に供用された多数の個別資産が含まれている場合がありますが、そのグループについて保守される減価償却額は1つのみです。減価償却がグループ・レベルで計算されて格納されるため、グループ減価償却と呼ばれます。

グループ減価償却は、次のようなグローバル規定要件によって指定された、多数の複合または集計減価償却要件への適応に役立ちます。

グループ資産

グループ資産は、メンバー資産の集合です。メンバー資産は、グループ資産に属する個別の資産です。メンバー資産は、グループ資産に対する追加や削除、グループ資産との間の振替、グループ資産間での振替ができます。グループ資産取得価額は、全メンバー資産取得価額の合計です。

グループ資産取得価額 = 全メンバー資産取得価額の合計

通常、メンバー資産の取得価額は、個別メンバー資産ごとにGeneral Ledgerに転記され、メンバー資産の償却累計額は、グループ・レベルでのみ保守およびレポートされます。グループ資産には、様々な年度または会計期間に追加されたメンバー資産が含まれている可能性があります。

グループの資産タイプはグループ資産に対してのみ使用されます。次の表に、各資産タイプでサポートされる資産のタイプを示します。

資産 資産タイプ
グループ資産グループ
個別資産*資産計上、建設仮勘定または費用処理済
メンバー資産資産計上または建設仮勘定

*個別資産とは、グループ資産に属さないスタンドアロン資産を表します。

グループ資産は、資産ワークベンチまたは一括追加を使用して作成できます。グループ資産の作成は個別資産の作成とほぼ同じですが、グループ資産の作成時には、資産タイプに「グループ」を選択する必要があります。

グループ資産およびメンバー資産の作成

資産台帳管理でのグループ資産の設定

「資産台帳管理」ウィンドウでグループ資産を設定する手順は、次のとおりです。

  1. 「資産台帳管理」ウィンドウにナビゲートします。

  2. 「区分」フィールドで「会計用」を選択します。グループ資産を作成できるのは会計用資産台帳のみです。

  3. 「会計基準」タブ・リージョンを選択します。

  4. 償却済変更の許可: このオプションは、グループ資産またはメンバー資産、あるいは以前にグループ資産に属していた個別資産には影響を与えません。関連項目: 減価償却台帳の定義

  5. 資産台帳にグループ資産を作成するには、「グループ減価償却の許可」チェック・ボックスを選択する必要があります。

    グループ資産が税務台帳で許可されていない場合、一括コピーの結果は次のようになります。

  6. グループ資産に建設仮勘定資産を追加できるようにするには、「グループ資産の建設仮勘定メンバーの許可」チェック・ボックスを必要に応じて選択します。このチェック・ボックスが選択されていない場合は、「カテゴリ」フォームの「デフォルト償却基準」ウィンドウでデフォルトのグループ資産を設定している場合でも、建設仮勘定資産をグループ資産に追加することはできません。「グループ資産の建設仮勘定メンバーの許可」チェック・ボックスが選択されていない場合、「グループ資産の建設仮勘定減価償却の許可」チェック・ボックスは無効です。

    「グループ資産の建設仮勘定メンバーの許可」チェック・ボックスを選択して保存した後は、その選択を解除することはできません。

  7. メンバー資産について建設仮勘定資産取得価額を減価償却するには、「グループ資産の建設仮勘定減価償却の許可」を選択する必要があります。

  8. 減価償却台帳についてメンバー資産追跡を有効にするには、「メンバー資産追跡の許可」チェック・ボックスを必要に応じて選択します。このチェック・ボックスを選択して保存した後は、その選択を解除することはできません。

  9. メンバー資産に、グループ資産の貸借一致セグメント値と異なる貸借一致セグメント値を設定できるようにするには、「会社間メンバー資産割当の許可」チェック・ボックスを選択する必要があります。

特定の減価償却台帳に対してチェック・ボックスの選択を解除すると、その台帳についてはメンバー資産の追跡を設定できません。

詳細追加を使用したグループ資産の作成

詳細追加を使用してグループ資産を作成する手順は、次のとおりです。

  1. 「資産ワークベンチ」ウィンドウにナビゲートします。

  2. 「追加」ボタンを選択して、新規グループ資産を作成します。

  3. 「資産番号」フィールドに、必要に応じて、グループ資産に対する一意の資産番号を入力します。値を入力しない場合は、資産番号連番を使用して数値が自動的に割り当てられます。グループ資産では、個別資産と同じ自動番号連番が使用されます。

  4. 「摘要」フィールドに、グループ資産の摘要を入力します。これは必須フィールドです。

  5. 「資産タイプ」フィールドで、グループ資産作成時の資産タイプとして「グループ」を選択します。

  6. 「カテゴリ」フィールドに、グループ資産のカテゴリを入力します。これは必須フィールドです。

  7. 「単位」フィールドで、デフォルト値の1をそのまま使用するか、必要な値を入力します。これは必須フィールドです。

    注意: グループ資産またはメンバー資産を親資産または子資産として割り当てることはできません。

    実地棚卸機能はグループ資産に対してサポートされていないため、資産タイプが「グループ」のときは「実地棚卸」チェック・ボックスを選択できません。

  8. 「続行」ボタンを選択し、「資産台帳」ウィンドウで新規グループ資産に関する情報を入力します。

新規グループ資産に関する財務情報を定義する手順は、次のとおりです。

  1. 「資産台帳」ウィンドウで、グループ資産に関する情報を入力します。

    注意: グループ資産の場合、取得価額、当初取得価額、償却対象額、純帳簿価額など、一部の財務情報は更新できません。

    追加期間中は、メンバー資産をグループ資産に割り当てた後で、そのグループ資産の年償却累計額と償却累計額を修正できます。

  2. 「台帳」フィールドに、新規グループ資産の会計用資産台帳を入力します。

    注意: グループ資産の場合、「取得価額」フィールドは更新できません。

  3. 「残存価額」フィールドには、グループ資産の残存価額を計算するためのオプションが2つあります。次のいずれかを選択できます。

  4. 「年償却累計」フィールドに、グループ資産の年償却累計額を入力します。このフィールドを更新できるのは、グループ資産の追加期間中で、かつ少なくとも1つのメンバー資産がグループ資産に割り当てられている場合のみです。

  5. 「償却累計額」フィールドに、グループ資産の償却累計額を入力します。このフィールドを更新できるのは、グループ資産の追加期間中で、かつ少なくとも1つのメンバー資産が割り当てられている場合のみです。

    注意: グループ資産の場合、「再評価限度額」または「再評価 償却累計額 -------------------」フィールドは更新できません。

詳細追加処理を使用してグループ資産の追加を続行するには、次のいずれかを行う必要があります。

新規グループ資産の減価償却情報を入力または上書きする手順は、次のとおりです(オプション)。

  1. 「減価償却」タブ・リージョンを選択します。

  2. このグループ資産が減価償却可能な場合は、「償却費計上」チェック・ボックスを選択します。このチェック・ボックスが選択されていない場合、グループ資産に対する減価償却は計算されません。

  3. このグループ資産が無効な場合は、「使用不可」チェック・ボックスを選択します。このチェック・ボックスを選択した後は、このグループ資産に対するメンバー資産の割当または取引の実行はできません。関連項目: グループ資産の無効化

  4. 「方法」フィールドで、必要に応じて、デフォルト値を上書きし、減価償却方法と関連情報を入力します。

    グループ資産またはメンバー資産に対して、累計生産高比例法は許可されていません。

    注意: 「超過償却費計上」フィールドが「許可および償却費計上」に設定されている場合、減価償却方法に「計算」、「表」、「算式」または「定率-純帳簿価額」は選択できません。「超過償却費計上」フィールドが「許可」の場合、「計算」および「表」は選択できません。関連項目: 減価償却上書き

  5. 事業供用日は、グループ資産については当期間にデフォルト設定されます。グループ資産の場合、前期間の事業供用日を入力できるのは、追加期間中のみです。この日付は、グループ減価償却開始日の決定に使用されます。グループ資産の場合、これは必須フィールドです。グループ資産の事業供用日を変更できるのは、そのグループ資産の減価償却が開始される前までです。

  6. 「按分方法」フィールドには、「デフォルト償却基準」ウィンドウからのデフォルト値が表示されます。

  7. 「按分基準日」には、グループ資産の減価償却開始日が表示されます。この日付は、グループ資産の事業供用日と同じです。

  8. 「タイプ」フィールドには、グループ資産の減価償却限度を計算するための3つのオプションがあります。これらのオプションは、次のとおりです。

    注意: 減価償却限度は、「超過償却費計上」オプションに「許可」または「許可および償却費計上」を選択している場合でも使用できます。

  9. 「超過償却費計上」フィールドで、グループ資産償却累計額がグループ資産取得価額を超過できるかどうかを指定できます。

    次の3つのオプションを使用できます。

  10. 「責任者グループ」フィールドに、必要に応じて、以前に定義した責任者グループを入力します。関連項目: 取引: グループ修正

グループ資産の除・売却オプションを定義する手順は、次のとおりです。

  1. 「詳細ルール」タブ・リージョンを選択します。

    重要: 除・売却ルール情報を更新できるのは、グループ資産の追加期間中で、かつメンバー資産の割当前のみです。

    「除・売却オプション」リージョン

  2. 「損益の認識」フィールドには、メンバー資産の除・売却に使用できる次の2つのオプションがあります。

  3. グループ資産の償却累計額が、差益を認識することなく、その償却対象額を超過可能(純帳簿価額は0(ゼロ)より小さい額)であることを示す場合は、「超過償却累計額の回収」チェック・ボックスを選択します。

  4. 「損益の認識」が「認識しない」に設定されている場合は、「取得価額に対する純売上代金の限度」チェック・ボックスを使用できます。このチェック・ボックスが選択されている場合、償却累計額に追加可能な売上代金(撤去費用の純益)は、除・売却メンバー資産の償却対象額に制限されます。

  5. 「最終損益」フィールドでは、3つのオプションから選択できます。使用可能な3つのオプションは、次のとおりです。

追跡オプション方法を「グループ金額の配賦」に設定する手順は、次のとおりです。

重要: メンバー資産追跡オプションを更新できるのは、グループ資産の追加期間中で、かつメンバー資産の割当前のみです。

「追跡オプション」リージョン

  1. 計算済グループ減価償却額がそのメンバー資産に配賦されるようにする場合は、「追跡方法」フィールドで、「グループ金額の配賦」オプションを選択します。配賦は、メンバー資産の減価償却基準に基づきます。

  2. 「除・売却済および償却済資産への配賦」を選択した場合は、グループ減価償却額が償却済または除・売却済メンバー資産に配賦されます。

  3. 「超過分の削減」が選択されている場合は、超過グループ減価償却額が、計算済グループ減価償却額から削減されます。「除・売却済および償却済資産への配賦」チェック・ボックスが選択されていない場合は、このフィールドが自動的に選択されます。

  4. 「超過分の配分」が選択されている場合は、超過グループ減価償却額が、グループ内の他のメンバー資産に比例配分されます。

    メンバー資産に配賦した金額が、そのメンバー資産の減価償却限度または償却対象額を超えている場合、その超過金額は、次の金額を超える配賦金額として計算されます。

追跡方法オプションを「メンバー資産金額の計算」に設定する手順は、次のとおりです。

「追跡オプション」リージョン

  1. 「追跡方法」フィールドでの「メンバー資産金額の計算」オプションの選択によって、減価償却をメンバー資産レベルで計算するかどうかを指定できます。このオプションを選択すると、メンバー資産ごとに減価償却が計算されます。

  2. 減価償却方法フィールドに、メンバー資産の減価償却方法を選択するメンバー資産減価償却を入力します。次の2つのルールを使用できます。

  3. 「グループに対するメンバー資産減価償却合計」チェック・ボックスが選択されている場合、グループ減価償却は、全メンバー資産の計算済減価償却の合計として計算されます。このチェック・ボックスが選択されていない場合、グループ減価償却は、デフォルトのグループ資産減価償却ルールを使用して計算されます。

  4. 「続行」ボタンを選択して、グループ資産配分情報を入力します。

グループ資産の控除率を定義する手順は、次のとおりです。

「控除ルール」リージョン

  1. 「控除率」フィールドは、グループ資産に対してのみ使用できます。控除率として使用する率を入力します。控除率は、グループ資産に対する減価償却基準の計算時に適用され、カナダおよびインドの50パーセント規定を満たすために使用されます。

    注意: 「控除率」フィールドは、使用している減価償却方法に次の減価償却基準ルールが設定されている場合のみ使用できます。

  2. メンバー資産の追加取引に控除率を適用するには、「追加」を選択します。

  3. メンバー資産の修正取引に控除率を適用するには、「修正」を選択します。

  4. メンバー資産の除・売却取引に控除率を適用するには、「除・売却」を選択します。

    控除率は、グループ資産に対するデフォルト率として設定されます。メンバー資産に対するデフォルトの控除率は、そのメンバー資産で取引を実行するときに更新できます。

グループ資産の配分情報を入力する手順は、次のとおりです。

  1. 「資産割当」ウィンドウで、グループ資産の配分情報を入力します。

  2. 「単位」フィールドに、グループ資産の単位数を入力します。

  3. 「減価償却費」フィールドに、グループ資産に対する有効な減価償却費勘定を入力します。これは必須フィールドです。グループ資産に対する会社間資産振替は、資産台帳管理の設定時に「会社間メンバー資産割当の許可」が選択されていないかぎり許可されません。

    重要: 複数の配分明細があるグループ資産に対して、異なる貸借一致セグメント値を指定できるのは、「資産台帳管理」ウィンドウで「会社間メンバー資産割当の許可」チェック・ボックスを選択した場合のみです。

  4. 「事業所」フィールドに、グループ資産の事業所を入力します。これは必須フィールドです。

  5. 「完了」ボタンを選択して、新規グループ資産を保存します。

資産クイック登録を使用したグループ資産の作成

グループ資産は、資産クイック登録を使用して追加できます。資産が資産クイック登録を使用して追加されると、そのカテゴリのデフォルト・ルールによって減価償却ルールがデフォルト設定されます。グループ資産を作成した後は、最初のメンバー資産が追加される前に、資産ワークベンチでそのグループ資産のルールを問い合せて変更できます。

資産クイック登録を使用してグループ資産を作成する手順は、次のとおりです。

  1. 「資産ワークベンチ」ウィンドウにナビゲートします。

  2. 「資産クイック登録」ボタンを選択します。

  3. 「摘要」フィールドに、グループ資産の摘要を入力します。

  4. 「カテゴリ」フィールドに、グループ資産のカテゴリを入力します。

  5. 「資産タイプ」フィールドで、グループ資産を作成するための資産タイプに「グループ」を選択します。

  6. グループ資産の単位数を入力します。

  7. グループ資産の有効な台帳名を入力します。

  8. グループ資産の取得価額は0(ゼロ)です。取得価額は、グループ資産については許可されていません。グループ資産取得価額は、全メンバー資産取得価額の合計から導出されます。

  9. グループ資産の事業供用日は、当期間にデフォルト設定されています。グループ資産の追加期間中は、前期間の事業供用日を入力できます。減価償却が開始された後は、グループ資産の事業供用日は変更できません。

  10. このグループ資産が減価償却可能な場合は、「償却費計上」チェック・ボックスを選択します。このチェック・ボックスが選択されていない場合、グループ資産に対する減価償却は計算されません。

  11. 「按分方法」フィールドには、「デフォルト償却基準」ウィンドウからのデフォルト値が表示されます。

  12. 「按分基準日」には、グループ資産の減価償却開始日が表示されます。この日付は、グループ資産の事業供用日と同じです。

  13. 「減価償却費」フィールドに、グループ資産に対する有効な減価償却費勘定を入力します。これは必須フィールドです。

  14. グループ資産の事業所を入力します。これは必須フィールドです。

  15. 「完了」ボタンを選択して、新規グループ資産を保存します。

資産ワークベンチでのグループ資産の検索

グループ資産、メンバー資産または個別資産の検索には、資産ワークベンチで提供されている検索基準を使用できます。次に、資産ワークベンチを使用して資産を問い合せる手順を示します。

資産ワークベンチでグループ資産を検索する手順は、次のとおりです。

  1. 資産ワークベンチにナビゲートします。

    「資産の検索」ウィンドウでは、資産詳細、資産台帳、資産割当、ソース明細またはリース情報で資産を検索できます。

  2. 「資産詳細別」リージョンでは、摘要情報で資産を検索できます。次のようなフィールドがあります。

  3. 「台帳別」リージョンでは、資産台帳情報で資産を検索できます。たとえば、「グループ資産」フィールドに、メンバー資産に関連付けられているグループ資産の番号を入力します。

    注意: グループ資産の検索に「グループ資産」フィールドは使用しないでください。「グループ資産」フィールドにグループ資産番号を入力すると、そのグループ資産に関連付けられているすべてのメンバー資産を検索できます。

  4. 「資産割当別」リージョンでは、会計情報で資産を検索できます。たとえば、「減価償却費勘定」フィールドに、資産の勘定科目番号を入力します。

  5. 「ソース明細別」リージョンでは、請求書情報で資産を検索できます。たとえば、「請求書番号」フィールドに、資産の請求書番号を入力します。

  6. 「リース別」リージョンでは、リース情報で資産を検索できます。たとえば、「賃貸人」フィールドに、資産賃貸人の名称を入力します。

  7. 「検索」ボタンを選択して、検索基準を実行します。

グループ資産ルールとメンバー資産ルール

  1. グループ資産と関連するメンバー資産は、同じ会計用資産台帳に属している必要があります。

  2. グループ資産に対して定義された減価償却ルールは、通常、関連するメンバー資産の減価償却ルールに引き継がれます。減価償却は通常、グループ資産に対してのみ計算および格納されます。

  3. メンバー資産の追加は、グループ資産に対する償却済取得価額の修正として処理されます。

  4. 追加、修正、グループ資産組替などのメンバー資産取引は、修正額償却として処理されます。費用処理済修正は、グループ資産に対しては許可されません。

  5. グループ資産の事業供用日は、グループ資産の償却開始時期を決定するために使用されます。この日付は、グループ資産に対する減価償却が開始された後は更新できません。

  6. メンバー資産は、そのグループ資産の事業供用日と異なる事業供用日で追加できますが、メンバー資産の事業供用日は、グループ資産の事業供用日より前の日付にはできません。

  7. 前期間の事業供用日で追加されたメンバー資産は、そのメンバー資産の事業供用日からのグループ資産に対する償却済取得価額の修正として処理されます。また、「処理グループ修正」コンカレント・プログラムが自動的に発行され、グループ資産に対する前期間の減価償却費が計算されます。プログラム発行要求番号が記載されたメッセージを確認する必要があります。

  8. CIPメンバー資産をグループ資産に追加すると、CIPメンバー資産取得価額は、そのCIPメンバー資産が資産計上されるまでグループ資産に追加されません。これには重要な例外が1つあり、この例外は、「資産台帳管理」ウィンドウの「グループ資産の建設仮勘定減価償却の許可」チェック・ボックスを選択した場合に発生します。「ソース明細」ウィンドウでグループの償却オプションを設定すると、CIPメンバー資産取得価額をグループ資産に追加できます。

  9. 未計画減価償却は、関連するグループ資産に「メンバー資産追跡」が設定されているメンバー資産に対してのみ使用できます。

  10. 取得価額は、メンバー資産レベルで格納および追跡され、グループ資産に集計されます。

  11. 償却累計額は通常、グループ資産に対してのみ格納および追跡されます。

  12. 資産取得価額は、メンバー資産が追加された期間中にGeneral Ledgerに転記されます。減価償却費は、メンバー資産追跡が有効な場合でも、グループ資産からのみGeneral Ledgerに転記されます。

グループ資産の無効化

グループ資産を無効にするには、資産ワークベンチの「資産台帳」ウィンドウで、「減価償却」タブ・リージョンにある「使用不可」チェック・ボックスを選択します。ある資産台帳についてグループ資産を無効にしても、別の資産台帳のそのステータスには影響を与えません。たとえば、会計用資産台帳でグループ資産を無効にした場合、税務台帳でのその使用可能ステータスには影響を与えません。

グループ資産を無効にするには、その前に、その全メンバー資産が除・売却済であるか、またはグループ資産組替によってグループ資産から削除されている必要があります。また、グループ資産の取得価額は0(ゼロ)である必要があります。

無効にしたグループ資産は、いつでも有効にできます。

無効なグループ資産を表示するには、「財務情報の表示」ウィンドウを使用するか、資産ワークベンチで「資産の検索」ウィンドウの「使用不可グループの表示」を選択します。

制限事項

グループ資産を無効にする場合は、次の制限事項を考慮する必要があります。

グループ資産の無効化

グループ資産を無効にする手順は、次のとおりです。

  1. 「ナビゲータ」ウィンドウから「資産」 > 「資産ワークベンチ」を選択します。

  2. 無効にするグループ資産を検索します。

  3. 「資産台帳」を選択して「資産台帳」ウィンドウをオープンします。

  4. 「台帳」フィールドに、グループ資産を無効にする資産台帳を入力します。

  5. 「減価償却」タブ・リージョンの「使用不可」チェック・ボックスを選択して、このグループ資産を無効にします。

  6. 「完了」を選択してこの取引を保存します。

無効なグループ資産の再有効化

無効にしたグループ資産はいつでも有効にできます。グループ資産を再度有効にした後は、すべての機能制限が復元されます。グループ資産は、「資産ワークベンチ」、「一括追加」、一括取引の各フォームに表示されます。グループ資産の減価償却の計算が先に進められ、グループ資産とそのメンバー資産で取引を実行できます。また、「カテゴリ」フォームの「デフォルト償却基準」ウィンドウでは、再度有効にしたグループ資産をデフォルト・グループ資産として設定できます。

無効なグループ資産を再度有効にする手順は、次のとおりです。

  1. 「ナビゲータ」ウィンドウから「資産」 > 「資産ワークベンチ」を選択します。

  2. 再度有効にするグループ資産を検索します。

  3. 「資産台帳」を選択して「資産台帳」ウィンドウをオープンします。

  4. 「台帳」フィールドに、グループ資産を再度有効にする資産台帳を入力します。

  5. 「減価償却」タブ・リージョンの「使用不可」チェック・ボックスの選択を解除して、このグループ資産を再度有効にします。

  6. 「完了」を選択してこの取引を保存します。

グループ資産へのメンバー資産の割当

グループ資産へのメンバー資産の割当には、次の3つのオプションを使用できます。

追加期間中に資産を作成する場合は、資産ワークベンチでグループ資産番号を手動で入力し、その資産をグループ資産に割り当てることができます。資産は、手動で指定したグループ資産のメンバー資産として追加されます。

注意: メンバー資産に対する「償却費計上」チェック・ボックスは、グループ資産の減価償却計算に影響を与えません。通常、メンバー資産に対する「償却費計上」チェック・ボックスは、グループ資産の減価償却計算に影響を与えません。ただし、グループ資産に対して「メンバー資産追跡」オプションを「メンバー資産金額の計算」に設定している場合は、メンバー資産に対して「償却費計上」チェック・ボックスが選択されていないと、メンバー資産の減価償却が計算されません。

メンバー資産のグループ資産情報を入力する手順は、次のとおりです。

  1. 詳細追加: 「資産台帳」ウィンドウの「グループ資産」タブ・リージョンでグループ資産番号を入力します。

    資産クイック登録: 「資産クイック登録」ウィンドウの「台帳」リージョンでグループ資産番号を入力します。

    一括追加の準備: 「一括追加」ウィンドウでグループ資産番号を入力します。

  2. このメンバー資産がグループ資産に属している場合は、「グループ資産」フィールドにグループ資産番号が表示されます。グループ資産番号は、数値または文字ベースです。

  3. 「摘要」フィールドは表示専用フィールドです。有効なグループ資産番号が表示されると、グループ資産の摘要には、そのグループ資産の摘要が自動的に表示されます。

  4. 「控除率」フィールドは、グループ資産に対して有効な場合は常にメンバー資産に対しても有効であるため、グループ資産の控除率の設定にデフォルト設定されます。ただし、このデフォルトの控除率は、取引ごとに上書きできます。控除率は、資産ワークベンチの「資産台帳」ウィンドウの「詳細ルール」タブ・リージョンで有効化されます。控除率のデフォルト設定の詳細は、グループ資産の詳細ルールを参照してください。関連項目: 詳細ルールの定義

カテゴリを介したグループ資産の割当

グループ資産を作成した後は、カテゴリ・デフォルト・ルールにグループ資産番号を入力できます。カテゴリに対する新規資産はすべて、そのカテゴリに入力されているグループ資産のメンバー資産になります。これらのメンバー資産は、デフォルト・ルールの一部としてグループ資産メンバーを継承します。グループ資産メンバーは、資産ワークベンチまたは一括変更を使用して変更できます。関連項目: 財務情報と減価償却情報の変更

取引: メンバー資産取得価額の追加

グループ資産にメンバー資産を追加すると、そのメンバー資産の取得価額は、修正額償却としてグループ資産取得価額に追加されます。

グループ資産取得価額 = 全メンバー資産取得価額の合計

当期間メンバー資産追加

例: 当期間メンバー資産追加

資産情報

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1、資産2

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
減価償却方法: 取得価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
減価償却率: 20%
グループ事業供用日/按分基準日: 2000年1月1日
償却カレンダ: 月次

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

メンバー資産1の設定

資産設定項目 資産設定情報
追加される取得価額: 10,000
グループ資産Aに追加される日付2000年1月1日
償却開始日: 2000年1月1日

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

メンバー資産2の設定

資産設定項目 資産設定情報
追加される取得価額: 20,000
グループ資産Aに追加される日付: 2000年2月1日
償却開始日: 2000年2月1日

次の表には、グループ資産とメンバー資産の年間取得価額と計算済金額がリストされています。

 2000年1月2000年2月2000年3月2000年4月
資産110,000 10,000 10,000 10,000
資産2  20,000 20,000 20,000
グループA取得価額10,000 30,000 30,000 30,000
グループA減価償却費166.67 500* 500 500
グループA償却累計額166.67 666.67 1,166.67 1,666.67

* 2000年2月のグループAの減価償却費 = グループA取得価額 * 年間減価償却率 / 年度内期間数 = 30,000 * 20% / 12 = 500

追加期間中に作成される仕訳は、次のようになります。

2000年1月、資産1の仕訳:

勘定科目摘要 借方 貸方
資産1取得価額10,000.00  
資産1取得価額精算  10,000

2000年2月、資産2の仕訳:

勘定科目摘要 借方 貸方
資産2取得価額20,000.00  
資産2取得価額精算  20,000

資産台帳に対して「会社間メンバー資産割当の許可」を選択していて、グループ資産とメンバー資産の貸借一致セグメント値が異なる場合は、次の仕訳が作成されます。

2000年1月、資産1の仕訳は、次のとおりです。

勘定科目摘要 借方 貸方
会社01資産1取得価額10,000.00  
会社02資産1取得価額精算  10,000
会社02会社間売掛/未収金10,000.00  
会社01会社間買掛/未払金  10,000

前期間メンバー資産追加

過去に溯ってメンバー資産を追加すると、前期間のグループ資産に対する修正額償却として処理されます。次に、前期間のメンバー資産追加の例を示します。

例: 前期間メンバー資産追加

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産情報

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1、資産2

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
減価償却方法: 取得価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
償却率: 30%
グループ事業供用日/按分基準日: 2000年1月1日
償却カレンダ: 月次

前期間の事業供用日で追加されるメンバー資産

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

メンバー資産1の設定

資産設定項目 資産設定情報
追加される取得価額: 10,000
グループ資産Aに追加される日付2000年1月1日
償却開始日: 2000年1月1日

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

メンバー資産2の設定

資産設定項目 資産設定情報
追加される取得価額: 20,000
グループ資産Aに追加される日付2000年3月1日
償却開始日: 2000年2月1日

次の表には、グループ資産とメンバー資産の年間取得価額と計算済金額がリストされています。

 2000年1月2000年2月2000年3月2000年4月
資産110,000 10,000 10,000 10,000
資産2     20,000 20,000
グループA取得価額10,000 30,000 30,000 30,000
グループA減価償却費250 250 1.250* 750
グループA償却累計額250 500 1,750 2,500

* 2000年3月のグループA減価償却費

= 2000年3月の定期減価償却費 + 2000年2月からの資産2の遡及減価償却費 = [30,000 * 30% / 12] + [20,000 * 30% / 12] = 1,250

例: 前期間事業供用日での複数メンバー資産の追加

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産情報

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1、資産2

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
減価償却方法: 取得価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
償却率: 30%
グループ事業供用日/按分基準日: 2000年1月1日
償却カレンダ: 月次

前期間の事業供用日で追加されるメンバー資産

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

メンバー資産1の設定

資産設定項目 資産設定情報
追加される取得価額: 10,000
グループ資産Aに追加される日付2000年1月1日
償却開始日: 2000年1月1日

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

メンバー資産2の設定

資産設定項目 資産設定情報
追加される取得価額: 20,000
グループ資産Aに追加される日付2000年5月1日
償却開始日: 2000年2月1日

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

メンバー資産3の設定

資産設定項目 資産設定情報
追加される取得価額: 60,000
グループ資産Aに追加される日付2000年7月1日
償却開始日: 2000年3月1日

次の表には、グループ資産とメンバー資産の年間取得価額と計算済金額がリストされています。

カレンダ期間 取得価額 減価償却 償却累計額
2000年1月10,000 250 250
2000年2月10,000 250 250
2000年3月10,000 250 250
2000年4月10,000 250 250
2000年4月10,000 250 250
2000年5月30,000 2,250* 3,250
2000年6月90,000 750 4,000
2000年7月90,000 7,750** 11,750
2000年8月90,000 2,250 14,000

* 2000年5月のグループA減価償却費 = 2000年5月の定期減価償却費 + 2000年2月からの資産2の遡及減価償却費 = [30,000 * 30% / 12] + [30,000 * 30% * 3 /12 - (250 + 250 + 250)] = 2,250

** 2000年7月のグループA減価償却費 = 2000年7月の定期減価償却費 + 2000年3月からの資産3の遡及減価償却費 = [90,000 * 30% / 12] + [90,000 * 30% * 4 /12 - (250 + 250 + 2,250 + 750)] = 7,750

CIPメンバー資産

CIPメンバー資産はグループ資産に追加できますが、CIPメンバー資産取得価額は、そのCIPメンバー資産が資産計上されるまでグループ資産取得価額に追加されません。この例外について、次の項で説明します。

例: CIPメンバー資産の追加

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産情報

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1建設仮勘定資産、資産2資産計上資産

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
減価償却方法: 取得価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
償却率: 30%
グループ事業供用日/按分基準日: 2000年1月1日
償却カレンダ: 月次

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

メンバー資産1の設定

資産設定項目 資産設定情報
追加される取得価額: 10,000
グループ資産Aに追加される日付2000年1月1日
事業供用日: 2000年1月1日

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

メンバー資産2の設定

資産設定項目 資産設定情報
追加される取得価額: 20,000
グループ資産Aに追加される日付2000年3月1日
事業供用日: 2000年3月1日

次の表には、グループ資産とメンバー資産の年間取得価額と計算済金額がリストされています。

 2000年1月2000年2月2000年3月2000年4月
資産110,00010,00010,00010,000
資産2     20,000 20,000
グループA取得価額0 0 20,000 20,000
グループA減価償却費0 0 500* 500
グループA償却累計額0 0 500 1,000

* 2000年3月のグループA減価償却費 = グループA取得価額 * 年間減価償却率 / 年度内期間数 = 20,000 * 30% / 12 = 500

CIPメンバー資産減価償却

CIPメンバー資産をグループ資産に追加できますが、CIPメンバー資産の取得価額は、「資産台帳管理」ウィンドウにある「グループ資産の建設仮勘定減価償却の許可」チェック・ボックスを選択しないかぎり、グループ資産取得価額に含まれません。

「グループ資産の建設仮勘定減価償却の許可」チェック・ボックスが選択されている場合は、CIPメンバー資産がグループ資産に割り当てられるときに、CIPメンバー資産取得価額を減価償却することを選択できます。これを実行するには、CIPメンバー資産の「ソース明細」ウィンドウで「償却費計上」チェック・ボックスを選択します。関連項目: ソース明細

例: CIPメンバー資産減価償却

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産情報

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1建設仮勘定資産、資産2資産計上資産

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
減価償却方法: 取得価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
償却率: 30%
グループ事業供用日/按分基準日: 2000年1月1日
償却カレンダ: 月次
グループ資産の建設仮勘定減価償却の許可: Yes

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

メンバー資産1の設定

資産設定項目 資産設定情報
追加される取得価額: 10,000
グループ資産Aに追加される日付2000年1月1日
事業供用日: 2000年1月1日
グループの償却チェック・ボックス: 選択: 2000年2月1日

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

メンバー資産2の設定

資産設定項目 資産設定情報
追加される取得価額: 20,000
グループ資産Aに追加される日付2000年3月1日
事業供用日: 2000年3月1日

次の表には、グループ資産とメンバー資産の年間取得価額と計算済金額がリストされています。

 2000年1月2000年2月2000年3月2000年4月
資産110,00010,00010,00010,000
資産2     20,000 20,000
グループA取得価額0 10,000 20,000 20,000
グループA減価償却費0 250* 500 500
グループA償却累計額0 250 750 1,250

* 2000年2月のグループA減価償却費 = グループA取得価額 * 年間減価償却率 / 年度内期間数 = 30,000 * 30% / 12 = 250

取引: メンバー資産取得価額修正

メンバー資産取得価額の修正は、関連するグループ資産に間接的な影響を与えます。グループ資産取得価額は、全メンバー資産取得価額の合計であるため、メンバー資産の取得価額を変更すると、グループ資産の取得価額が変更されます。メンバー資産の残存価額の変更も、グループ資産に対してメンバー資産合計を使用する残存価額オプションが選択されている場合は、グループ資産に影響を与える場合があります。

メンバー資産に対して取得価額修正を実行する場合、メンバー資産の取得価額は修正金額に更新されます。取得価額修正は、グループ資産に対する修正額償却として処理されます。また、メンバー資産に対する当期間取引として処理されます。メンバー資産の取得価額修正については、前期間の償却開始日を入力できます。メンバー資産に対して入力する償却開始日は、メンバー資産の事業供用日から当期間の日付までに制限されます。

残存価額が取得価額の割合で表される場合、残存価額は、取得価額修正時にその金額に比例して変更されます。残存価額が金額で表される場合、残存価額は取得価額修正の影響を受けません。

例: メンバー資産取得価額修正の計算

次の手順は、メンバー資産取得価額修正に関する様々な計算の説明です。

  1. グループ資産の減価償却基準は、全メンバー資産の取得価額修正金額の合計によって増減します。

  2. 修正は修正額償却であり、修正金額は、グループ資産の償却期間全体で均等に償却されます。

  3. グループ資産の修正済取得価額を使用して、定期減価償却額が計算されます。

  4. 作成される仕訳は、次のとおりです。

    勘定科目摘要 借方 貸方
    メンバー資産取得価額 xxxx  
    メンバー資産取得価額精算  xxxx
    グループ資産減価償却費xxxx  
    グループ資産償却累計額  xxxx

当期間のメンバー資産取得価額修正

例: 当期間取得価額修正 - 定率法

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産情報

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1、資産2

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
減価償却方法: 取得価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
償却率: 30%
グループ事業供用日/按分基準日: 2000年1月1日
償却カレンダ: 月次

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

メンバー資産1

資産設定項目 資産設定情報
取得価額修正: 10,000
実行期間: 2000年3月
償却開始日: 2000年3月1日

次の表には、グループ資産とメンバー資産の年間取得価額と計算済金額がリストされています。

 2000年1月2000年2月2000年3月2000年4月
資産110,00010,00020,00020,000
資産220,00020,00020,00020,000
グループA取得価額30,00030,00040,00040,000
グループA減価償却費750 750 1,000* 1,000
グループA償却累計額7501,5002,5003,500

* 2000年3月のグループA減価償却費 = グループ資産取得価額 * 年間減価償却率 / 年度内期間数 = 40,000 * 30% / 12 = 1,000

例: 当期間取得価額修正 - 耐用年数ベースの方法

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産情報

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1、資産2

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
減価償却方法: 取得価額基準の定額法、耐用年数: 1年
グループ事業供用日/按分基準日: 2000年1月1日
償却カレンダ: 月次

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

メンバー資産1

資産設定項目 資産設定情報
取得価額修正: 10,000
実行期間: 2000年3月
償却開始日: 2000年3月1日

次の表には、グループ資産とメンバー資産の年間取得価額と計算済金額がリストされています。

 2000年1月2000年2月2000年3月2000年4月
資産110,00010,00020,00020,000
資産220,00020,00020,00020,000
グループA取得価額30,00030,00040,00040,000
グループA減価償却2,500 2,500 3,500 3,500
グループA償却累計額2,500 5,000 8,500 11,500

2000年3月のグループA減価償却費 = (取得価額 - 償却累計額) / 残り耐用期間 = (40,000 - 5,000) / 10 = 3,500

作成される仕訳は、次のとおりです。

  1. 2000年3月のメンバー資産1取得価額修正の仕訳を作成します。

    勘定科目摘要 借方 貸方
    メンバー資産1取得価額10,000  
    メンバー資産1取得価額精算  10,000
  2. 2000年3月のグループ減価償却費の仕訳を作成します。

    勘定科目摘要 借方 貸方
    グループ減価償却費3,500  
    グループ償却累計額  3,500

前期間のメンバー資産取得価額修正

過去に溯ってメンバー資産の取得価額を修正すると、グループ資産に対する前期間の修正額償却として処理されます。メンバー資産の取得価額修正が前期間まで溯る場合は、複数の日付の修正が発生する可能性があります。

前期間のメンバー資産取得価額修正 - 定率法

例: 前期間の取得価額修正 - 定率法

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産情報

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1、資産2

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
減価償却方法: 取得価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
償却率: 30%
グループ事業供用日/按分基準日: 2000年1月1日
償却カレンダ: 月次

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

メンバー資産1

資産設定項目 資産設定情報
取得価額修正: 10,000
実行期間: 2000年3月
償却開始日: 2000年2月1日

次の表には、グループ資産とメンバー資産の年間取得価額と計算済金額がリストされています。

 2000年1月2000年2月2000年3月2000年4月
資産110,00010,00020,00020,000
資産220,00020,00020,00020,000
グループA取得価額30,00030,00040,00040,000
グループA減価償却750 750 1,250 1,000
グループA償却累計額750 1,500 2,750 3,750

2000年2月のグループA遡及減価償却費 = 40,000 * 30% / 12 - 750 = 250

2000年3月のグループA減価償却費 = 40,000 * 30% / 12 = 1,000

2000年3月のグループ資産減価償却費に対して作成される仕訳は、次のとおりです。

勘定科目摘要 借方 貸方
グループ減価償却費1,250  
メンバー資産取得価額精算  1,250

取引: グループ修正

グループ資産に直接影響を与えるグループ資産修正には、次の2つのタイプがあります。

グループ資産減価償却ルールの変更に対する修正

グループ資産の減価償却方法は、「資産台帳」ウィンドウで変更できます。

グループ資産の減価償却方法の変更

例: 定率法の減価償却率の変更

資産情報

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1、資産2

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1(取得価額: 10,000; 事業供用日: 2000年1月1日)、資産2(取得価額: 20,000; 事業供用日: 2000年1月1日)
減価償却方法: 取得価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
償却率: 30%
グループ事業供用日/按分基準日: 2000年1月1日
償却カレンダ: 月次

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産Aの減価償却率の変更

資産設定項目 資産設定情報
当初減価償却率: 30%
減価償却率変更: 50%
実行期間: 2000年3月
償却開始日: 2000年3月1日

次の表には、グループ資産とメンバー資産の年間取得価額と計算済金額がリストされています。

 2000年1月2000年2月2000年3月2000年4月
資産110,00010,00010,00010,000
資産220,00020,00020,00020,000
グループA取得価額30,000 30,000 30,000 30,000
グループA減価償却750 750 1,250 1,250
グループA償却累計額750 1,500 2,750 4,000
 

2000年3月のグループA減価償却費 = グループ資産取得価額 * 年間減価償却率 / 年度内期間数 = 30,000 X 50% / 12 = 1,250

定額法の耐用年数の変更

例: 定額法の耐用年数の変更

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産情報

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1、資産2

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1(取得価額: 10,000; 事業供用日: 2000年1月1日)、資産2(取得価額: 20,000; 事業供用日: 2000年1月1日)
減価償却方法: 取得価額基準の定額法、耐用年数: STL 3年
グループ事業供用日/按分基準日: 2000年1月1日
償却カレンダ: 月次

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産Aの減価償却方法の変更

資産設定項目 資産設定情報
当初減価償却方法: 取得価額基準の定額法、耐用年数: 3年
減価償却方法変更/変更日付: 取得価額基準の定額法、耐用年数: 5年
実行対象年度: 会計年度2001年
償却開始日: 2001年1月1日

次の表には、グループ資産とメンバー資産の年間取得価額と計算済金額がリストされています。

  会計年度2000年 会計年度2001年 会計年度2002年 会計年度2003年
資産110,00010,00010,00010,000
資産220,00020,00020,00020,000
グループA取得価額30,000 30,000 30,000 30,000
グループA減価償却10,000 5,000 5,000 5,000
グループA償却累計額10,000 15,000 20,000 25,000

会計年度2001年のグループA減価償却費 = (取得価額 - 償却累計額) / 残り耐用年数 = (30,000 - 10,000) / 4 = 5,000

償却方法の定率法から定額法への変更

例: 償却方法の定率法から定額法への変更

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産情報

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1、資産2

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
減価償却方法: 取得価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
減価償却率: 20%
グループ事業供用日/按分基準日: 2000年1月1日
償却カレンダ: 月次

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

メンバー資産1の設定

資産設定項目 資産設定情報
追加される取得価額: 10,000
グループ資産Aに追加される日付2000年1月1日
事業供用日: 2000年1月1日

メンバー資産2の設定

資産設定項目 資産設定情報
追加される取得価額: 20,000
グループ資産Aに追加される日付2000年1月1日
事業供用日: 2000年1月1日

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産Aの減価償却方法の変更

資産設定項目 資産設定情報
当初減価償却方法: 取得価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用、率: 20%
減価償却方法の変更 定額法(STL)耐用年数: 4年に変更
実行対象年度: 会計年度2002年
償却開始日: 2002年1月1日

次の表には、グループ資産とメンバー資産の年間取得価額と計算済金額がリストされています。

  会計年度2000年 会計年度2001年 会計年度2002年 会計年度2003年
資産110,00010,00010,00010,000
資産220,00020,00020,00020,000
グループA取得価額30,000 30,000 30,000 30,000
グループA減価償却6,000 6,000 9,000 9,000
グループA償却累計額6,000 12,000 21,000 30,000

会計年度2002年のグループA減価償却費 = (取得価額 - 償却累計額) / 残り耐用期間 = (30,000 - 12,000) / 2 = 9,000

グループAの4年間の耐用期間は2000年1月1日に始まり、2003年末に償却済になります。

グループ資産残存価額の変更

次の方法を使用して、グループ資産残存価額を計算できます。

例: グループ資産Aの残存価額の変更 - 率

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産残存価額 = 5%

資産 事業供用日 取得価額 残存価額
資産12000年1月1日10,000 2,000
資産22000年1月1日20,000 3,000
グループ資産A2000年1月1日30,000 1,500

グループA残存価額 = 5% X 30,000 = 1,500

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループA残存価額率の変更

資産設定項目 資産設定情報
残存価額率: グループAの残存価額率を10%に変更
実行期間: 2000年3月1日
償却日: 2000年3月1日
グループA残存価額: 3,000

例: メンバー資産1の残存価額の変更 - メンバー資産合計

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産 事業供用日 取得価額 残存価額
資産12000年1月1日10,000 4,000
資産22000年1月1日20,000 1,000
グループ資産A2000年1月1日30,000 5,000

グループA残存価額 = 4,000 + 1,000 = 5,000

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産1の残存価額の変更

資産設定項目 資産設定情報
残存価額: 資産1残存価額を2,000に変更
実行期間: 2000年3月1日
償却日: 2000年3月1日
グループA残存価額: 3,000

例: グループ資産の割合からメンバー資産合計への残存価額の変更

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産残存価額 = 5%

資産 事業供用日 取得価額 残存価額
資産12000年1月1日10,000 2,000
資産22000年1月1日20,000 1,000
グループ資産A2000年1月1日30,000 1,500

グループA残存価額 = 5% X 30,000 = 1,500

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループA残存価額タイプの変更

資産設定項目 資産設定情報
残存価額: グループA残存価額タイプをメンバー資産合計に変更
実行期間: 2000年3月1日
償却日: 2000年3月1日
グループA残存価額: 3,000

グループ資産修正

償却累計額振替

償却累計額振替を使用すると、償却累計額の一部を、あるグループ資産から別のグループ資産に移動できます。これは当期間の修正額償却として処理されます。「償却累計額の振替」ボタンを選択すると、ダイアログ・ボックスが表示され、振替金額と受入グループ資産の入力を要求されます。これらの値を入力し、「完了」ボタンを選択すると、当期間に対して次の仕訳が作成されます。

勘定科目摘要 借方 貸方
ソース・グループ資産償却累計額xxxx  
ターゲット・グループ資産償却累計額  xxxx

未計画減価償却

資産ワークベンチを使用して、グループ資産に対して未計画減価償却額を入力できます。未計画減価償却修正は、当期間の修正額償却として処理されます。未計画減価償却は、グループ資産が定率法減価償却方法で償却中の場合に使用できます。

「未計画減価償却」ボタンを選択すると、ダイアログ・ボックスが表示され、タイプの選択と金額の入力を要求されます。これらの値を入力し、「完了」ボタンを選択すると、次の仕訳が作成されます。

勘定科目摘要 借方 貸方
グループ資産減価償却費xxxx  
グループ資産償却累計額  xxxx

注意: 未計画減価償却は、グループ資産レベルで入力されます。

除・売却調整

プロジェクト関連資産の場合、撤去費用および売却価額は、個々のメンバー資産に金額を比例配分するかわりに、グループに対して入力する方が便利です。また、個々の資産除・売却時に、撤去費用および売却価額が必ず認識されるわけではありません。このため、撤去費用および売却価額は、除・売却取引とは別に、グループ資産に対して直接入力する必要があります。

注意: グループ資産が追加された期間に、撤去費用および売却価額をグループ資産に対して直接入力することはできません。

撤去費用および売却価額をグループ資産に対して直接入力するには、「除・売却調整」ボタンを選択します。表示されたダイアログ・ボックスで、グループ資産に対する撤去費用および売却価額を入力し、「完了」ボタンを選択します。次の仕訳が作成されます。

勘定科目摘要 借方 貸方
グループ資産償却累計額<撤去費用> 
撤去費用  <撤去費用>
売却価額<売却価額> 
グループ資産償却累計額  <撤去費用>

償却累計額修正

資産の耐用期間の最初の期間中に、メンバー資産をグループ資産に割り当てた後で、「資産台帳」ウィンドウでグループ資産の償却累計額残高を入力または修正できます。ただし、この償却累計額修正から仕訳は作成されません。この機能は、レガシー・システムからの移行を容易にすることを目的として提供されています。グループ資産についてメンバー資産追跡を選択している場合は、グループ資産に対して償却累計額を入力または更新することはできません。

責任者グループ

責任者グループ機能は、グループ資産の分類をまとめて指定する電気通信業界規約への準拠に役立つように設計されています。

責任者グループ機能を使用すると、減価償却方法、減価償却率、減価償却限度など、グループ資産に関する減価償却ルールを上書きできます。各グループ資産の減価償却費は、個別に追跡および格納されます。

責任者グループの設定

「責任者グループ」ウィンドウで責任者グループを設定する手順は、次のとおりです。

  1. 「責任者グループ」ウィンドウにナビゲートします。

  2. 「名称」フィールドに、責任者グループの名称を入力します。

  3. 「摘要」フィールドに、責任者グループの摘要を入力します。

  4. 「使用可能」チェック・ボックスを選択して、責任者グループを使用可能にします。

  5. 「台帳」フィールドに、責任者グループの会計用資産台帳または税務台帳の名称を入力します。

  6. 「期間:自」フィールドに、減価償却方法および減価償却限度ルールの有効期間の範囲を入力します。必要な数の減価償却ルールの範囲を指定できます。終了日を入力しない場合、入力された減価償却ルールのセットは無期限に使用されます。

    有効な減価償却ルールの新しい範囲を追加するには、現行のレコードに対して終了期間を入力して保存し、有効な減価償却ルールの新しい範囲を入力します。

  7. 減価償却方法、減価償却基準および割増後償却率を入力します。方法タイプが定率で、計算基準が取得価額の減価償却方法のみ入力できます。

  8. 「減価償却限度」フィールドに、減価償却限度のパーセントを入力します。正または負の減価償却限度を入力できます。

責任者グループをグループ資産に割り当てるには、「資産台帳」ウィンドウの「詳細ルール」タブ・リージョンを使用します。責任者グループを割り当てることができるのは、資産台帳内の1つのグループ資産に対してのみです。責任者グループをグループ資産に割り当てると、グループ資産の減価償却費は、責任者グループに対して指定された減価償却方法および減価償却基準を使用して計算されます。グループ資産の減価償却費は、次の算式に従って計算されます。

グループ資産減価償却 = グループ資産取得価額 * 責任者グループ年間減価償却率 / 年度内期間数

グループ資産の減価償却額は、責任者グループの設定時に入力した減価償却限度のパーセントで制限されます。

取引: グループ資産組替

グループ資産組替は、資産ワークベンチを使用して資産のグループ・メンバーを変更した場合に発生します。グループ資産メンバーは、グループ資産フィールドを変更すると変更されます。このフィールドは、「資産台帳」ウィンドウの「グループ資産」タブ・リージョンにあります。

グループ資産組替は、次のシナリオで発生します。

グループ資産組替を処理する方法は、次の2通りあります。

メンバー資産のグループ資産組替はすべて、グループ資産に対する修正額償却として処理されます。また、この資産に対して実行した最後のグループ資産組替日付または最後の除・売却取引より過去に溯ってグループ資産組替を実行することはできません。

ソース・グループ資産との間でメンバー資産を振り替えるには、両方のグループ資産でメンバー資産追跡が使用可能に設定されている必要があります。追跡が使用可能でないメンバー資産が含まれているソース・グループ資産から、メンバー資産追跡が使用可能な追加先グループ資産にメンバー資産を振り替えることはできません。

貸借一致セグメント値が異なるグループ資産間でメンバー資産を振り替えるには、「資産台帳管理」ウィンドウの「会社間メンバー資産割当の許可」チェック・ボックスを選択する必要があります。

振替タイプ - 計算と入力

振替タイプ - 計算

「計算」振替タイプを使用する場合は、入力したグループ償却開始日に基づいてグループ資産組替が計算されます。「グループ償却開始日」フィールドの日付は、メンバー資産の事業供用日にデフォルト設定されます。グループ償却開始日は、当期間の日付から事業供用日までの日付に更新できます。

前期間グループ償却開始日の計算

グループ償却開始日として前期間の日付が入力された場合、取引は過去日付のグループ資産組替として処理されます。この場合、前期間の減価償却費を計算し、ソース・グループ資産と追加先グループ資産に適切な修正を加える必要があります。

前期間のグループ資産組替を実行すると、ソース・グループ資産から減価償却費が減算され、追加先グループ資産に減価償却修正費または遡及減価償却費が追加されます。この結果、誤ったグループにメンバー資産が設定されていた財務上の影響が戻し処理されます。

作成される仕訳は、次のとおりです。

勘定科目摘要 借方 貸方
ソース・グループ償却累計額<ソース・グループ減価償却>  
ソース・グループ減価償却費  <ソース・グループ減価償却>
追加先グループ減価償却費<追加先グループ減価償却> 
追加先グループ償却累計額  <追加先グループ減価償却>

追加先グループ資産の減価償却費は、追加先グループ資産の減価償却方法を使用して計算されます。金額は、追加先グループ資産の償却累計額残高に追加されます。このタイプの振替は、ソース・グループ資産と追加先グループ資産の両方に対する過去日付の修正額償却として処理されます。

例: 振替タイプ計算 - グループ間

資産情報

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1(取得価額: 30,000; 事業供用日: 2000年第3四半期)、資産2(取得価額: 20,000; 事業供用日: 2000年第3四半期)
減価償却方法: 取得価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
減価償却率: 20%
グループ事業供用日/按分基準日: 2000年1月1日
償却カレンダ名: 四半期

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産Bの設定

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループB
メンバー資産: 資産3(取得価額: 50,000; 事業供用日: 2000年第1四半期)、資産4(取得価額: 30,000; 事業供用日: 2000年第1四半期)
減価償却方法: 定額法2年
グループ事業供用日/按分基準日: 2000年1月1日
償却カレンダ名: 四半期

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産組替

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産組替: グループAからグループBへの資産1の振替
実行期間: 2001年第1四半期
グループ償却開始日: 2000年第3四半期
振替タイプ: 計算

次の表には、グループ資産Aの四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

カレンダ期間 取得価額 減価償却 償却累計額
2000年第1四半期- - -
2000年第2四半期- - -
2000年第3四半期50,000 2,500 2,500
2000年第4四半期50,000 2,500 5,000
2001年第1四半期20,000 <2,000> 3,000
2001年第2四半期20,000 1,000 4,000
2001年第3四半期20,000 1,000 5,000
2001年第4四半期20,000 1,000 6,000

次の表には、グループ資産Bの四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

グループ資産B

カレンダ期間 取得価額 減価償却 償却累計額
2000年第1四半期80,000 10,000 10,000
2000年第2四半期80,000 10,000 20,000
2000年第3四半期80,000 10,000 30,000
2000年第4四半期80,000 10,000 40,000
2001年第1四半期110,000 25,000 65,000
2001年第2四半期110,000 15,000 80,000
2001年第3四半期110,000 15,000 95,000
2001年第4四半期110,000 15,000 110,000

2001年第1四半期の減価償却は、次のように計算されます。

グループA

定期減価償却 + 2000年第3四半期までの遡及減価償却費

= [(50,000 - 20,000) * 20% / 4] + [(50,000 - 20,000) * 20% / 4 * 2 - (2,500 + 2,500)] = <2,000>

グループB定期減価償却 + 2000年第3四半期までの遡及減価償却費

= [(110,000 - 20,000) / 6] + [(110,000 - 20,000) / 6 * 2 - (10,000 + 10,000)] = 25,000

2001年第1四半期の仕訳は、次のように作成されます。

勘定科目摘要 借方 貸方
グループA償却累計額2,000  
グループA減価償却費  2,000
グループB減価償却費25,000  
グループB償却累計額  25,000

スタンドアロン資産の追加

スタンドアロン資産をグループ資産に追加する場合は、グループ資産の償却開始日を使用して必要な遡及減価償却費が計算されます。スタンドアロン資産の遡及減価償却費は、スタンドアロン資産の減価償却方法を使用して計算されます。これは、スタンドアロン資産がグループ資産に追加される前に、スタンドアロン資産の償却累計額残高から差し引かれます。スタンドアロン資産の残りの償却累計額残高は、その資産がメンバー資産になるときにグループ資産に追加されます。また、メンバー資産の取得価額は、グループ資産の取得価額に追加されます。

遡及減価償却費は、グループ資産の減価償却方法を使用して計算されます。遡及減価償却額は、振替の当期間のグループ資産償却累計額残高に追加されます。このタイプの振替は、グループ資産に対する過去日付の修正額償却として処理されます。

次の表には、グループ資産とメンバー資産の年間取得価額と計算済金額がリストされています。

例: 振替タイプ計算 - グループ資産へのスタンドアロン資産の追加

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

スタンドアロン資産1の設定

資産設定項目 資産設定情報
資産: 資産1(取得価額: 20,000; 事業供用日: 2000年第3四半期)
減価償却方法: 取得価額基準の定率法20%、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
償却カレンダ名: 四半期

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産Bの設定

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループB
メンバー資産: 資産3(取得価額: 50,000; 事業供用日: 2000年第1四半期)、資産4(取得価額: 30,000; 事業供用日: 2000年第1四半期)
減価償却方法: 定額法2年
償却カレンダ名: 四半期

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産組替

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産組替: グループBへの資産1の追加
実行期間: 2001年第1四半期
グループ償却開始日 2000年第4四半期
振替タイプ: 計算

次の表には、資産1の四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

メンバー資産1

カレンダ期間 取得価額 減価償却 償却累計額
2000年第1四半期- - -
2000年第2四半期- - -
2000年第3四半期20,000 1,000 1,000
2000年第4四半期20,000 1,000 2,000
2001年第1四半期20,000 <1,000> 0
2001年第3四半期20,000 - 0
2001年第4四半期20,000 - 0

次の表には、グループ資産Bの四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

グループ資産B

カレンダ期間 取得価額 減価償却 償却累計額
2000年第1四半期80,000 10,000 10,000
2000年第2四半期80,000 10,000 20,000
2000年第3四半期80,000 10,000 30,000
2000年第4四半期80,000 10,000 40,000
2001年第1四半期100,000 17,600 58,600
2001年第2四半期100,000 13,800 72,400
2001年第3四半期100,000 13,800 86,200
2001年第4四半期100,000 13,800 100,000

2001年第1四半期のグループ資産組替は、次のように計算されます。

資産1遡及減価償却費 = -20,000 * 20% / 4 = <1,000>

グループBに振り替えられた資産1償却累計額 = 2,000 - 1,000 = 1,000

グループB減価償却 = 定期減価償却 + 2000年第4四半期の遡及減価償却費 = [(100,000 - 30,000 - 1,000) / 5] + [(100,000 - 30,000 - 1,000) / 5 - 10,000] = 17,600

2001年第1四半期の仕訳は、次のように作成されます。

勘定科目摘要 借方 貸方
資産1償却累計額1,000  
資産1減価償却費  1,000
勘定科目摘要 借方 貸方
資産1償却累計額1,000  
グループB償却累計額  1,000
勘定科目摘要 借方 貸方
グループB減価償却費17,600  
グループB償却累計額  17,600

資産1とグループ資産Bの貸借一致セグメント値が異なっていて、会社間メンバー資産割当の許可を有効にした場合、2001年第1四半期の会社間貸借一致仕訳は、次のように作成されます。

勘定科目摘要 借方 貸方
会社01資産1償却累計額1,000  
会社01資産1減価償却費  1,000
勘定科目摘要 借方 貸方
会社01資産1償却累計額1,000  
会社02グループB償却累計額  1,000
勘定科目摘要 借方 貸方
会社02グループB減価償却費17,600  
会社02グループB償却累計額  17,600
勘定科目摘要 借方 貸方
会社02会社間売掛/未収金1,000  
会社01会社間買掛/未払金  1,000

グループ資産からのメンバー資産の振替

メンバー資産のグループ割当を削除(グループからメンバー資産を削除)する場合、グループの償却開始日は通常、メンバー資産の事業供用日にデフォルト設定されます。ただし、メンバー資産ですでにグループ資産組替が実行されている場合、グループの償却開始日は、最後のグループ資産組替の償却開始日にデフォルト設定されます。

メンバー資産に対するグループ資産組替取引は、最後のグループ資産組替の償却開始日または最後の除・売却日付より過去に溯って実行することはできません。

メンバー資産のグループ資産組替はすべて、メンバー資産とグループ資産に対する修正額償却として処理されます。スタンドアロン資産については、その資産が以前メンバー資産であり、グループ資産の一部である期間中に修正額償却が行われていた場合、費用処理済修正は実行できません。

例: 振替タイプ「計算」 - グループ資産からのメンバー資産の削除

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1(取得価額: 20,000; 事業供用日: 2000年第1四半期)、資産2(取得価額: 30,000; 事業供用日: 2000年第3四半期)
減価償却方法: 定額法2年
償却カレンダ名: 四半期

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

メンバー資産2の設定

資産設定項目 資産設定情報
資産: 資産2(取得価額: 20,000; 事業供用日: 2000年第3四半期)
減価償却方法: 定額法3年
償却カレンダ名: 四半期

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産組替

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産組替: グループBからの資産2の削除
実行期間: 2001年第1四半期
グループ償却開始日: 2000年第3四半期(資産2の事業供用日までに制限)
振替タイプ: 計算

次の表には、グループ資産Aの四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

グループ資産A

カレンダ期間 取得価額 減価償却 償却累計額
2000年第1四半期20,000 2,500 2,500
2000年第2四半期20,000 2,500 5,000
2000年第3四半期50,000 7,500 12,500
2000年第4四半期50,000 7,500 20,000
2001年第1四半期20,000 <7,500> 12,500
2001年第2四半期20,000 2,500 15,000
2001年第3四半期20,000 2,500 17,500
2001年第4四半期20,000 2,500 20,000

次の表には、資産2の四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

資産2

カレンダ期間 取得価額 減価償却 償却累計額
2000年第1四半期- - -
2000年第2四半期- - -
2000年第3四半期30,000 - 0
2000年第4四半期30,000 - 0
2001年第1四半期30,000 7,500 7,500
2001年第2四半期30,000 2,500 10,000
2001年第3四半期30,000 2,500 12,500
2001年第4四半期30,000 2,500 15,000

2001年第1四半期の減価償却は、次のように計算されます。

グループA減価償却 = 定期減価償却 + 2000年第1四半期の遡及減価償却費 = [(20,000 - 5,000) / 6] + [(20,000 - 5,000) / 6 * 2 - (7,500 + 7,500)] = <7,500>

資産2減価償却 = 30,000 / 12 * 3 = 7,500

2001年第1四半期の仕訳は、次のように作成されます。

勘定科目摘要 借方 貸方
グループA償却累計額7,500  
グループA減価償却費  7,500
勘定科目摘要 借方 貸方
資産2減価償却費7,500  
資産2償却累計額  7,500

計算 - 当期間グループ償却開始日

グループ償却開始日が当期間の場合、取引は、償却累計額の当期間振替となります。メンバー資産またはグループ資産に対してすでに計上されている減価償却額を修正する必要はありません。振替は、ソース・グループ資産から計算済の累計減価償却額を削除して、その金額を追加先グループ資産の償却累計額残高に追加することによって、当期間で処理されます。作成される仕訳は、次のとおりです。

ソース

勘定科目摘要 借方 貸方
グループ償却累計額<ソース・グループ減価償却>  
グループ減価償却費  <ソース・グループ減価償却>

追加先

勘定科目摘要 借方 貸方
グループ減価償却費<追加先グループ減価償却>  
グループ償却累計額  <追加先グループ減価償却>

例: 振替タイプ計算 - グループ間

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産Aの設定

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1(取得価額: 20,000; 事業供用日: 2000年第1四半期)、資産2(取得価額: 20,000; 事業供用日: 2000年第1四半期)
減価償却方法: 取得価額基準の定率法20%、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
償却カレンダ名: 四半期

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産Bの設定

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループB
メンバー資産: 資産3(取得価額: 50,000; 事業供用日: 2000年第1四半期)、資産4(取得価額: 30,000; 事業供用日: 2000年第1四半期)
減価償却方法: 定額法2年
償却カレンダ名: 四半期

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産組替

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産組替: グループAからグループBへの資産1の振替
実行期間: 2001年第1四半期
グループ償却開始日: 2001年第1四半期
振替タイプ: 計算

次の表には、グループ資産Aの四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

グループ資産A

カレンダ期間 取得価額 減価償却 償却累計額
2000年第1四半期40,000 2,000 2,000
2000年第2四半期40,000 2,000 4,000
2000年第3四半期40,000 2,000 6,000
2000年第4四半期40,000 2,000 8,000
2001年第1四半期20,000 1,000 5,000
2001年第2四半期20,000 1,000 6,000
2001年第3四半期20,000 1,000 7,000
2001年第4四半期20,000 1,000 8,000

次の表には、グループ資産Bの四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

グループ資産B

カレンダ期間 取得価額 減価償却 償却累計額
2000年第1四半期80,000 10,000 10,000
2000年第2四半期80,000 10,000 20,000
2000年第3四半期80,000 10,000 30,000
2000年第4四半期80,000 10,000 40,000
2001年第1四半期100,000 14,000 58,000
2001年第2四半期100,000 14,000 72,000
2001年第3四半期100,000 14,000 86,000
2001年第4四半期100,000 14,000 100,000

2001年第1四半期のグループ資産組替は、次のように計算されます。

振り替えられたメンバー資産1償却累計額 = (40,000 - 20,000) * 20% / 4 * 4 = 4,000

グループ資産A減価償却費 = 新規取得価額 * 年間減価償却率 / 年度内期間数 = (40,000 - 20,000) * 20% / 4 = 1,000

グループ資産B減価償却費 = (新規取得価額 - 再計算済償却累計額) / 残り耐用期間 = [(80,000 + 20,000) - 4,000 - 40,000] / 4 = 14,000

2001年第1四半期の仕訳は、次のように作成されます。

グループ資産組替:

勘定科目摘要 借方 貸方
グループA償却累計額4,000  
グループB減価償却費  4,000

定期減価償却

勘定科目摘要 借方 貸方
グループA減価償却費1,000  
グループA償却累計額  1,000
グループB減価償却費14,000  
グループB償却累計額  14,000

振替タイプ - 入力

「入力」の振替タイプを使用する場合は、振り替える累計減価償却額を手動で入力する必要があります。振替の累計減価償却額は、「資産台帳」フォームの「グループ資産」タブ・リージョンにある「償却累計額」フィールドで入力できます。

振替タイプが「入力」の場合は、必要に応じて、ソース前年度償却累計額と追加先前年度償却累計額を入力できます。これらの前年度償却累計額は、純帳簿価額を計算基準として使用する減価償却方法の場合に、減価償却費の計算に使用されます。ただし、減価償却方法が取得価額基準の場合は、減価償却計算に影響を与えません。

「入力」タイプの振替に含まれるのは累計減価償却額のみであり、この振替は常に、当期間の振替として処理されます。メンバー資産またはグループ資産に対してすでに計上されている減価償却費に対する修正は行われません。入力した累計減価償却額が振り替えられるのみです。

たとえば、当期間の振替は、手動で入力した累計減価償却額がソース・グループ資産から削除され、追加先グループ資産に追加されたときに処理されます。結果の仕訳は、次のようになります。

勘定科目摘要 借方 貸方
ソース・グループ償却累計額<入力振替金額>  
追加先グループ償却累計額  <入力振替金額>

入力償却累計額に関する検証/制限

A. 例: 振替タイプ「入力」 - グループ間

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産Aの設定

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1(取得価額: 20,000; 事業供用日: 2000年第1四半期)、資産2(取得価額: 20,000; 事業供用日: 2000年第1四半期)
減価償却方法: 取得価額基準の定率法20%、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
償却カレンダ名: 四半期

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産Bの設定

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループB
メンバー資産: 資産3(取得価額: 50,000; 事業供用日: 2000年第1四半期)、資産4(取得価額: 30,000; 事業供用日: 2000年第1四半期)
減価償却方法: 取得価額基準の定率法50%、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
償却カレンダ名: 四半期

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産組替

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産組替: グループAからグループBへの資産1の振替
実行期間: 2001年第1四半期
振替タイプ: 入力
償却累計額: 2,000

次の表には、グループ資産Aの四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

グループ資産A

カレンダ期間 取得価額 減価償却 償却累計額
2000年第1四半期40,000 2,000 2,000
2000年第2四半期40,000 2,000 4,000
2000年第3四半期40,000 2,000 6,000
2000年第4四半期40,000 2,000 8,000
2001年第1四半期20,000 1,000 7,000
2001年第2四半期20,000 1,000 8,000
2001年第3四半期20,000 1,000 9,000
2001年第4四半期20,000 1,000 10,000

次の表には、グループ資産Bの四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

グループ資産B

カレンダ期間 取得価額 減価償却 償却累計額
2000年第1四半期80,000 10,000 10,000
2000年第2四半期80,000 10,000 20,000
2000年第3四半期80,000 10,000 30,000
2000年第4四半期80,000 10,000 40,000
2001年第1四半期100,000 12,500 54,500
2001年第2四半期100,000 12,500 67,000
2001年第3四半期100,000 12,500 79,500
2001年第4四半期100,000 12,500 92,000

2001年第1四半期の減価償却は、次のように計算されます。

グループA = (40,000 - 20,000) x 20% / 4 = 1,000

グループB = (80,000 + 20,000) * 50% / 4 = 12,500

2001年第1四半期の仕訳は、次のように作成されます。

グループ資産組替:

勘定科目摘要 借方 貸方
グループA償却累計額2,000  
グループB償却累計額  2,000

定期減価償却

勘定科目摘要 借方 貸方
グループA減価償却費1,000  
グループA償却累計額  1,000
勘定科目摘要 借方 貸方
グループB減価償却費12,500  
グループB償却累計額  12,500

B. 例: 振替タイプ「入力」 - グループ資産からのメンバー資産の削除

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産Aの設定

資産設定項目 資産設定情報
資産: グループA
メンバー資産: 資産1(取得価額: 20,000; 事業供用日: 2000年第1四半期)、資産2(取得価額: 40,000; 事業供用日: 2000年第1四半期)
減価償却方法: 定額法2年
償却カレンダ名: 四半期

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産2の設定

資産設定項目 資産設定情報
資産: 資産2
減価償却方法: 定額法2年
償却カレンダ名: 四半期

グループ資産組替

注意: メンバー資産のグループ資産組替はすべて、メンバー資産およびグループ資産に対する修正額償却として処理されます。スタンドアロン資産に対しては、その資産が以前メンバー資産であり、グループ資産の一部である期間中に修正額償却が行われた場合、費用処理済修正は実行できません。

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産組替

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産組替: グループAからグループBへの資産2の振替
実行期間: 2001年第1四半期
グループ償却開始日: 2001年第1四半期
振替タイプ: 入力
償却累計額: 15,000(この金額の限度額は、資産2償却対象額 = 40,000です)。

次の表には、グループ資産Aの四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

グループ資産A

カレンダ期間 取得価額 減価償却 償却累計額
2000年第1四半期60,000 7,500 7,500
2000年第2四半期60,000 7,500 15,000
2000年第3四半期60,000 7,500 22,500
2000年第4四半期60,000 7,500 30,000
2001年第1四半期20,000 1,250 16,250
2001年第2四半期20,000 1,250 17,500
2001年第3四半期20,000 1,250 18,750
2001年第4四半期20,000 1,250 20,000

次の表には、メンバー資産2の四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

メンバー資産2

カレンダ期間 取得価額 減価償却 償却累計額
2000年第1四半期40,000 - -
2000年第2四半期40,000 - -
2000年第3四半期40,000 - 0
2000年第4四半期40,000 - 0
2001年第1四半期40,000 6,250 21,250
2001年第2四半期40,000 6,250 27,500
2001年第3四半期40,000 6,250 33,750
2001年第4四半期40,000 6,250 40,000

2001年第1四半期の減価償却は、次のように計算されます。

グループ資産A = (新規取得価額 - 再計算済償却累計額) / 残り耐用期間 = (60,000 - 40,000 - 30,000 + 15,000) / 4 = 1,250

メンバー資産2 = (40,000 - 15,000) / 4 = 6,250

2001年第1四半期の仕訳は、次のように作成されます。

グループ資産組替:

勘定科目摘要 借方 貸方
グループA償却累計額15,000  
資産2償却累計額  15,000

定期減価償却

勘定科目摘要 借方 貸方
グループA減価償却費1,250  
グループA償却累計額  1,250
資産2減価償却費6,250  
資産2償却累計額  6,250

取引: 除・売却

除・売却ルールを使用して、メンバー資産除・売却の損益の計算方法を管理します。除・売却ルールはグループ資産に対して設定され、グループ資産に割り当てられているすべてのメンバー資産に適用されます。グループ資産の除・売却ルールは、そのグループ資産にメンバー資産が割り当てられた後は変更できません。

除・売却取引は、メンバー資産レベルでのみ実行されます。メンバー資産を除・売却するとき、メンバー資産はグループ資産の除・売却ルールを継承します。次の2つのグループ資産除・売却ルール・タイプがあります。

当期間でのみメンバー資産を除・売却でき、前期間の除・売却は実行できません。メンバー資産の除・売却は、入力された除・売却日に基づきます。また、除・売却按分基準日は当期間内であることが必要です。

損益を認識しない

「損益を認識しない」オプションを使用してメンバー資産を除・売却した場合、損益は除・売却時に認識されません。このタイプの除・売却処理は、メンバー資産にのみ使用可能で、個別資産の除・売却には使用できません。

メンバー資産の除・売却の場合、除・売却資産の売却価額はグループ償却累計額に追加され、撤去費用はグループ資産償却累計額残高から差し引かれます。メンバー資産の除・売却済取得価額は、グループ償却累計額残高から減算されます。また、メンバー資産の取得価額が除・売却されて、グループ資産取得価額から差し引かれ、損益は認識されません。

「損益を認識しない」除・売却ルールを使用してメンバー資産の除・売却を完了した場合は、次の手順が自動的に実行されて除・売却が完了します。

  1. 除・売却の結果、次のシステム生成仕訳が作成されます。

    勘定科目摘要 借方 貸方
    資産台帳レベルの売却価額(売上代金)XX  
    グループ償却累計額(売上代金)  XX
    グループ償却累計額(除・売却資産取得価額)XX  
    メンバー資産取得価額(除・売却資産取得価額)  XX
    グループ償却累計額(撤去費用)XX  
    資産台帳レベルの撤去費用(撤去費用)  XX
  2. 損益は認識されません。

  3. メンバー資産合計を使用するオプションが選択されている場合、除・売却メンバー資産の残存価額が、グループ資産残存価額から減算されます。このオプションが選択されていない場合、グループ資産の残存価額は、新規グループ資産取得価額とグループ残存価額率を使用して再計算されます。

当期間の除・売却: 認識しない

メンバー資産を除・売却する場合、損益の認識処理は、グループ資産の除・売却ルールの設定からデフォルト設定されます。

例: 損益を認識しない

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1(取得価額 = 10,000; 事業供用日 = 会計年度2000年)、資産2(取得価額 = 20,000; 事業供用日 = 会計年度2000年)
減価償却方法: 純帳簿価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 取引期間基準
減価償却率: 20%
減価償却カレンダ: 年次
除・売却の設定: 損益の認識 = 認識しない、超過償却累計額の回収 = No、取得価額に対する売上代金の限度 = No、最終損益 = 即時認識

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産1の除・売却

グループAの資産1の当期間における除・売却

資産設定項目 資産設定情報
除・売却日: 会計年度2002年の資産1の除・売却
除・売却取得価額: 10,000
売却価額: 6,000
撤去費用: 1,000

次の表には、グループ資産とメンバー資産の四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

  会計年度2000年 会計年度2001年 会計年度2002年 会計年度2003年
資産110,000 10,000 - -
資産220,00020,00020,00020,000
グループA取得価額30,000 30,000 20,000 20,000
グループA減価償却6,000 4,800 2,840 2,272
グループA償却累計額6,000 10,000 8,640 10,912
グループA純帳簿価額24,000 19,200 11,360 9,088

会計年度2002年減価償却純帳簿価額基準 = 償却対象額 - 減価償却前の償却累計額 = 20,000 - (10,800 + 6,000 - 10,000 - 1,000) = 14,200

会計年度2002年減価償却 = 14,200 * 20% = 2,840

会計年度2002年償却累計額 = 会計年度2001年償却累計額 + 売上代金 - 除・売却取得価額 - 撤去費用 + 会計年度2002年減価償却

= 10,800 + 6,000 - 10,000 - 1,000 + 2,840 = 8,640

次の除・売却仕訳が作成されます。

勘定科目摘要 借方 貸方
売却価額6,000  
グループ償却累計額  6,000
グループ償却累計額10,000  
資産1取得価額  10,000
グループ償却累計額1,000  
撤去費用  1,000

会社間取引

除・売却メンバー資産の貸借一致セグメント値がグループ資産の貸借一致セグメント値と異なる場合は、General Ledgerに転記される仕訳バッチの貸借一致のために、セグメント値の貸借を一致させる仕訳が作成されます。作成される仕訳は、次のとおりです。

勘定科目摘要 借方 貸方
会社01売却価額6,000  
会社01グループ償却累計額  6,000
勘定科目摘要 借方 貸方
会社01グループ償却累計額10,000  
会社02資産1取得価額  10,000
勘定科目摘要 借方 貸方
会社01グループ償却累計額1,000  
会社01撤去費用  1,000
勘定科目摘要 借方 貸方
会社02会社間売掛/未収金10,000  
会社01会社間買掛/未払金  10,000

取得価額に対する純売上代金の限度

グループ資産の「除・売却」タブ・リージョンで「取得価額に対する純売上代金の限度」オプションを選択した場合、全メンバー資産にグループ資産の除・売却ルールが適用されます。「取得価額に対する純売上代金の限度」オプションは、「損益の認識」の値が「認識しない」の場合のみ使用できます。

「取得価額に対する純売上代金の限度」オプションが選択されている場合、メンバー資産の純売上代金は、除・売却メンバーの償却対象額に制限されます。処理からの純売上代金(売却価額 - 撤去費用)は、グループ資産の償却累計額残高が除・売却メンバー資産の償却対象額と等しくなるまで償却累計額残高に追加されます。残りの金額は差益として認識されます。差益は、純帳簿価額除・売却差益勘定科目に転記されます。

例: 取得価額に対する純売上代金の限度: 損益を認識しない

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1(取得価額 = 10,000; 事業供用日 = 会計年度2000年)、資産2(取得価額 = 20,000; 事業供用日 = 会計年度2000年)
減価償却方法: 取得価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
減価償却率: 20%
減価償却カレンダ: 年次
除・売却の設定: 損益の認識 = 認識しない、超過償却累計額の回収 = No、取得価額に対する売上代金の限度 = Yes、最終損益 = 即時認識

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産1の除・売却

資産設定項目 資産設定情報
除・売却日: 会計年度2002年の資産1の除・売却
除・売却取得価額: 10,000
損益認識: 認識しない
売却価額: 30,000
撤去費用: 5,000

次の表には、グループ資産とメンバー資産の四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

  会計年度2000年 会計年度2001年 会計年度2002年 会計年度2003年
資産110,000 10,000 - -
資産220,00020,00020,00020,000
グループA取得価額30,000 30,000 20,000 20,000
グループA減価償却6,000 6,000 4,000 4,000
グループA償却累計額6,000 12,000 16,000 20,000
 

会計年度2002年減価償却 = 20,000 * 20% = 4,000

会計年度2002年償却累計額 = 12,000 - 10,000 +10,000 + 4,000 = 16,000

次の除・売却仕訳が作成されます。

勘定科目摘要 借方 貸方
売却価額30,000  
撤去費用  5,000
グループ償却累計額  10,000
純帳簿価額除・売却差益  15,000
グループ償却累計額10,000  
資産1取得価額  10,000

超過償却累計額の回収

グループ資産の「除・売却」タブ・リージョンで「超過償却累計額の回収」オプションが選択されている場合、全メンバー資産に、グループ資産に対して選択された除・売却ルールが適用されます。「超過償却累計額の回収」オプションを使用すると、その償却対象額を超えるグループ資産償却累計額の超過は、回収および差益として認識される必要があることを示すことができます。

「超過償却累計額の回収」オプションが選択されている場合、除・売却の売上代金は、グループ資産の償却対象額(取得価額 - 残存価額)と等しくなるまでグループの償却累計額残高に追加され、残りの金額は差益として認識されます。差益は、「資産台帳管理」ウィンドウで指定された純帳簿価額除・売却差益勘定科目に転記されます。

注意: 「超過償却累計額の回収」オプションは、「超過償却費計上」フィールドが「許可しない」に設定されている場合のみ使用できます。

例: 超過償却累計額の回収: 損益を認識しない

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1(取得価額 = 10,000; 事業供用日 = 会計年度2000年)、資産2(取得価額 = 20,000; 事業供用日 = 会計年度2000年)
減価償却方法: 取得価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
減価償却率: 20%
減価償却カレンダ: 年次
除・売却の設定: 損益の認識 = 認識しない、超過償却累計額の回収 = Yes、取得価額に対する売上代金の限度 = No、最終損益 = 即時認識

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産1の除・売却

資産設定項目 資産設定情報
除・売却日: 会計年度2002年の資産1の除・売却
除・売却取得価額: 10,000
損益認識: 認識しない
売却価額: 30,000
撤去費用: 5,000

次の表には、グループ資産とメンバー資産の四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

  会計年度2000年 会計年度2001年 会計年度2002年
資産110,000 10,000 -
資産220,000 20,000 20,000
グループA取得価額30,000 30,000 20,000
グループA減価償却6,000 6,000 0
グループA償却累計額6,000 12,000 20,000

回収前の会計年度2002年グループA償却累計額 = 12,000 + 30,000 - 10,000 - 5,000 = 27,000

回収前の会計年度2002年グループA純帳簿価額 = グループ取得価額 - グループ償却累計額 = 20,000 - 27,000 = <7,000>

回収 = 7,000

回収後のグループA償却累計額 = <7,000> + 7,000 = 0

勘定科目摘要 借方 貸方
売却価額30,000  
グループ償却累計額  30,000
グループ償却累計額10,000  
資産取得価額1  10,000
グループ償却累計額5,000  
撤去費用  5,000

除・売却に対する仕訳は次のように作成されます。

勘定科目摘要 借方 貸方
グループ償却累計額7,000  
純帳簿価額除・売却差益  7,000

「損益の認識」に「除・売却時に即時」を使用

「損益の認識」に「除・売却時に即時」オプションを使用する場合、損益は、メンバー資産の除・売却時に認識され、除・売却メンバー資産の取得価額と償却累計額は、グループ資産から削除されます。除・売却メンバー資産の償却累計額は、認識される損益を計算するために判別される必要があります。次に、メンバー資産除・売却の差益または差損の即時認識に関係する主な手順を示します。

  1. 差損を認識するために、次の仕訳が作成されます。

    勘定科目摘要 借方 貸方
    売却価額(売却価額) 
    グループ償却累計額(除・売却資産償却累計額) 
    純帳簿価額除・売却差損(損) 
    資産取得価額  (除・売却資産取得価額)
    撤去費用  (撤去費用)
  2. 差益を認識するために、次の仕訳が作成されます。

    勘定科目摘要 借方 貸方
    売却価額(売却価額) 
    グループ償却累計額(除・売却資産償却累計額) 
    資産取得価額  (除・売却資産取得価額)
    撤去費用  (撤去費用)
    純帳簿価額除・売却差損  (益)
  3. 除・売却メンバー資産の取得価額、残存価額および償却累計額が、グループ資産から削除されます。

  4. メンバー資産の除・売却時に損益が認識されます。

  5. 除・売却メンバー資産の償却累計額は、次のように計算されます。

    除・売却メンバー資産償却累計額 = メンバー資産取得価額 /(グループ資産取得価額 * グループ資産償却累計額)

  6. 必要に応じて、資産の「除・売却」ウィンドウを使用して、除・売却メンバー資産に対する除・売却償却累計額を入力できます。除・売却償却累計額フィールドは、「損益を即座に認識」オプションが選択されている場合のみ使用可能です。入力する累計減価償却額は、除・売却メンバー資産の損益の計算に使用されます。

    除・売却累計減価償却額は、0(ゼロ)から次のいずれか少ない方の金額までに制限されます。

    ただし、メンバー資産追跡が有効化されている場合、金額は、0(ゼロ)からメンバー資産の償却累計額までの値に制限されます。

当期間除・売却: 除・売却時に損益を即時に認識

例: 除・売却時に損益を即時に認識: グループAの資産1の除・売却

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1(取得価額 = 10,000; 事業供用日 = 会計年度2000年)、資産2(取得価額 = 20,000; 事業供用日 = 会計年度2000年)
減価償却方法: 純帳簿価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 取引期間基準の使用
減価償却率: 20%
減価償却カレンダ: 年次
除・売却の設定: 損益の認識 = 除・売却時に即時、超過償却累計額の回収 = No、取得価額に対する売上代金の限度 = No、最終損益 = 即時認識

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産1の除・売却

資産設定項目 資産設定情報
除・売却日: 会計年度2002年の資産1の除・売却
除・売却取得価額: 10,000
売却価額: 6,000
撤去費用: 1,000
除・売却償却累計額: NULL

次の表には、グループ資産とメンバー資産の四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

  会計年度2000年 会計年度2001年 会計年度2002年 会計年度2003年
資産110,000 10,000 - -
資産220,00020,00020,00020,000
グループA取得価額30,000 30,000 20,000 20,000
グループA減価償却6,000 4,800 2,560 3,072
グループA償却累計額6,000 10,800 9,760 7,712
グループA純帳簿価額24,000 19,200 10,240 12,288

会計年度2001年の資産1償却累計額 = 10,000 / 30,000 * 10,800 = 3,600

会計年度2002年のグループAは、次のように計算されます。

会計年度2002年減価償却基準 = 20,000 - (10,800 - 3,600) = 12,800

減価償却 = 12,800 * 20% = 2,560

償却累計額 = 会計年度2001年償却累計額 - 資産1償却累計額 + 会計年度2002年減価償却 = 10,800 - 3,600 + 2,560 = 9,760

除・売却資産1の仕訳は、次のように作成されます。

勘定科目摘要 借方 貸方
売却価額6,000  
グループA償却累計額3,600  
純帳簿価額除・売却差損1,400  
資産1取得価額  10,000
撤去費用  1,000

会社間取引

除・売却メンバー資産の貸借一致セグメント値がグループ資産の貸借一致セグメント値と異なる場合は、General Ledgerに転記される仕訳バッチの貸借一致のために、セグメント値の貸借を一致させる仕訳が作成されます。作成される仕訳は、次のとおりです。

勘定科目摘要 借方 貸方
会社01売却価額6,000  
会社01グループA償却累計額3,600  
会社01純帳簿価額除・売却差損1,400  
会社02資産 1取得価額  10,000
会社01撤去費用  1,000
会社02会社間売掛/未収金10,000  
会社01会社間買掛/未払金  10,000

除・売却償却累計額の入力

必要に応じて、除・売却メンバー資産に対する除・売却累計減価償却額を入力できます。このオプションは常に、当期間の除・売却として処理されます。除・売却償却累計額フィールドは、「損益を即座に認識」オプションが選択されている場合のみ使用可能です。

入力する累計減価償却額は、除・売却メンバー資産の損益の計算に使用されます。入力する除・売却償却累計額は、0(ゼロ)から除・売却メンバー資産の修正済取得価額までの範囲の値に制限されます。

例: 除・売却時に損益を即時に認識: 除・売却償却累計額の入力

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1(取得価額 = 10,000; 事業供用日 = 会計年度2000年)、資産2(取得価額 = 20,000; 事業供用日 = 会計年度2000年)
減価償却方法: 純帳簿価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 取引期間基準の使用
減価償却率: 20%
減価償却カレンダ: 年次
除・売却の設定: 損益の認識 = 除・売却時に即時、超過償却累計額の回収 = No、取得価額に対する売上代金の限度 = No、最終損益 = 即時認識

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産1の除・売却

資産設定項目 資産設定情報
除・売却日: 会計年度2002年の資産1の除・売却
除・売却取得価額: 10,000
売却価額: 6,000
撤去費用: 1,000
除・売却償却累計額: 8,000

次の表には、グループ資産とメンバー資産の四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

  会計年度2000年 会計年度2001年 会計年度2002年 会計年度2003年
資産110,000 10,000 - -
資産220,00020,00020,00020,000
グループA取得価額30,000 30,000 20,000 20,000
グループA減価償却6,000 4,800 3,440 3,072
グループA償却累計額6,000 10,800 6,240 7,712
グループA純帳簿価額24,000 19,200 13,760 12,288

会計年度2002年:

会計年度2002年のグループA減価償却基準 = 20,000 - (10,800 - 8,000) = 17,200

減価償却 = 17,200 * 20% = 3,440

償却累計額 = 会計年度2001年償却累計額 - 資産1の入力償却累計額 + 会計年度2002年減価償却 = 10,800 - 8,000 + 3,440 = 6,240

除・売却資産1の仕訳は、次のように作成されます。

勘定科目摘要 借方 貸方
売却価額6,000  
グループA償却累計額8,000  
資産取得価額1  10,000
撤去費用  1,000
純帳簿価額除・売却差益  3,000

最終損益: グループ資産の最終資産の除・売却

除・売却または振替対象のメンバー資産が、グループ資産内の最終メンバー資産であり、そのグループ資産に他の資産が追加されない場合は、グループ資産の残りの償却累計額残高が最終損益として処理されます。最終損益は、グループ資産内の最終メンバー資産が除・売却された後、グループ資産の取得価額が0(ゼロ)になる場合にのみ認識されます。最終損益の認識オプションは、グループ資産の「除・売却」タブ・リージョンで設定されます。

最終損益の認識に使用できる方法は、次の3通りあります。

  1. 即時認識

  2. 会計年度の終わりまで認識を遅延

  3. 認識しない

最終損益: 即時認識

「即時認識」方法が使用される場合、最終損益は、発生期間内に即時に認識されます。グループ資産の純帳簿価額は、最終損益の認識時に0(ゼロ)になります。

例: 最終損益: 即時認識

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループの設定

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1
減価償却方法: 取得価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
減価償却率: 10%
償却カレンダ名: 四半期
除・売却の設定: 損益の認識 = 認識しない、超過償却累計額の回収 = No、取得価額に対する売上代金の限度 = No、最終損益 = 即時認識

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産1の除・売却

資産設定項目 資産設定情報
除・売却日: 01年第2四半期の資産2の除・売却
除・売却取得価額: 10,000
損益認識: 認識しない
最終損益: 即時認識
売却価額: 8,000
撤去費用: 5,000

最終損失認識後の償却累計額

次の表には、グループ資産とメンバー資産の四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

  00年第4四半期 01年第1四半期 01年第2四半期 01年第3四半期 01年第4四半期
資産1 10,000 10,000 0 - -
グループA取得価額10,000 10,000 0 0 0
グループ減価償却250 250 0 0 0
グループ償却累計額6,000 6,250 0 0 0

最終損益前のグループ償却累計額 = 6,250 + 8,000 - 10,000 - 5,000 = <750>

最終損失 = 750

01年第2四半期に次の仕訳が作成されます。

除・売却

勘定科目摘要 借方 貸方
売却価額8,000  
グループ償却累計額  8,000
グループ償却累計額10,000  
資産取得価額1  10,000
グループ償却累計額5,000  
撤去費用  5,000

最終損失

勘定科目摘要 借方 貸方
純帳簿価額除・売却差益750  
グループ償却累計額  750

最終損益: 会計年度の終わりまで認識を遅延

「会計年度の終わりまで認識を遅延」オプションを選択した場合、最終損益は、現行会計年度の最終期間に認識されます。最終損益の金額は、認識されるまで保留ステータスで格納されます。現行会計年度の終わりまでに、グループ資産がメンバー資産に追加され、グループ資産の取得価額が0(ゼロ)以外になると、最終損益は有効ではなくなり、認識されません。

例: 最終損益: 会計年度の終わりまで認識を遅延

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1
減価償却方法: 取得価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
減価償却率: 10%
償却カレンダ名: 四半期
除・売却の設定: 損益の認識 = 認識しない、超過償却累計額の回収 = No、取得価額に対する売上代金の限度 = No、最終損益 = 会計年度の終わりまで認識を遅延

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産1の除・売却

資産設定項目 資産設定情報
除・売却日: 01年第2四半期の資産1の除・売却
除・売却取得価額: 10,000
損益認識: 認識しない
最終損益: 会計年度の終わりまで認識を遅延
売却価額: 18,000
撤去費用: 5,000

次の表には、グループ資産とメンバー資産の四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

  00年第4四半期 01年第1四半期 01年第2四半期 01年第3四半期 01年第4四半期
資産1 10,000 10,000 0 - -
グループA取得価額10,000 10,000 0 0 0
グループ減価償却250 250 0 0 0
グループ償却累計額6,000 6,250 9,250 9,250 -
 

最終損益前のグループ償却累計額 = 6,250 + 18,000 - 10,000 - 5,000 = 9,250

最終利益 = 9,250

次の仕訳が作成されます。

01年第2四半期の除・売却

勘定科目摘要 借方 貸方
売却価額18,000  
グループ償却累計額  18,000
グループ償却累計額10,000  
資産取得価額1  10,000
グループ償却累計額5,000  
撤去費用  5,000

01年第4四半期の最終利益

勘定科目摘要 借方 貸方
純帳簿価額除・売却差益9,250  
グループ償却累計額  9,250

最終損益: 認識しない

この方法では、最終損益は認識されず、償却累計額残高は、グループ資産に残ります。

例: 最終損益: 認識しない

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1
減価償却方法: 取得価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 償却対象額の使用
減価償却率: 10%
償却カレンダ名: 四半期
除・売却の設定: 損益の認識 = 認識しない、超過償却累計額の回収 = No、取得価額に対する売上代金の限度 = No、最終損益 = 認識しない

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産1の除・売却

資産設定項目 資産設定情報
除・売却日: 01年第2四半期の資産1の除・売却
除・売却取得価額: 10,000
損益認識: 認識しない
最終損益: 認識しない
売却価額: 18,000
撤去費用: 5,000

次の表には、グループ資産とメンバー資産の四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

  00年第4四半期 01年第1四半期 01年第2四半期 01年第3四半期 01年第4四半期
資産1 10,000 10,000 0 - -
グループA取得価額10,000 10,000 0 0 0
グループ減価償却250 250 0 0 0
グループ償却累計額6,000 6,250 9,250 9,250 9,250

最終損益前のグループ償却累計額 = 6,250 + 18,000 - 10,000 - 5,000 = 9,250

最終利益 = 9,250

01年第2四半期に次の仕訳が作成されます。

除・売却

勘定科目摘要 借方 貸方
売却価額18,000  
グループ償却累計額  18,000
グループ償却累計額10,000  
資産取得価額1  10,000
グループ償却累計額5,000  
撤去費用  5,000

メンバー資産追跡

メンバー資産追跡機能を使用すると、グループ資産およびメンバー資産に対する減価償却の計算および配賦方法を定義できます。グループ資産をOracle Assetsに追加するときに、メンバー資産追跡に関するオプションを定義できます。

メンバー資産の減価償却費を導出する方法は、次の2通りあります。

  1. 計算されたグループ資産減価償却が、全メンバー資産の減価償却基準合計に対する各メンバー資産の減価償却基準の比率に基づいて、各メンバー資産に配賦されます。

  2. 減価償却は、グループ資産またはメンバー資産のいずれかの減価償却方法を使用してメンバー資産ごとに計算されます。

    メンバー資産追跡を使用すると、メンバー資産の金額を追跡および格納でき、レポートに使用できます。

    注意: 仕訳は、グループ資産レベルの金額のみを使用して作成されます。

    減価償却費の配賦に加えて、メンバー資産追跡機能では、財務上の他の金額がメンバー資産に配賦されます。これらの取引配賦の2つの例を次に示します。

メンバー資産の減価償却の追跡

グループの償却累計額残高に加えて、メンバー資産の償却累計額残高が格納および追跡されます。

メンバー資産に使用できる追跡方法は、2通りあります。2つの方法について次に説明します。

  1. 減価償却はグループ・レベルでのみ計算され、その金額が各メンバー資産の減価償却基準に比例してメンバー資産間に配賦されます。

  2. メンバー資産金額の計算: 減価償却は、グループ資産またはメンバー資産のいずれかの減価償却方法を使用してメンバー資産ごとに計算されます。必要に応じて、メンバー資産減価償却の合計が集計され、グループ資産の減価償却として使用されます。メンバー資産の減価償却が合計されず、グループ資産の減価償却として使用されない場合、グループ資産の減価償却は、グループ資産の減価償却方法のみを使用して計算されます。

メンバー資産追跡ルールの設定によって、Oracle Assetsでは、計算済グループ減価償却費をそのメンバー資産に配賦するか、またはメンバー資産の減価償却費を個別に計算できます。計算された減価償却は、メンバー資産レベルとグループ資産レベルの両方で格納および追跡できます。グループ資産減価償却額のみ、General Ledgerに転記されます。ただし、追跡方法が「メンバー資産金額の計算」で、「グループに対するメンバー資産減価償却合計」オプションが選択されている場合、減価償却額はメンバー資産から転記されます。

メンバー資産追跡の設定

メンバー資産追跡を使用可能にするには、グループ資産の追加時に、資産ワークベンチの「メンバー資産」タブ・リージョンで追跡方法を選択する必要があります。

メンバー・レベルの減価償却額を追跡する必要がある場合は、追跡方法オプションとして「グループ金額の配賦」または「メンバー資産金額の計算」のいずれかを選択する必要があります。これらのいずれのオプションも選択しない場合、メンバー資産追跡は使用できません。

注意: グループ資産の追跡方法オプションは、最初のメンバー資産の割当後は変更できません。

追跡方法: グループ金額の配賦

追跡方法が「グループ金額の配賦」の場合は、「除・売却済および償却済資産への配賦」オプションを選択できます。

「除・売却済および償却済資産への配賦」オプションを選択しない場合、グループ資産の減価償却額は、除・売却済および償却済のメンバー資産には配賦されません。次に、配賦された金額の追加後に、そのメンバー資産が償却済になるかどうかが判別されます。配賦された金額によってメンバー資産が償却済になる場合、超過金額は、グループ資産の減価償却額から減額されるか、または他のメンバー資産に再配賦されます。他のメンバー資産への超過金額の再配賦は、次のオプションで管理されます。

メンバー資産へのグループ減価償却計算の配賦

メンバー資産へのグループ金額の配賦には、次の算式が使用されます。

配賦金額 = グループ減価償却 * 全メンバー資産の減価償却基準 / グループ資産の減価償却基準

例: 配賦ロジック

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産情報

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1、資産2、資産3

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
減価償却方法: 純帳簿価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 取引期間基準の使用
減価償却率: 20%
グループ事業供用日/按分基準日: 2000年1月1日
償却カレンダ名: 四半期

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

メンバー資産追跡の設定

資産設定項目 資産設定情報
追跡方法: グループ金額の配賦
除・売却済および償却済資産への配賦: No
超過分の削減: Yes

次の表には、グループ資産とメンバー資産の四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

資産 資産取得価額 償却累計額 純帳簿価額減価償却基準
グループ資産35,000 7,000 28,000 20%
資産120,000 4,000 16,000 -
資産210,000 2,000 8,000 -
資産35,000 1,000 4,000 -
 

グループ資産は、次にリストされている3つのメンバー資産で構成されています。カレンダは四半期です。

グループ減価償却(減価償却エンジンで計算)

グループ減価償却 = 28,000 * 20% * 1/4 = 1,400

  1. メンバー資産の減価償却基準を計算します。

    グループ減価償却基準 = 28,000

    資産1 = 16,000

    資産2 = 8,000

    資産3 = 4,000

  2. 金額を配賦します。

    資産1メンバー資産 = 1,400 * 16,000 / 28,000 = 800

    資産2メンバー資産 = 1,400 * 8,000 / 28,000 = 400

    資産3メンバー資産 = 1,400 - (800 + 400) = 200

次の表には、グループ減価償却の計算およびメンバー資産への配賦後の、グループ資産とメンバー資産の取得価額と計算済金額がリストされています。

資産 資産取得価額 償却累計額 純帳簿価額減価償却基準
グループ資産35,000 8,400 28,000 20%
資産120,000 4,800 16,000 -
資産210,000 2,400 8,000 -
資産35,000 1,200 4,000 -

追跡方法: メンバー資産金額の計算

「メンバー資産金額の計算」追跡方法を使用する場合、減価償却は、グループ資産またはメンバー資産のいずれかの減価償却方法を使用してメンバー資産ごとに計算されます。メンバーの減価償却の合計は、グループ資産の減価償却と等しくない場合があります。ただし、グループ資産の減価償却をメンバーの減価償却の合計で置き換えることを選択できます。

グループまたはメンバーの方法を使用した償却

メンバー資産の減価償却の計算に、グループ資産の減価償却方法を使用するか、メンバー資産の減価償却方法を使用するかを選択できます。

「グループに対するメンバー資産減価償却合計」オプション

例: メンバー資産金額の計算

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

資産情報

資産設定項目 資産設定情報
グループ資産: グループA
メンバー資産: 資産1、資産2、資産3

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

グループ資産A設定

資産設定項目 資産設定情報
減価償却方法: 純帳簿価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 取引期間基準の使用
減価償却率: 20%
グループ事業供用日/按分基準日: 2000年1月1日
償却カレンダ名: 四半期

次の表に、この例で使用する資産設定情報を示します。

メンバー資産追跡の設定

資産設定項目 資産設定情報
追跡方法: メンバー資産金額の計算
減価償却方法全メンバー: 純帳簿価額基準の定率法、減価償却基準ルール: 取引期間基準の使用
減価償却率: 資産1 20%、資産2 30%、資産3 15%
減価償却方法: メンバー資産
グループに対するメンバー資産減価償却合計: No

次の表には、グループ資産とメンバー資産の四半期取得価額と計算済金額がリストされています。

資産 資産取得価額 減価償却基準 償却累計額
グループ資産35,000 28,000 7,000 20%
資産120,000 18,000 2,000 10%
資産210,000 7,000 3,000 30%
資産25,000 4,250 750 15%

グループ減価償却額 = 28,000 * 20% * 1/4 = 1,400

この追跡方法を使用する場合、グループ減価償却額は、グループ資産の減価償却方法を使用して計算されます。各メンバー資産の減価償却額は、各メンバー資産の減価償却方法を使用して個別に計算されます。

  1. メンバー資産の減価償却額を計算します。

    資産1: 減価償却 = 18,000 * 10% * 1/4 = 450

    資産2; 減価償却 = 7,000 * 30% * 1/4 = 525

    資産3; 減価償却 = 4,250 * 15% * 1/4 = 159

次の表には、グループ資産とメンバー資産の取得価額、計算済金額および配賦金額がリストされています。

資産 資産取得価額 減価償却費 償却累計額
グループ資産35,000 1,400 8,400 20%
資産120,000 450 2,450 10%
資産210,000 525 3,525 30%
資産25,000 159 909 15%

グループ減価償却可能レポート

次のRXi対応のレポートでは、グループ減価償却レポートがサポートされています。グループ減価償却を使用している場合は、これらのレポートを使用して報告要件を処理する必要があります。これらのほとんどのレポートで、グループ資産およびメンバー資産の金額を使用できます。例外については、次に示すレポートに注釈が付けられています。

*このレポートではメンバー取得価額が使用されます。グループ資産取得価額は、資産取得価額が2回カウントされないようにするために表示されていません。

**このレポートには、除・売却済メンバー資産のみが表示されます。グループ資産は除・売却できないため、このレポートには表示されません。

***このレポートには、グループ資産の累計減価償却額のみが表示されます。グループ資産の金額のみが保守され、General Ledgerに転記されるため、メンバー資産の金額は表示されません。

グループ減価償却制限事項

一括資産

一括資産機能では、同じカテゴリ、資産台帳および会計年度の組合せで事業に供された類似資産を単一資産として処理する機能が提供されます。この単一資産には、合計取得価額および単位が格納され、一括資産と呼ばれます。

一括資産機能を使用すると、特定のカテゴリ、資産台帳および会計年度の組合せの類似資産がすべて1つの個別資産として格納されるため、資産の追跡、レポート、分析および除・売却を簡略化できます。一部の資産カテゴリでは、資産追加が行われるたびに個別資産を作成し、保守する必要がありません。かわりに、会計年度ごとに資産カテゴリに対して1つの一括資産を作成できます。新規追加が発生するたびに、以前に作成された一括資産に取得価額と単位が追加されます。この結果、一括資産の合計取得価額と単位が追跡しやすくなります。

一括資産機能には、次のような利点があります。

一括資産の作成

一括資産は通常、一括追加によって自動的に作成されますが、資産ワークベンチまたは資産クイック登録を使用して手動で作成することもできます。一括資産を手動で作成する場合は、次に示す命名規則に必ず従い、事業供用日を会計年度の初日に設定してください。一括資産を手動で作成しない場合は、一括資産適用カテゴリに対する特定会計年度の最初の一括追加によって、一括資産が自動的に作成されます。

前提条件

一括追加によって一括資産対応のカテゴリ、資産台帳および会計年度の組合せに追加された最初の資産が、その組合せに対する一括資産になります。この一括資産は、その組合せの会計年度内の事業供用日で追加された最初の資産です。Oracle Assetsでは、一括資産は次のように処理されます。

カテゴリ、資産台帳および会計年度の組合せに対する後続の一括追加は、以前に作成した一括資産に対する取得価額および単位の修正として処理されます。後続の資産追加は取得価額修正として処理されるため、事業供用日は追跡されませんが、追加の償却開始日として使用されます。

カテゴリおよび資産台帳の組合せに対して一括資産機能を使用可能にする手順は、次のとおりです。

  1. 「資産カテゴリ」ウィンドウにナビゲートします。

  2. 必要なカテゴリを問い合せます。

  3. 必要な資産台帳を問い合せます。

  4. 「デフォルト基準」ボタンを選択します。

  5. 「一括資産適用」チェック・ボックスを選択します。

  6. 作業内容を保存します。

追加一括資産の手動作成

資産ワークベンチまたは資産クイック登録を使用すると、カテゴリ、資産台帳および会計年度の組合せに対して、その組合せに最初の一括資産がすでに含まれている場合でも、追加一括資産を作成できます。

追加一括資産の手動作成は、特定の資産追加の資産組替に対応したり、会計年度中に行われた特定の追加を個別の一括資産に分離するために必要となる場合があります。たとえば、会計年度中の取得に関する追加を分離するために、2つの初期個別プールまたは一括資産を同じカテゴリと会計年度内に存在させることが必要な場合があります。

減価償却の計算

一括資産の減価償却は、すべての資産追加の減価償却を集計して計算されます。償却開始日が、各個別資産追加の減価償却計算に使用されます。各資産追加の償却開始日は、個別資産追加の元の事業供用日からデフォルト設定されます。

一括資産のコピー

会計用資産台帳から税務台帳へのコピーは、一括資産機能の影響を受けません。コピー元の資産台帳で一括資産が使用可能である場合、コピー先の資産台帳は、以前に集計された資産を受け入れます。または、あるカテゴリについてコピー元の資産台帳で一括資産を使用可能にしていなかった場合、一括資産が使用可能な資産台帳にコピーしても、集計は行われません。カテゴリおよび資産台帳の組合せに対して一括資産を使用可能にする唯一の目的は、個別の会計用資産台帳で、これらのカテゴリの異なる処理を可能にすることです。

Energy Assets

Energy Assetsの概要

Oracle Assetsでは、Energy Assetsの機能を使用することで、石油およびガス産業の財務および報告要件に対応しています。石油およびガス産業では、階層構造に基づいて資産情報を会計処理および報告します。一般に、2つのレベルの階層構造が使用され、ここではフィールドが親資産で源泉が子資産となります。資産情報はすべて下位レベルで取得され、演算、問合せおよび報告が実行される上位レベルで合計されます。演算には次のものがあります。

石油およびガス会社では、純帳簿価額を減価償却基準とした累計生産高比例法および耐用年数ベース法を使用します。階層内の資産は、償却累計額とともに別の階層に振り替えられます。資産が振り替えられると、振替元資産は振替額のみ減額され、振替先資産は振替額のみ増額されます。

Energy Assetsでは、エネルギ減価償却の計算に次の2つの方法が使用されます。

エネルギ減価償却計算は、エネルギ累計生産高比例法では正味償却累計額残高、エネルギ定額法では残りの正味耐用年数について、純帳簿価額(NBV)として定義された減価償却基準に基づいています。

通常減価償却費とは別に、これらの会社では減損費用も親レベルで認識されます。

階層構造

石油およびガス会社では、資産取得価額を累計および減価償却するために、プロパティ、タンクまたはフィールド別に資産をグループ化します。Oracle Energy Assetsは、資産階層構造を使用することでこれらの要件を満たしています。

グローバル・グループ減価償却

Energy Assetsのグローバル・グループ減価償却機能を使用して資産階層構造がサポートされており、資産をグループ・レベルでグループ化、減価償却および報告できます。グローバル・グループ減価償却では、グループ資産レベルおよびメンバー資産レベルという2つのレベルの資産階層がサポートされています。

Oracle Assetsのグローバル・グループ減価償却構造では、グループはメンバー資産の集合です。減価償却はグループ・レベルで計算および報告されます。さらに、グループ減価償却をメンバー資産に配賦できます。メンバー資産レベルで減価償却を計算してから、メンバー減価償却をグループ・レベルに合計するオプションもあります。

グループ資産およびメンバー資産の両方について、減価償却費および累計減価償却残高を追跡できます。原則的に、グループとそのメンバーの間には暗黙的な親子の関連があります。この関連に基づき、グローバル・グループ減価償却を使用して、フィールド対源泉タイプの親子関連をモデル化できます。

グローバル・グループ減価償却の詳細は、「グループ減価償却」を参照してください。

資産の自動作成

資産情報は、Oracle Payables、合弁企業会計(JVA)およびその他の外部システムから「一括追加」インタフェース表に送信されます。Energy Assetsにより、事前定義済ルールに基づいてこれらの明細からの資産の作成が自動化されます。資産の自動作成を行うビジネス・プロセスは次のとおりです。

階層の定義

「一括追加の準備」コンカレント・プログラムによって資産作成処理を自動化するには、資産の所有権に基づいて有効な階層関連を設定する必要があります。階層は次のステップで設定します。

階層セグメントの定義

Energy Assetsでは、資産キー・フレックスフィールドに少なくとも2つのセグメントが含まれ、これらのセグメントが階層およびプロジェクト・セグメントとして指定される必要があります。階層セグメントには、グループおよびメンバー関連の定義に使用する値が含まれます。 一般に、石油およびガス産業では、階層セグメントの値は会計フレックスフィールドのレポート・センター・セグメントの値となります。階層セグメントとプロジェクト・セグメントの資産キー・セグメントをマップするには、次の2つのクイックコードを定義する必要があります。

階層セグメントは手動で資産キー・フレックスフィールドに入力できます。または、エネルギ・ベース・アプリケーションを使用して、ASSETKEY HIERARCHY SOURCEと呼ばれるクイックコードによって階層セグメントのマッピング・セグメントを定義できます。「一括追加の準備」コンカレント・プログラムにより、事前定義済マッピングに基づいて値が移入されます。

階層構造の定義

一括追加処理で作成されるグループおよびメンバーに基づいて、階層構造を作成するための値セットを定義する必要があります。

値セットを作成するには、「設定」 > 「会計」 > 「フレックスフィールド」 > 「検証」 > 「セット」にナビゲートします。

グループおよびメンバーの階層セグメント値および摘要を値セットの値として入力します。階層値を使用可能にするには「使用可能」を選択し、すべてのグループ階層値について「親」チェック・ボックスを選択します。グループ値に対する子値の範囲を定義するには、「子範囲の定義」をクリックします。

すべての階層関連を定義した後、「値セット」ウィンドウの「階層の表示」をクリックして定義済関連を表示します。

階層値を入力するには、「設定」 > 「会計」 > 「フレックスフィールド」 > 「検証」 > 「値」にナビゲートします。

クイックコードの設定

前のステップでクイックコードを設定する他に、次のクイックコードを追加して、「一括追加の準備」コンカレント・プログラムで一括追加表から資産を自動作成できるようにする必要があります。

クイックコードを設定するには、「設定」 > 「資産システム」 > 「クイックコード」にナビゲートします。

一括追加明細のインタフェース

Oracle Payablesまたは外部システムから一括追加明細をインタフェースできます。一括追加明細のインタフェースについては、「一括追加処理の概要」を参照してください。

一括追加処理

Energy Assetsでは、「一括追加の準備」コンカレント・プログラムによって一括追加明細の準備および資産の作成が自動化され、一括追加処理での手動操作が回避されます。Energy Assetsでは、資産キーおよびカテゴリによって一括追加明細を一意に識別し、階層関連に関連付けることで、明細の準備の際に新規資産の作成または既存の資産の修正が行われます。

「一括追加の準備」コンカレント・プログラムでは、次のタスクが実行されます。

  1. 一括追加明細の準備

  2. 資産の作成

一括追加明細の準備

「一括追加の準備」コンカレント・プログラムでは、特定の一括追加明細に対して指定された参照値および基本情報を使用して、その他の資産情報が作成されます。この処理では、資産キーおよびカテゴリの組合せを使用して資産を一意に識別する必要がある特定のエネルギ・ビジネス・ルールがサポートされます。

「一括追加の準備」プログラムでは、キュー・ステータスが「新規」または「保留中」であるfa_mass_additions内の明細が処理されます。この処理では、フィーダ・システムから資産キーおよび精算勘定の組合せが導出されます。

カテゴリは、明細の取得価額精算勘定を別のカテゴリに対して定義された取得価額精算勘定と照合することで導出されます。取得価額精算勘定および資産カテゴリには、1対1マッピングが存在する必要があります。資産キーおよびカテゴリを導出する際、「一括追加の準備」処理では、「資産キーID」および「カテゴリID」が同一であるすべての一括追加明細の取得価額がマージされ、資産カテゴリから減価償却費勘定が導出されます。事業所は、資産精算勘定のマップ済セグメント(買掛/未払金CCID)から導出されます。

「一括追加の準備」プログラムで必要な情報を導出できない場合、キュー・ステータスが「保留中」に設定され、明細をレビューし、必要な変更を加えることができます。

資産の作成

一括追加明細の作成後、「一括追加の準備」では、グループ資産IDを検索する他に、明細の資産キーおよびカテゴリが参照されます。

グループ資産IDが存在する場合、Energy AssetsではIDが検証され、資産キーとカテゴリの組合せが同一である資産が存在するかどうかが判別されます。一致する資産がある場合、一括追加明細はその資産の「取得価額修正」としてマークが設定されます。一致する資産がない場合、一括追加明細は新規追加としてマークが設定されます。

グループ資産IDが存在しない場合、Energy Assetsでは、まずクイックコード値および階層構造を使用してグループ資産キーおよびカテゴリを導出することでグループ資産IDが導出されます。次に、Energy Assetsでは導出された資産キーおよびカテゴリの組合せに対してグループ資産が存在するかどうかがチェックされます。有効なグループ資産が存在する場合、一括追加明細にグループ資産IDが移入されます。

導出された資産キーおよびカテゴリの組合せに対してグループ資産が存在しない場合、Energy Assetsでは、一括追加明細の情報を使用してグループ資産が作成されます。

グループ資産IDの導出後、Energy Assetsでは、資産キーとカテゴリの組合せが同一である資産が存在するかどうかが判別されます。一致する資産がある場合、一括追加明細はその資産の「取得価額修正」としてマークが設定されます。一致する資産がない場合、一括追加明細は新規追加としてマークが設定されます。

減価償却

Energy Assetsでは、エネルギ減価償却の計算に次の2つの方法が使用されます。

エネルギ累計生産高比例減価償却

この項は次の各トピックで構成されています。

エネルギ累計生産高比例法の概要

Energy Assetsの累計生産高比例減価償却方法は、石油およびガス会社にフィールド、リースおよび源泉などの生産プロパティがある場合に適用されます。一般的に、資産は2つの階層レベルに体系化され、フィールドはグループ資産、源泉はメンバー資産となります。減価償却はグループ資産レベルで計算されるため、これらの資産の累計生産高または見積累計生産高もグループ・レベルで入力されます。

グループ資産は減価償却するようマークが設定され、減価償却はグループ資産レベルからのみ記帳されます。メンバー資産は減価償却しないようマークが設定されますが、グループ資産の減価償却は減価償却基準に基づいて関連するメンバー資産にまで適用できます。減価償却費および償却累計額は、グループ資産およびメンバー資産の両方について追跡できます。

生産能力はグループ資産レベルで入力され、将来更新できます。Energy Assetsにより、各期間の減価償却実行前に、グループ資産について生産能力情報が処理されます。

石油およびガス会社では、次の算式に示すように、現行期間生産高として定義された減価償却率に基づいて、純帳簿価額減価償却基準による正味残高生産能力に対し累計生産高比例減価償却方法が使用されます。

Net Book Value x (Production for the Period / Net Remaining Production Capacity)  = Current Period Depreciation Expense 
Net Remaining Production Capacity = Total Capacity – Production used to date

注意: 純帳簿価額は、資産の取得価額から残存価額と償却累計額を減算した値です。

エネルギ累計生産高比例法の処理

エネルギ累計生産高比例ビジネス・プロセスは、次のステップで構成されています。

  1. 減価償却方法の定義

  2. グループ資産に対するこの方法の有効化

  3. 累計生産高の入力および更新

減価償却方法の定義

エネルギ累計生産高比例法を定義するには、「設定」 > 「減価償却」 > 「方法」にナビゲートします。

次の表では、減価償却方法の詳細の定義について説明しています。

エネルギ累計生産高比例減価償却の詳細
フィールドまたはチェック・ボックス 摘要
方法方法の名称を入力
摘要方法の摘要を入力
方法タイプ累計生産高
計算基準単位純帳簿価額
減価償却基準ルールエネルギ期末残高
除・売却年の償却このチェック・ボックスを選択
残存価額を除くこのチェック・ボックスは選択しない
定額法このチェック・ボックスは選択しない

グループ資産に対するこの方法の有効化

グループ資産に対して累計生産高比例法を有効にするには、「資産台帳管理」ウィンドウの「会計基準」タブで、「グループ減価償却の許可」リージョン内のすべてのオプションを選択します。

累計生産高の入力および更新

期間について減価償却を実行する前に、その期間の累計生産高をグループ資産レベルで入力する必要があります。グループ資産の月次累計生産高詳細を入力するには、「生産高」 > 「入力」にナビゲートします。

エネルギ累計生産高比例法の条件

エネルギ累計生産高比例減価償却方法には、次の条件が適用されます。

エネルギ定額減価償却

この項は次の各トピックで構成されています。

エネルギ定額減価償却の概要

石油およびガス会社は、ポンプ、事務機器、その他の設備などの資産を、エネルギ定額法を使用して減価償却します。Oracle Assetsでは、メンバー・レベルとグループ・レベルの両方でエネルギ定額減価償却が計算されます。エネルギ定額法を使用した減価償却の計算式は、次のとおりです。

Net Book Value of the Asset/ Remaining Life of the Asset = Depreciation

注意: 純帳簿価額は、資産の取得価額から残存価額と償却累計額を減算した値です。

エネルギ定額減価償却方法の定義

エネルギ定額法を定義するには、「設定」 > 「減価償却」 > 「方法」にナビゲートします。

次の表では、エネルギ定額減価償却の詳細を説明しています。

エネルギ定額減価償却の詳細
フィールドまたはチェック・ボックス 摘要
方法方法の名称を入力
摘要方法の摘要を入力
方法タイプ計算済
計算基準単位純帳簿価額/取得価額
減価償却基準ルールエネルギ期末残高
除・売却年の償却このチェック・ボックスを選択
残存価額を除くこのチェック・ボックスは選択しない
定額法このチェック・ボックスを選択

エネルギ定額減価償却の条件

エネルギ定額減価償却方法には、次の条件が適用されます。

減損費用

Energy Assetsでは、グループ資産について減損費用を入力し、資産取得価額を発生した減損として償却できます。減損費用をグループ資産の未計画減価償却として入力できます。未計画減価償却を実行する際に、「タイプ」、「金額」および「減価償却費勘定」を入力する必要があります。計算済の減価償却費に加えて、未計画減価償却額が現行期間の減価償却費として記帳されます。

未計画減価償却タイプでは、実行済の未計画減価償却の性質を示すことができます。クイックコードを使用して、未計画減価償却タイプを減損として事前シードできます。

未計画減価償却の詳細は、「未計画減価償却」を参照してください。

支出承認書の組替

AFEの組替の概要

石油会社およびガス会社では、支出承認書(AFE)アプリケーションを使用して、資産プロジェクトの支出の予算編成、承認および追跡をサポートします。各掘削プロジェクトについて、取得価額見積、プロジェクト承認、実績手数料およびプロジェクト・ステータスなどのプロジェクト活動を追跡およびモニターするためのAFEが作成されます。AFEの作成時に、一意の番号が割り当てられ、後続の追跡はすべてこの番号に基づいて行われます。

資産プロジェクトの過程で発生した取得価額は、建設仮勘定(CIP)として計上され、報告されます。プロジェクトの完了時に、プロジェクトの成果に基づき、会計ポリシーに従って、これらの取得価額が資産計上または費用処理される場合があります。

Energy Assetsは、「取引インタフェースの転記」コンカレント・プログラムによって、AFEのステータスに基づいて建設仮勘定資産を資産計上または費用処理するためのAFEの組替処理を提供します。

AFEの組替ビジネス・プロセス

Energy AssetsのAFEの組替処理は、次のタスクで構成されています。

AFEの設定

資産キー・フレックスフィールドおよびクイック・コードの階層構造、階層およびプロジェクト・セグメントを設定する必要があります。これらの設定の詳細は、「資産の自動作成」を参照してください。

資産カテゴリを定義する際に、「資産カテゴリ」ウィンドウで次の勘定科目を設定する必要があります。

代替資産取得価額: AFEが「ドライ・ホール」または「資産放棄」としてクローズした場合、AFEの組替処理によって、すべての建設仮勘定資産取得価額がこの勘定科目に振り替えられます。

貸倒償却費: AFEが「減価償却」としてクローズした場合、インタフェース表で除・売却として更新されます。AFEの組替処理では、この勘定科目に除・売却時純帳簿価額を配賦して、資産台帳の建設仮勘定資産を除・売却します。

SLA設定: 勘定科目導出ルール(ADR)を設定し、取引タイプに基づいて勘定科目コードの組合せを導出できます。ADRを設定することで、失敗取得価額勘定および貸倒償却費用勘定を導出できます。代替取得価額勘定を導出するには、(資産計上用のもののみでなく)すべての取得価額ADRに次の条件が必要です。

dryhole_flag = Yの場合、代替取得価額勘定を使用

それ以外の場合、標準取得価額勘定を使用

貸倒償却費用勘定については、除・売却タイプ・コード値を参照し、参照コードに基づいて、標準除・売却時純帳簿価額のかわりに貸倒償却費用勘定を条件付きで使用するよう、「除・売却時純帳簿価額」行を変更する必要があります。

AFE組替情報のインタフェース

AFEがクローズし、資産計上の準備が完了すると、AFEアプリケーションにより組替情報がEnergy Assetsに送信されます。Energy Assetsは、インタフェース表FA_TRANSACTION_INTERFACEによってAFEアプリケーションと統合し、組替情報を受信して保存します。

次の表では、FA_TRANSACTION_INTERFACE表について説明します。

FA_TRANSACTION_INTERFACE表
列名 データ型 サイズ NULL 表列に対するFK
TRANSACTION_INTERFACE_ID NUMBER 15 X  
TRANSACTION_DATE DATE      
TRANSACTION_TYPE_CODE VARCHAR2 30 X  
POSTING_STATUS VARCHAR2 30 X  
BOOK_TYPE_CODE VARCHAR2 15 X FA_BOOK_CONTROLS.BOOK_TYPE_CODE
ASSET_KEY_PROJECT_VALUE VARCHAR2 30 X  
ASSET_KEY_HIERARCHY_VALUE VARCHAR2 30 X  
ASSET_KEY_NEW_HIERARCHY_VALUE NUMBER 30 X  
REFERENCE_NUMBER NUMBER 適用なし   
COMMENTS VARCHAAR2 80    
CONCURRENT_REQUEST_ID NUMBER 15   FND_CONCURRENT_REQUESTS.REQUEST_ID
CREATED_BY NUMBER 15 X  
CREATION_DATE DATE   X  
LAST_UPDATED_BY NUMBER 15 X  
LAST_UPDATE_DATE DATE   X  
LAST_UPDATE_LOGIN NUMBER 15    

AFEの組替

「取引インタフェースの転記」プログラムでは、次の2つのタスクが実行されます。

建設仮勘定資産の組替

AFEの組替処理は、資産台帳レベルで実行されます。この処理では、まず資産計上または貸倒償却が必要な建設仮勘定資産が選択された後、インタフェース表からAFE番号が選択され、その資産台帳の建設仮勘定資産と照合されます。AFE番号は、資産の資産キー・フレックスフィールド内のプロジェクト・セグメント値と照合されます。一致が見つかった場合、この処理によってこれらの建設仮勘定資産がAFE組替用に選択されます。

インタフェース表内のデータはパージされないため、「取引インタフェースの転記」プログラムにより、処理が開始されるたびにインタフェース表内のすべてのレコードについてチェックが実行されます。

選択した資産は、AFEのクローズ時のステータスに基づいて、資産計上、貸倒償却または「ドライ・ホール」勘定への配賦が行われます。AFEは次のいずれかのステータスでクローズされます。

資産計上

プロジェクト取得価額が生産プロパティであると判明した場合、処理ステータスは「資産計上」であり、建設仮勘定資産が資産計上されます。取得価額は、建設仮勘定から資産取得価額勘定に移動します。資産カテゴリは資産計上後も変更されません。建設仮勘定資産は現行期間の事業供用日付で資産計上されます。会計仕訳は次のようになります。

DR--資産取得価額勘定--xxx

CR--建設仮勘定取得価額勘定--xxx

「資産取得価額」勘定は、「資産カテゴリ」ウィンドウの「資産取得価額」フィールドで設定されます。

「ドライ・ホール」または「資産放棄」

プロジェクトが失敗であると判明した場合、資産放棄として処理され、処理ステータスは「ドライ・ホール」となります。建設仮勘定取得価額は資産計上されますが、資産取得価額は「代替資産取得価額」として別の取得価額勘定に記帳されます。

資産計上後、資産カテゴリは変更されず、現行期間の事業供用日が設定されます。会計仕訳は次のようになります。

DR--代替資産取得価額勘定--xxx

CR--建設仮勘定取得価額勘定--xxx

費用

プロジェクト取得価額が非生産プロパティであると判明した場合、取得価額は現行期間の減価償却費として貸倒償却される必要があり、処理ステータスは「減価償却」となります。この処理によって現行期間の建設仮勘定資産が除・売却されます。建設仮勘定取得価額は、除・売却損益勘定のかわりに貸倒償却費に費用処理されます。

レポート・センターの変更

インタフェース表に移入されたレポート・センターが建設仮勘定資産のレポート・センターと異なる場合、AFEの組替処理によって、まず資産が資産計上されてから、レポート・センターの変更が行われます。レポート・センターの変更は、資産計上するよう選択した建設仮勘定資産についてのみ実行されます。建設仮勘定資産の除・売却については、レポート・センターの変更は行われません。

レポート・センターは、資産キー・フレックスフィールドの階層セグメントのみでなく、会計フレックスフィールドのコスト・センター・セグメントで使用されるため、AFE処理によって、まず資産階層セグメントが新しいレポート・センターの値で更新されます。資産キーの更新後、AFE処理によって資産振替が実行され、資産計上資産のコスト・センター・セグメントが変更されます。

資産が階層構造にグループ化されているため、新しいレポート・センターが別の階層に属する場合、レポート・センターの変更には資産組替が必要となります。AFE処理では、階層構造で新規レポート・センターの階層構造の有無がチェックされます。一致が見つかった場合、資産計上資産がそのグループ資産に割り当てられます。グループ資産が存在しない場合は自動的に作成され、そのグループ資産に資産計上資産が割り当てられます。

この処理で作成される会計仕訳を次に示します。

資産計上建設仮勘定資産:
借方または貸方 摘要 金額
DR 資産取得価額勘定(旧レポート・センター)xxx
CR 建設仮勘定取得価額xxx
レポート・センターの変更(資産振替)
借方または貸方 摘要 金額
DR 資産取得価額勘定(新規レポート・センター)xxx
CR 資産取得価額勘定(旧レポート・センター)xxx

または

資産計上建設仮勘定資産
借方または貸方 摘要 金額
DR 代替資産取得価額勘定(旧レポート・センター)xxx
CR 建設仮勘定xxx
レポート・センターの変更(資産振替)
借方または貸方 摘要 金額
DR 代替資産取得価額勘定(新規レポート・センター)xxx
CR 代替資産取得価額勘定(旧レポート・センター)xxx