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Oracle Solaris Cluster システム管理     Oracle Solaris Cluster (日本語)
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ドキュメントの情報

はじめに

1.  Oracle Solaris Cluster の管理の概要

2.  Oracle Solaris Cluster と RBAC

3.  クラスタの停止と起動

4.  データ複製のアプローチ

5.  グローバルデバイス、ディスクパス監視、およびクラスタファイルシステムの管理

6.  定足数の管理

7.  クラスタインターコネクトとパブリックネットワークの管理

8.  ノードの追加と削除

9.  クラスタの管理

10.  CPU 使用率の制御の構成

11.  Oracle Solaris Cluster ソフトウェアとファームウェアのパッチ

12.  クラスタのバックアップと復元

13.  グラフィカルユーザーインタフェースによる Oracle Solaris Cluster の管理

A.  例

Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアを使用したホストベースのデータ複製の構成

クラスタにおける Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアの理解

Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアが使用するデータ複製方式

リモートミラー複製

ポイントインタイムスナップショット

構成例での複製

クラスタ間でホストベースのデータ複製を構成するためのガイドライン

複製リソースグループの構成

アプリケーションリソースグループの構成

フェイルオーバーアプリケーション向けのリソースグループの構成

スケーラブルアプリケーション向けのリソースグループの構成

フェイルオーバーの管理のガイドライン

作業マップ: データ複製の構成例

クラスタの接続とインストール

デバイスグループとリソースグループの構成例

主クラスタでデバイスグループを構成する

二次クラスタでデバイスグループを構成する

主クラスタのファイルシステムを NFS アプリケーション向けに構成する

二次クラスタのファイルシステムを NFS アプリケーション向けに構成する

主クラスタで複製リソースグループを作成する

二次クラスタで複製リソースグループを作成する

主クラスタで NFS アプリケーションリソースグループを作成する

二次クラスタで NFS アプリケーションリソースグループを作成する

データ複製の有効化例

主クラスタで複製を有効にする

二次クラスタで複製を有効にする

データ複製の実行例

リモートミラー複製を実行する

ポイントインタイムスナップショットを実行する

複製が正しく構成されていることを確認する

フェイルオーバーの管理方法の例

スイッチオーバーを呼び出す

DNS エントリを更新する

索引

Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアを使用したホストベースのデータ複製の構成

この付録では、Oracle Solaris Cluster Geographic Edition を使用しない、ホストベースの複製の代替方法を説明します。 Oracle では、ホストベースの複製に Oracle Solaris Cluster Geographic Edition を使用して、クラスタ内のホストベースの複製の構成と操作を簡素化することをお勧めします。 「データ複製についての理解」を参照してください。

この付録の例は、Sun StorageTek Availability Suite 4.0 ソフトウェアを使用してクラスタ間のホストベースのデータ複製を構成する方法を示しています。 この例では、NFS アプリケーション用の完全なクラスタ構成を示し、個別のタスクの実行方法に関する詳細情報を提供します。すべてのタスクはグローバルクラスタの投票ノードで行われます。例には、ほかのアプリケーションやクラスタ構成で必要な手順がすべて含まれているわけではありません。

スーパーユーザーの代わりに役割に基づくアクセス制御 (RBAC) を使用してクラスタノードにアクセスする場合は、すべての Oracle Solaris Cluster コマンドの承認を提供する RBAC の役割になることができるようにします。ユーザーがスーパーユーザーでない場合、一連のデータ複製手順には、次の Oracle Solaris Cluster RBAC の承認が必要です。

RBAC の役割についての詳細は、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』を参照してください。各 Oracle Solaris Cluster サブコマンドで必要となる RBAC の承認については、Oracle Solaris Cluster のマニュアルページを参照してください。

クラスタにおける Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアの理解

ここでは、耐障害性について紹介し、Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアが使用するデータ複製方式について説明します。

耐障害性は、主クラスタで障害が発生した場合に代わりのクラスタ上でアプリケーションを復元するシステムの機能です。災害耐性のベースは、データ複製フェイルオーバーです。フェイルオーバーとは、主クラスタから二次クラスタへの、リソースグループまたはデバイスグループの自動再配置です。主クラスタに障害が発生した場合でも、アプリケーションとデータは二次クラスタで即座に使用できます。

Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアが使用するデータ複製方式

この節では、Sun StorageTek Availability Suite が使用するリモートミラー複製方式とポイントインタイムスナップショット方式について説明します。このソフトウェアは、sndradm (1RPC) と iiadm(1II) コマンドを使用してデータを複製します。

リモートミラー複製

図 A-1 はリモートミラー複製を示しています。主ディスクのマスターボリュームのデータは、TCP/IP 接続を経由して二次ディスクのマスターボリュームに複製されます。リモートミラービットマップは、主ディスク上のマスターボリュームと、二次ディスク上のマスターボリュームの差分を追跡します。

図 A-1 リモートミラー複製

image:主ディスクのマスターボリュームから二次ディスクのマスターボリュームへのリモートミラー複製を示す図

リモートミラー複製は、リアルタイムに同期で実行することも非同期で実行することもできます。各クラスタの各ボリュームセットはそれぞれ、同期複製または非同期複製に構成できます。

ポイントインタイムスナップショット

図 A-2 は、ポイントインタイムスナップショットを示しています。各ディスクのマスターボリュームのデータは、同じディスクのシャドウボリュームにコピーされます。ポイントインタイムピットマップは、マスターボリュームとシャドウボリューム間の違いを追跡調査します。データがシャドウボリュームにコピーされると、ポイントインタイムビットマップはリセットされます。

図 A-2 ポイントインタイムスナップショット

image:ポイントインタイムスナップショットを示す図
構成例での複製

図 A-3 に、この構成例でミラー複製とポイントインタイムスナップショットがどのように使用されているかを示します。

図 A-3 構成例での複製

image:リモートミラー複製とポイントインタイムスナップショットが構成例でどのように使用されているかを示す図

クラスタ間でホストベースのデータ複製を構成するためのガイドライン

この節では、クラスタ間のデータ複製の構成ガイドラインを提供します。また、複製リソースグループとアプリケーションリソースグループの構成のコツも紹介します。これらのガイドラインは、クラスタのデータ複製を構成する際に使用してください。

この節では、次の項目について説明します。

複製リソースグループの構成

複製リソースグループは、Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアが制御するデバイスグループと論理ホスト名リソースを相互に関連付けます。複製リソースグループには、次の特徴があります。

アプリケーションリソースグループの構成

高可用性を実現するためには、アプリケーションはアプリケーションリソースグループのリソースとして管理される必要があります。アプリケーションリソースグループは、フェイルオーバーアプリケーションまたはスケーラブルアプリケーション向けに構成できます。

主クラスタ上に構成したアプリケーションリソースとアプリケーションリソースグループは、二次クラスタ上でも構成される必要があります。また、アプリケーションリソースがアクセスするデータは、二次クラスタに複製する必要があります。

この節では、次のアプリケーションリソースグループを構成するためのガイドラインを紹介します。

フェイルオーバーアプリケーション向けのリソースグループの構成

フェイルオーバーアプリケーションでは、1 つのアプリケーションが 1 度に 1 ノード上で動作します。ノードで障害が発生すると、アプリケーションは同じクラスタ内の別のノードにフェイルオーバーします。フェイルオーバーアプリケーション向けリソースグループは、以下の特徴を持っていなければなりません。

図 A-4 に、フェイルオーバーアプリケーションでのアプリケーションリソースグループと複製リソースグループの構成を示します。

図 A-4 フェイルオーバーアプリケーションでのリソースグループの構成

image:フェイルオーバーアプリケーションでのアプリケーションリソースグループと複製リソースグループの構成を示す図
スケーラブルアプリケーション向けのリソースグループの構成

スケーラブルアプリケーションでは、アプリケーションは複数のノードで実行されて、1つの論理サービスを作成します。スケーラブルアプリケーションを実行しているノードで障害が発生しても、フェイルオーバーは起こりません。アプリケーションは別のノードで引き続き実行されます。

スケーラブルアプリケーションをアプリケーションリソースグループのリソースとして管理している場合は、アプリケーションリソースグループをデバイスグループと結び付ける必要はありません。したがって、アプリケーションリソースグループ向けに HAStoragePlus リソースを作成する必要はありません。

スケーラブルアプリケーション向けリソースグループは、以下の特徴を持っていなければなりません。

図 A-5 に、スケーラブルアプリケーションでのリソースグループの構成を示します。

図 A-5 スケーラブルアプリケーションでのリソースグループの構成

image:スケーラブルアプリケーションでのリソースグループの構成を示す図

フェイルオーバーの管理のガイドライン

主クラスタで障害が発生した場合、できるだけ速やかにアプリケーションを二次クラスタにスイッチオーバーする必要があります。 二次クラスタがテイクオーバーできるようにするには、DNS を更新する必要があります。

DNS は、クライアントをアプリケーションの論理ホスト名に関連付けます。 フェイルオーバーの後、主クラスタへの DNS マッピングを削除し、二次クラスタへの DNS マッピングを作成します。図 A-6 に、DNS がどのようにクライアントをクラスタにマッピングするかを示します。

図 A-6 クライアントからクラスタへの DNS マッピング

image: DNS がどのようにクライアントをクラスタにマッピングするかを示す図

DNS を更新するには、nsupdate コマンドを使用します。詳細は、nsupdate(1M) のマニュアルページを参照してください。フェイルオーバーの管理方法の例については、「フェイルオーバーの管理方法の例」を参照してください。

修復後は、 主クラスタをオンラインに戻せます。元の主クラスタにスイッチバックするには、次の手順を実行します。

  1. 主クラスタと二次クラスタを同期させ、主ボリュームが最新のものであることを確認します。

  2. クライアントが主クラスタのアプリケーションにアクセスできるように、DNS を更新します。

作業マップ: データ複製の構成例

表 A-1 に、Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアを使用して NFS アプリケーション向けにどのようにデータ複製を構成するかを示すこの例での作業を示します。

表 A-1 作業マップ: データ複製の構成例

作業
参照先
1. クラスタを接続およびインストールする
2. 主クラスタと二次クラスタで、デバイスグループ、NFS アプリケーション用のファイルシステム、およびリソースグループを構成する
3. 主クラスタと二次クラスタでデータ複製を有効にする
4. データ複製を実行する
5. データ複製の構成を確認する

クラスタの接続とインストール

図 A-7 に、構成例で使用するクラスタ構成を示します。構成例の二次クラスタにはノードが 1 つ含まれていますが、これ以外のクラスタ構成も使用できます。

図 A-7 クラスタ構成例

image:構成例で使用するクラスタ構成を示す図

表 A-2 に、構成例で必要となるハードウェアとソフトウェアをまとめました。 Oracle Solaris OS、Oracle Solaris Cluster ソフトウェア、ボリューム管理ソフトウェアは、Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアとパッチをインストールする前にクラスタノードにインストールしてください。

表 A-2 必要なハードウェアとソフトウェア

ハードウェアまたはソフトウェア
要件
ノードハードウェア
Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアは、Oracle Solaris OS を使用するすべてのサーバー上でサポートされます。

使用するハードウェアについては、『Oracle Solaris Cluster 3.3 Hardware Administration Manual』を参照してください。

ディスク容量
約 15M バイト
Oracle Solaris OS
Oracle Solaris Cluster ソフトウェアがサポートする Oracle Solaris OS のリリース。

すべてのノードが同じバージョンの Oracle Solaris OS を使用する必要があります。

インストールついては、『Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのインストール』を参照してください。

Oracle Solaris Cluster ソフトウェア
Oracle Solaris Cluster 3.3 ソフトウェア

インストールについては、『Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのインストール』を参照してください。

ボリューム管理ソフトウェア
Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアまたは Veritas Volume Manager (VxVM) ソフトウェア

すべてのノードで、同じバージョンのボリューム管理ソフトウェアを使用する。

インストールについては、『Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのインストール』の第 4 章「Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアの構成」および『Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのインストール』の第 5 章「Veritas Volume Manager をインストールして構成する」を参照してください。

Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェア
ソフトウェアのインストール方法については、使用しているリリースの Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアのインストールマニュアルを参照してください。
  • Sun StorageTek Availability Suite 4.0 – Sun StorageTek Availability のマニュアル

Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェアパッチ
最新のパッチ情報を閲覧するには、My Oracle Support にログインしてください。

デバイスグループとリソースグループの構成例

この節では、NFS アプリケーション向けにディスクデバイスグループとリソースグループをどのように構成するかを説明します。追加情報については、「複製リソースグループの構成」および「アプリケーションリソースグループの構成」を参照してください。

ここでは、次の手順について説明します。

構成例のために作成されたグループとリソースの名前を次の表に示します。

表 A-3 構成例内のグループとリソースのまとめ

グループまたはリソース
名前
説明
デバイスグループ
devgrp
デバイスグループ
複製リソースグループとリソース
devgrp-stor-rg
複製リソースグループ
lhost-reprg-primlhost-reprg-sec
主クラスタと二次クラスタの複製リソースグループの論理ホスト名
devgrp-stor
複製リソースグループの HAStoragePlus リソース
アプリケーションリソースグループとリソース
nfs-rg
アプリケーションリソースグループ
lhost-nfsrg-primlhost-nfsrg-sec
主クラスタと二次クラスタのアプリケーションリソースグループの論理ホスト名
nfs-dg-rs
アプリケーションの HAStoragePlus リソース
nfs-rs
NFS リソース

devgrp-stor-rg 以外のグループとリソースの名前は一例で、必要に応じて変更可能です。複製リソースグループは、devicegroupname-stor-rg というフォーマットでなければなりません。

この構成例では VxVM ソフトウェアを使用しています。Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアについては、『Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのインストール』の第 4 章「Solaris ボリュームマネージャー ソフトウェアの構成」を参照してください。

デバイスグループで作成済みのボリュームを下図に示します。

図 A-8 デバイスグループのボリューム

image:デバイスグループで作成されたボリュームを示す図

注 - この手順で定義されたボリュームに、シリンダ 0 などのディスクラベルのプライベート領域を含めてはいけません。VxVM ソフトウェアは、この制限を自動管理します。