次のシナリオでは、高可用性のためにデータリンクマルチパス (DLMP) アグリゲーションと VNIC を組み合わせる方法について説明します。Figure 1–2 に、このタイプの構成を図示します。
次の例で DLMP アグリゲーションを作成および構成する際に使用されているシステムには、次の出力で示すような 10G ビット Ethernet NIC のセットが備わっています。
# dladm show-phys LINK MEDIA STATE SPEED DUPLEX DEVICE net0 Ethernet up 1000 full e1000g0 net1 Ethernet up 1000 full e1000g1 net2 Ethernet up 1000 full e1000g2使用例 2-8 VNIC を使用した DLMP アグリゲーションの構成および仮想化
最初に、次の例に示すように、net1 および net2 インタフェースのプローブを有効にして、DLMP アグリゲーション (aggr0) を作成します。
# dladm create-aggr -l net1 -l net2 -m dlmp -p probe-ip=+ aggr0
probe-ip プロパティーを設定すると、ソースおよびターゲットのプローブ IP アドレスを自動で選択する、プローブベースの障害検出が有効になります。詳細については、Oracle Solaris 11.2 でのネットワークデータリンクの管理 のDLMP アグリゲーションのプローブベースの障害検出の構成を参照してください。
次に、アグリゲーションデータリンク用の IP インタフェースと IP アドレスを次のようにして作成します。
# ipadm create-ip aggr0 # ipadm create-addr -T dhcp aggr0
DLMP アグリゲーションを仮想化します。
アグリゲーションデータリンク上に VNIC を作成することによって、アグリゲーションを簡単に仮想化できます。たとえば、次のようにして aggr0 上に VNIC を作成します。
# dladm create-vnic -l aggr0 vnic0
新たに作成された VNIC (vnic0) は、高可用性を保持しています。集約されたリンク (net1 または net2) のいずれかに障害が発生すると、その VNIC のトラフィックは残りのリンクに自動的にフェールオーバーし、動作は VNIC に対して透過的です。
次のいずれかのコマンドを使用して、アグリゲーションの情報を表示します。
# dladm show-aggr LINK MODE POLICY ADDRPOLICY LACPACTIVITY LACPTIMER aggr0 dlmp -- -- -- -- # dlstat show-aggr -x LINK PORT SPEED DUPLEX STATE ADDRESS PORTSTATE aggr0 -- 1000Mb full up 0:14:4f:fa:ea:42 -- net1 1000Mb full up 0:14:4f:fa:ea:42 attached net2 1000Mb full up 0:14:4f:f9:c:d attached
あるいは、次の例で示すように、Oracle Solaris ゾーンの anet リソースの下位リンクとしてアグリゲーションデータリンクを指定することによって、高可用性のためのアグリゲーションを仮想化できます。または、アグリゲーションデータリンクを EVS ノードのアップリンクとして指定できます。このタイプの構成例については、EVS 仮想テナントネットワークの設定を参照してください。
次の省略された例では、zonecfg 対話セッション中に、アグリゲーションデータリンクをゾーンの anet リソースの下位リンクとして指定する方法を示します。
# zonecfg -z zone1 . . . zonecfg:zone1> add anet zonecfg:zone1:anet> set lower-link=aggr0 . . . zonecfg:zone1:anet> end zonecfg:zone1> commit
zonecfg コマンドを対話的に使用することについての詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページとOracle Solaris ゾーンの作成と使用 を参照してください。