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Oracle® Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス
12cリリース1 (12.1)
B71298-08
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BACKUP

用途

BACKUPコマンドを使用すると、データベース(プライマリまたはスタンバイ)、表領域、データファイル(現行またはコピー)、制御ファイル(現行またはコピー)、サーバー・パラメータ・ファイル、アーカイブREDOログ・ファイルまたはバックアップ・セットのバックアップを作成できます。

前提条件

RMANがターゲット・データベースに接続されている必要があります。TARGETとしてデータベースに接続する方法については、CONNECTおよびRMANコマンドを参照してください。

データベースのアーカイブ・モード

ターゲット・データベースのモードがARCHIVELOGの場合は、データベースが、現行の制御ファイルでマウントされているかまたはオープンされている必要があります。データベースがオープンされているときに作成されたバックアップには、一貫性がありません。一貫性のないバックアップをリストアした後は、データベースに一貫性を持たせるために、REDOログ・ファイルを適用する必要があります。

ターゲット・データベースのモードがNOARCHIVELOGの場合は、バックアップの作成時に一貫性のある停止を行った後で、データベースがマウントされている必要があります。停止の一貫性が保たれるのは、NORMALIMMEDIATEまたはTRANSACTIONALオプションを指定して、SHUTDOWNコマンドを正しく実行できた場合のみです。インスタンス障害が発生した場合やSHUTDOWN ABORTを実行した後で、RMANを使用して、NOARCHIVELOGのデータベースをバックアップすることはできません。

クロス・プラットフォーム・トランスポート用のデータのバックアップ

別のプラットフォームにデータをトランスポートするバックアップ・セットを作成するには、ターゲット・データベースのCOMPATIBLEパラメータが12.0.0以上である必要があります。

クロス・プラットフォーム・トランスポート用にデータベース全体をバックアップするには、ソース・プラットフォームと宛先プラットフォームが同じエンディアン形式を使用している必要があります。ソース・データベースは、読取り専用モードでオープンしている必要があります。

クロス・プラットフォーム・トランスポート用に表領域をバックアップする際にALLOW INCONSISTENT句が使用されていない場合、表領域は読取り専用モードである必要があります

バックアップ・メディア

RMANがファイルをバックアップできるのは、有効なメディアに対してのみです。DEVICE TYPE DISKを指定すると、RMANによってランダム・アクセス・ディスクにバックアップが作成されます。バックアップは、データファイルを格納できる任意のデバイスに作成できます。文CREATE TABLESPACE tablespace_name DATAFILE 'filename'が正しく動作すれば、'filename'は有効なバックアップ・パス名です。DEVICE TYPE sbtを指定した場合は、メディア・マネージャがサポートするメディアであれば、どのメディアにでもファイルをバックアップできます。

Oracle Databaseのファイルをディスクにバックアップする場合、そのファイルの論理ブロック・サイズは、バックアップ先デバイスの物理ブロック・サイズの偶数倍である必要があります。たとえば、ブロック・サイズが2KBのディスク・デバイスは、論理ブロック・サイズが2KB、4KB、6KBなどのOracleファイルのバックアップ先としてのみ使用できます。実際には、ほとんどのディスク・ドライブの物理ブロック・サイズは512バイトのため、この制限事項がバックアップに影響することはほとんどありません。ただし、BACKUP ... DEVICE TYPE DISKコマンドを使用して、書込み可能CDやDVD、またはより大容量の物理ブロック・サイズを持つその他のデバイスにデータベースをバックアップする場合は、この制限事項を考慮する必要がある場合があります。

チャネル

指定したデバイス・タイプに自動チャネルが構成されていない場合は、BACKUPを実行するたびにチャネルをデバイスに手動で割り当てる必要があります。手動チャネルを割り当てていない場合、RMANではCONFIGUREコマンドで設定されたデフォルトのチャネルが使用されます。RMANには事前構成済のDISKチャネルがありますが、事前構成済のsbtチャネルはありません。

注意:

ディスク・テストAPIを使用するバックアップは本番バックアップではサポートされません。かわりに、事前構成済のDISKチャネルを使用するか、DISKチャネルを手動で割り当ててください。

使用上の注意

RMANでバックアップできるのは、データファイル、制御ファイル、サーバー・パラメータ・ファイル、アーカイブREDOログ・ファイル、およびこれらのファイルのRMANバックアップのみです。RMANでは、その他のデータベース関連ファイル(ネットワーク構成ファイル、パスワード・ファイル、ブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルなど)およびOracleホーム・ディレクトリの内容をバックアップできません。また、外部表やBFILEデータ型などのOracle Databaseの一部の機能についても、同様に、前述のファイル以外のファイルにデータが格納されます。RMANでは、これらのファイルをバックアップできません。

注意:

非CDBがプラガブル・データベース(PDB)として別のマルチテナント・コンテナ・データベース(CDB)に組み込まれると、非CDBのバックアップは使用できなくなります。

BACKUPコマンドは、RMANでは独立した複数のバックアップ手順に分けられています。RMANでは、独立した各手順は、特定のデバイスに割り当てられたチャネルで実行できます。割り当てられているチャネルが複数ある場合に、1つのチャネルで障害が発生するか、またはバックアップ手順の実行中に問題が発生すると、RMANは、別のチャネルで作業の完了を試行します。RMANは、チャネルでフェイルオーバーが発生すると、V$RMAN_OUTPUT、対話方式セッションまたはログ・ファイルへの出力にメッセージをレポートします。

あるプラットフォームで作成されたRMANバックアップを異なるプラットフォームにトランスポートできるのは、バックアップの作成時にFOR TRANSPORT句またはTO PLATFORM句を使用する場合のみです。

以前のリリースのOracle Databaseで作成されたRMANバックアップは、データベースの移行またはアップグレードの実行後に使用できます。この手順の詳細は、My Oracle Supportノート790559.1 (https://support.oracle.com/CSP/main/article?cmd=show&type=NOT&id=790559.1)を参照してください。

データベースのDBIDではなく、DB_NAMEを変更すると、RMANは以前のDB_NAMEで作成されたデータベースのバックアップをリストア可能とみなします。

増分バックアップ

レベル0の増分バックアップでは、バックアップ対象のデータファイルのすべてのデータ・ブロックがバックアップされます。レベル0の増分バックアップの内容はFULLバックアップと同じですが、全体バックアップとは異なり、増分バックアップ方法の一部分です。

レベル1のバックアップでは、変更されたブロックのみがバックアップされます。レベル1の増分バックアップは、差分またはCUMULATIVEのいずれかです。CUMULATIVEの場合は、RMANでは最新のレベル0のバックアップ以降に変更されたすべてのブロックがバックアップされます。差分の場合は、RMANでは最新のレベル0またはレベル1の増分バックアップ以降に更新されたブロックがバックアップされます。スタンバイ・データベースのレベル1バックアップは、プライマリ・データベースのレベル0バックアップに適用できます。また、プライマリ・データベースのレベル1バックアップは、スタンバイ・データベースのレベル0バックアップに適用できます。

レベル0の増分バックアップは、バックアップ・セットまたはイメージ・コピーのいずれかにできますが、レベル1の増分バックアップは、バックアップ・セットのみが可能です。

レベル1の増分バックアップを作成しようとすると、データベースでチェックが実行されます。このチェックによって、増分バックアップがその後のRECOVERコマンドで使用できることが確認されます。チェックの内容は、次のとおりです。

  • レベル0バックアップが、BACKUPコマンド内のデータファイルごとに、増分方法の基本バックアップとして存在していること。レベル0バックアップのステータスはUNAVAILABLEでないことが必要です。レベル0バックアップが存在しない場合は、RMANではレベル0バックアップが自動的に作成されます。

  • レベル0以降の十分な増分バックアップがあり、これから作成する増分バックアップで使用できること。

注意:

増分バックアップの作成時、RMANでは、親インカネーションからのバックアップが有効であるとみなされます。たとえば、レベル0バックアップを作成した後、OPEN RESETLOGSを実行するとします。レベル1の増分バックアップを作成すると、RMANによって、RESETLOGSより前のレベル0バックアップ以降に変更されたすべてのブロックがバックアップされます。レベル1バックアップを作成する場合は、RMANによって、現行のデータベース・インカネーションまたは親データベース・インカネーションでレベル0が使用できない場合のみ、新しいレベル0バックアップが作成されます。

プライマリ・データベースまたはスタンバイ・データベースでブロック・チェンジ・トラッキングを有効にすると、増分バックアップのパフォーマンスを向上できます。この場合、RMANでは、変更されたブロックがブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルに記録されます。

チェンジ・トラッキング・ファイルには、バックアップ間のデータファイルの変更をマークするビットマップが保持されます。データベースでは、各バックアップの前にビットマップの切替えが実行されます。Oracle Databaseでは、最新の8回のバックアップを網羅するブロック・チェンジ・データが保持されるように、チェンジ・トラッキング・ファイルの領域が自動的に管理されます。ビットマップが8個まで作成されると、最新のビットマップが現行の変更を追跡するビットマップによって上書きされます。

最初のレベル0の増分バックアップでは、データファイル全体がスキャンされます。その後の増分バックアップでは、ブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルを使用して、最後のバックアップの後に変更されたとマークされているブロックのみがスキャンされます。増分バックアップの最適化は、ブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルの最も古いビットマップ以降に作成された親バックアップに基づいてのみ行われます。

増分バックアップを計画するときは、ビットマップの制限が8個であることに注意してください。たとえば、レベル0のデータベース・バックアップを作成した後、差分増分バックアップを7回実行すると、ブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルには8個のビットマップが含まれます。次に、累積レベル1の増分バックアップを作成すると、現在の変更を追跡するビットマップによって親(レベル0)のバックアップに対応するビットマップが上書きされるため、RMANはバックアップを最適化できなくなります。

関連項目:

ブロック・チェンジ・トラッキングの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

CDBおよびPDBのバックアップ

RMANでは、CDB全体、root、1つ以上のPDB、およびPDBの1つ以上の表領域をバックアップできます。バックアップは、イメージ・コピーまたはバックアップ・セットの形式にできます。BACKUPコマンドを使用して、クロス・プラットフォーム・データ・トランスポート用のバックアップ・セットを作成することもできます。

バックアップ操作を実行する前にCDBおよびPDBに接続する方法の詳細は、「CDBおよびPDBへの接続」を参照してください。

関連項目:

CDBおよびPDBのバックアップの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください

バックアップ・セットの暗号化

RMANでは、バックアップ・セットに書き込まれるデータを透過的に暗号化し、RESTORE操作で必要な際に復号化できます。ディスクに暗号化バックアップを作成するには、データベースでAdvanced Security Optionを使用している必要があります。暗号化バックアップをテープに直接作成するには、RMANでOracle Secure Backup SBTインタフェースを使用している必要があります。Oracle Secure Backup以外のSBTライブラリを使用して暗号化されたRMANバックアップを作成しようとすると、RMANによりORA-19916エラーが発行されます。

RMANでは、バックアップの暗号化に複数の暗号化アルゴリズムを使用できます(アルゴリズムのリストはV$RMAN_ENCRYPTION_ALGORITHMSにあります)。RMANは、次の3つの暗号化モードによるバックアップをサポートしています。

  • 透過的暗号化: データがすでにOracle DatabaseのTransparent Data Encryption (TDE)で保護されている場合、RMANは特別なDBAの介入なく、暗号化されたバックアップを作成およびリストアできます

  • パスワード・ベースの暗号化: バックアップ時にパスワードが指定され、バックアップをリストアする場合に同じパスワードを適用する必要があります

  • デュアル・モードの暗号化: 透過的暗号化またはパスワード・ベースの暗号化の場合と同様に使用してバックアップを作成でき、Oracleソフトウェア・キーストアまたは復号化時にDBAが指定するパスワードのいずれかに基づいて、復号化を実行できます

注意:

キーストアベースの暗号化は、パスワードが必要ないため、パスワードベースの暗号化より安全です。パスワード・ベースの暗号化は、バックアップをトランスポータブルにする必要があるため、必要な場合のみ使用してください。

CONFIGUREおよびSETコマンドで、データベース・バックアップの暗号化設定を管理します。詳細は、これらのコマンドのリファレンス・エントリを参照してください。アーカイブREDOログ・ファイルが含まれているバックアップ・セットは、次の条件に該当する場合に暗号化されます。

  • バックアップの作成時にSET ENCRYPTION ONが有効になっている。

  • 暗号化が、データベース全体または1つ以上の表領域に対して構成されている。

関連項目:

  • バックアップの暗号化の概要、その使用方法、および様々なモードの暗号化の選択方法については、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

  • TDE表領域の暗号化とOracleソフトウェア・キーストアの詳細は、『Oracle Database Advanced Securityガイド』を参照してください

スタンバイ・データベースのバックアップ

RMANのBACKUPコマンドでは、スタンバイ・サイトでバックアップが実行されることを除き、スタンバイ・データベースをプライマリ・データベースとまったく同様にバックアップします。プライマリ・データベースはスタンバイ・データベースのバックアップには影響を与えません。

バックアップを実行するためにスタンバイ・データベースに接続する際、AUXILIARYキーワードではなくTARGETキーワードを使用します。

バックアップ実行時のスタンバイ・データベースの状態によって、バックアップの一貫性が確保されるかどうかが決まります。一貫性のあるバックアップを行うには、スタンバイ・データベースを正常にシャットダウン、マウントし、リカバリ・モードにならないようにする必要があります。これ以外の状態では一貫性のないバックアップとなり、メディア・リカバリをしてリストアする必要があります。

Data Guard環境でのRMANのバックアップ

Data Guard環境でRMANの操作を行う場合は、リカバリ・カタログが必要です。カタログを使用することにより、すべてのプライマリ・データベースまたはスタンバイ・データベースで、RMANのすべての操作を透過的に実行できるようになります。この環境では、プライマリ・データベースのバックアップを、任意のスタンバイ・データベースにオフロードできます。RMANバックアップは、交換可能です。RMANをNOCATALOGモードで使用する場合、RMANは、マウントされている制御ファイル内のメタデータのみを使用します。

Data Guard環境では、バックアップまたはコピーを作成するデータベースはファイルに関連付けられます。たとえば、RMANがデータベースprodTARGETとして接続し、そのデータベースをバックアップする場合、このデータベースのバックアップはprodに関連付けられます。CHANGE ... RESET DB_UNIQUE_NAMEを使用してバックアップを別のデータベースに関連付けないかぎり、バックアップは作成されたデータベースとの関連付けを維持します。

バックアップの関連付けとアクセス可能性は異なります。リカバリ・カタログでは、ディスク・バックアップはデータベースが作成されたData Guard環境のデータベースのみからアクセス可能とみなされますが、あるデータベース上で作成されたテープ・バックアップの場合は、すべてのデータベースからアクセス可能とみなされます。バックアップ・ファイルがいずれのデータベースにも関連付けられていない場合、リカバリ・カタログ・ビュー内のバックアップ・ファイルに関する行のSITE_KEY列にnullが表示されます。デフォルトでは、RMANは、TARGETとして接続されているデータベースにSITE_KEYnullのファイルを関連付けます。

Data Guard環境では、RMANのコマンドはアクセス可能ないずれのバックアップに対しても操作を実行できます。たとえば、データベースprodstandby1が異なるホスト上に存在するとします。RMANが、prod上のデータファイル1を本番ホスト上の/prodhst/disk1/df1.dbfとテープに対してバックアップします。さらに、RMANでは、standby1上のデータファイル1をスタンバイ・ホスト上の/sby1hst/disk2/df1.dbfとテープに対してバックアップします。RMANがデータベースprodTARGETとして接続されている場合は、スタンバイ・ホスト上にある/sby1hst/disk2/df1.dbfのバックアップに対してRMANの操作は実行できません。ただし、RMANは、standby1で作成されたテープ・バックアップはリストア可能とみなします。

注意:

スタンバイ・ホストからプライマリ・ホストへ(またはその逆方向に)バックアップをFTPすると、そのバックアップにCATALOGを実行できます。ファイルは、ターゲット・データベースによってカタログに追加された後に、ターゲット・データベースに関連付けられます。

RMANからバックアップにアクセス可能である場合、プライマリまたはスタンバイ・データベースに接続していれば、RMANのメンテナンス・コマンド(CHANGECROSSCHECKDELETEなど)をバックアップに使用できます。

関連項目:

Data Guard環境でRMANを使用してファイルのバックアップおよびリストアを実行する方法については、『Oracle Data Guard概要および管理』を参照してください。

クロス・プラットフォーム・トランスポート用のデータのバックアップ

BACKUPコマンドでは、あるプラットフォームから別のプラットフォームへデータベース全体、データファイル、または表領域をトランスポートするために使用されるバックアップ・セットを作成できます。クロス・プラットフォーム・バックアップを作成するには、BACKUPコマンドでFOR TRANSPORT句またはTO PLATFORM句のいずれかを使用します。V$TRANSPORT_TABLESPACEビューには、クロス・プラットフォーム・トランスポートがサポートされるプラットフォームのリストが含まれます

関連項目:

クロス・プラットフォーム・データ・トランスポート用のバックアップ・セットを作成する方法の詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください

TO PLATFORMおよびFOR TRANSPORTと互換性がない句のリスト

BACKUPコマンドを使用して、クロス・プラットフォーム・データ・トランスポート用のバックアップ・セットを作成できます。バックアップがクロス・プラットフォーム・トランスポート用であることを指定するには、FOR TRANSPORT句またはTO PLATFORM句のいずれかを使用します。

FOR TRANSPORT句またはTO PLATFORM句を使用すると、BACKUPコマンドで、次の句を使用することができません。

  • CUMULATIVE

  • forRecoveryOfSpec

  • keepOption

  • notBackedUpSpec

  • PROXY

  • SECTION SIZE

  • TAG

  • VALIDATE

セマンティクス

backup

この句は、バックアップするオブジェクトと、バックアップの制御オプションを指定します。構文図は、「backupOperand::=」を参照してください。

構文要素 説明

backupOperand

BACKUPコマンドの各種オプションを指定します。

backupSpec

バックアップするオブジェクトを1つ以上指定します。

backupSpec句ごとに、1つ以上のバックアップ・セット(AS BACKUPSET)またはイメージ・コピー(AS COPY)が生成されます。AS BACKUPSETの場合は、オブジェクト・リストで指定されているデータファイルの数またはオブジェクト・リストで自動的に選択されたデータファイルの数がFILESPERSETの制限を超えていると、backupSpec句で複数のバックアップ・セットが生成されます。

   PLUS ARCHIVELOG

アーカイブREDOログ・ファイルもバックアップの対象にします(例2-13を参照)。RMANによって次の手順が実行されます。

  1. ALTER SYSTEM ARCHIVE LOG CURRENT文が実行されます。

  2. BACKUP ARCHIVELOG ALLコマンドが実行されます。バックアップの最適化が有効になっている場合は、RMANによってまだバックアップされていないログのみがバックアップされます。

  3. BACKUPコマンドで指定したファイルのバックアップが作成されます。

  4. ALTER SYSTEM ARCHIVE LOG CURRENT文が実行されます。

  5. 残りのアーカイブREDOログ・ファイルのバックアップが作成されます。バックアップの最適化が有効になっていない場合は、RMANでは、手順1で生成されたログの他に、バックアップ中に生成されたすべてのログもバックアップされます。

CDBでは、SYSDBAまたはSYSBACKUP権限を持つ共通ユーザーとしてrootに接続した場合にのみ、アーカイブREDOログをバックアップできます。PDBに接続している場合は、バックアップにアーカイブ・ログを含めることはできません。「CDBおよびPDBへの接続」を参照してください。

注意: PLUS ARCHIVELOGBACKUP ARCHIVELOGコマンドで指定することはできません。また、BACKUP AS COPY INCREMENTALコマンド(デフォルト・バックアップ・タイプがCOPYの場合はBACKUP INCREMENTALコマンド)で指定することもできません。INCREMENTAL FROM SCNを指定しているときに、PLUS ARCHIVELOGも指定することはできません。

注意: バックアップの最後にオンラインREDOログがアーカイブされていない場合、そのバックアップにDUPLICATEは使用できません。

注意: この句を、KEEP UNTIL句とともに使用することはできません。

backupSpecOperand

backupSpec句に影響する様々なオプションとパラメータを指定します。

backupOperand

この副次句は、デバイス・タイプ、出力形式などのオプションを指定します。構文図は、「backupOperand::=」を参照してください。

構文要素 説明

backupTypeSpec

作成するバックアップのタイプ(バックアップ・セット(AS BACKUPSET)またはイメージ・コピー(AS COPY)のいずれか)を指定します。

関連項目: 詳細は、backupTypeSpecを参照してください

CHANNEL channel_id

バックアップの作成時に使用するチャネルの名前を指定します。この名前には大/小文字の区別があります。たとえばch1dev1のように、わかりやすい名前を付けてください。データベースでは、このチャネルIDがI/Oエラーのレポートに使用されます。このパラメータを設定しない場合、RMANは実行中に使用できるチャネルに動的にバックアップ・セットを割り当てます。

例2-22に示すように、CHANNELを使用して、バックアップに使用するチャネルとバックアップするファイルを指定できます。

注意: backupSpec句でもこのパラメータを指定できます。

CHECK LOGICAL

物理的な破損チェックを通過したデータ・ブロックと索引ブロックについて、論理的な破損がないかどうかをテストします(例2-24を参照)。このオプションを使用すると、通常1から3%のオーバーヘッドが付加されます。

たとえば、行ピースまたは索引エントリの論理的な破損がないかどうかを調べます。RMANは論理的な破損を見つけると、アラート・ログとサーバー・セッション・トレース・ファイルにそのブロックのログを書き込みます。SET MAXCORRUPTコマンドによって、データファイルに許容される物理的および論理的な破損の合計数が指定されます。

デフォルトでは、BACKUPコマンドは、各ブロックのチェックサムを計算し、その値をバックアップに格納します。NOCHECKSUMオプションを指定すると、RMANでは、バックアップの書込み時にブロックのチェックサムは実行されません。

SET MAXCORRUPTおよびNOCHECKSUMが設定されていない場合、CHECK LOGICALは、バックアップ時に検出される可能性があるすべてのタイプの破損を検出します。

COPIES integer

RMANで作成する同一バックアップの数(1から4)を設定します。デフォルト値は1です。

複数のフォーマット文字列を使用して、コピーに異なる名前と場所を指定できます。例2-21に、ディスクの様々な場所に多重化されたバックアップを示します。

RMANでは、ディスクまたはテープにバックアップを多重化できますが、テープとディスクにバックアップを同時に多重化することはできません。テープにバックアップを行う場合は、コピー数が使用可能なテープ・デバイスの数を超えないようにします。また、COPIESが2以上の場合、ターゲット・データベースでBACKUP_TAPE_IO_SLAVES初期化パラメータを有効にする必要があります。

複数のコマンドで多重化を指定できます。優先順位は次のとおりで、リストの上位にある設定で下位にある設定がオーバーライドされます。

  1. BACKUP COPIES

  2. SET BACKUP COPIES

  3. CONFIGURE ... BACKUP COPIES

注意: このオプションは、AS COPYでは適用されないため、エラー・メッセージが戻されます。

注意: 高速リカバリ領域にファイルを作成する場合、多重化は使用できません。

CUMULATIVE

最新のレベル0バックアップ以降に使用されたデータ・ブロックをコピーします(例2-15を参照)。

注意: このオプションは、AS COPYでは適用されないため、エラー・メッセージが戻されます。

DEVICE TYPE deviceSpecifier

指定したデバイス・タイプ専用の自動チャネルを割り当てます。たとえば、ディスクおよびテープ・チャネルを構成してから、sbtをデフォルトのデバイス・タイプとして構成すると、次のコマンドではディスク・チャネルのみが割り当てられます。

BACKUP DEVICE TYPE DISK DATABASE;

DEVICE TYPEオプションが有効なのは自動チャネルに対してのみであり、手動で割り当てられたチャネルには無効です。DISK以外のデバイスについては、そのデバイスに対してCONFIGURE DEVICE TYPEを実行していない場合、DEVICE TYPEオプションは使用できません。

注意: BACKUP RECOVERY AREAコマンドのディスク・チャネルを指定するには、toDestSpec副次句のTO DESTINATIONを使用する必要があります。

関連項目: deviceSpecifierを参照してください

DISKRATIO integer

各バックアップ・セットに、integerで指定する台数以上のディスクからのデータファイルを移入するようにRMANに指示します。

このパラメータは、データファイルまたは制御ファイルのバックアップ時に、オペレーティング・システムからRMANにディスク競合情報およびノードのアフィニティ・データを送信可能な場合にのみ有効です。この機能を手動で無効にするには、DISKRATIO0に設定します。

たとえば、データファイルが10台のディスクに分散されるとします。データがディスクから毎秒10バイトで送信され、テープ・ドライブでストリームを維持するために毎秒50バイトが必要な場合は、DISKRATIO5に設定して、各バックアップ・セットに5台以上のディスクからのデータファイルを含めるようにRMANに指示します。

FILESPERSETを設定して、DISKRATIOを設定しない場合、DISKRATIOはデフォルトでFILESPERSETと同じ値になります。いずれのパラメータも指定しない場合、DISKRATIOはデフォルトで4になります。RMANは、DISKRATIOの値を、バックアップに関連するデバイスの実際の数と比較して、小さい方の値を使用します。たとえば、DISKRATIOが4で、データファイルが3台のディスクに配置されている場合、RMANは3台のディスクからのデータファイルを各バックアップ・セットに含めようとします。

DISKRATIOパラメータは、データファイルがストライプ化されているか、または別々のディスク・スピンドルに格納されていて、次の条件のいずれかを満たす場合、データファイルのバックアップでより有効になります。

  • テープ・ドライブのストリームを維持するために、いくつかのデータファイルを多重化する必要がある高帯域幅のテープ・ドライブを使用している場合。

  • データベースのオープン中にバックアップを作成し、I/Oの負荷をいくつかのディスク・スピンドルに分散して、オンライン操作用の帯域幅を確保する場合。

注意: I/Oは、テープ・ストリームの維持に必要なディスクの最小台数を越えて分散させないでください。必要以上に分散させた場合、パフォーマンスは向上せず、ファイルのリストア時間が増加します。

duration

バックアップ・コマンドの最長実行時間に関連するオプションを指定します。

関連項目: duration

fileNameConversionSpec

このオプションは、BACKUPを使用したイメージ・コピーの作成時にのみ有効です。作成されるファイルは、指定したパターンに従って名前を変更されます。バックアップされるファイルの名前が、指定した名前変更パターンのいずれにも一致しない場合、RMANは、FORMATを使用して出力イメージ・コピーに名前を付けます。FORMATが指定されていない場合は、RMANではデフォルトのフォーマットの%Uが使用されます。

関連項目: ファイルの名前変更パターンについては、fileNameConversionSpecを参照してください

FILESPERSET integer

各出力バックアップ・セットに含める入力ファイルの最大数を指定します。このパラメータは、BACKUPでバックアップ・セットを生成する場合にのみ関係します。

backupSpecのファイルは、RMANによって1つ以上のバックアップ・セットとしてバックアップされます。各backupSpecのファイル数が、FILESPERSETの設定値より大きい場合は、その制限に合うように、RMANによって複数のバックアップ・セットにファイルが分割されます。FILESPERSETのデフォルト値は64です。

次のBACKUPコマンドで、RMANの動作を説明します。

BACKUP AS BACKUPSET (DATAFILE 3, 4, 5, 6, 7) (DATAFILE 8, 9);
BACKUP AS BACKUPSET DATAFILE 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9;
BACKUP AS BACKUPSET DATAFILE 3, ... 72;

最初のコマンドでは、RMANによって、データファイル3、4、5、6、および7は1つのバックアップ・セットに含められ、データファイル8および9は別のバックアップ・セットに含められます。2番のコマンドでは、RMANによって、すべてのデータファイルが1つのバックアップ・セットに含められます。3番目のコマンドの省略記号はデータファイル3から72を表します。この場合、70のデータファイルをバックアップすることになるため、RMANは64ファイルを1つのバックアップ・セットに含め、6ファイルを別のバックアップ・セットに含めます。

デフォルトでは、チャネル・リソースを最適に使用するために、RMANによって、ファイルがバックアップ・セットに分割されます。バックアップされるファイルの数が、チャネル数で除算されます。その結果が64未満の場合は、その値がFILESPERSET値になります。それ以外の場合、FILESPERSETはデフォルトで64になります。

注意: バックアップ・セット内のバックアップ・ピースの数は指定できません。

FORCE

RMANにバックアップの最適化を無視させます。つまり、CONFIGURE BACKUP OPTIMIZATIONONになっている場合でも、RMANによって指定したすべてのファイルがバックアップされます。

注意: backupSpecOperand句でもこのオプションを指定できます。

AUXILIARY FORMAT

ターゲット・データベース上のファイルを、補助インスタンス上の指定された場所にコピーします。AUXILIARY FORMATを指定した場合は、RMANはイメージ・コピーのみを生成できます。RMANは、TARGETAUXILIARYの両方のインスタンスに接続し、補助チャネルにアクセスできる必要があります。

BACKUP AUXILIARY FORMATコマンドを使用すると、プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースとの間で、データファイル、アーカイブ・ログ、制御ファイルおよびサーバー・パラメータ・ファイル(spfile)をネットワーク経由でコピーできます。たとえば、プライマリ・データベース上のデータファイルが消失した場合は、CONNECTを使用して、TARGETとしてスタンバイ・データベースに接続し、AUXILIARYとしてプライマリ・データベースに接続して、完全な状態のデータファイルをスタンバイ・ホストからプライマリ・ホストにコピーできます。

関連項目: 例2-29

   formatSpec

補助インスタンス上の出力イメージのコピーに名前を付けるパターンを指定します。このパスは、補助ホスト上で有効である必要があります。

関連項目: 有効な置換変数については、formatSpecを参照してください。

   NEW

補助インスタンスのDB_CREATE_FILE_DEST初期化パラメータで指定したディレクトリに、イメージ・コピーを作成します。イメージ・コピーは、Oracle管理ファイルです。

FORMAT formatSpec

出力バックアップ・ピースまたはイメージ・コピーに名前を付けるパターンを指定します(例2-16を参照)。AS COPYの場合、指定した形式で設定されたディレクトリが1つ以上存在しないと、RMANによってエラーが発行されます。

ディスク・バックアップのデフォルトの場所は、高速リカバリ領域が有効かどうかと、FORMATが指定されているかどうかによって決まります。

  • 高速リカバリ領域が有効で、FORMAT指定した場合は、RMANによってFORMATの設定に従って出力ファイルに名前が付けられます。FORMATで場所が指定されていない場合は、RMANによって(リカバリ領域にではなく)プラットフォームに固有な場所にバックアップが作成されます。

  • 高速リカバリ領域が有効で、FORMAT指定しなかった場合は、RMANでは、リカバリ領域にバックアップが作成され、置換変数%Uを使用してバックアップに名前が付けられます。

  • 高速リカバリ領域が有効でなくFORMAT指定しなかった場合は、RMANでは、プラットフォーム固有の場所にバックアップが作成され、%Uを使用してバックアップに名前が付けられます。

RMANバックアップを、Oracle Managed Files形式の名前で高速リカバリ領域に作成するには、BACKUPコマンドまたはチャネルでFORMAT句を指定しないでください。

注意: Oracle Managed Filesのファイル名は、バックアップ用の形式として指定できません。たとえば、+DISK1/datafile/system.732.609791431がOMFファイル名の場合、そのファイル名をFORMATパラメータに指定することはできません。

バックアップ・ピースにはそれぞれ一意の名前を付ける必要があります。バックアップ・ピースのファイル名の最大長はプラットフォームによって異なります。メディア・マネージャへのバックアップの場合は、サポートされているMedia Management APIのバージョンの制限によっても長さが制限されます。SBT 1.1をサポートしているベンダーは、14文字までのファイル名をサポートしている必要があります。SBT 1.1のベンダーによってはさらに長いファイル名をサポートしている場合もあります。SBT 2.0をサポートしているベンダーは、512文字までのファイル名をサポートする必要があります。SBT 2.0のベンダーによってはさらに長いファイル名をサポートしている場合もあります。

1つのbackupSpecに、同じFORMAT文字列を複数回指定することはできません(たとえば、BACKUP DATAFILE 3 TO '/tmp/df3.f', DATAFILE 4 TO '/tmp/df4.f'のような指定はできません)。ただし、RMANでは、複数のbackupSpec句に単一のFORMAT文字列を指定できます。

注意: KEEPオプションを指定して、アーカイブ・バックアップを作成する(例2-25を参照)場合は、フォーマット文字列に%Uが含まれている必要があります。このフォーマット文字列は、自動バックアップでも使用されます。

関連項目: 有効な置換変数については、formatSpecを参照してください。

TO DESTINATION toDestSpec

バックアップが作成されるディレクトリを指定します。このパラメータは、SBTチャネルではなくディスクに対して有効です。バックアップ・ファイルはOracle Managed Files(OMF)ディレクトリに作成されます。TO DESTINATIONで指定された場所にバックアップが存在しない場合にのみ、ファイルのバックアップがスキップされます。

forRecoveryOfSpec

イメージ・コピーのロールフォワード時に使用する増分バックアップとして作成するバックアップを識別します。

関連項目: forRecoveryOfSpecを参照してください

FOR TRANSPORT

バックアップ・セットを使用してクロス・プラットフォーム・バックアップを作成します。データファイル、表領域またはデータベース全体をバックアップできます。クロス・プラットフォーム表領域のバックアップを作成する際に、トランスポートされた表領域のメタデータをバックアップするには、DATAPUMP句を使用します。このメタデータは、宛先データベースでトランスポートされた表領域への接続に使用されます。

クロス・プラットフォーム・バックアップによって作成されるバックアップ・セットは、制御ファイルでカタログ化されません。

クロス・プラットフォーム・トランスポートのためにデータベース全体をバックアップする前に、データベースが読取り専用モードであることを確認します。ソースと宛先が同じエンディアン形式を使用する場合にのみ、データベースをトランスポートできます。

表領域をバックアップする際にALLOW INCONSISTENT句が使用されていない場合、バックアップする表領域は読取り専用モードである必要があります。表領域をトランスポートするため、ソースと宛先で異なるエンディアン形式を使用する場合があります。FOR TRANSPORTを使用すると、エンディアン変換は宛先データベースで実行されます。

関連項目: 「クロス・プラットフォーム・トランスポート用のデータのバックアップ」を参照してください

注意: バックアップ・セットを使用するクロス・プラットフォーム・バックアップは、Oracle Database 12cリリース1 (12.1)からサポートされます。

ALLOW INCONSISTENT

読取り専用モードでない表領域をバックアップすることができます。

ALLOW INCONSISTENTは、データベース全体のクロス・プラットフォーム・バックアップには使用できません。

バックアップは作成されますが、これらの表領域には一貫性がないため、ターゲット・データベースに直接組み込むことはできません。後で、これらの表領域が読取り専用モードのときに、表領域の増分バックアップを作成する必要があります。この増分バックアップには、表領域メタデータのエクスポート・ダンプ・ファイルを含むバックアップ・セットを作成するためのDATAPUMP 句を含める必要があります。

関連項目: 非一貫性表領域バックアップの作成およびリストアの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

FULL

バックアップに含まれているデータファイルのすべてのブロックのバックアップを作成します。FULLは、INCREMENTALの逆です。FULLまたはINCREMENTALを指定しなければ、RMANではデフォルトで全体バックアップが実行されます。

全体バックアップは、その後の増分バックアップに影響せず、増分バックアップ計画の一部分とはみなされません。ただし、イメージ・コピーの全体バックアップについては、RECOVERコマンドで増分バックアップを適用して、増分更新が可能です。

注意: 未使用ブロックの圧縮(BACKUP AS BACKUPSETの項を参照)を行うと、全体バックアップの際に一部のデータファイル・ブロックがスキップされます。

INCREMENTAL LEVEL integer

最後の増分integerバックアップ以降に変更されたデータ・ブロックのみをコピーします。ここで、integer0または1です(例2-15を参照)。

増分バックアップの説明は、「増分バックアップ」を参照してください。

INCREMENTAL FROM SCN integer

指定したSCN以上のSCNで変更されたすべてのデータファイル・ブロックが含まれている、指定したすべてのデータファイルの増分バックアップを作成します。

このオプションを使用するのは、プライマリ・データベースの変更に基づいてスタンバイ・データベースをリフレッシュするような場合です(例2-23および『Oracle Data Guard概要および管理』のRMANバックアップに関する章を参照)。このバックアップには、スタンバイ・データベースが作成された時点または最後に同期されたとき以降に変更されたすべてのブロックが含まれます。スタンバイ・データベースでは、NOREDOを指定してRECOVERを使用し、増分バックアップを適用できます。増分バックアップに取得されたすべての変更ブロックが、スタンバイ・データベースに適用され、プライマリ・データベースによって最新の状態になります。

ボリューム・シャドウ・コピー・サービス(VSS)のスナップショットに基づいて増分バックアップを作成していない場合は、INCREMENTAL FROM SCNを指定するときにformatSpecを指定します。RMANは制御ファイルのバックアップを作成するため、FORMAT文字列には%Uなどの置換変数を含める必要があります。

Windows環境では、NOKEEPオプションを使用してFROM SCNを指定する場合、およびINCREMENTAL FROM SCNを指定するときにformatSpec指定しない場合は、VSSスナップショットに基づいて増分バックアップを作成できるように、RMANによって高速リカバリ領域に増分バックアップが作成されます。その場合、増分バックアップ・セットとVSSのシャドウ・コピーを同時に使用できます。FROM SCNパラメータに指定されたチェックポイントSCN値は、VSSバックアップ・メタデータ・ドキュメントのBACKUP_CHECKPOINT値と同じである必要があります。ブロック・チェンジ・トラッキングが有効な場合、バックアップにチェンジ・トラッキングのメカニズムが使用され、増分バックアップの作成にかかる時間が大幅に短縮されます。RMANは、リカバリ時に、高速リカバリ領域の増分バックアップを透過的に適用できます。

注意: INCREMENTAL FROM SCNを指定しているときに、PLUS ARCHIVELOGも使用することはできません。

関連項目: VSSを使用してバックアップを作成する方法については、『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイドfor Microsoft Windows』を参照してください。

keepOption

バックアップが不要とみなされないように、そのバックアップについて構成されている保存方針をオーバーライドします(例2-25を参照)。

KEEP構文を使用すると、ビジネス要件または法的要件を満たすアーカイブ・データベース・バックアップを生成できます。KEEPの設定は、バックアップ・セット(個々のバックアップ・ピースの属性ではありません)またはイメージ・コピーの属性です。

注意: KEEPBACKUP BACKUPSETと併用できません。

KEEP構文を使用すると、バックアップを、指定時間後に不要とみなされるようにしたり(KEEP UNTIL)、不要にならないようにすることができます(KEEP FOREVER)。KEEP FOREVERを指定する場合は、例2-26に示すように、リカバリ・カタログに接続しておく必要があります。

注意: CHANGEを使用すると、KEEPを指定して生成されたバックアップのステータスを変更できます。

注意: KEEP UNTILPLUS ARCHIVELOGと併用できません。

関連項目: KEEPオプションを指定して作成されるバックアップの詳細は、keepOptionを参照してください

MAXSETSIZE sizeSpec

バックアップ・セットの最大サイズを指定します(例2-16を参照)。RMANでは、すべてのバックアップ・セットは、このサイズに制限されます。

バックアップ・セットは複数のテープにわたって作成可能なため、各データファイルのブロックは複数のテープに書き込まれる場合があります。マルチボリュームのバックアップ・セットのいずれかのテープで障害が発生すると、1つのテープのみでなく、すべてのテープ上のデータが失われます。バックアップ・セットには、必ず、ファイルの一部ではなく1つのファイル全体が含まれるため、各バックアップ・セットが1つのテープに収まるように、MAXSETSIZEを使用して指定することができます。

サイズはバイト単位(デフォルト)、KB単位(K)、MB単位(M)またはGB単位(G)で指定します。たとえば、バックアップ・セットを3MBに制限するには、MAXSETSIZE 3Mと指定します。デフォルト・サイズはバイト単位で、下位のKB数に丸められます。たとえば、MAXSETSIZE 3000であれば、2KB(2048バイト)に丸められます。最小値には、データベースのブロック・サイズ以上の値を指定する必要があります。

各バックアップ・セット内のデフォルトのファイル数は、FILESPERSETによって決定されます。デフォルトは64です。MAXSETSIZEを指定すると、RMANは、MAXSETSIZEパラメータに従ってバックアップ・セットのサイズをバイト単位で制限します。バックアップ・セット内のファイル数の制限は、結果のバックアップ・セットの合計サイズがMAXSETSIZEより少ない場合でも適用されます。

注意: このオプションをBACKUP AS COPYで使用すると、エラー・メッセージが戻されます。MAXSETSIZEが設定されているチャネルに対してBACKUP AS COPYを実行すると、MAXSETSIZEは暗黙的に無視されます。

notBackedUpSpec

指定した数のバックアップが存在している(かつ不要になっていない)かどうか、または指定した日付以降にログがバックアップされているかどうかによって、バックアップするアーカイブREDOログ・ファイルのセットを制限します。

関連項目: notBackedUpSpecを参照してください

NOCHECKSUM

バックアップ時にブロックに対するチェックサムを抑止します。

チェックサムとは、データ・ブロックの内容によって計算した数字のことです。DB_BLOCK_CHECKSUMは、データファイルのブロックのチェックサムを、(バックアップではなく)データベースに書き込むかどうかを制御する、データベースの初期化パラメータです。DB_BLOCK_CHECKSUMtypicalの場合、データベースでは、通常の操作中に各ブロックのチェックサムが計算され、計算結果がブロックに格納されてから、ブロックがディスクに書き込まれます。データベースは、後でディスクからブロックを読み取る場合、チェックサムを再計算し、格納されている値と比較します。これらの値が一致しない場合は、ブロックが破損しています。

注意: SYSTEM表領域のデータファイルに対するチェックサムは、DB_BLOCK_CHECKSUM=falseの場合でも無効にできません。

デフォルトでは、BACKUPコマンドは、各ブロックのチェックサムを計算し、その値をバックアップに格納します。DB_BLOCK_CHECKSUMが適用されるのは、バックアップではなくデータベースのデータファイルであるため、この初期化パラメータの値は、BACKUPコマンドでは無視されます。NOCHECKSUMオプションを指定すると、RMANでは、バックアップの書込み時にブロックのチェックサムは実行されません。

バックアップ・データファイルのリストア時には、RMANでは、DB_BLOCK_CHECKSUM初期化パラメータの設定が考慮されます。RMANでは、DB_BLOCK_CHECKSUMfalseに設定されている場合は、チェックサムが消去されます。typicalに設定されている場合は、RMANでは、バックアップからリストアしてデータファイルに書き込む際に、チェックサムが検証されます。

注意: チェックサムのチェックはNOCHECKSUMを指定して無効にできますが、他の物理的な整合性チェック(ブロックのヘッダーとフッターのチェックなど)は無効にできません。

関連項目: DB_BLOCK_CHECKSUM初期化パラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。

NOEXCLUDE

このパラメータをBACKUP DATABASEまたはBACKUP COPY OF DATABASEコマンドで指定すると、RMANでは、CONFIGURE EXCLUDEコマンドで指定されているものも含め、すべての表領域がバックアップされます。このオプションでSKIP OFFLINEまたはSKIP READONLYがオーバーライドされることはありません。

POOL integer

バックアップを格納するメディア・プールを指定します。POOLがサポートされているかどうかは、メディア管理ソフトウェアのドキュメントで確認してください。

注意: このオプションは、AS COPYで機能しません。使用すると、エラー・メッセージが戻されます。

PROXY

プロキシ・コピー機能を使用して、指定したファイルをバックアップし、メディア管理ソフトウェアがストレージ・デバイスとディスク上のデータファイルとの間のデータ転送を制御できるようにします。メディア・マネージャ(RMANではなく)がデータ移動の方法と時期を決めます。

PROXYオプションを指定してBACKUPを実行すると、RMANでは次の手順が実行されます。

  1. 指定したデバイス・タイプでプロキシが可能なチャネルを検索します。このタイプのチャネルが見つからない場合、RMANは警告を表示し、指定したファイルの従来型(非プロキシ)バックアップを試みます。

  2. RMANは、プロキシ可能なチャネルが見つかった場合、メディア・マネージャをコールして、ファイルのプロキシ・コピーが可能かどうかをチェックします。メディア・マネージャがプロキシ・コピーを行うことができない場合、RMANは従来のバックアップ・セットを使用してファイルをバックアップします。

注意: PROXYを指定した場合は、%p変数をFORMAT文字列内の%Uに明示的または暗黙的に含める必要があります。

注意: このオプションは、AS COPYで機能しません。使用すると、エラー・メッセージが戻されます。

   ONLY

プロキシ・コピーを実行できない場合は、従来のバックアップ・セットを作成しないで、データベースからエラー・メッセージを発行します。プロキシ・コピーで障害が発生したときにRMANで従来型コピーを試行しない場合は、ONLYオプションを使用します。

REUSE

RMANで、BACKUPによって現在作成されているファイルと同じ名前を持つ既存のバックアップまたはコピーを上書きできます。

SECTION SIZE sizeSpec

データファイルまたはデータファイルのコピーのバックアップ時に作成される各バックアップ・セクションのサイズを指定します。

このパラメータを設定すると、RMANでマルチセクション・バックアップを作成できます。マルチセクション・バックアップの場合は、RMANでは、ファイル・セクション(ファイル内の連続したブロック範囲)を1つ含むバックアップ・ピースが作成されます。マルチセクション・バックアップのセクションは、すべて同じサイズになります。

ファイル・セクションを使用すると、RMANでは、複数のステップで、1つの大きなデータファイルのバックアップを処理できます。RMANのチャネルは、各ステップを個々にパラレルで処理することが可能で、各チャネルではマルチセクション・バックアップ・セットの1つのセクションが生成されます。

マルチセクション・バックアップは、イメージ・コピーまたはバックアップ・セットのいずれかとして保存できます(全体と増分の両方)。マルチセクション・イメージ・コピーまたは増分バックアップを作成するには、COMPATIBLEパラメータが12.0.0以上である必要があります。

関連項目: マルチセクション・イメージ・コピーの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

注意: RMANでは常に、FILESPERSETが1に設定されたマルチセクション・バックアップが作成されます。

ファイルのサイズより大きいセクション・サイズを指定した場合、RMANはファイルのマルチセクション・バックアップを使用しません。小さなセクション・サイズを指定した結果、セクションの数が256を超えると、RMANは、正確に256になる値までセクション・サイズを増やします。

注意: このパラメータをRMAN構文のどこに指定するかによって、同じバックアップ・ジョブの中でも、ファイルごとに異なるセクション・サイズを指定できます。

注意: SECTION SIZEMAXPIECESIZEと併用できません。

skipSpec

データファイルまたはアーカイブREDOログ・ファイルがアクセス不能、オフラインまたは読取り専用である場合はバックアップから除外します。

関連項目: 詳細は、skipSpecを参照してください。

TAG tag_name

バックアップ・セット、プロキシ・コピー、データファイル・コピーまたは制御ファイル・コピーに対してユーザー指定のタグ名を指定します。タグは、BACKUPコマンドによって生成された出力ファイルに適用されます。

タグ名には、大/小文字の区別はありません。名前は30文字以下にしてください。使用する文字は、ターゲット・ファイル・システムのファイル名に使用できる有効な文字に限定されています。たとえば、ASMでは内部的に使用するファイル名にハイフン(-)文字をサポートしていないため、weekly-incrementalは、ASMディスク・グループのバックアップのタグ名としては有効でありません。TAGパラメータには、環境変数を含めることはできません。

一般的に、タグ名はMON_PM_BKUPWEEKLY_FULL_BKUPなどのように、わかりやすい名前にします。タグは再使用できます。たとえば、ある週にはバックアップ・セット100がMON_PM_BKUPのタグを使用し、翌週にはバックアップ・セット105が同じタグを使用できます。

タグ名を指定しない場合、RMANでは、デフォルトで、バックアップ用のタグが作成されます(制御ファイルの自動バックアップを除く)。デフォルトのタグは、TAGYYYYMMDDTHHMMSS書式を使用します。ここで、YYYYは年、MMは月、DDは日、HHは時(24時間書式)、MMは分およびSSは秒です。たとえば、データファイル1のバックアップのタグは、TAG20130208T133437となります。日付と時刻は、RMANによるバックアップの開始日時を指します。1つのBACKUP AS BACKUPSETコマンドによって複数のバックアップ・セットが作成される場合は、各バックアップ・ピースに同じデフォルト・タグが割り当てられます。

backupSpecレベルでもタグを指定できます。どのレベルでタグを指定するかによって、次のようになります。

  • コマンド・レベルで指定した場合は、このコマンドによって作成されるすべてのバックアップ・セットに、このタグが与えられます。

  • backupSpecレベルで指定した場合は、異なるバックアップ指定で作成されたバックアップ・セットに、それぞれ異なるタグが与えられます。

  • 両方のレベルに指定すると、backupSpecのタグが優先されます。

注意: タグは、バックアップ・セット(AS BACKUPSETの場合)の特定のコピーの各バックアップ・ピースの属性、または各イメージ・コピー(AS COPYの場合)の属性です。たとえば、BACKUP AS BACKUPSET COPIES 1 DATABASE TAG TUE_PMを実行した場合、存在するバックアップ・セットは1つのみで、それぞれのバックアップ・ピースのタグはTUE_PMになります。このバックアップ・セットの主キーが1234であるとします。BACKUP BACKUPSET 1234 TAG WED_PMを実行すると、バックアップ・セットの最初のコピーのタグはTUE_PM、2番目のコピーのタグはWED_PMとなります。

TO PLATFORM 'platform'

クロス・プラットフォーム・バックアップがトランスポートされる宛先プラットフォームの完全名を指定します。TO PLATFORMを省略すると、RMANでは宛先プラットフォームがソース・プラットフォームと同じであると想定されます。

クロス・プラットフォーム・バックアップによって作成されるバックアップ・セットは、制御ファイルでカタログ化されません。

バックアップがクロス・プラットフォーム・バックアップであることを指定するには、FOR TRANSPORTまたはTO PLATFORMを使用します。TO PLATFORMを使用してプラットフォーム名を指定すると、ソース・プラットフォームで、必要に応じてエンディアン変換が実行されます。そのため、このクロス・プラットフォーム・バックアップは、指定されたプラットフォームでのみリストアできます。TO PLATFORMを省略すると、サポートされるすべてのプラットフォームでこのクロス・プラットフォーム・バックアップをリストアすることができます。V$TRANSPORTABLE_PLATFORMビューは、サポートされるプラットフォームについての情報を提供します。

関連項目: 「FOR TRANSPORT」を参照してください

関連項目: クロス・プラットフォーム・バックアップを作成する前にデータベースまたは表領域が開いているモードの詳細は、「クロス・プラットフォーム・トランスポート用のデータのバックアップ」を参照してください

注意: バックアップ・セットを使用するクロス・プラットフォーム・バックアップは、Oracle Database 12cリリース1 (12.1)からサポートされます。

ALLOW INCONSISTENT

読取り専用モードでない表領域をバックアップすることができます。

ALLOW INCONSISTENTは、データベース全体のクロス・プラットフォーム・バックアップには使用できません。

関連項目: 「ALLOW INCONSISTENT」を参照してください

VALIDATE

指定されたファイルをスキャンして内容を検査し、そのファイルがバックアップ可能かどうか、およびデータ・ブロックが破損していないかどうかをテストします。

RMANでは、出力ファイルは作成されません。このオプションは、バックアップで指定されたデータベース・ファイルに対してVALIDATEコマンドを使用するのと同じです。

CHECK LOGICALが指定されていない場合、BACKUP VALIDATEは物理的な破損のみをチェックします。CHECK LOGICALが指定されている場合は、物理的な破損と論理的な破損の両方がBACKUP VALIDATEによってチェックされます。破損が見つかった場合は、RMANでは、その情報がV$DATABASE_BLOCK_CORRUPTIONビューに移入されます。

SET MAXCORRUPTコマンドを使用して、バックアップの検証中に許容可能な破損ブロック数に制限を設定できます。デフォルトはゼロです。

VALIDATEを指定してBACKUP INCREMENTALを実行する場合、ブロック・チェンジ・トラッキングが有効かどうかによって動作が異なります。チェンジ・トラッキングが有効な場合は、RMANでは、変更されたブロックのみが検証されます。無効な場合は、バックアップに含まれるファイルのすべてのブロックが検証されます。

注意: バックアップ・セットのバックアップは検証できません。

backupSpec

この副次句は、バックアップの対象とする1つ以上のオブジェクトのリストを指定します。backupSpec句ごとに、1つ以上のバックアップ・セット(AS BACKUPSET)またはイメージ・コピー(AS COPY)が生成されます。AS BACKUPSETでは、オブジェクト・リストで指定したか自動的に選択されたデータファイルの数が、各バックアップ・セットでデフォルトの制限の4個のデータファイルまたは16個のアーカイブREDOログ・ファイルを超えている場合は、backupSpec句で複数のバックアップ・セットが作成されます。構文図は、「backupSpec::=」を参照してください。

構文要素 説明

archivelogRecordSpecifier

バックアップ対象となるアーカイブREDOログ・ファイルの範囲を指定します。

CDB内にアーカイブREDOログをバックアップするには、SYSDBAまたはSYSBACKUP権限を持つ共通ユーザーとしてrootに接続します。PDBへの接続時には、アーカイブREDOログをバックアップすることはできません。「CDBおよびPDBへの接続」を参照してください。

アーカイブREDOログ・ファイルのバックアップ作成時に、RMANでアーカイブ・ログのフェイルオーバーを自動的に実行できます。RMANは、指定されたログ順序番号およびスレッドに対応する1つ以上のアーカイブ・ログが使用可能な場合に、ログのバックアップを作成します。また、RMANがバックアップ中のコピーに破損ブロックが含まれている場合は、同じアーカイブREDOログ・ファイルの他のコピー内で該当ブロックの正常なコピーが検索されます。

このコマンドでバックアップ対象のログが見つからなくても、RMANはエラーを発行しません。この状況になるのは、前回のBACKUP ARCHIVELOG ALL DELETE INPUTコマンド以降に新規ログが生成されていないためです。この動作の唯一の例外は、SEQUENCE番号句が指定されている場合です。この場合、指定された順序のアーカイブREDOログ・ファイルが見つからないときに、RMAN-06004エラーが発行されます。

BACKUP ARCHIVELOG ALLを指定すると、RMANは個々のログ順序番号ごとに単一コピーのバックアップのみを作成します。たとえば、複数のアーカイブ先にアーカイブする場合、RMANは、各ログ順序番号のそれぞれのアーカイブ・コピーではなく、1つのコピーをバックアップします。DELETEなど、他のコマンドの場合、ALLはログ順序が重複する場合にも各ログを参照します。

BACKUP ARCHIVELOGの実行時にデータベースがオープンしていてUNTIL句またはSEQUENCEパラメータが指定されていない場合、RMANはALTER SYSTEM ARCHIVE LOG CURRENTを実行します。

注意: BACKUP ARCHIVELOG ALLを実行する場合、または指定したログ範囲に以前のインカネーションからのログが含まれている場合、RMANは、以前のインカネーションからのログをバックアップして、OPEN RESETLOGSによるリカバリに必要なすべてのログの可用性を確認します。

関連項目: 構文についてはarchivelogRecordSpecifierを、ログ・バックアップ・フェイルオーバーと自動的なログ・スイッチについては『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください

BACKUPSET

バックアップ・セットのバックアップを指定します。このパラメータをDEVICE TYPE sbt句と併用すると、ディスク上のバックアップをテープにオフロードできます(例2-20を参照)。テープ間またはテープからディスクへはバックアップを作成できず、ディスク間またはディスクからテープへのバックアップのみが可能です。

BACKUP BACKUPSETコマンドでDELETE INPUTオプションを指定すると、RMANでは、ディスクに存在するバックアップ・セットのコピーがすべて削除されます。たとえば、単一バックアップを4つの位置に多重化した場合、RMANでは4つのバックアップ・セットがすべて削除されます。ALLオプションで追加される機能はありません。

RMANでは、バックアップ・セットのバックアップ時に、バックアップ・セット・フェイルオーバーが実行されます。バックアップ対象となるコピーが破損または欠落している場合は、RMANでは、使用可能なバックアップ・コピーがすべて検索されます。この動作は、複数のアーカイブ先に存在しているアーカイブREDOログ・ファイルのバックアップを作成する場合の、RMANの動作と同じです。

バックアップ・セットのバックアップ時にバックアップの最適化が有効な場合、同じバックアップ・セットが同じデバイス・タイプにバックアップされていると、RMANでは、そのバックアップ・セットのバックアップはスキップされます。

注意: BACKUP COPIESおよびSET BACKUP COPIESを使用すると、バックアップ・セットのバックアップを多重化できます。

注意: 暗号化されたバックアップ・セットに対してBACKUP BACKUPSETコマンドを使用すると、バックアップ・セットはその暗号化形式でバックアップされます。BACKUP BACKUPSETは、暗号化されたバックアップ・セットを単にディスクまたはテープにコピーするのみであるため、BACKUP BACKUPSET操作に暗号化鍵は不要です。この操作のどの段階でも、データの復号化が行われることはありません。バックアップ・セットは、BACKUP BACKUPSETコマンドによって暗号化されることも復号化されることもありません。

   ALL

すべてのバックアップ・セットを指定します。

 completedTimeSpec

完了時刻に基づいてバックアップ・セットを指定します。

関連項目: completedTimeSpecを参照してください

   integer

主キーに基づいてバックアップ・セットを指定します。バックアップ・セットの主キーは、LIST BACKUPコマンドの出力から得られます。

FROM TAG tag_name

1つ以上のバックアップ・セットをタグ名で識別します。複数のバックアップ・セットに同じタグ名が設定されている場合、それらすべてのバックアップ・セットがバックアップされます。tag_nameでは、大/小文字は区別されません。

CONTROLFILECOPY

バックアップのための制御ファイル・コピーを1つ以上指定します。

制御ファイルのコピーは、BACKUP AS COPY CURRENT CONTROLFILEコマンドまたはSQL ALTER DATABASE BACKUP CONTROLFILE TO '...'コマンドで作成できます。

注意: 制御ファイルの自動バックアップは、制御ファイルのコピーではありません。

   'filename'

ファイル名で制御ファイルのコピーを指定します。

   ALL

制御ファイルのすべてのコピーを指定します。

   LIKE 'string_pattern'

ファイル名のパターンで制御ファイルのコピーを指定します。パーセント記号(%)は0文字以上を示すワイルド・カードで、アンダースコア(_)は1文字を示すワイルド・カードです。

copyOfSpec

データファイルの前回のイメージ・コピーのバックアップを作成します(制御ファイルに対しても行われる場合があります)。

関連項目: copyOfSpecを参照してください

CURRENT CONTROLFILE

現行の制御ファイルを指定します。バックアップ・セットとしてバックアップする場合、RMANは読取り一貫性のためにスナップショット制御ファイルを最初に作成します。スナップショット制御ファイルの場所は、CONFIGUREコマンドで構成できます。Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)環境では、次の制限事項があります。

  • スナップショット制御ファイルの場所は、共有記憶域(すべてのOracle RACインスタンスからアクセス可能な記憶域)上である必要があります。

  • 現行の制御ファイルのイメージ・コピーの宛先は、共有記憶域である必要があります。

DATABASE

データベース内のすべてのデータファイルのバックアップを作成します。バックアップ・セットを生成した場合、RMANではデータファイルおよび制御ファイルのみを含めることができ、アーカイブREDOログ・ファイルは含めることができません。

CDBでは、そのCDB全体のすべてのデータファイルのバックアップを作成します。CDB全体をバックアップするには、rootに接続します。PDBでは、PDB内のすべてのデータファイルのバックアップを作成します。PDBをバックアップするには、そのPDBに接続します。「CDBおよびPDBへの接続」を参照してください。

backupSpecにデータファイル1が含まれている場合にCONFIGURE CONTROLFILE AUTOBACKUPOFFに設定すると、RMANでは制御ファイルがバックアップに自動的に組み込まれます。インスタンスの起動にサーバー・パラメータ・ファイルが使用される場合は、RMANでは、このパラメータ・ファイルもバックアップに組み込まれます。

backupSpecにデータファイル1が含まれている場合にCONFIGURE CONTROLFILE AUTOBACKUPONに設定すると、RMANでは、制御ファイルは出力に自動的に組み込まれません。かわりに、RMANでは、別個の制御ファイルの自動バックアップ・ピースが生成されます。インスタンスの起動にサーバー・パラメータ・ファイルが使用される場合は、RMANでは、このパラメータ・ファイルが自動バックアップ・ピースに組み込まれます。

データベースの全体バックアップは、通常、イメージ・コピーまたは圧縮されたバックアップ・セットのいずれかです。イメージ・コピーは、作成時に発生するCPUのオーバーヘッドが許容範囲内である場合、いくつかの用途(増分更新バックアップ計画での使用など)でバックアップ・セットより高い柔軟性を示します。また、圧縮されたバックアップ・セットによってストレージをより有効に使用できます。

注意: CONTROLFILE AUTOBACKUPONのときに、RMANで現行の制御ファイルを強制的にバックアップに組み込むには、INCLUDE CURRENT CONTROLFILE句を指定します。

関連項目: データベースにbigfile表領域が含まれる場合のバックアップ動作については、TABLESPACEの説明を参照してください。

DATABASE ROOT

CDBで、データファイルのバックアップをrootに作成します。共通のSYSDBA権限またはSYSBACKUP権限を持つ共通ユーザーとして、rootに接続します。

前述のDATABASEに関する説明を参照してください。

PLUGGABLE DATABASE pdb_name

カンマ区切りのリストで指定された1つ以上のPDB内のデータファイルのバックアップを作成します。「CDBおよびPDBへの接続」の説明に従って、rootに接続します。

datafileCopySpec

1つ以上のデータファイル・イメージ・コピーのファイル名を指定します。

関連項目: 詳細は、datafileCopySpecを参照してください

DATAFILE datafileSpec

1つ以上のデータファイルのリストを指定します。データファイル1をバックアップするときのRMANの動作については、BACKUP DATABASEの説明を参照してください。

関連項目: datafileSpecを参照してください

DATAPUMP

クロス・プラットフォーム表領域バックアップの実行中にデータ・ポンプ・エクスポート・ダンプ・ファイルを作成することを指定します。

エクスポート・ダンプ・ファイルには、トランスポートされる読取り専用表領域のメタデータが含まれています。このメタデータは、宛先データベースで表領域に接続するために必要です。ダンプ・ファイルは、別のバックアップ・セットに作成されます。DATAPUMP句でINCREMENTAL FROM SCNを使用する場合、表領域は読取り専用モードである必要があります。

この句を、ALLOW INCONSISTENT句とともに使用することはできません。

FORMAT formatSpec

エクスポート・ダンプ・ファイルが含まれるバックアップ・ピースを格納するために使用されるパターンを指定します。FORMATを省略すると、BACKUPコマンドで指定した形式が使用されます。BACKUPコマンドにもFORMAT句が使用されなかった場合、バックアップ・ピースにはデフォルトの形式が使用されます。

RECOVERY AREA

現行および前回のすべての高速リカバリ領域の指定先に作成されたリカバリ・ファイルをバックアップします。バックアップはSBTおよびディスクに作成できます。バックアップをディスクに作成する場合は、「toDestSpec」で説明されているTO DESTINATION構文を使用する必要があります。

リカバリ・ファイルには、全体および増分のバックアップ・セット、制御ファイルの自動バックアップ、データファイルのコピーおよびアーカイブREDOログ・ファイルが含まれます。アーカイブREDOログ・ファイルが存在しないか破損している場合、RMANはバックアップに使用できるログの正常なコピーが、リカバリ領域の外にないかどうかを確認します。フラッシュバック・ログ、現行の制御ファイルおよびオンラインREDOログ・ファイルはバックアップされません

CONFIGURE BACKUP OPTIMIZATIONの設定がOFFの場合でも、このコマンドでのバックアップの最適化は、デフォルトで有効になっています。FORCEを指定すると、BACKUP RECOVERY AREAに対するバックアップの最適化を無効にできます。

注意: 高速リカバリ領域が現在有効でなくても、以前に有効化されていた場合は、前回の高速リカバリ領域の場所に作成されたファイルがバックアップされます。

DB_RECOVERY_FILE_DEST

RECOVERY AREADB_RECOVERY_FILE_DESTはシノニムです。

RECOVERY FILES

ディスク上のすべてのリカバリ・ファイルを、高速リカバリ領域に格納されているか、ディスク上の別の場所に格納されているかに関係なくバックアップします。バックアップはSBTまたはディスクに作成できます。バックアップをディスクに作成する場合は、「toDestSpec」で説明されているTO DESTINATION構文を使用する必要があります。

リカバリ・ファイルには、全体および増分のバックアップ・セット、制御ファイルの自動バックアップ、アーカイブREDOログ・ファイルおよびデータファイルのコピーが含まれます。

CONFIGURE BACKUP OPTIMIZATIONの設定がOFFの場合でも、このコマンドでのバックアップの最適化は、デフォルトで有効になっています。FORCEを指定すると、RECOVERY FILESに対するバックアップの最適化を無効にできます。

SPFILE

サーバー・パラメータ・ファイルをバックアップ・セットに含めます。サーバー・パラメータ・ファイルのバックアップでは、AS COPYオプションはサポートされていません。

RMANは、ターゲット・データベースで使用中のサーバー・パラメータ・ファイルをバックアップします。RMANでは、サーバー・パラメータ・ファイルは、インスタンスが初期化パラメータ・ファイルによって起動された場合にはバックアップされません。RMANでは、SPFILEの増分バックアップは作成できません。

TABLESPACE tablespace_name

1つ以上の表領域の名前を指定します。RMANは、表領域名をデータファイルのリストに内部的に変換してから、表領域を現在構成しているデータファイルをすべてバックアップします。SYSTEM表領域(およびデータファイル 1)がバックアップに含まれていてCONTROLFILE AUTOBACKUPが設定されていない場合は、RMANでは、制御ファイルのコピーも作成されます。

CDBのrootに接続している場合は、rootの表領域を参照します。PDBに直接接続している場合は、PDBの表領域を参照します。CDBまたはPDBへの接続の詳細は、「CDBおよびPDBへの接続」を参照してください。

ローカル管理の一時表領域のバックアップを作成することはできません(ディクショナリ管理表領域のバックアップは作成できます)。

次の条件が満たされる場合は、RMANでは、トランスポート後に読み書き両用に設定されなかったトランスポータブル表領域についてもバックアップを作成できます。

  • COMPATIBLE初期化パラメータが11.0.0以上に設定されている。

  • Oracle Database 11g RMANクライアントを使用している。

前述の条件のいずれかが満たされない場合、RMANは、読み書き両用に設定されていないトランスポータブル表領域を自動的にスキップします。条件のいずれかが満たされない場合にトランスポータブル表領域を明示的に指定すると、表領域が存在しないというエラーがRMANによって発行されます。

注意: ユーザーが表領域の名前を変更すると、その変更がRMANによって検出され、次回の再同期化時にリカバリ・カタログが更新されます。

backupSpecOperand

backupSpecの後に続くbackupSpecOperandは、backupSpecに適用されるオプションを指定します。

backupSpecOperand

この副次句は、backupSpec句に影響する様々なオプションとパラメータを指定します。また、多くの副次句はbackupOperandでも使用されます。ここでは、backupOperandでは通常共有されないオプションを示します。構文図は、「backupSpecOperand::=」を参照してください。

構文要素 説明

DELETE [ALL] INPUT

バックアップが正常に実行された後で、入力ファイルを削除します。

このオプションを指定できるのは、アーカイブREDOログ・ファイル、データファイルのコピー(COPY OFまたはDATAFILECOPY)またはバックアップ・セットのバックアップを作成するときのみです。BACKUP ARCHIVELOGコマンドによってバックアップされるのは、個々のログ順序番号ごとに1つのコピーのみです。したがって、DELETE INPUTオプションを指定しても、ALLキーワードを付けなければ、RMANはバックアップするファイルのコピーのみを削除します。

DELETE INPUTオプションを指定すると、入力ファイルに対してDELETEコマンドを発行するのと同じ効果があります。アーカイブREDOログ・ファイルをバックアップする場合、RMANは、構成済の設定(CONFIGURE ARCHIVELOG DELETION POLICY TO BACKED UP)を使用して、アーカイブREDOログが削除可能かどうかを判断します。

ALLオプションはアーカイブREDOログ・ファイルにのみ適用されます。DELETE ALL INPUTを実行すると、対応するアーカイブREDOログ・ファイルまたはデータファイルのコピーのうち、BACKUPコマンドの選択条件と一致するもののコピーがすべて削除されます(例2-18を参照)。たとえば、SEQUENCE n句を指定すると、RMANは同じ順序番号nを持つアーカイブREDOログ・ファイルをすべて削除します。

注意: アーカイブREDOログ・ファイルは、可能な場合は高速リカバリ領域内に保持され、ディスク領域が必要になると自動的に削除されます。 BACKUP DELETE INPUTDELETE ARCHIVELOGおよびDELETE OBSOLETEコマンドを使用すると、リカバリ領域内またはリカバリ領域外にあるログ・ファイルを手動で削除できます。リカバリ領域をバックアップするときにBACKUP DELETE INPUTを指定する必要はありません。ログ・ファイルは、アーカイブREDOログの削除方針およびその他の高速リカバリ領域のルールに基づいて、自動的に削除されます。

FROM TAG tag_name

タグ名でファイルを指定します(例2-17を参照)。tag_nameと一致するファイルのみがバックアップされます。他のいくつかのコマンドとの関係で定義されます。

INCLUDE CURRENT CONTROLFILE

現行の制御ファイルのスナップショットを作成し、BACKUPコマンドで作成されるいずれかのバックアップ・セットに組み込みます。

注意: このオプションは、AS COPYでは適用されないため、エラー・メッセージが戻されます。

backupTypeSpec

この副次句は、BACKUPコマンドの出力形式(バックアップ・セットまたはイメージ・コピー)を指定します。構文図は、「backupTypeSpec::=」を参照してください。

構文要素 説明

AS BACKUPSET

指定されたデバイス上にバックアップ・セットを作成します。これがデフォルトのバックアップ・タイプです。

テープにバックアップする場合およびレベル1の増分バックアップを任意のバックアップ先に作成する場合に使用できるのは、AS BACKUPSETのみです。バックアップ・セットは、RMANに固有の論理構造です。バックアップ・セットは、バックアップの最小単位です。

BACKUPコマンドのFILESPERSETパラメータは、各バックアップ・セット内のファイルの最大数を決定します。アーカイブREDOログ・ファイルとデータファイルは、1つのバックアップ・セットに組み合せて入れられることはありません。

暗号化されたバックアップを使用している場合は(「バックアップ・セットの暗号化」を参照)、異なる暗号化設定が使用されている表領域からのデータファイルは、同じバックアップ・セットに書き込むことができません。

RMANでは、ブロック・サイズの異なるファイルのバックアップを同じバックアップ・セット内に作成することはできません。RMANでは、ブロック・サイズの異なる表領域のバックアップを作成できますが、それぞれ異なるサイズのデータファイルが専用バックアップ・セットに入れられます。

未使用ブロックの圧縮が適用されている場合、RMANは現在表に割り当てられているブロックのみを読み取ります。さらに、RMANは、各ブロックのヘッダーにブロックが未使用であることを示すマークが付けられていないかを確認します。ブロックが未使用である場合、ブロックはバックアップに書き込まれません。

未使用ブロックの圧縮は、次の5つの条件がすべて満たされている場合に自動的に実行されます。

  1. COMPATIBLE初期化パラメータが10.2以上に設定されている。

    注意: COMPATIBLEが10.2に設定されている場合は、10.2互換で作成された表領域のみが、現在データを含まないブロックを除外するように最適化されます。ただし、COMPATIBLEが11.0.0以上の場合は、COMPATIBLEが11.0.0以上に設定された後でバックアップ・セットを作成する最初のバックアップが、すべてのローカル管理データファイルを最適化できるように、それらのデータファイルのヘッダーを更新します。

  2. 保証付きリストア・ポイントがデータベースに対して現在定義されていない。

  3. データファイルはローカルで管理されます。

  4. データファイルが、全体バックアップの一部分またはレベル0の増分バックアップとしてバックアップ・セットにバックアップされている。

  5. ディスクにバックアップ・セットが作成されているか、またはOracle Secure Backupがメディア・マネージャである。

    注意: Oracle Secure Backup以外のメディア・マネージャにバックアップする場合は、RMANでは、データが含まれるかどうかに関係なく、すべてのブロックがコピーされます。

注意: 未使用のブロックが破損していても問題ありません。未使用ブロックの圧縮では、破損しているブロックは読み込まれません。このため、RMANが破損を検出することはありません。

関連項目: NULLブロックの圧縮および未使用ブロックの圧縮の詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

各バックアップ・セットには、1つ以上のバックアップ・ピースが含まれます。これは、バックアップ対象のデータを含むRMAN固有の物理ファイルです。BACKUPコマンドを使用してプロキシ・コピーを作成することもできます。プロキシ・コピーは、データ転送全体がメディア・マネージャによって実行されるバックアップです。

RMANでは、完全バックアップ・セットのみがRMANリポジトリに記録されます。部分バックアップ・セットは記録されません。BACKUPコマンドによってバックアップ・ピースが作成されても、完全なバックアップ・セットは生成されなかった場合、作成されたバックアップ・ピースは破棄されます。

注意: 1つのバックアップ・セットを複数のチャネルに分散することはできません。また、1つの入力ファイルを複数のバックアップ・セットに分散することもできません。

関連項目: RMANでOracle Secure Backupを使用する方法については、『Oracle Secure Backup管理者ガイド』を参照してください。

AS COMPRESSED BACKUPSET

バイナリ圧縮を有効にします。

RMANは、バックアップ・セットに書き込まれたデータを圧縮するため、バックアップ・セット全体のサイズは小さくなります。バックアップ・セットを作成するすべてのバックアップで、圧縮されたバックアップ・セットを作成できます。圧縮されたバックアップ・セットのリストア方法と圧縮されていないバックアップ・セットのリストア方法に違いはありません。

RMANは、データをバックアップ・セットに書き込む際にバイナリ圧縮アルゴリズムを適用します。この圧縮方法は、多くのメディア・マネージャ・ベンダーが提供している圧縮方法に類似しています。ローカル接続されたテープ・デバイスにバックアップする場合は、通常、メディア管理ベンダーが提供する圧縮の方がBACKUP AS COMPRESSED BACKUPSETで実行されるバイナリ圧縮より適しています。そのため、ローカル接続されたテープ・デバイスにバックアップする場合は、圧縮されていないバックアップ・セットを使用し、メディア管理ベンダーが提供する圧縮をオンにします。RMANのバイナリ圧縮とメディア・マネージャの圧縮を同時に使用しないでください。

バックアップ・セットを圧縮する場合、ある程度のCPUオーバーヘッドが発生します。ターゲット・データベースが最大またはそれに近い負荷で実行されていると、このオーバーヘッドが許容できないほど大きくなる場合があります。他のほぼすべての環境では、バックアップ・セットを圧縮すると、CPUのオーバーヘッドに値するだけのディスク領域が確保されます。

AS COPY

(バックアップ・セットではなく)イメージ・コピーを作成します。

イメージ・コピーは、元のファイルのバイト単位の同一コピーです。データファイル、制御ファイル、データファイル・コピー、制御ファイル・コピーおよびアーカイブREDOログ・ファイルのイメージ・コピー・バックアップを作成することができます。イメージ・コピー・ファイルはディスクにのみ格納できます。増分更新バックアップを使用している場合、レベル0の増分はイメージ・コピー・バックアップである必要があります。

デフォルトでは、BACKUPはバックアップ・セットを生成します。CONFIGURE DEVICE TYPE ... BACKUP TYPE TO COPYコマンドを使用すると、ディスク・バックアップでのデフォルトのバックアップ・タイプをイメージ・コピーに変更できます。

RMANでは、次の規則に従ってコピーの作成場所を選択します(優先順位の高い順に示しています)。

  1. バックアップするオブジェクトに対するBACKUPコマンドで指定されたFORMAT

  2. BACKUPコマンドに指定されたFORMAT

  3. BACKUPコマンドに設定されたfileNameConversionSpec

  4. CONFIGURE CHANNEL integer ... FORMAT

  5. CONFIGURE CHANNEL DEVICE TYPE ... FORMAT

  6. プラットフォーム固有のデフォルトのFORMAT(一意のファイル名を生成する%Uが含まれる)

イメージ・コピー・バックアップの作成およびリストアは、RMANを使用するか、またはファイルをコピーするためのオペレーティング・システム固有のコマンドを使用して実行できます。RMANを使用する場合は、コピーがRMANリポジトリに記録され、リストアおよびリカバリで簡単に使用できます。RMANを使用しない場合は、CATALOGコマンドでユーザー管理コピーをRMANリポジトリに追加して、RMANで使用できるようにする必要があります。

イメージ・コピーのイメージ・コピーは作成できますが、バックアップ・セットのコピーは作成できません。バックアップ・セットのバックアップを作成するには、BACKUP BACKUPSETコマンドを実行します。

copyOfSpec

この副次句は、BACKUPコマンドの出力形式(バックアップ・セットまたはイメージ・コピー)を指定します。構文図は、copyOfSpec::=」を参照してください。

構文要素 説明

COPY OF DATABASE

データベース内のすべてのデータファイルおよび制御ファイルの前回のイメージ・コピーのバックアップを作成します。BACKUP DATABASEによって通常組み込まれるすべてのデータファイルにコピーが含まれている必要があります(含まれていない場合は、RMANによってエラーが発行されます。)。すべてのコピーが1回のBACKUPコマンドで作成されている必要はありません。データファイルの複数のコピーが存在する場合は、RMANによって最新のコピーがバックアップされます。オプションで、タグ名(FULL_COLD_COPYなど)でコピーを指定します。

CDBで、CDBにあるすべてのデータファイルおよび制御ファイルについて、前回のイメージ・コピーのバックアップを作成します。CDB全体をバックアップするには、rootに接続します。PDBで、PDBにあるすべてのデータファイルおよび制御ファイルについて、前述のイメージ・コピーのバックアップを作成します。PDBをバックアップするには、そのPDBに接続します。「CDBおよびPDBへの接続」を参照してください。

注意: このコマンドの出力は、イメージ・コピーまたはバックアップ・セットにできます。

COPY OF DATABASE ROOT

CDBで、rootにあるデータファイルおよび制御ファイルについて前述のイメージ・コピーのバックアップを作成します。前述のCOPY OF DATABASEに関する説明を参照してください。「CDBおよびPDBへの接続」を参照してください。

COPY OF PLUGGABLE DATABASE pdb_name

CDBで、1つ以上のPDBにあるデータファイルおよび制御ファイルについて、前回のイメージ・コピーのバックアップを作成します。複数のPDBを指定する場合は、カンマ区切りのリストを使用してください。「CDBおよびPDBへの接続」の説明に従って、rootに接続します。

COPY OF DATAFILE datafileSpec

1つ以上のデータファイルの前回のイメージ・コピーのバックアップを作成します。ファイル番号(DATAFILE 3)またはファイル名(DATAFILE '?/oradata/trgt/users01.dbf')でデータファイルを指定します。データファイルのコピーのファイル名ではなく、データファイルの名前を指定します。特定のデータファイルのコピーが複数存在する場合、RMANでは最新のコピーがバックアップされます。

注意: バックアップ対象のイメージ・コピーが1回のBACKUPコマンドで作成されている必要はありません。

注意: このコマンドの出力は、イメージ・コピーまたはバックアップ・セットにできます。

関連項目: datafileSpecを参照してください

COPY OF TABLESPACE tablespace_name

指定した1つ以上の表領域内のデータファイルの前回のイメージ・コピーのバックアップを作成します。BACKUP TABLESPACEによって通常組み込まれるすべてのデータファイルに、コピーが含まれます(含まれていない場合は、RMANによってエラーが発行されます)。すべてのコピーが1回のBACKUPコマンドで作成されている必要はありません。データファイルの複数のコピーが存在する場合は、RMANによって最新のコピーがバックアップされます。

表領域名(usersなど)でリストに表領域を指定するか、またはタグ名(0403_CPY_OF_USERSなど)で特定のコピーを指定します。TAGを指定しない場合は、RMANによって、表領域内の各データファイルの最新のデータファイルのコピーがバックアップされます。

注意: このコマンドの出力は、イメージ・コピーまたはバックアップ・セットにできます。

datafileCopySpec

この副次句は、データファイルのコピーを指定します。構文図は、「datafileCopySpec::=」を参照してください。

構文要素 説明

'filename'

1つ以上のデータファイル・イメージ・コピーのファイル名を指定します。

ALL

データファイルのすべてのイメージ・コピーをバックアップするように指定します。

LIKE 'string_pattern'

ファイル名のパターンを指定します。パーセント記号(%)は0文字以上を示すワイルド・カードで、アンダースコア(_)は1文字を示すワイルド・カードです。

FROM TAG tag_name

データファイルの1つ以上のコピーのリストをタグ名で指定します。このタグの付いたデータファイルのコピーが複数存在する場合、RMANによって特定のデータファイルの最新データファイル・コピーのみがバックアップされます。タグには、大/小文字区別はありません。

   NODUPLICATES

バックアップ操作で同一のデータファイルのコピーが組み込まれないようにします(例2-28を参照)。データファイルのコピーが重複している場合は、最新のタイムスタンプを持つファイルが選択されます。

duration

この副次句は、データファイルのコピーを指定します。構文図は、duration::=を参照してください。

構文要素 説明

DURATION hh:mm

バックアップ・コマンドの最長実行時間を指定します。指定した実行時間内にバックアップ・コマンドが完了しなかった場合、バックアップは停止します。

PARTIALオプションを指定しないと、バックアップが指定した実行時間で完了しなかった場合、バックアップ・コマンドが正常に実行されなかったとみなされ、RMANによってエラーがレポートされます。バックアップ・コマンドがRUNブロックの一部である場合、そのRUNブロック内の後続コマンドは実行されません。

   MINIMIZE {LOAD | TIME}

ディスク・バックアップでは、MINIMIZE TIMEを使用してバックアップを最大速度で実行(デフォルト)したり、システムの負荷を軽減するためにMINIMIZE LOADを使用してバックアップの速度を遅くできます。MINIMIZE LOADを指定すると、バックアップに指定した実行時間が最大限に使用されます。

TIMEを指定すると、最も新しくバックアップされたファイルに対するバックアップの優先順位が最も低くなります。このスケジュール・メカニズムによって、異なるデータファイルがラウンドロビン法でバックアップされるため、一連のバックアップ期間内で最終的に完全なデータベースのバックアップが行われます。

   PARTIAL

PARTIALオプションを指定すると、バックアップ全体が指定した実行時間で完了しなかった場合でも、コマンドが正常に完了したと判断され、RMANによってエラーはレポートされません。

PARTIALオプションを指定しないと、バックアップが指定した実行時間で完了しなかった場合、バックアップ・コマンドが正常に実行されなかったとみなされ、RMANによってエラーがレポートされます。バックアップ・コマンドがRUNブロックの一部である場合、そのRUNブロック内の後続コマンドは実行されません。

PARTIALを指定しているかどうかに関係なく、バックアップが中断される前に完了したすべてのバックアップ・セットは保存され、RESTOREおよびRECOVERの操作で使用できます。

forRecoveryOfSpec

この副次句は、バックアップを増分更新バックアップ計画で使用することを指定します。FOR RECOVER OFを指定する際に、INCREMENTAL LEVEL 1を指定する必要があります。構文図は、forRecoveryOfSpec::=を参照してください。

構文要素 説明

FOR RECOVER OF COPY

以前のデータファイル・コピーまたは増分バックアップ以降に行われたすべての変更を増分バックアップに含めるように指定します。デフォルトでは、RMANによって差分増分バックアップが作成されます。RMANで累積バックアップを作成するには、CUMULATIVEを指定する必要があります。

WITH TAG句を使用して、この増分バックアップ計画とそれ以外のバックアップ計画を区別してください。WITH TAG指定しない場合、RMANでは最新のデータファイルのコピーが増分バックアップの基礎として使用されます。

BACKUP INCREMENTAL LEVEL 1 FOR RECOVER OF COPYコマンドを使用すると、イメージ・コピーまたはバックアップ・セットを作成できます。RMANでは、レベル0のイメージ・コピーが存在しない場合はレベル0のイメージ・コピーが作成されますが、存在する場合はバックアップ・セットが作成されます。

関連項目: 増分更新バックアップの作成方法は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

   WITH TAG tag_name

バックアップ計画の基礎として使用されるレベル0の増分バックアップのタグを指定します(例2-19を参照)。

BACKUP INCREMENTAL ... WITH TAG構文を使用して、レベル0のイメージ・コピーのロールフォワードに適したレベル1の増分バックアップを作成できます。その後、RECOVER COPY OF ... WITH TAGを使用して、このコピーにレベル1のバックアップを適用できます。これによって、バックアップ計画ではデータファイル・コピーが継続してロールフォワードされるため、メディア・リカバリの実行時に適用する変更が少なくなります。この方法は、Enterprise Managerのディスク・バックアップ計画の基礎として使用されます。

WITH TAGを指定すると、RMANによって、バックアップ計画でのすべての新しい増分バックアップにレベル0のデータファイル・コピーと同じタグが自動的に割り当てられます。RMANでは、このタグが割り当てられている使用可能な増分バックアップに基づいて、レベル1のバックアップに含めるブロックが決定されます。

注意: BACKUPコマンドにTAGオプションとWITH TAGオプションの両方を指定すると、RMANによって、TAGオプションは無視され、増分バックアップはWITH TAGで指定したタグを受け取ることを示す警告が発行されます。

WITH TAGパラメータで指定したタグを持つレベル0のバックアップが、現行または親のデータベース・インカネーションに存在しない場合は、FOR RECOVER OF COPYオプションによって、WITH TAGパラメータで指定したタグを持つレベル0のデータファイル・コピーが作成されます。

   DATAFILECOPY  FORMAT formatSpec

出力イメージ・コピーに名前を付けるパターンを指定します。

データファイルをデータベースに追加する場合は、新しく作成されたファイルの増分更新バックアップ計画で必要なレベル0のデータファイル・コピーがRMANによって自動的に作成されるため、バックアップ・スクリプトを変更する必要はありません。

FOR RECOVER OF TAG tag_name

tag_nameで指定したレベル0の増分バックアップをリカバリするためのアーカイブREDOログ・ファイルまたは増分バックアップをバックアップします。

たとえば、BACKUP INCREMENTAL LEVEL 1 FOR RECOVER OF TAG wholedb ARCHIVELOG ALLコマンドによって、wholedbというタグが付いているレベル0の増分バックアップのリカバリに必要なアーカイブREDOログ・ファイルをすべてバックアップできます。

notBackedUpSpec

RMANでは、この副次句は、同じデバイス・タイプに対してまだバックアップされていないファイルのみをバックアップするように指定します。構文図は、notBackedUpSpec::=を参照してください。

構文要素 説明

NOT BACKED UP

BACKUPコマンドで指定されたファイルのうち、同じデバイス・タイプに対してバックアップが実行されていないファイルのみをバックアップします(例2-27を参照)。

この副次句を使用すると、データベースに新規に追加したデータファイルを簡単にバックアップできます。RMANは、データファイル・チェックポイントを検査せずに、まだバックアップされていないデータファイルをバックアップします。バックアップ・セットをバックアップするときに、NOT BACKED UPを指定することもできます。

BACKUPをこの句とともに使用すると、アーカイブREDOログの削除方針で自動的に実行されることを手動で実行することになります。CONFIGURE ARCHIVELOG DELETION POLICY TO BACKED UP integer TIMESコマンドを指定すると、指定したデバイス・タイプにinteger回のバックアップが存在しないかぎり、BACKUP ARCHIVELOG ALLコマンドによってすべてのログがコピーされます。ログのinteger回のバックアップが存在する場合は、BACKUPコマンドはログをスキップします。このように、アーカイブ・ログの削除方針は、BACKUPコマンドのデフォルトのNOT BACKED UP integer TIMES句として機能します。

KEEPオプションで作成したアーカイブのバックアップは、NOT BACKED UP副次句の評価時にはカウントされません。たとえば、次のコマンドを発行したとします。

BACKUP ARCHIVELOG SEQUENCE 345 NOT BACKED UP 3 TIMES

このとき、指定したログがすでに2つのKEEPでないバックアップ・セットと1つのKEEPバックアップ・セットにバックアップされている場合、このコマンドではあと1回ログをバックアップします。

注意: この句は、バックアップの最適化(CONFIGURE BACKUP OPTIMIZATION)およびアーカイブREDOログ・ファイルの削除方針(CONFIGURE ARCHIVELOG DELETION POLICY)をオーバーライドします。

   integer TIMES

integer回以上バックアップされていないアーカイブREDOログ・ファイルのみをバックアップします。

注意: アーカイブREDOログ・ファイルをバックアップ・セットにバックアップしている場合のみ、NOT BACKED UP integer TIMESを指定できます。

ファイルのバックアップの数を決定する場合、RMANは、現行のバックアップと同じデバイス・タイプに作成されているバックアップのみを考慮します。

このオプションは、指定したメディアにアーカイブREDOログ・ファイルをバックアップする場合に便利です。たとえば、各ログの3つ以上のコピーをテープに保存できます。

   SINCE TIME ' date_string '

その日付を過ぎると、RMANがバックアップされていないファイルのバックアップを開始する日付を指定します。

date_stringは、現行のNLS_DATE_FORMATの日付または'SYSDATE-1'などのSQL DATE式です。ファイルのバックアップ数を計算する場合、RMANでは、現行のバックアップと同じデバイス・タイプで作成されたバックアップのみが考慮されます。

このオプションを使用すると、前回失敗したバックアップ中に処理されなかったデータファイルをバックアップできます。たとえば、データベースをバックアップしても、インスタンスの途中で障害が発生する場合があります。その場合は、NOT BACKED UP SINCE TIME句を使用してバックアップを再開し、バックアップ済のファイルを対象から除外できます。AS BACKUPSETを指定すると、この機能が役立つのは、RMANがバックアップ中に複数のバックアップ・セットを生成する場合のみです。

ファイルがバックアップされたかどうかを判断するときには、SINCE日付が最新バックアップの完了時刻と比較されます。BACKUP AS BACKUPSETの場合、バックアップ・セット内のファイルの完了時刻は、バックアップ・セット全体の完了時刻です。つまり、同じバックアップ・セット内のすべてのファイルの完了時刻は同じです。

skipSpec

この副次句は、バックアップから除外するファイルを指定します。構文図は、skipSpec::=を参照してください。

構文要素 説明

SKIP

次のキーワードで指定する基準に従って、データファイルまたはアーカイブREDOログ・ファイルを除外します。

注意: backupSpec句でもこのオプションを指定できます。

   INACCESSIBLE

I/Oエラーのために読み取ることができないデータファイルまたはアーカイブREDOログ・ファイルを除外します。

データファイルは、読取りが不可能な場合にのみアクセス不能とみなされます。一部のオフライン・データファイルは、ディスク上に残っているために読取りが可能です。他のデータファイルは削除または移動されたためにアクセス不可となり、読取り不可となります。

   OFFLINE

オフライン・データファイルを除外します。

   READONLY

読取り専用データファイルを除外します。

例2-13 データベースのバックアップ

この例では、オペレーティング・システム・コマンドラインからRMANクライアントを起動した後、オペレーティング・システム認証を使用してターゲット・データベースに接続します。BACKUPコマンドによって、すべてのデータファイル、現行の制御ファイル、サーバー・パラメータ・ファイルおよびアーカイブREDOログ・ファイルがデフォルトのストレージ・デバイスにバックアップされます。

% rman
RMAN> CONNECT TARGET /
RMAN> BACKUP DATABASE PLUS ARCHIVELOG;

例2-14 複数のPDBのバックアップ

この例では、オペレーティング・システム認証を使用してrootに接続した後、PDB hr_pdbsales_pdbのバックアップを作成します。

%rman
RMAN> CONNECT TARGET /
RMAN> BACKUP PLUGGABLE DATABASE hr_pdb, sales_pdb;

例2-15 累積増分バックアップの実行

この例では、最後に実行されたレベル0の増分バックアップ以降にデータベース上で変更されたすべてのブロックをバックアップします。レベル1バックアップの実行時にレベル0バックアップが存在しない場合は、RMANでは、レベル0バックアップが自動的に作成されます。アクセスできないファイルは、スキップされます。

BACKUP 
  INCREMENTAL LEVEL 1 CUMULATIVE
  SKIP INACCESSIBLE 
  DATABASE;

例2-16 複数ディスクへのバックアップの分散

この例では、2つの異なるディスクに表領域をバックアップし、RMANにバックアップのパラレル化を自動的に実行させます。FORMAT文字列の%Uは、出力するイメージ・コピーごとに一意のファイル名を生成する置換変数です。

RUN
{
  ALLOCATE CHANNEL dev1 DEVICE TYPE DISK FORMAT '/disk1/%U';
  ALLOCATE CHANNEL dev2 DEVICE TYPE DISK FORMAT '/disk2/%U'; 
  BACKUP AS COPY
    TABLESPACE SYSTEM, tools, users, undotbs;
}

例2-17 タグによるデータファイル・コピーの識別

この例では、データファイルのイメージ・コピーをテープにバックアップします。 このBACKUPコマンドは、LATESTCOPYというタグが付いているすべてのデータファイル・コピーを検出してテープにバックアップし、そのバックアップに置換変数を使用した名前を付けます。変数%fは、絶対ファイル番号を指定します。また、%dは、データベースの名前を指定します。データファイルのコピーをテープ上に作成したら、LATESTCOPYというタグが付いているすべてのイメージ・コピーが削除されます。

BACKUP 
  DEVICE TYPE sbt
  DATAFILECOPY 
    FROM TAG 'LATESTCOPY'
  FORMAT 'Datafile%f_Database%d';
DELETE COPY TAG 'LATESTCOPY';

例2-18 アーカイブREDOログ・ファイルのバックアップと削除

この例では、2つのアーカイブ先(/disk2/PROD/archivelog/および/disk1/arch/)が設定されているとします。このコマンドは、一意の順序番号ごとにアーカイブREDOログを1つバックアップします。たとえば、アーカイブREDOログ1000が両方のディレクトリにある場合、RMANは、このログの1つのコピーのみをバックアップします。ALLキーワードが指定されたDELETE INPUT句によって、バックアップの終了後に、両方のアーカイブ・ディレクトリからすべてのアーカイブREDOログを削除します。

BACKUP DEVICE TYPE sbt
  ARCHIVELOG LIKE '/disk%arc%'
  DELETE ALL INPUT;

このコマンドでは、次のような出力が表示されます。

Starting backup at 12-MAR-13
allocated channel: ORA_SBT_TAPE_1
channel ORA_SBT_TAPE_1: SID=150 device type=SBT_TAPE
channel ORA_SBT_TAPE_1: Oracle Secure Backup
channel ORA_SBT_TAPE_1: starting archived log backup set
channel ORA_SBT_TAPE_1: specifying archived log(s) in backup set
input archived log thread=1 sequence=4 RECID=4 STAMP=616789551
input archived log thread=1 sequence=5 RECID=5 STAMP=616789551
input archived log thread=1 sequence=6 RECID=6 STAMP=616789554
input archived log thread=1 sequence=7 RECID=7 STAMP=616789731
input archived log thread=1 sequence=8 RECID=8 STAMP=616789825
input archived log thread=1 sequence=9 RECID=10 STAMP=616789901
input archived log thread=1 sequence=10 RECID=12 STAMP=616789985
channel ORA_SBT_TAPE_1: starting piece 1 at 12-MAR-13
channel ORA_SBT_TAPE_1: finished piece 1 at 12-MAR-13
piece handle=0vice0g7_1_1 tag=TAG20130312T105917 comment=API Version 2.0,MMS Version 10.1.0.3
channel ORA_SBT_TAPE_1: backup set complete, elapsed time: 00:00:25
channel ORA_SBT_TAPE_1: deleting archived log(s)
archived log file name=/disk2/PROD/archivelog/2013_03_09/o1_mf_1_4_2z45sgrc_.arc RECID=4 STAMP=616789551
archived log file name=/disk2/PROD/archivelog/2013_03_09/o1_mf_1_5_2z45sgrc_.arc RECID=5 STAMP=616789551
archived log file name=/disk2/PROD/archivelog/2013_03_09/o1_mf_1_6_2z45sl3g_.arc RECID=6 STAMP=616789554
archived log file name=/disk2/PROD/archivelog/2013_03_09/o1_mf_1_7_2z45z2kt_.arc RECID=7 STAMP=616789731
archived log file name=/disk2/PROD/archivelog/2013_03_09/o1_mf_1_8_2z4620sk_.arc RECID=8 STAMP=616789825
archived log file name=/disk1/arch/archiver_1_8_616789153.arc RECID=9 STAMP=616789825
archived log file name=/disk2/PROD/archivelog/2013_03_09/o1_mf_1_9_2z464dhk_.arc RECID=10 STAMP=616789901
archived log file name=/disk1/arch/archiver_1_9_616789153.arc RECID=11 STAMP=616789901
archived log file name=/disk2/PROD/archivelog/2013_03_09/o1_mf_1_10_2z4670gr_.arc RECID=12 STAMP=616789985
archived log file name=/disk1/arch/archiver_1_10_616789153.arc RECID=13 STAMP=616789985
Finished backup at 12-MAR-13
 
Starting Control File and SPFILE Autobackup at 12-MAR-13
piece handle=c-28643857-20130312-02 comment=API Version 2.0,MMS Version 10.1.0.3
Finished Control File and SPFILE Autobackup at 12-MAR-13

例2-19 増分更新バックアップのスクリプト作成

バックアップを増分更新することによって、データベースのイメージ・コピーの全体バックアップに伴うオーバーヘッドを避けると同時に、メディアのリカバリ時間を最小限にすることもできます。たとえば、日次バックアップ用のスクリプトを実行する場合に、メディア・リカバリに適用するREDOを1日分より多く持つことはありません。

次のスクリプトを毎日実行するとします。初回実行時には、スクリプトによって、指定したタグを使用してディスク上にデータベースのイメージ・コピーのバックアップが作成されます。2回目の実行では、データベースのレベル1の差分増分バックアップが作成されます。RMANでは、以降のすべての実行で、レベル1の増分バックアップがデータファイルのコピーに適用され、新しいレベル1のバックアップが作成されます。

RUN
{
  RECOVER COPY OF DATABASE 
    WITH TAG 'incr_update';
  BACKUP
    INCREMENTAL LEVEL 1
    FOR RECOVER OF COPY WITH TAG 'incr_update'
    DATABASE;
}

例2-20 テープへのディスクベースのバックアップ・セットのバックアップ

最近のバックアップ・セットをディスク上に保持し、古いバックアップ・セットをテープ上に置くことを目標とします。また、同じバックアップ・セットのコピーを、ディスクとテープに同時に保持することは避けるものとします。この例では、2週間より前に作成されたバックアップ・セットはテープにバックアップされ、そのバックアップ・ピースがディスクから削除されます。

BACKUP
  DEVICE TYPE sbt 
  BACKUPSET
    COMPLETED BEFORE 'SYSDATE-14' 
  DELETE INPUT;

例2-21 データベース・バックアップの多重化

この例では、COPIESパラメータを使用して、圧縮されたデータベース・バックアップを2つ(別々のディスクに1つずつ)作成します。出力場所は、FORMATパラメータで指定します。

BACKUP AS COMPRESSED BACKUPSET
  DEVICE TYPE DISK 
  COPIES 2
  DATABASE
  FORMAT '/disk1/db_%U', '/disk2/db_%U';

例2-22 チャネルでのワークロードの分割方法の指定

この例では、CHANNELパラメータで、どのチャネルでどのファイルをどこにバックアップするかを指定し、バックアップを明示的にパラレル化します。

RUN
{
  ALLOCATE CHANNEL ch1 DEVICE TYPE sbt
    PARMS 'ENV=(OB_DEVICE_1=stape1)';
  ALLOCATE CHANNEL ch2 DEVICE TYPE sbt
    PARMS 'ENV=(OB_DEVICE_1=stape2)';
  BACKUP 
    (DATABASE        # ch1 backs up database to tape drive stape1
      CHANNEL ch1)
    (ARCHIVELOG ALL
      CHANNEL ch2);  # ch2 backs up archived redo log files to tape drive stape2
}

例2-23 スタンバイ・データベースのリフレッシュ用の増分バックアップの作成

この例では、プライマリ・データベースの増分バックアップを作成し、それを使用して関連付けられたスタンバイ・データベースを更新することを目標とします。RMANクライアントを起動し、CONNECTを使用してTARGETとしてプライマリ・データベースに接続してから、リカバリ・カタログに接続します。BACKUPコマンドでは、スタンバイ・データベースで適用可能なプライマリ・データベースの増分バックアップを作成し、指定したSCN以降の変更を反映して更新します。

RMAN> CONNECT TARGET /

connected to target database: PROD (DBID=39525561)

RMAN> CONNECT CATALOG rco@catdb

recovery catalog database Password: password
connected to recovery catalog database

RMAN> BACKUP DEVICE TYPE DISK
2> INCREMENTAL FROM SCN 404128 DATABASE
3>  FORMAT '/disk1/incr_standby_%U';

例2-24 データファイル・バックアップの破損許容度の指定

この例では、データベースに5つのデータファイルが含まれているとします。SET MAXCORRUPTコマンドを使用して、破損は各データファイルで1つのみ許容されることを指定します。BACKUPコマンドでCHECK LOGICALオプションが指定されているため、RMANは、物理的な破損と論理的な破損の両方をチェックします。

RUN
{
  SET MAXCORRUPT FOR DATAFILE 1,2,3,4,5 TO 1;
  BACKUP CHECK LOGICAL
    DATABASE;
}

例2-25 アーカイブ目的での一貫性データベース・バックアップの作成

この例では、keepOptionを使用して、1年間は不要とみなされることがないアーカイブ・バックアップ・セットを作成します。この例では、データベースをバックアップし、REDOを現行のオンライン・ログにアーカイブしてこの新しいバックアップに一貫性があることを保証し、データファイル・バックアップを一貫性がある状態にリストアするために必要なアーカイブREDOログ・ファイルのみをバックアップします。

このBACKUPコマンドでは、このバックアップと一貫性を持つSCNと対応するリストア・ポイントも作成されます。FORMATパラメータは、複数のバックアップ・セット内に複数のバックアップ・ピースを作成できるように指定する必要があります。

BACKUP DATABASE
  FORMAT '/disk1/archival_backups/db_%U.bck' 
  TAG quarterly
  KEEP UNTIL TIME 'SYSDATE + 365'
  RESTORE POINT Q1FY06;

例2-26 保存方針からのコピーの除外

次の例では、2つのデータファイルをコピーして、保存方針から永久に除外します。自動バックアップがオフの場合でも、制御ファイルおよびサーバー・パラメータ・ファイルもバックアップされます。

KEEP FOREVERにはリカバリ・カタログが必要です。

SHUTDOWN IMMEDIATE;
STARTUP MOUNT;
BACKUP
  KEEP FOREVER
  FORMAT '?/dbs/%U_longterm.cpy'
  TAG LONGTERM_BCK
  DATAFILE 1 DATAFILE 2;
ALTER DATABASE OPEN;

例2-27 バックアップが必要なファイルのバックアップ

データベースおよびアーカイブREDOログ・ファイルをテープに毎晩バックアップするために、次のコマンドを実行するとします。

BACKUP
  MAXSETSIZE 500M
  DATABASE PLUS ARCHIVELOG;

RMANでは、複数のバックアップ・セットが生成されるように、先行するコマンドで各バックアップ・セットのサイズの上限が設定されています。バックアップ処理の途中でメディア管理デバイスに障害が発生し、そのデバイスが再起動されるとします。翌日、バックアップ・セットの半分しか完了していないことに気付きます。その場合は、次のコマンドを夕方に実行できます。

BACKUP 
  NOT BACKED UP SINCE TIME 'SYSDATE-1'
  MAXSETSIZE 500M
  DATABASE PLUS ARCHIVELOG;

先行するコマンドによって、RMANでは、過去24時間内にバックアップされていないファイルのみがバックアップされます。指定された時間枠のバックアップが使用可能であるとRMANが判断すると、次のような出力が表示されます。

skipping datafile 1; already backed up on 18-JAN-13
skipping datafile 2; already backed up on 18-JAN-13
skipping datafile 3; already backed up on 18-JAN-13

BACKUPコマンドのすぐ後にNOT BACKED UP SINCE句を置くと、バックアップするすべてのオブジェクトに影響します。また、その句は、個々のbackupSpec句の後に置くこともできます。その場合は、その句の制限を受けるbackupSpecによって指定されたオブジェクトのバックアップのみが作成されます。

例2-28 NODUPLICATESを使用したデータファイルのコピーのバックアップ

この例では、/disk2/df2.cpyというデータファイル2のデータファイル・コピーを作成します。次に、そのデータファイル・コピーを/disk1および/disk3ディレクトリにバックアップします。最後のBACKUPコマンドで指定されているNODUPLICATESオプションは、データファイル2のコピーを1つのみバックアップする必要があることを示しています。

BACKUP AS COPY
  DATAFILE 2
  FORMAT '/disk2/df2.cpy' TAG my_tag;
BACKUP AS COPY
  DATAFILECOPY '/disk2/df2.cpy' 
  FORMAT '/disk1/df2.cpy';
BACKUP AS COPY
  DATAFILECOPY '/disk1/df2.cpy' 
  FORMAT '/disk3/df2.cpy';
BACKUP
  DEVICE TYPE sbt
  DATAFILECOPY ALL NODUPLICATES; # backs up only copy of data file 2

例2-29 オペレーティング・システム・ファイルからASMへのアーカイブ・ログのコピー

BACKUP AS COPY REUSE 
ARCHIVELOG LIKE "/ade/b/369893928/oracle/work/arc_dest/arcr_1_11_686060575.arc"
AUXILIARY FORMAT "+RCVAREA";

例2-30 データファイルのイメージ・コピーとしてのマルチセクション・バックアップ

この例は、データファイルusers_df.dbfのマルチセクション・バックアップを作成します。バックアップはイメージ・コピーとして作成され、各バックアップ・ピースは150MBを超えることはできません。

BACKUP AS COPY
SECTION SIZE 150M
DATAFILE '/oradata/dbs/users_df.dbf';

例2-31 データベースのバックアップ・セットとしてのマルチセクション増分バックアップ

この例は、データベースのバックアップ・セットとしてマルチセクション増分バックアップを作成します。増分バックアップには、8564以上のSCNで変更されたすべてのデータファイル・ブロックを含めます。INCREMENTAL FROM SCNを使用してマルチセクション増分バックアップを作成する場合、FORMAT句は必須です。

BACKUP
FORMAT '/tmp/datafiles/db_incr_ms_%U'
INCREMENTAL FROM SCN 8564
SECTION SIZE 400M
DATABASE;

例2-32 表領域のマルチセクション増分バックアップ

この例は、表領域ordersのバックアップ・セットとしてマルチセクション増分バックアップを作成します。バックアップを作成する前に、ALLOCATE CHANNELコマンドを使用して、3つのチャネルを明示的に割り当てます。そのため、RMANはこれらのチャネルを使用してバックアップ・ピースにパラレルで書き込みます。

run {
   ALLOCATE CHANNEL MY_CH1 TYPE DISK;
   ALLOCATE CHANNEL MY_CH2 TYPE DISK;
   ALLOCATE CHANNEL MY_CH3 TYPE DISK;
   BACKUP
     INCREMENTAL LEVEL 1
     AS COMPRESSED BACKUPSET
     SECTION SIZE 100M
     TABLESPACE sales;
    };

例2-33 データベース全体のクロス・プラットフォーム・バックアップ

この例は、Linux x86 64ビット・プラットフォームへのトランスポート用に、データベース全体のクロス・プラットフォーム・バックアップを作成します。ソース・プラットフォームはMicrosoft Windows IA (32-bit)で、バックアップはfull_db.bckというバックアップ・セットに保存されます。バックアップを作成する前に、データベースを読取り専用モードに設定する必要があります。

BACKUP
    TO PLATFORM='Linux x86 64-bit'
    FORMAT '/tmp/xplat_backups/full_db.bck'
    DATABASE;

例2-34 一貫性表領域のクロス・プラットフォーム・バックアップ

この例は、表領域exampleをクロス・プラットフォーム・トランスポートのためにバックアップします。バックアップを実行する前に、表領域を読取り専用モードに設定する必要があります。表領域データを含むバックアップ・セットは、example_readonly.bckと呼ばれます。この表領域をターゲット・データベースに組み込むために必要なメタデータは、バックアップ・セットexample_dmp.bckに格納されています。

BACKUP
   FOR TRANSPORT
   FORMAT '/tmp/xplat_backups/example_readonly.bck'
   TABLESPACE example
   DATAPUMP FORMAT '/tmp/xplat_backups/example_dmp.bck';

例2-35 複数のバックアップ・セットを使用した、表領域のクロス・プラットフォーム・バックアップ

この例は、表領域exampleのクロス・プラットフォーム・バックアップを複数のバックアップ・セットを使用して作成します。バックアップを作成する前に、表領域が読取り専用であることを確認します。FILESPERSETに1が設定されているため、各バックアップ・セットには入力ファイルが1つのみ含まれます。バックアップ・セットは、db_multiple_から始まる一意の名前を使用します。

BACKUP
   FOR TRANSPORT
   FILESPERSET 1
   FORMAT '/tmp/xplat_backups/db_multiple_%U'
   TABLESPACE example
   DATAPUMP FORMAT '/tmp/xplat_backups/db_multiple.dmp';

例2-36 複数のバックアップ・ピースを使用した、表領域のクロス・プラットフォーム・バックアップ

この例は、表領域exampleのクロス・プラットフォーム・バックアップを作成します。ALLOCATE CHANNELコマンドにMAXPIECESIZEが設定されているため、バックアップでは複数のバックアップ・ピースが使用されます。バックアップを作成する前に、表領域が読取り専用モードであることを確認します。

RUN
{
   ALLOCATE CHANNEL c1 DEVICE TYPE disk MAXPIECESIZE 301464;
   BACKUP
      FOR TRANSPORT
      FORMAT '/tmp/xplat_backups/example_multi-piece.bck'
      TABLESPACE example
      DATAPUMP FORMAT '/tmp/xplat_backups/example_multi-piece_dmp.bck';}

例2-37 表領域のクロス・プラットフォーム非一貫性バックアップ

この例は、表領域exampleのレベル0のクロス・プラットフォーム増分バックアップを作成します。バックアップを作成する時点で、表領域は読取り/書込みモードであるため、非一貫性バックアップを作成するにはALLOW INCONSISTENTを使用します。

表領域の非一貫性バックアップを使用して表領域を宛先データベースに直接組み込むことはできないことに注意してください。一貫性のある表領域にするには、表領域が読取り専用のときに作成された表領域の増分バックアップを使用する必要があります。例2-38 クロス・プラットフォーム増分バックアップを作成する方法について説明します。

BACKUP
    FOR TRANSPORT
    ALLOW INCONSISTENT
    INCREMENTAL LEVEL 0
    FORMAT '/tmp/xplat_backups/example_inconsist.bck'
    TABLESPACE example;

例2-38 表領域のクロス・プラットフォーム増分バックアップ

この例は、表領域exampleのレベル1のクロス・プラットフォーム増分バックアップを作成します。このバックアップを作成する前に、表領域は読取り専用モードに設定されます。このバックアップには、前回の増分バックアップ作成後に表領域に対して行われた変更が含まれます。バックアップは、example_inconsist_incr.bckというバックアップ・セットに格納されます。この表領域を宛先データベースに組み込むために必要なメタデータは、バックアップ・セットexample_incr_dmp.bckに格納されています。

このレベル1の増分バックアップを、例2-37で作成されるレベル0の増分バックアップとともに使用して、表領域exampleを別のプラットフォームにトランスポートできます。宛先データベースでは、最初に例2-37で作成されるレベル0の増分バックアップをリストアして、外部データファイルのセットを作成します。レベル0の増分バックアップが作成されたときに表領域は読取り/書込みモードであったため、これらの外部データファイルには一貫性がありません。その後、レベル1の増分バックアップを外部データファイルに適用します。次に、DATAPUMP句で指定したバックアップ・セットをリストアして、表領域を宛先データベースに組み込みます。バックアップ・セットを使用した非一貫性表領域のクロス・プラットフォーム・トランスポートの実行例の詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

ほとんどのシナリオでは、レベル0の増分バックアップの作成後、表領域を読取り/書込みモードに設定して複数のレベル1の増分バックアップを作成します。最後のレベル1の増分バックアップは、表領域を読取り専用モードに設定して作成されます。このような増分バックアップを作成し、徐々に適用することで、ソース・データベースと宛先データベースの間のデータ相違を最小限に抑えることができます。

BACKUP
   FOR TRANSPORT
   INCREMENTAL LEVEL 1
   TABLESPACE example
   FORMAT '/tmp/xplat_backups/example_inconsist_incr.bck'
   DATAPUMP FORMAT '/tmp/xplat_backups/example_incr_dmp.bck';