ファイルシステム上のファイルにアクセスするには、ファイルシステムをマウントする必要があります。ファイルシステムのマウントとは、ファイルシステムを特定のディレクトリ (マウントポイント) に接続し、システムで使用可能にすることです。ルート (/) ファイルシステムは、常にマウントされています。ほかのファイルシステムは、ルート (/) ファイルシステムに接続したり切り離したりできます。
ほとんどのファイルシステムは、システムブート時に SMF サービスにより自動的にマウントされます。一般に、ファイルシステムのマウントやマウント解除を手動で行う必要はありません。さまざまなファイルシステムタイプをマウントする方法の詳細については、Oracle Solaris ファイルシステムのマウントおよびマウント解除を参照してください。
ファイルシステムをマウントすると、そのファイルシステムがマウントされている間は、マウントポイントのディレクトリ内に実際に存在しているファイルやディレクトリは使用できなくなります。これらのファイルは、永続的にマウントプロセスの影響を受け続けるわけではありません。ファイルシステムのマウントが解除されると、再び使用可能な状態になります。ただし、通常は存在するがアクセスできないファイルは混乱の原因となるので、通常マウントディレクトリは空になっています。
ファイルシステムのマウント手順については、Oracle Solaris ファイルシステムのマウントおよびマウント解除を参照してください。
ファイルシステムをマウントまたはアンマウントすると、現在マウントされているファイルシステムのリストを使用して、/etc/mnttab (マウントテーブル) ファイルが変更されます。このファイルの内容を表示するには、cat または more コマンドを使用します。ただし、このファイルを編集することはできません。次に /etc/mnttab ファイルの例を示します。
$ more /etc/mnttab rpool/ROOT/zfsBE / zfs dev=3390002 0 /devices /devices devfs dev=8580000 1337114941 /dev /dev dev dev=85c0000 1337114941 ctfs /system/contract ctfs dev=8680001 1337114941 proc /proc proc dev=8600000 1337114941 mnttab /etc/mnttab mntfs dev=86c0001 1337114941 swap /system/volatile tmpfs xattr,dev=8700001 1337114941 objfs /system/object objfs dev=8740001 1337114941 sharefs /etc/dfs/sharetab sharefs dev=8780001 1337114941 /usr/lib/libc/libc_hwcap2.so.1 /lib/libc.so.1 lofs dev=3390002 13371149 fd /dev/fd fd rw,dev=8880001 1337114969 rpool/ROOT/zfsBE/var /var zfs rw,devices, setuid,nonbmand,exec, rstchown,xattr,atime,dev=3390003 1337114969 swap /tmp tmpfs xattr,dev=8700002 1337114969 rpool/VARSHARE /var/share zfs rw,devices,setuid,nonbmand,exec, rstchown,xattr,atime,dev=3390004 1337114969
ほとんどのファイルシステムは、システムブート時に SMF サービスにより自動的にマウントされます。
レガシーまたはリモートファイルシステムをマウントしたり、ZFS スワップボリュームを変更したりする場合は、/etc/vfstab ファイルの編集が必要なことがあります。ZFS スワップボリュームの変更については、追加スワップ空間の構成を参照してください。
レガシーまたはリモートファイルシステムをマウントするためのエントリを追加するには、次の情報を指定する必要があります。
ファイルシステムが存在するデバイスまたは NFS サーバー
ファイルシステムのマウントポイント
ファイルシステムのタイプ
システムのブート時に、mountall コマンドを使ってファイルシステムを自動的にマウントするかどうか
マウントオプション
次に、ZFS ルートファイルシステムがあるシステムの vfstab の例を示します。さらに、システムは、NFS サーバー neo からリモートファイルシステム /users/data をマウントしています。
# cat /etc/vfstab #device device mount FS fsck mount mount #to mount to fsck point type pass at boot options # fd - /dev/fd fd - no - /proc - /proc proc - no - /dev/zvol/dsk/rpool/swap - - swap - no - /devices - /devices devfs - no - sharefs - /etc/dfs/sharetabsharefs - no - ctfs - /system/contract ctfs - no - objfs - /system/object objfs - no - swap - /tmp tmpfs - yes - neo:/users/data - /data nfs - yes -
ZFS ファイルシステムは、ブート時に SMF サービスにより自動的にマウントされます。レガシーのマウント機能を使用し、vfstab に従って ZFS ファイルシステムをマウントできます。
/etc/vfstab の各フィールドの説明、およびこのファイルの編集方法と使用方法については、/etc/vfstab ファイルにエントリを追加する方法を参照してください。
NFS は、1 つのシステム (通常はサーバー) のリソース (ファイルやディレクトリ) をネットワーク上のほかのシステムと共有するための分散型ファイルシステムサービスです。たとえば、他社製のアプリケーションやソースファイルをほかのシステム上のユーザーと共有できます。
NFS は、リソースの実際の物理的な位置をユーザーが意識しなくてすむようにします。よく使用されるファイルのコピーをシステムごとに配置しなくても、あるシステムのディスク上にコピーを 1 つ配置することによって NFS は、ほかのすべてのシステムがそのコピーにネットワークからアクセスできるようにします。NFS の環境では、リモートファイルはローカルファイルと区別がつきません。
詳細は、Oracle Solaris 11.3 でのネットワークファイルシステムの管理を参照してください。
システムは、ネットワーク上で共有するリソースがあるときに、NFS サーバーになります。サーバーは、現在共有されているリソースとそのアクセス制限 (読み取り / 書き込み、読み取り専用アクセスなど) のリストを管理します。
リソースを共有する場合は、リモートシステムにマウントできるように、そのリソースを使用可能な状態にします。
リソースを共有するには、次の方法があります。
ZFS の share.nfs プロパティーを設定して ZFS 共有を作成します。例:
# zfs set share.nfs=on tank/home
# share -F nfs /ufsfs
NFS の詳細は、Oracle Solaris 11.3 でのネットワークファイルシステムの管理を参照してください。
Oracle Solaris リリースには、Oracle の実装の NFS version 4 分散ファイルアクセスプロトコルが含まれています。
NFS version 4 では、ファイルアクセス、ファイルロック、およびマウントプロトコルが 1 つのプロトコルに統合されるので、ファイアウォールの通過が容易になり、セキュリティーが向上します。Oracle Solaris の NFS version 4 実装は、SEAM としても知られている Kerberos V5 と完全に統合されていますので、認証、整合性、およびプライバシの機能を備えています。NFS version 4 を使用して、クライアントとサーバーとの間で使用するセキュリティーの種類の交渉を行うこともできます。NFS version 4 を実装しているサーバーは、さまざまなセキュリティー種類とファイルシステムに対応できます。
NFS Version 4 の機能の詳細は、Oracle Solaris 11.3 でのネットワークファイルシステムの管理を参照してください。
Oracle Solaris 11.1 リリースでは、異なるブート環境間での自動データ共有を可能にするメカニズムを使用できます。これらの共有ディレクトリは、/var/share にマウントされている rpool/VARSHARE ファイルシステムに格納されます。/var ディレクトリ内の共有データの配置により、すべてのブート環境に必要な領域の量が削減されます。
例:
# ls /var/share audit cores crash mail
/var コンポーネントによってルートファイルシステムがいっぱいにならないようにすることを除いて、/var/share ファイルシステムは一般に管理を必要としません。
互換性のために、上記の /var コンポーネントから /var/share コンポーネントへのシンボリックリンクが自動的に作成されます。詳細については、datasets(5)を参照してください。
NFS ファイルシステムリソースをマウントするには、「自動マウント」(autofs) というクライアント側のサービスを使用します。autofs サービスにより、システムから NFS リソースにアクセスするたびに、これらのリソースを自動的にマウントしたりマウント解除したりできます。ユーザーがこのディレクトリ内で、このディレクトリに格納されているファイルを使用している間、ファイルシステムリソースはマウントされたままになります。リソースが一定の時間アクセスされなかった場合、リソースは自動的にマウント解除されます。
autofs サービスには、次の機能があります。
システムブート時に NFS リソースをマウントする必要がないために、ブート時間が短くなります。
NFS リソースをマウントまたはマウント解除するために、スーパーユーザーのパスワードを知っている必要はありません。
NFS リソースは使用されるときにだけマウントされるために、ネットワークトラフィックが軽減されます。
autofs サービスは automount ユーティリティーによって初期化されます。このコマンドは、システムのブート時に自動的に実行されます。automountd デーモンは永続的に動作し、必要に応じて NFS ファイルシステムをマウントまたはアンマウントします。デフォルトでは、/home ファイルシステムは automount デーモンによってマウントされます。
autofs では、同じファイルシステムを提供するサーバーを複数指定できます。このような方法では、1 つのサーバーがダウンしても、autofs がその他の物理マシンからファイルシステムのマウントを試みることができます。
autofs を設定および管理する方法の詳細は、Oracle Solaris 11.3 でのネットワークファイルシステムの管理を参照してください。
Oracle Solaris OS は、サーバーメッセージブロック (SMB) プロトコルのサーバーおよびクライアント実装を提供します。これには、NT LM 0.12 や共通インターネットファイルシステム (CIFS) などの多数の SMB ダイアレクトのサポートが含まれます。CIFS と SMB という用語は、置き換え可能と考えることができます。
Solaris SMB サーバーを使用すると、ネイティブの Oracle Solaris システムが、ファイルシステム共有をマウントする SMB 対応クライアントに対してファイルを SMB 共有として提供できます。Windows、Mac OS、または Solaris クライアントは、Windows サーバーの場合と同様に、Solaris SMB サーバーと相互運用できます。Solaris SMB サーバーは、ワークグループモードでも、ドメインモードでも動作が可能です。ワークグループモードでは、共有リソースへのアクセスが要求されたときに Solaris SMB サーバーがユーザーのローカル認証を担当します。この認証プロセスは、ローカルログインと呼ばれます。ドメインモードでは、Solaris SMB サーバーはパススルー認証を使用します。パススルー認証では、ユーザー認証がドメインコントローラに委任されます。
詳細は、Managing SMB File Sharing and Windows Interoperability in Oracle Solaris 11.3を参照してください。