WebLogic Server コンフィグレーション ファイルのカスタマイズ

WebLogic Server では、セキュリティ資格、デプロイ可能なリソースおよびアプリケーションのリストなどのコンフィグレーション情報は一連のコンフィグレーション ファイルに格納されます。

以下の節では、パートナおよび ISV が、開発したアプリケーションとともに配布する WebLogic Server コンフィグレーション ファイルに対して行う一般的な変更事項について説明します。

• config.xml ファイルのカスタマイズ

• コンフィグレーションの例

• 互換性セキュリティに対するファイルのカスタマイズ

 

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config.xml ファイルのカスタマイズ

config.xml ファイルは、管理ドメインにあるすべての WebLogic Server のコンフィグレーション設定の大部分を定義します。たとえば、config.xml ファイルは、特定のドメインのすべての詳細情報を制御します。このような情報としては、サーバとクラスタの名前、数、およびコンフィグレーション、デプロイ可能なリソースおよびアプリケーションのリスト、デプロイ可能なリソースおよびアプリケーションのサーバおよびクラスタへのマッピングなどがあります。

通常は、Administration Console や weblogic.Admin ユーティリティなどの WebLogic Server ツールを使用して config.xml ファイルを編集することをお勧めします。ただし、パートナがインストールをカスタマイズするために、このファイルを直接編集することが必要な場合もあります。

以下の節では、パートナがインストール用に変更する可能性のある config.xml ファイルの要素について説明します。

• アプリケーション リソースのプリコンフィグレーション

• アプリケーション コンポーネントのデプロイメント

config.xml ファイルまたは管理ドメインの役割に精通していない場合は、以下のドキュメントを参照してください。

• 『管理者ガイド』の「WebLogic システム管理の概要」

• 『WebLogic Server クラスタ ユーザーズ ガイド』の「クラスタのコンフィグレーションとアプリケーションのデプロイメント」

config.xml を直接編集することに慣れていない場合は、『コンフィグレーション リファレンス』を参照してください。このリファレンス マニュアルには、config.xml を編集する際の規則や、このファイルの文書型定義（DTD）の説明が記載されています。

アプリケーション リソースのプリコンフィグレーション

パートナ アプリケーションは通常いくつかの WebLogic Server リソースに依存し、それらの各リソースは config.xml ファイルで定義されます。

リソース	config.xml 要素	注意
ドメイン	Domain	凝集された単位として動作するために、アプリケーションのコンポーネントをホストするすべての WebLogic Server は、単一の WebLogic Server 管理ドメイン内に置かれる必要がある。
サーバ名および接続情報	Server	1 つまたは複数の WebLogic Server 名、IP アドレス、およびポート番号にアクセスするよう、パートナ アプリケーションをコンフィグレーションできる。アプリケーションで必要であれば、WebLogic Server ドメインをハード コード化して、特定のサーバ名および接続ポートを使用できる。 コンフィグレーションをインストールする前に、IP アドレスをアプリケーション インストーラによって動的にコンフィグレーションし、config.xml に埋め込むことができる。
JDBC データソース	JDBCConnectionPool JDBCDataSource JDBCMultiPool JDBCTxDataSource	WebLogic Server をインストールするパートナ アプリケーションは、アプリケーション データを管理するために RDBMS や他のデータストアもインストールする場合がよくある。開発した製品のインストーラがアプリケーションと一緒にデータストアをインストールする場合、インストールされた WebLogic Server をプリコンフィグレーションして、そのデータストアのデフォルトのデータソースおよび接続プールを設定できる。

 

アプリケーション コンポーネントのデプロイメント

パートナ アプリケーションは、config.xml に必要な要素を追加することによってインストールすることもできます。ただし、プリコンフィグレーションした WebLogic Server にアプリケーションをインストールする場合は、config.xml 設定とアプリケーション コンポーネント ファイル（.war、.jar、.html など）のインストール場所とを調整する必要があります。

次の表は、WebLogic Server 内にアプリケーション コンポーネントを事前にデプロイするために使用する要素についてまとめたものです。これらの要素がどのように実際のアプリケーション コンポーネント ファイルのインストール場所に対応するかを示す例については、コンフィグレーションの例を参照してください。

コンポーネント	config.xml 要素	注意
起動クラス	StartupClass	WebLogic Server 起動クラスは、パートナ アプリケーションの他のコンポーネントに必要なリソースを初期化するために使用できる。
Web サーバ	WebServer	Web アプリケーションには、通常、ビジネス ロジックに加え、静的な .html コンテンツなどの標準 Web リソースが必要である。config.xml ファイルを使用して、アプリケーションの静的ファイルのデフォルトの場所をコンフィグレーションする。
Web アプリケーション	Application	EAR ファイルおよび WAR ファイルは、アプリケーション ディレクトリまたは WebLogic Server ディレクトリの任意の場所に格納できる。起動時にアプリケーションをデプロイするには、config.xml 内から最終のインストール場所を参照する。

 

 

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コンフィグレーションの例

WebLogic Server Pet Store は、Sun Microsystems の Java Pet Store 1.3 デモに基づいています。Pet Store には、J2EE プラットフォームのさまざまな側面を示す 4 つのエンタープライズ アプリケーションと 1 つの Web アプリケーションが含まれます。

WebLogic Server Pet Store では、エンタープライズ アプリケーションをサポートするためにインストールをプリコンフィグレーションする方法の簡単な例が用意されています。WebLogic Server Pet Store の起動については、WebLogic Server ドキュメント Web サイトにある「サンプルとチュートリアル」を参照してください。

この節では、WebLogic Server Pet Store をコンフィグレーションする config.xml ファイルの主要な側面について説明します。

ドメインのコンフィグレーション

config.xml ファイルの親要素である、<Domain> には、petstore ドメインのコンフィグレーション情報が記述されます。アプリケーションのすべてのサーバ、リソース、およびコンポーネントは、このドメイン内に定義されます。

<Domain

  Name="petstore"

  >

基本的なサーバの設定

WebLogic Server Pet Store は、petstoreServer という 1 つのサーバを使用します。このサーバの接続プロパティは、次のように Server 要素属性でプリコンフィグレーションされています。

<Server

    JavaCompiler="C:¥bea¥jdk131_02/bin/javac"

    ListenPort="7001"

    Name="petstoreServer"

    ServerVersion="7.0.0.0"

    IIOPEnabled="false"

  >

サーバ設定の残りの部分では、サーバのデフォルト Web サーバおよび SSL コンフィグレーションがコンフィグレーションされています。

JDBC 要件

複数の JDBC 接続プールの使用を示すために、WebLogic Server Pet Store では 3 つの JDBC 接続プールが定義されています。また、Pet Store 内の各アプリケーションに 1 つずつ、全部で 4 つのデータソースが定義されています。JDBC 接続プールおよびデータソースはすべて、デフォルトの Pet Store サーバ petstoreServer にデプロイされます。

<JDBCConnectionPool
CapacityIncrement="1"
DriverName="com.pointbase.jdbc.jdbcUniversalDriver"
InitialCapacity="1"
MaxCapacity="10"
Name="petstorePool"
Password="petstore"
Properties="user=petstore"
RefreshMinutes="0"
ShrinkPeriodMinutes="15"
ShrinkingEnabled="true"
Targets="petstoreServer"
TestConnectionsOnRelease="false"
TestConnectionsOnReserve="false"
URL="jdbc:pointbase:server://localhost/demo"
/>

<JDBCConnectionPool
CapacityIncrement="1"
DriverName="com.pointbase.jdbc.jdbcUniversalDriver"
InitialCapacity="1"
MaxCapacity="10"
Name="petstoreopcPool"
Password="petstoreopc"
Properties="user=petstoreopc"
RefreshMinutes="0"
ShrinkPeriodMinutes="15"
ShrinkingEnabled="true"
Targets="petstoreServer"
TestConnectionsOnRelease="false"
TestConnectionsOnReserve="false"
URL="jdbc:pointbase:server://localhost/demo"
/>

<JDBCConnectionPool
CapacityIncrement="1"
DriverName="com.pointbase.jdbc.jdbcUniversalDriver"
InitialCapacity="1"
MaxCapacity="10"
Name="petstoresupplierPool"
Password="petstoresupplier"
Properties="user=petstoresupplier"
RefreshMinutes="0"
ShrinkPeriodMinutes="15"
ShrinkingEnabled="true"
Targets="petstoreServer"
TestConnectionsOnRelease="false"
TestConnectionsOnReserve="false"
URL="jdbc:pointbase:server://localhost/demo"
/>

<JDBCTxDataSource
EnableTwoPhaseCommit="true"
JNDIName="datasource-petstorePool"
Name="PetstoreDataSource"
PoolName="petstorePool"
Targets="petstoreServer"
/>

<JDBCTxDataSource
EnableTwoPhaseCommit="true"
JNDIName="datasource-petstoreopcPool"
Name="PetstoreOPCDataSource"
PoolName="petstoreopcPool"
Targets="petstoreServer"
/>

<JDBCTxDataSource
EnableTwoPhaseCommit="true"
JNDIName="datasource-petstoresupplierPool"
Name="PetstoreSupplierDataSource"
PoolName="petstoresupplierPool"
Targets="petstoreServer"
/>

<JDBCTxDataSource
EnableTwoPhaseCommit="true"
JNDIName="jdbc/CatalogDataSource"
Name="CatalogDataSource"
PoolName="petstorePool"
Targets="petstoreServer"
/>

アプリケーション コンポーネント

Pet Store アプリケーションでは、tour.war、petstore.ear、opc.ear、supplier.ear、および petstoreadmin.ear という 5 つのアプリケーション コンポーネント ファイルがインストールされます。これらのコンポーネントはそれぞれ WebLogic Server サブディレクトリにインストールされ、petstoreServer にデプロイされます。たとえば Windows では、tour.war は次の要素を使用してデプロイされます。

<Application
Deployed="true"
Name="tour"
Path="C:/bea/weblogic700/samples/server/stage/petstore">

<WebAppComponent
Name="tour"
Targets="petstoreServer"
URI="tour.war"
/>

</Application>

アプリケーション コンポーネント パスの c:¥bea¥wlserver700 の部分は WebLogic Server のインストール中に決定され、パスの残りの部分はハードコード化されていることに注意してください。必要であれば、アプリケーション インストーラによって、同じような方法で WebLogic Server に関連しないサブディレクトリにアプリケーション コンポーネントをインストールできます。

起動クラス

Windows システムでは、petstoreServer の起動後、Pet Store アプリケーションは起動クラスを使用してシステムの Web ブラウザを起動します。この起動クラスの定義は、ほとんどの場合、インストールされた config.xml ファイルにハードコード化され、ポート番号だけが WebLogic Server インストール プログラムによって動的に設定されます。

<StartupClass </Application>
   Arguments="port=7001"
   ClassName="com.bea.estore.startup.StartBrowser"
   FailureIsFatal="false"
   Name="StartBrowser"
   Targets="petstoreServer"
   Notes="On Windows, this class automatically starts a browser after the server has finished booting."
   />

 

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互換性セキュリティに対するファイルのカスタマイズ

互換性セキュリティとは、WebLogic Server 6.ｘ のセキュリティ コンフィグレーションを WebLogic Server 7.0 で実行する機能のことです。WebLogic Server を互換性セキュリティを使用して実行する場合は、配布キットに以下のものを含める必要があります。

• fileRealm.properties ファイル。デフォルト WebLogic Server セキュリティ レルムの ACL、グループ、およびセキュリティ プリンシパルを定義します。

• config.xml の以下の最小限の要素

  <Domain Name="mydomain">
  <Security Name="mydomain" Realm="mysecurity"/>
  <Realm Name="mysecurity" FileRealm="myrealm"/>
  <FileRealm Name="myrealm"/>
  <Server ListenPort="7001" Name="myserver">
  </Server>

  </Domain>

アプリケーションをサードパーティのセキュリティ レルム（たとえば Windows NT セキュリティ レルムを使用したシングル サインオン）と統合する必要がある場合は、キャッシング レルムもコンフィグレーションする必要があります。

WebLogic Server セキュリティの詳細については、以下のドキュメントを参照してください。

• 『WebLogic Security の管理』の「互換性セキュリティの使い方」

• WebLogic Server ドキュメント Web サイトにある「セキュリティ」のページ

• 『コンフィグレーション リファレンス』。このリファレンス マニュアルには、config.xml を編集する際の規則や、このファイルの DTD の説明が記載されています。