1 Spatialの概念
Oracle Spatialは、空間分析をサポートするファンクション、プロシージャ、データ型およびデータ・モデルを統合したものです。空間フィーチャを使用すると、Oracle Databaseでの空間データの格納、アクセスおよび分析を短時間で効率的に処理することができます。
空間データは、現実または概念のオブジェクトの本質的な位置特性を、それらが存在する現実または概念の空間に関連するものとして表します。
主なトピック:
- Oracle Spatialとは
Oracle Spatial (Spatialとも呼ばれる)には、空間データおよび空間分析、物理アプリケーション、論理アプリケーション、ネットワーク・アプリケーションおよびソーシャル・アプリケーション用の高度な機能が含まれています。 - オブジェクト・リレーショナル・モデル
Oracle Spatialでは、ジオメトリを表現するオブジェクト・リレーショナル・モデルがサポートされています。このモデルでは、ジオメトリ全体が、ベクトル・データ用のOracle固有の空間データ型(SDO_GEOMETRY)に格納されます。 - 空間データの概要
Oracle Spatialは、位置情報アプリケーションおよび地理情報システム(GIS)アプリケーションのユーザーが、簡単に無理のない形で空間データを管理できるように設計されています。Oracle Databaseに格納された空間データは、簡単に操作および取出しができ、データベースに格納された他のすべてのデータとの関連付けも可能です。 - ジオメトリ・タイプ
ジオメトリは、直線セグメントまたは円弧を結合した頂点を順番につなげたものです。 - データ・モデル
Oracle Spatialの空間データ・モデルは、要素、ジオメトリおよびレイヤーで構成される階層型の構造体です。レイヤーはジオメトリで構成され、ジオメトリは要素で構成されます。 - 問合せモデル
Spatialでは、空間問合せおよび空間結合を解決するために、2層問合せモデルを使用します。 - 空間データの索引付け
Oracle Databaseのエンジンに統合された空間索引付け機能は、Spatial製品の重要な機能です。 - 空間関係およびフィルタ処理
Spatialは、2次フィルタを使用して、データベース内のエンティティ間の空間関係を判断します。空間関係は、ジオメトリの位置に基づいています。 - 空間演算子、空間プロシージャおよび空間ファンクション
SpatialのPL/SQL Application Programming Interface (API)には、いくつかの演算子と多くのプロシージャおよびファンクションが含まれています。 - 空間集計ファンクション
SQLには、SQL問合せの結果を集計するために使用される、集計ファンクションが存在します。 - ベクター・タイル
Oracle Spatialでは、データベース表の空間データからベクター・タイルを生成するためのサポートが提供されます。ベクター・タイル形式は、空間データをマップ・ビジュアライゼーション・クライアントに非常に効率よくストリーミングするように設計されています。 - H3索引付け
Oracle Spatialでは、Oracle Databaseでの六角形の階層空間索引付け(H3)のサポートが提供されます。 - 3次元の空間オブジェクト
Oracle Spatialでは、3次元の空間データの格納および取出しがサポートされています(扱うことができる3次元空間データは、点、点群(点の集合)、線、ポリゴン、面、ソリッドなど)。 - ジオコーディング
ジオコーディングは、住所データの表を規格化された住所、位置およびその他のデータに変換するプロセスです。 - 位置データ・エンリッチメント
Oracle Spatialには、データベースにロードできる、現地点からの階層型の地理データを伴った場所名のデータ・セットが含まれます。 - Oracle SpatialでのJSONおよびGeoJSONのサポート
Spatialでは、JSONおよびGeoJSONオブジェクトを使用したJSON (JavaScript Object Notation)形式の地理データの格納、索引付けおよび管理がサポートされます。 - Oracle SpatialでのNURBS曲線のサポート
Spatialは、Non-Uniform Rational B-Spline (NURBS)曲線ジオメトリをサポートしています。 - Oracle Spatialによるシャード・データベースのサポート
Spatialでは、シャード・データベース・テクノロジの使用をサポートしています。 - Oracle SpatialによるDatabase In-Memoryのサポート
Spatialでは、Oracle Database In-Memoryテクノロジの使用がサポートされています。 - Spatial Java Application Programming Interface
Oracle Spatialでは、Java Application Programming Interface (API)を提供しています。 - Spatialによって作成される事前定義のユーザー・アカウント
Spatialでは、インストール中に、ジョブの実行に必要な最小限の権限を持つユーザー・アカウントが作成されます。 - パフォーマンスおよびチューニングの情報
Oracle Spatialアプリケーションのパフォーマンスは、問合せ実行計画に影響するオプティマイザ・ヒントの使用など、多くの要因に影響されます。 - OGCおよびISOへの準拠
Oracle Databaseリリース10g (バージョン10.1.0.4)以降のOracle Spatialは、Open Geospatial Consortium (OGC)シンプル・フィーチャ仕様1.1.1 (Document 99-049)に準拠しています。 - Spatialのリリース(バージョン)番号
実行中のSpatialのリリース番号を確認するには、SDO_VERSIONファンクションを使用します。 - SPATIAL_VECTOR_ACCELERATIONシステム・パラメータ
空間演算子のパフォーマンスを最適化するには、SPATIAL_VECTOR_ACCELERATIONデータベース・システム・パラメータの値がTRUE
である必要があります。 - 表の空間的な有効化
SDO_GEOMETRY列がない標準のOracle表に、位置関連情報(点の緯度や経度の値など)が含まれている場合、SDO_GEOMETRY列を追加し、各レコードの既存の(そして将来の)位置関連情報を使用してSDO_GEOMETRY列の値に移入することで、その表を空間的に有効化できます。 - 空間メタデータの移動(MDSYS.MOVE_SDO)
データベース管理者(DBA)は、MDSYS.MOVE_SDOプロシージャを使用して、すべてのOracle Spatialメタデータ表を、指定したターゲット表領域に移動できます。 - 空間アプリケーションのハードウェア要件の考慮事項
このトピックでは、Oracle Spatialを使用するアプリケーションに必要なディスク記憶域の容量およびCPU能力に影響する一般的なガイドラインについて説明します。 - Spatial Studioアプリケーション
Oracle Spatial Studio (Spatial Studioとも呼ばれる)は、Oracle Spatialに格納および管理されている地理空間データに対して接続、ビジュアル化、調査および分析を行うためのフリー・ツールです。 - Spatialのエラー・メッセージ
Spatialには、一連のエラー・メッセージがあります。 - Spatialの例
Oracle Spatialでは、特定の処理のコーディングについて理解を深めたり、モデルを作成するための例を提供しています - 経度/緯度の空間データの初歩
WGS 84 (経度/緯度)座標系を使用した空間データの作成に関するスタート・ガイドです。 - Spatialおよび関連機能のREADMEファイル
README.txt
ファイルには、いくつかのマニュアルを補足する情報が含まれています。
親トピック: 概要および使用情報