レプリケーションに関連するDBMS_RAプロシージャ

DBMS_RAパッケージを使用して、レプリケーションを作成および管理できます。表14-1で、レプリケーションに関連する主なプログラム・ユニットについて説明します。

表14-1 レプリケーションに関連する主なプロシージャ

プログラム・ユニット 説明

CREATE_REPLICATION_SERVER

このリカバリ・アプライアンスによるバックアップのレプリケート先ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスを指定するレプリケーション・サーバー構成を作成します。

DELETE_REPLICATION_SERVER

レプリケーション・サーバー構成を削除します。

ADD_REPLICATION_SERVER

レプリケーション・サーバー構成を、CREATE_REPLICATION_SERVERプロシージャで作成された保護ポリシーに追加します。

REMOVE_REPLICATION_SERVER

レプリケーション・サーバー構成を、CREATE_REPLICATION_SERVERプロシージャで作成された保護ポリシーから削除します。

ADD_DB

保護ポリシーにデータベースを追加します。

CREATE_PROTECTION_POLICY

保護ポリシーを作成します。このポリシーに割り当てられているデータベースのレプリケーションを有効にするには、ADD_REPLICATION_SERVERを実行して、レプリケーション・サーバー構成をこのポリシーに関連付ける必要があります。

UPDATE_DB

保護されたデータベースのプロパティを更新します。

DBMS_RAを使用したリカバリ・アプライアンスでのレプリケーションの構成

この項では、コマンドライン・ツールを使用してレプリケーションを構成する方法について説明します。基本的なワークフローは次のとおりです。

  1. 「DBMS_RAを使用したダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーションの構成」の説明に従って、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスを構成します。

  2. 「DBMS_RAを使用したアップストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーションの構成」の説明に従って、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスを構成します。

  3. 「リカバリ・アプライアンス・レプリケーションのための保護されたデータベースの構成」に説明されているとおりに、レプリケーションに関与する保護されたデータベースを構成します。

  4. 「リカバリ・アプライアンスのレプリケーション・サーバー構成のテスト」に説明されているとおりに、レプリケーションをテストします。

図14-10は、構成フェーズを図示したものです。

図14-10 レプリケーションの手動構成の概要

図14-10の説明が続きます
「図14-10 レプリケーションの手動構成の概要」の説明

レプリケーション例の仮定

次に続くレプリケーション・タスクでは、次の条件がtrueであると想定します。

  • データベースorcl11orcl12を、アップストリーム・レプリケーション・ロールで構成するZDLRA Bostonというリカバリ・アプライアンスにバックアップします。

  • ZDLRA Des Moinesダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスとして使用します。

  • ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスで、repuser_from_bostonというリカバリ・アプライアンス・ユーザー・アカウントを作成します。このアカウントは、レプリケーション・ユーザー・アカウントです。

    ノート:

    このアカウントのネーミング規則は、バックアップのレプリケート元のリカバリ・アプライアンス(この場合、ZDLRA Boston)を使用します。この例の保護ポリシーの名前では、アップストリームにus、ダウンストリームにdsを使用します。

  • ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスで、reppolicy_ds_golという保護ポリシーを作成します。このポリシーは、レプリケーションでのみ使用します。

  • ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスで、vpc_des_moines1という仮想プライベート・カタログ・アカウントを作成します。RMANでは、このアカウントを使用してデータベースorcl11orcl12をバックアップおよびリストアします。

  • アップストリーム・リカバリ・アプライアンスで、reppolicy_us_goldという保護ポリシーを作成します。このポリシーは、レプリケーションでのみ使用します。

  • アップストリーム・リカバリ・アプライアンスで、vpc_boston1という仮想プライベート・カタログ・アカウントを作成します。RMANでは、このアカウントを使用してデータベースorcl11orcl12をバックアップおよびリストアします。

DBMS_RAを使用したダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーションの構成

この項では、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスの構成方法について説明します。

ノート:

リカバリ・アプライアンスにアップストリーム・ロールとダウンストリーム・ロールの両方がある場合、次の手順はダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスのロールのみに関係します。

タスク1: ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでの仮想プライベート・カタログ・アカウントの作成

保護されたデータベースをバックアップまたはリストアする際、RMANはこのアカウントを使用して、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス上のリカバリ・カタログに接続します。

このタスクでは、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでvpc_des_moines1という仮想プライベート・カタログ・アカウントを作成すると想定します。

仮想プライベート・カタログ・アカウントを作成するには:

  • racli add db_userの手順に従います。

    たとえば、次の文を実行してユーザー・アカウントvpc_des_moines1を作成します。

    # ./racli add db_user --user_name=vpc_des_moines1 --user_type=vpc

    プロンプト表示されたら、vpc_des_moines1ユーザーのパスワードを入力します。

関連項目:

仮想プライベート・カタログについてさらに学習するには、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

タスク2: ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーション保護ポリシーの作成

このダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスにレプリケートしたバックアップのリカバリ・ウィンドウおよびその他のプロパティを指定する保護ポリシーを作成するには、DBMS_RA.CREATE_PROTECTION_POLICYを実行します。

このタスクでは、reppolicy_ds_goldポリシーを作成してorcl11およびorcl12データベースを保護すると想定します。後から、このポリシーをリカバリ・アプライアンスに関連付けます。

レプリケーション保護ポリシーを作成するには:

  1. SQL*PlusまたはSQL Developerで、RASYSとしてダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス・データベースに接続します。

  2. DBMS_RA.CREATE_PROTECTION_POLICYプロシージャで保護ポリシーを作成します。

    たとえば、次のPL/SQLプログラムを実行します。

    BEGIN
      DBMS_RA.CREATE_PROTECTION_POLICY (
        protection_policy_name => 'reppolicy_ds_gold',
        description            => 'For protected dbs in gold tier',
        storage_location_name  => 'delta',
        recovery_window_goal   => INTERVAL '28' DAY,
        guaranteed_copy        => 'NO');
    END;

関連項目:

タスク3: ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーション・ユーザー・アカウントの作成

保護されたデータベースのバックアップをレプリケートするようダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスを構成する場合、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスがこのダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスへのログインに使用するレプリケーション・ユーザー・アカウントを作成する必要があります。ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス上のユーザーの資格証明はアップストリーム・リカバリ・アプライアンスに格納されています(「タスク5: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでのOracleウォレットの作成」を参照)。

ノート:

管理しやすいように、リカバリ・アプライアンス・レプリケーション専用のレプリケーション・ユーザー・アカウントを作成し、各アップストリーム・アプライアンスには別のレプリケーション・ユーザー・アカウントを作成することをお薦めします。

このタスクでは、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスがこのリカバリ・アプライアンスに対する認証に使用するrepuser_from_bostonというアカウントを作成すると想定します。

レプリケーション・ユーザー・アカウントを作成するには:

  1. SQL*PlusまたはSQL Developerで、SYSTEMとしてまたはDBAロールを持つユーザーとして、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス・データベースに接続します。

  2. レプリケーション・ユーザー・アカウントを作成します。

    たとえば、次のSQL文を実行してrepuser_from_bostonデータベース・ユーザー・アカウントを作成し、CREATE SESSION権限を付与します。

    # ./racli add db_user --user_name=repuser_from_boston --user_type=vpc

    ノート:

    セキュリティを強化するために非常に複雑なパスワードを使用することをお薦めします。このパスワードおよびユーザー名を後続のステップでOracleウォレットに追加します。これらの資格証明をウォレットに保存すると、パスワードを手動で再入力する必要がなくなります。

関連項目:

データベース・ユーザー・アカウントの作成方法を学習するには、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。

タスク4: ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでの保護ポリシーへのデータベースの追加

保護されたデータベースをレプリケーション保護ポリシーに追加するには、DBMS_RA.ADD_DBを実行します。保護されたデータベースごとに予約するディスク領域の量も指定する必要があります。

このタスクでは、データベースorcl11およびorcl12「タスク2: ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーション保護ポリシーの作成」で作成したreppolicy_ds_gold保護ポリシーに追加し、保護されたデータベースごとに128GBの予約済領域を割り当てると想定します。

保護ポリシーにデータベースを追加するには:

  1. SQL*PlusまたはSQL Developerで、RASYSとしてダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス・データベースに接続します。

  2. DBMS_RA.ADD_DBプロシージャを使用して、保護されたデータベースごとにメタデータを追加します。

    たとえば、次のPL/SQLプログラムを実行します。

    BEGIN
      DBMS_RA.ADD_DB (
        db_unique_name         => 'orcl11',
        protection_policy_name => 'reppolicy_ds_gold',
        reserved_space         => '128G');
    END;
    BEGIN
      DBMS_RA.ADD_DB (
        db_unique_name         => 'orcl12',
        protection_policy_name => 'reppolicy_ds_gold',
        reserved_space         => '128G');
    END;

関連項目:

「ADD_DB」

タスク5: ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでのデータベース・アクセスの付与

DBMS_RA.GRANT_DB_ACCESSを実行して、次のデータベース・アカウントに保護されたデータベース・アクセスを付与します。

レプリケーションおよびカタログ・アカウントに保護されたデータベース・アクセスを付与するには:

  1. SQL*PlusまたはSQL Developerで、RASYSとしてダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス・データベースに接続します。

  2. このアカウントで認証する必要のあるアップストリーム・リカバリ・アプライアンスにバックアップを送信する保護されたデータベースごとに、レプリケーション・ユーザーに権限を付与します。

    次の例では、レプリケーション・ユーザーrepuser_from_bostonに、保護されたデータベースorcl11およびorcl12で必要な権限を付与します。

    BEGIN
      DBMS_RA.GRANT_DB_ACCESS (
        username       => 'repuser_from_boston',
        db_unique_name => 'orcl11');
    END;
    BEGIN
      DBMS_RA.GRANT_DB_ACCESS (
        username       => 'repuser_from_boston',
        db_unique_name => 'orcl12');
    END;
    
  3. このアカウントで認証する必要のある各アップストリーム・リカバリ・アプライアンス上の保護されたデータベースごとに、仮想プライベート・カタログ・アカウントに権限を付与します。

    次の例ではリカバリ・カタログ・アカウントvpc_des_moines1に、保護されたデータベースorcl11およびorcl12で必要な権限を付与します。

    BEGIN
      DBMS_RA.GRANT_DB_ACCESS (
        username       => 'vpc_des_moines1',
        db_unique_name => 'orcl11');
    END;
    BEGIN
      DBMS_RA.GRANT_DB_ACCESS (
        username       => 'vpc_des_moines1',
        db_unique_name => 'orcl12');
    END;

関連項目:

「GRANT_DB_ACCESS」

DBMS_RAを使用したアップストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーションの構成

この項では、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスの構成方法について説明します。この項では、「DBMS_RAを使用したダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーションの構成」のステップが完了したと想定します。

ノート:

リカバリ・アプライアンスにアップストリーム・ロールとダウンストリーム・ロールの両方がある場合、次の手順はアップストリーム・ロールのみに関係します。

タスク1: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでの仮想プライベート・カタログ・アカウントの作成

保護されたデータベースをバックアップする際、RMANはこのアカウントを使用して、アップストリーム・リカバリ・アプライアンス上のリカバリ・カタログに接続します。

この項では、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでvpc_boston1という仮想プライベート・カタログ・アカウントを作成すると想定します。

仮想プライベート・カタログ・アカウントを作成するには:

  • racli add db_userに関する項の手順に従います。

    たとえば、次の文を実行してユーザー・アカウントvpc_boston1を作成します。

    # ./racli add db_user --user_name=vpc_boston1 --user_type=vpc

    プロンプト表示されたら、vpc_boston1ユーザーのパスワードを入力します。

関連項目:

仮想プライベート・カタログについてさらに学習するには、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

タスク2: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでの保護ポリシーの作成

DBMS_RA.CREATE_PROTECTION_POLICYを実行して、このアップストリーム・リカバリ・アプライアンスへのバックアップのディスク・リカバリ・ウィンドウおよびその他のプロパティを指定する保護ポリシーを作成します。アップストリーム・リカバリ・アプライアンスは、これらのバックアップをダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスにレプリケートします。

このタスクでは、reppolicy_us_goldポリシーを作成してorcl11およびorcl12データベースを保護すると想定します。次のタスクでは、この保護ポリシーを保護されたデータベースに関連付けます。

リカバリ・アプライアンス・レプリケーションの保護ポリシーを作成するには:

  1. SQL*PlusまたはSQL Developerで、RASYSとしてアップストリーム・リカバリ・アプライアンスのメタデータ・データベースに接続します。

  2. DBMS_RA.CREATE_PROTECTION_POLICYプロシージャで各保護ポリシーを作成します。

    たとえば、次のPL/SQLプログラムを実行します。

    BEGIN
      DBMS_RA.CREATE_PROTECTION_POLICY (
        protection_policy_name => 'reppolicy_us_gold',
        description            => 'For protected dbs in gold tier',
        storage_location_name  => 'delta',
        recovery_window_goal   => INTERVAL '28' DAY,
        guaranteed_copy        => 'NO');
    END;

関連項目:

タスク3: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでの保護ポリシーへのデータベースの追加

保護されたデータベースをレプリケーション保護ポリシーに追加するには、DBMS_RA.ADD_DBプロシージャを実行します。保護されたデータベースごとに予約するディスク領域の量も指定する必要があります。

このタスクでは、データベースorcl11およびorcl12「タスク2: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでの保護ポリシーの作成」で作成したreppolicy_us_gold保護ポリシーに追加し、保護されたデータベースごとに128GBの予約済領域を割り当てると想定します。

保護ポリシーにデータベースを追加するには:

  1. SQL*PlusまたはSQL Developerで、RASYSとしてアップストリーム・リカバリ・アプライアンスのメタデータ・データベースに接続します。

  2. DBMS_RA.ADD_DBプロシージャを使用して、保護されたデータベースごとにメタデータを追加します。

    たとえば、次のPL/SQLプログラムを実行します。

    BEGIN
      DBMS_RA.ADD_DB (
        db_unique_name         => 'orcl11',
        protection_policy_name => 'reppolicy_us_gold',
        reserved_space         => '128G');
    END;
    BEGIN
      DBMS_RA.ADD_DB (
        db_unique_name         => 'orcl12',
        protection_policy_name => 'reppolicy_us_gold',
        reserved_space         => '128G');
    END;

タスク4: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでの仮想プライベート・カタログ・アカウントへのデータベース・アクセスの付与

タスク1: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでの仮想プライベート・カタログ・アカウントの作成で作成したアップストリーム・カタログ・アカウントに、保護されたデータベースのアクセス権を付与するには、DBMS_RA.GRANT_DB_ACCESSを実行します。このステップにより、保護されたデータベースのバックアップまたはリストア時にRMANがリカバリ・カタログに接続できるようになります。

仮想プライベート・カタログに保護されたデータベース・アクセスを付与するには:

  1. SQL*PlusまたはSQL Developerで、RASYSとしてアップストリーム・リカバリ・アプライアンスのメタデータ・データベースに接続します。

  2. バックアップをレプリケートする保護されたデータベースごとに、仮想プライベート・カタログ・アカウントに権限を付与します。

    次の例ではカタログ・アカウントvpc_boston1に、保護されたデータベースorcl11およびorcl12で必要な権限を付与します。

    BEGIN
      DBMS_RA.GRANT_DB_ACCESS (
        username       => 'vpc_boston1',
        db_unique_name => 'orcl11');
    END;
    BEGIN
      DBMS_RA.GRANT_DB_ACCESS (
        username       => 'vpc_boston1',
        db_unique_name => 'orcl12');
    END;

タスク5: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでのOracleウォレットの作成

アップストリーム・リカバリ・アプライアンスで、mkstoreユーティリティを使用してOracle自動ログイン・ウォレットを作成し、「タスク3: ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーション・ユーザー・アカウントの作成」で作成したレプリケーション・ユーザー資格証明を追加します。アップストリーム・リカバリ・アプライアンスは、ダウンストリーム・アプライアンスへのログイン時にこれらの資格証明が必要となります。格納されている各資格証明には、リカバリ・アプライアンス・ユーザー・アカウントの名前と検証が含まれます。

ノート:

既存のウォレットが自動ログイン・ウォレットである(ウォレットにアクセスするたびにパスワードを入力する必要がない)場合、それを使用できます。Oracleのファイル拡張子は*.ssoです。既存のOracleウォレットを使用する場合は、下のステップ2をスキップします。

このタスクでは、次のことを想定しています。

  • アップストリーム・リカバリ・アプライアンス・ホストの/dbfs_repdbfs/REPLICATIONディレクトリでレプリケーションに使用するOracleウォレットを作成します。

  • レプリケーション・ユーザーrepuser_from_bostonの資格証明を追加します。

アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでOracleウォレットを作成するには:

  1. アップストリーム・リカバリ・アプライアンス・ホストに、リカバリ・アプライアンスをインストールしたオペレーティング・システム・ユーザーまたはそのユーザーのオペレーティング・システム・グループのメンバーとしてログインします。

  2. Oracleウォレットを作成するには、次のコマンドを実行します。wallet_locationは、ウォレットを格納するアップストリーム・リカバリ・アプライアンスの既存のディレクトリです。

    orapki -wrl wallet_location -createALO
    

    たとえば、次のコマンドは/dbfs_repdbfs/REPLICATIONディレクトリに自動ログイン・ウォレットを作成します。

    orapki -wrl file:/dbfs_repdbfs/REPLICATION -createALO
    

    mkstoreユーティリティにより、cwallet.ssoという名前のファイルが指定した場所に作成されます。

  3. 資格証明を追加するには、次のコマンドを実行します。

    mkstore -wrl wallet_location -createCredential serv_name ds_rep_user pwd
    

    プレースホルダは次のように定義されています。

    • wallet_locationは、ウォレットを作成するディレクトリです。ディレクトリは存在している必要があります。

    • serv_nameは、Oracleネットワーク上でダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスを識別するためにEZ接続記述子で使用するOracleネットワーク・サービス名です。

    • ds_rep_userは、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス上のレプリケーション・ユーザー・アカウントのユーザー名です。

    • pwdは、ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス上のレプリケーション・ユーザーのセキュア・パスワードです。

    たとえば、次のコマンドは、ポート1522およびデータベース名zdlradsmを使用するネット・サービス名radsm01repl-scan.acme.comと、レプリケーション・ユーザー名repuser_from_bostonの資格証明を追加します。

    mkstore -wrl file:/dbfs_repdbfs/REPLICATION -createCredential \
    "radsm01repl-scan.acme.com:1522/zdlradsm" "repuser_from_boston" "pwd"
    
  4. Oracleウォレットに資格証明のリストを表示する次のコマンドを実行して、すべてのユーザーの資格証明が正しく追加されたことを確認します(パスワードまたは検証は表示されません)。

    mkstore -wrl wallet_location -listCredential
    

    たとえば、次のコマンドは/dbfs_repdbfs/REPLICATIONに格納されているOracleウォレット内の資格証明のリストを表示します。

    mkstore -wrl file:/dbfs_repdbfs/REPLICATION -listCredential
    
    Oracle Secret Store Tool : Version 12.1.0.1 Copyright (c) 2004, 2012, Oracle and/or its affiliates. All rights reserved.
    List credential (index: connect_string username)
    1: radsm01repl-scan1.acme.com:1522/zdlradsm repuser_from_boston

関連項目:

タスク6: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーション・サーバー構成の作成

DBMS_RA.CREATE_REPLICATION_SERVERを実行して、このアップストリーム・リカバリ・アプライアンスをレプリケートするダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスごとにレプリケーション・サーバー構成を作成します。

注意:

ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスで保護ポリシー(ADD_DB)にデータベースを追加してデータベース・アクセス(GRANT_DB_ACCESS)を付与するに、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでCREATE_REPLICATION_SERVERを実行すると、ORA-*エラーが発生する可能性があります。

このタスクでは、次のことを想定しています。

レプリケーション・サーバー構成を作成するには:

  1. SQL*PlusまたはSQL Developerで、RASYSとしてアップストリーム・リカバリ・アプライアンスのメタデータ・データベースに接続します。

  2. ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスごとにDBMS_RA.CREATE_REPLICATION_SERVERプロシージャを実行します。

    次の例では、ZDLRA Des Moinesというダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスにzdlradsm_repというレプリケーション・サーバー構成を作成します。

    BEGIN
      DBMS_RA.CREATE_REPLICATION_SERVER (
        replication_server_name => 'zdlradsm_rep',
        sbt_so_name      => 'libra.so',
        catalog_user_name       => 'RASYS',
        wallet_alias            => 'radsm01repl-scan.acme.com:1522/zdlradsm',
        wallet_path             => 'file:/dbfs_repdbfs/REPLICATION');
    END;
    
  3. レプリケーション・サーバー構成の作成を確認します。

    たとえば、次の問合せを実行します。

    SELECT COUNT(*) should_be_one 
    FROM   RA_REPLICATION_CONFIG
    WHERE  REPLICATION_SERVER_NAME = 'ZDLRADSM_REP';
    
    SHOULD_BE_ONE
    -------------
    1
    

    構成が正しく作成された場合、戻り値は1です。

関連項目:

タスク7: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスの保護ポリシーとの関連付け

レプリケーション・サーバー構成を保護ポリシーに割り当てることで、保護されたデータベースそれぞれをレプリケートするダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスを指定します。このタスクが完了すると、リカバリ・アプライアンス・レプリケーションは有効になります。

ノート:

1つの保護ポリシーに複数のレプリケーション・サーバー構成を割り当てることができます。

このタスクでは、次のことを想定しています。

レプリケーション・サーバー構成を保護ポリシーに関連付けるには:

  1. リカバリ・アプライアンス管理者としてリカバリ・アプライアンスのメタデータ・データベースに接続していることを確認します。

  2. 保護ポリシーとレプリケーション・サーバー構成の組合せごとに、DBMS_RA.ADD_REPLICATION_SERVERプロシージャを実行します。

    たとえば、次のPL/SQLプログラムを実行します。

    BEGIN
      DBMS_RA.ADD_REPLICATION_SERVER (
       replication_server_name => 'zdlradsm_rep',
       protection_policy_name  => 'reppolicy_us_gold');
    END;

リカバリ・アプライアンス・レプリケーションのための保護されたデータベースの構成

リカバリ・アプライアンス・レプリケーション環境に参加する保護されたデータベースはそれぞれ、正しく構成する必要があります。たとえば、保護されたデータベースごとに、次を実行する必要があります。

  • アップストリームおよびダウンストリーム・リカバリ・アプライアンス上の仮想プライベート・カタログ所有者のOracleウォレット資格証明を、Oracleウォレットに追加します。

    ノート:

    レプリケーション構成では、ダウンストリーム資格証明の追加は要求されません。ただし、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスがアクセス不可の場合、およびRMANがダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスからバックアップのリストアを試行する場合、RMANはダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスで仮想プライベート・カタログに直接接続する必要があります。この場合、Oracleウォレットでダウンストリーム資格証明が必要になります。

  • Oracleウォレットの内容を確認します。

  • アップストリーム・リカバリ・アプライアンスの仮想プライベート・カタログでデータベースを登録します。

  • 保護されたデータベースをバックアップし、RMANチャネルを割り当てる際に正しいOracleウォレットの場所を指定します。

保護されたデータベースの構成方法を学習するには、『Zero Data Loss Recovery Appliance保護されたデータベースの構成ガイド』を参照してください。

リカバリ・アプライアンスのレプリケーション・サーバー構成のテスト

レプリケーション・スキーマに関わる保護されたデータベースごとに、次のプロシージャを使用して、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスからすべてのダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスへのレプリケーションをテストします。このプロシージャを繰り返して、複雑なレプリケーション・トポロジの各レプリケーション・パスをテストします。

この項では、次のことを前提にしています。

  • アップストリーム・リカバリ・アプライアンスZDLRA Bostonからダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスZDLRA Des Moinesへのorcl11のバックアップのレプリケーションをテストします。

  • ZDLRA Bostonではテープにもバックアップします。

保護されたデータベースのレプリケーションをテストするには:

  1. RMANを起動し、保護されたデータベースにTARGETとして接続し、アップストリーム・リカバリ・アプライアンス上の仮想プライベート・カタログにCATALOGとして接続します。

    たとえば、システム・プロンプトに次のコマンドを入力して、orcl11TARGETとして、およびzdlra_bostonCATALOGとして接続します。

    rman TARGET ra_admin@orcl11 CATALOG /@zdlra01bosingest-scan1.acme.com:1521/zdlrabos:dedicated
    
  2. バックアップ・セットのリストを表示し、アップストリームおよびダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスにバックアップが存在することを確認します。

    たとえば、次のコマンドを実行します(出力例も示します)。

    RMAN> LIST BACKUPSET; 
    .
    .
    .
     
    BS Key  Size 
    ------- ----------
    54746   224.25M  
    
      List of Archived Logs in backup set 54746
      Thrd Seq     Low SCN    Low Time            Next SCN   Next Time
      ---- ------- ---------- ------------------- ---------- ---------
      1    17854   153525644  2014/07/01 12:59:40 153545145  2014/07/01 13:00:34
      1    17855   153545145  2014/07/01 13:00:34 153564529  2014/07/01 13:01:36 
      1    17856   153564529  2014/07/01 13:01:36 153585644  2014/07/01 13:02:26
      1    17857   153585644  2014/07/01 13:02:26 153606722  2014/07/01 13:03:18 
      1    17858   153606722  2014/07/01 13:03:18 153629480  2014/07/01 13:04:11
      1    17859   153629480  2014/07/01 13:04:11 153651278  2014/07/01 13:05:05 
      1    17860   153651278  2014/07/01 13:05:05 153672263  2014/07/01 13:05:59
      
      Backup Set Copy #1 of backup set 54746
      Device Type Elapsed Time Completion Time     Compressed Tag
      ----------- ------------ ------------------- ---------- --- 
      SBT_TAPE    02:52:20     2014/07/01 13:14:46 NO         TAG20140701T131434
      
        List of Backup Pieces for backup set 54746 Copy #1
        BP Key  Pc# Status      Media                   Piece Name 
        ------- --- ----------- ----------------------- ----------
        54747   1   AVAILABLE   Oracle Recovery Appliance (ZDLRA Boston) 4qpca79s_1_1_DB1211LG 
     
      Backup Set Copy #2 of backup set 54746 
      Device Type Elapsed Time Completion Time     Compressed Tag 
      ----------- ------------ ------------------- ---------- ---
      SBT_TAPE    02:52:20     2014/07/01 16:06:56 NO         TAG20140701T131434
     
        List of Backup Pieces for backup set 54746 Copy #2 
        BP Key  Pc# Status      Media                   Piece Name
        ------- --- ----------- ----------------------- ---------- 
        55019   1   AVAILABLE   Oracle Recovery Appliance (ZDLRA Des Moines) RA_SBT_54971_4qpca79s_1_2_54746_1
    . 
    .
    .
    

    前述の出力では、バックアップ・セット54746には2つのコピーがあります。コピー#1はアップストリーム・リカバリ・アプライアンスZDLRA Bostonにあり、コピー#2はダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスZDLRA Des Moinesにあります。

  3. SQL*PlusまたはSQL Developerで、RASYS権限がある名前付きユーザーとしてアップストリーム・リカバリ・アプライアンスに接続します。
  4. アップストリーム・リカバリ・アプライアンスのレプリケーション・ステータスが正しいことを確認します。

    たとえば、RA_REPLICATION_CONFIGを問い合せて、「タスク6: アップストリーム・リカバリ・アプライアンスでのレプリケーション・サーバー構成の作成」で作成したレプリケーション・サーバー構成のRUNNINGの状態を確認します。

    SELECT REPLICATION_SERVER_NAME AS "RS_NAME", 
           REPLICATION_SERVER_STATE AS "RS_STATE",
    FROM   RA_REPLICATION_CONFIG;
    
    RS_NAME         RS_STATE
    --------------- --------
    ZDLRADSM_REP RUNNING
    

    前述のすべてのテストで予期した結果が出た場合、アップストリーム・リカバリ・アプライアンスはこの保護されたデータベースのバックアップを正常にレプリケートしています。