21 DBMS_RAパッケージのリファレンス

この章では、DBMS_RA PL/SQLパッケージについて詳しく説明します。リカバリ・アプライアンスの管理機能はすべて、DBMS_RAサブプログラムを使用して実行します。

一時に1つのDBMS_RAプロシージャを実行できます。ABORT_RECOVERY_APPLIANCEを除いて、同時に異なるセッションで複数のDBMS_RAプロシージャを実行しようとすると、該当するメッセージが表示されて失敗します。

次の表に、使用可能なDBMS_RAサブプログラムをまとめます。

表21-1 DBMS_RSパッケージのサブプログラム

サブプログラム 説明
ABORT

ABORT_RECOVERY_APPLIANCEと同義です。

ABORT_RECOVERY_APPLIANCE

このプロシージャは、進行中の操作が完了するのを待機せずにリカバリ・アプライアンスを停止します。

ADD_DB

このプロシージャは、指定されたデータベースをリカバリ・アプライアンスに追加し、保護ポリシーをそのデータベースに割り当てます。このプロシージャを使用すると、保護されていないデータベースを保護されたデータベースの状態にすることができます。

ADD_REPLICATION_SERVER

このプロシージャは、指定されたレプリケーション・サーバー構成を指定された保護ポリシーに追加します。操作が成功すると、このポリシーで保護されるデータベースのバックアップがダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスにレプリケートされます。

CONFIG

このプロシージャは、config表の値を更新します。ZDLRAに関してOracleサポートの指示がないかぎり、パラメータの変更を実行しないでください。

COPY_BACKUP

このプロシージャは、リカバリ・アプライアンスからユーザー指定のディスクまたはSBT宛先に1つ以上のバックアップ・ピースをコピーします。指定したタグとformatパラメータおよびtemplate_nameパラメータで指定した場所が一致するバックアップ・ピースがすべてコピーされます。

COPY_BACKUP_PIECE

このプロシージャは、リカバリ・アプライアンスからユーザー指定のディスクまたはSBT宛先に単一のバックアップ・ピースをコピーします。

CREATE_ARCHIVAL_BACKUP

このプロシージャは、すべてのバックアップ・ピースをユーザー入力で制限されたリカバリ・アプライアンスからテープにコピーし、保護されたデータベースをrestore_until_scnまたはrestore_until_timeで説明されているユーザーが指定した時点にリカバリできるようにします。

CREATE_POLLING_POLICY

このプロシージャは、バックアップのポーリング・ポリシーを作成します。

CREATE_PROTECTION_POLICY

このプロシージャは、保護ポリシーを作成します。

CREATE_REPLICATION_SERVER

このプロシージャは、リカバリ・アプライアンスのレプリケーション・スキームの一部を形成するダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスの構成を定義します。

CREATE_SBT_ATTRIBUTE_SET

このプロシージャは、SBTジョブで使用できるSBT属性セットを作成します。

CREATE_SBT_JOB_TEMPLATE

このプロシージャは、リカバリ・アプライアンスがテープへのコピー対象となるバックアップを選択する方法を記述するSBTジョブを作成します。この過負荷プロシージャのこの形式は、指定された保護ポリシーに割り当てられた保護されたデータベースすべてに対するバックアップに適用されます。

CREATE_SBT_JOB_TEMPLATE

このプロシージャは、新しいSBTバックアップ・ジョブを作成します。ジョブでは、リカバリ・アプライアンスがテープ/クラウドへのコピー対象となるバックアップを選択する方法を記述します。この過負荷プロシージャのこの形式は、単一の保護されたデータベースに対するバックアップにのみ適用されますが、前述の形式は特定の保護ポリシーに割り当てられたデータベースすべてに対するバックアップに適用されます。この相違を除いて、このプロシージャとそのパラメータは、このプロシージャの代替形式とまったく同じです。

CREATE_SBT_LIBRARY

このプロシージャは、インストールされたメディア管理ソフトウェア・ライブラリを記述するメタデータを作成します。リカバリ・アプライアンスでは、指定されたライブラリを使用して、内部記憶域からテープまたはこのメディア・マネージャでサポートされる他の3次記憶域にバックアップがコピーされます。

DELETE_DB

このプロシージャは、リカバリ・アプライアンスから指定の保護されたデータベースを削除します。リカバリ・アプライアンスは、ディスクとSBTの両方から、このデータベースに関連するメタデータおよびバックアップをすべて削除します。テープ上のバックアップは影響を受けません。レプリケートおよびクラウドのピースに関して、メタ・データは削除を実行するリカバリ・アプライアンスから削除されますが、データはダウンストリームまたはクラウド・ストレージから削除されません。

DELETE_POLLING_POLICY

このプロシージャは、指定されたバックアップのポーリング・ポリシーを削除します。

DELETE_PROTECTION_POLICY

このプロシージャは、指定された保護ポリシーを削除します。

DELETE_REPLICATION_SERVER

このプロシージャは、レプリケーション・サーバー構成を削除します。ダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスに関連するメタデータがすべて削除されます。

DELETE_SBT_ATTRIBUTE_SET

このプロシージャは、指定されたSBT属性セットを削除します。

DELETE_SBT_JOB_TEMPLATE

このプロシージャは、指定されたSBTジョブ・テンプレートを削除します。

DELETE_SBT_LIBRARY

このプロシージャは、指定されたSBTライブラリを記述しているメタデータを削除します。

ESTIMATE_SPACE

このプロシージャは、指定されたデータベースのリカバリおよび望ましいリカバリ・ウィンドウに必要な記憶域容量をGB単位で予測します。

GET_REDO_TRANSPORT_LAG

指定されたデータベースの現在のREDOトランスポート・ラグを返します。

GRANT_DB_ACCESS

このプロシージャは、指定されたリカバリ・アプライアンス・ユーザー・アカウントに必要な権限を付与し、そのアカウントが指定の保護されたデータベースに関するリカバリ・カタログ・メタデータのバックアップ、リストアおよびアクセスをできるようにします。

KEY_REKEY

このプロシージャは、すべてのデータベースの暗号化キーを既存の暗号化キーで更新します。

KEY_REKEY

このプロシージャは、指定したデータベースの暗号化キーを既存の暗号化キーで更新します。

KEY_REKEY

このプロシージャは、すべてのデータベースの暗号化キーを、指定したprotection_policy内の既存の暗号化キーで更新します。

MIGRATE_TAPE_BACKUP

このプロシージャは、指定されたSBTライブラリを介してリカバリ・アプライアンスで移行前のテープ・バックアップをアクセスできるようにします。先に、RMAN IMPORT CATALOGコマンドを使用してリカバリ・アプライアンス・カタログにテープ・バックアップに関するメタデータをインポートする必要があります。

MOVE_BACKUP

このプロシージャは、リカバリ・アプライアンスからユーザー指定のディスクまたはSBT宛先に1つ以上の長期アーカイブ・バックアップ・ピースを移動します。

MOVE_BACKUP_PIECE

このプロシージャは、リカバリ・アプライアンスからユーザー指定のディスクまたはSBT宛先に単一の長期アーカイブ・バックアップ・ピースを移動します。

PAUSE_REPLICATION_DATABASE

このプロシージャは、指定されたデータベースのレプリケーションをすべての関連するレプリケーション・サーバーとともに一時停止します。replication_server_nameを指定すると、1つのデータベース/1つのレプリケーション・サーバーのレプリケーションが一時停止されます。

PAUSE_REPLICATION_SERVER

このプロシージャは、指定されたダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスへのレプリケーションを一時停止します。

PAUSE_SBT_LIBRARY

このプロシージャは、指定されたSBTライブラリを一時停止します。リカバリ・アプライアンスでは、進行中のバックアップ・ピースのコピーを完了できます。ただし、このSBTライブラリを介したコピー対象のバックアップ・ピースがキューに入れられて、まだコピーされていない場合は、リカバリ・アプライアンスは、このSBTライブラリを再開するまでそのバックアップ・ピースを保持します。このライブラリに対して実行される新しいSBTジョブは、ライブラリを再開(RESUME_SBT_LIBRARY)するまで実行できません。

POPULATE_BACKUP_PIECE

このプロシージャは、指定されたバックアップ・ピースをデルタ・ストアにプッシュします。

QUEUE_SBT_BACKUP_TASK

このプロシージャは、指定されたSBTジョブ・テンプレートでテープへのコピー対象に選択されたバックアップ・ピースをキューに入れます。通常、このプロシージャはOracle Schedulerなどのスケジューリング・ユーティリティによってコールされます。

REMOVE_REPLICATION_SERVER

このプロシージャは、指定されたレプリケーション・サーバー構成を指定された保護ポリシーから削除します。操作が成功すると、このポリシーで保護されるデータベースのバックアップがダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスにレプリケートされなくなります。

RENAME_DB

このプロシージャは、リカバリ・アプライアンス・メタデータで指定の保護されたデータベースの名前を変更します。

RESET_ERROR

このプロシージャは、指定された一連のインシデント・ログ・エントリのステータスをRESETに変更します。エラーを一括リセットできるように、オプションの複数の入力パラメータを受け取ります。単一のRESET_ERRORコールに2つ以上の入力パラメータが指定されている場合、一緒に指定されたすべての入力パラメータに一致するレコードのみがRESETになります。この方式でマークされたエラーによってOracle Enterprise Managerでアラートが発生することはありません。リカバリ・アプライアンスによって問題が依然として発生していると判断されると、リセットされたエラーがACTIVEステータスに変ります。このAPIの主な用途は、一時的なメディア障害などの繰り返し発生しないエラーに対するエラー・ステータスをリセットすることです。

RESUME_DB

このプロシージャは、一時停止しているデータベースを通常の動作にリストアします。一時停止しているデータベースのみを再開できます。

RESUME_REPLICATION_DATABASE

このプロシージャは、以前にpause_replication_databaseをコールした後に指定されたデータベースのレプリケーションを再開します。

RESUME_REPLICATION_SERVER

このプロシージャは、前のPAUSE_REPLICATION_SERVERのコール後に、指定されたダウンストリーム・リカバリ・アプライアンスへのレプリケーションを再開します。

RESUME_SBT_LIBRARY

このプロシージャは、一時停止しているSBTライブラリを再開します。

REVOKE_DB_ACCESS

このプロシージャは、指定されたリカバリ・アプライアンス・ユーザー・アカウントから単一の保護されたデータベースに対する権限を取り消します。

SET_SYSTEM_DESCRIPTION

このプロシージャは、ユーザーがリカバリ・アプライアンスに適用するわかりやすい名前を設定します。ここで指定した名前は、RA_SERVERビューに表示されます。

SHUTDOWN

SHUTDOWN_RECOVERY_APPLIANCE.と同義です。

SHUTDOWN_RECOVERY_APPLIANCE

このプロシージャは、リカバリ・アプライアンスの正しい停止を実行します。

STARTUP

STARTUP_RECOVERY_APPLIANCEと同義です。

STARTUP_RECOVERY_APPLIANCE

このプロシージャは、停止または終了した後のリカバリ・アプライアンスを起動します。

SUSPEND_DB

このプロシージャは、このデータベースに関連付けられているすべてのローカル・ディスク・バックアップをリカバリ・アプライアンスから削除します。テープ上のバックアップ、クラウド内のバックアップ、または他のリカバリ・アプライアンスにレプリケートされたバックアップは影響を受けません。

UPDATE_ARCHIVAL_BACKUP_KEEP

このプロシージャは、指定したkeep_until_timeを使用してアーカイブ・バックアップの保存時間を更新します。アーカイブ・バックアップは、ユーザーが指定したrestore_tagおよびrestore_pointによって識別されます。

UPDATE_DB

このプロシージャは、指定の保護されたデータベースに割り当てられている属性を変更します。

UPDATE_POLLING_POLICY

このプロシージャは、既存のバックアップのポーリング・ポリシーのパラメータを変更します。

UPDATE_PROTECTION_POLICY

このプロシージャは、既存の保護ポリシーのパラメータを変更します。

UPDATE_REPLICATION_SERVER

このプロシージャは、レプリケーション・サーバー構成の設定を変更します。

UPDATE_SBT_ATTRIBUTE_SET

このプロシージャは、指定されたSBT属性セットのパラメータを更新します。

UPDATE_SBT_JOB_TEMPLATE

このプロシージャは、指定されたSBTジョブのパラメータを更新します。

UPDATE_SBT_LIBRARY

このプロシージャは、指定されたSBTライブラリのパラメータを変更します。