ヘッダーをスキップ

Oracle Projectsインプリメンテーション・ガイド
リリース12
E05610-01
目次へ
目次
前ページに戻る
前へ
次ページへ
次へ

Oracle Projectsの実装の概要

この章では、実装プロセスの概要について説明します。

この章の項目は、次のとおりです。

実装の計画

Oracle Projectsの実装計画を作成する際に、この項で説明する実装の問題点を考慮することをお薦めします。Oracle Projectsのようなコア・システムの実装は複雑で時間のかかるタスクです。実装計画を慎重に作成することで、貴重な時間を節約してエラーを防止できます。

注意: Oracle Projectsで報告通貨を使用する予定の場合は、『Oracle Financialsインプリメンテーション・ガイド』、『Oracle Subledger Accountingインプリメンテーション・ガイド』および『Oracle General Ledgerユーザーズ・ガイド』の報告通貨に関する項を参照してください。

実装チーム

実装チームは、実装計画を作成して実施し、実装に関する意思決定のほとんどを行います。実装チームによる重要な意思決定は、業務手順の改変から、変換の準備、システム要件の決定まで多岐にわたります。

実装チームは、MIS、会計およびプロジェクト管理部門の代表者など、広範囲なメンバーで構成する必要があります。理想としては、実装の問題に長時間にわたって専念できるスタッフで構成します。

また、実装チームのメンバー1人を実装作業の主導的な立場に置き、問題の解決を促して、Oracle Worldwideカスタマ・サポートおよびオラクル・コンサルティング・サービスに対する組織の窓口を務めるようにする必要があります。

実装決定

実装チームは、Oracle Projectsの機能の観点から業務手順をすべて再検証する必要があります。

業務手順の確認

ビジネスに使用する用語、組織体系、会計慣行、支出の分類方法およびレポート方針は、Oracle Projectsの実装に関連した多数の意思決定に影響する問題のごく一部にすぎません。

実装データの準備

実装チームは、Oracle Projectsの機能をどのように構成するかを決定する必要があります。

実装データを決定する際に、自動会計を念頭に置く必要があります。Oracle Projectsの自動会計機能では、Oracle Projectsの全会計取引のプロジェクト情報に基づいて勘定科目組合せの値が導出されます。そのため、勘定体系の編成方法が実装データに影響します。たとえば、食事、旅行、宿泊および航空運賃などの様々な支出を複数の費用勘定に賦課する場合は、各費用勘定に対応する支出タイプを実装する必要があります。Oracle Projectsに対して定義する実装データのほとんどは、定義する自動会計ルールへの入力として使用できます。

関連項目

Oracle Projects設定の概要

データ変換

通常、既存システムからのデータ変換は実装のうち最もエラーが発生しやすい領域のため、実装チームは妥当な期間計画を調べてテストする必要があります。

Oracle Projectsに移行する前に、サンプル・データを使用してデータ変換プログラムを慎重にテストすることをお薦めします。変換後は、データの機能性を検証する必要があります。

ユーザーの研修

Oracle Projectsを使用する社内の全メンバーの研修計画を作成します。ソフトウェアを直接操作する従業員や、システムからレポートされるデータを検討する従業員を研修対象とする必要があります。研修には、システムを使用して特定のタスクを実行する手順や、Oracle Projectsの実装結果として設定できる新しい業務方針の説明を含めることができます。

システム・テスト

Oracle Applicationsやアプリケーションとインタフェースするシステムなどの企業ソリューションについて、広範囲なシステム・テストを計画して実行します。システム・テスト環境には、本番システムとできるかぎり類似した環境を使用する必要があります。テストに使用するデータを変換した後、ユーザーを現在実行中または実行予定の機能のテストに割り当てます。パフォーマンスの問題を正確に判断できるように、テスト担当には適切なハードウェア・リソースを提供してください。

Oracle Projects設定の概要

Oracle Projectsを実装しやすいように、このマニュアルでは架空のエンジニアリング、建設およびコンサルティング企業であるFremont Corporationのサンプル実装を使用して説明を進めていきます。実装ステップごとに、Fremont社が独自のポリシー、慣行または手順をOracle Projectsでどのように実装するかについて説明します。Fremont社の実装を学習することで、Oracle Projectsを使用して独自のポリシー、慣行および手順を実装する方法について理解できます。「Fremont Corporationについて: Oracle Projectsの設定例」を参照してください。

基本的なOracle Applicationsテクノロジの設定

この章の設定ステップでは、Oracle ApplicationsのうちOracle Projectsに固有である一部を実装する方法について説明します。

次のように、他の複数の設定ステップを完了しておく必要があります。

詳細は、『Oracle Applicationsシステム管理者ガイド』を参照してください。

また、実装でOracle Workflowを使用してプロジェクトや予算のステータス変更を管理したり、勘定科目ジェネレータを介してプロジェクト関連の仕入先請求書勘定科目を導出する場合は、Oracle Workflowを設定する必要があります。

詳細は、『Oracle Workflowユーザーズ・ガイド』を参照してください。

Oracle Projects実装チェックリスト

実装チェックリストは、次のように、Oracle Projectsソリューションの製品ごとに1つずつ、複数のチェックリストで構成されています。

実装に基づいて、各製品のチェックリストを他のチェックリストと併用できます。

Oracle Projects実装チェックリストの概要

この項では、実装チェックリストを使用する際のガイドラインを示します。

各ステップの順次実行

多くの実装ステップでは前のステップで定義した情報を使用するため、各ステップを記載されている順序で実行する必要があります。

共有データ

実装チェックリストは、Oracle Projectsを実装するために従う各ステップを要約したものです。他のOracle Applicationsと共有される可能性があるが、Oracle Projectsでは必須のデータに関する設定ステップが含まれています。他のOracle Applicationsの実装時にこの情報を定義している場合は、そのステップをスキップできます。これには、次の共有データが含まれます。

Subledger Accounting

Oracle Projectsでは、自動会計を使用してOracle Subledger Accountingに送信するプロジェクト原価のデフォルト勘定科目を作成します。Oracle ProjectsによりOracle Subledger Accountingに事前定義済の設定が提供され、Oracle Projectsからのデフォルト勘定科目が受け入れられて、変更なしにそのままOracle General Ledgerに転送されます。Oracle Subledger Accountingでは、Oracle Projects用の詳細会計基準を定義するオプションが用意されています。Oracle Subledger Accountingで独自の詳細会計基準を定義すると、Oracle Projectsで自動会計を使用して導出されるデフォルト勘定科目または個別勘定科目セグメントは、Oracle Subledger Accountingにより上書きされます。

Oracle Subledger Accountingで独自の会計基準を設定した場合も、Oracle Projectsで有効なデフォルト勘定科目を判別できるように自動会計を設定する必要があります。自動会計の設定により、原価を配分して会計イベントを生成するプロセスなどで、Oracle ProjectsからOracle Subledger Accountingに送信されるデフォルト勘定科目を判別できるようになります。

Oracle Subledger Accountingでは、勘定科目組合せの値がプロジェクト情報に基づいて導出されます。Oracle Projectsに対して定義する実装データのほとんどは、Oracle Subledger Accountingでソースとして使用できます。ソースとは、「PRC: 会計の作成」プロセスで仕訳の作成に使用される情報です。Oracle Projectsには300以上のソースが用意されており、会計仕訳の判別と記述に使用できます。事前定義済ソースの例には、支出カテゴリ、プロジェクト・タイプ、タスク・サービス・タイプおよびプロジェクト組織などがあります。

自動会計

実装データを決定する際に、自動会計を念頭に置く必要があります。Oracle Projectsの自動会計機能では、Oracle Projectsの全会計取引のプロジェクト情報に基づいて勘定科目組合せの値が導出されます。そのため、勘定体系の編成方法が実装データに影響します。たとえば、食事、旅行、宿泊および航空運賃などの様々な支出を複数の費用勘定に賦課する場合は、各費用勘定に対応する支出タイプを実装する必要があります。Oracle Projectsに対して定義する実装データのほとんどは、定義する自動会計ルールへの入力として使用できます。

実装リスト

ほとんどの実装ステップを完了した後、レポートを発行して作業内容を検討し、各ステップを正常に完了したことを確認できます。たとえば、基本契約タイプの入力を完了した後、「IMP: 基本契約タイプ」を発行できます。『Oracle Projects Fundamentals』の実装リストに関する項を参照してください。

チェックリストの各項

各チェックリストは最初に製品別、次に機能別にグループ化されているため、スイート全体を実装したり不要な機能を実装することなく、ライセンスを取得した製品とビジネスに必要な特定の機能を実装できます。

製品設定チェックリスト

製品設定チェックリストは機能領域別に編成されています。「必須/オプション」列が「必須」の場合は、そのステップが製品を使用する上で必須であることを示します。「オプション」の場合は、そのステップが製品を使用する上でオプションであることを示します。

機能設定チェックリスト

機能設定チェックリストは各製品の機能別に編成されています。「必須/オプション」列が「必須」の場合は、そのステップが各機能を使用する上で必須であることを示します。「オプション」の場合は、そのステップが各機能を使用する上でオプションであることを示します。

また、Oracle Project Foundationのチェックリストの「必須/オプション」列には、そのステップが必須またはオプションの製品、あるいはOracle Projects Suiteの全製品が該当する場合は「全て」が示されています。

Oracle Projectsと他のOracle Applicationsとの統合ステップ

実装チェックリストに含まれる一部のステップは他のOracle Applicationsで実行され、そのアプリケーションとOracle Projectsの統合に影響します。このような設定ステップを他のOracle Applicationsに対して実行する際には、Oracle Projectsとの統合による影響を理解しておく必要があります。製品の包括的な実装情報は、各製品のユーザーズ・ガイドの「設定」を参照してください。

実装チェックリストの使用方法

Oracle Projectsの実装を開始する場合、ニーズはビジネスごとに異なります。Oracle Projectsを使用すると、プロジェクト要件をビジネス・ニーズにあわせて調整できるのみでなく、Oracle Projectsの設定に関する各項は同様の柔軟性を持つように設計されています。ここでは、これらの各項の使用方法に関する提案を示します。

実装手順を示すガイドとして使用

このマニュアルには、Oracle Projectsの実装手順が段階的に記載されています。各ステップでは、最初に完了しておく必要のある他のステップ、そのステップで得られる成果およびステップの実行手順を説明しています。実装計画の作成後は、単に各ステップに従ってOracle Projectsの各フォームで業務方針、手順および要件を入力します。

各ステップには、(1)製品、(2)そのステップが製品設定または機能設定の一部かどうか、(3)ステップの順序を示す番号が付いています。たとえば、ステップPJF-P1.1はOracle Project Foundationの製品設定のステップ1.1で、ステップPJB-F1.1はOracle Project Billingの機能設定のステップ1.1です。

チュートリアルとして使用

Fremont CorporationのOracle Projects実装に従うと、このマニュアルを学習教材としても使用できます。実装手順を学習し、Oracle Projectsシステムで実験することで理解を深めることができます。

実装計画のための出発点として使用

Fremont Corporationの実装に従うと、Fremont Corporationの要件を満たすプロジェクト・システムとなり、自社の要件とは異なる可能性があります。独自の実装計画を設計するには、例を通読し、プロジェクトのニーズに類似する要件と異なる要件を調べます。Fremont Corporationの実装を学習することで、Oracle Projectsを使用して独自のポリシー、慣行および手順を実装する方法について理解できます。

有効日

ほとんどの設定ウィンドウには有効日のフィールドがあります。有効日は、定義する項目が有効として値リストに表示される日付です。

「有効日:自」フィールドは必須で、通常はシステム日付がデフォルト設定されます。「有効日:至」フィールドは通常はオプションで、定義する項目を無限に有効にする場合は空白のままにしておくことができます。

日付の範囲には範囲の開始日と終了日が含まれます。項目は「自」日付に有効になり、「至」日付まで有効になっています。

ある項目を将来無効化する場合は、その日付を「至」フィールドに入力できます。

たとえば、暦年の終了後はプロジェクトを「マーケティング部門」として分類する必要がなくなると判断したとします。「有効日: 至」フィールドを「31-DEC-2001」に設定すると、この分類コードは値リストに表示されなくなり、2002年1月1日以降はこの分類コードを入力できなくなります。

同様に、「口頭」基本契約タイプの「有効日: 至」フィールドに今日の日付を入力すると、明日以降は従業員による口頭の支払基本契約の記録を禁止できます。

また、有効日を使用して、時間経過とともに変化する情報を記録することもできます。たとえば、特定日付の従業員用の請求レートを変更する場合、新しい請求レートを入力して「有効日」フィールドを使用すると、必要に応じて新旧の請求レートが確実に使用されるようにできます。

Fremont Corporationについて: Oracle Projectsの設定例

Fremont Corporationは、カリフォルニア州ベイ・グローブを本拠地として国内外の多様な顧客にエンジニアリング、建設およびサービス契約を提供する架空の企業です。この企業は管理、エンジニアリング、建設およびサービスの4部門で構成されています。

これらの部門は、さらに多数のグループに分かれています。たとえば、管理部門には執行部、人事管理、財務および情報サービスの4グループがあります。

Fremont Corporation: 組織階層

本文の説明内容に関するイメージ

Fremont Corporationは、会計処理のニーズを統合するために、Oracle General Ledger、Oracle Receivables、Oracle Purchasing、Oracle PayablesおよびOracle Assetsなどの他のOracle Applications製品を実装しています。

Fremont Corporationは各部門にOracle Projectsを実装することを決定し、実装チームの編成に着手します。このチームはFremont Corporationの会計処理とプロジェクト管理の慣行を理解しているマネージャで構成され、Fremont CorporationがどのようにOracle Projectsを実装すれば自社のビジネス・ニーズを最も満たすことができるかを決定します。また、実装の完了に必要なポリシー、手順および要件も定義します。

このマニュアル全体で、実装の特定の側面に関する説明には、Fremont Corporationの実装チームがOracle Projectsを実装するために選択する内容が含まれています。ほとんどの例は、実装ステップの最後に記載されています。

注意: Fremont Corporationは、このリリースのOracle Projectsで使用可能な機能をすべて実装していない可能性があります。