Oracle Advanced Supply Chain Planningインプリメンテーションおよびユーザーズ・ガイド リリース12 E06012-01 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
この章のトピックは、次のとおりです。
制約ベースの計画および予定作成は、顧客需要を満たしながら、資材とプラントの生産資源のバランスを調整するアプローチです。このアプローチでは、会社レベルとプラント・レベルの制約が考慮されます。資材と生産能力の制約が同時に考慮されます。生産能力制約には、工場、搬送および輸送の生産資源が含まれます。このように問題の全体像が得られることにより、計画および予定作成に関する決定が、サプライ・チェーン全体に与える影響を一目で、グローバルに把握できます。
制約ベースの計画には、最適化を伴う計画と最適化を伴わない計画という2つのタイプがあります。この項では、まず両方のタイプに適用可能な制約タイプについて説明してから、最適化を伴わない制約ベースの計画について説明します。最適化を伴う制約ベースの計画については、「最適化」を参照してください。
ライン型品目は、制約付き計画では計画できません。
計画内の資材と生産資源に対する制約を定義できます。また、ビジネス・ニーズと計画水平に応じて、これらの制約の重要度レベルも指定できます。計画バケット・タイプ(日、週、期間)ごとに、次のシナリオを使用して計画を生成できます。
資材制約のみを考慮する計画
生産資源制約のみを考慮する計画
資材制約と生産資源制約の両方を考慮する計画
制約の相対重要度の定義については、「計画の定義」を参照してください。
次の表に、制約ベースの計画を実行するための必須情報を示します。
「計画一般情報」タブ、「ソース組織」フィールド: このフィールドの値は、品目属性を設定するのと同じ組織に設定しないでください。
部品構成表の有効日を設定できます。同様に、プロセス有効性の有効日も設定できます(これは、Oracle OPM専用です)。有効性は、有効日、使い切り、モデル/ユニット番号の形式で指定できます。詳細は、『Oracle Bills of Materialユーザーズ・ガイド』の有効日フィールドに関する項を参照してください。
詳細は、『Oracle Bills of Materialユーザーズ・ガイド』の主要および代替部品構成表に関する項を参照してください。
注意: 有効性は、日付レベルのみでなくユニット番号レベルでも設定できます。
計画エンジンでは、ペギングの需要日に有効な歩留率が使用されます。制約があるため、計画エンジンでは部品構成表に異なる歩留率が設定されている日付に使用するように構成部品の計画を先送りできます。ただし、計画エンジンでは引き続きペギングの需要日からの歩留が使用されます。
Oracle ASCPでは、設計変更は計画有効日の時点で評価されます。新規改訂のために、事前に必要な資材を発注し、生産資源計画を作成できます。
注意: 計画処理では、計画オーダーの開始日が有効日より後になる場合にのみ、設計変更の実施が提案されます。Oracle ASCPでは、計画オーダーを設変の有効日より前に開始する必要がある場合、設変を使用した計画オーダーは提案されません。
保留中の設変の場合は、計画処理中に設変を含めるかどうかを指定できます。計画処理で設変を考慮する場合は、「設計変更」ウィンドウで「MRP有効」フラグを「Yes」に設定します。
Oracle ASCPでは、計画オーダーと提示ライン型製造オーダーの構成部品所要量を生成するとき、設計変更が考慮されます。設変の提示有効日が、オーダーの提示開始日より以前の場合には、設計変更で指定された数量が考慮されます。詳細は、「設計変更の使い切り有効日」を参照してください。
代替構成部品は、代替生産資源と同様にモデル化されます。各主BOM構成部品は、一連の可能な代替を持つものとみなされます。主品目が使用可能な場合は、代替品目のかわりに主品目が使用されます。
詳細は、『Oracle Bills of Materialユーザーズ・ガイド』の代替構成部品の割当に関する項を参照してください。
Oracle Bills of Materialでは、部品構成表に含まれる構成部品品目についてマイナスの使用量を定義できます。Oracle Work in Processを使用すると、ショップ型製造オーダーに副産物を追加できます。
Oracle ASCPでは、供給と需要を算入するときに、部品構成表でマイナスの使用量が定義されている標準および非標準のショップ型製造オーダーと構成部品の副産物が含まれます。このタイプの構成部品所要量は、製造オーダー完了日に使用可能な供給とみなされます。
注意: Oracle Work in Processで非標準ショップ型製造オーダーにマイナスの所要量を手動で追加すると、分解によって生じる構成部品を管理できます。このオプションは、組立ユニットの修理に使用できます。これにより、製造オーダーに対して出庫された品目を、修理オーダーの完了時に引当可能な供給として追跡記録できます。
製品ファミリにより計画のパフォーマンスが向上し、計画水平の下位へとさらに計画できます。製品ファミリ・レベルで次の操作を実行できます。
詳細は、『Oracle Master Scheduling/MRPおよびOracle Supply Chain Planningユーザーズ・ガイド』、『Oracle Advanced Supply Chain Planningインプリメンテーションおよびユーザーズ・ガイド』を参照してください。
「安全在庫」を参照してください。
オーダー・サイズ設定は、計画オーダーの推奨オーダー数量を制御するための品目属性セットです。計画処理では、基本的なロット・フォー・ロットのサイズ設定ロジックを使用して計画オーダーが作成されます。
注意: 計画処理では、「疑似」供給タイプ品目のオーダー・モディファイアは無視されます。
注意: 供給品目のオーダー・モディファイアは、仕入先が定義できます。
詳細は、『Oracle Inventoryユーザーズ・ガイド』の品目、計画一般情報属性グループおよびMPS/MRP計画属性グループに関する項を参照してください。
計画処理では、ユーザー定義日数分の所要量を満たす数量について、単一オーダーが作成されます。計画オーダーを提示するときには、この日数だけ将来のデータが検索され、その期間中の全需要が累積されます。次に、その期間中に必要な合計数量を満たす計画オーダーが提示されます。
オーダー・モディファイア「固定供給日数」を使用すると、計画エンジンでは、複数の需要日数をカバーする単一の供給が作成されます。制約ベースの計画中には、供給数量を需要日および数量に対して消し込めないように、計画エンジンにより需要日と供給日が移動される場合があります。消込を試みるには、計画オーダー需要に古い納期を使用することをお薦めします。
「固定供給日数」は、移動オーダーには適用されません。
計画処理では、ユーザー定義の数量またはライン型レートについて、1件以上のオーダーが作成されます。
ショップ型の計画対象品目の場合は、特定日付の所要量が固定オーダー数量を超えると、複数のオーダーが作成されます。
ライン型の計画対象品目の場合は、固定オーダー数量と等しいレートまたはレート0(ゼロ)が推奨されます。
計画処理では、ユーザー定義数量またはレートの倍数になる数量を指定して、単一オーダーが作成されます。
たとえば、固定ロット乗数の数量が100で、所要量が110ユニットの場合は、200ユニット分の単一オーダーが作成されます。
計画処理では、最小数量から最大数量の範囲内で1件以上のオーダーが作成されます。
ショップ型の計画対象品目の場合は、特定日付の所要量が最大オーダー数量を超えると、計画処理により複数のオーダーが作成されます。
計画処理で実際のオーダー数量が小数として計算される場合に、在庫品目ごとにオーダー数量を端数処理するかどうかを定義できます。端数処理するように選択すると、オーダー数量は整数になるように繰り上げられます。
注意: 繰上げの場合、計画処理で提示される計画オーダー上の数量が実際の所要量より多くなることがあります。この余分な数量は、次の期間に供給として繰り越されます。
次のダイアグラムに、計画エンジンにより計画オーダーにオーダー・モディファイアが適用される順序(オーダー・モディファイアの優先度)を示します。
所要量の整数数量を使用して、整数の依存需要所要数量のみを渡すように計画エンジンに指示します。各組織で各組立品の構成部品ごとに指示を設定します。
オーダー・モディファイア品目属性「オーダー数量端数処理」では、組立品の供給オーダーの端数数量を計算する際に、組立品の供給オーダー数量を整数に切り上げる必要があることを計画エンジンに指示します。供給オーダーの端数数量は、次の原因で発生します。
端数の部品構成表数量
プロセス歩留
減損
連産品関連率
MRP計画安全在庫
構成部品の歩留
計画エンジンでは、余分な供給オーダー数量から、その数量と一致する構成部品の端数の依存需要が作成され、下位レベルの部品構成表を介して端数数量のペギングが実行されます。端数の需要数量へのペギングは不正確で、実際に構成部品と副構成要素を整数数量で製造する際には把握するのが困難です。
計画エンジンに対して構成部品の依存需要数量を端数処理するように指示する手順は、次のとおりです。
「組織品目」フォームの「MPS/MRP計画」タブ・リージョンで、構成部品の品目属性「オーダー数量端数処理」を選択します。
「部品構成表」フォームの「構成部品詳細」タブ・リージョンで、構成部品の「整数所要量の使用」フィールドで値を選択します。
計画エンジンに対して端数の依存需要所要量を整数に切り上げるように指示するには、「切上げ」を選択します。
計画エンジンに対して端数の依存需要所要量を整数に切り下げるように指示するには、「切下げ」を選択します。
Oracle Process Manufacturingを使用しており、所要量の整数数量処理が必要な場合は、「整数倍数スケール品目」属性を選択します。これにより、「整数所要量の使用」フィールドで選択した「切上げ」が複製されます。
代替品目を使用する場合は、「代替」ウィンドウで「整数所要量の使用」を選択できます。
設計変更を使用する場合は、構成部品リストを追加および変更する際に「整数所要量の使用」を選択できます。
「部品構成表」ウィンドウ
各構成部品の設定は、「プランナ・ワークベンチ」の「構成部品」ウィンドウの「品目詳細」タブ・リージョンで確認できます。
計画エンジンでは、端数処理の結果として新規例外が発行されることはありません。
次の場合、計画エンジンではユーザー指示が考慮されます。
資材所要量計画、基準生産計画および物流所要量計画
制約なし計画、制約付き計画および最適化済計画
プロジェクト/セイバンおよび計画グループの予約レベルでの算入
次の場合、計画エンジンではユーザー指示が考慮されません。
在庫最適化計画
オーダー納期処理
製品ファミリ部品構成表
次のダイアグラムに、すべての構成部品の「整数所要量の使用」が「切上げ」に設定されているマルチレベル部品構成表を示します。
マルチレベル部品構成表
カレンダ日に基づいて移動中リード・タイムを入力します。
次の操作を実行できます。
工順の有効日の設定。
主工順生産資源が使用できない場合に計画エンジンで使用する代替工順と代替生産資源の指定。
優先度の異なる様々な工順の定義。
部品構成表と工順の関連付け。
工順の使用原価の定義。
特定の時点で工程での作業に使用可能な生産資源(生産資源単位)数の指定。計画エンジンでは、生産資源およびシフトごとに指定した生産資源単位数のかわりに、この数が生産資源可用性に使用されます。
工程歩留の指定。累積歩留は入力しないでください。計画エンジンでは、累積歩留は工程歩留から計算されます。
プロファイル・オプション「MSO: 計画で割当ユニットを使用」の設定による、生産資源活動の計画時に使用する生産資源単位数の管理。詳細は、「MSOプロファイル・オプション」を参照してください。
工程の有効日を定義する際には、必ず有効時間を00:00:00にします。これ以外の有効時間を指定すると、計画エンジンでは00:00:00とみなされますが、その工程を使用する計画オーダーのリリース・プロセスが正常に完了しない場合があります。
詳細は、『Oracle Bills of Materialユーザーズ・ガイド』の工順に関する項を参照してください。
工順のプロセス歩留を指定します。計画エンジンでは資材所要量が水増しされ、各工程連番で予想される資材の量に基づいて生産資源所要量が計算されます。標準、フローおよびネットワーク工順タイプには、次のプロセス歩留情報が使用可能です。
収率
累積歩留
累積歩留戻し
プロセス歩留
工順ではなく工程の代替生産資源を定義できます。工程の生産資源には、それぞれ独自の優先度を持つ異なる代替生産資源を指定できます。2つの生産資源を同時に使用する必要があるかどうかも指定できます。
詳細は、『Oracle Bills of Materialユーザーズ・ガイド』の生産資源の定義に関する項を参照してください。
生産資源生産能力を追加して計画を再実行することで、遅延補充例外メッセージを解決しようとすると、追加の生産資源および資材制約が適用され、その例外メッセージの解決が必要になる場合があります。制約の解決は反復的なプロセスとなる可能性があります。
計画エンジンでは、生産資源消込が割当ユニットごとに整数値に端数処理されます。例:
生産資源の作業時間が1日8時間で、割当ユニットが5です。
品目の工順ではその生産資源が1時間使用されます。
その生産資源の3つの割当ユニットについて、数量40の供給オーダーが計画されています。
予想される生産資源消込は40時間[40個 * 1個当たり1時間]です。
計画エンジンでは、生産資源消込が42時間[((40個 * 1個当たり1時間) / 3割当ユニット) * 3割当ユニット = (40 / 3) = 13.3 * 4 = 端数処理後の14 * 3]として計算されます。
プロファイル・オプション「MSO: 計画で割当ユニットを使用」の使用と、前倒し計画と先送り計画に及ぼす効果を示す例を考えてみます。3つの品目(A、BおよびC)が製造されているとします。
製造A
工程連番10
生産資源R1
割当ユニット = 1
200単位/日
最大の生産資源可用性 = 2
製造B
工程連番10
生産資源R2
割当ユニット = 2
80単位/日
最大の生産資源可用性 = 2
製造C
工程連番10
生産資源R3
割当ユニット = 4
100単位/日
最大の生産資源可用性 = 4
プロファイル・オプション「MSO: 計画で割当ユニットを使用」を「変数」に設定すると、前倒し計画は図のように成功します。この図では、A、BおよびCは3つの品目を表し、R1、R2およびR3は、特定のユニットが割当てられている3人の生産資源を表します。需要納期は21日目です。
前倒し計画への値「変数」の効果
品目Cが使用可能な計画水平で計画されるため、前倒し計画に成功します。
次の図に、このプロファイル・オプションが「工順値で固定」に設定されているケースを示します。
前倒し計画への値「工順値で固定」の効果
プロファイル・オプション「MSO: 計画で割当ユニットを使用」が「工順値で固定」に設定されていると、前倒し計画に失敗します。計画水平には、生産資源3について4単位の計画に使用可能な日付がありません。
同じ例を使用して、プロファイル・オプション「MSO: 計画で割当ユニットを使用」を「工順値で固定」に設定して先送り計画を実行する場合の、遅延需要のシナリオを示す次の例を考えてみます。
先送り計画への値「工順値で固定」の効果
シフトは、生産資源が作業する期間です。各生産資源を作業に使用可能なシフトを指定するか、生産資源を24時間利用可能として指定します。
生産資源をシフトで使用可能なときの、使用可能な生産資源単位数(割当ユニット)も指定します。生産資源M(機械生産資源)の生産資源単位数は3で、シフト1および2で使用可能であれば、計画エンジンではシフト1の間に3台の機械、シフト2の間に3台の機械について作業が計画されます。
計画エンジンでは、指定のシフトで使用可能な生産資源単位数(最大使用可能ユニット数)が判別されます。最大使用可能ユニット数が割当ユニット数を上回ることはありませんが、生産資源の停止時などは下回ることがあります。この状況が「制約付き - 生産能力制約の施行」計画で発生すると、計画エンジンでは全割当ユニットが使用可能だった場合よりも後に終了するように計画オーダーが計画される場合があります。
「人員」および「その他」タイプの生産資源の場合、生産資源の生産資源単位のみでなく、生産資源シフトごとに異なる生産資源単位も指定できます。たとえば、生産資源P(人員生産資源)の生産資源単位は12で、シフト1で12生産資源単位、シフト2で10生産資源単位、シフト3で2生産資源単位が使用可能であるとします。各シフトは8時間です。
詳細は、『Oracle Bills of Materialユーザーズ・ガイド』の生産資源の定義に関する項を参照してください。
データ収集プロセスでは、生産資源可用性が次のように計算されます。
生産資源可用性(シフト) = 生産能力単位(シフト) * 使用可能時間(シフト)
生産資源可用性(生産資源) = 全シフトの生産資源可用性の合計
たとえば、生産資源Pの使用可能時間が1日当たり192時間であるとします。
シフト1: 96時間/日(12生産能力単位(シフト) * 8使用可能時間(シフト))
シフト2: 80時間/日(10生産能力単位(シフト) * 8使用可能時間(シフト))
シフト3: 16時間/日(2生産能力単位(シフト) * 8使用可能時間(シフト))
シフトの生産資源単位が空白または0(ゼロ)の場合、計画エンジンでは生産資源の生産資源単位が使用されます。Oracle Manufacturing Schedulingに対して指定したインスタンス固有の生産能力情報は使用されず、使用可能な生産資源単位の合計のみが使用されます。生産資源を24時間使用可能として指定せず、シフトも割当てなければ、収集プロセスでは使用可能生産能力が計算されず、計画エンジンでは生産資源が24時間使用可能として計画されます。
生産資源単位情報を「収集ワークベンチ」と「プランナ・ワークベンチ」の両方で確認します。
シミュレーション・セットを使用して特定のシフトの生産能力変更(生産資源単位の追加や削除、および稼働日の追加や削除など)を記録することもできます。たとえば、生産資源Pにシフト2に1日当たり10の生産資源単位があり、生産能力を次のように変更するとします。
2月11日から3月11日まで、1日当たり20生産資源単位を追加します。計画エンジンでは、2月11日から3月11日まで使用可能な30生産資源単位が使用され、シフト2の生産資源可用性が240時間/日(30生産能力単位(シフト) * 8使用可能時間(シフト))として計算されます。
3月12日から3月14日まで、1日当たり1生産資源単位を削減します。計画エンジンでは、3月12日から3月14日まで使用可能な9生産資源単位が使用され、シフト2の生産資源可用性が72時間/日(9生産能力単位(シフト) * 8使用可能時間(シフト))として計算されます。
2月24日を非稼働日から稼働日に変更します。計画エンジンでは、2月24日に使用可能な30生産資源単位が使用され、2月24日のシフト2の生産資源可用性が240時間(30生産能力単位(シフト) * 8使用可能時間(シフト))として計算されます。
2月25日を稼働日から非稼働日に変更します。計画エンジンでは、2月24日に使用可能な30生産資源単位が使用され、2月25日のシフト2の生産資源可用性が0時間(30生産能力単位(シフト) * 0使用可能時間(シフト))として計算されます。
1つ以上の組織に対して稼働日カレンダを定義し、各カレンダに例外セットを割当てます。稼働日カレンダと例外セットごとに、祝祭日または稼働日例外のリストを割当てます。次に、稼働日カレンダに対してシフトを定義し、シフト稼働日例外があれば割当てます。
Oracle Advanced Supply Chain Planningでは、4-4-5タイプの期間がサポートされています。
詳細は、『Oracle Bills of Materialユーザーズ・ガイド』の稼働日カレンダの定義に関する項を参照してください。
Oracle Advanced Planningには、製造現場計画のサポート機能が組み込まれています。計画中に生産資源レベルで指定した生産資源効率および生産資源稼働率が考慮されます。
生産資源効率は、予想される標準出力に対する実際の出力のメジャー(%)です。生産資源効率により、タスクが完了するまでの生産資源の所要時間が決まります。たとえば、タスクを12時間で完了するための生産資源の効率が100%であると予想した場合、そのタスクを効率が50%の生産資源が完了するまでには24時間かかることになります。生産資源の有効使用量は、工順で指定された生産資源時間(理論使用量)と効率の比率です。
生産資源稼働率は、生産資源がどの程度集中的に稼働しているかを示すメジャー(%)です。たとえば、生産資源が頻繁に休憩する場合や、生産資源に保守タスクを割当てる場合があります。このように、タスクには生産資源時間率を使用できません。実際の使用量は、効率と稼働率の積に対する、工順で指定された生産資源時間の比率です。
たとえば、工順の生産資源所要量が2時間であるとします。この生産資源の効率と稼働率はそれぞれ90%と75%と予想されます。したがって、実際の生産資源使用量は2.96時間として計算されます。
計画エンジンでは、生産資源の実際の効率と稼働率を考慮して計画が生成されます。需要を満たすために生産資源使用量の追加が必要になると、計画エンジンにより生産資源使用量の水増しが推奨されます。これにより計画が延長され、タスク完了までの所要時間が長引くことがあります。
ショップ型製造オーダーを定義、リリースおよび収集する手順は、次のとおりです。
生産資源の効率と稼働率を定義します。
計画を実行します。WIP製造オーダーに対する計画オーダーには、指定した生産資源効率および稼働率に基づいて水増しされた生産資源使用量が組み込まれます。
WIP製造オーダーに対する計画オーダーをリリースします。計画オーダーをリリースすると、計画エンジンでは生産資源使用量に従って開始時間と終了時間がリリースされます。ただし、計画オーダーのリリース中は、生産資源使用量の水増し分の値は含まれません。計画エンジンでは、WIP製造オーダーのリリース時に生産資源効率および稼働率の値が再調整され、生産資源使用量が削減されます。これにより、原価計算の問題を回避できます。ただし、生産資源所要量の開始日と終了日はOracle Costingで考慮されないため、これらの値は水増しされたままです。
Oracle Work in Processを使用すると、ショップ型WIP製造オーダーを更新でき、ショップ型製造オーダーに対して取引を実行することもできます。また、Oracle Manufacturing Schedulingを使用すると、ショップ型製造オーダーを再計画できます。Oracle Manufacturing Schedulingでは、オープンなショップ型製造オーダーの生産資源使用量は変更されません。
再計画済のショップ型WIP製造オーダー(確定、未確定および非標準)を計画エンジンに収集すると、計画エンジンでは生産資源効率および稼働率を考慮して生産資源使用量が水増しされます。収集中の計画エンジンのこの動作は、プロファイル・オプション「MSC: WIP生産資源所要量の水増し」を「No」に設定することで管理できます。ただし、計画エンジンにより収集中に開始時間と終了時間が変更されることはありません。
計画を実行します。
計画エンジンでは、水増しされた生産資源使用量に基づいてショップ型WIP製造オーダーが再計画されます。ただし、確定、非標準ショップ型製造オーダー、個別工程および生産資源は、計画エンジンでは再計画されません。計画タイム・フェンス内のショップ型製造オーダーを再計画するかどうかは、プロファイル・オプション「MSO: タイムフェンス内工程/オーダーの確定」に指定した値に基づいて決定されます。
生産資源効率および稼働率の値は、「プランナ・ワークベンチ」で確認できます。
「プランナ・ワークベンチ」には、「生産資源時間」、「タッチ時間」および「調整済生産資源時間」などのフィールドが表示されます。生産資源時間は、調整済生産資源時間、効率(%)および稼働率(%)の積として計算されます。調整済生産資源時間は、実際に収集された(工順またはショップ型製造オーダーに基づく)生産資源時間を示します。タッチ時間は、調整済生産資源時間と稼働率(%)の積です。
例:
計画エンジンでの計画オーダー
工程1つと生産資源2つ(R1およびR2)を持つ工順を考えてみます。
R1の効率 = 50%
R1の稼働率 = 80%
R2の効率 = 100%
R2の稼働率 = 100%
計画エンジンで計画オーダー用の生産資源が計画されるときに、効率と稼働率を考慮してR1の生産資源使用量が水増しされます。次の表に、水増し後の生産資源使用量を示します。
生産資源連番 | 生産資源 | 使用量 | 単位 | 開始時間 | 終了時間 |
---|---|---|---|---|---|
製造オーダー合計 | - | - | - | 9:00 AM | 1:30 PM |
10 | R1 | 2.5 | 1 | 9:00 AM | 11:30 AM |
20 | R2 | 2 | 1 | 11:30 AM | 1:30 PM |
次の表に、WIP製造オーダーが計画エンジンによりリリースされるときに、生産資源使用量がどのように削減されるかを示します。
生産資源連番 | 生産資源 | 使用量 | 単位 | 開始時間 | 終了時間 |
---|---|---|---|---|---|
製造オーダー合計 | - | - | - | 9:00 AM | 1:30 PM |
10 | R1 | 1 | 1 | 9:00 AM | 11:30 AM |
20 | R2 | 2 | 1 | 11:30 AM | 1:30 PM |
プロファイル・オプション「MSC: WIP生産資源所要量の水増し」を「Yes」に設定すると、計画エンジンでは収集プロセス中にR1の生産資源使用量が水増しされます。次の表に、生産資源使用量が再び水増しされた後の値を示します。
生産資源連番 | 生産資源 | 使用量 | 単位 | 開始時間 | 終了時間 |
---|---|---|---|---|---|
製造オーダー合計 | - | - | - | 9:00 AM | 1:30 PM |
10 | R1 | 2.5 | 1 | 9:00 AM | 11:30 AM |
20 | R2 | 2 | 1 | 11:30 AM | 1:30 PM |
計画エンジンでは、製造オーダーの性質に基づいて生産資源の期間、開始日および終了日の再計画が決定されます。
計画エンジンによりOracle Manufacturing Schedulingから未確定ショップ型製造オーダーが収集される場合、生産資源使用量に基づいて生産資源の開始時間と終了時間が再計画されます。
計画エンジンによりOracle Manufacturing Schedulingから確定ショップ型製造オーダーが収集される場合、生産資源の開始時間と終了時間に基づいて生産資源生産能力消込が計算されます。
ただし、次の場合、計画エンジンでは未確定オープン製造オーダーは確定製造オーダーとして処理されます。
システム・レベルのプロファイル・オプション「MRP: タイム・フェンスの作成」および「MRP: 確定計画オーダーのタイム・フェンス」を使用して、計画タイム・フェンスを設定している場合。プロファイル・オプションの詳細は、「MRPプロファイル・オプション」を参照してください。
プロファイル・オプション「MSO: タイムフェンス内工程/オーダーの確定」を「Yes」に設定している場合。このプロファイル・オプションを「No」に設定すると、計画エンジンでは計画タイム・フェンス内で開始日を再計画できます。
順序依存手順は、機械で実行されるオーダーの順序に応じて設定が異なる場合の、機械生産資源の設定時間を表します。これは、Oracle Manufacturing Schedulingで計画されるショップ型製造オーダーのロット・ベースの生産資源所要量です。
Oracle Advanced Supply Chain Planningでは、次のことが行われます。
生産資源稼働率ファクタを使用して、計画オーダーの作成時に順序依存設定がシミュレートされます。
場合によっては、ショップ型製造オーダーからの順序依存設定を伴う生産資源を使用して計画されます。
ショップ型製造オーダー工程を計画するOracle Applicationsは、計画タイム・フェンスにより決定されます。Oracle Manufacturing Schedulingでは計画タイム・フェンス内のショップ型製造オーダー工程が計画され、Oracle Advanced Supply Chain Planningでは計画タイム・フェンスの外側のショップ型製造オーダー工程が計画されます。
計画エンジンで順序依存設定の計画に必要な情報を設定する手順は、次のとおりです。
生産資源の生産資源稼働率ファクタを定義します。たとえば、生産資源が工程にある時間のうち、平均5%は設定に必要であるとします。生産資源稼働率を95%に設定します。
順序依存設定を定義して生産資源に関連付けます。
プロファイル・オプション「MSC: WIP生産資源所要量の水増し」を「Yes」に設定します。生産資源所要量を調整する製造現場計画システムがあれば、この機能を使用する必要がない場合があります。その場合は、プロファイル・オプション「MSC: WIP生産資源所要量の水増し」を「No」に設定します。
Oracle Manufacturing Schedulingを、生産資源稼働率を無視するように設定します。生産資源時間は計画エンジンによりシミュレーション時に水増しされます。Oracle Manufacturing Schedulingで生産資源時間が水増しされ、順序依存設定の所要量も計画されると、生産資源所要量の超過になります。
品目の計画タイム・フェンスを検討します。
順序依存設定処理の動作は、次のとおりです。
計画実行中に、計画エンジンでは新規計画オーダーに対する生産資源の順序依存設定ファクタは考慮されません。計画時には、順序依存設定時間をシミュレートするために、生産資源稼働率を使用して生産資源使用量が水増しされます。その後、この生産資源使用量に基づいてオーダーの生産資源が計画されます。
計画オーダーをショップ型製造オーダーとしてリリースします。その生産資源所要量は、生産資源効率または稼働率で水増しされません。
Oracle Manufacturing Schedulingを使用して、ショップ型製造オーダーを再計画します。Oracle Manufacturing Schedulingでは、オーダーの順序に基づいてショップ型製造オーダーに順序依存設定を追加できます。
収集プロセスでは、ショップ型製造オーダーの収集時に、品目の計画タイム・フェンス内にあるショップ型製造オーダー工程の順序依存設定が収集され、品目の計画タイム・フェンスの外側のものは削除されます。計画タイム・フェンスの外側にあるショップ型製造オーダー工程については、順序依存設定時間をシミュレートするために生産資源使用量が水増しされます。
次回に計画を実行すると、計画エンジンでは順序依存設定のある工程が処理されます。この処理は、計画エンジンで順序依存設定のある工程が確定とみなされるかどうかに応じて異なります。
計画エンジンで工程が確定とみなされる場合は、順序依存設定と実行時間の両方について生産資源生産能力が消し込まれます。生産資源使用量は稼働率で水増しされず、工程は再計画されません。
計画エンジンで工程が確定とみなされない場合は、順序依存設定の所要量が削除され、実行時間についてのみ生産資源生産能力が消し込まれます。順序依存設定を複製するために生産資源使用量が稼働率で水増しされ、工程は再計画される場合があります。
計画エンジンでは、次の場合に工程が確定とみなされます。
たとえば、次の表に工程1つと生産資源2つを使用する工順を示します。
工程連番 | 生産資源連番 | 生産資源 | 使用量 | 割当ユニット | 効率 | 稼働率 |
---|---|---|---|---|---|---|
10 | - | - | - | - | - | - |
- | 10 | R1 | 1 | 1 | 0.50 | 0.80 |
- | 20 | R2 | 2 | 1 | 1 | 1 |
次の表に、品目を1単位製造するための計画オーダーを示します。
計画エンジンでは、R1の生産資源使用量が効率と稼働率で水増しされます。R1の効率は50%で、稼働率は80%です。使用量は2.5時間(1時間 / (50% * 80%))です。
工程連番 | 生産資源連番 | 生産資源 | 調整済使用量(時間) | 割当ユニット | 開始時間 | 終了時間 |
---|---|---|---|---|---|---|
10 | - | - | - | - | 9:00 | 13:30 |
- | 10 | R1 | 2.5(水増し済) | 1 | 9:00 | 11:30 |
- | 20 | R2 | 2 | 1 | 11:30 | 13:30 |
次の表に、計画オーダーからリリースされたショップ型製造オーダーを示します。
生産資源使用量は削減されていますが、Oracle Advanced Supply Chain Planningでは生産資源の開始時間と終了時間が変更されていません。Oracle Work in ProcessまたはOracle Manufacturing Schedulingで変更するまで、これらの時間はショップ型製造オーダーではそのままになっています。
工程連番 | 生産資源連番 | 生産資源 | 使用量(時間) | 割当ユニット | 開始時間 | 終了時間 |
---|---|---|---|---|---|---|
10 | - | - | - | - | 9:00 | 13:30 |
- | 10 | R1 | 1(削減済) | 1 | 9:00 | 11:30 |
- | 20 | R2 | 2 | 1 | 11:30 | 13:30 |
次の表に、計画サーバーへの次回の収集プロセスの後でOracle Advanced Supply Chain Planningからリリースしたショップ型製造オーダーを示します。
この製造オーダーはOracle Advanced Supply Chain Planningからリリースしたため、開始時間と終了時間には水増し後の生産資源使用量が反映されています。終了時間を変更する必要はありません。ただし、計画エンジンでは、次回の計画実行中に開始時間と終了時間が変更される可能性がありますが、引き続き水増し後の生産資源使用量に基づきます。
工程連番 | 生産資源連番 | 生産資源 | Oracle Advanced Supply Chain Planningでの使用量(時間) | 割当ユニット | 開始時間 | 終了時間 |
---|---|---|---|---|---|---|
10 | - | - | - | - | 9:00 | 13:30 |
- | 10 | R1 | 2.5(水増し後) Oracle Work in Processでの使用量: 1 | 1 | 9:00 | 11:30 |
- | 20 | R2 | 2 Oracle Work in Processでの使用量: 2 | 1 | 11:30 | 13:30 |
10 | - | - | - | - | 9:00 | 13:30 |
次の表に、Oracle Work in Processで手動で作成した1単位のショップ型製造オーダーを示します。
この製造オーダーでは生産資源効率および稼働率が考慮されないため、この製造オーダーのR1はOracle Advanced Supply Chain Planningからリリースされた製造オーダーよりも1.5時間早く終了します。
工程連番 | 生産資源連番 | 生産資源 | 使用量(時間) | 割当ユニット | 開始時間 | 終了時間 |
---|---|---|---|---|---|---|
10 | - | - | - | - | 9:00 | 12:00 |
- | 10 | R1 | 1 | 1 | 9:00 | 10:00 |
- | 20 | R2 | 2 | 1 | 10:00 | 12:00 |
次の表に、計画サーバーへの次回の収集プロセスの後でOracle Work in Processで作成したショップ型製造オーダーを示します。
収集プロセスでは、収集中に開始時間と終了時間は変更されませんが、生産資源使用量が水増しされます。次回の計画実行中に、計画エンジンでは水増し後の生産資源使用量を使用して開始時間と終了時間が正しく計算されます。
工程連番 | 生産資源連番 | 生産資源 | Oracle Advanced Supply Chain Planningでの使用量(時間) | 割当ユニット | 開始時間 | 終了時間 |
---|---|---|---|---|---|---|
10 | - | - | - | - | 9:00 | 12:00 |
- | 10 | R1 | 2.5(水増し後) Oracle Work in Processでの使用量: 1 | 1 | 9:00 | 10:00 |
- | 20 | R2 | 2 Oracle Work in Processでの使用量: 2 | 1 | 10:00 | 12:00 |
場合によっては、Oracle Work in Processでショップ型製造オーダーを作成して確定します。次の表に、計画サーバーへの次回の収集プロセスの後のショップ型製造オーダーを示します。
収集プロセスでは、収集中に開始時間と終了時間は変更されませんが、生産資源使用量が水増しされます。
工程連番 | 生産資源連番 | 生産資源 | Oracle Advanced Supply Chain Planningでの使用量(時間) | 割当ユニット | 開始時間 | 終了時間 |
---|---|---|---|---|---|---|
10 | - | - | - | - | 9:00 | 12:00 |
- | 10 | R1 | 1(生産資源使用量に基づく) Oracle Work in Processでの使用量: 1 | 1 | 9:00 | 10:00 |
- | 20 | R2 | 2 Oracle Work in Processでの使用量: 2 | 1 | 10:00 | 12:00 |
Oracle APSでは、強力な搬送可能(ATD/CTD)機能を提供しつつ正確に計画するために、輸送能力制約と貯蔵能力制約が考慮されます。
出荷方法のレーンの輸送能力を定義できるようになります。さらに、移動中/搬送先倉庫または保管場所の総計生産能力を定義できるようになります。
Oracle Purchasingでは、特定の品目に対する個々の仕入先の期間別生産能力を指定できます。仕入先の制約を使用して計画オーダーを割当てることができます。その場合、計画オーダーには生産能力に応じて仕入先ソースが割当てられます。計画時には指定したランク情報が使用され、最初に主要ソースで計画オーダーが調達されます。需要を満たす生産能力が使用できない場合は、代替ソースが使用されます。
ソース | ランク | 率 | 有効日: 自 | 有効日: 至 |
---|---|---|---|---|
仕入先1 | 1 | 40 | 05/15 | 12/31 |
仕入先2 | 1 | 60 | 05/15 | 12/31 |
仕入先3 | 2 | 100 | 05/15 | 12/31 |
仕入先生産能力は、指定の期間中の日次単位数で指定します。特定の日に使用されない仕入先生産能力は累積されます。たとえば、1999年1月1日から1999年1月10日までの仕入先の生産能力が1日100単位で、1999年1月1日から1999年1月3日までは仕入先に対する発注数量がなければ、計画では1999年1月4日から1999年1月10日までに合計1000単位が使用可能であるとみなされます。所有組織のカレンダに基づく非稼働日には、生産能力は使用可能とみなされません。
仕入先生産能力は期間ごとに変動する場合があります。期間1には特定の日次生産能力を指定し、期間2には異なる生産能力を指定できます。期間は、開始日から終了日までの範囲として指定します。
仕入先生産能力制約の設定の詳細は、「サプライ・チェーン・モデル作成」を参照してください。
品目ごとに異なる生産能力許容率を定義できます。オーダーの作成時には、Oracle Purchasingでの許容範囲フェンス・データを使用し、品目/仕入先の組合せの生産能力変更に従って生産高が調整されます。許容範囲フェンス値は、有効在庫数量に許される生産能力変動について指定できます。この値は、仕入先に送られる事前通知の数量に基づいて需要を決定するために使用されます。
許容範囲フェンスの設定の詳細は、「サプライ・チェーン・モデル作成」を参照してください。
ナビゲータから、「サプライ・チェーン計画」->「オプション」を選択します。
「計画オプション」ウィンドウが表示されます。
「制約」タブをクリックします。
ドロップダウン・メニューを使用し、ビジネス要件に基づいて「生産資源制約」または「資材制約」を「Yes」または「No」に設定します。
注意: 資材生産資源生産能力に関連する例外メッセージを生成するには、「制約付き計画」チェック・ボックスを選択する必要があります。
計画を起動する前に制約を設定する方法の詳細は、「計画の定義」を参照してください。
注意: 「開始日」と「終了日」は更新できません。「終了日」は、タイムバケットの設定に基づいて計算されます。
Oracle ASCPでは、生産能力制約または需要納期の施行方法に優先度を設定できます。他方の制約よりも優先される制約はハード制約、他方の制約はソフト制約です。需要納期を施行するように選択(需要納期をハード制約として設定)すると、需要納期を満たすために生産資源が使用され、過負荷になる可能性があります。この場合、Oracle ASCPでは過負荷例外メッセージが戻されます。
生産能力制約を施行するように選択(生産能力制約をハード制約として設定)すると、需要を満たすために生産資源が上限までロードされます(必要な場合)。未充足需要は先日付にプッシュされます。この場合、Oracle ASCPにより遅延補充例外メッセージが戻されます。
注意: 制約タイプは1つのみ選択する必要があります。
ナビゲータから、「サプライ・チェーン計画」->「オプション」を選択します。
「計画オプション」ウィンドウが表示されます。
「制約」タブをクリックします。
「需要納期の施行」または「生産能力制約の施行」チェック・ボックスを選択します。選択されているチェック・ボックスはハード制約を表し、選択が解除されているチェック・ボックスはソフト制約を表します。
次の表に、様々な計画タイプの制約の設定要件を示します。
計画タイプ | 「制約」タブ | 「最適化」タブ |
---|---|---|
制約なし | 「制約付き計画」チェック・ボックスの選択を解除します。「需要納期の施行」チェック・ボックスを選択します。「生産資源制約」および「資材制約」フィールドを「No」に設定します。「生産資源所要量の計算」を選択すると、制約なし計画の生産能力も計算できます。 | 「最適化」チェック・ボックスの選択を解除します。 |
資材制約 | 「制約付き計画」チェック・ボックスを選択します。「需要納期の施行」または「生産能力制約の施行」チェック・ボックスの一方を選択します。選択できるチェック・ボックスは一方のみです。「生産資源制約」フィールドを「No」に、「資材制約」フィールドを「Yes」に設定します。 | 「最適化」チェック・ボックスの選択を解除します。 |
生産資源制約 | 「制約付き計画」チェック・ボックスを選択します。「需要納期の施行」または「生産能力制約の施行」チェック・ボックスの一方を選択します。選択できるチェック・ボックスは一方のみです。「生産資源制約」フィールドを「Yes」に、「資材制約」フィールドを「No」に設定します。 | 「最適化」チェック・ボックスの選択を解除します。 |
資材および生産資源制約 | 「制約付き計画」チェック・ボックスを選択します。「需要納期の施行」または「生産能力制約の施行」チェック・ボックスの一方を選択します。選択できるチェック・ボックスは一方のみです。「生産資源制約」および「資材制約」フィールドを「Yes」に設定します。 | 「最適化」チェック・ボックスの選択を解除します。 |
最適化済 | 「制約付き計画」チェック・ボックスを選択します。ハード制約とソフト制約の要件に応じて、「需要納期の施行」または「生産能力制約の施行」チェック・ボックスの一方を選択します。選択できるチェック・ボックスは一方のみです。「生産資源制約」および「資材制約」フィールドの一方または両方を「Yes」に設定します。 | 「最適化」チェック・ボックスを選択します。 |
制約の設定の詳細は、「計画の定義」および「サプライ・チェーン・モデル作成」を参照してください。
Oracle Advanced Supply Chain Planningでは、制約付き計画に対する仕入先生産能力制約と購買リード・タイム制約を区別できます。
仕入先生産能力制約では、仕入先生産能力と「ASL計画」タブで定義されている受入カレンダが考慮されます。
「購買リード・タイム制約の施行」では、次のことが考慮されます。
リード・タイム品目属性で定義されている購買リード・タイム、または処理リード・タイム、前処理リード・タイムおよび後処理リード・タイム
「ASL計画」タブで定義されている仕入先固有の処理リード・タイム
次の表に示すように、「購買リード・タイム制約の施行」計画オプションを使用して、仕入先から調達する品目の購買リード・タイムを管理します。
「購買リード・タイム制約の施行」計画オプション = | 計画エンジンの動作 |
---|---|
Yes | 購買リード・タイムが施行されます。 |
No | 必要な場合は、購買リード・タイムが圧縮されてから例外が生成されます。 |
この計画オプションは、内部組織から調達される品目や製造品目には影響しません。ただし、製造、購買および移動品目のリード・タイムは、次の表に示すように「MSO: リード・タイム調整」プロファイル・オプションで管理します。
「購買リード・タイム制約の施行」計画オプション = | プロファイル「MSO: リード・タイム調整」 = | 計画エンジンの動作 |
---|---|---|
Yes | 最小処理時間には違反しません。 | 購買リード・タイムが施行されます。 |
No | 最小処理時間には違反しません。 | 購買リード・タイムが施行されます。 |
Yes | 需要納期を満たすために最小処理時間に違反します。 | 購買リード・タイムが施行されます。 |
No | 需要納期を満たすために最小処理時間に違反します。 | 必要な場合は、購買リード・タイムが圧縮されてから例外が生成されます。 |
「購買リード・タイム制約の施行」が「No」に設定されている場合にリード・タイム違反が発生すると、計画エンジンにより次の例外メッセージが生成されます。
不十分なリード・タイムのオーダー
詳細は、第9章「例外メッセージ」を参照してください。
「購買リード・タイム制約の施行」計画オプションの設定値(「Yes」または「No」)に関係なく、「計画タイム・フェンス管理」計画オプションに応じて計画タイム・フェンスが施行されます。「購買リード・タイム制約の施行」を「No」に設定して「計画タイム・フェンス管理」オプションを選択すると、計画エンジンでは提示納期が計画タイム・フェンスの後になるように強制されます。これは、他のすべての発注日付は計画タイム・フェンス内に設定できても、提示納期は計画タイム・フェンス内に設定できないことを意味します。
「制約付き - 需要納期の施行」計画では、「MSO: リード・タイム調整」を「最小処理時間を違反しない」に設定している場合の、「購買リード・タイムの施行」の設定と計画エンジンの動作は次のようになります。
Yes: 計画エンジンでは、すべてのリード・タイムが施行制約として処理され、制約の施行に必要な場合は需要が後の日付に移動されます。
No: 計画エンジンでは、購買リード・タイムを除く全リード・タイムが施行制約として処理され、製造場所と移動元の制約を施行するために必要な場合は、需要が後の日付に移動されます。需要納期を満たすために仕入先リード・タイムが圧縮される場合があります。
制約付き計画には2つのタイプがあり、一方にはユーザー定義の決定ルールが使用され、他方には使用されません。これは、プロファイル・オプション「MSO: 決定ルールの使用可能」の設定によって決まります。「No」(デフォルト)に設定すると、制約付きだが最適化されていない計画の実行時には、次のルールが使用されます。
需要優先度が考慮されます。
注意: 需要優先度を指定しなければ、様々な需要タイプのデフォルト優先度は受注、予測、安全在庫の順になります。
代替部品構成表は考慮されません。
代替工順は考慮されません。
代替品目は考慮されません。
「MSO: 決定ルールの使用可能」を「Yes」に設定すると、制約付きだが最適化されていない計画の実行時には、次のルールが使用されます。
需要優先度が考慮されます。
注意: 需要優先度を指定しなければ、様々な需要タイプのデフォルト優先度は受注、予測、安全在庫の順になります。
代替部品構成表が考慮されます。
代替工順が考慮されます。
代替品目が考慮されます。
詳細は、「ユーザー定義の代替決定ルール」を参照してください。
計画エンジンでは、先読みヒューリスティックを使用して次のことが実行されます。
できるかぎり、下位優先度の需要にペグされた供給より先に、上位優先度の需要にペグされた供給を処理するように、供給が計画されます。
特定の需要グループが先読みされ、これらの需要を単一パスで満たすように供給が計画されます。
供給を納期よりも前に計画できます。この場合、上位優先度の需要が実際の納期よりも早期に完了し、搬送日をさらに守ることができる場合があります。
ヒューリスティックを有効化する手順は、次のとおりです。
先読みヒューリスティックを使用すると、計画エンジンでは次のことが実行されます。
需要が需要優先度順になります。
需要がスライスにグループ化されます。各スライスには、プロファイル・オプション「MSO: スライス当り最大需要」で設定した数以下の需要が含まれます。
各スライスが計画対象として処理されます。
計画エンジンでは、各スライスの計画時に次のように計画されます。
スライス内の需要が前倒し計画されます。
スライス内で最も遅い完了日を持つ需要から始まって、最下位優先度の需要から順番に計画され、同じ日に納期を持つ需要が解決されます。その結果、上位優先度の需要の生産資源は、下位優先度の需要の生産資源よりも先に計画されます。
活動は、必要以上に早期に終了する場合にも、所要時間が最短になり、使用生産能力が最大になるように計画されます。
計画が実現可能かどうか、つまり、全需要の供給を計画できる十分な生産資源があるかどうかが判別されます。実現可能な計画では、過去に開始するように計画される供給はなく、過去に完了する需要もありません。
計画が実現不可能な場合は、計画エンジンによりスライス内の需要が先送り計画されます。
最上位優先度の需要から始まり、資材制約と生産能力制約を考慮して各需要が計画されます。需要ごとに前倒しパスから計算された計画日から始まります。ただし、需要について計算される計画日が過去の日付の場合は、今日始まるように計画されます。
需要が実際の納期より早期に完了するように計画される場合、計画エンジンでは単に可能かどうかが判別されます。
計画エンジンは、ある供給の全工程を計画してから他の供給を計画することで、V型計画を回避しようとします。これにより、すべての供給の工程間に計画済のギャップが生じる可能性が減少します。
V型計画は、同じ工順の工程間に一貫したパターンでギャップが生じる計画です。たとえば、工順に同じ生産資源を使用する工程連番10および20があるとします。計画エンジンでは、異なる需要にペグされている品目について3つの供給(S1、S2およびS3)を計画する必要があります。次のダイアグラムに、V型計画になる生産資源計画とそれを回避する生産資源計画を示します。
生産資源計画
計画エンジンでは、特に次の場合には、ギャップとV型計画を回避できないことがあります。
制約付き-納期の施行計画での生産資源制約
工順の途中にある工程に割当てられた構成部品
工順の途中にある工程に割当てられた連産品
需要に対する供給のパターンを確認するには、「プランナ・ワークベンチ」、「ガント・チャート」、「オーダー・ビュー」を使用するのが最も簡単な方法です。
この機能を使用すると、計画担当は生産資源のシフト開始時間と終了時間を分単位で計画できます。また、この機能によりOracle ASCPで総計計画と詳細計画を同時に処理し、分のレベルまで生産資源を正確に計画できます。
計画水平のうち分よりも上位レベルで計画される部分(時、日、週または期間レベルで計画される部分)の場合、Oracle ASCPでは各計画タイムバケットに占めるブレークの比率を反映するように工程時間を拡張することで、ブレーク期間が算入されます。たとえば、日レベルの計画バケット中に発生する2時間の工程は、ブレークが4:00-5:00、12:00-13:00および20:00-21:00であれば、2 / (21/24) = 2.29時間の工程に延長されます。この日レベルの計画バケットにおけるブレークの正確なタイミングは無視されます。この解決策では、さらに上位の総計(タイムバケットによる)計画の実行時に、計画の精度ができるかぎり維持されます。
計画水平のうち1時間の部分(1:00-2:00)を考えてみます。この期間中に、15分の生産資源ブレーク(1:30-1:45)があります。計画タイムバケットのサイズは1時間です。
ASCPでは、この期間の延長率が、期間の合計継続期間に対する期間内の勤務時間の比率に等しくなるように計算されます。
延長率 = (60 - 15) / 60 = 0.75
2:00を期限として18分の生産資源所要量がある場合、この延長率を使用して所要量の継続期間が次のように計算されます。
所要量の継続期間 = 18 / 0.75 = 24分
したがって、所要量の開始時間は所要量の終了時間(2:00) - 24分に設定されます。
所要量の開始時間 = 1:36
次の図に、計画タイムバケット・サイズが1時間の場合の、生産資源ブレークの計画例を示します。
1時間の計画タイムバケット・サイズ
所要量が生産資源ブレークの途中で始まるように計画されることに注意してください。生産資源ブレークの正確なタイミングは無視されます。これは、Oracle ASCPによりサイズが1時間以上のタイムバケットで行われる概算です。より上位の総計時間レベルで計画する際に、できるかぎり正確に計画できます。
例1と同様に、計画水平のうち1時間の部分(1:00-2:00)で、生産資源ブレークも同じ15分(1:30-1:45)であるとします。この例では、計画タイムバケットのサイズは1分(ASCPでの最小許容サイズ)です。
2:00を期限とする18分の生産資源所要量があるとします。
これは計画水平のうち分単位の詳細計画の部分であるため、ブレークの開始時間と終了時間は四捨五入されて考慮されます。延長率は使用されません。
所要量の開始時間は次のように計算されます。
所要量の開始時間 = 1:27
次の図に、計画タイムバケット・サイズが1分の場合の、生産資源ブレークの計画例を示します。
1分の計画タイムバケット・サイズ
この場合、ブレークの前(1:27-1:30)に18分のうち3分の作業を実行し、残り15分の作業をブレーク後(1:45-2:00)に実行できます。ブレーク中は作業が計画されません。
前述の2つの例は、総計(1分を超える継続期間)タイムバケットと詳細(1分の継続期間)タイムバケットに発生する計画の、詳細レベルの対比を示しています。
プロファイル・オプション「MSO: 計画バケット効率性の浮動小数点精度」で、効率指数の精度を指定します。デフォルト値は1000で、計画エンジンに対して効率指数を小数点以下3桁まで切り捨てるように指示します。 「MSOプロファイル・オプション」も参照してください。
たとえば、次のように設定するとします。
「計画オプション」フォーム、「総計」タブ・リージョン、「日数」の「バケット」: 30
「計画オプション」フォーム、「制約」タブ・リージョン、「制約付き計画」: 選択、「需要納期の施行」: 選択、「生産資源制約」: Yes、「資材制約」: Yes
5月8日に5.25時間(13:00-17:10と17:55-19:00 = 6時間 - 45分 = 6時間 - 0.75時間)の生産資源シフトがあります。
生産資源は1時間当たり10個、つまり6分ごとに1個(60分/10個)生産できます。
基準需要計画では、5月8日の数量が12になっています。需要を満たすには72分必要です(12個 * 6分/個)。
計画エンジンでは、効率指数 = 作業時間/使用可能時間合計を計算する必要があります。この例では、効率指数は0.21875(1シフト5.25時間/1日24時間)となります。
計画エンジンでは、所要量の継続期間 = 工程所要時間/効率指数を計算する必要があります。この例では、所要量の継続期間は5.48時間(72分/0.21875 = 329分)となります。
ただし、プランナ・ワークベンチでは、5.63時間(343分)の工程が計画されます。これは、0.14時間/8.4分の差異です。
提示開始日: 5月8日18:16:00
提示納期: 5月8日23:59:00
この差異は、プロファイル・オプション「MSO: 計画バケット効率性の浮動小数点精度」が100に設定されていることによるものです。
計画エンジンでは、効率指数が0.21(1シフト5.25時間 /1日24時間 = 0.21875を小数点以下2桁まで切り捨て)として計算されます。
計画エンジンでは、所要量の継続期間が5.63時間(72分/0.21 = 342.85分を343分に端数処理)として計算されます。
計画エンジンからの計画オーダー提示日と理論上のオフセット計算による計画オーダー提示日に、端数処理による差異があることに気づく場合があります。次の例に、その理由を示します。
オフセット算式
効率指数 = 作業時間/使用可能時間合計
所要量の継続期間 = 工程時間/効率指数
工程生産資源のシフト
13:00-17:10
17:55-19:00
生産資源数量/レート: 6分または1時間当たり10
需要: 5月8日に数量12
「制約付き - 需要納期の施行」計画。計画オプションは次のとおりです。
「総計」タブ、「日数」の「バケット」 = 30
「制約」タブ、「日数」の「生産資源制約」= Yes
「制約」タブ、「仕入先生産能力制約」=Yes
「プランナ・ワークベンチ」での供給、計画オーダー
提示開始日: 5月8日18:16:00
提示納期: 5月8日23:59:00
所要量の継続期間 = 5.62時間(343分)
計画オーダーのオフセット計算
効率指数 = 0.21875 [5.25時間/24時間]
所要量の継続期間 = 5.48時間 [72分/0.21875 = 329分]
プランナ・ワークベンチによる推奨と計画オーダーのオフセット計算の差異は、8.4分、つまり0.14時間 [5.62時間 - 5.48時間]です。この結果は次のように算出されます。
プロファイル・オプション「MSO: 計画バケット効率性の浮動小数点精度」 = 100
効率指数 = 0.21 [5.25時間/24時間 = 0.21875]
所要量の継続期間 = 5.62時間、つまり343分 [72分/0.21 = 342.85分]
計画プロセスでは、日次バケットに関する生産資源可用性 - (生産資源可用性/計画バケットの合計時間) * 100を表す延長指数が計算されます。例:
毎日8時間[08:00-16:00]の生産資源可用性があります。
1日の合計時間は[00:00-24:00]24時間です。
日次延長指数は33% [8/24 = 0.3333]です。
この生産資源が計画エンジンにより日次計画バケットのうち12時間について計画される場合、生産資源使用量は4時間[12 * 0.3333]となります。
最初の計画バケットでの計算は、計画開始時間に応じて異なります。例:
計画開始時間は14:00です。
生産資源は日付1に2時間[14:00-16:00]使用可能です。
日付1の合計時間は10[14:00-24:00]時間です。
日付1の延長指数は20%[(2/10) * 100 = 0.2]です。
日付1の生産資源使用量は2時間[10 * 0.2]です。
需要を満たすために複数の計画オーダー供給が必要な場合、ASCPでは納期までに完了できる全供給が納期に計画され、残りの供給は需要充足日に計画されます。
これにより、納期に完了可能な供給を顧客に対する部分発注出荷としてリリース、実行、出荷できます。
部分需要の充足機能は、最終需要(独立需要)にのみ適用されます。依存需要の場合、オーダー数量の一部を完了し、この在庫を必要になるまで保管するのは費用効率が悪く、利点がありません。
部分需要完了に関するプロファイル・オプションを設定します。
「システム管理者」としてサインインします。
ナビゲータから、「プロファイル」->「システム」を選択します。
「システム・プロファイル値の検索」画面が表示されます。
検索基準を入力して「検索」ボタンを選択します。
「システム・プロファイル値」画面が表示されます。
「MSO: 部分需要完了を許可」プロファイル・オプションを、次のいずれかの値に設定します。
全終了需要
受注のみ
なし
このプロファイル・オプションのデフォルト値は「全終了需要」です。
例
この例では、納期を日付10とする150単位の受注SO1があり、この受注需要を充足する2つの計画オーダーP1およびP2があるとします。次のダイアグラムにこの例を示します。
部分需要の充足
計画オーダーP2は納期どおりに完了できますが、計画オーダーP1は日付12にならなければ完了できません。
部分需要の充足機能拡張を使用しない場合、ASCPではP1とP2の両方が日付12に完了するように計画されます。
部分需要の充足機能を使用すると、P2は納期どおり(日付10)に完了するように計画され、P1は日付12に完了するように計画されます。このため、顧客需要の一部を納期どおりに充足できるように、P2をリリースして実行し、納期どおりに出荷できます。
「例外詳細」フォーム(「サプライ・チェーン計画」->「ワークベンチ」->「処理」タブ->「処理タイプ」をドリルダウン)で、需要のうち納期までに充足できる部分が「期限充足数量」列に表示されます。
ASCPで制約付き計画を実行するには、BOMパラメータ「疑似工順を使用」を「No」に設定する必要があります。
「製造および物流マネージャ」の職責でサインインします。
「部品構成表」->「設定」->「パラメータ」を選択します。
「パラメータ」画面が開きます。
「疑似工順を使用」チェック・ボックスの選択を解除します。
通常は、計画オーダーが小規模であるほど、計画エンジンの柔軟性が高まり、供給が需要を充足するために納期どおりに製造される可能性の高い計画になります。この機能は計画エンジンに対して、計画オーダーをペグ先需要の数量により近いサイズに分割するように指示します。この機能を使用するのは、次の場合です。
通常はオーダー・モディファイアを使用しない場合
計画により、需要にペグされた計画オーダーの納期が大きくばらつく結果になる場合
計画により、製品が短期的に製造されるが、そのほとんどがはるか後の納期を持つ需要の充足に必要な場合
計画オーダー分割は、ペグ先需要の数量よりも10%以上多い数量を持つ計画オーダーが計画エンジンにより分割されるようにデフォルト設定されます。このデフォルト・パーセントを変更するか、この機能を無効化するには、プロファイル・オプション「MSO: 計画オーダー分割前の需要サイズ許容範囲PCT」を小数形式のパーセントに設定します(たとえば、10%の場合は10ではなく0.1と入力します)。
ペギング中に、計画エンジンにより次の操作が実行されます。
計画オーダーが需要にペグされます。
計画オーダー品目にオーダー・モディファイアが設定されているかどうかがチェックされます。設定されている場合、その計画オーダーは分割されません。
計画オーダー数量が需要数量を大幅に上回っているかどうかがチェックされます。この場合は、(計画オーダー数量 - 需要数量) / 需要数量 > 「MSO: 計画オーダー分割前の需要サイズ許容範囲PCT」であるかどうかがチェックされます。
計算が大幅な超過を示していない場合、計画オーダーは分割されません。
計算が大幅な超過を示している場合、計画エンジンにより計画オーダーが分割され、需要数量は新しい計画オーダーに割当てられ、新しい計画オーダーが需要にペグされます。
たとえば、「MSO: 計画オーダー分割前の需要サイズ許容範囲PCT」が0.1の場合、計画エンジンにより次の操作が実行されます。
品目Sに関する数量100の計画オーダー1が、数量20の需要Aにペグされます。
品目Sにオーダー・モディファイアが設定されていないことが確認されます。
((100 - 20) / 20 = 4が計算されます。
4 > 0.1であることが確認されます。
計画オーダー1が分割されます。計画オーダー1の数量は80となり、新規計画オーダー1aの数量が20となります。
需要Aに対する計画オーダー1のペギングが解除され、計画オーダー1aが需要Aにペグされます。
プロファイル・オプション「MSC: スケジューリング・フレキシビリティのための計画オーダー分割」を使用して、計画エンジンにより計画オーダーを複数の計画オーダーに分割させるかどうかを指定します。このプロファイル・オプションの詳細は、「プロファイル・オプション」を参照してください。計画エンジンでは、プロファイル・オプション「MSC: スケジューリング・フレキシビリティのための計画オーダー分割」がプロファイル・オプション「MSO: 計画オーダー分割前の需要サイズ許容範囲PCT」よりも先に考慮され、適用されます。プロファイル・オプション「MSC: スケジューリング・フレキシビリティのための計画オーダー分割」の適用対象は、次のとおりです。
決定ルールが有効化されている制約付き計画
コスト最適化済計画
この種の計画の場合、計画エンジンは次の3つの順次ステップの実行後に最終的な計画出力に到達します。
代替生産資源および部品構成表(または工順)が選択されます。
オーダー・モディファイアの適用、計画算入およびペギング
詳細計画の実行
これらの各ステップは、計画オーダーのサイズ設定とタイミングに影響するフェーズです。
最初のフェーズは最適化フェーズです。計画エンジンでは、未処理需要を充足するための計画オーダーが作成されます。この場合、計画オーダー用に特定の計画タイムバケットを計画するために、次のことが考慮されます。
品目の処理リード・タイム
生産資源生産能力と資材生産能力
複数のバケットで生産資源に負荷をかける計画オーダーは、複数の計画オーダーに分割されます。計画オーダーはバケットごとに作成されます。バケット数は、計画オプションで指定した日数、週数および期間によって決まります。たとえば、x日、y週、z期間 = x+y+zバケットとなります。
最初のフェーズの最後に、計画エンジンではプロファイル・オプション「MSC: スケジューリング・フレキシビリティのための計画オーダー分割」が考慮されます。このプロファイル・オプションの値を「No」に設定した場合、隣接する計画バケット内の同じ品目、組織、BOMまたは工順に関する計画オーダーが組み合されます。このプロファイル・オプション値を「Yes」に設定した場合、このフェーズでは計画エンジンは何も処理を実行しません。
フェーズ2では、計画エンジンによりオーダー・モディファイアが考慮され、それに従って計画オーダーのサイズが変更されます。また、需要が算入されて供給にペグされます。
フェーズ3では、計画エンジンにより工順での生産資源使用量詳細が考慮され、計画オーダーの最終的なタイミングが決定されます。決定の間隔は1分間です。このプロセス中に、需要を納期どおりに充足するために必要であれば、代替生産資源が選択される場合があります。プロファイル・オプション「MSC: スケジューリング・フレキシビリティのための計画オーダー分割」を「Yes」に設定している場合、計画エンジンでは複数の計画オーダーが作成されますが、詳細計画があるために日次計画バケットに揃えることができない場合があります。このフェーズで代替生産資源が考慮される結果、計画オーダーが日次生産能力サイズに該当しなくなることがあります。
単純な部品構成表や工順の場合は、計画エンジンにより時間帯別見積が適用されて計画オーダーが作成され、これらが3つの異なるフェーズ間で異なることはありません。ただし、複雑な部品構成表や工順の場合、最初のフェーズで行われた時間帯別の計画オーダー・サイズの見積が、以降のフェーズで詳細化されます。その結果、計画エンジンにより各フェーズの最後に作成される計画オーダーが異なる場合があります。
確定作業指示とは、次の作業指示のことです。
製造現場製造アプリケーションの管理対象
製造現場または計画担当による変更不可のマーク付き
計画エンジンでは、確定作業指示の工程開始時間と終了時間および生産資源使用量は変更されません。ただし、確定作業指示の生産資源所要量は計算され、生産資源可用性がこれらの所要量だけ削減(確定作業指示が処理)されます。
計画エンジンでは、未確定作業指示および計画オーダーが計画される前に、確定作業指示が処理されます。この場合、需要優先度は考慮されません。確定作業指示が処理された後、未確定作業指示と計画オーダーが計画オプションとプロファイル・オプションで指定した方法で計画されます。
確定作業指示により生産資源生産能力が超過消込になる場合があります。その場合は、計画エンジンにより生産資源過負荷例外メッセージが発行されます。
共有供給は、複数の最終品目需要にペグされている計画受入、確定計画オーダーおよび計画オーダーです。
計画エンジンでは、共有供給はいずれかの需要の納期に基づいて計画され、その共有供給は同じくペグされている他の需要を考慮して遅延される場合があります。
1つの共有供給にペグされている複数の需要が同じ需要スライス(ペギングを参照)に存在する場合、計画エンジンでは常に共有供給が再計画されます。
再計画では、次の操作が実行されます。
全需要の納期どおりの充足が試行されます。
上位優先度の需要の早期または納期どおりの充足が試行されます。
必要な場合は、遅延対象として下位優先度の需要が選択されます。
制約に応じて、再計画が、使用可能な仕入先生産能力の範囲内およびリード・タイム内に収まる場合にのみ発生します。
たとえば、照明灯製造の最終プロセスは、購買品目であるブラケットを溶接機で照明灯半組立品に接続することです。溶接機では、1日100個のブラケットを接続できます。
ブラケット接続に関して2つの需要が共有供給にペグされています。どちらの需要も同じ需要スライス内にあります。
需要1: 最終品目: 照明灯、数量: 100、需要納期: 日付7、優先度: 1
需要2: 最終品目: 照明灯、数量: 200、需要納期: 日付4、優先度: 200
計画エンジンでは次の処理が実行されます。
需要1(日付7を納期とする上位優先度の需要)が処理されます。
ブラケットが日付6に到着するように計画されます。溶接機は日付6に100の照明灯を製造し、需要1を納期どおりに充足することになります。
需要2(需要1よりも早期の日付4を納期とする下位優先度の需要)が処理されます。
ブラケットが日付2に到着するように再計画されます。溶接機は日付2および3に200の照明灯を製造し、需要2を納期通りに充足してから、日付4に100のブラケットを製造して需要1を早期に充足することになります。
図のタイトル
1つの共有供給にペグされている複数の需要が異なる需要スライス内に存在する場合、通常、計画エンジンでは共有供給は再計画されません。
たとえば、照明灯製造の最終プロセスは、購買品目であるブラケットを溶接機で照明灯半組立品に接続することです。溶接機では、1日100個のブラケットを接続できます。
ブラケットの接続に関して共有供給に2つの需要がペグされているとします。各需要は次のように異なる需要スライスに存在します。
需要1: 最終品目: 照明灯、数量: 100、需要納期: 日付7、優先度: 1
需要2: 最終品目: 照明灯、数量: 200、需要納期: 日付4、優先度: 200
計画エンジンでは次の処理が実行されます。
需要1(日付7を納期とする上位優先度の需要)が処理されます。
ブラケットが日付6に到着するように計画されます。溶接機は日付6に100の照明灯を製造し、需要1を納期どおりに充足することになります。
需要2(需要1よりも早期の日付4を納期とし、需要1とは異なるスライス内にある下位優先度の需要)が処理されます。
溶接機では、日付6に100の照明灯が製造され、需要1を納期どおりに充足してから、日付7および8に200のブラケットが製造され、需要2の充足を遅延させることになります。
図のタイトル
共有供給の計画機能を使用し、計画エンジンに対して前の需要スライスで計画された共有供給の再計画を試行するように指示します。目的は複数の需要が同一スライス内に存在する場合と同じで、共有供給をペグ先の全需要について納期どおりに、または早期に製造することです。
この機能を有効化するには、プロファイル・オプション「MSO: 分割供給再計画の追加需要スライス」を次のいずれかに設定します。このプロファイル・オプションは0にデフォルト設定されます。
正の整数: 計画エンジンは、前の多数の需要スライス間で共有供給を再計画しようとします。その後は、需要が遅延となっても共有供給を再計画しません。
-1: 計画エンジンは全スライス間で共有供給を再計画します。
大きい整数値を指定するほど、計画のパフォーマンスに及ぼす影響が大きくなります。値-1を指定すると、影響が最大になります。
納期需要にペグされている供給の範囲内の供給および生産資源所要量の場合、「最早許容完了時間」(EACT)は「計画開始日」に設定されています。
「需要納期の施行」計画の場合、計画エンジンでは需要納期を満たす必要があります。既存の生産能力を使用して需要を納期どおりに充足できない場合は、生産資源と仕入先を過負荷にする必要があります。
計画エンジンでは、活動が需要納期から前倒し計画されます。時間が足りないために需要納期までに供給オーダーを完了できない場合、計画エンジンはオーダーの計画を終了する前に計画開始日に達します。その後、特定のプロセスをたどって工程が再計画されます。「遅延需要の根本原因の識別」を参照してください。
計画エンジンでは、計画の制約となっている活動を最大の過負荷にして、他の活動を妥当に計画するように、計画時にスラック(過負荷)が管理されます。計画担当は実際に制約となっている活動を容易に識別できるため、計画全体を改善するために作業できます。
スラックを管理するために、供給オーダーの各活動に時間ウィンドウが割当てられ、そのウィンドウ内の活動のみが計画されます。これにより、供給オーダー内の各活動には、スラックが比例して割り付けられます。それ以外の場合は、工順の開始活動または終了活動の完全な計画にほとんどの時間が使用される可能性があります。その場合、他の活動は最大の制約となっている活動でない場合にも、高スラックにより計画開始日または需要納期に圧縮されて表示されます。
過負荷にする必要が生じた場合、計画エンジンは次のように動作します。
需要の納期が計画開始日にきわめて近くないかぎり、工程が最短継続期間を超えて圧縮されることはありません。
生産資源が使用できない時点で、工程が使用可能時間の小さいギャップに圧縮されるのではなく、生産資源が過負荷になる傾向があります。
生産資源過負荷の作成は、計画開始日に近づくほど大きくなるのではなく、期間中に均等に配分されるように試行されます。
次のダイアグラムに、計画ウィンドウを使用しない場合と計画ウィンドウを使用する場合の、4つの工程(工程番号10、20、30、40)の供給オーダーの計画例を示します。ボックス内は、生産資源を使用できない時間を示します。
計画ウィンドウを使用しない場合、計画エンジンでは工程40および30が完了時間と生産資源が使用可能な時間について計画されてから、納期遅延になるのを回避するために工程20および10が大幅に圧縮されます。
計画ウィンドウを使用する場合、計画エンジンでは全工程が完了時間について計画されます。ただし、工程20および40は、生産資源が使用できない時間中に計画されます。
活動計画と計画ウィンドウ
「需要納期の施行」計画では、計画エンジンにより各資材所要量と生産資源所要量が次のように計画されます。
制約なし計画ウィンドウ内で
実際の計画時間ウィンドウ内で
時間ウィンドウの性質に従って
供給オーダーを計画するために、計画エンジンでは最初に各工程の制約なし計画ウィンドウが検索されます。
工程の制約なし計画ウィンドウは、次の時点間で発生します。
制約なし最早可能開始時間(UEPST): 計画エンジンでは、この時間より早期に開始するように工程が計画されることはありません。このように計画される場合は、上位工程が最短継続期間を超えて圧縮されます。
制約なし最早可能完了時間(UEPCT) = UEPST + 工程の最短継続期間
制約なし最遅可能完了時間(ULPCT): 計画エンジンでは、この時間よりも後に終了するように工程が計画されることはありません。このように計画される場合は、下位工程が最短継続期間を超えて圧縮されます。
制約なし最遅可能開始時間(ULPST) = ULPCT - 工程の最短継続期間
次のダイアグラムに、工程の制約なし計画ウィンドウを示します。
制約なし工程計画ウィンドウ
計画エンジンでは、全活動の前倒し計画と先送り計画により、UEPSTとULPCTが検索されます。その際に、生産資源可用性とブレーク(プロファイル・オプション「MSO: 制約なし計画ウィンドウの計算にブレークを使用」の設定に従って)、最大割当ユニット、優先制約、確定、最小移動数量工程および次および前の計画生産資源が考慮されますが、最小バッチ・サイズ制約、生産資源バッチまたは仕入先搬送カレンダは考慮されません。需要納期から前倒し計画され、各工程の最小開始時間から先送り計画されます。各工程の最小開始時間については、計画開始日、計画タイム・フェンスおよび前処理リード・タイムが考慮されます。
次のダイアグラムに、制約なし計画ウィンドウとUEPSTおよびULPSTを強調して多数の工程を示します。
工順の制約なし計画ウィンドウ
確定活動があると、計画エンジンでは最早の確定活動の上位にある各活動と、その間にある活動が前倒し計画されてから、最遅の確定活動の下位にある活動が先送り計画されます。
計画エンジンでは、制約なし計画ウィンドウからの情報が使用され、供給オーダーのスラック合計が検索され、寄与率に応じて活動間に配分されます。生産資源を使用する工程ごとに制約付きウィンドウ、実際の計画ウィンドウが計算され、そのウィンドウ内で工程が計画されます。
各工程のスラックは、各工程の最大許容変動部分です。これは、ペギング・ツリーで上位にある各工程が最短の処理時間でできるかぎり遅延して計画されることと、ペギング・ツリーで下位にある各工程が最小処理時間でできるかぎり早期に計画されることを想定しています。工程間のスラックには相関関係があります。たとえば、ペギング・ツリーで上位にある工程が制約なし計画ウィンドウの早期に向けて計画される場合、計画エンジンではペギング・ツリーで下位にある工程のウィンドウが圧縮される可能性が高くなります。
工程の実際の計画ウィンドウは、次の時点間で発生します。
最早許容完了時間(EACT): 計画エンジンでは、この時点よりも早期に終了するように工程が計画されることはありません。早期完了のためには他の活動からの時間が取得され、スラックが比例分よりも小さくなる可能性があります。
計画エンジンでは、EACTは制約なし計画の実行中に収集された情報から計算されます。これは、工程の上位の最小スラックのパスに沿った最小処理時間合計に対する、工程に必要な最小処理時間の比率です。この比率は、工程で使用可能なスラックの量を示します。EACTの計算と実際の計画ウィンドウの長さは、プロファイル・オプション「MSO: EDD計画ウィンドウ管理」を設定することで管理できます。
最早許容開始時間(EAST) = EACT - (UEPCT - UEPST)
制約なし計画ウィンドウの制約なし最遅可能完了時間(ULPCT)。
次のダイアグラムに、工程の制約なし計画ウィンドウと実際の計画ウィンドウを示します。
制約なし計画ウィンドウと実際の工程計画ウィンドウ
計画エンジンにより工程を計画するために実行される処理は、計画ウィンドウの性質に応じて異なります。計画ウィンドウの性質は、次の要素に依存します。
計画開始日から需要納期までの期間
需要を納期どおりに充足するために計画する必要のある全供給および工程の累積継続期間
実際の計画ウィンドウのサイズが工程の最短継続期間と同じ、またはそれ以上の場合、計画エンジンでは実際の計画ウィンドウで最短継続期間を使用して計画されます。
実際の計画ウィンドウのサイズが工程の最短継続期間よりも短い場合、計画エンジンではそれが圧縮され、実際の計画ウィンドウの継続期間について計画される場合があります。通常、これが発生するのは需要納期が計画開始日に近い場合で、プロファイル・オプション「MSO: リード・タイム調整」に依存します。
工程の開始日または終了日を経過している場合、制約なし計画ウィンドウは存在しません。計画エンジンでは、プロファイル・オプション「MSO: リード・タイム調整」の設定に従って工程が計画されます。
「需要納期の施行」計画では、計画エンジンによる工程計画機能の一部を管理できます。
計画エンジンに対して、工程の開始日または終了日を経過していることが判明した場合の処理方法を指示するには、プロファイル・オプション「MSO: リード・タイム調整」を設定します。どのように設定した場合も、仕入先と生産資源が過負荷になる可能性があります。
「需要納期を満たすためには、最小処理時間を違反する」(デフォルト)を選択すると、計画エンジンでは需要納期を満たすために工程が最大割当ユニットの処理時間よりも短い時間に圧縮されます。また、「不十分なリード・タイムのオーダー」例外メッセージと「不十分なリード・タイムの所要量」例外メッセージが発行されます。先日付工程の計画は、実際の計画ウィンドウ内で保持されます。
次のダイアグラムに、計画対象の一連の工程を示します。工程A4およびA5は、全体または一部が計画開始日を経過しています。オプション「需要納期を満たすためには、最小処理時間を違反する」を設定すると、計画エンジンにより工程A4およびA5が需要納期を保持するように圧縮されます。
最小処理時間を違反する例
「最小処理時間を違反しない」を選択すると、計画エンジンでは工程が圧縮されず、新しい需要納期(需要充足日)が計算され、新しい需要納期に従って工程が再計画されます。当初の需要納期から新しい需要納期までの期間は、最小許容遅延日数です。
次のダイアグラムに、計画対象の一連の工程を示します。工程A4およびA5は、全体または一部が計画開始日を経過しています。オプション「最小処理時間を違反しない」を設定すると、計画エンジンにより新しい需要納期が計算され、その日付にあわせて工程が再計画されます。
最小処理時間を違反しない例
計画エンジンに対して生産能力ブレーク(非作業時間)を使用するように指示するには、プロファイル・オプション「MSO: 制約なし計画ウィンドウの計算にブレークを使用」を設定します。
「Yes」(デフォルト)を選択すると、計画エンジンでは生産能力ブレークを考慮してUEPST、UEPCT、ULPSTおよびULPCTが計算されます。活動時間を配置する際には生産資源または仕入先の非作業時間は含まれず、これらの時点が非作業時間に設定されることはありません。
「No」を選択すると、計画エンジンでは生産能力ブレークを無視してUEPST、UEPCT、ULPSTおよびULPCTが計算されます。活動時間を配置する際には生産資源または仕入先の非作業時間が含まれ、これらの時点が非作業時間に設定されることがあります。
計画エンジンに対して、需要納期を満たすために生産資源ブレーク中に作業を計画させるには、「No」を選択します。このように計画させない場合は、「Yes」を選択します。
「Yes」に設定すると、計画エンジンでは生産資源の非作業時間中に下位工程を計画できます。その結果、上位工程の計画に使用可能な時間が増え、計画エンジンにより上位工程がULPCTを超えて計画される可能性があります。
計画エンジンによる最早許容完了時間(EACT)の計算を管理するには、プロファイル・オプション「MSO: EDD計画ウィンドウ管理」を設定します。計画エンジンでは、各工程の実際の計画ウィンドウの最適サイズが、クリティカル・パスに含まれているかどうかに関係なく最短継続期間に比例して計算されます。実際の計画ウィンドウの実際のサイズを管理するには、0から1までの数値を入力します。
0.5(デフォルト)を入力すると、計画エンジンにより実際の計画ウィンドウの継続期間が最適サイズに設定されます。
0.5未満の数値を入力すると、実際の計画ウィンドウが最適サイズよりも大きくなります。このため、上位生産資源の過負荷の方が下位生産資源よりも大きくなることがあります。
0.5を超える数値を入力すると、実際の計画ウィンドウが最適サイズよりも小さくなります。このため、下位生産資源の過負荷の方が上位生産資源よりも大きくなることがあります。
次のダイアグラムに、様々な実際の計画ウィンドウのサイズによる効果を示します。
実際の計画ウィンドウのサイズ
納期の施行計画の結果を確認するには、「プランナ・ワークベンチ」を参照します。
「供給」ウィンドウで、計画開始日から先送りで計算された各供給のUEPSTおよびUEPCTと、需要納期から前倒しで計算されたULPSTおよびULPCTを確認します。
「生産資源所要量」ウィンドウで、開始時間と完了時間、および各生産資源所要量のUEPST、UEPCT、ULPST、ULPCTおよびEACTを確認します。EACTよりも早期の完了時間を示す生産資源所要量はありません。
「ガント・チャート」の右下ペインには、制約付き生産資源が計画ウィンドウ内で過負荷状態で計画済として表示されます。
過負荷が例外セット「超過-使用%」の範囲内の場合は、過負荷の生産資源に対応する例外メッセージが表示されないことがあります。
計画方法が正確でないため、使用していないように見える使用可能生産能力が表示される場合があります。計画エンジンでは、確定活動は再計画されず、計画開始後は、通常、計画済の工程や生産資源に戻ってさらに可能性が検索されることはありません。
プロファイル・オプション「MSO: 制約なし計画ウィンドウの計算にブレークを使用」が「Yes」であれば、計画エンジンでは次の場合に例外メッセージ「リード・タイム制約のオーダー」が発行されません。
マイナスの制約なし計画ウィンドウを持つ工程および供給(制約なしの最遅可能完了時間が制約なしの最早可能完了時間よりも早期)
圧縮済の制約なし計画ウィンドウ(制約なしの最遅可能完了時間 - 制約なしの最早可能完了時間 < 最小処理時間)
安全在庫所要量は、ハード所要量です。計画エンジンでは、納期を満たすために安全在庫所要量にペグされている供給が計画され、必要に応じて生産資源が過負荷になります。
品目の設計変更や部品構成表の変更は、設計変更(ECO)を介して実装されます。これらの計画変更は、依存需要の計算と、計画プロセスにより再計画または作成されるオーダーに影響します。使い切り日とは、品目の手持数量が予定総所要量と受入に基づいてすべて使用される日付です。ASCPにより推奨される使い切り有効日を受け入れることで、設計変更を導入する前に現行品目を使い切るように計画できます。
ECOを使用して改訂品目を定義する際に、計画プロセスで改訂品目の提示有効日を推奨させるかどうかを指定できます。推奨させるように指定すると、Oracle ASCPにより現行品目の使い切り日が推奨されます。使い切り日は、手持在庫数量(供給)を総所要量(需要)に引き当てることで計算されます。これは、現行品目の全供給が使い切られる(手持が0になる)日付です。
ECOの使い切り有効日は、次の図に示すように、使い切り日に1作業日を加算することで計算されます。
ECOの使い切り有効日
Oracle ASCPでは、プロファイル・オプション「使い切りに計画受入を含む」が「Yes」に設定されていると、使い切り日の計算時に計画受入が考慮されます。
通常、クローズ日が指定された設計変更が多数存在する場合、計画エンジンに対して、製造オーダーの仕入先と生産資源に関する有限生産能力計画を犠牲にしてショップ型製造オーダーと設計変更を調整するように指示できます。これを有効化するには、プロファイル・オプション「MSC: BOM改訂日がオーダー日と異なる場合にWIP詳細をリリース」を設定します。この設定の結果は、次のようになります。
計画エンジンにより、設計変更の改訂日が、影響を受ける最早のショップ型製造オーダーの開始日に更新されます。
Oracle Work in Processでは、製造オーダーのBOM改訂日が無視され、既存のオーダー(開始)日のかわりに計画で推奨された新規のオーダー(開始)日に有効な部品構成表および工順の詳細が展開されます。これにより、複数の設計変更間の改訂の競合がなくなります。
設計変更を定義します。定義方法の詳細は、『Oracle Engineeringユーザーズ・ガイド』を参照してください。
設計変更の作成時には、デフォルトで「MRP有効」フラグが選択されます。この設計変更を使い切り日の計算対象外にする場合は、このフラグの選択を解除できます。
収集を実行して設計変更を計画システムに取り込みます。
設計変更を適用する品目に対してASCP計画を実行します。
計画の実行後に、「プランナ・ワークベンチ」の左ペインで品目を選択し、マウスで右クリックしてドロップダウン・メニューから「品目」を選択すると、設計変更が計画プロセスで考慮されたことを確認できます。
「品目」ウィンドウが表示されます。
「構成部品」ボタンを選択します。
「構成部品」ウィンドウが表示されます。
「構成部品」ウィンドウ
このウィンドウには、構成部品の有効日が表示されます。
「プッシュ計画情報」コンカレント・プログラム(ナビゲーション: 「設定」->「要求の実行」->「単一要求」、値リストから「プッシュ計画情報」を選択)を実行して、計画出力をソース・システムにプッシュします。
Oracle Engineeringにナビゲートして設計変更を問い合せると、品目と構成部品に関してシステムにより推奨された使い切り日を検索できます。設計変更詳細を表示するには、「設計変更」ウィンドウで「改訂品目」ボタンを選択します。
「改訂品目」ウィンドウが表示されます。
推奨された使い切り日は、「有効日」フィールドを手動で変更して上書きできます。また、品目が組立品の部品である場合は、全構成部品の使い切り日を表示し、いずれかの構成部品の使い切り日を組立品全体の使い切り日として選択することもできます。
次の表に、使い切り有効日の設定方法を示します。
日 | 日付1 | 日付2 | 日付3 | 日付4 | 日付5 | 日付6 |
---|---|---|---|---|---|---|
総所要量 | 0 | 200 | 200 | 300 | 300 | 0 |
予測手持在庫 | 700 | 500 | 300 | 0 | 0 | 0 |
Oracle Advanced Supply Chain Planningでは、使い切り日は品目の予測総所要量に基づいて計算されます。この例では、現行の手持在庫数量は日付4にすべて使用されます。したがって、計画プロセスでは、この品目の使い切り有効日が日付5に設定されます。
予測の失効により、計画エンジンに対してなんらかのタイプの未充足の過去納期需要を充足するための供給を計画しない(需要を失効させる)ように指示します。この機能は、現行および将来の生産能力を消し込む需要が作成されて、現行需要の充足がさらに困難になるのを回避するために使用します。
予測の失効は、予測明細と基準需要計画エントリに適用されます。受注明細、安全在庫需要および依存需要には適用されません。
予測の失効は、次のいずれかの「最適化済 - 生産能力制約の施行」計画にのみ機能します。
計画エンジンでは、選択した生産能力制約オプション(「資材」、「生産資源」または「資材および生産資源」)に基づいて遅延需要が計算されます。たとえば、「生産資源」を選択すると、資材生産能力制約(ハード制約の資材リード・タイム以外)は遅延需要の原因とならないため、予測の失効原因にもなりません。
予測の失効を使用するには、プロファイル・オプション「MSO: 予測失効前の最大許容遅延日数」で、このタイプの過去納期需要に対する供給を計画エンジンで計画する日数を指定します。計画エンジンでは、プロファイル・オプションの値よりも長期間にわたって未充足で過去納期の需要が失効となります。未充足で過去納期の需要をすべて計画エンジンで失効させる場合は、このプロファイル・オプションを0に設定します。プロファイル・オプション「MSO: 最大許容遅延日数」がこのプロファイル・オプションとは異なることに注意してください。
例:
当初予測: 1000単位。
受注: 100単位。
未消込予測: 900単位(1000 - 100)。この消込は、計画内の予測消込です。基準需要計画のロード中にソース・インスタンス上で発生する予測消込は反映されません。
予測の失効(計画エンジンでは4日以内の遅延需要を充足できません): 200単位。
正味需要予測: 700単位(900 - 200)。
供給: 800(受注100 + 正味需要予測700)。品目がロット管理対象の場合は、受注にペグされた100単位に対する1件の供給と、予測にペグされた700単位に対する1件の供給が表示されます。
計画エンジンでは、製造組織のカレンダを使用して、「MSO: 予測失効前の最大許容遅延日数」の値から実際の期限日が計算されます。その日付が週次バケットまたは期間バケット内であれば、計画エンジンでは週次バケットまたは期間バケットの終了日が実際の期限日として使用されます。したがって、その週次バケットまたは期間バケット内に完了した供給はすべて許容ウィンドウに含まれます。
「需要/供給」ウィンドウの次のプランナ・ワークベンチ・フィールドに、予測の失効結果を表示できます。
当初オーダー数量: すべての予測消込または期限切れ需要の前の需要数量。
期限切れ需要: 期限切れになった需要の数量。
数量/レート: 当初オーダー数量 - 消込済数量 - 期限切れ需要。
消込詳細: 「消込詳細」ウィンドウを表示するには、予測明細を右クリックして「消込詳細」を選択します。
後述の表に、計画エンジンに次の状況で予測の失効が適用された場合の計画結果の例を示します。
11月4日に数量700、11月11日に数量1000の予測入力があります。
受注はありません。
オーダー・モディファイア「最大オーダー・サイズ」: 300。
両方の予測入力が、未充足数量に対する予測の失効に適格です。計画エンジンでは、11月4日の予測のうち100単位は11月8日までに、11月11日の予測のうち200単位は11月15日までに正常に計画できないと見積られます。
11月17日を納期とする数量200の計画オーダーは、プロファイル・オプション値が4日であるにもかかわらず6日の遅延となります。計画オーダーの詳細計画プロセスでは、供給が許容遅延日数ウィンドウの外側に移動される場合があります。
エンティティ | 納期 | 遅延日数 | 当初予測 | 期限切れ需要 | 数量/レート |
---|---|---|---|---|---|
予測 | 11月4日 | - | 700 | 100 | - 600 |
計画オーダー | 11月4日 | 0 | - | - | 300 |
計画オーダー | 11月4日 | 0 | - | - | 300 |
予測 | 11月11日 | - | 1000 | 200 | - 800 |
計画オーダー | 11月1日 | -10 | - | - | 300 |
計画オーダー | 11月11日 | 0 | - | - | 300 |
計画オーダー | 11月17日 | 6 | - | - | 200 |
予測が失効しても、計画エンジンによる「需要予測の遅延補充」例外メッセージの発行は停止されません。これらのメッセージを非表示にする場合は、プロファイル・オプション「MSO: 遅延需要例外許容範囲」を、プロファイル・オプション「MSO: 予測失効前の最大許容遅延日数」と同じ期間に設定します。ただし、長期間に設定することもできます。1日を表すには数量1440を使用してください。
例外メッセージを非表示にするかどうかに関係なく、「需要予測の遅延補充」例外詳細を遅延日数でソートできます。「MSO: 予測失効前の最大許容遅延日数」の外側の例外メッセージを検討するには、遅延日数の降順でソートします。
次の説明に従って、予測の失効から最大のパフォーマンスが得られるようにプロファイル・オプションと設定を調整します。
このプロファイル・オプションは、「MSO: 予測失効前の最大許容遅延日数」と連携して動作します。計画エンジンにより最適化済計画内の需要または非確定計画受入を移動できる日数を制限します。このプロファイル・オプションは、メモリーベース・プランナの最適化コンポーネントのパフォーマンスを改善するためにのみ使用します。計画により、最終的な計画出力では需要と非確定計画受入が必要な日数だけ移動されます。
「MSO: 最大許容遅延日数」が受注に適用されるのは、「MSO: 予測失効前の最大許容遅延日数」の値を設定している場合のみです。「MSO: 予測失効前の最大許容遅延日数」の値を設定しなければ、「MSO: 最大許容遅延日数」はすべての需要に適用されます。生産計画の場合は、「MSO: 最大許容遅延日数」により、主方法では遅延供給になる際に計画エンジンにより代替ソース、最終品目代替、代替構成部品、代替部品構成表および代替工順が考慮される先日付日数を制限します。通常は、代替方法を計画継続期間全体で使用可能にするために、「MSO: 最大許容遅延日数」を生産計画の計画水平に設定する必要があります。設定値が小さく(30など)、計画エンジンで最初の30日以内に代替方法が選択されなければ、主方法が選択されます。これにより、通常は最終供給日が30日を超えてプッシュされます。
「MSO: 予測失効前の最大許容遅延日数」の値を設定している場合は、「MSO: 最大許容遅延日数」も予測の失効に影響します。「MSO: 最大許容遅延日数」では、遅延して計画される場合に計画エンジンにより供給の生産能力が削減される、需要日からの日数を制限します。「MSO: 最大許容遅延日数」の設定値が小さく(30など)、最適化しても30日以内に受注分の生産能力が見つからない場合、それ以降の日付の検索が停止されます。その結果、受注分の生産能力が削減されていないため、最適化しても必要な時点で予測を失効できない場合があります。これを回避するために、「MSO: 最大許容遅延日数」は計画水平の日数よりも大きい値に設定することをお薦めします。
最適化エンジンでは、生産能力を計算して供給を計画する際に、このプロファイル・オプションを使用してリード・タイムが追加されます。これにより、生産能力が必要な時期について、より包括的な見積を生成し、失効済予測数量を増やすことができます。設定値が大きすぎると、未使用の生産能力が残り、失効済になる予測数量が多くなりすぎます。このプロファイル・オプションは、スケジューリングには影響しません。
「MSO: 予測失効前の最大許容遅延日数」の値を上回る遅延補充数を管理するには、すべての処理リード・タイム値が実際のリード・タイムを適切に表現していることを確認します。多数の予測が一貫して遅延しており、情報が特定の生産資源または資材制約を指している場合は、処理リード・タイムを調整して予測の失効を再テストしてください。このヒントを完了し、予測の失効パフォーマンスをモニターしてから、次のヒントを検討することをお薦めします。
また、結果をチューニングするには、プロファイル・オプション「MSO: キュー時間ファクタ」を小数値に設定する方法もあります。たとえば、値を.10に設定すると、計画エンジンにより全タイムバケット内で全リード・タイムが10%増やされます。
計画エンジンでは、需要優先度を使用して、どのタイプの需要を最初に失効させるかが決定されます。同じバケット内に同じ需要優先度を持つ適格需要が複数あると、計画エンジンでは最初に失効させる需要がランダムに選択されます。予測入力と受注明細は同じバケットに入れることができ、同じ需要優先度を設定できます。計画エンジンにより最初に予測が考慮される場合、受注が考慮されていないために十分な予測の失効を転記できないことがあります。
予測の失効で特定の需要を他の需要よりも先に考慮させる場合は、その優先度を他方の需要の優先度よりも上位(小さい数値)に設定します。予測を正しく失効させるために、最初に日付基準、次にMDS/受注優先度を含んだ需要優先度ルールを使用することをお薦めします。これにより、次のことが保証されます。
バケット内の受注には、同じバケット内の予測よりも上位の優先度が設定されます。
計画エンジンにより予測の失効が日付順に実行され、各バケット内の需要と生産能力の間に適正なバランスが維持され、理解できる結果が表示されます。
オンラインまたはバッチ再計画を実行すると、計画エンジンにより期限切れ需要がその再計画中に失効する数量に再設定されることがあります。この場合は、次のことに注意してください。
「プランナ・ワークベンチ」の「数量/レート」フィールドは正確ではありません。
オンラインまたはバッチ再計画中に、失効済予測数量の失効が計画エンジンにより解除されることはありません。失効済予測数量は、先日付のすべてのオンラインおよびバッチ再計画時にも失効済のままです。
たとえば、再生可能計画の実行中に、1000単位が失効するとします。以降のバッチ再計画では、さらに100単位失効します。この時点で、「期限切れ需要」フィールドの値は1100単位ではなく100単位となります。「当初オーダー数量」は、オンラインまたはバッチ再計画中には変化しません。
計画を再起動すると、計画エンジンにより当初オーダー数量が考慮されて予測の失効が再計算されます。
「MSO: 予測失効前の最大許容遅延日数」に値を設定してオンラインおよびバッチ再計画を使用すると、計画エンジンにより失効済予測数量が再び考慮されることはありません。
失効済予測数量に対する変更の効果を確認するには、ソース予測数量を変更して新しい計画を起動するか、または「プランナ・ワークベンチ」で予測数量を手動で増やします。次回のオンライン再計画では、必要に応じてさらに予測数量が失効します。
生産資源の設定時間を最小化したり最大化するには、順序依存設定時間を指定できます。順序依存設定時間は、生産資源での製造オーダーに応じた、生産資源の設定に必要な時間を示します。たとえば、塗装スプレーのペイントを白色から黒色に変更するには、白色から黄色に変更するよりも時間がかかる場合があります。
Oracle Advanced Supply Chain Planningでは、順序依存設定時間に基づいて、生産資源設定時間を最小化する優先活動順序(設定リング)を判別できます。設定リングとは、可能な各製品を生産資源が短い合計切替時間で1回以上製造できるようにする一連の切替です。たとえば、Oracle Advanced Supply Chain Planningでは、順序依存設定時間に基づいて、塗装スプレーに最善のペイント切替パターンが黄、青、黒の順であることを判別できます。
タイムバケットに対して順序依存計画が有効化されている場合、Oracle Advanced Supply Chain Planningでは設定リングに従ってタイムバケット内の生産資源活動の計画が試行されます。計画エンジンは需要を納期どおりに充足しながら、切替時間および関連するペナルティを最小限に抑えようとします。
タイムバケットに一部の生産資源設定タイプのみが必要な場合は、設定リングに従って必要な活動のみが組み込まれて計画されます。たとえば、塗装スプレーの設定リングが白、黄、青、黒の順になっていて、バケット中は青色のペイントを必要としない場合、残りの活動は設定リングに従って白、黄、黒の順になります。
Oracle Advanced Supply Chain Planning(ASCP)では、順序依存設定を伴う生産資源が生産資源インスタンス・レベルへ計画されます。製造オーダーに3単位の生産資源が必要であると指定するのではなく、製造オーダーを実行する必要のある順序依存設定を伴う生産資源インスタンスが指定されます。バッチ生産資源の順序依存設定も、生産資源インスタンス・レベルへ計画されます。
順序依存計画を有効化していない場合、ASCPでは設定時間を最小化する方法は判別されず、各生産資源の稼働状況パーセントに従って活動の継続期間が増やされます。
Oracle Bills of Materialでは、ショップ型製造の順序依存計画に必要な日付を設定できます。その後、収集を実行してOracle Advanced Supply Chain Planningにデータを移入できます。
ショップ型製造に関する順序依存設定データを指定するには、次の操作を実行する必要があります。
設定タイプの定義
生産資源への設定タイプの割当て
生産資源の設定タイプ間の切替時間の指定
工順ステップの設定タイプの指定
インスタンス・レベルの計画の有効化
初期生産資源状態の指定
順序付けウィンドウ・サイズの指定
生産資源の順序依存設定ごとに設定タイプを作成する必要があります。たとえば、白色ペイント、黄色ペイントおよび黒色ペイントの設定タイプを作成できます。
「製造および物流マネージャ」職責を選択します。
「部品構成表」->「工順」->「設定タイプ」にナビゲートします。
順序依存設定タイプごとに、コードと摘要を入力します。
部品構成表の生産資源情報の設定方法の詳細は、『Oracle Bills of Materialユーザーズ・ガイド』の生産資源設定情報の定義に関する項を参照してください。
設定タイプを定義した後、それを生産資源に割当てる必要があります。たとえば、ペイント設定を塗装スプレーに割当てることができます。
「製造および物流マネージャ」職責を選択します。
「部品構成表」->「工順」->「生産資源」にナビゲートします。
「生産資源」ウィンドウで、順序依存設定を伴う生産資源を検索します。
「設定」をクリックします。
「設定」ウィンドウで、生産資源の全設定タイプを「使用可能」領域から「選択済」領域に移動します。
部品構成表の生産資源情報の設定方法の詳細は、『Oracle Bills of Materialユーザーズ・ガイド』の生産資源設定情報の定義に関する項を参照してください。
生産資源に設定タイプを割当てた後、生産資源に可能な設定間の切替に必要な時間を指定する必要があります。たとえば、塗装スプレーを次のように切り替えるための所要時間を指定できます。
白色ペイントから黄色ペイントへ
白色ペイントから黒色ペイントへ
黄色ペイントから白色ペイントへ
黄色ペイントから黒色ペイントへ
黒色ペイントから白色ペイントへ
黒色ペイントから黄色ペイントへ
「製造および物流マネージャ」職責を選択します。
「部品構成表」->「工順」->「生産資源」にナビゲートします。
「生産資源」ウィンドウで、順序依存設定を伴う生産資源を検索します。
「設定」をクリックします。
「設定」ウィンドウで「切替」をクリックします。
「切替時間」ウィンドウで、次のいずれかを行います。
一連のレコードを選択して切替時間を編集するには、「設定タイプ:自」リストと「設定タイプ:至」リストから選択して「切替時間のリフレッシュ」をクリックします。
すべての組合せ候補が画面の下部に移入されます。これにより、表示されたレコードのサブセットまたは全レコードについて切替時間の一括更新を実行できます。
1回の切替に関する情報を入力するには、「切替」行の次のフィールドに入力します。
フィールド | 説明 |
---|---|
自 | 生産資源の切替元設定。値には、すべての生産資源からの切替を意味するNULLを使用できます。 |
至 | 生産資源の切替先設定。 |
期間 | 切替の実行所要時間。 |
単位 | 期間の単位。 |
ペナルティ | ペナルティが発生するのは、この切替が実行される場合です。計画エンジンにより、このペナルティと、切替が実行されず活動が後日に計画される場合に発生する可能性のある需要遅延ペナルティとの間でバランスが調整されます。 |
標準工程 | 切替に必要な標準工程。標準工程では、切替の実行中に使用する生産資源を指定できます。この種の生産資源は、切替の実行対象となるマシンとの同時生産資源とみなされます。切替時の同時生産資源は、制約付き生産資源として計画されず、計画後に過負荷になる可能性があります。 |
複数の切替に関する情報を更新するには、切替の行を選択し、「一括更新の実行」フィールドに情報を入力して「更新」をクリックします。
「自」設定が「至」設定と同一の場合に切替を更新対象から除外するには、「「自」と「至」が等しいレコードの選択解除」を選択します。
設定タイプと工順工程の関連付けを指定する必要があります。
注意: 主要生産資源とその他生産資源の両方を順序依存としてマーク付けすることはできません。
「製造および物流マネージャ」職責を選択します。
「部品構成表」->「工順」->「工順」にナビゲートします。
「工順」ウィンドウで、工順内の工程を選択します。
「工程生産資源」をクリックします。
「工程生産資源」ウィンドウの「計画」タブで、「設定タイプ」フィールドに設定タイプを入力します。
生産資源に複数のユニットがある場合は、生産資源インスタンスを指定して、その生産資源のインスタンス・レベルの計画を有効化できます。
注意: インスタンス・レベルの計画は、順序依存設定を伴う生産資源にのみ関連があります。順序依存設定を伴わない生産資源に関するインスタンス・レベルの計画は、Advanced Supply Chain Planningではサポートされていません。
「製造および物流マネージャ」職責を選択します。
「部品構成表」->「工順」->「部門」にナビゲートします。
「部門」ウィンドウで「生産資源」をクリックします。
「生産資源」ウィンドウで、順序依存設定を伴う生産資源ごとに「インスタンス別 計画」を選択します。
順序依存設定を伴う各生産資源の初期設定状態を指定できます。初期設定状態により、生産資源について計画される最初の活動に切替が必要かどうかが決まります。
「アドバンスト・サプライ・チェーン計画担当」職責を選択します。
「収集」->「収集データの表示」->「生産資源」にナビゲートします。
「生産資源」ウィンドウで「インスタンス」をクリックします。
「生産資源インスタンス」ウィンドウで、各生産資源インスタンスの初期設定を指定します。
順序依存設定を伴う生産資源ごとに、全設定タイプを一巡するための所要時間を指定する必要があります。この値は、システムで設定サイクルの長さの見積に使用されます。
「製造および物流マネージャ」職責を選択します。
「部品構成表」->「部門」->「部門」にナビゲートします。
「生産資源」ウィンドウで「計画」タブをクリックします。
生産資源ごとに、全設定タイプを一巡するための日数を入力します。
Oracle製造モデルでプロセス製造用の順序依存設定データを指定し、収集を実行してデータをOracle Advanced Supply Chain Planningに移入できます。プロセス製造用の順序依存設定データを指定するには、次の操作を実行する必要があります。
順序依存としての品目の分類
切替時間とペナルティの指定
順序依存設定を伴う生産資源の指定
順序付けウィンドウ・サイズの指定
順序依存設定を伴う品目を分類するには、その品目を「順序依存性区分」カテゴリ・セットのカテゴリに割当てる必要があります。品目をカテゴリ・セットに割当てる方法の詳細は、『Oracle Process Manufacturing Inventory Managementユーザーズ・ガイド』の品目のカテゴリへの割当に関する項を参照してください。
Oracle Process Manufacturingで、「工程」区分と「品目」区分の組合せ間の切替時間とペナルティを指定する必要があります。このデータが計画サーバーに収集されると、設定タイプとなって「プランナ・ワークベンチ」に表示されます。
「Oracle Process Manufacturing」職責を選択します。
「プロセス計画」->「スケジューリング」->「設定」->「順序依存設定」にナビゲートします。
「順序依存設定」ウィンドウで、「工程」区分と「品目」区分の組合せの設定時間とペナルティを指定します。
表示される品目区分は、「順序依存性区分」カテゴリ・セットに定義した区分です。
順序依存設定を伴う工程で使用される生産資源は、Oracle Advanced Supply Chain Planningでは順序依存設定を伴う生産資源として計画されます。順序依存設定を伴う生産資源として計画されるのは、主要生産資源のみです。同時生産資源は、順序依存設定を伴うものとみなされません。
「Oracle Process Manufacturing」職責を選択します。
「プロセス・エンジニア」->「プロセス工程」にナビゲートします。
「プロセス工程詳細:活動」ウィンドウで、順序依存生産資源の「順序依存性」オプションを選択します。
順序依存生産資源ごとに、順序付けウィンドウの値を日数で入力します。計画エンジンでは、この値を使用して、設定タイプの全候補を一巡するための所要時間が見積もられます。
生産資源の順序付けウィンドウを指定しなければ、計画エンジンでは「MSO: デフォルト生産資源順序付けウィンドウ」(日数)で指定した日数が使用されます。
「Oracle Process Manufacturing」職責を選択します。
「プロセス・エンジニア」->「設定」->「プラント生産資源」にナビゲートします。
順序依存生産資源ごとに順序付けウィンドウ(SDSウィンドウ)を入力します。
ショップ型製造システムまたはプロセス製造システムでデータを設定し、データをOracle Advanced Supply Chain Planningに収集した後、順序依存計画を管理する計画オプションとプロファイル・オプションを設定する必要があります。
次の2つの値を指定する必要があります。
活動選択ウィンドウ: 計画対象として活動を選択できる日数
生産資源順序付けウィンドウ: この活動とともに分割する、同じ設定タイプの別の活動または活動セットを検索する日数
この値は、生産資源ごとに指定するか、プロファイル・オプションからデフォルト値として指定できます。
次のダイアグラムに、Oracle Advanced Supply Planningで順序依存活動を計画する際に、計画エンジンにより最初に活動ウィンドウから未計画活動が選択される様子を示します。計画エンジンでは、新規の切替を回避できるように、この活動グループから計画済の活動と最も適合する活動が選択されます。
活動の選択
活動の選択後、計画エンジンでは生産資源順序付けウィンドウ内で同じ設定タイプを持つ別の活動が検索されます。ウィンドウは、活動を実行して需要を充足する場合に可能な最遅時間に終了します。その後、活動は切替の最小化および需要遅延の最小化という目的のバランスが最も適正になる時点で計画されます。
生産資源順序付けウィンドウの長さは、各設定タイプのサイクルの長さに影響します。生産資源順序付けウィンドウが長いほど、各設定タイプの生産資源が別の設定タイプに切り替わるまでの所要時間が長くなります。生産資源順序付けウィンドウを長くしすぎると、計画中に需要優先度が十分に考慮されなくなる可能性があります。
この例は前倒し計画を指していますが、需要が遅延している場合の先送り計画にも同じ原則が適用されます。
「サプライ・チェーン計画」->「オプション」->「制約」タブにナビゲートし、次の計画オプションを設定します。
順序依存設定: 順序依存設定を考慮させる計画バケットごとに、このオプションを「Yes」に設定します。
注意: このオプションを後半の計画バケットで「Yes」に設定するには、前半の計画バケットでも「Yes」に設定する必要があります。
需要遅延ペナルティ: (オプション)需要遅延ペナルティを指定します。
次のプロファイル・オプションを設定します。
MSO: 活動選択ウィンドウ(日数)
MSO: デフォルト生産資源順序付けウィンドウ(日数)
MSO: 拡張順序付けのためのグループ当りの最大需要
MSO: 順序付けテンプレートの使用
MSO: 設定パターン計算ウィンドウ
MSO: 代替生産資源選択方法
MSO: 切替のペナルティ基準
各プロファイル・オプションの詳細は、「プロファイル・オプション」を参照してください。
Oracle Advanced Supply Chain Planning(ASCP)により決定された切替時間と優先活動順序は、ASCPの「切替時間」画面を使用して表示できます。切替時間は、計画エンジンにより中間の不要な設定が推奨されないように必要に応じて調整されます。たとえば、塗装マシンの所要時間を次のように指定するとします。
マシンの白色ペイントからクリーム色ペイントへの切替に2時間
クリーム色ペイントから黄色ペイントへの切替に2時間
白色ペイントから黄色ペイントへの切替に5時間
この場合、マシンを白色ペイントから黄色ペイントに切り替える場合の最短の方法は、白色ペイントからクリーム色ペイントに切り替えた後、クリーム色ペイントから黄色ペイントに切り替えることのように見えます。この問題を防止するために、システムでは白色から黄色へのペイント切替について、最初の2つの切替時間の合計(4時間)に等しくなるように調整済の切替時間が計算されます。5時間という値は、「切替時間」画面の「当初切替時間」列に表示されます。ASCPで切替時間に対してこの種の調整が実行されないように、入力では、生産資源の設定タイプA、BおよびXについて、切替(AからB) < 切替(AからX) + 切替(XからB)というルールを考慮する必要があります。
「アドバンスト・サプライ・チェーン計画担当」職責を選択します。
「サプライ・チェーン計画」->「ワークベンチ」にナビゲートします。
計画を右クリックし、メニューから「生産資源」->「生産資源」を選択します。
生産資源を選択して「切替」をクリックします。
「切替時間」画面に優先活動順序が表示されます。優先順序は、設定リング順序番号の昇順で表示されます。レコードを設定リング順序番号順にソートした場合、画面最下部に表示される切替は優先順序に含まれず、できるかぎり回避されます。
順序依存設定を使用した結果は、水平プランとガント・チャートに表示できます。
水平プランでは、次の行タイプを使用できます。
設定時間
設定時間数比率 = 設定時間 / 使用可能時間
実行時間数
実行時間数比率 = 実行時間数 / 使用可能時間
設定時間には、順序依存時間と固定設定の両方が含まれます。これらの生産資源所要量は、「計画」フラグが「前回」になることから区別できます。
ガント・チャートの詳細は、「ガント・チャートを使用した対話型スケジューリング」を参照してください。
「アドバンスト・サプライ・チェーン計画担当」職責を選択します。
「サプライ・チェーン計画」->「ワークベンチ」にナビゲートします。
生産資源を右クリックしてメニューから水平計画を選択します。
生産管理の主な機能の1つは、作業を製造現場にリリースして進行状況をモニターすることです。作業を製造現場にリリースした後、通常のパスでは作業が計画に従って完了します。実行中の作業にペグされた需要が消失すると、最終的に超過供給になる可能性があります。一部の製造環境では、需要がなくなったことを認識した直後に作業を停止できます。ただし、実際的な理由から、需要の取消後に作業を停止できない場合があります。最も重要な理由は、資材が廃棄になって失われる可能性、一部のステップを莫大なコストで再処理する必要性、生産プロセスおよび対応する歩留を管理する必要性にあります。混乱が生じ、貴重なスペースを占め、仕掛価額が増大するため、ショップ型製造オーダーを製造現場に必要以上に長時間残しておくことは望ましくありません。したがって、製品が部品構成表の特定のステージに達するまで、処理を続行する必要があります。特定のステージに達すれば、そこで次の需要が発生するまで安全に保管しておくことができます。部品構成表では、このステージを主要ステージまたは在庫ポイントとして視覚化できます。これらのステージを計画在庫ポイント(PIP)と呼びます。
次に様々な理由で停止できない作業の例を示します。
半導体製造では、ウエハーが処理後も炉内に長時間残っていると、酸化して廃棄になるおそれがあります。
イオン注入、散布および写真平板など、特定の半導体組立プロセスは、酸洗浄活動を伴います。部品を酸洗浄後も長時間放置した場合は、次のプロセスに渡す前に再洗浄する必要があります。
半導体工程では、組立とテストの間にテストに基づいて性能を測定して生産プロセスを調整するための重要な繰返し部分が存在します。テスト結果をタイムリに提供して修正処置を講じる必要があります。作業指示による結果が生成されずに長時間が費やされると、プロセス管理と歩留に影響します。
消費者製品の製造の場合、サプリメントなどの液体のボトル詰めは、抽出および濃縮プロセスから一定時間が経過した後に行う必要があります。指定の時間内にボトル詰めできなかった場合、その製品は消費に適さないため廃棄する必要があります。
次のリストに、PIPの動作の一部を示します。
需要にペグされていない供給を別の受注または予測に割り付けることが試行されます。
品目属性「計画在庫ポイント」が認識されます。
仕掛中に供給をもたらす需要が実体化されない場合も、PIPに達するまで作業が継続して処理されます。
需要にペグされていない製造オーダーは、他の有効な需要を充足する製造オーダーよりも大幅に遅いペースで処理されます。
この項では、PIP機能の動作例について説明します。
品目を在庫ポイントとして指定することで、在庫保有可能かどうかを指定できます。品目のPIP属性は品目-組織レベルで選択します。
品目を在庫ポイント品目として指定することは、資材を失ったり資材の品質特性を損なうおそれなしに、この品目レベルで資材を保管できることを意味します。通常、PIPは製造サイクルの主要保管フェーズを指します。
既存の製造オーダーがあり、需要がペグされていない場合は、その製造オーダーを次のPIPレベルに移動できます。たとえば、次の図に示す部品構成表では、品目Zは処理されて品目Aになる購買品目です。この品目は、部品構成表に示されるとおり何度か品目番号を変えながら複数の製造ステージを通過します。
品目Aに対する需要があり、品目Zを購入済で、ショップ型製造オーダーを使用して品目Dの作成作業中であるとします。なんらかの理由でAに対する最終需要が消失した場合は、取消を推奨するかわりにDのショップ型製造オーダーを引き続き計画できます。他に有効な需要(受注、予測、オーダー・モディファイア)が存在する場合は、その需要にショップ型製造オーダーを割り付けることができます。未消込供給を他の有効な需要に割り付ける動作は、Oracle APSの標準動作であることに注意してください。
製造オーダーを開始した後の目標は、次の在庫ポイントに達することです。つまり、(前述の図のように)品目CおよびBのオーダーを生成して計画する必要があります。これに失敗すると、品目Dのショップ型製造オーダーを廃棄するか再処理する危険性が生じます。これは、システムで品目CおよびBの計画オーダーが生成されて計画されるように、PIPで架空需要を導入する必要があることを意味します。
PIPにある品目にオーダー・モディファイアが設定されている場合は、PIPでオーダー・モディファイアを考慮して需要を追加できます。前述の例では、品目Dに15単位のショップ型製造オーダーがあり、その確定最終需要はなく、品目Bのオーダー・モディファイア「最小発注数量」が30単位に設定されています。この例では、Oracle APSによりPIPである品目Bについて30単位の架空需要が追加されます。品目のオーダー・モディファイアを設定している場合は超過供給になるため、部品構成表の下位レベルで超過供給を予想できます。
Oracle APSでは、製造オーダーと計画オーダーが標準リード・タイム(累積リード・タイム)で計画されるように、必要な量の架空需要が追加されます。オーダーを別のレベル(品目)で作成する必要がある場合は、その種の全品目について累積リード・タイムが追加されます。品目ZおよびDのリード・タイムがそれぞれ4日および3日の場合、製造オーダーが品目Dに関するものであれば、架空需要に製造オーダーの納期から7日が追加されます。
複数のレベルでオープンされている製造オーダーが、相互にペグされている場合があります。このような場合、追加される架空需要の量は、PIPに移動する必要のある製造オーダーの最大数量に等しくなります。架空需要は、単にペグされていない全オープン製造オーダーの合計ではありません。たとえば、テンプレートとして図「在庫ポイントを使用する構成表」を使用した場合、2つの製造オーダーが相互にペグされていることになります。つまり、10単位の品目Dの製造オーダーと、5単位の品目Cの製造オーダーです。品目Aからの最終品目需要に取消があると、架空需要は10単位分になります。これは、品目Cについて5単位の超過供給(計画オーダー)が作成されることを意味します。品目超過例外を分析すると、超過分を把握できます。
PIPより下位の品目の手持在庫数量は、ペグされていない製造オーダーをPIPに移動するというロジックに影響することがあります。品目Cの手持在庫数量が10単位で、5単位の品目Dについてペグされていない製造オーダーがあるとします。PIPに関する標準ロジックは、次のPIPである品目Bに5単位の架空需要を追加することです。5単位の架空需要は品目Cの手持数量である10単位よりも少ないため、この需要を品目Dの製造オーダーに渡すことはできません。これは、次のPIPへの製造オーダーの移動に影響します。
Oracle APSでは、PIPの下位レベルに存在する手持資材は上位レベルの製造オーダーに出庫するものとみなされます。これは、PIPより下位にある在庫は不要なため論理的です。
次のダイアグラムに示すように、1つの部品構成表に複数の在庫ポイントを設定できます。
複数の在庫ポイントを持つ部品構成表
品目Zから始まる製造オーダーがあり、需要が消失した場合、Oracle APSにより品目Dを含めて品目Dに達するためのオーダーが生成されて計画されます。品目Cのショップ型製造オーダーを開始し、最終需要が消失すると、Oracle APSにより品目Bを含めて品目Bに達するためのオーダーが生成されて計画されます。
PIPロジックでは、製造オーダーは有効な需要がなくても、取り消されるかわりに次のPIPへと計画されます。これは、部品構成表のうち、消失のおそれなしに資材を保管できるポイントに達するという考え方です。資材がPIPに達するまで計画するプロセスを支援するために、確定製造オーダーも未確定製造オーダーと同様に計画されます。
本来、確定製造オーダーは再計画のためにオープンされないため、上位レベル品目が次のPIPに達するように計画する場合、確定製造オーダーに対して行われる計画について関連作業を実行する必要があります。たとえば、日付25を納期とする品目Zの確定製造オーダーがあり、確定製造オーダーがペグされている需要が実体化されていないとします。このため、確定製造オーダーにより処理される資材を次のPIPに移動するタスクを実行する必要があります。確定製造オーダーに対して実行済の計画は変更できないため、確定製造オーダーの計画について関連作業を実行する必要があります。確定製造オーダーから次のPIPへの資材移動プロセスを支援するために品目Dについて生成された計画オーダーは、日付25に始まるように計画されます。品目Dのリード・タイムが5日であれば、品目Cの計画オーダー開始は日付30に計画されます。
Oracle ASCPでは、「リリース済」ステータスと「未リリース」ステータスの製造オーダーは同じ方法で処理されます。どちらのステータスの製造オーダーも、次のPIPに達するように資材を計画するプロセスを支援するために再計画の対象となります。
確定需要の取消後でも、製造オーダーの計画は例外条件です。アプリケーションでは、この種のオーダーの計画を例外として表示できます。次のPIPに移動されたオーダーごとに、「次のPIPレベルに移動済のオーダー」という例外が生成されます。この例外は、架空需要に完全にペグされているオーダーについてのみ作成されることに注意してください。
次の各手順では、PIPの使用方法について説明します。
「製造および物流マネージャ」の職責でサインインします。
ナビゲータから、「在庫」->「品目」->「マスター品目」を選択します。
「マスター品目」画面が表示されます。
品目を定義して品目属性を指定します。
「MPS/MRP計画」タブを選択します。
「計画在庫ポイント」チェック・ボックスを選択します。
作業内容を保存します。
「アドバンスト・サプライ・チェーン計画担当」の職責でサインインします。
ナビゲータから、「サプライ・チェーン計画」->「名前」を選択します。
「SCP名」画面が表示されます。
計画名を定義します。
「計画オプション」ボタンを選択します。
「計画オプション」画面が表示されます。
「PIPへの製造オーダーの移動」チェック・ボックスを選択します。
このチェック・ボックスを選択すると、ショップ型製造オーダー、ロット・ベース製造オーダー、または最終需要のない制約なし製造オーダーがある場合に、Oracle APSではショップ型製造オーダーがある品目と計画在庫ポイントの間にある全品目について、供給が作成されて計画されます。
作業内容を保存します。
手順AおよびBを完了した後、計画を実行します。
「アドバンスト・サプライ・チェーン計画担当」の職責でサインインします。
ナビゲータから、「サプライ・チェーン計画」->「ワークベンチ」を選択します。
「プランナ・ワークベンチ」が表示されます。
「生産資源所要量」ウィンドウまたは「ガント・チャート」にアクセスし、供給計画を検討します。後述の手順DおよびEを参照してください。
「プランナ・ワークベンチ」で計画と品目を選択します。
品目を選択し、「ツール」メニューから「供給」を選択します。
「供給」ウィンドウが表示されます。
品目を選択し、右クリックして「生産資源所要量」を選択します。
「生産資源所要量」画面が表示されます。
供給の計画を検討します。
「プランナ・ワークベンチ」で計画と品目を選択します。
「ツール」メニューから「需要/供給」を選択します。
「需要/供給」ウィンドウが表示されます。
品目を選択し、右クリックして「ガント・チャート」を選択します。
「ガント・チャート」が表示されます。
供給の計画を検討します。
「アドバンスト・サプライ・チェーン計画担当」の職責でサインインします。
ナビゲータから、「サプライ・チェーン計画」->「ワークベンチ」を選択します。
「プランナ・ワークベンチ」が表示されます。
計画を選択し、右ペインで「処理」タブを選択します。
処理タイプのリストが表示されます。
「再計画」をダブルクリックします(これは、例外要約の一種です)。
例外のリストが表示されます。
次の在庫ポイントまで計画されているオーダーを選択します。
「例外詳細」画面が表示されます。
例外を検討します。