メタデータサーバーの変更

共有ファイルシステム環境でのメタデータサーバーの変更

このセクションの手順では、ソフトウェアパッケージの自動 Membership Services 機能を使用せずに、共有ファイルシステムでメタデータサーバーとして機能しているホストを変更する方法について説明します。

メタデータサーバーシステムは、次の状況のときに手動で変更できます。

メタデータサーバーが使用不可になった。
メタデータサーバーまたは潜在的なメタデータサーバーを変更したい。

メタデータサーバーを正常に変更するには、既存のメタデータサーバーのマウントポイントと、すべての潜在的なメタデータサーバーが等しい必要があります。

共有ファイルシステムのメタデータサーバーに障害が発生した場合、メタデータサーバーの変更は、必ずメタデータサーバーを再起動したあとで行う方が安全です。そうでない場合は、再起動前にサーバーが入出力が発生し得ないことを確認します。次の方法はいずれも、サーバーを停止する目的では使用しないでください。ファイルシステムが破壊される可能性があります。

L1-A キーシーケンスの実行
別のホストへの強制的なフェイルオーバー
それまでのメタデータサーバーへの go (続行) コマンドの実行、ダンプファイルの要求、または sync コマンドの実行

同様に、メタデータサーバーがパニックを起こしてカーネルの adb コマンドにドロップした場合も、メタデータサーバーを変更してからサーバー上で a :c (続行) コマンドを発行することはしないでください。この手順を行うと、それまでのメタデータサーバーが無効なバッファーを、新しいアクティブなファイルシステムに書き込んでしまいます。

メタデータサーバーが使用可能なときにメタデータサーバーを変更する方法

既存のメタデータサーバー上で、samsharefs -s コマンドを発行して、新しいメタデータサーバーを宣言します。
次に例を示します。
```
titan# samsharefs -s tethys sharefs1
```
注 - アーカイブ環境では、このコマンドを発行する前に、メタデータサーバー上のすべてのアーカイブ操作を停止するようにしてください。

メタデータサーバーが使用不可のときにメタデータサーバーを変更する方法

再起動しないと既存のメタデータサーバーが起動できないことを確認します。
特に、サーバーの電源が切断されている、再起動されている、停止されている、あるいはメタデータディスクから切断されていることを確認します。ここでの目標は、古いメタデータサーバーを停止し、すべてのバッファーをフラッシュまたは破棄するか、あるいはそれ以外の方法でこれらのバッファーを確実に書き換え不可能にすることです。
kadb プロンプトから、次のキーシーケンスを使用します:
```
kadb[1]: sync     # Forces a dump
kadb[1]: $q       # Exits the debugger for prom
```
PROM プロンプトから、次のキーシーケンスを使用します:
```
{0} > sync            # Forces the buffers out
{0} > boot _args_     # Discards buffers
```
args には、boot コマンドの引数 (-r オプションや -v オプションなど) を指定します。詳細は、boot(1M) のマニュアルページを参照してください。

新しい (潜在的な) メタデータサーバーから、少なくとも最大リース時間の期間だけ待ってから、samsharefs コマンドを発行します。

次に例を示します。

# samsharefs -R -s tethys sharefs1

この待機によって、samsharefs コマンドを発行する前にすべてのクライアントリースが期限切れになることが保証されます。リース時間が期限切れになったかどうかわからない場合は、samu(1M) N の表示を起動します。samu コマンドについては、第 13 章samu オペレータユーティリティーの使用を参照してください。リースとその期間については、「Sun QFS 共有ファイルシステムでのリースの使用: (rdlease、wrlease、および aplease オプション)」を参照してください。

注意 - マウントされたファイルシステム上で samsharefs コマンドの -R オプションを使用してメタデータサーバーホストを変更する場合は、まずアクティブなメタデータサーバーを停止し、無効にしてから、切り離す必要があります。このようにしないと、ファイルシステムが破壊されることがあります。

(省略可能) ファイルシステムをマウント解除します。
この手順は、ファイルシステムの検査を実行する場合にのみ実行します。
『Sun QFS および Sun Storage Archive Manager 5.3 インストールガイド』の「ファイルシステムのマウント解除」の手順を使用します。
(オプション) samfsck コマンドを発行して、ファイルシステムチェックを実行します。
Sun QFS 共有ファイルシステムのメタデータサーバーに障害が発生した場合は、samfsck コマンドを実行する前に、サーバーをリブートし、すべてのクライアント上でファイルシステムをマウント解除するようにしてください。サーバーとクライアントは、ファイルの長さが変化する前にブロックを事前割り当てします。samfsck コマンドでは、追加のブロックが割り当てられたファイルがクリーンアップされますが、これらの追加のブロックにデータが含まれている可能性があります。この種類のクリーンアップされたファイルがクライアントからのサイズ更新を待っている場合は、クライアントが続行すると、そのファイルはこれらのブロックを失います。その結果、ファイルからデータが失われ、失われたデータはゼロとして読み込まれます。

アーカイブ環境でのメタデータサーバーの変更

このセクションの手順では、ソフトウェアパッケージの自動 Membership Services 機能を使用せずに、アーカイブ共有ファイルシステムでメタデータサーバーとして機能しているホストを変更する方法について説明します。

メタデータサーバーシステムは、次の状況のときに手動で変更できます。

メタデータサーバーが使用不可になった。
メタデータサーバーまたは潜在的なメタデータサーバーを変更したい。

アーカイブ環境でメタデータサーバーを変更する方法

アーカイブ機能は、一度に 1 つのホスト上でのみ実行できます。この手順では、転送の時点で両方のシステムが実行されていることを前提にしています。この例では、アーカイブ機能をホスト A からホスト B に移動します。

この手順を実行する前に、ホスト B からホスト A のロボットカタログにアクセスできることを確認してください。archiver.cmd ファイル、mcf ファイル、stager.cmd ファイル、およびその他の構成ファイルが、ホスト A 上のこれらのファイルと同一である必要があります。

ホスト A 上のアーカイブプロセスをアイドル状態にします。
1. samcmd aridle および samcmd stidle コマンドを実行して、ホスト A 上のアーカイブと書き込みを停止します。
  これらのコマンドは、現在のアーカイブと書き込みを完了できるようにしますが、新しい作業は開始しません。
2. ホスト A のすべてのテープドライブをアイドル状態にします。
  samcmd eq idle を使用します。ここで、eq はドライブの装置番号です。このコマンドは、現在の入出力がすべて完了したあと、ドライブをオフの状態にします。
3. アーカイバとステージャーがアイドル状態になり、テープドライブがすべてオフの状態になったら、samd stop コマンドを実行して、ロボットとテープに関連するすべてのデーモンを停止します。
4. リサイクラを実行する cron ジョブがある場合は、cron タブからこの記述を削除して、リサイクラが現在実行中でないことを確認します。
  この時点で、アーカイブプロセスは停止されているため、ホスト B へのファイルシステムのフェイルオーバーを実行できます。
ホスト B 上で samd config コマンドを実行することによって、ホスト B 上のアーカイブプロセスを開始します。
このコマンドによって、sam-fsd とそのサブプロセス (アーカイバやステージャーなど) は再構成され、構成ファイルを再読み込みします。また、sam-amld とテープライブラリ関連のデーモンも起動します。この時点で、書き込みを待っているすべての Sun QFS 共有クライアントアプリケーションは、書き込みリクエストを再発行する必要があります。
これで、ホスト B は、すべてのファイルシステムのアーカイブプロセスサーバーおよびメタデータサーバーとして完全に機能するようになっているはずです。

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	Sun QFS File System 5.3 構成および管理ガイド Sun QFS and Sun Storage Archive Manager 5.3 Information Library (日本語)