Oracle® Solaris 11.2 ディレクトリサービスとネームサービスでの作業: LDAP

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更新: 2014 年 7 月
 
 

LDAP サービスモジュール

前述のとおりに、serviceAuthenticationMethod 属性を定義すると、ユーザーによる LDAP サーバーへのバインド方法が決まります。定義しない場合は、authenticationMethod 属性が使用されます。pam_ldap モジュールによって、ユーザーの識別情報および指定されたパスワードを持つサーバーへのバインドが正常に実行されると、モジュールでユーザーの認証が行われます。


注 -  以前は、pam_ldap アカウント管理を使用すると、すべてのユーザーがシステムにログインするたびに、認証用にログインパスワードを入力する必要がありました。そのため、ssh などのツールを使用した、パスワードに基づかないログインは失敗していました。

現在は、アカウント管理を実行し、ユーザーがログインしているときに Directory Server への認証を行わずにユーザーのアカウントステータスを取得できます。

Directory Server 上の新しい制御は 1.3.6.1.4.1.42.2.27.9.5.8 です。この制御は、デフォルトで有効になっています。デフォルトの制御構成を変更するには、ディレクトリサーバー上でアクセス制御情報 (ACI) を追加します。例:

dn: oid=1.3.6.1.4.1.42.2.27.9.5.8,cn=features,cn=config
objectClass: top
objectClass: directoryServerFeature
oid:1.3.6.1.4.1.42.2.27.9.5.8
cn:Password Policy Account Usable Request Control
aci: (targetattr != "aci")(version 3.0; acl "Account Usable";
allow (read, search, compare, proxy)
(groupdn = "ldap:///cn=Administrators,cn=config");)
creatorsName: cn=server,cn=plugins,cn=config
modifiersName: cn=server,cn=plugins,cn=config

pam_ldap モジュールでは、userPassword 属性が読み取られません。クライアントが UNIX 認証を使用しない場合は、userPassword 属性への読み取りアクセス権を付与する必要がありません。同様に、このモジュールでは認証方法として none がサポートされていません。


Caution

注意  -  simple 認証方法を使用する場合は、第三者が暗号化されていない userPassword 属性を読み取ることができます。


次の表に、認証メカニズム間の主な相違点を示します。

表 2-2  LDAP での認証動作
イベント
pam_unix_*
pam_ldap
pam_krb5
パスワードの送信
passwd サービス認証方式を使用します
passwd サービス認証方式を使用します
パスワードではなく、Kerberos シングルサインオンテクノロジを使用します
新規パスワードの送信
暗号化される
暗号化しません (TLS を使用しない場合)
Kerberos を使用します。パスワードはネットワークに送信されません
新規パスワードの格納
crypt 形式
Oracle Directory Server Enterprise Edition で定義されたパスワード格納スキーム
パスワードは Kerberos を使って管理されます
パスワードの読み取りが必要か
あり
なし
なし
パスワード変更後の sasl/digestMD5 の互換性
ありません。暗号化されていないパスワードは格納されません。ユーザーを認証できません。
あり。デフォルトのストレージスキームが平文 (clear) に設定されていれば、ユーザーを認証できます。
ありません。sasl/GSSAPI が使用されます。Kerberos kdc を使用して LDAP ディレクトリサーバー内のパスワードデータベースを管理する場合を除き、パスワードがネットワーク上に送信されることも、ディレクトリサーバーに保存されることもありません。
パスワードポリシーがサポートされるか
はい。enableShadowUpdatetrue に設定する必要があります。
はい (構成されている場合)。
pam_krb5(5) のマニュアルページ、および Kerberos V5 アカウント管理モジュールを参照してください。