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Oracle® Databaseインストレーション・ガイド
12cリリース1 (12.1) for Microsoft Windows
B72973-09
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2 Oracle Databaseのインストールの概要

この章では、Oracle Databaseの様々なインストール・タイプと、Oracle Databaseのインストール前に考慮が必要な問題について説明します。

2.1 このリリースでインストールされる新しいOracle製品および機能

このリリースでは、様々な新しい機能および製品がインストールされます。「このリリースのOracle Databaseインストレーション・ガイドの変更内容」の章を参照してください。

2.2 インストールの計画

Oracle Databasetのインストール・プロセスは、次の6つの段階で構成されます。

  1. リリース・ノートの参照: インストールを開始する前に、Oracle Databaseのリリース・ノートを参照してください。リリース・ノートは、プラットフォーム固有のマニュアルとともに使用可能です。リリース・ノートの最新バージョンは、次のURLのOracle Technology Networkから入手できます。

    http://www.oracle.com/technetwork/indexes/documentation/index.html

  2. ライセンス情報の確認: メディア・パック内のインストール・メディアには多くのOracleコンポーネントが含まれていますが、使用可能なのは、ライセンスを購入したコンポーネントのみです。

    Oracleサポート・サービスでは、ライセンスを購入していないコンポーネントに対するサポートは提供していません。


    関連項目:

    『Oracle Databaseライセンス情報』

  3. インストールの計画: この概要に関する章では、インストールできるOracle製品と、インストール開始前に考慮が必要な問題について説明します。

    また、付録Hでは、サイトでOracleのアプリケーションを使用している場合や、複数のOracle Databaseクライアント接続が必要な場合のOracle Databaseのインストール方法など、Oracle Databaseコンポーネントのインストールに関するよくある質問の参照が必要な場合もあります。

    複数のインストールを実行する計画の場合、サイレント・インストールまたはレスポンス・ファイル・インストール、およびOracleホームのクローニングについて、付録Cを参照してください。

    Oracle Database Clientは別個にインストールします。Oracle Databaseインストール時にOracle Database Clientをインストールすることはできません。

  4. インストール前の作業の完了: 第3章では、Oracle Databaseをインストールする前に完了しておく必要のある作業について説明します。また、Oracle Restartのインストール前の作業については第5章を参照してください。

  5. ソフトウェアのインストール: 次の項を参照してOracle Databaseをインストールします。

    • 第5章では、Oracle Universal Installerを使用して、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールする方法について説明します。

    • 第6章: Oracle Universal Installerを使用して、Oracle Databaseをインストールする方法およびOracleホームをクローニングする方法について説明します。

    • 付録C: サイレント・インストールまたはレスポンス・ファイル・インストールの実行方法について説明します。これらの方法は、Oracle Databaseの複数インストールを実行する場合に使用します。

    • 付録E: 異なる言語でOracleコンポーネントをインストールして使用する方法について説明します。

    • 付録G: インストール時に問題が発生した場合のトラブルシューティングについて説明します。

  6. インストール後の作業の完了: 第7章では、インストール後の作業について説明します。

  7. Oracle Databaseの使用開始: 次の項を参照してOracle Databaseの使用を開始します。

    • 第8章: インストールされたOracle Databaseの内容の確認方法、データベースおよびその他の各種Oracleツールの起動方法、および各種ファイルの検索方法について説明します。

    • 「Oracleホームのクローニング」: 既存のOracle Databaseホームをクローニングする方法について説明します。

    • 付録B: Optimal Flexible Architectureについて説明します。Optimal Flexible Architectureは、メンテナンスをほとんど必要としない信頼性の高いOracleインストールを保証する一連のガイドラインです。

    • 付録E: グローバリゼーション・サポート情報について説明します。

    • 付録F: Oracle Databaseのポート番号を管理する方法について説明します。

  8. Oracle Databaseソフトウェアの削除: 第9章では、Oracle Databaseソフトウェアを削除する方法について説明します。

2.3 インストールの考慮事項

この項には、この製品のインストール方法を決定する前に考慮する必要のある情報が記載されています。この章には次の項目があります。

2.3.1 WindowsシステムとUNIXシステムのインストールの相違

UNIX環境でのOracleコンポーネントのインストール経験がある場合、UNIXで必要な多くの手動設定作業は、Windowsでは不要な点に注意してください。UNIXとWindowsでのインストールの主な相違点は次のとおりです。

  • サービスの起動および停止

    Windowsでは、管理者権限を持つユーザー・アカウントにログインして、Oracle Databaseソフトウェアをインストールします。インストール時に、Oracleホーム・ユーザー(管理者アカウント以外の標準のWindowsユーザー・アカウント)を指定することもできます。LinuxおよびUNIXシステムでは、ソフトウェア所有者のユーザー・アカウントを作成および使用する必要があり、このユーザーはOracleインベントリ・グループに属している必要があります。

  • 環境変数

    Windowsでは、Oracle Universal Installerで、PATHORACLE_BASEORACLE_HOMEORACLE_SIDなどの環境変数がレジストリに設定されます。UNIXシステムでは、このような環境変数は手動で設定する必要があります。

    複数のOracle DatabaseがOracleホームにインストールされている場合、レジストリに設定されるのは最後のOracleホームのSIDのみです。Oracleホームの管理の詳細は、Oracle Universal InstallerおよびOpatchユーザーズ・ガイドfor Windows and UNIXを参照してください。

  • オペレーティング・システム・グループ

    Windowsシステムでは、Oracle Universal Installerは、ORA_DBAORA_OPERORA_SID_DBAORA_SID_OPERORA_HOMENAME_DBAORA_HOMENAME_OPERおよびその他のグループを作成します。これらはオペレーティング・システムのOracle DatabaseおよびOracle ASMインスタンスに対する認証に使用されます。LinuxおよびUNIXシステムでは、これらのオペレーティング・システム・グループを手動で作成する必要があります。これらは、様々なOracleソフトウェア・リソースへのアクセス許可の付与およびオペレーティング・システムによる認証に使用されます。

  • Oracle Universal Installerを実行するアカウント

    Windowsでは、管理者権限を持つユーザー・アカウントにログインして、Oracle Databaseソフトウェアをインストールします。インストール時に、Oracleホーム・ユーザー(管理者アカウント以外の標準のWindowsユーザー・アカウント)を指定することもできます。LinuxおよびUNIXシステムでは、ソフトウェア所有者のユーザー・アカウントを作成および使用する必要があり、このユーザーはOracleインベントリ・グループに属している必要があります。


関連項目:

『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイドfor Microsoft Windows』のOracle DatabaseのWindowsとUNIXでの相違点に関する付録

2.3.2 推奨ファイル・システム

Oracle Databaseホーム(Oracleデータベース・バイナリおよびトレース・ファイル)をOracle ACFSまたはNTFSにインストールすることを強くお薦めします(Oracle ACFSを使用する場合は、データベース・ファイル自体をOracle ASMに置く必要があり、それ以外の場合は、NTFSに置くことができます)。これらのファイルのセキュリティのため、Oracle ACFSおよびOracle ASMまたはNTFSを使用することをお薦めします。


関連項目:

『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイドfor Microsoft Windows』

2.3.3 ハードウェアおよびソフトウェアの動作保証

このマニュアルに記載されているプラットフォーム固有のハードウェア要件とソフトウェア要件は、このマニュアルの発行時点での最新情報です。ただし、このマニュアルの発行後にプラットフォームおよびオペレーティング・システム・ソフトウェアの新しいバージョンが動作保証されている場合があるため、My Oracle SupportのWebサイトの動作保証マトリックスで、動作保証済のハードウェア・プラットフォームおよびオペレーティング・システムのバージョンの最新リストを参照してください。このWebサイトでは、互換性のあるクライアントおよびデータベースのバージョン、パッチおよび不具合の回避策の情報も提供しています。My Oracle SupportのWebサイトには、次からアクセスできます。

https://support.oracle.com/

My Oracle Supportを使用するには、オンライン登録する必要があります。ログイン後、メニュー・オプションから「動作保証」タブを選択します。「動作保証」ページで、「動作保証検索」オプションを使用して、製品リリースおよびプラットフォーム別で検索します。製品デリバリライフタイム・サポートなどの、「動作保証クイック・リンク」のオプションを使用して検索することもできます。

2.3.3.1 Oracle SQL Developer用のサード・パーティ・データベースの動作保証

Oracle SQL Developerを使用して、複数のOracle以外のデータベースのメタデータおよびデータを表示できます。詳細は、『Oracle SQL Developerインストレーション・ガイド』のSQL Developer (Oracleおよびサード・パーティ)用のデータベースの動作保証に関する項を参照してください。

2.3.4 複数のOracleホームのサポート

Oracle Databaseでは複数のOracleホームがサポートされます。このリリース以前のソフトウェアを、同じシステムの異なるOracleホーム・ディレクトリに複数回インストールできます。これによって、データベース・ソフトウェアを柔軟にデプロイおよびメンテナンスできます。たとえば、同一システムでバージョンの異なるデータベースを同時に実行したり、他の実行中のデータベースに影響を及ぼさずにシステムの特定のデータベース・インスタンスをアップグレードすることができます。ただし、1つのシステムに複数のOracleホームをインストールしている場合は、Oracleホームを共存させるため、この複雑性の考慮が必要になることがあります。


関連項目:

  • 『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイドfor Microsoft Windows』

  • 複数のOracleホーム環境での問題の詳細は、My Oracle SupportのNote 460054.1を参照してください。


2.3.4.1 Oracleがインストールされているシステムへのソフトウェアのインストール

この製品は、新規のOracleホーム・ディレクトリにインストールする必要があります。Oracle Databaseのあるリリースから別のリリースのOracleホーム・ディレクトリには、製品をインストールできません。たとえば、既存のOracle9iのOracleホーム・ディレクトリにリリース12.1のソフトウェアをインストールすることはできません。

Oracle Database Clientは、Oracle Databaseと同じリリース・レベルであれば、同じOracle Databaseホームにインストールできます。たとえば、Oracle Database Client 12.1.0.1を既存のOracle Database 12.1.0.1ホームにインストールすることはできますが、Oracle Database Client 12.1.0.1を既存のOracle Database 12.1.0.2ホームにインストールすることはできません。クライアントのインストール前にパッチ・セットを適用した場合は、再度パッチ・セットを適用する必要があります。

このリリースは、別のOracleホーム・ディレクトリにインストールするかぎり、同じシステムに複数回インストールできます。

2.3.5 スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructure

スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureは、単一インスタンス・データベースが含まれたエンタープライズ・グリッド・アーキテクチャのインフラストラクチャを提供します。Oracle Database 12cリリース1 (12.1)は、これらのインフラストラクチャ製品を、Oracle Grid Infrastructureホームと呼ばれる1つのソフトウェア・インストールに結合します。単一インスタンス・データベースの場合、Oracle Grid InfrastructureホームにはOracle RestartおよびOracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)ソフトウェアが含まれます。

Oracle Automatic Storage ManagementまたはOracle Restartを使用する場合は、データベースのインストールおよび作成を行う前に、まず、スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールする必要があります。そうでない場合は、データベースを手動でOracle Restartに登録する必要があります。


関連項目:

スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureのインストールの詳細は、第5章「スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructure」を参照してください

2.3.6 Oracle Cluster Synchronization Services

スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructureをインストールすると、Oracle Universal Installerで、単一ノードのOracle Cluster Synchronization Services (CSS)が構成されます。

CSSサービスは、Oracle ASMインスタンスと、データベース・ファイル記憶域をOracle ASMに依存しているデータベース・インスタンスとの同期のめに必要です。CSSサービスは、Oracle ASMインスタンスまたはデータベース・インスタンスの起動時にすでに実行されている必要があるため、Oracle ASMが起動される前にOracle Restartによって自動的に起動されます。Oracleデータベースのデータベース・ファイルの記憶域にOracle ASMを使用している場合、このプロセスは実行中である必要があります。

単一インスタンスのインストールの場合、CSSがインストールおよび実行されるOracle Grid Infrastructureホームで、Oracle ASMも実行されます。


注意:

Oracle RACがインストールされているクラスタ・システムでは、CSSはOracle Clusterwareのインストール時に構成されます。Oracle Clusterwareを実行中のシステムで、Oracle RACまたはOracle Clusterwareを削除する方法の詳細は、『Oracle Real Application Clustersインストレーション・ガイド』を参照してください。

2.3.7 Oracle Universal Installerの概要

Oracle Universal InstallerはJavaベースのグラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)ツールであり、これによってOracleソフトウェアをインストールできます。Oracle Universal Installerには次の機能があります。

  • コンポーネントおよびスイートのインストール

  • グローバリゼーション・サポート

  • 分散インストールのサポート

  • レスポンス・ファイルを使用したアンアテンド・サイレント・インストール

  • インストール済コンポーネントの削除

  • 複数のOracleホームのサポート

Oracle Universal Installerでは、レスポンス・ファイルを使用してOracleソフトウェアのサイレント・インストールまたはレスポンス・ファイル・インストールを実行できます。詳細は、付録C「レスポンス・ファイルを使用したOracle Databaseのインストールおよび構成」を参照してください。

Oracle Universal Installer 12cを使用して、Oracle Database 12cのOracleホーム・ディレクトリにコンポーネントをインストールする必要があります。

Oracle Universal Installerにより、Java Runtime Environment(JRE)のOracleバージョンが自動的にインストールされます。Oracle Universal Installerおよび複数のOracleアシスタントを実行するには、このバージョンが必要です。My Oracle Supportで提供されるパッチで変更しないかぎり、JREを変更しないでください。ダウンロードするOracleパッチについては、次のサイトを参照してください。

https://support.oracle.com/

Oracle Universal Installerを実行すると、dbhome_nディレクトリが作成されます。これは、インストールしているコンポーネントを追跡します。このディレクトリの内容を変更しないでください。デフォルトでは、このディレクトリはORACLE_HOMEと同じディレクトリ・レベルにあります。

2.3.8 Oracleベース・ディレクトリ

他のOracleソフトウェアがインストールされていないコンピュータにOracle Database 12cをインストールする場合、Oracle Universal InstallerではOracleベース・ディレクトリを作成します。Oracleソフトウェアがインストール済の場合、1つ以上のOracleベース・ディレクトリが存在します。インストール済であれば、Oracle Universal InstallerではOracle Databaseをインストールするディレクトリを選択できます。

Oracle Homeホーム・ユーザーは、特定のホームに対するOracleベースを完全制御します。セキュリティ上の理由により、他のOracleホームのOracleホーム・ユーザーとして使用された異なるWindowsユーザー・アカウントでは、同一のOracleベースを共有することはできません。ただし、Oracle Databaseアップグレードをサポートするために、Oracleでは、Windows組込みアカウントとWindowsユーザー・アカウント間のOracleベースの共有をサポートします。つまり、Oracle Database 12cで以前のリリースのOracle DatabaseからOracleベースを再利用するよう選択した場合、Oracle Database 12cのOracleホームのOracleホーム・ユーザーは、以前のリリースのOracleベースを完全制御します。


関連項目:

『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイドfor Microsoft Windows』

デフォルトのWindowsインストールでは、Oracleベース・ディレクトリは次のように表示されます。

DRIVE_LETTER:\app\username

ここで、usernameは、Windows組込みアカウントを選択した場合はOracleインストール・ユーザー、それ以外の場合はOracleホーム・ユーザー(標準のWindowsユーザー・アカウント)です。


注意:

Oracleホーム・ユーザーとして使用されたWindowsユーザー・アカウントを持つOracle Database 12c以降のリリースをインストールした後は、旧リリースのデータベースをインストールしたり、同じOracleベース・ディレクトリを共有しないでください。旧リリースのOracle Databaseのインストール中に、旧リリースに対応するACLはリセットされます。そのため、Oracle Database 12c以降のサービスは、Oracleベース・ディレクトリおよびその中のファイルにアクセスできない可能性があります。


注意:

システムに他のOracleベース・ディレクトリが存在する場合にも、Oracleベース・ディレクトリを作成するように選択できます。

2.3.9 Oracleホーム・ディレクトリ

この項の内容は、次のとおりです。

2.3.9.1 Oracleホーム環境の内容

Oracleホーム・ディレクトリは、Oracleベース・ディレクトリの下に配置されます。たとえば、デフォルトのWindowsインストールでは、Oracleホーム・ディレクトリにdbhome_1を指定すると、Oracleベース・ディレクトリで次のように表示されます。

DRIVE_LETTER:\app\username\product\12.1.0\dbhome_1

ここで、usernameは、Windows組込みアカウントを選択した場合はインストール・ユーザー、それ以外の場合は指定したOracleホーム・ユーザーです。

Oracleホームは、Oracleコンポーネントが実行される環境に対応します。この環境は次のもので構成されます。

  • インストール済コンポーネント・ファイルの位置

  • インストール済コンポーネントのバイナリ・ファイルを参照するPATH変数

  • レジストリ・エントリ

  • サービス名

  • プログラム・グループ

Oracleホームにはそれ自体に関連付けられた名前もあり、これはインストーラによって自動的に割り当てられます。

2.3.9.2 複数のOracleホーム・コンポーネント

すべてのOracleコンポーネントは、同一コンピュータの複数のOracleホームにインストールできます。ただし、一部のコンポーネントでは、一度にサポートできるアクティブ・インスタンスは1つのみです。現行(最新)のインストールによって以前のものが非アクティブになります。このようなコンポーネントは次のとおりです。

  • Oracle Administration Assistant for Windows

  • Oracle Provider for OLE DB

2.3.10 Oracle Inventoryディレクトリ

サーバーにインストールされたすべてのOracleソフトウェアの中央インベントリの場所。デフォルトでは、Oracle Inventoryディレクトリの場所は、C:\Program Files\Oracle\Inventoryです。このディレクトリは、Windowsサーバーに初めてOracleソフトウェアをインストールするときに自動的に作成されます。

2.3.11 Oracle Data Guard環境へのOracle Database Vaultのインストール

Oracle Database 12cから、Oracle Database Vaultが、Oracle Databaseインストールの一部として、デフォルトでインストールされるようになりました。

Oracle Database VaultとともにOracle Data Guardを使用する場合は、『Oracle Database Vault管理者ガイド』のOracle Database VaultとOracle Data Guardの統合に関する項を参照してください。

2.3.12 Oracle Database Vaultのデフォルトの監査ポリシーおよび初期化パラメータ

Oracle Database Vaultにより、ベースラインのデータベース監査ポリシーがインストールされます。このポリシーは、Database Vaultのデータベース表に格納されるアクセス制御構成情報、Oracle Catalogに格納される情報(ロールバック・セグメントや表領域など)、システム権限の使用、およびOracle Label Security構成を網羅しています。Oracle Database Vaultをインストールすると、セキュリティ固有のデータベース初期化パラメータがデフォルト値で初期化されます。


関連項目:

『Oracle Database Vault管理者ガイド』

2.3.13 メモリー割当ての検討および自動メモリー管理

典型的なインストールの際に、Database Configuration Assistant (DBCA)を使用してデータベースを作成すると、自動メモリー管理が有効化されます。拡張インストールを選択した場合は、メモリー割当てを手動で指定することも、自動メモリー管理を有効化することも可能です。

自動メモリー管理を使用すると、Oracle Databaseインスタンスにより、メモリーが自動的に管理およびチューニングされます。自動メモリー管理により、メモリー・ターゲットを選択すると、メモリーはインスタンスによってシステム・グローバル領域(SGA)とインスタンス・プログラム・グローバル領域(PGA)の間で自動的に配分されます。メモリー要件の変化に応じて、メモリーはインスタンスによってSGAとインスタンスPGAの間で動的に再配分されます。

自動メモリー管理は、データベースのインストール中でもインストール後でも有効化できます。インストール後に自動メモリー管理を有効にする場合は、データベースを停止して再起動する必要があります。


関連項目:

『Oracle Database管理者ガイド』

2.4 Oracle Databaseのインストール方法

Oracle Databaseをインストールする際は、次のような様々な方法を選択できます。

2.4.1 対話型のインストール・タイプ

対話型の方法を使用してデータベースの作成および構成オプションを選択してOracle Databaseをインストールする場合は、Oracle Universal Installerに表示される一連の画面で、Oracle Databaseソフトウェアのインストールや、データベースの作成に必要な情報をすべて指定できます。

Oracle Universal Installerには、次のオプションがあります。

  • デスクトップ・クラス: ラップトップまたはデスクトップ・クラス・システムにインストールする場合に、このオプションを選択します。このオプションには初期データベースが含まれ、最小構成が可能です。このオプションは、データベースを短時間で設定するユーザーを対象としています。

  • サーバー・クラス: 本番データ・センターにOracleをデプロイする際に使用するようなサーバー・クラス・システムにインストールする場合に、このオプションを選択します。このオプションでは、より拡張された構成オプションを使用できます。このオプションで使用できる拡張構成オプションには、Oracle RAC、Oracle Automatic Storage Management、バックアップおよびリカバリ構成、Enterprise Manager Cloud Controlとの統合、より細かいメモリー・チューニングなどがあります。

    さらに、「サーバー・クラス」オプションには、次のインストール・タイプが用意されています。

    • 標準: Oracle Databaseを簡単にインストールするには、このインストール方法を選択します。このインストール・タイプでは、ユーザー入力が最小限で済みます。この方法では、ソフトウェアがインストールされ、画面上で指定する情報を使用することにより、汎用のデータベースがオプションで作成されます。このインストール・タイプはデフォルトです。

    • 詳細: 次のいずれかのタスクを実行する場合は、このインストール・タイプを選択します。

      • データベース・キャラクタ・セットまたは異なる製品言語の選択

      • インストール時のEXAMPLE表領域の作成

      • ソフトウェアとは異なるファイル・システムでのデータベースの作成

      • 管理スキーマに対する異なるパスワードの指定

      • リカバリ・オプションの構成

      • Oracle Configuration Managerの構成

      • 「データベース・エディションの選択」画面で、「Enterprise Edition」を選択すると、ほとんどの顧客がOracle Databaseのインストールに際して必要とするコンポーネントが自動的に選択されます。

2.4.2 レスポンス・ファイルを使用した自動インストールの方法

レスポンス・ファイルを作成し、それをOracle Universal Installerの起動時に指定することにより、Oracle Databaseのインストールの手順の一部またはすべてを自動化できます。これらの自動インストール方法は、類似構成のシステムに複数インストールを実行する必要がある場合に便利です。

レスポンス・ファイルを使用すると、必要な情報をすべて指定したかどうかによって、次のいずれかのモードでOracle Universal Installerを実行できます。

  • サイレント・モード: 必要な情報をすべて指定したレスポンス・ファイルを使用し、Oracle Universal Installerの起動時に-silentオプションを指定すると、Oracle Universal Installerはサイレント・モードで実行されます。Oracle Universal Installerの画面は表示されません。

  • レスポンス・ファイル・モード: レスポンス・ファイルに必要な情報を一部指定しない場合、Oracle Universal Installerはレスポンス・ファイル・モードで実行されます。

これらのモード、およびレスポンス・ファイルを使用したインストールの実行方法の詳細は、付録Cを参照してください。

2.5 Oracle Databaseのエディション

Oracle Database 12cのインストール時には、次のインストール・タイプから1つ選択できます。

  • Enterprise Edition: 「Standard Edition」を選択した場合にインストールされる全製品に加えて、ライセンス供与可能なOracle Databaseオプションとデータベース構成および管理ツールがインストールされます。また、データ・ウェアハウスおよびトランザクション処理で普及している製品もインストールされます。このオプションを使用すると、コンポーネント・リストのコンポーネントを個別に有効または無効にすることもできます。

  • Standard Edition: このインストール・タイプは、部門またはワークグループ・レベルのアプリケーションおよび中小企業(SME)向けのオプションです。コア・リレーショナル・データベース管理サービスおよびオプションを提供するように設計されています。管理ツール、完全分散、レプリケーション、Web機能およびビジネス集中型アプリケーション構築機能の統合セットがインストールされます。

  • Standard Edition One: このインストール・タイプは、部門またはワークグループ・レベルのアプリケーション、Webアプリケーション向けのオプションです。中小企業の単一インスタンス環境から、多くの部門に分散されている環境まで、Oracle Database Standard Edition Oneには、ビジネス集中型アプリケーションの構築に必要なすべての機能が備わっています。

  • Standard Edition 2: このインストール・タイプは、部門またはワークグループ・レベルのアプリケーションおよびSME向けのオプションです。コア・リレーショナル・データベース管理サービスおよびオプションを提供するように設計されています。管理ツール、完全分散、レプリケーション、Web機能およびビジネス集中型アプリケーション構築機能の統合セットがインストールされます。

  • Personal Edition: 「Enterprise Edition」インストール・タイプと同じソフトウェアをインストールしますが、Enterprise EditionおよびStandard Editionと完全互換が要求される単一のユーザー開発およびデプロイメント環境のみがサポートされます。Oracle RACは「Personal Edition」ではインストールされません。


関連項目:

  • Oracle Database Clientを別にインストールする必要があります。Oracle Databaseインストール時にインストールすることはできません。インストール手順は、Oracle Database Clientのインストレーション・ガイドを参照してください。

  • 各Oracle Databaseエディションで使用可能な機能の詳細とライセンスの情報は、『Oracle Databaseライセンス情報』を参照してください。



注意:

  • インストール・プロセスはすべてのデータベース・エディションで同じです。

  • 必ず有効なライセンスがある製品のみをインストールしてください。


2.6 データベース・セキュリティ通知オプション

オラクル社は、次のクリティカル・パッチ・アップデートのディストリビューションまで待てないほど重大であると判断された脆弱性を修正するために、必要に応じてセキュリティ・アラートを発行します。

データベースのインストール中、Oracle Universal Installerにより、「セキュリティ・アップデートの構成」画面で、セキュリティの連絡先を指定するよう要求されます。次のいずれかのオプションを選択します。

  • インストールのセキュリティ情報を受信する電子メール・アドレスを指定します。

  • インストールのセキュリティ情報を受信し、セキュリティ・アップデートに関してシステムを登録するMy Oracle Supportの電子メール・アドレスまたはアカウント名を指定します。My Oracle Supportを介して、アラートに関する情報を受信できます。

この情報は指定しないこともできますが、セキュリティ通知の連絡先を構成することをお薦めします。

セキュリティ・アップデートで収集される情報は、構成情報にかぎられます。収集されるデータに個人情報は含まれません(送信上の問題に備えたローカルの連絡先名は除きます)。セキュリティ・アップデートの有効化を却下した場合でも、ライセンスされたすべてのOracle機能を使用できます。セキュリティ通知を受信しないようにするには、「セキュリティ・アップデートの構成」画面のすべてのフィールドを空白のままにし、「次へ」をクリックして続行します。

My Oracle Supportの資格証明を指定すると、インストールされたOracle製品に関する構成情報が、セキュリティ・アップデートによって自動的に収集され、Oracleのサポート・システムにアップロードされます。収集された情報にはMy Oracle Supportアカウントを使用してアクセスし、セキュリティ・アラートに加え、ヘルス・チェック、パッチおよびその他の推奨事項を確認できます。


関連項目:

「Oracleセキュリティ・ポリシー」ページには、次のURLからアクセスできます。

http://www.oracle.com/us/support/assurance/fixing-policies/index.html


2.7 データベース構成オプション

インストール・プロセス中にOracleデータベースを作成できます。Oracleデータベースの作成を選択すると、Oracle Universal InstallerではOracle Database Configuration Assistantを使用してOracleデータベースを作成します。様々な異なるアプリケーション用に設計されている事前構成済データベース・タイプの1つを作成するか、事前構成済データベース・タイプの1つを変更するか、または自分の要件に適したカスタマイズ・データベースを作成できます。

この項では、次のデータベース構成オプションについて説明します。

2.7.1 事前構成済データベース・タイプ

Oracleでは、インストール時に作成またはカスタマイズできる次の事前構成済データベース・タイプを提供しています。

  • 汎用目的、トランザクション処理

  • データ・ウェアハウス

これらの事前構成済データベース・タイプの説明は、Oracle Universal InstallerまたはOracle Database Configuration Assistantのオンライン・ヘルプを参照してください。

2.7.2 データベースの作成に影響するインストールの選択

Oracle Universal Installerは、インストール時の選択により、次の2通りのモードでOracle Database Configuration Assistantを実行します。

  • 非対話モード

    Oracle Databaseのインストールで、事前構成済Oracle Universal Installerデータベース・タイプの作成を選択すると、選択したタイプのデータベースの作成に必要な最低限の情報がプロンプトで表示されます。この場合、ソフトウェアのインストール後に、Oracle Database Configuration Assistantがサイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードで実行され、データベースが作成されます。


    注意:

    以前にデータベースを作成していない場合、この方法を使用してデータベースを作成することをお薦めします。

  • 対話モード

    Oracle Universal Installerを使用してデータベースをインストールし、OracleホームからOracle Database Configuration Assistantを起動します。Oracle Database Configuration Assistantは対話モードで実行されます。Oracle Database Configuration Assistantの画面を使用すると、事前構成済データベース・タイプのうち1つを変更するか、データベースをカスタマイズできます。


    注意:

    この方法を選択してデータベースを作成する場合、Oracle Database Configuration Assistantの各画面で指定の必要な情報の説明を表示するには、その画面にある「ヘルプ」ボタンをクリックしてください。

2.7.3 インストール後のデータベースの作成

インストール時にデータベースを作成しない場合は、Oracle Database Configuration Assistantを使用してソフトウェアのインストール後にデータベースを1つ作成できます。


関連項目:

『Oracle Database 2日でデータベース管理者』

2.7.3.1 Direct NFSでのOracle Databaseの作成

この項では、記憶域用としてDirect NFS (dNFS)を使用するOracle Databaseをインストールおよび作成する方法について説明します。データベース・ファイルシステムに対してdNFSを使用するために実行する必要がある様々な構成プロセスがあります。手順を次に示します。

  1. Oracle Databaseのソフトウェアのみのインストールを実行します。

    ソフトウェアのみのインストールでは、Oracle Databaseソフトウェアをインストールしますが、インストール・プロセスの一環としてデータベースは作成しません。「Oracle Databaseソフトウェアのインストール」を参照してください。「インストール・オプションの選択」画面の「データベース・ソフトウェアのみインストール」オプションを選択してデータベース・ソフトウェアのみをインストールできます。

  2. Oracle Database Configuration Assistantを使用して、データベースを作成および構成します。

    『Oracle Database 2日でデータベース管理者』のDBCAを使用したデータベースの作成に関する項に記載されている手順1から12までに従います。

    前提条件チェックが完了した後、「サマリー」画面で、インストール・ウィンドウを最小化します。この時点で「終了」はクリックしないでください。

  3. 「Direct NFSクライアントの有効化」で説明されているように、Direct NFSオプションを有効にします。

  4. DBCAウィンドウに戻り、「終了」をクリックします。

  5. データベース・ファイルの場所を表すDRIVE_LETTER:\をNFSサーバーのCIFS共有にマップします。

    NET USE * \\filer\vol0\orcl
    

    この手順を完了した後、OracleとWindowsオペレーティング・システムの両方が、データベース・ファイルが存在する場所にアクセスできるようになります。OracleはDNFSを使用していますが、Windows OSはCIFSを使用してNFSサーバー上の同じ場所にアクセスします。

  6. データベースに対してDirect NFSが構成されていることを確認します。

    1. SQL*Plusを起動します。

    2. 新しく作成したデータベースにDBAユーザーとして接続します。

    3. 次のSQLコマンドを実行します。

      SELECT * FROM v$dnfs_servers; 
      

2.8 データベース記憶域オプション

インストール時にデータベースを作成するように選択した場合は、データベース・ファイルについて次の記憶域オプションを指定できます。


注意:

インストールの際、RAWデバイスにファイルをインストールするオプションは使用できません。ファイル・システムまたはOracle Automatic Storage Managementを使用する必要があります。

2.8.1 ファイル・システム

ファイル・システム・オプションを選択すると、Oracle Database Configuration Assistantにより、コンピュータ上のファイル・システムのディレクトリにデータベース・ファイルが作成されます。オペレーティング・システムまたはOracleソフトウェアで使用されるファイル・システムとは異なるファイル・システムを選択することをお薦めします。次のいずれかのファイル・システムを選択できます。

  • システムに物理的に接続されているディスク上のファイル・システム

    論理ボリュームまたはRAIDデバイス以外の基本ディスクにデータベースを作成する場合は、Optimal Flexible Architecture(OFA)推奨事項に従い、データベース・ファイルを複数のディスクに分散させてください。

  • 論理ボリューム管理(LVM)またはRedundant Array of Independent Disks (RAID)デバイス上のファイル・システム

    LVMまたはRAID構成で複数のディスクを使用している場合は、Stripe-And-Mirror-Everything(SAME)方法論を使用してパフォーマンスと信頼性を高めることをお薦めします。この方法論を使用すると、データベース記憶域用に複数のファイル・システムのマウント・ポイントを指定する必要がなくなります。

  • 動作保証されているネットワーク接続ストレージ(NAS)デバイスからマウントされたネットワーク・ファイル・システム(NFS)。Direct NFSクライアント機能の使用を選択することもでき、この機能を使用すると、NFS構成の管理が簡素化され、パフォーマンスも向上します。


    関連項目:

    Direct NFSクライアント機能の詳細は、「Direct NFSクライアントの構成」を参照してください。

    オラクル社によってNASデバイスが動作保証されている場合、これらにデータベース・ファイルを格納できます。

「詳細」データベース作成オプションを選択すると、新規データベースでOracle Managed Filesの機能を使用するように選択することもできます。この機能を使用すると、データベース・ファイルを作成または削除するときに、ファイル名ではなく、データベース・オブジェクト名を指定すれば実行できます。


関連項目:

『Oracle Database管理者ガイド』

2.8.2 Oracle Automatic Storage Management

Oracle Automatic Storage Managementは、高パフォーマンスのストレージ管理ソリューションです。Oracle Databaseファイルでは、データベースの作成やレイアウトおよびディスク領域の管理など、動的なデータベース環境の管理作業を簡素化します。

Oracle Automatic Storage Managementは、単一データベース・インストール環境、複数データベース・インストール環境、およびOracle RAC環境で使用できます。また、Oracle Database 10gリリース1(10.1.0.3以上)で作成されたデータベースで使用できます。ただし、Oracle Database 12cでは、Oracle Database 12c以降のOracle Automatic Storage Managementを使用する必要があります。Oracle Automatic Storage Managementは、Oracle Grid Infrastructureのインストールの一部としてインストールされます。Oracle Automatic Storage Managementを使用する場合は、データベースのインストールおよび作成を行う前に、Oracle Grid Infrastructureをインストールする必要があります。Oracle Automatic Storage Managementの既存のインストールをアップグレードするには、Oracle Grid Infrastructureのアップグレードを実行してOracle Automatic Storage Managementをアップグレードする必要があります。


関連項目:

Oracle Grid Infrastructureソフトウェアのインストールの詳細は、第5章「スタンドアロン・サーバー用のOracle Grid Infrastructure」を参照してください

Oracle Automatic Storage Managementでは、REDOログ、制御ファイル、データ・ポンプ・エクスポート・ファイルなど、すべてのデータベース・ファイルの記憶域が管理されます。Oracle Automatic Storage Managementでは、Oracle Automatic Storage Management Cluster File Systemを使用してファイル・システムを作成することで、Oracle Database実行可能バイナリ・ファイルおよび他のデータベース・ファイルを管理できます。Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイルシステムがクラスタ対応でも、単一のインスタンス・データベースでファイル・システムとして機能します。

Oracle Automatic Storage Managementを使用するため、ストライプ化およびミラー化を考慮して、パーティション化したディスクをOracleに割り当てます。Oracle Automatic Storage Managementでディスク領域が管理されるため、論理ボリューム・マネージャ(LVM)のような従来のディスク管理ツール、ファイル・システムおよび両者の管理に必要となる数多くのコマンドが不要になります。Oracle Automatic Storage Managementとデータベース・インスタンスとの同期化は、Oracle Cluster Synchronization Services(CSS)により処理されます。


関連項目:

『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』

2.8.2.1 Oracle Automatic Storage Managementのコンポーネント

Oracle Automatic Storage Managementでは次のコンポーネントを使用します。

Oracle Automatic Storage Managementディスク・グループ

ディスク・グループとは、Oracle Automatic Storage Managementにより1つのユニットとして管理されるディスク・デバイスの集合です。各ディスク・デバイスには、個別の物理ディスク、RAIDストレージ・アレイや論理ボリュームなどの複数のディスク・デバイス、または物理ディスク上のパーティションを使用できます。ただし、ほとんどの場合、ディスク・グループは1つ以上の個別物理ディスクで構成されます。Oracle Automatic Storage Managementでディスク・グループ内のI/Oと記憶域のバランスを適切に調整できるように、ディスク・グループ内のすべてのデバイスの記憶容量とパフォーマンスが、完全に同じでなくとも類似していることを確認する必要があります。

Oracle Automatic Storage Managementディスク・グループ・テンプレートを使用すると、ディスク・グループ内の個別ファイル・タイプの冗長性属性およびストライプ化属性を設定できます。ディスク・グループを作成すると、Oracle Automatic Storage Managementにより、そのディスク・グループ用に一連のデフォルト・テンプレートが作成されます。デフォルトのテンプレート設定は、ディスク・グループのタイプに応じて異なります。たとえば、標準の冗長性のディスク・グループの場合、制御ファイルのデフォルト・テンプレートは3方向ミラー化に設定されます。その他すべてのファイルは、標準冗長性の場合は双方向ミラー化に設定され、高冗長性の構成時には3方向ミラー化に設定されます。高冗長性ディスク・グループの場合、デフォルトのミラー化を変更できません。つまり、高冗長性ディスク・グループでは、すべてのファイルが常に3方向でミラー化されます。デフォルト・テンプレートは、サイト固有の要件に合せて変更できます。詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。

Oracle Automatic Storage Managementはディスク・グループのデバイスすべてにデータを均等に分散させて、パフォーマンスと使用率を最適化します。データベースを停止せずに、ディスク・グループにディスク・デバイスを追加または削除できます。ディスクを追加または削除すると、Oracle Automatic Storage Managementによりディスク・グループ内の各データファイルのバランスが再調整されます。複数のディスク・グループを作成し、日常のファイル格納アクティビティに加えて、バックアップおよびリカバリ操作のような特定のタスクを処理できます。

ディスク・グループにデバイスを追加するときに、そのデバイスの障害グループを指定できます。障害グループにより、同じコントローラに接続されているデバイスなど、共通の障害特性を持つディスク・デバイスが識別されます。コントローラに障害が発生すると、そこに接続されているデバイスがすべて使用不可能になります。デフォルトでは、各デバイスはそれぞれの障害グループにも属しています。Oracle Automatic Storage Managementでは、指定の障害グループを使用してデータをディスク・グループ内のデバイス間に分散し、コンポーネント障害によるデータ消失の危険性を最小限に抑えることができます。

Oracle Automatic Storage Managementインスタンス

Oracle Automatic Storage Managementインスタンスは、Oracle Automatic Storage Managementディスク・グループを管理する特殊なOracleインスタンスです。Oracle Grid Infrastructureをインストールすると、必要に応じて、Oracle ASMインスタンスおよびASMSNMPアカウントが作成され起動されます。Oracle Enterprise Managerでは、このアカウントを使用してOracle ASMインスタンスが監視され、Oracle ASM関連のデータ・ディクショナリ・ビューからデータが取得されます。ASMSNMPアカウントは、作成時にステータスがOPENに設定され、SYSDBA権限が付与されます。

Oracle ASMインスタンスは、ホストで実行されているデータベース・インスタンス数に関係なく各ホストに1つのみです。


関連項目:


2.9 データベース管理オプション

データベース管理を容易にするために、OracleではOracle Enterprise Managerと呼ばれるWebベースの管理ツールが提供されています。

  • Oracle Enterprise Managerを環境の中心にデプロイ。

    Oracle Enterprise Managerを中心にデプロイするには、1つ以上のOracle Management Repositoryと1つ以上のOracle Management Serviceを環境にインストールした後、各コンピュータにOracle Enterprise Management Agentをインストールする必要があります。その後、単一のHTMLインタフェースを使用して、それらの全システムのソフトウェア・ターゲットおよびハードウェア・ターゲットを管理および監視できます。ターゲットには、Oracleデータベース、アプリケーション・サーバー、Netリスナーおよびサード・パーティのソフトウェアを含めることができます。この単一のインタフェースは、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlと呼ばれています。


    注意:



    関連項目:

    『Oracle Enterprise Manager Cloud Control基本インストレーション・ガイド』

  • Oracle Enterprise Manager Database Expressをデータベース・システム上にローカルにデプロイ

    Oracle Enterprise Manager Database Express 12cは、Oracle Databaseに組み込まれたWebベースの管理ツールで、特別なインストールや管理は必要ありません。

    Oracle Enterprise Manager Database Expressで管理できるのは、単一データベースのみです。システムで複数のデータベースを管理する場合は、各データベースにOracle Enterprise Manager Database Expressを個別に構成するか、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlをインストールする必要があります。

この章の内容は次のとおりです。

2.9.1 事前構成済データベースの管理オプション

インストール時に事前構成済データベースを作成する場合は、データベースを管理するためのOracle Enterprise Managerインタフェースを選択する必要があります。次のオプションを使用できます。

  • 中央データベース管理にOracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用

    このオプションは、Oracle Management Agentがシステム上にインストールされている場合にのみ使用できます。Oracle Universal Installer (OUI)により、システム上でOracle Management Agentが検出された場合は、このオプションを選択して、データベースの管理に使用するOracle Management Serviceを指定できます。

    Oracle Management Agentがインストールされていない場合は、Oracle Enterprise Manager Database Expressを使用してデータベースを管理する必要があります。ただし、Oracle Databaseの後にOracle Management Agentをインストールした場合は、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用してそのデータベースを管理できます。

  • ローカル・データベース管理にOracle Enterprise Manager Database Expressを使用

    Oracle Enterprise Manager Database ExpressはOracle Databaseに組み込まれており、特別なインストールや管理は必要ありません。Oracle Enterprise Manager Database Expressはデータベースのインストール時にデフォルトで有効で構成済であり、Oracle Universal Installerでデータベースのインストール時にオプションとしては表示されません。

2.9.2 カスタム・データベースの管理オプション

Oracle Universal Installerを使用してデータベースをインストールし、OracleホームからOracle Database Configuration Assistantを起動します。Oracle Database Configuration Assistantは対話モードで実行されます。Oracle Database Configuration Assistantの画面では、データベースを管理するOracle Enterprise Managerインタフェースを指定できます。または、Enterprise Managerを使用してデータベースを構成しないことを選択できます。

データベースのインストール時にOracle Enterprise Managerを使用するようにデータベースを構成することをお薦めします。ただし、これを実行しない場合、EM Expressの構成については『Oracle Database 2日でデータベース管理者』、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用したターゲット検出の詳細は『Oracle Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイド』を参照してください。

2.9.3 Oracle Enterprise Manager Database Express 12cで使用できる機能

Oracle Enterprise Manager Database Expressでは、Oracleデータベースの監視、管理および保守に使用できるWebベースのユーザー・インタフェースが提供されます。

Oracle Enterprise Manager Database Expressは、次に示すような、基本的なデータベース管理タスクの実行に使用できます。

  • 構成および管理

    • 初期化パラメータ

    • メモリー管理

    • データベース機能の使用

    • データベース・プロパティ

  • 記憶域

    • 表領域管理

    • UNDO管理

    • REDOログ・グループ

    • アーカイブ・ログ

    • 制御ファイル

  • セキュリティ

    • ユーザー管理

    • ロール管理

    • プロファイル管理

Oracle Enterprise Manager Database Expressは、次に示すような、パフォーマンス監視およびチューニング・タスクの実行にも使用できます。

  • パフォーマンス・ハブ

    • リアルタイムSQL監視

    • ASH (アクティブ・セッション履歴)分析

    • ADDM(自動データベース診断モニター)

    • AWR (自動ワークロード・リポジトリ)ブラウザ

    • 履歴パフォーマンス監視およびチューニング

  • SQLチューニング・アドバイザ

2.10 データベース・バックアップおよびリカバリ・オプション

バックアップおよびリカバリ・ファイルの管理を簡略化するには、データベースの高速リカバリ領域を作成します。データベースのインストール時に、Oracle Universal Installerで高速リカバリ領域の場所を構成するオプションが示されます。ただし、バックアップを構成し、バックアップおよびリカバリ戦略を実装するには、Recovery Manager (RMAN)またはOracle Enterprise Manager Cloud Controlのどちらかを使用する必要があります。


関連項目:

  • 『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』

  • 『Oracle Database 2日でデータベース管理者』


2.10.1 リカバリの構成

データベースのインストール時に高速リカバリ領域の場所を指定できます。

高速リカバリ領域には、ファイル・システム・ディレクトリまたはOracle Automatic Storage Managementディスク・グループのいずれかを使用できます。高速リカバリ領域に構成されるデフォルトのディスク割当て制限は、2GBです。Oracle Automatic Storage Managementディスク・グループでは、必要なディスク領域は選択するディスク・グループの冗長性レベルにより決定します。高速リカバリ領域の場所を選択する方法およびそのディスク領域要件の詳細は、第3章を参照してください。

2.11 アップグレードの考慮事項

以前のリリースのOracle DatabaseからOracle Database 12cへのアップグレードの詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。次の各項では、既存のデータベースをアップグレードする前に確認する必要があるプラットフォーム固有のその他のアップグレード情報について説明します。

2.11.1 データベースのアップグレード前のオペレーティング・システムのアップグレード

新しいリリースのOracle Databaseにアップグレードする場合、オペレーティング・システム要件が変更されている可能性があります。必要に応じて、Oracle Databaseをアップグレードする前にオペレーティング・システムをアップグレードします。サポートされているオペレーティング・システムの一覧は、第3章「Oracle Databaseのインストール前の作業」を参照してください。

オペレーティング・システムをアップグレード、およびデータベースのアップグレードを実行するには、次のいずれかの手順を実行します。

2.11.1.1 オペレーティング・システムのアップグレード

オペレーティング・システムをアップグレードします。次に、手動またはOracle Database Upgrade Assistantでデータベースをアップグレードします。

2.11.1.2 新しいコンピュータへの移行

次のいずれかの方法を使用して、新しいコンピュータに移行します。

  • 新しいコンピュータでデータベースをアップグレードするには、次のようにします。

    1. 前のオペレーティング・システムを実行しているコンピュータから、サポートされているオペレーティング・システムを実行しているコンピュータに、データベース・ファイルをコピーします。

    2. サポートされているオペレーティング・システムを実行しているコンピュータに制御ファイルを再作成します。

    3. 『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』に説明されている方法を使用して、データベースを手動でアップグレードします。


    注意:

    この方法では、Oracle Database Upgrade Assistantは使用できません。ただし、前のデータベースに戻す処理は容易になります。

  • また、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』に説明されている、エクスポート/インポート・ユーティリティの方法を使用して、データベースをアップグレードすることも可能です。


    関連項目:

    『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』

2.11.2 Oracle Automatic Storage Managementのアップグレード

Oracle Database 11gリリース2 (11.2)よりも前のリリースでは、Oracle ASMはOracle Databaseインストールの一部としてインストールされていました。Oracle Database 11gリリース2 (11.2)以上のリリースでは、Oracle ASMはOracle Grid Infrastructureのインストールに含まれます(クラスタとスタンドアロン・サーバーのどちらの場合も)。

既存のOracle ASMインストールをアップグレードする場合は、Oracle Grid Infrastructureのアップグレードを実行してOracle ASMをアップグレードする必要があります。Oracle ASMがインストールされていない場合、Oracle ASMを記憶域オプションとして使用するには、Oracle Databaseのインストールを開始する前に、Oracle Grid Infrastructureのインストールを完了してください。


関連項目:

  • 『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』

  • 『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』


2.12 移行の考慮事項

既存の32ビットWindows用のOracle Database 11gは、64ビットWindow用のOracle Database 12cに移行できます。移行の詳細は、『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイド for Microsoft Windows』のOracle Database 11gリリース2 (11.2)以前のデータベースの移行に関する項を参照してください。

Oracle Database Upgrade Assistantには、異なるリリース12.1 Oracleホームからデータベースを移動するオプションがあり、これにより、Windows組込みアカウントで保護されたホームからWindowsユーザー・アカウントで保護されたホームにデータベースを移動できます。『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』の既存の12c Oracleホームから新しい12c Oracleホームへのデータベースの移動に関する項を参照してください。


関連項目:

『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイドfor Microsoft Windows』