ネットワーク上でのルーターの計画

TCP/IP では、ネットワークに 2 種類のエンティティーがあります。つまりホストとルーターです。ホストはすべてのネットワークに必要ですが、ルーターはすべてのネットワークに必要なわけではありません。ネットワークの物理的なトポロジによってルーターを使用する必要があるかどうかが決まります。次のネットワークトポロジとルーティングの概念は、既存のネットワーク環境に別のネットワークを追加するかどうかを決定する場合に重要になります。

IPv4 および IPv6 ネットワークでのルーター構成における詳細とタスクについては、ルーターまたはロードバランサとしての Oracle Solaris 11.3 システムの構成 の 第 2 章, ルーターとしてのシステムの構成を参照してください。

ルーターがどのようにパケットを転送するか

ルーターは次のようにしてパケットを転送します。

• IP ネットワーク上のすべてのノードはルーティングテーブル内にルーティング情報を保持しています。これらのテーブルには、ローカルネットワークとリモートネットワークの両方に接続されているシステムに到達する方法に関する情報が含まれています。ルーティングテーブルは、ローカルの構成情報および隣接するシステムと交換されるルーティングプロトコルメッセージから生成されます。

• システムは最初にパケットを送信するとき、ルーティングテーブル内のパケットの宛先アドレスを参照して、その宛先がローカルネットワーク上に存在するかどうかを決定します。ローカルネットワーク上に存在する場合、パケットは、その IP アドレスを持つホストに直接送信されます。ローカルネットワーク上に存在しない場合、パケットは、ローカルネットワーク上のルーターに送信されます。

• ルーターは、パケットを受信すると、ルーティングテーブルをチェックして、その宛先アドレスが自身に接続されているいずれかのネットワーク上のシステムに対するものか、またはそのメッセージを別のルーター経由で転送する必要があるを判定します。次に、メッセージを宛先までのパス上にある次のシステムに送信します。

• このプロセスは、メッセージが宛先システムに到達するまで、メッセージを受信する各ルーターで繰り返されます。

ルーターまたはロードバランサとしての Oracle Solaris 11.3 システムの構成 の 第 2 章, ルーターとしてのシステムの構成を参照してください。

次の図は、2 つのルーターにより接続された 3 つのネットワークのネットワークトポロジを示します。

図 4  3 つの相互接続ネットワークを持つネットワークトポロジ

ルーター R1 は、ネットワーク 192.9.200.0/24 とネットワーク 192.9.201.0/24 を接続しています。ルーター R2 は、ネットワーク 192.9.201.0/24 とネットワーク 192.9.202.0/24 を接続しています。

ネットワーク 192.9.200.0/24 のホスト A がネットワーク 192.9.202 のホスト B にメッセージを送る場合、次のイベントが発生します。

1. ホスト A は自分のルーティングテーブルを調べて、192.9.202.10 へのパスが存在するかどうかチェックします。ローカルネットワークアドレスの範囲にこのアドレスは含まれませんが、ルーター R1 経由で以前に学習したデフォルト経路にこのアドレスが含まれています。したがって、ホスト A はルーター R1 にパケットを送信します。

2. ルーター R1 は自己のルーティングテーブルを調べます。ローカルネットワークアドレスの範囲にこの宛先アドレスは含まれませんが、ルーター R2 経由のネットワーク 192.9.202.0/24 への既知の経路にはこのアドレスが含まれているため、ルーター R1 はルーター R2 にパケットを送信します。

3. ルーター R2 はネットワーク 192.9.202.0/24 に直接接続されています。ルーティングテーブルを検索すると、接続されているネットワーク上に 192.9.202.10 が存在することが判明します。ルーター R2 は、ホスト B に直接パケットを送信します。