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Oracle® Solaris 11.3 でのネットワーク配備の計画

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更新: 2016 年 11 月
 
 

ネットワークの IP アドレス指定形式の決定

    ネットワークのアドレス指定スキームを計画するときには、次の要因を考慮してください。

  • 使用する IP アドレスの種類 (IPv4 または IPv6)

  • ネットワーク上の潜在的なシステムの数

  • それぞれ個別の IP アドレスを持つ複数のネットワークインタフェースカード (NIC) を必要とする、マルチホームシステムまたはルーターの数

  • ネットワークでプライベートアドレスを使用するかどうか

  • IP アドレスのプールを管理する DHCP サーバーを使用するかどうか

IPv4 アドレス

IPv4 は、TCP/IP ネットワークで使用される元のアドレス形式です。IPv4 のアドレス長は 32 ビットです。IPv4 アドレスは当初、16777216 個 (クラス A)、65536 個 (クラス B)、256 個 (クラス C) の連続するアドレスのブロックとして、さまざまな組織に割り当てられました。アドレスブロックを要求した各組織は、固定のアドレス接頭辞と暗黙の接頭辞マスク (どちらも 10 進ドット表記で指定) を受け取ります。たとえば、Internet Assigned Numbers Authority (IANA) は、クラス A アドレスブロック 156.0.0.0 とネットマスク 255.0.0.0 を American Registry for Internet Numbers (ARIN) に割り当てました。先頭バイトが 156 のすべてのアドレスが、このアドレスブロックに含まれます。ARIN は、自分のクラス A ブロックからクラス B アドレスブロック 156.151.0.0 ネットマスク 255.255.0.0 を Sun Microsystems (現在の Oracle) に分割して割り当てました。

そのあと、Internet Engineering Task Force (IETF) は、IPv4 アドレスの不足や、グローバルインターネットルーティングテーブルの制限された容量に対する臨時的な対応策として Classless Inter-Domain Routing (CIDR) アドレスを開発しました。CIDR では、組織の要件にもっとも適合する任意のビット境界で、アドレス割り当てが分割されます。アドレスブロックは、小数点付き 10 進数 IPv4 アドレスと、それに続くスラッシュおよびアドレスの接頭辞の長さ (ビット単位) として指定されます。

次の表に、サブネット長指定の例 (CIDR 表記と 10 進ドット形式の両方)、および各接頭辞長を持つネットワークに収容可能なホストの合計台数を示します。

表 1  CIDR 接頭辞と 10 進数での表現
CIDR ネットワーク接頭辞長
対応する 10 進ドットサブネットマスク
割り当て可能な IP アドレス
/19
255.255.224.0
8,192
/20
255.255.240.0
4,096
/21
255.255.248.0
2,048
/22
255.255.252.0
1,024
/23
255.255.254.0
512
/24
255.255.255.0
256
/25
255.255.255.128
128
/26
255.255.255.192
64
/27
255.255.255.224
32

プライベートアドレス

IANA は、プライベートである IPv4 アドレスのブロックを予約しています。これらのアドレスは、プライベートネットワーク内のネットワークトラフィックに使用されます。インターネットサービスプロバイダ (ISP) に IPv4 アドレスのブロックを要求する組織が、そのネットワーク上のシステムごとに一意のアドレスを確保できるだけの十分な割り当てが得られる見込みはほとんどありません。組織は通常、内部ネットワーク上のシステムにプライベートアドレスを割り当てます。各システムは、ネットワークアドレス変換 (NAT) とアプリケーションプロキシサーバーを使用してインターネット上のほかのサイトと通信することによって、ISP から提供された限られたアドレスを実質的に共有できます。

次の表に、プライベート IPv4 アドレスの範囲と、各範囲に対応するネットマスクの一覧を示します。

ネットワーク接頭辞/ネットワーク長
IPv4 アドレス範囲
10.0.0.0/8
10.0.0.0 - 10.255.255.255
172.16.0.0/125
172.16.0.0 - 172.31.255.25
192.168.0.0/16
192.168.0.0 - 192.168.255.255

DHCP アドレス

動的ホスト構成プロトコル (DHCP) プロトコルを使用すると、システムは、ブートプロセスの一部として DHCP サーバーから IP アドレスを含む構成情報を受信できます。DHCP サーバーは IP アドレスのプールを保持しており、その中から DHCP クライアントにアドレスを割り当てます。DHCP を使用するサイトでは、クライアントが継続的に接続されることはないものとして、すべてのクライアントに永続的な IP アドレスを割り当てた場合に必要となる IP アドレス数よりも少ない数の IP アドレスのプールを使用します。この場合、クライアント間でアドレスを共有することによって、必要な IP アドレスの総数を減らすことができます。しかし、各クライアントが十分な頻度で IP アドレスの取得と返却を繰り返さないと、最終的には、クライアントと同数の IP アドレスが必要になります。DHCP アドレスを使用することのより全般的な利点は、DHCP サーバーで構成の詳細を設定できるので、個々のホストの構成作業が軽減される点です。これにより、ホストに必要な手動構成は最小限、またはまったく不必要になります。サイトの IP アドレス全体、またはその一部を管理するように DHCP サービスを設定できます。詳細は、Oracle Solaris 11.3 での DHCP の作業を参照してください。

IPv6 アドレス

128 ビットの IPv6 アドレスは、IPv4 で使用可能なアドレス空間よりも広大なアドレス空間を提供します。IPv6 アドレスは、4 桁の 16 進数のグループを 8 個、コロンで区切ったものとして表現されます。各グループの先頭のゼロは非表示にできます。次の例に示すように、すべてゼロのグループが 1 つ以上連続する場合は、二重コロンで置換できます。

2001:db8:2f32:27:214:4fff:fe4a:9926

CIDR 形式の IPv4 アドレスと同様、IPv6 アドレスはクラスレスであり、サイトのネットワークを定義するアドレスの一部を指定するのに接頭辞を使用します (次の例を参照)。

2001:db8:2f32::/48

IPv6 アドレス指定の詳細については、IP Version 6 Addressing Architecture (http://tools.ietf.org/html/rfc4291) を参照してください。

ドキュメント接頭辞

IPv6 アドレスの場合、2001:db8::/32 という接頭辞は、このドキュメントの例だけで使用される特別な IPv6 接頭辞です。このドキュメントの例では、プライベート IPv4 アドレスと予約 IPv6 文書接頭辞を使用します。