このセクションでは、システムのクラッシュダンプの管理手順のタスクについて説明します。
システムクラッシュ情報を処理する場合には、次の点に注意してください。
システムクラッシュ情報にアクセスして管理するには、root 役割になる必要があります。Oracle Solaris 11.3 でのユーザーとプロセスのセキュリティー保護 の 割り当てられている管理権利の使用を参照してください。
Oracle Solaris 11.3 リリース以降では、システムがクラッシュした場合、システムがリブートするまでその物理メモリーのコピーを RAM に保持してから、ファイルシステムに書き込むことができます。このプロセスは遅延ダンプと呼ばれます。遅延ダンプが可能ではない場合、物理メモリーはクラッシュ中にダンプデバイスに書き込まれます。Oracle Solaris 11.3 でのシステム管理のトラブルシューティング の Oracle Solaris 11.3 でのリブート後まで遅延するようになったクラッシュファイルを参照してください。
システム上でシステムクラッシュダンプファイルを保存するオプションを無効にしないでください。システムクラッシュファイルにより、システムクラッシュの原因を判断する非常に有効な方法が提供されます。
スワップ領域とダンプ領域には専用の ZFS ボリュームが使用されます。手順については、Oracle Solaris 11.3 での ZFS ファイルシステムの管理 の ZFS スワップおよびダンプデバイスの管理を参照してください。
現在のクラッシュダンプ構成を表示するには、root 役割になり、引数なしの dumpadm コマンドを発行します。
# dumpadm Dump content: kernel with ZFS metadata Dump device: /dev/zvol/dsk/rpool/dump (dedicated) Savecore directory: /var/crash Savecore enabled: yes Save compressed: on
この出力例は、次の構成を示しています。
ダンプの内容は、ZFS メタデータが含まれるカーネルメモリーページです。
カーネルメモリーは、リブートまでメモリーに保持されるか、専用のダンプデバイス /dev/zvol/dsk/rpool/dump にダンプされます。
システムクラッシュダンプファイルは /var/crash/ ディレクトリに保存される。
システムクラッシュダンプファイルの保存は有効に設定されている
クラッシュダンプファイルは圧縮形式で保存されます。
クラッシュダンプ構成を変更するには、root 役割になり、dumpadm コマンドを使用します。
dumpadm コマンドの構文は次のとおりです。
# /usr/sbin/dumpadm [-enpuy] [-c content-type] [-d dump-device] [-m mink | minm | min%] [-s savecore-dir] [-r root-dir] [-z on | off]
ダンプするデータの種類を指定する。使用可能な値は次のとおりです。
カーネルメモリーページのみをダンプする kernel
すべてのメモリーページをダンプする all
クラッシュの発生時にスレッドが実行されていたプロセスのカーネルメモリーとメモリーページをダンプする curproc
カーネルメモリーページとすべてのプロセスページをダンプする allproc
ZFS メタデータを格納するカーネルページをダンプする zfs
デフォルトのダンプの内容は、ZFS メタデータが含まれるカーネルメモリーです。例:
# dumpadm -c kernel # dumpadm -c +zfs # dumpadm -c -zfs # dumpadm -c curproc+zfs
システムがクラッシュしたときに、ダンプデータを一時的に保存するデバイスを指定します。デフォルトのダンプデバイスはプライマリダンプデバイスです。ダンプデバイスがスワップ領域でない場合は、savecore がバックグラウンドで実行されるため、ブートプロセスの速度が上がる
圧縮されたクラッシュダンプの格納に必要なディスク容量の概算を出力します。この値は、現在の構成および現在実行中のシステムを使用して算出されます。
現在の savecore ディレクトリに minfree ファイルを作成することにより、クラッシュダンプファイルを保存する最小限の空き容量を指定します。このパラメータは K バイト (mink)、M バイト (minm)、またはファイルシステムサイズのパーセント (min%) で指定できます。最小の空き容量を構成しないと、デフォルトで 1M バイトになります。
savecore コマンドは、クラッシュダンプファイルを書き込む前にこのファイルを調べる。クラッシュダンプファイルを書き込むと、サイズにより空き容量が minfree しきい値より少なくなる場合、ダンプファイルは書き込まれず、エラーメッセージが記録されます。このシナリオからの回復については、クラッシュダンプファイルディレクトリがいっぱいになった場合のデータの保存を参照してください。
システムがリブートするときに、savecore を自動的に実行しないように指定します。システムはクラッシュダンプイメージをメモリーに保存しようとするため、このダンプ構成は推奨されません。
マシンが読める出力を生成します。
クラッシュダンプファイルを保存する別のディレクトリを指定する。Oracle Solaris 11 では、デフォルトのディレクトリは /var/crash です。
/etc/dumpadm.conf ファイルの内容に基づいてカーネルダンプ構成を強制的に更新します。
リブート時に自動的に savecore コマンドを実行するようにダンプ構成を変更します。このダンプ設定では、このコマンドの自動実行がデフォルトです。
リブート時の savecore コマンドの動作を制御するために、ダンプ構成を変更します。on 設定では、コアファイルを圧縮形式で保存できます。off 設定では、クラッシュダンプファイルを自動的に圧縮解除します。クラッシュダンプファイルはサイズが非常に大きくなる場合があり、圧縮した形式で保存すれば必要なシステム領域が小さくなるため、デフォルトは on です。
次の例は、すべてのメモリーを専用のダンプデバイス /dev/zvol/dsk/rpool/dump にダンプし、クラッシュダンプファイルを保存したあとに残っていなければならない最小空き容量は、ファイルシステム容量の 10% です。
# dumpadm Dump content: kernel with ZFS metadata Dump device: /dev/zvol/dsk/rpool/dump (dedicated) Savecore directory: /var/crash Savecore enabled: yes Save compressed: on # dumpadm -c all -d /dev/zvol/dsk/rpool/dump -m 10% Dump content: all pages Dump device: /dev/zvol/dsk/rpool/dump (dedicated) Savecore directory: /var/crash (minfree = 5935131KB) Savecore enabled: yes Save compressed: on # dumpadm -n Dump content: all pages Dump device: /dev/zvol/dsk/rpool/dump (dedicated) Savecore directory: /var/crash (minfree = 5935131KB) Savecore enabled: no Save compressed: on # dumpadm -y Dump content: all pages Dump device: /dev/zvol/dsk/rpool/dump(dedicated) Savecore directory: /var/crash (minfree = 5935131KB) Savecore enabled: yes Save compressed: on使用例 2 クラッシュダンプの保存を無効にする
次の例は、システムでのクラッシュダンプの保存を無効にします。
# dumpadm -n Dump content: all pages Dump device: /dev/zvol/dsk/rpool/dump (dedicated) Savecore directory: /var/crash (minfree = 5697105KB) Savecore enabled: no Save compressed: on
![]() | 注意 - Oracle Solaris では、クラッシュダンプの保存を無効にしないことを強く推奨しています。クラッシュダンプは、システムのクラッシュの原因を判断するための重要な方法です。 |
次の例は、システムでのクラッシュダンプの保存を有効化する方法を示しています。
# dumpadm -y Dump content: all pages Dump device: /dev/zvol/dsk/rpool/dump (dedicated) Savecore directory: /var/crash (minfree = 5697105KB) Savecore enabled: yes Save compressed: on