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Oracle® Solaris 11.3 でのシステム管理のトラブルシューティング

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更新: 2016 年 11 月
 
 

システムのクラッシュダンプの構成

このセクションでは、システムのクラッシュダンプの管理手順のタスクについて説明します。

現在のクラッシュダンプ構成の表示

現在のクラッシュダンプ構成を表示するには、root 役割になり、引数なしの dumpadm コマンドを発行します。

# dumpadm
 Dump content: kernel with ZFS metadata
       Dump device: /dev/zvol/dsk/rpool/dump (dedicated)
Savecore directory: /var/crash
  Savecore enabled: yes
   Save compressed: on

    この出力例は、次の構成を示しています。

  • ダンプの内容は、ZFS メタデータが含まれるカーネルメモリーページです。

  • カーネルメモリーは、リブートまでメモリーに保持されるか、専用のダンプデバイス /dev/zvol/dsk/rpool/dump にダンプされます。

  • システムクラッシュダンプファイルは /var/crash/ ディレクトリに保存される。

  • システムクラッシュダンプファイルの保存は有効に設定されている

  • クラッシュダンプファイルは圧縮形式で保存されます。

クラッシュダンプの構成の変更

クラッシュダンプ構成を変更するには、root 役割になり、dumpadm コマンドを使用します。

dumpadm コマンドの構文は次のとおりです。

#  /usr/sbin/dumpadm [-enpuy] [-c content-type] [-d dump-device] [-m mink | minm | min%]
[-s savecore-dir] [-r root-dir] [-z on | off]
–c content-type

ダンプするデータの種類を指定する。使用可能な値は次のとおりです。

  • カーネルメモリーページのみをダンプする kernel

  • すべてのメモリーページをダンプする all

  • クラッシュの発生時にスレッドが実行されていたプロセスのカーネルメモリーとメモリーページをダンプする curproc

  • カーネルメモリーページとすべてのプロセスページをダンプする allproc

  • ZFS メタデータを格納するカーネルページをダンプする zfs

デフォルトのダンプの内容は、ZFS メタデータが含まれるカーネルメモリーです。例:

# dumpadm -c kernel
# dumpadm -c +zfs
# dumpadm -c -zfs
# dumpadm -c curproc+zfs
–d dump-device

システムがクラッシュしたときに、ダンプデータを一時的に保存するデバイスを指定します。デフォルトのダンプデバイスはプライマリダンプデバイスです。ダンプデバイスがスワップ領域でない場合は、savecore がバックグラウンドで実行されるため、ブートプロセスの速度が上がる


注 -  遅延ダンプは、ダンプデバイスを使用する代わりに、ダンプデータを RAM に一時的に格納します。ただし、遅延ダンプが失敗した場合、遅延ダンプを実行できない場合、またはクラッシュダンプファイルを直接ファイルシステムに書き込むために十分な領域が savecore ディレクトリにない場合に備えて、ダンプデバイスを指定してください。
–e

圧縮されたクラッシュダンプの格納に必要なディスク容量の概算を出力します。この値は、現在の構成および現在実行中のシステムを使用して算出されます。

–m mink | minm | min%

現在の savecore ディレクトリに minfree ファイルを作成することにより、クラッシュダンプファイルを保存する最小限の空き容量を指定します。このパラメータは K バイト (mink)、M バイト (minm)、またはファイルシステムサイズのパーセント (min%) で指定できます。最小の空き容量を構成しないと、デフォルトで 1M バイトになります。

savecore コマンドは、クラッシュダンプファイルを書き込む前にこのファイルを調べる。クラッシュダンプファイルを書き込むと、サイズにより空き容量が minfree しきい値より少なくなる場合、ダンプファイルは書き込まれず、エラーメッセージが記録されます。このシナリオからの回復については、クラッシュダンプファイルディレクトリがいっぱいになった場合のデータの保存を参照してください。

–n

システムがリブートするときに、savecore を自動的に実行しないように指定します。システムはクラッシュダンプイメージをメモリーに保存しようとするため、このダンプ構成は推奨されません。

–p

マシンが読める出力を生成します。

–s savecore-dir

クラッシュダンプファイルを保存する別のディレクトリを指定する。Oracle Solaris 11 では、デフォルトのディレクトリは /var/crash です。

–u

/etc/dumpadm.conf ファイルの内容に基づいてカーネルダンプ構成を強制的に更新します。

–y

リブート時に自動的に savecore コマンドを実行するようにダンプ構成を変更します。このダンプ設定では、このコマンドの自動実行がデフォルトです。

–z on | off

リブート時の savecore コマンドの動作を制御するために、ダンプ構成を変更します。on 設定では、コアファイルを圧縮形式で保存できます。off 設定では、クラッシュダンプファイルを自動的に圧縮解除します。クラッシュダンプファイルはサイズが非常に大きくなる場合があり、圧縮した形式で保存すれば必要なシステム領域が小さくなるため、デフォルトは on です。

使用例 1  クラッシュダンプ構成を変更する

次の例は、すべてのメモリーを専用のダンプデバイス /dev/zvol/dsk/rpool/dump にダンプし、クラッシュダンプファイルを保存したあとに残っていなければならない最小空き容量は、ファイルシステム容量の 10% です。

# dumpadm
      Dump content: kernel with ZFS metadata
       Dump device: /dev/zvol/dsk/rpool/dump (dedicated)
Savecore directory: /var/crash
  Savecore enabled: yes
   Save compressed: on

# dumpadm -c all -d /dev/zvol/dsk/rpool/dump -m 10%
       Dump content: all pages
       Dump device: /dev/zvol/dsk/rpool/dump (dedicated)
Savecore directory: /var/crash (minfree = 5935131KB)
  Savecore enabled: yes
   Save compressed: on

# dumpadm -n
       Dump content: all pages
       Dump device: /dev/zvol/dsk/rpool/dump (dedicated)
Savecore directory: /var/crash (minfree = 5935131KB)
  Savecore enabled: no          
   Save compressed: on

# dumpadm -y
       Dump content: all pages
       Dump device: /dev/zvol/dsk/rpool/dump(dedicated)             
Savecore directory: /var/crash (minfree = 5935131KB)
      Savecore enabled: yes         
        Save compressed: on
使用例 2  クラッシュダンプの保存を無効にする

次の例は、システムでのクラッシュダンプの保存を無効にします。

# dumpadm -n
       Dump content: all pages
       Dump device: /dev/zvol/dsk/rpool/dump (dedicated)
Savecore directory: /var/crash (minfree = 5697105KB)
  Savecore enabled: no
   Save compressed: on

Caution

注意  -  Oracle Solaris では、クラッシュダンプの保存を無効にしないことを強く推奨しています。クラッシュダンプは、システムのクラッシュの原因を判断するための重要な方法です。


使用例 3  クラッシュダンプの保存を有効にする

次の例は、システムでのクラッシュダンプの保存を有効化する方法を示しています。

# dumpadm -y
      Dump content: all pages
      Dump device: /dev/zvol/dsk/rpool/dump (dedicated)
Savecore directory: /var/crash (minfree = 5697105KB)
  Savecore enabled: yes
   Save compressed: on