ナビゲーションに戻る

承認について

多くの日常のタスクは、昇進・昇格の承認のようにいくつかのステップと人々の共同作業を含む大きなプロセスの一部です。このような複数ユーザーがかかわるプロセスを円滑に進めるために、PeopleSoft には承認機能が用意されています。この機能を使用すると、自動的にワークフロー通知をトリガして、承認待ちトランザクションのプロセスで次の承認者に知らせることができます。

多くの PeopleSoft アプリケーションには、定義済みの承認プロセスが用意されています。ただし、次の各トピックでは、PeopleSoft HCM 製品ライン固有の承認フレームワーク機能について説明します。このドキュメントには、HCM のナビゲーション、および HCM 承認フレームワークの設定に関する追加トピックが掲載されています。詳しい概要およびフィールドの説明は、付属ドキュメントの『PeopleSoft 承認フレームワーク』に記載されています。

以下の用語は、承認機能を理解するうえで重要であり、以下のトピック全体にわたって使用されます。

フィールドまたはコントロール

定義

承認プロセス

ある特定のトランザクションが組織内で承認のためにどのような経路で送られるかというビジネス プロセスを表す一般的な用語。

承認フレームワーク

承認プロセスの作成、実行、管理のための機能を提供するエンジン。

承認プロセス定義

承認フレームワーク内での承認プロセスの定義。定義には、ステージ、パス、ステップ、さまざまな階層、条件、およびその他の設定可能なパラメータが含まれます。

承認プロセス定義 ID (プロセス ID)

承認フレームワークにおける特定の承認プロセス定義に関連する ID。承認フレームワークに登録された各トランザクションには、少なくとも 1 つのプロセス ID が定義されている必要があります。

リクエスト

承認プロセスのために承認フレームワークを使用するトランザクション。たとえば、昇進・昇格や転勤時の休暇リクエスト、人材募集などがあります。

承認ステップまたはステップ

ステップには 1 人または複数の承認者がいて、承認者のアクションは追跡されます。ステップは、指定人数の承認者による関与を必要とするように設定することができます。ステップには、考慮中のリクエストについてステップを有効にするかどうかを決定する条件を設定します。ステップには連番が付けられています。

承認パスまたはパス

パスは、ステップの順番です。たとえば、ステップ 2 はステップ 1 が承認された後でないと承認者に送られません。承認はなんらかの決定に基づいて、複数の承認パスを経由することも実際に可能です。パスは相互に排他的にすることも、並行させることもできます。パスは全て最終承認で 1 つにまとめられます。

承認ステージまたはステージ

ステージは、承認パスを集めたものです。承認ステージは、単一の順序になっています (ステージ 1、ステージ 2 など)。承認ステージは、直前のステージが完了すると実行されます。承認ステージが実行されると、それに含まれる全ての承認パスも同時に実行されます。承認ステージは、含まれる承認パスが全て完了したときに完了したと見なされます。

承認者

リクエストの承認 (却下、差し戻しなど) を行う権限を持つと決定されたユーザー。

依頼者および発信者

依頼者は、承認フレームワークでリクエストの開始者として扱うユーザーです。ほとんどの場合、依頼者と発信者は同じユーザーになります。ただし、委任機能を使用する場合は依頼者と発信者が異なることがあります。たとえば、管理者がトランザクションを直属の部下に委任して、部下がトランザクションを送信すると、部下が発信者で管理者は依頼者となります。

対象者

トランザクションを処理する対象となるユーザー。たとえば、Karen が上司の Russell に自分の部下の 1 人である Robbin の昇進・昇格リクエストを送信するとします。この場合、Karen は依頼者 (発信者) で Robbin が対象者となり、Russell は承認者です。

監督者または管理者

導入時の直属部下の設定で定義されている、依頼者または承認者への管理責任を持つユーザー。

承認管理者または承認フレームワーク管理者

承認の設定、管理、トラブルシューティングおよびメンテナンスを担当するシステム管理者。

イベントまたは承認イベント

承認フレームワーク エンジンは、イベント主導型です。イベントは通常、送信や承認、却下、差し戻しなどシステム内のユーザーが実行可能なアクションです。

ステータスまたは承認ステータス

ステータスは通常、トランザクションの置かれる全体的な状況を表します。たとえば、承認待ち、保留中、承認済み、却下、終了などです。

承認条件

承認が必要かどうかの決定に使用するルール。承認条件のフィールドおよびディメンションは、承認条件の定義に使用されるデータ要素および属性です。

承認階層

トランザクション タイプによって必要とされる、実際の承認をモデルとする組織的な階層 (たとえば、監督者や部門別の承認階層など)。

ユーザー リスト

SQL ステートメントの結果として、または PeopleSoft のロールや PeopleSoft アプリケーション クラスとして表される、ユーザー (PeopleSoft ユーザー ID) の集まり。

代替承認者または代替ユーザー ID

ユーザーは、システム内の別のユーザーを指定の期間だけ自分に代わる承認者とすることができます。これは、PeopleTools セキュリティ内のユーザー プロファイル コンポーネントにあるワークフロー ページで設定します。

委任

委任とは、ある個人が別の個人に特定の職責の代理業務を行う権限を付与することです。委任機能を使用すれば、ユーザーは管理トランザクションの開始権限または承認権限を委任することにより、管理職務を代理で行う権限を他のユーザーに付与することができます。

承認フレームワークは、承認プロセスを作成、実行および管理するためのフレームワークと機能を提供するエンジンです。このエンジンは、アプリケーション コンポーネント設定と組み合わせて一連のデータベース オブジェクトを使用し、ワークフローを用いて承認を処理する方法を決定します。

承認ワークフローは、依頼者が昇進・昇格などのトランザクションを送信するとトリガされます。アプリケーションによって、トランザクションが承認フレームワークに渡され、エンジンは適切な承認プロセス定義を探して承認ワークフローを開始します。そして、承認者のグループがトランザクションに関連するタスクを実行します。

承認フレームワークによって、3 つのレベルのユーザーが組織の要件を満たすトランザクション承認を作成、設定および使用できます。たとえば、昇進・昇格を提案してそれに対して承認を得るプロセスには、昇進・昇格を承認する担当者、承認者の順序および承認者への転送方法を定義する必要があります。

作成および管理のために PeopleSoft PeopleTools の高度な技術的スキルを必要とする標準の PeopleSoft ワークフローと対照的に、承認ワークフローは作成や設定および管理がはるかに簡単なワークフローを提供します。たとえば、承認ワークフローの全てのステップは、基底にある PeopleSoft の PeopleCode ではなく PeopleSoft ページを使用して定義します。これによって、職務権限を持つユーザーは専門の開発者にワークフロー ルールの作成を依頼しなくても、これらのオンラインの PeopleSoft ページを使用してワークフローを設計および管理できます。

承認ビジネス プロセス フロー内では、次のことが行われます。

  • アプリケーション開発者は、トランザクション登録ページを使用することにより情報を承認フレームワークに登録します。このページでは、アプリケーションをエンジンに登録して、そのコンポーネント、イベント ハンドラおよびレコードを記述します。

    レジストリの定義の一環として、アプリケーション開発者はレコードとテーブルを作成し、そこに相互参照情報を格納してイベントの通知テンプレートを設定します。この定義によって承認待ちのワークフロー プロセスが決まり、どのトランザクションが承認または却下されるかがアプリケーションに伝えられます。また、アプリケーション開発者はトランザクション コンポーネントをリンクします。

    注: PeopleSoft ヒューマン リソース管理には、承認フレームワークに登録済みのトランザクションが数多く用意されています。これらのトランザクション レジストリは変更しないでください。これらの設定は出荷時のままにしておく必要があるためです。標準のトランザクション レジストリ定義の完全なリストを参照するには、select [HCM 基本設定], then select [共通定義], then select [承認], then select [承認設定センター], then select [トランザクション登録] の順にクリックして、トランザクション登録コンポーネントにアクセスします。

  • 職務機能ビジネス アナリストは、アプリケーション トランザクションの承認プロセス定義を定義します。

    承認プロセス定義には、各承認プロセス ID について、承認ステージやパス、ステップ、受取人および通知の設定が含まれます。アナリストは、承認プロセス定義の基準となる承認トランザクション レジストリの入力項目を識別し、プロセスの詳細を定義します。

    また、職務機能ビジネス アナリストは、ユーザー リスト定義、電子メール テンプレート定義およびトランザクションの設定を定義または確認します。

    設定を完了したら、職務機能ビジネス アナリストは、承認プロセス トランザクションの管理とトラブルシューティングを担当します。

  • 依頼者は、承認を得るためにトランザクションを送信します。

    このアクションによって承認プロセスが開始されます。承認フレームワークは承認プロセス定義を読み込み、承認者のためにトランザクションをキューに入れます。

  • 承認タスクが、電子メール通知またはワークリストの項目 (または両方) を使用して承認者またはレビュー担当者に送信されます。

    ワークリストの項目に組み込まれた URL は、対応する承認コンポーネントをポイントします。

  • 承認者はトランザクションに対してアクションを実行します。

    承認者はリクエストを承認または却下したり、トランザクションのステータスのモニターや承認オーディットを行うことができます。承認プロセス中にエラーや条件またはルールの違反があった場合、承認管理者は通知を受け取り、問題を解決します。

  • レビュー担当者はトランザクションを参照します。

画像: 承認ビジネス プロセス フロー

この図は、承認機能の導入と使用のビジネス プロセス フローを示します。アプリケーション開発者やビジネス アナリストおよびエンドユーザーが、承認ワークフローを使用して行うタスクを示しています。

承認ビジネス プロセス フロー

承認フレームワークは、HCM および他の製品ファミリー内の複数の PeopleSoft アプリケーションで共有されている共通コンポーネントです。HCM 製品ファミリーでは、承認フレームワークに関するドキュメンテーションはさまざまな場所にあります。

  • 以下に示すトピックでは、HCM 製品ファミリーに固有の設計ステップ、ナビゲーション パスおよび詳細に適用される承認フレームワークの機能について説明します。

  • アプリケーション固有の HCM ドキュメンテーション (『PeopleSoft Absence Management』など) では、製品の標準ビジネス プロセスに関連する承認ワークフロー詳細を提供することにより、上記の内容をさらに詳細に解説しています。

  • 『PeopleSoft 承認フレームワーク』 では、全ての製品ファミリーに適用される共通承認フレームワークの機能について説明します。

導入の前に全ての適切な情報ソースに目を通して、それぞれの情報がどのように関連するかを完全に理解するようにしてください。

承認フレームワークを参照してください。

製品には、承認フレームワークと動作するように設定済みの承認トランザクションが数多く用意されています。標準トランザクションについては、アプリケーション ページ内で標準トランザクション データを見直し、ビジネス プロセスに適しているか確認してください。

承認フレームワークと使用するための標準 HCM トランザクションを見直すには、次の手順に従います。

  1. トランザクション登録ページを使用して、承認フレームワークに承認トランザクションを登録します。

    承認トランザクションの登録」を参照してください。

  2. ワークフロー トランザクション ページを使用して、ヒューマン リソース管理のセルフサービス トランザクションを承認フレームワークにリンクします。

    ワークフロー トランザクションのリンク」を参照してください。

  3. トランザクション設定ページで、承認トランザクションの設定オプションを設定します。

    承認トランザクションの設定」を参照してください。

  4. プロセス定義の設定コンポーネントで、承認プロセス定義を設定します。

    承認プロセス定義の設定」を参照してください。

    承認プロセス定義を設定するには、次の手順に従います。

    1. プロセス定義の設定ページで、承認プロセス定義のステージ、パスおよびステップを定義します。

    2. プロセス定義の設定ページのリンクからアクセスする条件定義ページで、定義、パスおよびステップ レベルでのワークフロー承認プロセスの条件を定義します。

    3. 承認パス定義ページで、ワークフロー承認プロセスのパスの詳細を設定します。

    4. 承認ステップ定義ページで、承認ワークフロー プロセスのステップの詳細を定義します。

    5. さまざまなコンポーネントで動的承認を定義します。

      動的承認の定義」を参照してください。

  5. 汎用テンプレート定義ページで、承認トランザクション用電子メールのテンプレートを作成します。

    承認用の通知テンプレートの定義」を参照してください。

  6. ユーザー リスト定義ページで、承認トランザクションのユーザー リスト定義を管理します。

    承認用のユーザーの定義」を参照してください。

  7. 通知およびエスカレーション マネージャを設定します。

    通知およびエスカレーション マネージャの設定」を参照してください。

  8. PeopleTools セキュリティ コンポーネントで、適切な権限リストやロールおよび Web ライブラリを設定します。

    承認のためのセキュリティの設定」を参照してください。

標準トランザクションの他に、承認フレームワークと共に使用する他のトランザクションを導入する必要がある場合、追加の導入ステップを完了してください。これらのステップには、PeopleTools のアプリケーション デザイナ内でのオブジェクト構築や、アプリケーション ページ内での設定が含まれます。追加の承認トランザクションの導入方法の詳細については、『PeopleSoft 承認フレームワーク』を参照してください。