Go to main content
Oracle® Solaris 11.3 での UUCP および PPP を使用したシリアルネットワークの管理

印刷ビューの終了

更新: 2015 年 10 月
 
 

Solaris PPP 4.0 の基本情報

Solaris PPP 4.0 は、TCP/IP プロトコル群に含まれるデータリンクプロトコルであるポイントツーポイントプロトコル (PPP) を実装しています。PPP は、2 つの端点にあるマシン間でデータを電話回線などの通信媒体を介して転送する方法について記述しています。

PPP は、1990 年代の初期から、通信リンクを介してデータグラムを送信するために幅広く使用されてきたインターネット標準です。PPP 標準は、Internet Engineering Task Force (IETF) のポイントツーポイントワーキンググループによって RFC 1661 に定義されています。PPP は一般に、リモートコンピュータがインターネットサービスプロバイダ (ISP) を呼び出したり、着呼を受信するように構成されている企業サーバーを呼び出したりするときに使用されます。

Solaris PPP 4.0 は、広く普及している Australian National University (ANU) PPP–2.4 に基づいて PPP 標準を実装しています。PPP リンクは非同期と同期の両方をサポートしています。

Solaris PPP 4.0 の互換性

    さまざまなバージョンの PPP 標準がインターネットコミュニティーで広く使用されています。ANU PPP-2.4 は、Linux、Tru64 UNIX、および次の BSD 系統の主要 OS で採用されています。

  • FreeBSD

  • OpenBSD

  • NetBSD

Solaris PPP 4.0 は、Oracle Solaris オペレーティングシステムで実行されているマシンに ANU PPP-2.4 の高度に構成可能な機能を提供します。Solaris PPP 4.0 が実行されているマシンでは、PPP 標準が実行されているマシンへの PPP リンクを簡単に設定できます。

    ANU ベースの PPP 以外で Solaris PPP 4.0 と正常に相互運用できるものは、次のとおりです。

  • Solaris 2.4 から Solaris 8 までで稼働する Solaris PPP、別名 asppp

  • Solstice PPP 3.0.1

  • Microsoft Windows 98 DUN

  • Cisco IOS 12.0 (同期)

どのバージョンの Solaris PPP を使用すべきか

サポート対象の PPP 実装は、Solaris PPP 4.0 です。Solaris 9 リリース以降のリリースには、以前の非同期 Solaris PPP ( asppp) ソフトウェアは含まれていません。詳細は、Chapter 9, 非同期 Solaris PPP から Solaris PPP 4.0 への移行 (タスク)を参照してください。

Solaris PPP 4.0 を使用する理由

    asppp を現在使用中の場合は、Solaris PPP 4.0 への移行を検討してください。この 2 つの Solaris PPP 技術の間には、次のような違いがあります。

  • 転送モード

    asppp は非同期通信だけに対応します。Solaris PPP 4.0 は非同期通信と同期通信の両方に対応します。

  • 構成プロセス

    asppp を設定するには、asppp.cf 構成ファイル、3 つの UUCP ファイル、および ipadm コマンドを構成する必要があります。さらに、マシンにログインするユーザーのために、あらかじめインタフェースを構成しておく必要があります。

    Solaris PPP 4.0 の設定では、PPP 構成ファイルのオプションを定義するか、オプションを指定して pppd コマンドを発行する必要があります。また、構成ファイルとコマンド行の両方の方法を組み合わせて使用することもできます。Solaris PPP がインタフェースの作成や削除を動的に行います。各ユーザーのために PPP インタフェースを構成する必要はありません。

  • asppp では使用不可能な Solaris PPP 4.0 の機能

    • MS-CHAPv1 および MS-CHAPv2 認証

    • ADSL ブリッジをサポートする PPP over Ethernet (PPPoE)

    • PAM 認証

    • プラグインモジュール群

    • IPv6 アドレス指定

    • Deflate 圧縮または BSD 圧縮を使用するデータ圧縮

    • Microsoft のクライアント側のコールバックのサポート

Solaris PPP 4.0 のアップグレードパス

既存の asppp 構成を Solaris PPP 4.0 に変換する場合は、このリリースで提供される変換スクリプトを使用できます。詳細は、asppp から Solaris PPP 4.0 に変換する方法を参照してください。

PPP の詳細情報

PPP に関する情報が記載された資料は、印刷物またはオンラインで入手可能です。参考資料のいくつかを以降で示します。

PPP に関する専門技術者向けのリファレンスブック

    ANU PPP など、幅広く使用されている PPP については、次の図書を参照してください。

  • Carlson, James 著、『PPP Design, Implementation, and Debugging』第 2 版、Addison-Wesley、2000。

  • Sun, Andrew 著、『Using and Managing PPP』、O'Reilly & Associates、1999

PPP に関する RFC (Requests for Comments)

    PPP に関する有用な Internet RFC は次のとおりです。

  • RFC 1661 と RFC 1662。PPP の主な機能を解説しています

  • RFC 1334。パスワード認証プロトコル (PAP) とチャレンジハンドシェーク認証プロトコル (CHAP) などの認証プロトコルを解説しています

  • RFC 1332。PPP over Ethernet (PPPoE) を解説しています

PPP RFC のコピーを入手するには、IETF RFC の Web ページ (http://www.ietf.org/rfc.html) で RFC の番号を指定してください。

PPP に関するマニュアルページ

また、pppdump コマンドのマニュアルページも参照してください。PPP のマニュアルページについては、man コマンドを使用してください。