重要なことは、Oracle ZFS Storage Appliance のクラスタ化実装のスコープを理解することです。「クラスタ」とは、さまざまな目的を持った数多くの異なるテクノロジを呼ぶときに業界で使用される用語です。ここでは、2 つのアプライアンスヘッドおよびシェアストレージで構成されるメタシステムを意味し、ヘッドのどちらかで特定のハードウェアまたはソフトウェアの障害が発生した場合に、改善された可用性を提供するために使用されます。クラスタには、正確に 2 つのアプライアンスまたはストレージコントローラが含まれます。このドキュメント全体では、簡潔にヘッドと呼びます。各ヘッドには、クラスタで使用可能なセットからストレージ、ネットワーク、およびその他のリソースのコレクションを割り当てることができます。これにより、2 つの主なトポロジのいずれかを構成できます。アクティブ/アクティブとは、クラスタに 2 つ (以上) のストレージプールがあり、そのうちの 1 つのプールに各ヘッドと、そのプールに格納されたデータにクライアントがアクセスするときに使用されるネットワークリソースが割り当てられている状態を表す用語です。アクティブ/パッシブとは、単一のストレージプールに、アクティブと指定されたヘッドと、関連付けられたネットワークインタフェースが割り当てられている状態を表します。Oracle ZFS Storage Appliance では、どちらのトポロジもサポートされています。両者の区別は人為的です。つまり、両者の間にはソフトウェアまたはハードウェアの違いはなく、単にストレージプールを追加または削除することによって任意に切り替えることができます。どちらの場合も、ヘッドに障害が発生すると、他方 (そのピア) がすべての既知のリソースを制御し、これらのリソースに関連付けられたサービスを提供します。
ヘッドの修復中に数時間または数日の停止時間が発生する代わりに、クラスタ化を使用するとピアアプライアンスは修復または交換の実行中でもサービスを提供できます。さらに、クラスタではソフトウェアの順次アップグレードもサポートされています。これにより、新しいソフトウェアへの移行に関連する業務の混乱を減らすことができます。一部のクラスタ化テクノロジには、可用性拡張機能を超える特定の追加機能が備わっています。Oracle ZFS Storage Appliance のクラスタ化サブシステムは、このような機能を提供するように設計されていません。特に、複数ヘッド間における負荷分散の提供、ストレージ障害における可用性の改善、クライアントへの複数アプライアンス間における統合されたファイルシステム名前空間の提供、または障害回復目的での広範囲な領域におけるサービス責任の分割は行われません。これらの機能も同様に、このドキュメントの範囲外です。ただし、Oracle ZFS Storage Appliance およびそれが提供するデータプロトコルでは、次のように可用性を改善できる数多くのその他の機能と方針がサポートされています。
データのChapter 13, レプリケーション、1 つ以上の地理的に離れたサイトでの障害回復で使用可能、
クライアント側でのデータのミラー化、任意に配置された複数のストレージサーバーで提供される冗長 iSCSI LUN を使用して実行可能、
負荷分散、NFS プロトコルに組み込まれ、外部ハードウェアまたはソフトウェアによってほかの一部のプロトコルに提供可能 (読み取り専用データに適用)、
冗長ハードウェアコンポーネント (電源装置を含む)、ネットワークデバイス、およびストレージコントローラ、
Oracle ZFS Storage Appliance 顧客サービスマニュアル の問題ソフトウェア、障害が発生したコンポーネントの特定、サービスからの削除、および正常なハードウェアの修復または交換を行う技術者への指針の提供が可能、
ネットワークファブリック冗長性 (LACP および IPMP 機能で提供)
冗長ストレージデバイス (RAID)。
ほかの可用性機能についての追加情報は、このドキュメントの適切なセクションを参照してください。