クラスタ化とスタンドアロンのどちらの Oracle ZFS Storage Appliance 構成を選択するのかを決定する際は、クラスタ化操作のコストと利点を比較検討することが重要になります。クラスタ化を自動的な構造決定であると見なすことが IT 業界全体の常識ですが、この認識はこの業界の一部のベンダーによって広められた、クラスタ化のリスクと利益の理想像を反映しています。クラスタ化では、2 番目のヘッドに伴う明らかに高い先行投資および現在進行中のハードウェアおよびサポートのコストに加えて、技術上および運用上のリスクも課されます。このようなリスクの一部は、すべての担当者にクラスタ化操作の訓練を徹底的に行うことによって軽減できます。その他のリスクは、クラスタ化操作の概念に固有のものです。リスクには次のものがあります。
テイクオーバー中のプロトコル依存の動作で、アプリケーションの耐性がなくなる可能性がある
クラスタソフトウェア自体で障害が発生したり、スタンドアロン操作では発生しないような障害が別のサブシステムで発生したりする可能性がある
管理の複雑さが増し、管理タスクの実行時にオペレータエラーが発生する可能性が高い
多重障害や重大なオペレータエラーにより、スタンドアロン構成では発生しないようなデータ損失や破損が発生する可能性がある
予期しないソフトウェアやハードウェアの状態から回復することがより困難になる。
このようなコストやリスクは基本的なものであり、さまざまな方法で市場のすべてのクラスタ化製品またはクラスタ対応製品 (Oracle ZFS Storage Appliance を含む) に適用されるため、完全に除去したり軽減したりできません。ストレージ設計者は、クラスタ化の主な利点 (まれに発生する壊滅的なハードウェアまたはソフトウェアの障害時に使用できなくなる期間を数時間から数分以下に削減できること) について比較検討する必要があります。コストと利点の分析において、Oracle ZFS Storage Appliance の配備でクラスタ化を使用することが優先されるかどうかは、SLA 条件などのローカル要素、対応可能なサポート担当者とその資格、予算の制約、さまざまな障害が発生する可能性、および可用性を拡張するための代替方針の適切性によって異なります。これらの要素はサイト、アプリケーション、および業務に大きく依存するため、個別に評価する必要があります。このセクションの残りの資料について理解すれば、統合されたストレージインフラストラクチャーの設計および導入時に適切な選択を行うことができます。