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Oracle® ZFS Storage Appliance 管理ガイド
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Document Information

このドキュメントの使用法

 1 Oracle ZFS Storage Appliance の概要

 2 ステータス

 3 初期構成

 4 ネットワーク構成

 5 ストレージ構成

 6 Storage Area Network の構成

 7 ユーザー構成

 8 ZFSSA の設定

 9 警告の構成

 10 クラスタ構成

クラスタの機能と利点

クラスタのデメリット

クラスタの用語

クラスタ化の理解

クラスタ相互接続 I/O

クラスタリソース管理の理解

クラスタのテイクオーバーとフェイルバック

クラスタ化された環境での構成変更

クラスタ化におけるストレージの考慮点

クラスタ化におけるネットワークの考慮点

プライベートのローカル IP インタフェース

クラスタ化における Infiniband の考慮点

クラスタ化における冗長パスのシナリオ

「スプリットブレイン」状態の回避

テイクオーバーの影響の見積もりと削減

BUI を使用したクラスタ構成

クラスタ化の構成

クラスタ化の構成解除

CLI を使用したクラスタ化の構成

クラスタ構成をシャットダウンする

スタンバイヘッドをシャットダウンする

クラスタ化の構成解除

クラスタノードの配線

ZS3-2 クラスタの配線

ZS3-4 および 7x20 クラスタの配線

ストレージシェルフの配線

クラスタ構成の BUI ページ

 11 ZFSSA サービス

 12 シェア、プロジェクト、およびスキーマ

 13 レプリケーション

 14 シャドウ移行

 15 CLI のスクリプト化

 16 保守のワークフロー

 17 統合

索引

「スプリットブレイン」状態の回避

クラスタ化されたシステムの一般的な障害モードは、スプリットブレインと呼ばれます。この状況では、クラスタ化された各ヘッドは、そのピアに障害が発生したと見なされ、テイクオーバーが試みられます。追加ロジックが存在しない状況では、診断や修正が困難な予期しない壊滅的な動作が広範囲にわたって発生する可能性があります。この状況は、一般的にヘッドでシェアされた通信媒体に障害が発生することが要因となります。Oracle ZFS Storage Appliance の場合は、クラスタ I/O リンクに障害が発生すると生じます。アプライアンスソフトウェアでは、組み込みトリプルリンク冗長に加えて (テイクオーバーの発生を回避するには、単一リンクのみが必要です)、ヘッドがテイクオーバーを継続する必要があるかどうかを決定するアービトレーション手順も実行されます。

同様の製品では、数多くのアービトレーションメカニズムが採用されています。一般には、定足数ディスク (SCSI 予約を使用) または定足数サーバーを使用する必要があります。追加ハードウェアを必要としない ATA ディスクの使用をサポートするために、Oracle ZFS Storage Appliance は、ストレージファブリック自体に依存する別のアプローチを使用して、必要な相互排他性を提供します。アービトレーションプロセスは、ストレージファブリックに定義済みの順序で表示される各 SAS エクスパンダ上での SAS ZONE LOCK コマンドの実行で構成されます。どちらかのアプライアンスで、このようなすべてのロック取得の試みに成功すると、テイクオーバーが続行されます。他方のアプライアンスは自分自身をリセットします。ブートして、そのピアが到達不能であることを検出したクラスタ化されたアプライアンスは、テイクオーバーを試みて、同じアービトレーションプロセスに移行するため、1 つ以上のクラスタ I/O リンクが復元されるまで、繰り返しリセットされます。これにより、他方のヘッドであとに発生する障害によって、機能停止が延長されることはありません。これらの SAS ゾーンのロックは、フェイルバックが実行されるか、AKCS_OWNER 状態のヘッドがストレージファブリックへの自分のアクセスを最後に更新してから約 10 秒経過すると解除されます。

このアービトレーションメカニズムは単純で、費用がかからず、追加のハードウェアも必要ありませんが、ストレージファブリック内の 1 つ以上の共通 SAS エクスパンダにアクセスしている両方のクラスタ化されたアプライアンスに依存します。通常の状況では、各アプライアンスがすべてのエクスパンダにアクセスし、アービトレーションは 2 つ以上の SAS ゾーンのロックで構成されます。ただし、アプライアンスが共通のエクスパンダにアクセスしない多重障害シナリオが発生する可能性があります。たとえば、2 本の SAS ケーブルが取り除かれるか、JBOD の電源が切られると、各アプライアンスはエクスパンダの個々のサブネットにアクセスします。この場合、各アプライアンスは正常に到達可能なすべてのエクスパンダをロックし、そのピアに障害が発生したと判断して、テイクオーバーの続行を試みます。これにより、ディスクアフィリエーションの競合や重大なデータ破損のために、回復不能なハングアップに至る可能性があります。

この状況の結果は重大ですが、これは多重障害の場合にしか発生しないことに注意してください (4 つ以上の障害の場合にのみ、しばしば発生します)。Oracle ZFS Storage Appliance に組み込まれたクラスタ化解決方法は、単一障害点なしを実現し、不要なコストや複雑さをシステムに追加せずに、発生しやすい障害からデータと可用性の両方を保護するように設計されています。大規模な多重障害が発生すると、サービスまたはデータあるいはその両方が失われる可能性があります。これは RAID なしのレイアウトでは無制限のディスク障害から保護できないのと同様です。

Figure 10-8  スプリットブレインの回避

image:スプリットブレインの回避

さいわいにも、このような障害シナリオの大部分はヒューマンエラーから発生し、ハードウェアを正しくインストールして、クラスタ設定および管理のベストプラクティスの訓練をスタッフに実施すれば完全に回避できます。管理者は 3 つのすべてのクラスタ I/O リンクが接続され機能していること (図を参照)、およびすべてのストレージ配線がアプライアンスに付属するセットアップポスターで示すとおりに接続されていることを常に確認する必要があります。クラスタを本稼動に移行する前およびそのあとはいつでも、各 JBOD (図を参照) への 2 つのパスが検出されることが特に重要になります。容量の増加や障害のあるコンポーネントの交換をサポートするために一時的に配線を変更する場合は、当然例外です。管理者は警告を使用して、クラスタ相互接続リンクおよび JBOD パスの状態をモニターし、障害を迅速に修正するようにしてください。適切な接続を保持すると、ハードウェアまたはソフトウェアコンポーネントに障害が発生した場合でも、可用性とデータ整合性の両方が保護されます。

Figure 10-9  クラスタの 2 つのパス

image:クラスタの 2 つのパス