Sun Identity Manager 8.1 アップグレード

第 3 章 アップグレードの開発と評価

アップグレードの開発と評価の段階では、次のタスクを行います。

タスク 5: 開発環境のリセット

既存の開発環境を元に戻すか、新規の開発環境の作成と設定を行って、本稼働環境に対応する Identity Manager アプリケーションのベースラインにする必要があります。また、開発環境のプラットフォームを、使用している本稼働環境のプラットフォームに一致させる必要もあります。詳細については、「ステップ 1: プラットフォームのドキュメント化」を参照してください。

構成、カスタム構成オブジェクト、カスタムコード、評価計画、および自動評価の管理には、ソース管理ツールを使用します。詳細は、「ソース管理と CBE」を参照してください。

本稼働環境で管理者が Identity Manager の構成やカスタマイズ内容を直接変更することがサイトのプロセスにより可能な場合 (ソース管理のベースラインのバージョンを更新しないなど)、現在の本稼働構成とカスタマイズ内容をソース管理ベースラインと比較する必要があります。本稼働環境の変更内容を特定し、個々の変更内容を開発環境に適用して、必要に応じて再評価します。これらの変更内容を、使用している Identity Manager アプリケーションに合わせてソース管理ベースラインにマージします。本稼働環境の変更内容が大きく、開発環境でフルに評価できない場合は、更新した Identity Manager のベースラインを評価環境にプロモートし、そのベースラインを再評価してから Identity Manager のアップグレードに進むことを検討してください。

タスク 6: 開発環境のアップグレード

次の各ステップを開発環境で実行する必要があります。


注 –

環境をアップグレードするときには、次のいくつかのステップを実行する必要があります。ただし、これは、Identity Manager アプリケーションに合わせてベースラインを更新する環境なので、次のステップの多くは開発環境に固有です。


ステップ 1: Active Sync と調整の停止

Active Sync プロセスを手動開始に設定し、必要に応じて、アップグレードが正常に完了するまで、計画済みの調整を無効にします。


ヒント –

ステップ 1 は省略可能ですが、本稼働環境をアップグレードするときのベストプラクティスと考えられています。

また、本稼働環境でステップ 1 を実行する場合は、その他すべての環境をアップグレードするときの標準ステップとしてください。


ステップ 2: Identity Manager アプリケーションの停止

Identity Manager アプリケーションを休止して、すべての管理者とエンドユーザーから使用できないようにします。

ステップ 3: Identity Manager アプリケーションのバックアップ

既存のデータベースと Identity Manager のファイル構造のコピーを作成します。

データベースとファイル構造をバックアップすることにより、必要に応じて作業環境を復元できます。

ステップ 4: ホットフィックスの削除

WEB-INF/classes ディレクトリからホットフィックスのクラスファイルを削除します。

通常、ホットフィックスのクラスファイルは、そのホットフィックスが配布された Identity Manager 製品の特定バージョンでのみ動作します。

ステップ 5: スナップショット作成

既存の構成オブジェクトのコピーを作成します。また、リポジトリにある他のタイプのオブジェクトのコピー、または少なくともそれらのオブジェクトの代表サンプルのコピーを作成します。

Identity Manager 製品をアップグレードすることにより、JSP ファイルなど、Identity Manager 製品が上に重なるファイルシステムのアーティファクトが保存されますが、アップグレードではリポジトリ内で変更する各オブジェクトの「以前のイメージ」は保持しません。スナップショットを作成することにより、Identity Manager 製品のアップグレードによるリポジトリオブジェクトに対する変更内容を検出できます。

Procedureスナップショットを作成するには

次に、Identity Manager のスナップショット機能を使用して、配備内のカスタマイズ済みリポジトリオブジェクトのベースラインを作成する方法、および 2 つのスナップショットを比較して、アップグレードの前後に特定のシステムオブジェクトに対して実行された変更内容を特定する方法を説明します。


注 –

スナップショット機能は、進行中の XML の詳細な違いを対象とするものではありません。これは「最初の実行」での比較を行うための最小のツールにすぎません。


  1. Identity Manager の「デバッグ」ページにある「スナップショット」ボタンをクリックして、「SnapShot Management」ページを表示します。

    「SnapShot Management」ページのスクリーンショット
  2. 「作成」フィールドにスナップショットの名前を入力して、「作成」ボタンをクリックします。

    Identity Manager がスナップショットを追加すると、そのスナップショットの名前が、「比較」メニューリスト、および「エクスポート」ラベルの右側に表示されます。

  3. 2 つのスナップショットを比較するには、次の操作を行います。

    1. 2つの「比較」メニューから、それぞれスナップショットを選択します。

      スクリーンショットは「比較」ボタン、および「baseline_1」と「baseline_2」を持つ2つのドロップダウンリストを示します。
    2. 「比較」ボタンをクリックします。

      • 変更されたオブジェクトがない場合は、差が検出されなかったことを示すメッセージが表示されます。

      • オブジェクトの変更が検出された場合は、メッセージにオブジェクトのタイプと名前が表示され、オブジェクトが異なる、実在しない、実在するのいずれであるかが示されます。

        たとえば、baseline_1 にはオブジェクトが存在するが、baseline_2 には存在しない場合、「baseline_1」列には「Present」、「baseline_2」列には「Absent」が示されます。

  4. スナップショットをXML 形式でエクスポートする場合は、スナップショットの名前のリンクをクリックします。

  5. スナップショットを削除する場合は、「削除」メニューからスナップショットを選択して「削除」をクリックします。

ステップ 6: プラットフォームの更新

Identity Manager 製品のターゲットバージョンでプラットフォームの変更が必要な場合、それらの変更を行ってから Identity Manager 製品をアップグレードする必要があります。

JDK または JRE をアップグレードする場合は、使用中の JDK と同じベンダーから提供される JDK または JRE を使用する必要があります。たとえば、これまで IBM の JDK を使用していた場合は、Sun JDK をインストールしないでください。


注意 – 注意 –

Oracle のリポジトリを使用している場合、Identity Manager のリポジトリの DDL は、古い Oracle JDBC ドライバでは適切に処理されないデータ型を使用します。ojdbc14.jar に含まれる JDBC ドライバは、ログテーブルの一部の列を正しく読み取ることができません。

Identity Manager を正しく動作させるには、JDK 5 ドライバを ojdbc5.jar にアップグレードする必要があります。


ステップ 7: Identity Manager 製品のアップグレード

Identity Manager の製品自体をアップグレードするには、次の操作が必要な場合があります。

リポジトリのデータベーステーブル更新

Identity Manager のメジャーリリースの多く、および一部のマイナーリリースでは、データベーステーブルが変更されています。このため、環境に合わせて SQL のサンプルスクリプトの変更が必要な場合があります。

また、次の変更を行った場合は、データベーステーブルも更新する必要があります。

Identity Manager の各バージョンについて、SQL のサンプルスクリプトに対する変更内容を記録しておき、ソース管理を使用してそれらの変更内容を管理する必要があります。将来、Identity Manager の後続バージョンに対して、同様の変更が必要になります。

Identity Manager 製品のアップグレード

Identity Manager 製品をアップグレードするには、次のいずれかの方法を使用できます。

両方の方法の結果は同じです。


注 –

一部の環境では、手動アップグレード手順が望ましい場合があります。たとえば、次のとおりです。

Identity Manager 製品のアップグレードにより、Identity Manager リポジトリオブジェクト、および .jsp ファイル、Identity Manager 製品の JAR、他社製の JAR などファイルシステムの一部のアーティファクトが変更されることがあります。.

Identity Manager 製品をアップグレードするときには、次の点に注意してください。


ProcedureIdentity Manager インストーラの使用法

Identity Manager のインストールおよびアップグレードのプログラムを使用して、開発環境をアップグレードします。

  1. インストーラを起動するには、次のいずれかの方法を使用します。

    • GUI インストーラを使用するには、 install.bat ( Windows) または install (UNIX) を実行します。

      インストーラの開始画面が表示されます。

    • nodisplay モードでインストーラを起動するには、ソフトウェアのあるディレクトリに移動して、次のコマンドを入力します。

      install -nodisplay

      インストーラの開始テキストが表示され、次に GUI インストーラと同じ順序で、インストール情報を収集するための質問リストが表示されます。

      ディスプレイ装置がない場合は、インストーラはデフォルトで nodisplay オプションを使用します。

      インストーラは、ソフトウェアの旧バージョンを新バージョンの後にインストールしません。この場合、エラーメッセージが表示され、インストーラは終了します。

  2. 開始画面の「次へ」をクリックします。

  3. 「Install or Upgrade?」画面の「アップグレードする」を選択して、「次へ」をクリックします。

  4. 「インストールディレクトリを選択します」画面で、Identity Manager の旧バージョンがあるディレクトリを選択して、「次へ」をクリックします。

    インストーラにアップグレード前処理とアップグレード後処理の進捗バーが表示され、その後「インストール構成の確認」画面に進みます。

  5. インストールの詳細については、「詳細」をクリックしてログファイルを表示し、その後「閉じる」をクリックしてインストーラを終了します。

  6. アプリケーションサーバーの作業ディレクトリからコンパイル済みの Identity Manager ファイルをすべて削除します。

手動によるアップグレード

一部の環境では、Identity Manager のインストールおよびアップグレードのプログラムを使用せずに、手動でアップグレードを実行する場合があります。


注 –

この節の操作方法は、Identity Manager を Tomcat アプリケーションサーバーにインストールする場合のものです。使用しているアプリケーションサーバーにより、多少異なるコマンドの使用が必要な場合があります。

アプリケーションサーバーに固有の操作方法については、『Sun Identity Manager 8.1 Installation』のパート II「Installing Identity Manager」の該当する章を参照してください。


ProcedureWindows プラットフォームで手動アップグレードを実行するには

サポートする Windows プラットフォームで Identity Manager を手動でアップグレードするには、次の手順を実行します。

  1. アプリケーションサーバーと Gateway を停止します。.

  2. Identity Manager のデータベースを更新します。

  3. 次のコマンドを入力して、環境を設定します。


    set ISPATH=Path-to-install-software 
    set WSHOME=Path-to-Identity-Manager-Installation  OR Staging-Directory set TEMP=Path-to-Temporary-Directory
    

    注 –

    Identity Manager のインストールディレクトリへのパスにスペースがある場合は、次の例に示すように、WSHOME 環境変数を二重引用符 (") で囲まずに指定する必要があります。

    パスにスペースがない場合でも、パスを指定するときには、末尾にバックスラッシュ (\) を使用しないでください。


    set WSHOME=c:\Program Files\Apache Group\Tomcat 6.0\idm

    または


    set WSHOME=c:\Progra~1\Apache~1\Tomcat~1\idm

    次のパスの指定は正しくありません。


    set WSHOME="c:\Program Files\Apache Group\Tomcat 6.0\idm"

  4. 前処理を実行します。


    mkdir %TEMP%
    cd /d %TEMP%
    jar -xvf %ISPATH%\IDM.WAR\
    WEB-INF\lib\idm.jar WEB-INF\lib\idmcommon.jar
    set TMPLIBPTH=%TEMP%\WEB-INF\lib
    set CLASSPATH=%TMPLIBPTH%\idm.jar;\
    %TMPLIBPTH%\idmcommon.jar;
    java -classpath %CLASSPATH% -Dwaveset.home=%WSHOME%\
       com.waveset.install.UpgradePreProcess
  5. ソフトウェアをインストールします。


    cd %WSHOME%
    jar -xvf %ISPATH%\IDM.WAR
  6. 後処理を実行します。


    java -classpath %CLASSPATH% -Dwaveset.home=%WSHOME%
       com.waveset.install.UpgradePostProcess

    注 –
    • アップグレードの後処理ステップは、個別の Java 仮想マシンで実行されます。このステップのデフォルトのヒープサイズは 1024 Mバイトです。 このステップでメモリ不足の例外が発生する場合は、ヒープサイズの最大値を高く設定してください。カスタム値を設定するには、—Xmx <heap size> の書式を使用して、JAVA_OPTS 環境変数を設定します。「heap size」は、2048m のような値です。たとえば、-Xmx2048m のように指定します。

    • インストーラは、デフォルトの Configurator アカウントの名前が変更されていたり、アカウントが削除されていたり、無効になっていたりするインストール環境に対してもアップグレードインストールをサポートしています。

      アップグレードの後処理で、 update.xml をインポートするために、インストーラはユーザー名とパスワードの入力を要求します。ユーザー名またはパスワードが正しく入力されない場合、正しいユーザー名またはパスワードを入力するように要求されます (最大 3 回)。このエラーは、インストーラのテキストボックスに表示されます。

      手動インストールの場合、 -U username -P password のフラグを指定して、認証情報を UpgradePostProcess 手続きに渡す必要があります。


  7. ステージングディレクトリにインストールした場合は、アプリケーションサーバーへの配備用 .war ファイルを作成します。

  8. アプリケーションサーバーの作業ディレクトリから Identity Manager のファイルを削除します。

ProcedureUNIX プラットフォームで手動アップグレードを実行するには

サポートする UNIX プラットフォームで Identity Manager を手動でアップグレードするには、次のステップを実行します。

  1. アプリケーションサーバーと Gateway を停止します。.

  2. Identity Manager のデータベースを更新します。

  3. 環境を設定します。


    export ISPATH=Path-to-Install-Software export WSHOME=Path-to-Identity-Manager-Installation-or-Staging Directory 
    export TEMP=Path-to-Temporary-Directory
    
  4. 前処理を実行します。


    mkdir $TEMP
    cd $TEMP
    jar -xvf $ISPATH/idm.war \
    WEB-INF/lib/idm.jar WEB-INF/lib/idmcommon.jar
    CLASSPATH=$TEMP/WEB-INF/lib/idm.jar:\
    $TEMP/WEB-INF/lib/idmcommon.jar:
    java -classpath $CLASSPATH -Dwaveset.home=$WSHOME \
    com.waveset.install.UpgradePreProcess
  5. ソフトウェアをインストールします。


    cd $WSHOME
    jar -xvf $ISPATH/idm.war
  6. 後処理を実行します。


    java -classpath $CLASSPATH -Dwaveset.home=$WSHOME
      com.waveset.install.UpgradePostProcess

    注 –
    • アップグレードの後処理ステップは、個別の Java 仮想マシンで実行されます。このステップのデフォルトのヒープサイズは 1024 Mバイトです。 このステップでメモリ不足の例外が発生する場合は、ヒープサイズの最大値を高く設定してください。カスタム値を設定するには、—Xmx <heap size> の書式を使用して、JAVA_OPTS 環境変数を設定します。「heap size」は、2048m のような値です。たとえば、-Xmx2048m のように指定します。

    • インストーラは、デフォルトの Configurator アカウントの名前が変更されていたり、アカウントが削除されていたり、無効になっていたりするインストール環境に対してもアップグレードインストールをサポートしています。

      アップグレードの後処理で、 update.xml をインポートするために、インストーラはユーザー名とパスワードの入力を要求します。ユーザー名またはパスワードが正しく入力されない場合、正しいユーザー名またはパスワードを入力するように要求されます (最大 3 回)。このエラーは、インストーラのテキストボックスに表示されます。

      手動インストールの場合、 -U username -P password のフラグを指定して、認証情報を UpgradePostProcess 手続きに渡す必要があります。


  7. ディレクトリを $WSHOME/bin/solaris または $WSHOME/bin/linux に変更し、そのディレクトリ内のファイルを実行できるように、それらのファイルのアクセス権を設定します。

  8. ステージングディレクトリにインストールした場合は、アプリケーションサーバーへの配備用 .war ファイルを作成します。

  9. アプリケーションサーバーの作業ディレクトリから Identity Manager のファイルを削除します。

アップグレードのトラブルシューティング

アップグレード時に問題が発生した場合は、$WSHOME/patches/ logs ディレクトリにあるアップグレードのログファイルをチェックします。ログファイルの名前は、アップグレードのタイムスタンプとステージに基づきます。

すべての Gateway インスタンスのアップグレード

環境にインストール済みの Sun Identity Manager Gateway をすべてアップグレードします。Identity Manager サーバーの新バージョンは、Gateway の旧バージョンとは動作しません。

ProcedureIdentity Manager Gateway をアップグレードするには

  1. Windows システムにログインして、Gateway がインストールされているディレクトリに移動します。

  2. Gatewayサービスを停止します。


    gateway -k
    
  3. 少なくとも Windows 2000 を使用している場合は、サービスの MMC プラグインのインスタンスをすべて終了します。

  4. Gateway サービスを削除します。


    gateway -r
    
  5. 既存の Gateway ファイルをバックアップして、削除します。

  6. 新規の Gateway ファイルを抽出します。

    Identity Manager サーバー以外のシステムに Gateway の新規アップグレードをインストールする場合は、Identity Manager のインストールパッケージから gateway.zip ファイルをコピーします。

  7. Gateway がインストールされていたディレクトリに、 gateway.zip ファイルを展開します。

  8. Gateway サービスをインストールします。


    gateway -i
    
  9. Gateway サービスを開始します。


    gateway -s
    

すべての PasswordSync インスタンスのアップグレード

リリースノートに特記されていない限り、新規にインストールした Identity Manager サーバーのバージョンは、旧バージョンの PasswordSync を一時的に制限付きでサポートします。このサポートは、PasswordSync インスタンスをアップグレードしている間に、Identity Manager の実行を継続できるようにするためのものです。PasswordSync のすべてのインスタンスを、できるだけ早く Identity Manager サーバーと同じバージョンに更新してください。

PasswordSync をアップグレードするには、環境にインストール済みの PasswordSync をすべてアンインストールして、再起動する必要があります。削除を正常に実行するには、Windows の「コントロール パネル」の「プログラムの追加と削除」機能を使用します。

個々の旧バージョンの代わりに新バージョンの PasswordSync をインストールして、再起動します。インストール先のオペレーティングシステムに対応するバイナリファイルを使用します。32 ビット Windows のバイナリは IdmPwSync_x86.msi、64 ビット Windows のバイナリは IdmPwSync_x64.msi という名前です。


注 –

PasswordSync のアンインストール後に 1 回、新バージョンのインストール後に 1回、合計で Windows を 2 回再起動する必要があります。再起動が 2 回必要な理由は、Windows Security Service が PasswordSync の DLL をロードする方法にあります。


インストール方法については、『Sun Identity Manager 8.1 ビジネス管理者ガイド』「Windows での PasswordSync のインストールと設定」を参照してください。

ステップ 8: もう 1 つのスナップショットの作成

Identity Manager を正常にアップグレードしたら、既存の構成オブジェクトのコピーを作成します。また、リポジトリ内のほかのタイプのオブジェクトのコピー、または少なくともそれらのオブジェクトの代表サンプルのコピーを作成します。

Identity Manager 製品のアップグレードでは、リポジトリのオブジェクトに対する変更内容は記録されません。このスナップショットを、アップグレード前のスナップショットと比較することにより、アップグレードによるリポジトリオブジェクトに対する変更内容を容易に検出できます。

ステップ 9: 変更内容を解析する

Identity Manager 製品のアップグレードによる変更内容を解析し、それに合わせて構成とカスタマイズを更新する必要があります。たとえば、次のとおりです。

Identity Manager 製品のアップグレード時に行われたリポジトリオブジェクトに対する変更内容を注意して解析する必要があります。たとえば、次のとおりです。


ヒント –

これらのオブジェクトの変更を無視しても問題がないと判断することもできますが、多くの場合、これらの構成オブジェクトをベースラインに追加することがベストプラクティスと考えられています。


アップグレード後、カスタマイズ済みのファイルとオブジェクトを復元します。

カスタマイズ済みのファイルを復元する

アップグレード時に、Identity Manager は、JSP や HTML のファイルなどのカスタマイズ済みのファイルをすべて、次のディレクトリに自動的にコピーします。

$WSHOME/patches/Sun_Java_System_Identity_Manager_Version_Date_/savedFiles

次の表に、このディレクトリ内のファイルを示します。

表 3–1 savedFiles ディレクトリファイル構造

ファイル名 

説明 

changedFileList

保存したすべてのカスタマイズ済みファイルのリストを持つファイル。 

このファイルには、アップグレード時に同じ名前のファイルがインストールされる場合に上書きされるファイル (旧バージョンの Identity Manager とともにインストールされたファイル) のリストもあります。 

notRestoredFileList

アップグレードプロセスで復元されない、すべてのカスタマイズ済みファイルのリストを持つファイル

notInstalledFileList

アップグレードプロセスでインストールされない、新バージョンのファイルのリストを持つファイル

アップグレードでは、元の Identity Manager とともにインストール済みの一部のファイルが追加されることがあります。古いファイルを上書きする前に、Identity Manager はそれらのファイルをsavedFiles ディレクトリに自動的に保存します。それらのファイルのリストについては、 changedFileList ファイルを参照してください。

Identity Manager は、アップグレードプロセスで changedFileList にリストされているファイルの多く (すべてではない) を自動的に復元します。それらのファイルのリストについては、 notRestoredFileList を参照してください。カスタマイズ済みのファイルの復元時に、Identity Manager は、アップグレードでインストールされたファイルの新バージョンを上書きします。

カスタマイズ済みファイルの一部を手動で復元する必要がある場合があります。アップグレードで復元されないファイルのリストについては、 notRestoredFileList ファイルを参照してください。カスタマイズ済みファイルを手動で復元する必要がある場合は、アップグレード時にインストールされた新規ファイルを編集してカスタマイズし、その編集したファイルを保存します。

カスタマイズ済みオブジェクトの復元

システム構成に書式とプロセスのマッピングを設定した場合は、アップグレード後にそれらのオブジェクトのカスタマイズ内容を復元する必要はありません。システム構成にリストされていないオブジェクトをカスタマイズした場合は、それらのオブジェクトの XML をインポートすることで、それらのオブジェクトを手動で復元する必要があります。

安全な方法として、Identity Manager は、update.xml のインポート時に一般的なカスタマイズ済みオブジェクトの多くをファイルに自動保存します。 これらのファイルは、 WEB-INF/ savedObjects ディレクトリのサブディレクトリに保存されます。これらのサブディレクトリの名前は、インポートの実行時のタイムスタンプです。

update.xmlをインポートすると、savedObjects ディレクトリに最大 3 つのサブディレクトリが作成されることがあります。オブジェクトの XML ファイルを手動でインポートして、オブジェクトのカスタマイズ内容を復元できます。

ステップ 10: すべてのカスタム Java クラスの再構築

新規の製品ライブラリに対して、カスタム Java クラスをすべて再構築する必要があります。たとえば、新規 JAR ファイルやアプリケーションサーバーのライブラリを再構築する必要があります。

再コンパイルにより非推奨の警告が表示された場合は、その非推奨メッセージを解析し、『Sun Identity Manager 8.1 リリースノート』を参照して、非推奨の問題をすぐに解決できるかどうかを判断します。非推奨の問題を即座に解決できない場合は、プロジェクト計画に、将来その問題を解決するための項目を追加します。


注 –

Identity Manager は、非推奨 API を無制限にはサポートしません。非推奨のクラスとメソッドは通常、製品の次のメジャーリリースで削除されます。


ステップ 11: XPRESS での必要な変更の実行

XPRESS で、書式、ルール、およびワークフローを変更します。.

Identity Manager 製品の新規バージョンで提供される書式、ルール、およびワークフローは通常、旧バージョンの書式、ルール、およびワークフローと後方互換性があります。必要な変更のもっとも一般的な種類は、Identity Manager のワークフローサービスや書式ユーティリティーのメソッドを変更することです。


注 –

ワークフローサービスや書式ユーティリティーのメソッドに対するリリース固有の変更の詳細については、アップグレードするリリースの Identity Manager のリリースノートを参照してください。


ステップ 12: Identity Manager アプリケーションの開発環境での評価

アプリケーションサーバーを再起動し、&Product_IDMgr を評価して、少なくとも基本機能が予測どおり機能することを確認します。

Identity Manager のアップグレード後に、Web アプリケーションを再配備する必要があります。これは、多くのアプリケーションサーバーが web.xml ファイルをキャッシュしているからです。

Procedureアップグレード後に Web アプリケーションを再配備する

たとえば、Sun GlassFishTM エンタープライズサーバーを使用している場合は、Identity Manager のアップグレード後に次のステップを実行して Web アプリケーションを再配備します。

  1. GlassFish の管理者インタフェースにログインします。

  2. メニューバーから「アプリケーション」>「Web アプリケーション」の順に選択します。

  3. Web アプリケーションを見つけて、その「再配備」リンクをクリックします。

  4. 「Application Server からアクセス可能なローカルのパッケージファイルまたはディレクトリ」オプションの横のボタンをクリックします。

  5. 「フォルダを参照」ボタンをクリックして、インストール先の最上位のフォルダを選択します。

    たとえば、次のとおりです。

    C:\Sun\AppServer\domains\domain1\applications\j2ee-modules\idm

  6. 「OK」をクリックします。

  7. アプリケーションサーバーを再起動します。

ステップ 13: Active Sync と調整の再起動

アップグレードが正常に完了したら、Active Sync のプロセスの設定を復元し、計画済みの調整 (該当ずる場合) を再度有効にする必要があります。


ヒント –

ステップ 13 は省略可能ですが、本稼働環境をアップグレードするときのベストプラクティスと考えられています。

また、本稼働環境でステップ 13 を実行する場合は、その他すべての環境をアップグレードするときの標準ステップとしてください。


ステップ 14: 変更内容のソース管理へのマージ


注 –

重要性を強調するために、ここでは、変更内容のソース管理へのマージを別のステップとして特に記述しています。実際には、ステップ 9 ~ 12 を実行するときに、変更内容をソース管理にマージできます。


変更内容をソース管理にマージするときには、次の操作が必要です。

タスク 7: 評価環境のリセット

管理下での評価を実行するには、評価環境が本稼働環境にできるだけ近付くように、評価環境をリセットする必要があります。

ステップ 1: 本稼働環境に合わせたプラットフォームのリセット

次の要件を満たすように、評価環境をリセットします。

開発環境から Identity Manager アプリケーションのイメージをプロモートするたびに、累積したアップグレード手順を評価する必要があります。アップグレード手順が正常に実行されると判断した場合は、評価計画を実行します。

ステップ 2: 機能テストの設定

機能テストの準備を行うには、管理下で Identity Manager アプリケーションの評価をサポートする評価環境を作成する必要があります。

本稼働環境の一部の項目についてシミュレーションを行う場合もありますが、第一目標は、アプリケーションが予測どおり動作することを確認することです。この目標を達成するには、完全な現実のデータセットではなく、人工データセットのロードが必要な場合があります。

評価計画で評価事例の実行をサポートするデータベーステーブルに、評価データをロードします。データベーステーブルには、本稼働環境のデータに類似するデータが含まれていることが理想的です。

タスク 8: アップグレード手順の実行

評価環境をアップグレードするには、開発環境のアップグレードで実行したステップの一部のみが必要です。たとえば、変更内容の検出や、ソース管理の更新は不要です。Identity Manager アプリケーションの更新済みベースラインには、それらの変更内容がすでに含まれています。

ターゲット環境をアップグレードする前に、その環境に適切な Identity Manager アプリケーションのイメージを生成する必要があります。ベースライン、およびイメージには、次のものが含まれます。

ステップ 1: Active Sync と調整の停止

Active Sync プロセスを手動開始に設定し、該当する場合は、アップグレードが正常に完了するまで計画済みの調整を無効にします。


ヒント –

ステップ 1 は省略可能ですが、本稼働環境をアップグレードするときのベストプラクティスと考えられています。

また、本稼働環境でステップ 1 を実行する場合は、その他すべての環境でアップグレードするときの標準ステップとしてください。


ステップ 2: Identity Manager アプリケーションの停止

Identity Manager アプリケーションを休止し、すべての管理者とエンドユーザーから使用できないようにします。

ステップ 3: Identity Manager アプリケーションのバックアップ

既存のデータベースと Identity Manager のファイル構造のコピーを作成します。

データベースとファイル構造をバックアップすることにより、必要に応じて作業環境を復元できます。


注 –

Identity Manager のパッチ、サービスパック、またはホットフィックスの適用前、および主要なアップグレードの開始前には、必ず Identity Manager のデータベースとファイルシステムをバックアップしてください。


Identity Manager ファイルシステムのバックアップには、他社製のバックアップソフトウェア、またはシステムに付属のバックアップユーティリティーを使用できます。データベースのバックアップの推奨手順については、データベースのマニュアルを参照してください。

ProcedureIdentity Manager アプリケーションのバックアップ

  1. Identity Manager をシャットダウンするか、アイドル状態にします。

  2. バックアップユーティリティーを使用して、Identity Manager をインストールした先のデータベースとファイルシステムをバックアップします。

ステップ 4: ホットフィックスの削除

WEB-INF/classes ディレクトリから、ホットフィックスのクラスファイルを削除します。

通常、ホットフィックスのクラスファイルは、そのホットフィックスが配布された Identity Manager 製品の特定バージョンでのみ動作します。

ステップ 5: TaskDefinition オブジェクトの変更

実行中のタスクインスタンスを含む本稼働環境のアップグレードが必要な場合があります。残念ながら、リポジトリ内の Identity Manager の TaskDefinition オブジェクトをアップグレードすると、その TaskDefinition オブジェクトに依存する実行中のタスクインスタンスが壊れる可能性があります。この可能性は、ユーザーがそれらのタスクが正常に完了することに依存してビジネス機能を実行している本稼働環境では、特に重要な注意点です。

アップグレードの前に、ユーザーにタスクを完了させるか、実行中のタスクを強制終了することはもっとも簡単な方法ですが、それらのオプションが必ずしも実行可能とは限りません。

アップグレード時に、本稼働環境に実行中のタスクインスタンスがある場合は、アップグレード手順にそれらのインスタンスへの対処方法を必ず記述してください。


ヒント –

各環境でアップグレードを行うときに、TaskDefinition オブジェクトの名前を変更します。次の処理を使用して、本稼働環境の TaskDefinition オブジェクトをアップグレードします。

  1. Identity Manager のコンソールで、現在の TaskDefinition をタイムスタンプを含む名前に変更します。

  2. 新規の TaskDefinition をロードします。



注意 – 注意 –

アクティビティーまたはアクションを変更すると、問題が発生するおそれがあります。

実行中の TaskInstances に対応する TaskDefinitions の変更はできないことに注意してください。Identity Manager では、そのような変更は許可されません。


ステップ 6: プラットフォームの更新

Identity Manager 製品のターゲットバージョンでプラットフォームを変更する必要がある場合は、それらの変更を行ってから Identity Manager 製品をアップグレードしてください。

ステップ 7: Identity Manager アプリケーションのアップグレード

Identity Manager アプリケーションをアップグレードするために、次の操作が必要な場合があります。


注 –

データソースについて

アプリケーションサーバーで定義した JDBC データソースを Identity Manager のリポジトリの位置として使用する場合は、このデータソースがアプリケーションサーバーの外部では機能しない可能性があることに注意してください。つまり、アプリケーションサーバーが提供する JDBC データソースは、そのコンテナ内で動作する Web アプリケーションでのみ使用できる可能性があるということです。

Identity Manager 製品のアップグレードプロセスは、Identity Manager コンソールと同様に、アプリケーションサーバーの外部で動作します。このため、Identity Manager が通常データソースを使用する個々の環境では、JDBC DriverManager の接続に切り替えるステップがアップグレード手順に必要な場合があります。

一時的に、データソースを指定する ServerRepository.xml ファイルを、JDBC DriverManager 接続を指定する別の ServerRepository.xml ファイルに置換できます。アップグレード手順の後続ステップで、元の ServerRepository.xml ファイルを復元します。

別の方法として、Identity Manager アプリケーションの WAR ファイルをファイルシステムに展開し、WSHOME をファイルシステムの位置に指定し、この「副」環境を使用して、手動アップグレードプロセス、または update.xml のサブセットのインポートや TaskDefinition オブジェクトの名前の変更といったコンソールを必要とするステップを実行できます。


各環境のカスタム統合に追加の設定が必要な場合は、このステップの一部として追加の設定を実行します。

データベーステーブルの定義更新

Identity Manager アプリケーションのイメージに、データベーステーブルの定義を更新するために必要な SQL スクリプトが含まれていること、およびそれらの SQL スクリプトが環境に合わせて変更済みであることを確認します。

イメージにそれらの SQL スクリプトが含まれていない場合は、アップグレード手順に、各環境について SQL スクリプトの変更が必要であることを特記してください。

Identity Manager アプリケーションのプロモート

評価環境に、Identity Manager アプリケーションのイメージをプロモートします。アプリケーションのイメージには、ターゲットの Identity Manager 製品のバージョン、更新済みの構成、およびカスタマイズ内容が必要です。

update.xml のサブセットのインポート

update.xml ファイルをインポートして、Identity Manager アプリケーションのベースラインの一部として管理されないリポジトリオブジェクトを更新する必要があります。


ヒント –

アップグレード時には、Identity Manager サーバーを 1 台のみ使用して update.xml をインポートし、Identity Manager サーバーを 1台のみ稼働します。

アップグレードプロセスで他の Identity Manager サーバーを起動した場合は、それらのサーバーを停止し、再起動してから再度使用可能にします。


すべての Gateway インスタンスのアップグレード

環境にインストール済みの Sun Identity Manager Gateway をすべてアップグレードします。「Identity Manager Gateway をアップグレードするには」を参照してください。


注意 – 注意 –

Identity Manager サーバーの新バージョンは、Gateway の旧バージョンとは動作しません。インストール済みの Gateway と Identity Manager Server はすべて、同一の保守ウィンドウで更新してください。


すべての PasswordSync インスタンスのアップグレード

環境にインストール済みの PasswordSync をすべてアップグレードします。「すべての PasswordSync インスタンスのアップグレード」を参照してください。

リリースノートに特記されていない限り、新規にインストールした Identity Manager サーバーのバージョンは、旧バージョンの PasswordSync を一時的に制限付きでサポートします。このサポートは、PasswordSync インスタンスをアップグレードしている間に、Identity Manager の実行を継続できるようにするためのものです。PasswordSync のすべてのインスタンスを、できるだけ早く Identity Manager サーバーと同じバージョンに更新してください。

ステップ 8: Identity Manager アプリケーションの評価

Identity Manager のアップグレード後に、Web アプリケーションを再配備する必要があります。これは、多くのアプリケーションサーバーが web.xml ファイルをキャッシュしているからです。

アプリケーションサーバーを再起動し、&Product_IDMgr を評価して、少なくとも基本機能が予測どおり機能することを確認します。

ProcedureIdentity Manager アプリケーションの再配備

Sun GlassFish エンタープライズサーバーを使用している場合は、次のステップを実行して Identity Manager を再配備します。

  1. GlassFish の管理者インタフェースにログインします。

  2. メニューバーから「アプリケーション」>「Web アプリケーション」の順に選択します。

  3. Web アプリケーションを見つけて、その「再配備」リンクをクリックします。

  4. 「Application Server からアクセス可能なローカルのパッケージファイルまたはディレクトリ」オプションの横のボタンをクリックします。

  5. 「フォルダを参照」ボタンをクリックして、インストール先の最上位のフォルダを選択します。

    たとえば、次のとおりです。

    C:\Sun\AppServer\domains\domain1\applications\j2ee-modules\idm

  6. 「OK」をクリックします。

  7. アプリケーションサーバーを再起動します。

ステップ 9: Active Sync と調整の再起動

アップグレードが正常に完了したら、Active Sync のプロセスと計画済みの調整の元の設定を復元します。


ヒント –

ステップ 9 は省略可能ですが、本稼働環境をアップグレードするときのベストプラクティスと考えられています。

また、本稼働環境でステップ 9 を実行する場合は、その他すべての環境をアップグレードするときの標準ステップとしてください。


ステップ 10: Identity Manager アプリケーションの再起動

Identity Manager アプリケーションを再起動し、再度管理者とエンドユーザーから使用可能にします。

タスク 9: 機能テストの実行

開発のアップグレードイメージを本稼働環境に配備する前に、評価環境での評価が重要です。

Procedureアップグレード後に評価環境を評価するには

  1. 自動評価を含めて、評価計画を実行します。

  2. 問題を修正し、その修正内容を開発環境のソース管理ベースラインに組み込みます。

  3. 評価環境のリセット、評価環境のアップグレード、および Identity Manager アプリケーションの再評価の一連のプロセスを繰り返します。