Oracle General Ledgerユーザーズ・ガイド リリース12 E05999-01 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
注意: この章で特記されていないかぎり、報告通貨は、残高レベル報告通貨以外の、補助元帳または仕訳レベルの報告通貨に適用されます。
報告通貨を使用して、複数の通貨で会計記録を保守およびレポートできます。これは元帳に1種類以上の報告通貨を定義することで可能となります。
各元帳は、General Ledger内にビジネス取引および会計データを記録するための主要な記録管理通貨である元帳通貨で定義されます。会計記録を保守およびレポートする必要がある場合は、元帳に1つ以上の報告通貨を定義して実行します。財務レポートは元帳通貨またはあらゆる報告通貨で作成できます。
General Ledgerに仕訳を入力すると、その取引は、元帳通貨と各報告機能通貨に換算されます。
報告通貨へのアクセスを持つ職責にログオンすることで、報告通貨の取引および勘定残高を照会およびレポートできます。
関連項目
報告通貨は、元帳通貨以外の複数の通貨で、取引/仕訳とGeneral Ledger勘定残高の両方について法定レポートを定期的および日常的にサポートする必要のある組織で使用するためのものです。元帳通貨以外の1つの通貨で勘定残高をレポートすることのみ必要な場合は、General Ledgerの換算を使用できます。
注意: 報告通貨は、General Ledgerの取引機能にかわるものではありません。
次のいずれかの条件に該当する場合は、報告通貨の使用を検討してください。
欧州経済通貨同盟(EMU)に属する国で営業し、ユーロと各国通貨単位(NCU)の両方での計上とレポートを選択する場合。
通貨が不安定で、ビジネス管理には適さない国で営業している場合。結果として、ビジネスを安定した通貨で管理し、同時に不安定な国内通貨で報告できる機能が必要な場合。
関連項目
General Ledgerの換算機能(残高レベル報告通貨)は、勘定残高レベルで金額を元帳通貨から別の通貨に換算するために使用されます。報告通貨では、金額が取引レベルまたは仕訳レベルで取引通貨から報告通貨に換算されます。
報告通貨は、財務結果を複数通貨で定期的に報告する必要のある組織のためのものです。報告通貨は、General Ledgerの換算機能にかわるものではありません。たとえば、年に1回、連結目的で、財務諸表を連結先会社の通貨に換算する必要のある組織で、その他の外貨で報告する必要がない場合は、報告通貨ではなくGeneral Ledgerの標準換算機能を使用します。
報告通貨がGeneral Ledgerの換算機能より優れているもう1つの点は、補助元帳から直接、取引金額を照会および報告できることです。換算は、General Ledgerにのみ適用され、補助元帳の取引金額の換算には使用できません。
報告通貨を使用し、報告通貨の残高を適切に初期化した場合は、換算を実行することなく報告通貨から直接報告できます。これは、報告通貨の実績取引金額がすでに換算されているためです。つまり、報告通貨の勘定残高は自動的に保守されます。
たとえば、親会社の元帳通貨を使用して報告通貨を保守する子会社を連結するには、報告通貨を換算するのではなく単純に報告通貨を連結先の元帳に連結し、その後連結元の元帳を連結します。
通常、換算済金額ではなく、報告通貨の金額を使用した結果を比較するときは、金額に端数処理差異が発生します。これらの差異の多くは次の原因で発生します。
換算により、元帳通貨金額が指定された通貨に換算されます。報告通貨により、取引通貨から指定された通貨に金額が換算されます。
報告通貨では、日次レートを使用して取引金額を換算します。換算では、期間レートおよび取得時レートを使用して勘定残高を換算します。
元帳の金額を換算するかわりに通貨の金額を使用する前に、次を理解して慎重に検討する必要があります。
報告通貨の機能性
連結先会社および連結元会社に適用される国固有の会計規準および規則
報告通貨を使用していて、予算金額を報告通貨で報告する必要がある場合は、元帳内の予算金額を報告通貨に換算する必要があります。
たとえば、予算金額を報告通貨に換算した後で、FSGを使用して、次の3列を持つ予算差異レポートを作成できます。
換算済予算金額。FSG列セットは、これらの金額を残高レベル報告通貨から直接取得できます。
報告通貨実績金額。FSG列セットは、これらの金額を報告通貨から取得できます。
報告通貨で表した、予算と実績の差異。
関連項目
残高の換算(『Oracle General Ledgerユーザーズ・ガイド』)
新規インストールおよびアップグレード・シナリオ1での報告通貨の定義
General Ledgerでは、日次取引を会社の元帳通貨で直接General Ledgerに、または補助元帳から記録します。
報告通貨を使用するには、元帳に報告通貨を定義する必要があります。主要元帳から勘定残高を元帳通貨またはあらゆる報告通貨でレポートできます。
たとえば、カナダに連結元を有する米国多国籍企業は、米国の連結先会社とカナダの連結元会社用に、2つの主要元帳の設定を選択できます。USドルでレポートするために、1つの報告通貨がカナダの連結元用に設定されます。
日常的な連結先取引は連結先の元帳通貨に米ドルで記録され、日常的な連結元取引は連結元の元帳通貨にカナダ・ドルで記録されます。関連付けられた会計仕訳は、連結元の報告通貨に米ドルで換算されます。したがって、連結元は、取引と総勘定元帳残高をカナダ・ドルと米ドルの両方で報告できます。
注意: 元帳に使用できるGeneral Ledgerの機能の多くが、報告通貨にも使用できます。仕訳の転記、残高の換算、勘定残高の問合せ、標準の総勘定元帳レポートの発行、カスタム財務レポートの定義、および連結を実行できます。
Oracle Applicationsの補助元帳以外のソースからインポートした仕訳の他、手動仕訳、定型仕訳および一括配賦などGeneral Ledgerで作成された仕訳入力は、仕訳を元帳に転記するときに報告通貨へ換算できます。1つ以上の報告通貨を定義した元帳に仕訳を転記するときは、転記プロセスにより各報告通貨に換算された新規の仕訳が作成され、「転記」のステータスでオリジナルの仕訳と同じバッチに含められます。
通常は元帳通貨で情報を表示する各General Ledgerレポートまたは照会は、任意の関連報告通貨でも表示できます。報告通貨の勘定残高を照会または報告するには、報告通貨へのアクセスを持つ、関連付けられているGeneral Ledger報告職責にログインします。
報告通貨の勘定残高と仕訳を照会するときに、General Ledgerの統合ドリルダウン機能を使用して、(報告通貨での)補助元帳詳細にドリルダウンし、基礎となる補助元帳取引の完全かつ一貫したビューを提供できます。
関連項目: 仕訳詳細へのドリル・ダウン
関連項目: 補助元帳詳細へのドリル・ダウン
消込みの目的で、財務諸表生成プログラム(FSG)を使用して、元帳通貨と報告通貨の残高を別々の列にリストするカスタム比較レポートを作成できます。このレポートは、元帳通貨と報告通貨の消込みの基礎として使用します。
関連項目: 財務諸表生成プログラムの概要
注意: この章で特記されていないかぎり、報告通貨は、残高レベル報告通貨以外の、補助元帳または仕訳レベルの報告通貨に適用されます。
次の表に、アプリケーションで報告通貨を設定する際に実行するステップの概要を示します。これらのステップは、次の項で詳細に説明します。
ステップの説明 | ウィンドウ名(職責) |
---|---|
ステップ1: 元帳の定義 | 会計設定マネージャ |
ステップ2: 通貨の使用可能化または定義、あるいはその両方 | 通貨(総勘定元帳) |
ステップ3: 報告通貨の定義 | 会計設定マネージャ |
ステップ4: 職責の定義 | 職責(システム管理者) |
ステップ5: データ・アクセス・セットの職責への割当 | システム・プロファイル値(システム管理者) |
注意: 日次レートは、元帳の取引を適切な報告通貨に換算するために使用します。日次レートを現在保守していない場合は、報告通貨を使用するときに、これも行う必要があります。
関連項目: 日次レートの入力
関連項目: 報告通貨の換算ルール
元帳を定義する必要があります。
注意: 元帳はOracle Applicationsの日々のビジネス取引を記録する場所です。元帳は特定の勘定体系、会計カレンダおよび元帳通貨を使用します。
注意: 関連項目: 会計設定マネージャでの元帳の定義
報告通貨を使用するには、報告通貨で使用する通貨がまだ使用可能になっていない場合、または事前定義通貨のリストに表示されない場合に、追加の通貨の使用可能化または定義、あるいはその両方を行うことが必要な場合があります。
この章を通して、元帳の通貨(元帳通貨)、報告通貨の通貨、および取引通貨の3つのコンテキストのうちの1つについて言及します。
元帳の通貨(元帳通貨): Oracle Applicationsで取引の記録と会計データの保守に使用する通貨。元帳通貨は、一般にビジネスのほとんどを処理する通貨であり、法定レポートに使用します。
報告通貨の通貨: 会計データの報告に必要な、元帳通貨以外の通貨。たとえば、1999年1月1日時点で、新しい汎ヨーロッパ通貨であるユーロが有効になりました。ユーロ通貨で報告する必要がある場合は、ユーロを元帳通貨とした元帳が必要になります。したがって、EUR通貨を使用可能にする必要があります。
取引通貨: 取引が発生する通貨。たとえば、カナダの組織が日本の組織と取引する場合に、発注書の発行、請求書の生成、請求書の支払および支払の受取りが日本円で行われる場合は、円を使用可能にする必要があります。
報告通貨を使用するには、会計設定マネージャの元帳に報告通貨を定義する必要があります。
注意: 報告通貨は元帳に関連付けられた財務レポート・エンティティです。報告通貨には元帳と同一の勘定体系および会計カレンダがありますが、通貨は通常異なります。
たとえば、本社がオーストラリアにあり、元帳通貨がオーストラリア・ドル(AUD)であるとします。また、カナダとドイツにそれぞれ1つの連結元があり、どちらも国内機能通貨で主要元帳を保守しているとします。つまり、カナダの連結元ではカナダ・ドル(CAD)を使用し、ドイツの連結元ではユーロ(EUR)を使用しています。各連結元は、連結先の通貨を使用して取引を分析および報告できるように、AUDの報告通貨を保守する必要があります。
注意: 関連項目: 会計設定マネージャ
General Ledgerで標準外貨仕訳を作成した場合は、元帳通貨または報告通貨の換算によって端数処理差異(借方勘定と貸方勘定間の差異)が生じることがあります。標準外貨仕訳の作成時にGeneral Ledgerで端数処理差異を処理するには、2つの方法があります。
状況次第では、報告通貨とソース元帳に同一の通貨を使用する必要があります。たとえば、外貨取引の換算レート変動の影響を除いた後に、元帳通貨で記録された処理の結果に基づいて財務予測と予算を作成すると仮定します。
予測金額と予算金額に多数の計算と調整を手動で行ってこれを作成するか、報告通貨を使用できます。ソース元帳と同じ通貨を使用する報告通貨を定義できます。次に、取引と仕訳の換算方法を管理する換算オプションを定義します。たとえば、変動日次レートを使用して外貨取引を換算するかわりに、報告通貨を設定して、内部的に定義する安定した企業レートを使用して取引を換算できます。
このアプローチには、いくつかの利点があります。
企業間予算処理、レポート管理および全世界での財務分析で、換算レート変動の影響が最小化されます。
勘定科目レベルの換算ではなく取引レベルの換算を使用することで、精度が向上します。
報告通貨を介して情報にすぐにアクセスできるので、報告サイクルが短縮されます。
複数元帳に計上される複数の会社があり、単一の通貨で一括表示する場合は、次の方法で報告通貨を設定できます。
各主要元帳に、レポート予定の通貨を使用する報告通貨を定義します。複数の会社を説明する元帳が異なる勘定体系またはカレンダを使用している場合は、報告通貨のかわりに補助元帳を定義する必要があります。報告通貨または補助元帳、あるいはその両方を定義した後、これらすべてを含む元帳セットを作成してすべての会社を同じ通貨でレポートできるようにします。
報告通貨を使用する前に、ユーザーまたはシステム管理者が組織の職責を定義する必要があります。これらの職責の目的は、ユーザーが1)報告通貨での照会および報告活動を実行するため、および2)減価償却の実行、General Ledgerへの転記/振替/インタフェース、再評価の実行などの特定のプロセスを実行するために必要な、適切なアクセス・レベルを提供することです。
職責は、ユーザーが組織内での役割に適したOracle Applicationsの機能とデータにのみアクセスするための、Oracle Applicationsの権限レベルです。各職責を使用して、特定のアプリケーション、元帳、限定されたウィンドウのリスト、限定された機能のリスト、および特定のアプリケーション内のレポートにアクセスできます。
注意:
このステップは、一般にシステム管理者によって実行されます。
標準元帳職責を使用して、発注書や請求書の作成などの日常活動を実行します。
標準な一般会計職責を使用するか、新規の職責を設定して、報告通貨の勘定残高のレポートおよび照会、または報告通貨の仕訳を直接入力、インポートする場合があります。たとえば営業活動を行う国の会計慣行に準拠するために、報告通貨で修正仕訳を入力する必要がありますが、ソース元帳では必要ありません。
職責を定義するには、「職責」ウィンドウを使用します。
注意: 『Oracle Applicationsユーザーズ・ガイド』の「職責」ウィンドウに関する項を参照してください。
システム管理者は前のステップで定義した各職責にデータ・アクセス・セットを割り当てる必要があります。これにより職責を持つすべてのユーザーが正しい報告通貨の勘定残高および仕訳にアクセスできるようになります。各データ・アクセス・セットには元帳、報告通貨および貸借一致セグメント値があり、これらにアクセスできます。『Oracle General Ledgerインプリメンテーション・ガイド』のデータ・アクセス・セットに関する項を参照してください。
注意: このステップは、一般にシステム管理者によって実行されます。
職責とデータ・アクセス・セットとの関連を作成するには、各職責に、データ・アクセス・セット名のプロファイル・オプションを職責レベルで設定します。
注意: 『Oracle Applicationsユーザーズ・ガイド』のユーザー・プロファイルの概要に関する項を参照してください。
報告通貨の換算ルールは、取引通貨と報告通貨間の換算レート関係が変動するか固定かによって異なります。関係が変動の場合は、2つの通貨間の換算レートが変動します。関係が固定の場合は、2つの通貨間の換算レートは一定で、特定の時点で固定されます。
注意: 1999年1月1日時点で、EMUのメンバー国の国内通貨は、汎ヨーロッパ通貨であるユーロのもう1つの単位になりました。ユーロとEMU通貨間では固定換算レートが使用されます。
変動換算レートの関係の換算ビジネス・ルールを次に説明します。
次の図に、取引通貨が主通貨と同じで、取引通貨と報告通貨間に変動レート関係が存在する場合に適用される換算ビジネス・ルールを示します。
取引通貨と元帳通貨が同じ場合は、元帳通貨への換算は不要です。取引通貨が報告通貨に換算される場合は、仕訳の元となった仕訳ソースおよび仕訳カテゴリに指定した適切な報告換算タイプが使用されます。
次の例に、取引通貨が主通貨および報告通貨と異なり、取引通貨と報告通貨間に変動レート関係が存在する場合に適用される換算ビジネス・ルールを示します。
仕訳の元となった仕訳ソースおよび仕訳カテゴリに指定した適切な報告換算タイプを使用し、取引通貨が報告通貨に換算されます。
注意: 上記に対する唯一の例外は、取引から主通貨への独自の換算レートを指定した場合です。このケースについては、次の図で説明します。
例1
オーストラリアの供給業者から、1,000.00オーストラリア・ドル(AUD)の請求書を受け取りました。組織では、元帳の請求書勘定科目に直物レートを使用しています。これは、カナダ・ドル(CAD)で保守されています。報告の目的で、社内換算レートを使用して金額を米ドル(USD)に換算します。
関連情報の要約:
取引通貨: AUD
元帳通貨: CAD
報告通貨: USD
直物換算レート(AUDからCAD): 0.9181
社内換算レート(AUDからUSD): 0.6409
請求書は次の方法で換算されます。
取引金額: 1,000.00 AUD
元帳通貨金額: 918.10 CAD (0.9181 * 1,000.00 AUD)
報告通貨金額: 640.90 USD (0.6409 * 1,000.00 AUD)
次の図に、取引通貨が主通貨および報告通貨と異なり、取引通貨と報告通貨間に変動レート関係が存在し、取引を入力するときに取引から元帳通貨への換算レートを指定した場合に適用される換算ビジネス・ルールを示します。
アプリケーションでは、指定したレートを使用して取引が元帳通貨に換算されます。換算レート・タイプは、元帳通貨と報告通貨の両方で「ユーザー」になります。
仕訳の元となった仕訳ソースおよび仕訳カテゴリに指定した適切な報告換算タイプを使用し、取引通貨が報告通貨に換算されます。
例2
オーストラリアの供給業者から、1,000.00オーストラリア・ドル(AUD)の請求書を受け取りました。供給業者との当初の契約は、カナダ・ドルでの価格を使用して交渉されました。契約時に使用された換算レートは0.8950(1オーストラリア・ドル=0.8950カナダ・ドル)でした。このレートは請求書にも指定されています。組織では、報告の目的で、社内換算レートを使用して金額を米ドルに換算します。
関連情報の要約:
取引通貨: AUD
元帳通貨: CAD
報告通貨: USD
直物換算レート(AUDからCAD): 0.8950
社内換算レート(CADからUSD): 0.6974
請求書は次の方法で換算されます。
取引金額: 1,000.00 AUD
元帳通貨金額: 895.00 CAD (0.8950 * 1,000.00 AUD)
報告通貨金額: 624.17 USD (0.6974 * 895.00 CAD)
次の図に、取引通貨が報告通貨と同じ場合に適用される換算ビジネス・ルールを示します。
取引通貨と報告通貨が同じ場合は、報告通貨への換算は不要です。報告通貨では、報告通貨金額として取引金額または仕訳金額が使用されます。
アプリケーションでは、次のいずれかの換算レート・タイプを使用して、取引が元帳通貨に換算されます。
取引通貨と報告通貨の両方がユーロまたはEMU通貨の場合、取引金額を報告通貨に換算するときに、取引通貨と報告通貨が同じでないかぎり換算レート・タイプ「EMU固定」が使用されます。この場合は、換算は不要です。
ユーロと各EMU通貨間で固定換算レートの使用を要求する欧州委員会のガイドラインに完全に従って、取引金額が換算されます。
例
1999年2月に、ユーロへの移行期間が開始した後、1,000ベルギー・フラン(BEF)の請求書を受け取ります。元帳は、まだ国内通貨単位(ベルギー・フラン)で保守されており、運用会計と財務会計をユーロに換算する準備を行っています。このため、元帳の通貨をユーロとした報告通貨を作成しました。
関連情報の要約:
取引通貨(EMU): BEF
元帳通貨(EMU): BEF
報告通貨: EUR
固定換算ファクタ(EURからBEF): 40.3399
請求書は次の方法で換算されます。
取引金額: 1,000.00 BEF
元帳通貨金額: 24.79 EUR (1,000 BEF / 40.3399)
関連項目
報告通貨では、Oracle Applications製品全体で使用されているのと同じ端数処理規則を使用して、金額が換算および計上されます。報告通貨では、Oracle Applicationsのすべての事前定義通貨の一部である次のようないくつかのファクタも考慮されます。
最小計上可能単位: 通貨で使用される最小の単位。これは、精度には対応していない場合があるので注意してください。
注意: Oracle Applicationsでは、ISO(国際標準化機構)規格#4217で指定されているすべての通貨が事前定義されています。
関連項目
注意: この章で特記されていないかぎり、報告通貨は、残高レベル報告通貨以外の、補助元帳または仕訳レベルの報告通貨に適用されます。
この項では、報告通貨の使用の考慮事項について説明します。これらの考慮事項を3つの分野にグループ化しました。
データを報告通貨に入力するための考慮事項: データを報告通貨に入力するための考慮事項の説明。
標準Oracle General Ledgerアクティビティの実行: 報告通貨が使用可能なときに、一部の標準Oracle General Ledgerアクティビティが新規ステップまたは追加情報をどのように要求するかを説明します。元帳と報告通貨の両方で実行する必要のある活動についても注意してください。
報告通貨関連アクティビティの正しい順序での完了: 特定のGeneral Ledger活動を正しい順序で完了することの重要性が増していることについて説明します。
Applications Desktop Integrator仕訳ウィザード: 「勘定タイプ固有の換算」を有効にしてある場合は、ソース元帳仕訳のADI仕訳ウィザードに処理の変更が発生します。
関連項目
標準Oracle General Ledgerアクティビティの実行
報告通貨を使用しているときは、報告以外のアクティビティの実行に注意が必要です。仕訳はユーザーの元帳から報告通貨に換算および複製され、その反対はないので、新規の仕訳を報告通貨に入力またはインポートするときに特に当てはまります。
注意: 報告通貨で新規の仕訳を入力、または既存の仕訳を変更すると、報告通貨を関連する元帳に調整することが困難となります。
一般に、報告通貨金額で報告する国の会計ルールは、元帳で使用する会計ルールと異なるので、報告通貨の残高を修正する必要がある場合は、報告通貨で新規仕訳を入力するか既存の仕訳を変更することを検討してください。
関連項目
標準Oracle General Ledgerアクティビティの実行
報告通貨が使用可能なときに、一部の標準Oracle General Ledgerアクティビティが新規ステップまたは追加情報をどのように要求するかを説明します。また一部アクティビティは元帳と報告通貨の両方で実行する必要があります。これらのアクティビティにはオープン期間、クローズ期間および再評価の実行が含まれます。
これらのアクティビティは元帳と報告通貨で別々に実行されるので、特定の会計期間に報告通貨をオープンのままにしながら、元帳をクローズできます。報告通貨の期間をオープンのままにすると、報告残高の調整と入力内容の修正により多くの時間が提供されます。
元帳および各報告通貨で、別々に会計期間をオープンおよびクローズする必要があります。元帳セットを使用して、元帳および報告通貨の会計期間を同時にオープンおよびクローズできるように設定する場合もあります。
関連項目: 会計期間のオープンおよびクローズ(『Oracle General Ledgerインプリメンテーション・ガイド』)、元帳セットの定義(『Oracle General Ledgerインプリメンテーション・ガイド』)
一部の仕訳は自動的に報告通貨に換算されますが、他の報告通貨は自動的に換算されません。
換算済仕訳
元の仕訳を、次のタイプの仕訳のソース元帳に転記すると、GL転記により換算済仕訳が報告通貨で自動的に生成および転記されます。
「仕訳データの入力」ウィンドウに入力する手動仕訳
定型仕訳と一括配賦
Oracle以外の外部システムからの未転記の仕訳
報告通貨をサポートしていないOracle補助元帳からの未転記の仕訳
注意: オプションとして、再評価仕訳を換算することがあります。関連項目: 再評価
未換算仕訳
SLAに対応した補助元帳の仕訳はGeneral Ledgerで換算されません。これらはSLAによって換算され、SLAは元の仕訳と報告通貨仕訳をGeneral Ledgerへインポートおよび転記用に転送します。
関連項目:
仕訳作成者をソース元帳から留保
プロファイル・オプションの「GL/MRC: 報告通貨の仕訳の作成ユーザーを主会計帳簿の仕訳から継承」を使用してどのユーザーを報告通貨仕訳の作成者として保存するかを指定できます。次の値が使用可能です。
Yes: 元帳で仕訳を転記すると、仕訳を作成したユーザーと同じ名前が、報告通貨仕訳の作成者として使用されます。
No:元帳で仕訳を転記すると、仕訳を転記したユーザーの名前が、報告通貨仕訳の作成者として使用されます。
注意:
報告通貨で仕訳に直接入力する場合は、報告通貨のみで逆仕訳できます。
「仕訳承認」が有効な場合: ソース元帳の元の仕訳を逆仕訳した結果として報告通貨で生成された逆仕訳は、報告元帳で「仕訳承認」が有効かどうかにかかわらず、承認の必要はありません。ソース元帳の元の仕訳の逆仕訳を承認した後は、報告通貨の逆仕訳に承認の必要はありません。
関連項目: 逆仕訳の定義
この章で前述したように、一般に、報告通貨に新規仕訳を入力またはインポートする際には注意が必要です。このため、Oracle General Ledgerの仕訳承認機能を使用して、報告通貨の仕訳が組織の承認階層を介して処理されるようにする必要があります。
仕訳承認は、ソース元帳と報告通貨で別々に使用可能にできます。仕訳は、次の表に示すように承認されます。
元帳 | 報告通貨 | 承認処理 |
---|---|---|
使用可能 | 使用可能 | ソース元帳で入力および承認された仕訳: ソース元帳の仕訳承認設定に基づく承認が必要。承認ステータスは、報告通貨の対応する換算済仕訳に繰り越されます。報告通貨で直接入力された仕訳: 報告通貨の仕訳承認設定に基づく承認が必要。ソース元帳での承認は不要です。 |
使用不可 | 使用可能 | ソース元帳で入力された仕訳: 報告通貨の仕訳承認設定にかかわらず、報告通貨の関連する換算済仕訳の承認は不要。承認ステータスは「N/A」に設定されます。報告通貨で直接入力された仕訳: 報告通貨の仕訳承認設定に基づく承認が必要。ソース元帳での承認は不要です。 |
使用可能 | 使用可能 | ソース元帳で入力および承認された仕訳: ソース元帳の仕訳承認設定に基づく承認が必要。報告通貨には適用不可。 報告SOBで直接入力された仕訳: ソース元帳または報告通貨での承認は不要です。 |
報告通貨で勘定残高照会を実行する際に、報告通貨残高を構成する仕訳詳細にドリルダウンできます。仕訳詳細が換算済仕訳の場合、つまりオリジナルの仕訳のソース元帳への転記時に自動的に換算された仕訳の場合は、さらにドリルダウンしてソース元帳通貨仕訳金額を参照できます。
元帳に仕訳を入力すると、仕訳に割り当てられている文書番号は元帳により決定され、報告通貨の換算済仕訳に同じ文書番号が割り当てられます。ただし、仕訳を報告通貨に入力した場合は、仕訳に割り当てられている文書番号は報告通貨により決定されます。
関連項目:仕訳の入力
文書連番の割当て(『Oracle General Ledgerインプリメンテーション・ガイド』)
「報告通貨」では、予算金額と予算仕訳は元帳から報告通貨に換算されません。予算金額を報告通貨でレポートする必要がある場合は、各報告通貨に対し、次の2つの方法から選択できます。
換算済予算金額を元帳で保守: この場合は、元帳の予算金額を報告通貨に換算し、元帳で換算済金額を保守します。これらの換算済予算金額を使用して、FSGレポートを作成できます。たとえば、予算の差異レポートで、換算済予算金額は元帳から取得し、報告通貨実績額は関連する報告通貨から取得できます。
報告通貨予算金額を手動入力: この場合は、報告通貨予算金額を別予算で保守します。この方法を使用するには、新規予算を設定し、報告通貨予算金額を手動入力する必要があります。
関連項目:
General Ledgerでは、関連する予算引当仕訳を元帳に転記すると、換算済予算引当を報告通貨で自動的に作成できます。
注意: 予算引当仕訳は、外貨仕訳としてではなく、報告通貨で入力した仕訳として、報告通貨に作成されます。
報告通貨を予算引当または予算管理、あるいはその両方と使用するには、会計設定マネージャで元帳の予算管理を有効にし、General Ledgerの標準設定タスクを実行します。
注意: 予算管理を直接報告通貨に対して有効にすることはできません。
関連項目:
複数報告通貨を使用している場合は、組織が操業している国の会計基準を満たすために、必要に応じて元帳と報告通貨で再評価を定期的に実行する必要があります。再評価は、一時、日次または期末換算レートを使用して外貨建ての勘定残高を調整するプロセスです。再評価金額は、仕訳の日付から再評価の日付までの換算レートの変更に基づき、未実現為替差損益勘定に転記される相殺を使用して、基礎となる勘定科目に転記されます。借方再評価修正はすべて、未実現収益勘定科目に対して相殺され、貸方修正はすべて、未実現損失勘定科目に対して相殺されます。収益フィールドと損失フィールドに同じ勘定科目が指定されている場合、再評価修正の正味額が導出されます。
貸借一致セグメントおよび副追跡セグメントによって、再評価を追跡できます。これにより、特定の勘定科目と通貨の外貨建て残高が再評価されます。結果の未実現為替損益金額は、貸借一致セグメント値と副追跡セグメント値によって貸借一致され、未実現為替差損益勘定科目に転記されます。
副追跡セグメントを使用可能にするには、「副追跡セグメント」クオリファイアを勘定体系のセグメントに割り当てます。副セグメントは、貸借一致勘定、会社間取引勘定または勘定科目にはできません。元帳で「副追跡セグメント」オプションを使用可能にします。
元帳の再評価仕訳は、貸借一致セグメント値と副追跡セグメント値のペアによって報告通貨に自動的に換算され、貸借一致されます。報告通貨では、元帳から再評価仕訳の各明細を正確に複製するのではなく、再評価仕訳を変更して、累積換算調整勘定科目に対する相殺行を使用して、元の再評価仕訳から未実現為替差損益仕訳明細が作成されます。相殺累積換算調整勘定科目(仕訳明細)も、貸借一致セグメント値と副追跡セグメント値のペアによって貸借一致されます。
報告通貨と取引通貨の間に換算差異がある場合は、外貨建て残高の報告通貨で再評価を実行します。累積換算調整勘定科目に相殺が適用され、貸借一致セグメント値と副追跡セグメント値のペアによって再度貸借一致されます。この2回目の再評価のGL勘定科目として、累積換算調整勘定科目を選択します。
関連項目:
再評価は、次のSFAS #52方式をサポートします。
SFAS #52一時方式
再評価処理ではSFAS #52(一時換算方式)の再評価基準がサポートされています。一時方式では、外貨建ての勘定科目を、換算元諸表の通貨で再評価する必要があります。このプロセスでは、国内経理通貨で記録した損益が生成されます。SFAS#52とその他の一時方式基準に従って、これらの損益を換算先財務諸表の通貨に再測定する必要があります。基礎となる資産および負債勘定科目もターゲット通貨で再評価し、結果の損益を報告通貨の累積換算調整勘定科目に記録する必要もあります。
このプロセスを容易にするために、General Ledgerは、元帳から各報告通貨に再評価仕訳を自動的に換算およびレプリケートし、再評価損益を適切な損益勘定科目または累積換算調整勘定科目に転送できます。これによって、決算処理と連結処理の速度が増し、複数元帳間で一貫性のある会計処理を行うことができます。
SFAS #52換算方式
SFAS #52換算方式では、元帳の元帳通貨残高を使用して、貨幣勘定残高と非貨幣勘定残高の両方を再評価し、報告通貨の再評価仕訳を作成します。
SFAS #52換算方式に準拠するには、プロファイル・オプション「GL/MRC再評価: 入力通貨のかわりに主会計帳簿通貨を使用」を「Yes」に設定します。
元帳に存在する金額のみ処理されます。関連する元帳への転記がなく、報告通貨に直接発生した転記は、再評価額の計算のときに無視されます。
貨幣資産の例の未払利息売掛/未収金では、入力された残高は、元帳通貨と報告通貨の両方に対して再評価されます。報告通貨残高が入力された通貨または元帳通貨から再評価されるかどうかに関係なく、実質的な違いはありません。
非貨幣資産の例の固定資産では、元帳残高は再評価されません。入力された残高に対する報告機能残高の再評価(再測定)は、元帳通貨に対する再評価(換算)と比較すると、実質的な違いがあります。
再評価処理を拡張し、SFAS #52をサポートするようにGeneral Ledgerを設定する方法には次の2種類があります。
損益計算書勘定に対する期間累計(PTD)再評価の設定
再使用可能な再評価範囲の設定
General Ledgerのプロファイル・オプション「GL: 損益計算書勘定再評価ルール」を使用して、期間累計(PTD)または年累計(YTD)残高を使用して損益計算書勘定を再評価するかどうかを指定できます。損益計算書勘定の期間累計残高の再評価を選択した場合、プログラムは、貸借対照表勘定の年累計残高を引き続き適切に再評価します。損益計算書勘定の期間累計残高を再評価すると、対応する各期間の期間レートを使用して加重平均年累計残高が作成され、SFAS No. 52標準に準拠した、より正確な結果が生成されます。
損益計算書勘定の再評価で「期間累計」(PTD)オプションを選択すると、再評価によって2つの仕訳が生成されます。一方によって貸借対照表勘定が再評価され、もう一方によって損益計算書勘定が再評価されます。その再評価は前期間の活動にのみ適用されるため、それ以降の期間では、損益計算書勘定のPTD再評価仕訳を逆仕訳する必要はありません。
注意: どちらのオプションを選択しても、貸借対照表勘定は、年度累計残高に従って再評価されます。損益計算書勘定は、「GL: 損益計算書勘定再評価ルール」のプロファイル・オプション・セットの定義に従って、期間累計残高または年度累計残高を使用して再評価されます。
ユーザー・レベルでは、このプロファイル・オプションの検討のみが可能です。システム管理者は、このプロファイル・オプションをサイト、アプリケーションまたは職責レベルで設定できます。
関連項目: General Ledgerプロファイル・オプションの設定(『Oracle General Ledger Reference Guide』)
新規の再評価の定義、既存の再評価の更新および再評価の削除が可能です。1回起動される、または定期的に起動するよう計画された要求セットに再評価をグループ化することもできます。
関連項目: 残高の再評価
報告通貨における再評価の方法は2つあります。
換算しない: 元帳の再評価によって発生した損益を報告通貨に換算しません。
換算: 元帳の再評価によって発生した損益を報告通貨に換算します。
会計設定マネージャで報告通貨の設定プロセス中に通貨の換算ルールを定義するときに、報告通貨に使用する方法を、次のように選択します。
再評価仕訳の換算を許可している換算ルールがないことを確認します。
注意: 換算ルールの「換算」オプションが「Yes」にされている場合、「カテゴリ」が「その他」の場合および「ソース」が「その他」の場合は、再評価損益が換算されます。
オプションとして、または再評価損益が換算される換算ルールがある場合は、次のパラメータを使用して、特に再評価仕訳の換算をできなくするよう設計されている換算ルールを作成します。
「換算」オプション: 「No」
カテゴリ: 「再評価」
ソース: 「再評価」
次のパラメータを使用して換算ルールを作成します。
「換算」オプション: 「Yes」
カテゴリ: 「再評価」
ソース: 「再評価」
注意: 換算ルールの「換算」オプションが「Yes」に設定されている場合、「カテゴリ」が「その他」の場合および「ソース」が「その他」の場合も同じ動作をします。
再評価損益を換算しないことを選択した場合、残高の再評価プロセスでは、元帳と報告通貨で再評価を別々に実行する必要があります。結果の再評価仕訳も、元帳と報告通貨の両方に転記します。再評価仕訳が元帳に転記されても、報告通貨には影響しません。
このアプローチは標準Oracle General Ledgerの機能を象徴するもので、元帳と報告通貨でそれぞれ独立して動作します。外貨を入力した取引がある場合に必要なのは、報告通貨による再評価の実行のみです。
関連項目: 残高の再評価
第2の再評価方法である再評価損益の換算は、より複雑です。次のフローチャートで、再評価プロセスを説明します。
この図の説明は、『Oracle General Ledger Reference Guide』の再評価仕訳の換算を選択した場合の再評価処理に関する項を参照してください。
この項の残りの部分では、元帳と報告通貨の両方に生成される会計仕訳を含め、各ステップをフローチャートで詳細に説明します。この情報を利用して、組織が操業する国の会計要件を満たすために使用するステップを決定します。
選択した外貨について、元帳で再評価を実行します。このプロセスでは、外貨で指定されている元帳の勘定残高について、換算レートの変更による損益を計算します。報告通貨への直接の影響はありません。
関連項目: 残高の再評価
このプロセスでは、元帳の通貨による再評価仕訳を生成します。
注意: 元帳に外貨で指定された残高がない場合、再評価仕訳は生成されません(再評価の対象がありません)。
各再評価仕訳には、次のものが含まれます。
貸借対照表の日付時点の換算レートを反映するために、外貨勘定残高の換算済金額を修正する明細。
仕訳の貸借一致に必要な金額は、選択した為替差損益勘定科目への入力として記録される。
入力済金額はゼロに設定されます。
再評価対象の勘定科目が互いに相殺されるために、元帳の再評価仕訳で損益明細が作成されない場合、報告通貨の換算後の再評価仕訳には、換算が実行されたが仕訳明細が得られなかったという内容のヘッダーが付きます。
例:
たとえば、次のシナリオについて考えます。
元帳通貨: EUR
報告通貨: USD
取引外貨: CAD、USD
換算レートは次のとおりです。
日付 | CADからEUR | CADからUSD | EURからUSD |
---|---|---|---|
9/5/99 | .632 | .670 | 1.06 |
9/20/99 | .652 | .678 | 1.04 |
9/30/99 | .639 | .680 | 1.06 |
また、レポート換算タイプ「期間平均」のレートを使用して再評価仕訳を換算する通貨換算ルールを定義したとします。-1999年9月の関連期間平均レートは1.053です。
9月には、次の4つの取引があります。
日付 | 勘定科目 | 入力済 | 計上済 |
---|---|---|---|
9/5 | AR | 1000 CAD | 632.00 EUR |
9/20 | AP | 1250 CAD | 822.50 EUR |
9/20 | AP | 500 EUR | 500.00 EUR |
9/20 | AR | 500 USD | 480.77 EUR |
取引外貨、CADおよびUSDに対して9月末に再評価が実行されると、新しい計上済金額は次のようになります。
日付 | 勘定科目 | 入力済 | 計上済 |
---|---|---|---|
9/5 | AR | 1000 CAD | 639.00 EUR |
9/20 | AP | 1250 CAD | 798.75 EUR |
9/20 | AP | 500 EUR | 500.00 EUR |
9/20 | AR | 500 USD | 471.70 EUR |
再評価は通貨で計算されます。
CADの再評価
CADでの取引をEURで再評価すると(AR 632.00 - 639.00)(AP 822.50 - 798.75)、AR(借方)が7 EUR増え、AP(借方)が23.75減っています。この結果、元帳に次の再評価仕訳が生成されます。
勘定科目 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
売掛金 | 7.00 | |
買掛金 | 23.75 | |
為替差損益 | 30.75 |
USDの再評価
USDでの取引をEURで再評価すると(480.77-471.70)、AR(貸方)が9.07 EUR減っています。この結果、元帳に次の再評価仕訳が生成されます。
勘定科目 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
為替差損益 | 9.07 | |
売掛/未収金 | 9.07 |
両方の仕訳入力の結果を組み合せると(30.75-9.07)、月間の純為替差損益はこの勘定科目で21.68の貸越になります。この項の残りの部分は、この例に基づいて説明します。
元帳に、ステップ1で生成された再評価仕訳を転記します。
転記で、再評価仕訳が報告通貨の通貨に換算されます。
換算済再評価仕訳の場合は次のようになります。
元帳の再評価仕訳の為替差損益は、換算ルールで指定したレポート換算タイプの関連レートを使用して換算されます。通常は、期間平均レートを使用します。
たとえば、期間平均レートのレポート換算タイプ「平均」を使用し、報告通貨の設定時に次の換算ルールを作成したとします。
「換算」オプション: 「Yes」を選択
カテゴリ: 「再評価」
ソース: 「再評価」
報告換算タイプ: 「平均」
元帳通貨がEURで、報告通貨がUSDの場合、-1999年9月の再評価を実行すると、再評価仕訳は、-1999年9月に対して定義された平均レート・タイプを使用して換算されます。
報告通貨の再評価仕訳金額の貸借一致は、累積換算調整勘定科目に対して行われます。修正は、他の貸借対照表勘定科目に対しては行われません。
例:
ステップ 1で紹介した例を続けると、次のようにユーロの元帳のEUR再評価仕訳がUSD報告通貨に換算されます。
CADの再評価
差益は、30.75(元帳の再評価仕訳による差益)に-1999年9月の「期間平均」レートである1.053(EURからUSD)を乗じて計算します。
30.75 EUR X 1.053 = $ 32.38
この結果、次の仕訳入力が生成されます。
勘定科目 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
累積換算調整勘定 | 32.38 | |
為替差損益 | 32.38 |
USDの再評価
差損は、9.07(元帳の再評価仕訳による差損)に-1999年9月の「期間平均」レートである1.053(EURからUSD)を乗じて計算します。
(9.07) EUR X 1.053 = ($ 9.55)
この結果、次の仕訳入力が生成されます。
勘定科目 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
為替差損益 | 9.55 | |
累積換算調整勘定 | 9.55 |
両方の再評価の正味結果は、為替差損益勘定で$22.83の差益です。
注意: 元帳に金額を入力した元の通貨が報告通貨の通貨と異なる場合のみ、残りのステップを実行してください。そうでない場合は、報告通貨でさらなる処理は必要ありません。
例:
この例では、最初に金額が入力された通貨はUSD、CADおよびEURです。報告通貨はUSDです。一部の取引は通貨が異なるため、CADおよびEURの取引の残りのステップについて説明します。報告通貨はUSDであるため、USD取引は再評価の必要がありません。
元帳のオリジナルの入力済金額の通貨が報告通貨の通貨と異なる場合は、報告通貨で再評価を実行します。累積換算調整勘定科目に為替差損益を記録することを選択します。
このプロセスでは、報告通貨に外貨(報告通貨以外の通貨)で指定された勘定残高の、換算レートの変更による差損益を計算します。
このプロセスでは、報告通貨の通貨による再評価仕訳を生成します。
各再評価仕訳には、次のものが含まれます。
貸借対照表の日付時点の換算レートを反映するために、外貨勘定残高の換算済金額を修正する明細。
仕訳の貸借一致に必要な金額は、選択した勘定科目への入力として記録されます。累積換算調整勘定科目を選択する必要があります。
入力済金額はゼロに設定されます。
例:
前のステップの例を続けながら、USD報告通貨を検討します。次のような日次レートを使用すると、4つの当初取引がUSDに換算されます。
日付 | 勘定科目 | 入力済 | 日次レート | 報告通貨に計上されたUSD |
---|---|---|---|---|
9/5 | AR | 1000 CAD | .670 | $ 670.00 |
9/20 | AP | 1250 CAD | .678 | $ 847.50 |
9/20 | AP | 500 EUR | 1.04 | $ 520.00 |
9/20 | AR | 500 USD | n/a | $ 500.00 |
最初の3つの取引で最初に入力された通貨はUSDではないため、9月30日の時点でこれらの通貨を再評価し、関連する取引の修正を計算します。最後の取引はUSDで入力されたために再評価の必要がなく、報告通貨では入力金額の500 USDのままになります。
再評価が実行されると、報告通貨で新しい計上済金額は次のようになります。
日付 | 勘定科目 | 入力済 | 期末レート | 報告通貨に計上されたUSD |
---|---|---|---|---|
9/5 | AR | 1000 CAD | .680 | $ 680.00 |
9/20 | AP | 1250 CAD | .680 | $ 850.00 |
9/20 | AP | 500 EUR | 1.06 | $ 530.00 |
9/20 | AR | 500 USD | n/a | $ 500.00 |
再評価は通貨ごとに計算されます。
CADの再評価
CADでの取引を期間末のレートを使用してUSDで再評価すると(AR 670.00 - 680.00)(AP 847.50 - 850.00)、AR(借方)が$ 10.00増え、AP(貸方)が$ 2.50増えています。この結果、USDの報告通貨に次の再評価仕訳が生成されます。
勘定科目 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
売掛金 | 10.00 | |
買掛金 | 2.50 | |
累積換算調整勘定 | 7.50 |
EURの再評価
EURでの取引を期間末のレートを使用してUSDで再評価すると(520.00 - 530.00)、AR(貸方)が$ 10.00減っています。この結果、USDの報告通貨に次の再評価仕訳が生成されます。
勘定科目 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
累積換算調整勘定 | 10.00 | |
為替差損益 | 10.00 |
この3つの仕訳明細の入力済金額はすべてゼロです。
両方の通貨に対する再評価の実質的な効果として、ARは増加も減少もなく、APの正味貸方が$ 2.50です。その結果、正味貸方$2.50が累積換算調整勘定に入力されます(最初にUSDで入力された取引は、USDの報告通貨で再評価されません)。
報告通貨に、ステップ4で生成された再評価仕訳を転記します。
換算と連結の詳細は、「換算と報告通貨」を参照してください。
元帳で「移動/マージ」および「移動/マージ逆仕訳」を実行する必要があります。これらの変更は各報告通貨で自動的に作成されます。
関連項目: 一括保守
順次採番を使用し、報告通貨とソース元帳の仕訳で(Receivables、Payables、Purchasing、Projects、およびAssetsで生成される番号以外の)同じ番号を維持する場合は、報告通貨で個別の連番を作成しないでください。個別の番号を使用すると、報告通貨に定義した連番が使用され、元帳と報告通貨間で文書番号が一致しなくなります。
関連項目
報告通貨とソース元帳との間には複数の依存性があります。したがって、正しい順序で期間開始タスク、日々の会計タスク、および期間クローズ・タスクを完了することが重要です。ガイドラインの一部を次に示します。
期間の仕訳を作成またはインポートする前に、元帳と報告通貨の両方で会計期間をオープンします。換算済仕訳は期間がオープンまたは先日付入力可能な場合のみ、報告通貨で生成されます。
日次換算レートを入力して、仕訳を報告通貨のそれぞれに換算します。
次の期末タスクを完了する必要があります。
元帳での未転記の全仕訳の転記を前のステップでまだ実行していない場合は、ここで実行します。
報告通貨での未転記の全仕訳の転記を前のステップでまだ実行していない場合は、ここで実行します。
元帳と報告通貨の両方で、再評価を実行します。各元帳に再評価バッチの結果を転記します。
関連項目: 再評価
必要なレポートを元帳と報告通貨の両方から生成します。
関連項目
標準Oracle General Ledgerアクティビティの実行
注意: この章で特記されていないかぎり、報告通貨は、残高レベル報告通貨以外の、補助元帳または仕訳レベルの報告通貨に適用されます。
会社で報告通貨を使用する前に、検討の必要がある次のような重要課題があります。
インストールのタイプ: Oracle Applicationsの新規インストールで報告通貨をインプリメントする場合と、以前のバージョンのOracle Applicationsからアップグレードした後で報告通貨を使用可能にする場合に発生する様々な問題。
関連項目: インストールのタイプ
報告通貨の勘定残高の初期化: 様々なインストール・タイプに関する、報告通貨の開始勘定残高の初期化方法の説明。新規の報告通貨を新規または既存の元帳に追加する必要があるときは常に従う必要のある手順が含まれています。
関連項目:
期間の選択が換算に与える影響: 第1取得時換算期間と最初の先日付換算期間の決定の重要性の説明。
関連項目: 期間の選択が換算に与える影響
関連項目: アップグレード・シナリオ2での報告通貨の定義
次の表に、この章で使用される用語およびその定義を示します。
3つの特定のタイプのインストールで報告通貨を使用できます。
アップグレード・シナリオ1: Oracle Applicationsリリース11以降にアップグレードし、新規の元帳に報告通貨を定義する既存顧客。
アップグレード・シナリオ2: Oracle Applicationsリリース 11以降にアップグレードし、既存の元帳に報告通貨を定義する既存顧客。
関連項目
新規インストールまたはアップグレード・シナリオ1での報告通貨の定義
報告通貨で勘定残高を照会および報告する前に、報告通貨の期首残高を初期化する必要があります。この項のステップでは、勘定残高を初期化する方法について説明します。
重要: 次のステップで概説する初期化プロセスを開始した後は、初期化プロセスが正常に完了するまで、総勘定元帳に新規仕訳を転記しないでください。詳細は、「インストールのタイプ」を参照してください。
報告通貨の設定ステップを実行します。
関連項目: 報告通貨の設定
このステップは、アップグレード・シナリオ1で新規元帳に対して報告通貨を定義するときのみ実行します。新規元帳で、初期期間の勘定残高を初期化する必要があります。これらの残高は、ステップ4で報告通貨に換算される残高です。
初期残高を元帳にロードする前に、通貨の換算ルールに適切な仕訳ソースとカテゴリが含まれ、初期仕訳が報告通貨に換算されることを確認してください。
仕訳インポートを使用して、初期残高を新規元帳にロードすることをお薦めします。これらの残高は、手動または自動で作成したファイルに基づいている場合があります。このファイルを自動的に作成する方法の1つとして、初期期間の終了時点で入力済および計上済の年累計実績残高を旧元帳から抽出するSQLスクリプトを記述する方法があります。
新規元帳の残高を初期化する方法として、General Ledgerの「仕訳データの入力」ウィンドウを使用して手動で入力する方法もあります。
注意: 換算と連結を使用して新規元帳の残高を初期化すると、外貨で入力された金額と残高は繰り越されません。
次のステップで勘定残高を初期化する前に、報告通貨で初期期間をオープンしていることを確認します。新規の報告通貨を追加する場合は、第1一般会計期間を慎重に選択します。
初期期間の終了時、ステップ2で作成されたすべての仕訳を元帳に転記する必要があります。
すべての仕訳を転記すると、元帳の期末勘定残高が確実に最新の状態になります。これにより報告通貨に対する転記済仕訳が自動的に作成されます。
総勘定元帳で、元帳と報告通貨の両方に最初の先日付換算期間をオープンします。これにより、最初の先日付換算期間の期首勘定残高が自動的に作成されます。
関連項目
既存のOracle Applicationsのインストレーションをアップグレードした後、既存の元帳に報告通貨を定義する場合は、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを使用する各報告通貨の勘定残高を初期化する必要があります。
既存の元帳に対して報告通貨を定義した後、General Ledgerにより、元帳に入力する新規の仕訳への報告通貨の換算が開始されます。ただし、報告通貨の勘定残高は、報告通貨を定義する時点では、自動的に初期化されず元帳の勘定残高と同期化されません。このため、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行して残高を初期化する必要があります。
「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラム
元帳のすべての外貨および元帳通貨残高に基づいて報告通貨で勘定残高を初期化するために、General Ledgerの「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行します。適切な会計標準に適合するために残高の換算に使用する換算レートを制御できます。この会計基準には、ユーロおよびEMU通貨に対してECにより定義された特定の通貨換算および端数処理要件が含まれます。
「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムは、指定した期間から初期期間までの元帳の勘定残高を換算します。元帳内で特定の範囲の勘定科目を換算することを選択できます。勘定科目を選択しない場合、すべての残高が換算されます。
この項では、初期化に適した日付と期間、特に次の期間を決定する重要性を概説します。
最初の先日付換算期間
第1取得時換算期間
最初の先日付換算期間の選択は、組織で行う必要のある業務上の決定です。会計年度の初日に開始する最初の先日付換算期間を選択することを検討してください。会計年度の初日時点では、すべての残高タイプ(日次、期間累計、四半期累計および年累計)が完全に同期しています。また、報告通貨で部分的な年残高を作業する必要はありません。
また、
報告通貨を使用可能にした四半期の四半期累計報告通貨残高が正しいことを保証するために、最初の先日付換算期間は第1四半期にしてください。
平均残高処理を使用し、報告通貨の平均残高を報告する必要がある場合は、会計年度の初日に開始する最初の先日付換算期間として選択します。これにより、平均期間累計、平均四半期累計および平均年累計通貨残高が正確になります。
最初の先日付換算期間は、最初の先日付入力期間である必要があります。また、先日付入力可能期間を許可しない場合は、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラム実行時のGeneral Ledgerで最初の未オープン期間である必要があります
下の図に、最初の先日付換算期間と「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムによる残高の換算方法との関係を示します。
報告通貨初期化ダイアグラムの説明は、『Oracle General Ledger Reference Guide』の報告通貨初期化ダイアグラムに関する項を参照してください。
「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムの実行時に、会計設定マネージャの「取得時換算」セクション、「報告通貨」定義にある「元の換算レート・タイプを留保」オプションを設定して残高の換算に使用する換算レートを決定します。このオプションは次のように設定されます。
No: このオプションは、会計設定マネージャの「取得時換算」セクション、「報告通貨」に示される「取得時換算レート基準日」および「取得時換算レート・タイプ」により決定される換算レートを使用して、勘定残高を元帳から報告通貨に換算します。
Yes: このオプションを使用できるのは、元帳と報告通貨との間にEMU固定関係がある場合のみで、当初取引換算レートから報告通貨金額を導出します。EMU固定レートが使用されます。
会計設定マネージャの「取得時換算」の「報告通貨」定義にある「元の換算レート・タイプを留保」オプションを「No」に設定する際に、元帳の勘定残高を報告通貨に換算するためにどの換算レートを使用するかを管理します。たとえば、General Ledgerでは、貨幣勘定を換算する適切な期末日次レート、および非貨幣勘定を換算する加重平均レートを使用できます。
特定の詳細レベルでレートを指定しない場合、すべての取引と残高は、初期化レートを使用して換算されます。
初期化レートは、取引通貨から報告通貨への組合せごとに指定した、単一で一意の日次レートです。たとえば、元帳の仕訳が3種類の通貨(USD、AUDおよびDEM)で指定され、2つの報告通貨(EURとCAD)に換算するとします。また、最初の先日付換算期間は-1999年1月1日以降であるとします。次の組合せの通貨に対して初期化レートを定義する必要があります。
入力済取引 | 取引通貨をEUR報告通貨へ変更するレート | 報告通貨金額 - EUR | 取引通貨をCAD報告通貨へ変更するレート | 報告通貨金額 - CAD |
---|---|---|---|---|
100 USD | 1.05 | 105.00 | 1.75 | 175.00 |
250 AUD | 0.623 | 155.75 | 0.95 | 237.50 |
2,000 DEM | 固定レート: DEMをEURへ = 1.95583 | 1,022.58 | 三者間消込: DEMをEURへ = 1.95583 CADをEURへ = 1.3 | 1,329.36 |
この例では、EURからDEMへのレートは、実際には-1999年1月1日に設定されたユーロとDEM間の固定レートなので注意してください。-1999年1月1日をすぎると、EMU通貨に関係する換算はEMUの固定レートを使用して実行するので、このレートは、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムがDEMからCADへの換算を実行するために必要です。報告通貨がこの換算を実行するために行う計算は次のとおりです。
初期化レートは、取得時換算プロセス用に定義したレート・タイプを使用して、日次レートとして定義する必要があります。定義した後で、このレート・タイプは会計設定マネージャの「取得時換算」セクションにある「報告通貨」定義で入力され、初期化レートを定義するために使用されます。
注意: 「複数通貨」の章では、換算レート・タイプの定義方法、日次レートの入力方法およびEURからEMUへの関係とレートの定義方法が説明されています。
General Ledgerの勘定残高は、次のように換算されます。
General Ledgerの勘定残高: 貨幣勘定残高(実績)および資産勘定残高(実績)は単一の初期化レートを使用して換算されます。
非貨幣勘定残高(実績)は、加重平均レート(使用可能な場合)を使用して換算されます。外貨入力残高は、報告通貨に繰り越されます。
予算引当では、金額は、元帳通貨と報告通貨間の初期化レートを使用して換算されます。予算引当は、報告通貨のみに入力されます。報告入力予算引当金額は、換算された報告計上済予算引当金額と同額に設定されます。
この換算オプションを選択できるのは、最初の先日付換算日またはそれ以前に、元帳と報告機能通貨との間にEMU固定関係があるときのみです。報告通貨の実際の計算は、元帳と報告通貨との間のEMU固定ファクタを使用して元帳通貨金額を換算することで行われます。「初期化レートの使用」換算オプションとは異なり、取引通貨から報告通貨への組合せごとに、単一で一意の日次レートを指定する必要はありません。
この換算オプションが仕訳を換算する方法を説明するため、FRFの元帳のGeneral Ledger仕訳が3つの通貨(USD、EURおよびFRF)で示され、EUR報告通貨に換算する場合を考えます。また、最初の先日付換算期間以前に、元帳と報告通貨との間にEMU固定関係があるものとします。
入力済取引 | 取引通貨を元帳通貨へ換算するレート | 元帳通貨の金額 | 元帳を報告通貨へ換算するレート | 報告通貨の金額 |
---|---|---|---|---|
100 USD | 6.07 | 607 FRF | EMU固定6.55957 | 92.26 EUR |
250 EUR | 6.55957 | 1640 FRF | EMU固定レート6.55957 | 249.28 EUR |
5000 FRF | 5000 FRF | EMU固定レート6.55957 | 760 EUR |
この例では、換算レートは元帳通貨と報告通貨との間のEMU固定ファクタで、取引通貨と元帳通貨との間で使用されるレートは、元帳通貨の金額を取得して報告通貨に換算することで入手されます。
次の換算オプションの換算日は次のとおりです。
「元の換算レート・タイプを留保」オプションを「Yes」に設定: 換算が当初取引レートから導出されるため、報告通貨では元帳と同じ日付が使用されます。日付が存在しない場合は取引日が使用されます。
「元の換算レート・タイプを留保」オプションを「No」に設定: 日付は会計設定マネージャの「報告通貨」ページにある「取得時換算」セクションで指定された換算日です。
次の表は、前の項で説明した「初期化レートの使用」換算オプションに関する情報を示します。これには取引を換算するために「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムが使用する換算レート、換算日および関連付けられた換算レート・タイプの説明が含まれます。
これらの表の説明は、『Oracle General Ledger Reference Guide』の換算要約情報に関する項を参照してください。
アプリケーション | 使用したレート10 | レート | 換算日 | 換算レート・タイプ |
---|---|---|---|---|
General Ledger | 貨幣勘定科目の初期化レート 非貨幣勘定科目の加重平均レート | 日次 取得時 | 初期化3 初期化3 | ユーザー定義1 取得時2 |
1 初期化レートの換算レート・タイプを指定します。この目的には新しい換算レート・タイプを定義することをお薦めします。
2 GLでの取得時レートの定義により報告通貨で非貨幣勘定残高を初期化する加重平均レートを指定します。
3 初期化日は会計設定マネージャの「報告通貨」ページにある「取得時換算」セクションで指定された換算日です。
報告勘定残高は、General Ledgerの「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムで初期化されます。このユーティリティの基本手順は、選択した換算オプションによって異なります。
「元の換算レート・タイプを留保」オプションを「Yes」に設定
入力時通貨による元帳の期間累計勘定残高を初期期間で指定した第1取得時換算期間で始まる報告通貨に換算し、第1取得時換算期間以前の期間の年累計勘定残高を換算します。
「元の換算レート・タイプを留保」オプションを「No」に設定
入力時通貨による元帳の年累計勘定残高を第1取得時換算期間以前の期間の報告通過に換算します。
実績金額の場合、仕訳の入力済金額と換算済通貨金額は、次の表のようになります。予算引当金額は、「予算引当残高の初期化方法」を参照してください。
次の単位で指定された元帳の入力済実績残高 | 報告通貨の入力済実績残高 | 報告通貨の実績残高 |
---|---|---|
報告通貨と同一ではない外貨 | 元帳の外貨入力済勘定残高 | 貨幣勘定の初期化レートおよび非貨幣勘定の加重平均レートを使用して換算された元帳の外貨入力済勘定残高、または当初の取引レートから導出されたレートを使用して換算された元帳の外貨入力済勘定残高 |
報告通貨と同一の外貨 | 元帳の外貨入力済勘定残高 | 元帳の外貨入力済勘定残高 |
元帳通貨 | 元帳の勘定残高 - すべての外貨入力済金額に相当する元帳通貨 | 貨幣勘定の初期化レートおよび非貨幣勘定の加重平均レートを使用して換算された計算済の外貨入力済勘定残高 |
注意: 報告通貨に初期化仕訳を手動で転記する必要があります。この処理は、最初の先日付換算期間がクリーンであることを保証するため、最初の先日付換算期間をオープンする前に行うことをお薦めします。仕訳を転記することで、元帳の期間から換算された報告勘定残高が初期化されます。後で最初の先日付換算期間をオープンしたときに、初期期間の期末残高がロール・フォワードされ、最初の先日付換算期間の期首報告勘定残高になります。
注意: 「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムが正常に完了するまで、報告通貨で仕訳を入力しないことをお薦めします。
「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムは、報告通貨の留保利益勘定に対する初期化仕訳を精算します。これは、異なる換算レートを使用して元帳残高を報告通貨に換算する際に発生する累積換算調整の金額に必要になります。
報告通貨の予算引当残高は、実績残高と同じように初期化されます。Oracle Applicationsの予算引当の性質により、差異が発生します。元帳に予算引当を入力するときに、予算引当金額は元帳通貨でのみ入力できます。結果の入力済金額と計上済金額は同じになります。
「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行する際、計上済の予算引当金額は報告通貨に換算されます。報告通貨での予算引当金額に対する入力済金額および計上済金額の両方とも、この換算済金額と等しくなります。
元帳通貨と報告通貨の両方で、予算引当の入力済金額と計上済金額は、それぞれ常に元帳通貨と報告通貨で指定されます。
この項では、以前に初期化した場合に新規の報告通貨で残高を初期化する次のタスクを説明します。
ヒント: 実動データベースを初期化する前に、データベースのコピーを使用してパイロットの初期化を実行することをお薦めします。これにより、実際の初期化にどれだけの時間がかかるかという重要な情報や、ロールバック・セグメントのサイズ設定に関するガイドを入手できます。また、パイロットの初期化によって、潜在的な問題のある部分を識別し、実際の初期化を実行する前に解決方法を開発できます。
既存のOracle Applicationsのインストールのリリース 11以降へのアップグレード、および報告通貨の初めての初期化には、入念な計画と準備が必要です。初期化を正しい順序で実行するためには、適切な順序で完了する必要のある相互依存ステップが数多くあります。初期化プロセスは時間がかかる場合があり、1つ以上の報告通貨に換算する必要のある取引データと勘定残高が大量にある組織では、特に時間がかかります。
これらの理由で、初期化プロセスの最初のタスクとして、初期化計画の記述を準備することをお薦めします。この項では、初期化計画に含める必要のある最低限の手順について説明します。計画で考慮する必要のある様々な問題と考慮事項についても説明します。
ステップ1: 報告通貨関連の文書の確認
ステップ2: 初期化する報告通貨の決定
ステップ3: 最初の先日付換算期間の決定
ステップ4: 「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムの実行時期の決定
ステップ5: 初期化計画の準備
報告通貨を使用しての開始および初期化の実行前に、この章をしっかりと読んでください。
報告通貨を初期化するために換算を必要とするデータは大量にあるため、取引の計上と報告を確実に行う必要がある報告通貨に対する報告通貨のみを作成することが重要です。勘定残高と営業結果の報告を必要とするその他の報告通貨については、General Ledgerの換算機能の使用を検討します。
関連項目: 換算と報告通貨
最初の先日付換算期間は、報告通貨で取引および残高を報告できる最初の会計期間です。
注意: Oracle Applicationsのアップグレードの目的には、できるかぎり初期期間の終わりに近いときに「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行することをお薦めします。関連項目: ステップ4: アップグレード・ユーティリティの実行時期の決定
最初の先日付換算期間として使用する期間を決定するときは、次の質問の回答を考えてください。
ビジネスの観点からみて、報告通貨での勘定残高の報告は、いつ開始する必要がありますか? 日付が各通貨で異なる場合は、報告通貨の実装をフェーズに分けることを検討する必要があります。
会計カレンダはいつから開始しますか? 報告通貨はいつでも使用可能にできます。ただし、最初の先日付換算期間を会計カレンダの年度の最初の期間と同期させることには大きな意味があります。このようにすると、報告通貨には、年度の部分的なデータではなく、年度の所得および費用データがすべて含まれます。
最初の先日付換算期間を次のものと同期させることも検討する必要があります。
四半期の第1期間。これにより、第1四半期の四半期累計報告通貨残高が適切に表されます。
報告通貨で平均残高処理の使用を計画している場合は、会計年度の初日。これにより、会計年度の第1期間の期間平均累計、四半期平均累計および年平均累計報告通貨残高が適切に表されます。
EMUメンバー国で営業していますか? その場合は、最初の先日付換算期間の選択を、ユーロの会計および報告の実装計画と調整する必要があります。
元帳がEMU通貨で指定され、報告通貨がユーロで指定されたユーロにおいて、最初の先日付換算期間に会計年度の最初の日が含まれない場合、ユーロの報告通貨でのオープン年累計収益および費用の勘定残高は、EMU元帳にある前の期間のクローズ残高と同一です。
重要: 「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムは、最初の先日付換算期間が最初の先日付入力可能期間であることを検証します。先日付入力可能期間を許可しない場合は、プログラムの実行時に元帳のGeneral Ledgerで最初の未オープン期間であることを検証します。このようにしない場合、プログラムは勘定残高を換算せず、エラーありで終了します。
これは非常に重要な問題です。 1999年3月に報告通貨実装の実行を計画し、1999年3月1日が最初の先日付換算期間の初日であるとします。1999年3月が、総勘定元帳の最初の先日付入力可能期間であるか、先日付入力可能期間を許可していない場合は最初の未オープン期間であることを確認しました。また、プログラムを実際に実行する前に、1999年3月が総勘定元帳の最初の先日付入力可能期間でなくなり、先日付入力可能期間を許可していない場合は最初の未オープン期間でもなくなるように、追加の会計期間をオープンしたとします。
新規期間をオープンした結果、1999年3月は、総勘定元帳の最初の先日付入力可能期間ではなく、先日付入力可能期間を許可していない場合は最初の未オープン期間でもないので、最初の先日付換算期間ではなくなります。1999年3月を最初の先日付換算期間として、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行することはできません。新しい最初の先日付換算期間および最初の先日付換算日付を選択し、アップグレードを再計画する必要があります。選択する新規期間が、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行する時点で総勘定元帳の最初の先日付入力可能期間か、先日付入力可能期間を許可していない場合は最初の未オープン期間であることも確認してください。
以降の項で詳細に説明するように、初期化を完了するには十分な時間が必要です。
「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムの実行時期をすでに決めた場合、初期化が行われるように計画した日付を選択し、初期化プロセスの実行に十分な時間を計画します。
初期化プロセスを実行するときに考慮するステップには、次のものが含まれます。
元帳のクリーン・アップ
すべての換算パラメータの決定
最初の先日付換算期間が「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムの実行に関するすべての必要条件を満たすことを確認します。関連項目: ステップ3: 最初の先日付換算期間の決定
既存のデータのバックアップ
報告通貨、職責および期間の定義
初期化の実行に必要な時間を判断するときには、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行する前に、十分な時間をかけて元帳のクリーン・アップと準備を行ってください。元帳をクリーン・アップすると、報告通貨に必要なデータのみが換算されます。
初期化の実行に必要な時間を判断するときは、換算を計画している取引量も考慮する必要があります。一定の管理を実行できます。
元帳から換算する範囲を指定できます。「元の換算レート・タイプを留保」オプションを「Yes」にして使用している場合、報告通貨の累計勘定残高のどの期間を換算するかを指定できます。
重要: 「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムの実行期間を判断する際には、処理中に監視する必要がある次の重要な要件を忘れないでください。
・報告勘定残高を初期化するまで、元帳または報告通貨に仕訳を転記しないでください。
・初期化が正常に完了するまで、元帳または報告通貨で最初の先日付換算期間をオープンしないでください。
Oracle Applicationsのアップグレードの目的では、できるかぎり初期期間の終わりに近いときに「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行することをお薦めします。初期期間の末日の業務のクローズ時にプログラムを実行することが理想的です。ただし、多くの組織では、次のような理由でこれは現実的ではありません。
初期化プロセス中は、すべての取引処理を中断する必要があります。
大容量のデータベースがある一部の組織では、初期化プロセスに一晩以上かかることがあります。
この場合、プログラムの実行中にすべての取引プロセスをより容易に休止できる週末に「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行することをお薦めします。たとえば、最初の先日付換算期間が1999年の4月1日に開始するようにすると想定します。
4月1日は木曜日なので、おそらく、すべての取引処理を中断するのに適した日ではありません。したがって、3月27日または4月3日の週末に「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行することになります。関連項目: 日付/期間の選択が換算に与える影響
この項で示した情報に基づいて、初期化計画の記述を準備します。
この項では、初期化を準備するときに完了する必要のあるステップについて説明します。
ステップ1: 期間のメモとカレンダの検討
ステップ2: 報告通貨の最初のGL期間の決定
ステップ3: 換算ディメンションの決定
ステップ4: 換算エクステントの決定
ステップ5: ロールバック・セグメント・サイズの決定
初期化を準備するときに、計画プロセス中に決定した最初の先日付換算期間と初期期間をメモしておきます。これらの重要な期間は、初期化を実行するときに使用されます。
最初の先日付換算期間
最初の先日付入力可能期間である必要がありますが、先日付入力可能期間を許可しない場合は、初期化の実行時に元帳のGeneral Ledgerの最初の未オープン期間である必要があります。
調整期間にすることができます。
最初の先日付換算期間が、初期化ユーティリティを実行する日に前述の基準を満たすように、正しい手順を実行する必要があります。
初期期間については、次の点に注意してください。
初期期間は、最初の先日付換算期間の直前の期間です。
調整期間を初期期間にすることはできません。
注意: General Ledgerで最初の先日付換算期間が調整期間よりも前の場合は、初期化を実行する目的で、その調整期間を最初の報告通貨期間として選択することをお薦めします。たとえば、会計カレンダに次の期間が含まれており、報告通貨での取引と残高の報告を1999年1月に開始するとします。
DEC-98
ADJ-98
JAN-99
最初の期間を調整期間(ADJ-98)にするため、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行する目的でJAN-99を最初の先日付換算期間としては選択できません。そのため、DEC-98を初期期間にするADJ-98を最初の先日付換算期間として選択します。
DEC-98の最終日またはJAN-99の初日にできるかぎり近い日でプログラムを実行します。
報告通貨に対してGeneral Ledgerで最初のオープン期間を決定する必要があります。最初の先日付換算期間より以前の期間でデータを報告通貨に換算するように計画し、日付前取引に対する適切な会計を確認するには早すぎる場合は、第1取得時換算期間または最初の先日付換算期間より前の最初のオープン期間を選択したことを確認します。
初期化を準備するときに、初期化中に使用する換算ディメンションを決定する必要があります。最初に、換算オプションを決定する必要があります。
換算オプション: 初期化に使用する換算オプションを決定します。これにより、取引または残高の換算に使用するレートが決定されます。関連項目: 取引の換算に使用されるレート
「元の換算レート・タイプを留保」オプションを「No」に設定した場合は、換算オプション、通貨、換算日、換算レート・タイプおよび換算レートを含む、次の換算ディメンションを決定する必要があります。
通貨: 仕訳が指定されたすべての通貨を決定します。
また、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムの実行を計画するすべての報告通貨のすべての元帳通貨を決定します。これらの報告通貨は計画プロセス中に決定済です。関連項目: ステップ2: 初期化する報告通貨の決定
換算日: 会計設定マネージャの「取得時換算」リージョンにある「報告通貨」ページで使用する換算日を決定します。これは、報告勘定残高の初期化のために「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムが使用する初期化レートの通貨換算日になります。
関連項目: 取引の換算に使用されるレート
注意: ユーロの場合は、換算日を変更すると、取引と残高が報告通貨に換算される方法に影響する場合があります。--1999年1月1日以降の換算日を入力した場合は、ユーロとEMU通貨間に固定レート関係が施行されます。また、取引は、欧州委員会で規定されている三角法ルールを使用して換算されます。たとえば、取引通貨がCAD、報告通貨がBEF、換算日が-1999年1月1日と仮定します。この場合は、まず、--1999年1月1日の時点でCADとユーロ間に存在する日次レートを使用して、取引がCADからユーロに換算されます。次に、ユーロとBEFの間に存在する固定レートを使用して、ユーロ金額がBEFに換算されます。
1999年1月1日より前の換算日を入力した場合は、EMU通貨との間での取引と残高の換算に、可変日次レートが使用されます。たとえば、取引通貨がCAD、報告通貨がBEF、換算日が1998年12月31日と仮定します。この場合は、1998年12月31日にCADとBEFの間に存在する日次レートを使用して、取引が換算されます。
換算レート・タイプ: 初期化中に、2つの換算レート・タイプを定義する必要があります。
取得時換算レート・タイプ: この換算レート・タイプは、会計設定マネージャの「取得時換算」リージョンの「報告通貨」ページで指定されます。この換算レート・タイプのレートは、前述したように、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムの残高および取引の換算に使用されます。関連項目: 取引の換算に使用されるレート
デフォルトのレート・タイプ: この換算レート・タイプは、「通貨換算オプション」オプションで指定されます。この換算レート・タイプのレートは、報告通貨が使用可能な際に取引の換算に使用されます。関連項目: 取引の換算に使用されるレート
重要: 特に「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを使用する場合、新しい換算レート・タイプを定義することをお薦めします。元帳に入力した外貨通貨取引やプログラムが正常に完了した後に報告通貨により換算されるすべての取引など、通常の取引プロセスで使用する換算レート・タイプは使用しないでください。
報告金額が初期化中に換算されたのか通常プロセス中に換算されたのかを簡単に判断できるため、個々の換算レート・タイプを使用すると、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムの実行後に主要通貨および報告通貨を消し込むことが容易になります。
換算レート: 元帳の勘定体系および現行の標準会計(たとえば、SFAS #52(U.S.))について考えます。使用する必要がある換算レートを決定し、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムの実行時にすべての取引金額および勘定残高を換算可能なことを確認します。
General Ledgerの勘定残高すべてを初期化するか、勘定の特定範囲のみを初期化するかを決定します。勘定の特定範囲のみの初期化を選択した場合、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムの実行後に元帳と報告通貨の同期化および調整が行われない場合があることに注意してください。
さらに、「元の換算レート・タイプを留保」オプションを「Yes」に設定する場合、最初の取得済換算期間を選択することで、勘定残高を換算する最初の先日付換算期間の前の期間の数を決定できます。最初の取得済換算期間は、報告通貨での期間累計残高の照会および報告を、いつ開始するかに基づいて選択することをお薦めします。
初期化プロセス中に処理される大量のデータを扱うには、ロールバック・セグメントのサイズを増やす必要があります。ロールバック・セグメントの詳細は、次を参照してください。
この項では、初期化を準備するときに完了する必要のあるステップについて説明します。
ステップ1: 元帳の定義
ステップ2: 元帳の準備
ステップ3: 報告通貨の通貨の使用可能化または定義、あるいはその両方
ステップ4: 報告通貨の定義
ステップ5: (オプション)報告職責の定義
ステップ6: 報告職責へのデータ・アクセス・セットの割当
ステップ7: 報告通貨での期間のオープン
ステップ8: 換算レート・タイプの定義
ステップ9: 換算レートの入力
ステップ10: 月末レポートの実行
ステップ11: (オプション)元帳での期間のクローズ
ステップ12: ロールバック・セグメント・サイズの設定
関連項目: ステップ1: 元帳の定義
元帳の初期期間では、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムの実行前にGeneral Ledgerが最新を維持できるように、通常の月末終了手順を実行することをお薦めします。
特に、初期期間に対して元帳にすべての仕訳を転記します。すべての未処理取引と仕訳を転記すると、元帳の期末勘定残高が最新になります。
次のことも強くお薦めします。
精算勘定と仮勘定科目をすべて精算します。
勘定残高を消し込み、未解決の問題を解決します。
「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムの実行前に仕訳の転記すべてを休止する必要があります。元帳の準備の終了後は、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムが正常に完了するまではあらゆる新規の仕訳を転記しないでください。
関連項目: ステップ3: 報告通貨の通貨の使用可能化または定義、あるいはその両方
関連項目: ステップ4: 報告通貨の定義
報告通貨を定義します。報告通貨は自動的にシステム生成のデータ・アクセス・セットへ追加されます。このデータ・アクセス・セットは元帳および元帳の報告通貨用に作成されます。このシステム生成のデータ・アクセス・セットを職責に割り当てている場合、同一の職責を使用して報告通貨にアクセスできます。選択する場合、報告およびプロセスの報告通貨に対して個々の職責を定義できます。
関連項目: ステップ5: 報告職責の定義
前のステップで定義したGeneral Ledgerの報告職責を報告通貨を含むデータ・アクセス・セットに割り当てます。
このステップ中、システム管理者はGeneral Ledgerの報告職責に対してプロファイル・オプション「GL: データ・アクセス・セット」を設定する必要があります。
関連項目: ステップ6: 報告職責へのデータ・アクセス・セットの割当
「期間のオープンおよびクローズ」ウィンドウまたはSRSプログラムを使用して、報告通貨で初期期間の最初のGeneral Ledger期間および連続した期間をオープンします。初期化準備タスク中に最初のGeneral Ledger期間を決定しました。関連項目: 報告通貨の最初のGL期間の決定
重要: このステップ中に最初の先日付換算期間をオープンしないでください。
関連項目: 会計期間のオープンおよびクローズ(『Oracle General Ledgerインプリメンテーション・ガイド』)
元帳で、アップグレード準備タスク中に決定した換算レート・タイプを定義します。関連項目: 換算ディメンションの決定
関連項目: 換算レート・タイプの定義
元帳で「No」に設定した「元の換算レート・タイプを留保」オプションを使用している場合、初期化準備タスク中に、決定した換算を必要とするすべてのレートを入力します。関連項目: 換算ディメンションの決定
日次レート: General Ledgerの「日次レート」ウィンドウを使用して、初期化準備プロセスで決定した取得換算日と換算タイプについて初期化レートを入力します(関連項目: 換算ディメンションの決定)。元帳に入力した取引通貨と換算先の報告通貨の組合せごとに、初期化レートを1つ入力する必要があります。
また、「日次レート」ウィンドウを使用して、最初の先日付換算期間の初日から日付レートを入力します。会計設定マネージャの「通貨換算オプション」セクションにある「報告通貨」ページで定義した換算レート・タイプを使用します。
注意: また、General Ledgerの「日次レート」インタフェース表に日次レートを自動的にロード、または通貨レート・マネージャのスプレッドシートのアップロードを使用できます。
関連項目:
加重平均レート: 「取得時レート」ウィンドウを使用して、初期期間の加重平均レートを入力します。換算タイプには「取得時」を使用します。
注意: 初期期間の一部の勘定科目に対して取得時レートがすでに定義され、これらのレートを勘定残高の換算に使用しない場合は、既存の取得時レートを削除します。特定の勘定科目の残高の換算に使用する加重平均レートを入力してください。
「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムが正常に完了した後に、このプログラムの実行を目的として入力した加重平均レートを削除し、以前に削除した取得時レートを再入力します。
関連項目: 取得時レートの入力
EURからEMUへの固定レート: まだ入力していない場合は、ユーロからEMU通貨への換算に使用する固定レートを入力します。
General Ledgerからの月末レポートの通常設定を元帳に対して実行します。これらのレポートは、報告通貨で元帳金額を換算済金額に合わせるために後で使用します。特に、「詳細残高試算表」レポートおよび「入力通貨総勘定元帳」レポートを実行することをお薦めします。
注意: 元帳でそれぞれの入力済通貨に対して「入力通貨総勘定元帳」レポートを実行します。
元帳内で最初の先日付換算期間より前のすべてのオープン期間をクローズすることをお薦めします。このステップが必要ない場合は、General Ledgerに対するこれらの期間のクローズにより「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムの実行中に取引を入力できないことを確認します。
関連項目:
会計期間のオープンおよびクローズ(GL)(『Oracle General Ledgerインプリメンテーション・ガイド』)
ロールバック・セグメント・サイズを、初期化準備タスクで決定した量に設定します。ロールバック・セグメントの要件の詳細は、次を参照してください。
関連項目: OracleサポートのMetaLink Webサイトで入手できる『MRC Installation Notes』
この項のステップを完了して、初期化を実行します。
ステップ1: 仕訳の停止
ステップ2: 実働データベースのバックアップ
ステップ3: 報告通貨の設定
ステップ4: 報告通貨での期間のオープン
ステップ5: 「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムの実行
ステップ6: 報告通貨の初期期間のクローズ
ステップ7: 報告通貨の調整
ステップ8: 総勘定元帳の最初の先日付換算期間のオープン
「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行する前に、元帳のすべての仕訳入力を中断する必要があります。プログラムを実行する場合は、仕訳を入力しないでください。
初期化プロセスを開始する前に、実働データベースをバックアップします。取得時換算プロセスに失敗した場合は、このバックアップを使用して、データベースを初期化プロセス開始前の状態に復元します。
注意: 処理中に「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムが失敗した場合は、再起動できます。換算オプションを変更する必要がある場合、またはカスタマ・サポートにより変更の指示がある場合は、実働データベースの復元のみ必要です。
取得時換算の報告通貨を構成するには、報告通貨を定義する必要があります。元帳通貨および報告通貨は同じカレンダを共有しているので、元帳に設定した会計期間は報告通貨と同期化されます。
ただし、報告通貨では、元帳の期間のオープンとは別に、総勘定元帳で必要な期間をオープンする必要があります。たとえば、次のステップでは、総勘定元帳報告通貨で期間をオープンするように指示されます。
「会計設定マネージャ」へのアクセス権のある職責を使用して「総勘定元帳」にログインします。「会計設定マネージャ」にナビゲートします。
「元帳」または「会計設定」を選択します。
「会計オプション」ページから、「報告通貨」設定ステップを選択して設定を完了します。
現在、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行するように計画している報告通貨に対して、「取得時換算」セクション内の報告通貨の次のオプションを定義します。
最初の先日付換算期間
「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムで選択した報告通貨の口座残高を初期化するように計画している場合は、最初の先日付換算期間を指定します。値リストから「最初の先日付換算期間」を選択できます。値リストには、元帳内の先日付入力可能な総勘定元帳期間、または未オープンの総勘定元帳期間のみ表示されることに注意してください。
関連項目: 最初の先日付換算期間の決定
注意: 前に報告通貨に対して「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行して結果を転記していて、その後関連する最初の先日付換算期間を変更する場合は、報告通貨に対して「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを再実行する際、予測できない初期報告勘定残高を取得する可能性があります。また、元帳と報告通貨間での逆仕訳整合性を失うというリスクがあります。
前に報告通貨に対して「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行していて、その後関連する最初の先日付換算期間を削除する場合は、報告通貨に対して「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを再実行できません。また、元帳と報告通貨間での逆仕訳整合性を失います。
「元の換算レート・タイプを留保」オプション
注意: 取引通貨と報告通貨が同じ場合、換算は発生せず、入力した取引金額は報告通貨の換算済金額と等しくなります。
次の2つのオプションから1つを選びます。
No: 取得時換算レート日付および取得時換算レート・タイプによって決まる換算レートを使用して、入力した取引金額を報告通貨に換算します。
Yes: 当初取引換算レートから報告通貨金額を導出します。実際の報告通貨金額の計算では、元帳通貨と報告機能通貨間でEMU固定レートを使用して元帳通貨金額が換算されます。取引金額は初期化レートに基づいて暗黙的に再評価されません。したがって、通貨調整は生成されません。
「元の換算レート・タイプを留保」に対するオプションは、EMUの固定レート関係が、最初の報告日の当日またはそれ以前の元帳通貨および報告通貨間に存在する場合のみ使用可能です。
換算日: 取得時換算プロセス中に適用する換算レート・タイプに対して換算レートの基準日を入力します。この日付は初期化換算レートに定義した日付と同一であることを確認してください。必要な場合のみ、換算日を変更します。
ユーロ報告通貨では、換算日が1999年1月1日の当日かその後である場合、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムにより、EMU通貨建ての仕訳を換算する際にユーロ通貨およびEMU通貨間の定義済の固定レート関係が使用されます。また、ECの規定どおり、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムでは換算時に必要な場合は三者間消込が使用されます。地方の法的規制で必要な場合は、プログラムにより、換算済金額が端数処理されます。
換算タイプ: 以前に初期化レート用に定義した換算レート・タイプを入力します。
関連項目: 換算ディメンションの決定
元帳に割り当てる各報告通貨に対し、「報告通貨」設定ステップを繰り返します。
重要: 異なる報告通貨に対する異なる最初の先日付換算期間を使用して報告通貨の分割実装を計画している場合、この時点では今後の報告通貨を定義しないでください。「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを使用して残高を初期化する報告通貨の定義のみを行います。
「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行する前に、第1取得時換算期間より前の期間から最初の先日付換算期間の前の期間まで、報告通貨に対する総勘定元帳内のすべての期間をオープンしていることを確認します。
元帳通貨および報告通貨の各組合せに対して「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行します。
注意: 一定範囲の勘定科目の換算を選択する場合は、範囲の指定時に、英字のセグメント値を考慮してください。たとえば、4文字の勘定科目セグメントがあり、3999より大きい勘定科目をすべて換算する場合は、4000から9999ではなく4000からZZZZの値を入力します。
報告通貨で作成された初期化仕訳を転記します。
総勘定元帳で、報告通貨の初期期間までの期間をクローズします。これにより、報告通貨のこれらの期間への仕訳の入力および転記が確実にできなくなります。
元帳金額で報告通貨金額を調整します。必要な場合は報告通貨金額への入力内容を修正し、正確な報告通貨残高を確認します。
次に示すタスクでは、残高が複数の入力済通貨を持つ仕訳から構成される総勘定元帳勘定科目の調整方法を説明します。残高が同一通貨建ての仕訳から構成される場合は、取得時換算プロセスの前と後に実行したレポート間で勘定残高を比較することにより、簡単に勘定科目を調整できます。
報告通貨で、事前初期化タスク中に実行した「総勘定元帳レポート」と同一のレポートを実行します。関連項目: 月末日レポートの実行
元帳について実行した入力通貨総勘定元帳レポートを使用して、各勘定残高のうち、外貨で入力された仕訳から導出された部分を判別します。元帳の各入力通貨に対して、レポートを実行している必要があります。
各元帳の勘定残高のうち、元帳通貨で入力された仕訳から導出された部分を判別します。これを行うには、元帳の詳細残高試算表レポートで示される勘定科目期末残高から、前のステップで判別した金額を差し引きます。
例:
元帳通貨がUSDで、報告通貨がEURであるとします。また、元帳に入力および転記された仕訳が3つしかないとします。仕訳の入力済通貨は、CAD、USDおよびEURです。各仕訳には、売掛管理(AR)への貸方が含まれます。
さらに、取得時換算プロセスに対して定義した換算レートには、次のものが含まれるとします。
換算元通貨 | 換算先通貨 | 換算レート |
---|---|---|
USD | EUR | .85 |
CAD | EUR | .5667 |
元帳(取得時換算前)の詳細残高試算表レポートは、$5,500のAR期末残高を示します。これは、ARに転記された3つの仕訳の計上済金額の組合せです。
元帳(取得時換算前)で実行したCADの入力通貨総勘定元帳レポートは、3,000 CAD(入力済金額)および$2,000(元帳通貨換算後の計上済金額)のAR期末残高を示します。
元帳(取得時換算前)で実行したEURの入力通貨総勘定元帳レポートは、2,125 EUR(入力済金額)および$2,500(機能通貨換算後の計上済金額)のAR期末残高を示します。
AR勘定残高のうち、元帳通貨(USD)で実際に入力された部分を算出するには、合計のAR計上済残高から、CADとEURの計上済部分を差し引きます。USDで入力および計上された金額は、$1,000($5,500 - 2,000 - 2,500)です。
報告通貨について実行した入力通貨総勘定元帳レポートを使用して、各勘定残高のうち、入力済通貨が報告通貨でない仕訳から導出された部分を判別します。報告通貨の各入力通貨について、レポートを実行している必要があります。
各報告通貨の勘定残高のうち、入力時通貨が報告通貨である仕訳から導出された部分を判別します。これを行うには、報告通貨の詳細残高試算表レポートで示される勘定科目期末残高から、前のステップで判断した金額を差し引きます。
例(続き):
報告通貨(取得時換算後)の詳細残高試算表レポートは、4,675 EURのAR期末残高を示します。これは、ARに転記された3つの仕訳の計上済金額の組合せです。
CADの報告通貨(取得時換算後)で実行した入力通貨総勘定元帳レポートは、3,000CAD(入力済金額)および1,700 EUR(元帳通貨換算後の計上済金額)のAR期末残高を示します。
USDの報告通貨(取得時換算後)で実行した外貨建総勘定元帳レポートは、$1,000(入力済金額)および850 EUR(元帳換算後の計上済金額)のAR期末残高を示します。
AR勘定残高のうち、報告通貨(EUR)で実際に入力された部分を算出するには、合計のAR計上済残高から、CADとUSDの計上済部分を差し引きます。EURで入力および計上された金額は、2,125(4,675 EUR - 1,700 - 850)です。
元帳通貨と報告通貨の入力済勘定残高が同じであることを確認します。
例(続き): 両方の元帳の入力済金額は、3,000 CAD、2,125 EURおよび1,000 USDです。
報告通貨の勘定科目に対して入力済金額および計上済金額を決定した後、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムで使用するために定義した適切な換算レートを入力済金額に掛けて換算済計上済金額を再計算します。
例(続き):
CAD: 3,000 CAD X .5667 = 1,700 EUR
USD: $1,000 X .85 = 850 EUR
EUR: 計上済金額は、入力済金額と同じ2,125 EURです。
元帳通貨と報告通貨間での相違に気付いた場合は、相違の原因を判断し、処理のコースを決定します。報告通貨の入力内容を修正して相違を消去します。 または、取得時前のデータベースを復元して元帳を変更し、同じ最初の先日付換算期間を使用して「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを再実行します。
総勘定元帳で、元帳と報告通貨の両方に最初の先日付換算期間をオープンします。これにより、最初の先日付換算期間の期首勘定残高が自動的に作成されます。
次の初期化後のステップを完了します。
ステップ1: 通貨および仕訳換算ルールの定義
ステップ2: 報告職責の定義
ステップ3: 報告職責への報告通貨の割当
ステップ4: (オプション)年度末繰越の実行
「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムにより、勘定残高を構成する個別の仕訳のソースおよびカテゴリにかかわらず、すべての勘定残高を換算します。プログラムの実行後にこれらの仕訳の1つを逆仕訳する場合、仕訳ソースおよび逆仕訳された仕訳のカテゴリが通貨の換算ルールに含まれないときは、報告通貨で逆仕訳は発生しません。つまり、報告通貨ではなく元帳に逆仕訳が存在するため元帳通貨および報告通貨は同期化されません。
このため、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムの実行時に存在した逆仕訳の可能性のある仕訳を含む通貨の換算ルールを確実に定義する必要があります。
関連項目: 仕訳ソースおよびカテゴリの換算(『Oracle Financialsインプリメンテーション・ガイド』)
以前に定義していない報告職責を定義します。
関連項目: ステップ4: 職責の定義
以前に割り当てていない報告通貨を報告職責に割り当てます。
このステップの間、各報告職責に対してシステム管理者をプロファイル・オプションである「GL: データ・アクセス・セット」に設定します。
関連項目: ステップ5: データ・アクセス・セットの職責への割当
General Ledgerでは、「年度末繰越」が元帳ですでに実行されている場合、または第1取得時換算期間が複数の会計年度にわたる場合は、「年度末繰越」は報告通貨で実行される必要があります。
これは、次の会計年度の第1期間の期首残高として予算引当のみを繰り越しますが、翌月の期間活動として予算引当を繰り越すわけではありません。会計年度末に予算引当を繰り越さない場合は、すべての予算引当が自動的にゼロに設定されます。
これまでのタスクをすべて正常に完了すると、通常の取引処理を再開する準備ができます。元帳への仕訳の入力を開始でき、前述したように、転記プログラムにより仕訳が報告通貨に自動的に換算されます。
関連項目
標準Oracle General Ledgerアクティビティの実行
報告金額および報告残高の整合性および調整性を確認するには、取得時換算が正常に完了した後、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを使用不可にすることをお薦めします。その後、新規の報告通貨に対して取引の換算および勘定残高の初期化を行う必要がある場合は、プログラムを再度使用可能にします。
Oracle Applicationsにシステム管理者としてログインします。
「コンカレント・プログラム」ウィンドウにナビゲートします。
問合せGLMRCUは、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムのプログラム短縮名です。
「使用可能」チェック・ボックスを選択すると、プログラムが使用可能になります。チェック・ボックスの選択を解除すると、プログラムが使用不能になります。
作業内容を保存します。
この項では、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行するために必要なパラメータについて説明します。
「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを実行します。このプログラムにより報告通貨に仕訳が作成され、元帳から換算された期間の実績または予算引当の勘定残高が初期化されます。
報告通貨に初期化仕訳を転記し、最初の先日付換算期間をオープンした後で、実績と予算引当の報告残高が初期化されます。
選択する換算オプションにかかわらず、「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムでは次を実行します。
換算済金額を使用して、報告通貨に初期化仕訳入力を作成します。
初期化仕訳では、「報告通貨オープン残高」という名称の仕訳ソースと仕訳カテゴリが使用されます。仕訳の有効日は、元帳から換算された期間の末日です。仕訳明細摘要には、次のように様々な情報が表示されます。
初期化レートを使用して換算された金額の仕訳明細の摘要は、「仕訳インポートが作成されました」になります。
加重平均レートを使用して換算された非貨幣勘定科目金額の仕訳明細の摘要は、「取得時レート: <レート> を使用して換算」になります。レートは、換算の実行に使用される加重平均レートです。
留保利益の修正の摘要は、「累積換算調整」になります。
「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムを元帳職責から実行します。プログラムを発行すると、次のパラメータの指定を求められます。
元帳: 残高を換算する元帳の名称を入力します。
報告通貨: 勘定残高を初期化する報告通貨の名称を入力します。
フレックスフィールド:自/至: (オプション)残高を報告通貨に換算する勘定科目範囲を入力します。これらのパラメータを空白のままにすると、すべての勘定残高が換算されます。
注意: 選択した勘定科目を換算する場合は、勘定科目範囲の英字のセグメント値を考慮してください。たとえば、4文字の勘定科目セグメントがあり、3999より大きい勘定科目をすべて換算する場合は、4000から9999ではなく4000からZZZZの値を入力します。
第1取得時換算期間: このパラメータにより、最初の先日付換算期間に自動的にデフォルト設定されます。「元の換算レート・タイプを留保」オプションを「No」に設定する場合は、デフォルトを変更できません。「元の換算レート・タイプを留保」オプションを「Yes」に設定する場合は、期間累計勘定残高が元帳の入力時通貨により換算される第1期間を入力します。このユーティリティにより、初期期間を介して第1取得時換算期間から勘定残高を換算します。
「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムにより、次の妥当性チェックが実行されます。
最初の先日付換算期間: 最初の先日付換算期間を検証し、最初の先日付入力可能な期間であることを確認するか、または先日付入力可能な期間を許可しない場合は、元帳のGeneral Ledgerの最初の未オープン期間であることを確認します。
第1取得時換算期間: プログラムにより、報告通貨内の最初の先日付換算期間ではない場合でも、選択した第1取得時換算期間が最初の先日付換算期間の前に存在する有効な期間であることを検証します。
報告通貨: 指定した報告通貨が有効な報告通貨であることを確認し、「元の換算レート・タイプを留保」オプションを「Yes」に設定する際にその報告通貨が指定した元帳に定義されることを確認します。
仕訳ソースと仕訳カテゴリ: 「報告通貨オープン残高」という新しい仕訳ソースと仕訳カテゴリがデータベースに存在することを確認します。
換算レート: 元帳のすべての残高について、入力時通貨と報告通貨の組合せごとに初期化レートが存在することを確認します。
いずれかの妥当性チェックが失敗した場合は、残高が換算される前に「報告通貨 - 報告通貨での期首残高仕訳の作成」プログラムがエラー状態で停止します。エラー・メッセージはログ・ファイルで確認できます。
注意: この章で特記されていないかぎり、報告通貨は、残高レベル報告通貨以外の、補助元帳または仕訳レベルの報告通貨に適用されます。
報告通貨の期末のアクティビティのレポートには「勘定科目タイプ固有の換算」を使用できるため、再評価と換算を何回も実行して最新の報告通貨残高を入手する必要はありません。この機能は、多国籍の顧客、特に大量の外部システム取引があり、期末のクローズ・サイクルで頻繁な調整が行われる金融サービスに適しています。
この効率化されたプロセスでは、勘定科目タイプに従ってSFAS 52再測定取引に準拠した期間または取得時レートを使用することで、取引が直接換算されます。元帳に入力された取引は、貸借対照表勘定科目の期末レートおよび損益計算書勘定科目の期間平均レートを使用して、報告通貨に換算できます。資本項目ごとに取得時レートまたは取得時金額を指定することもできます。
報告通貨勘定科目タイプ固有の換算では、リアルタイムの再評価および換算システムがシミュレートされます。これにより、期間のクローズ・サイクル中に再評価と換算を複数回実行する必要がなくなります。再評価は転記によって実行回数が減り、元帳では外貨によるすべての貸借対照表取引で期末レートが使用され、外貨によるすべての損益計算書取引では期間平均レートが使用されます。換算は報告通貨(仕訳および補助元帳レベル)機能で置き換えられ、報告通貨情報が取引レベルと残高レベルの両方で維持されます。報告用仕訳の報告通貨金額は、取引通貨ではなく元帳通貨から換算することで計算されます。取得時レートまたは取得時金額は、すべての資本またはその他の取引に対して入力できます。報告通貨は入力済金額からではなく計上済金額から計算されるので、取引通貨と報告通貨が同じ場合でも、報告通貨金額は取引通貨と同一でない場合があります。元帳通貨での通貨換算差異はすべて報告通貨の累積換算調整勘定科目に把握されます。
貸借対照表勘定科目および損益計算書勘定科目に対する、異なるレートを使用した元帳への外貨取引の転記は、ADI 7.0以降でサポートされています。仕訳ウィザード・スプレッドシートを作成するときに複数外貨仕訳を選択するのみで、明細の換算タイプは入力しません。取得時レートまたは取得時金額が必要な資本またはその他の取引では、ワークシートの対応する列に必要な換算レートまたは換算金額を入力するのみです。
報告通貨勘定科目タイプ固有の換算をサポートする手順は、次のとおりです。
通貨換算タイプの作成
「仕訳の変更 - 仕訳明細」付加フレックスフィールド
新しいプロファイル・オプションの設定
端数処理差異勘定科目の使用可能化および設定
通貨換算レートの移入
それぞれのステップについて、次に詳細を説明します。
注意: 勘定科目タイプ固有の換算が使用可能な場合、報告換算タイプが無視されます。報告通貨への換算は、取引通貨からではなく元帳通貨から行われます。
報告通貨が主仕訳で使用された換算タイプを継承するかどうかを決定します。
注意: 勘定科目タイプ固有の換算機能が使用可能な場合は、このオプションが無視されます。
損益計算書および貸借対照表の換算レートを保持する通貨換算タイプは、「換算レート・タイプ」フォームで作成されます。これらの換算タイプは、ADIで元帳通貨を換算するために使用されます。元帳通貨から報告通貨に換算を転記するときにも使用されます。
この付加フレックスフィールドに対して、次の2つの一意なセグメントを定義する必要があります。
レート番号
金額番号
これらのセグメントは「報告通貨勘定タイプ固有の換算」で排他的に使用されます。他の値を保持するためには使用しないでください。それぞれのセグメントに対して、「付加フレックスフィールド・セグメント」ウィンドウの「値必須」フィールドのチェックを外す必要があります。
このセグメントは、ソース元帳通貨をその仕訳明細の報告通貨に換算するための上書き取得時レートになります(レート・セグメント)。
このセグメントは、報告通貨で表された取得時金額を保持します(金額セグメント)。
サイト、アプリケーションおよび職責レベルで使用可能にされる、6つの新しいプロファイル・オプションが用意されています。これらのプロファイル・オプションを職責レベルで割り当てる場合は、元帳の職責に割り当てる必要があります。
次のプロファイル・オプションがあります。
このオプションでは、損益計算書(収益または費用)取引を取引通貨から元帳通貨へ、また元帳通貨から報告通貨へ換算するための日次換算タイプを指定します。通常、これは期間の平均通貨換算レートです。同一のレートを期間の各日に入力する必要があります。
このオプションでは、貸借対照表(資産、負債および資本)取引を取引通貨から元帳通貨へ、また元帳通貨から報告通貨へ換算するための日次換算タイプを指定します。通常、これは期末換算レートです。同一のレートを期間の各日に入力する必要があります。
このオプションは、ADIで入力された取得時レートまたは金額の適用対象となる、主要報告通貨を識別します。それぞれの元帳に対して、主要報告通貨は1つのみ存在できます。その他すべての報告通貨に関しては、上書き取得時レートまたは金額が使用されず、勘定科目タイプに基づいてすべての金額が換算されます。
上書き取得時レート(通常は資本明細のもの)を保持している仕訳明細付加フレックスフィールド内のセグメントを示す、付加フレックスフィールド・セグメント名です。
注意: このプロファイル・オプションの値によって、この機能全体が使用可能になります。
上書き取得時金額(通常は資本明細のもの)を保持している仕訳明細付加フレックスフィールド内のセグメントを示す、付加セグメント列名です。
「GL/MRC: 取得時レート/金額の上書きを使用する報告会計帳簿」、「GL/MRC: 取得時レート・セグメント」または「GL/MRC: 取得時金額セグメント」プロファイル・オプションが職責レベルで設定されている場合は、同じ元帳の別の職責にこれらのオプションと同じ値が設定されていることを確認する必要があります。
外貨取引を元帳または報告通貨に換算した場合、仕訳明細が異なる為替レートで換算されるために、残高不一致になることがあります。端数処理差異機能では、このような残高不一致金額が独立した仕訳明細で追跡されます。この機能はソース元帳に設定すると使用可能になります。この機能を選択するときは、端数処理差異の追跡に使用する勘定科目も識別する必要があります。
FASB 52基準をサポートするために、通常、端数処理差異は元帳の損益勘定科目および報告通貨の資本勘定科目(CTA)に割り当てられます。
注意: 転記される実績仕訳で使用される貸借一致セグメント値に基づいて、転記では端数処理差異勘定科目テンプレートの貸借一致セグメント値を置換することで、必要な実際の端数処理差異勘定科目組合せが導出されます。
両方の日次換算タイプに対して、換算レートを移入する必要があります。通常、このレートは期間中の毎日同じです。「日次レート」フォームまたはオープン・インタフェースの日付範囲機能を使用すると、すべての日のレートを簡単に入力できます。元帳または報告通貨へ転記するときに使用可能な日次レートがなく、前のレートが使用された場合は、再評価を実行する前に、期末レートおよび期間平均レートをロードする必要があります。
関連項目
付加フレックスフィールドの定義の詳細は、『Oracle Applicationsフレックスフィールド・ガイド』を参照してください。
ADI仕訳ウィザードへの処理の変更は主仕訳に対するもので、報告用仕訳に対するものではありません。このような変更は、「勘定科目タイプ固有の換算」機能を使用可能にしたときのみ有効です。仕訳ウィザードの変更を使用すると、新しい付加フレックスフィールド・セグメントに上書き取得時レートまたは取得時金額を入力できます。上書きレートまたは金額は、主要報告通貨の換算に使用され、仕訳ウィザードで処理のためには使用されません。仕訳ウィザードでは、これらのセグメントに入力された金額が数値かどうかが検証されません。
仕訳ウィザードを使用して入力された外貨取引に対する通貨換算オプションは多数あります。取引通貨と元帳または報告通貨の間にEMU固定レート関係がある場合は、換算タイプのデフォルトが自動的にEMU固定になり、換算レートはユーロの三角法ルールに従って仕訳ウィザードによって導出されます。入力済のすべての換算データがこれによって上書きされます。その他の外貨取引に対しては、次の潜在的な換算オプションがあります。
勘定科目タイプ換算
取得時レート換算
取得時金額
その他(例外処理)
それぞれについて次に説明します。
換算日のみを入力します。仕訳ウィザードは、勘定科目タイプ、「GL/MRC: 損益計算書換算タイプ」および「GL/MRC: 貸借対照表換算タイプ」プロファイル・オプションの値、および換算日に基づいて換算レートを決定します。
換算レート列に取得時レートを入力します。仕訳ウィザードは、このレートを使用して換算後の金額を計算します。通常、元帳通貨に換算するための取得時レートを入力した場合は、対応する付加フレックスフィールド・セグメント列に、元帳から主要報告通貨に換算するための取得時レートも移入します。
換算済借方または換算済貸方列に金額を入力します。仕訳ウィザードは、この入力された金額を換算済金額として使用します。この場合、ユーザーは「換算タイプ」、「換算日」および「換算レート」を空白にしておく必要があります。入力された取得時金額によって、その他すべての入力済換算データが上書きされます。通常、元帳通貨の取得時金額を入力した場合は、対応する付加フレックスフィールド・セグメント列に主要報告通貨の取得時金額を移入します。
換算タイプと換算日を入力します。仕訳ウィザードはGL_DAILY_RATES表でレートを検索し、そのレートを使用して換算後の金額を計算します。
ADI仕訳ウィザードから入力した取引と自動フィードされた取引では、処理が少し異なります。それぞれの処理について次に説明します。
仕訳ウィザードでの仕訳入力の終了後、General Ledgerへのアップロードを発行します。「GL/MRC: 取得時レート・セグメント」プロファイル・オプションが設定されると、ADIは関連するその他すべてのプロファイル・オプションが正しく割り当てられているかどうか検証します。すべての必須プロファイル・オプションに無効な値がある場合、ADIはエラーをレポートします。標準の仕訳ウィザードの検証以外に、次の状態でも仕訳明細でエラーが生成されます。
必要な換算レートが見つからない(下記参照)。
ユーザーが付加フレックスフィールド・セグメントに、取得時レートと取得時金額の両方を指定した。
どちらかの付加フレックスフィールド・セグメントに入力されたデータが数値ではない。
アップロード中に、仕訳ウィザードは「取引入力」で説明したとおり、仕訳明細に入力されたデータに基づいて主仕訳の換算後の金額を計算します。
換算が勘定科目に基づいている場合、アップロード中に仕訳ウィザードは換算日に基づいて換算レートを検索します。その日付のレートがロードされず、レートが見つからないときのためのオプションの「最新レート使用」を使用可能にしてあると、仕訳ウィザードは最後に入力されたレートを検索し、それを使用して残高を換算します。唯一の例外は、換算日からレートが最後に入力された日までの日数がプロファイル・オプション「MRC: 換算レート・ロール・フォワードの最大日数」を超えている場合で、仕訳ウィザードは仕訳明細のエラーをレポートします。
換算がその他の換算タイプに基づいているか、レートが見つからないときのためのオプションが「レポート・エラー」に設定され、換算日のレートがロードされていない場合、仕訳ウィザードはその仕訳明細のエラーをレポートします。
注意: 最新の期末レートおよび期間平均レートを使用できない場合は、レートが使用可能になったときに、期間レート(期末および期間平均)を移入して、元帳およびすべての報告通貨で再評価を実行する必要があります。
自動フィードされた外貨取引に対する通貨換算オプションは多数あります。取引通貨と元帳通貨の間にEMU固定レート関係がある場合は、換算タイプのデフォルトが自動的にEMU固定になり、換算レートはユーロの三角法ルールに従って仕訳インポートによって導出されます。フィードによって直接入力されたすべての換算レートまたはタイプ情報がこれによって上書きされます。その他の外貨取引に対しては、次の潜在的な換算オプションがあります。
勘定科目タイプ換算
取得時レート換算
取得時金額
それぞれについて次に説明します。
フィードによって、貸借対照表勘定明細の期末レートおよび損益計算書勘定明細の期間平均レートが、換算レート列に直接指定されます。換算タイプおよび換算日列は空白にしておく必要があります。あるいは、フィードで勘定科目クラス明細の期末レート・タイプおよび期間平均レート・タイプを指定し、仕訳インポートがそれに従ってレートを導出することができます。
注意: 仕訳インポートは異なる指定レートまたはレート・タイプを持つ取引明細を異なる仕訳ヘッダーにグループ化するため、フィードは同じ勘定科目クラスの明細が入力済金額と貸借一致するようにする必要があります。
また、フィードでは勘定科目タイプに基づく換算を実行し、換算済金額を直接得ることができます。この方法を使用すると、入力された金額が貸借一致している限り、異なるレートで換算された異なる勘定科目クラスの明細を同じ仕訳ヘッダーにフィードでグループ化することができます。
フィードは、資本勘定の換算レート列に取得時レートを提供します。仕訳インポートはそのレートを使用して、換算後の金額を計算します。
フィードは、資本勘定科目の換算済借方列または換算済貸方列に直接取得時金額を提供します。この場合、「換算タイプ」、「換算日」および「換算レート」を空白にしておく必要があります。提供されたすべての換算済金額によって、その他のタイプの換算情報が上書きされます。
注意: 自動フィードでは、「GL/MRC: 取得時レート/金額セグメント」プロファイル・オプションで指定されたものと同じ付加フレックスフィールド・セグメント列に、報告通貨を換算するための上書きレートまたは金額も提供されます。
いずれかのソースの主仕訳が、異なる仕訳明細に使用される異なる為替レートによって貸借不一致になると、転記によって新しい仕訳明細の仕訳と、元帳定義で端数処理差異が指定された勘定科目との貸借が一致されます。この勘定科目は、損益計算書の損益勘定である必要があります。
報告用仕訳を作成する処理は、自動フィードとADI仕訳ウィザードの両方から取引を作成する場合と同じです。同じ勘定科目タイプに基づくルールに従って、転記によって対応するプロファイル・オプションから使用する換算タイプが決定されます。次に、元帳仕訳に使用されるものと同じ換算日を使用して換算レートが検索されます。このレートが元帳通貨金額と乗算されて、報告通貨金額が計算されます。
上書き取得時換算レートまたは換算金額が付加フレックスフィールドのレート・セグメント列に入力された場合は、勘定科目タイプに基づいた換算ではなくなります。レート・セグメントにレートが入力されると、レートと元帳通貨金額が乗算されて報告通貨金額が導出されます。取得時金額セグメントに金額が入力されると、その金額が報告通貨金額として使用されます。
元帳通貨への換算レートが異なるために転記時に生成された損益明細は、損益計算書勘定科目のレート・タイプを使用して報告通貨に換算されます。
換算日のレートが見つからない場合、転記は仕訳ソースおよびカテゴリに対して選択された「レート処理無し」オプションに従います。「最新レート使用」が選択されていると、転記ではその換算日に対して最後に入力されたレートが使用されます。唯一の例外は、取引の換算日からレートが最後に入力された日までの日数が報告通貨定義内の「最新レートを検索する日数」を超えている場合です。この場合、「レート処理無し」が「レポート・エラー」に設定されている場合と同様に、報告用仕訳が作成されずに元帳の転記に失敗します。
報告通貨仕訳が、仕訳明細に使用される異なる為替レートによって貸借不一致になると、元帳定義で端数処理差異に指定されたとおり、転記によって新しい仕訳明細の仕訳と勘定科目との貸借が一致されます。この勘定科目は、損益計算書の損益勘定である必要があります。FASB 52基準に従うため、通常、この仕訳明細の勘定科目は資本勘定(CTA)になります。
元帳の仕訳が作成されると、元帳で「仕訳照会」を使用してそれらを表示できます。仕訳を選択すると、入力済取引通貨および換算済元帳および報告通貨の金額を表示できます。報告通貨を換算するための上書き取得時レートまたは金額も、仕訳明細付加フレックスフィールドに表示されます。
報告通貨では、入力済取引通貨と換算済報告通貨の金額が含まれた報告用仕訳を表示できます。入力済取引通貨金額は、元帳仕訳の金額と同じです。
財務諸表生成プログラム(FSG)を使用すると、元帳と報告通貨にまたがるレポートを作成できます。このようなレポートでは、取引、元帳および報告の各通貨残高を1つのレポートで横に並べて表示できます。General Ledgerでは、FSGレポートの各列の通貨と、残高を導出する元帳または報告通貨を指定できます。様々な通貨の条件で列を定義する方法を、次に示します。
列の「通貨」フィールドに管理値番号を入力します。「勘定科目割当」ウィンドウの「元帳」フィールドに元帳の名称を入力します。取引通貨を管理値番号に割り当て、レポート定義で「通貨 タイプ」に「入力済」を選択します。
列の「通貨」フィールドに管理値番号を入力します。「勘定科目割当」ウィンドウに報告通貨の名称を入力します。元帳通貨を管理値番号に割り当て、レポート定義で「通貨 タイプ」に「入力済」を選択します。
「通貨」フィールドに元帳通貨を入力します。「勘定科目割当」ウィンドウの「元帳」フィールドに元帳の名称を入力します。
「通貨」フィールドに報告通貨の通貨を入力します。「勘定科目割当」ウィンドウの「元帳」フィールドに報告通貨の名称を入力します。元帳で取引通貨と元帳通貨の両方に関して、標準レポートを多数実行できます。報告通貨では、同じ標準レポートを取引通貨と報告通貨の両方に関して実行できます。取引通貨データを表示する標準レポートには、次のものがあります。
外貨勘定科目分析レポート
外貨建総勘定元帳レポート
外貨仕訳レポート
仕訳レポート
仕訳明細レポート
残高試算表レポート
GBP元帳とUSD報告通貨があるとします。そして、ADIに有効日が2000年1月10日の次のEUR仕訳入力を作成するとします。仕訳入力を、次の表にまとめます。
明細 | 勘定科目(勘定科目タイプ) | 借方 | 貸方 | 元帳通貨換算済借方 | 元帳通貨換算済貸方 | 元帳通貨取得時換算レート | 報告通貨取得時換算レート | 報告通貨取得時換算金額(+借方/-貸方) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
10 | 01.1010(資産) | 1000 | ||||||
20 | 01.3010(資本) | 250 | .630 | 1.56 | ||||
30 | 01.3011(資本) | 250 | 170 | 280 | ||||
40 | 01.4002(収益) | 1500 |
明細20には資本勘定が含まれ、ユーザーはEURからGBP(元帳通貨)への取得時レートとして.630を指定しました。また、報告用仕訳のために、この明細をGBPからUSD(報告通貨)へ換算するときに使用する取得時レートとして1.56も指定しました。明細30には、ユーザーが元帳に換算済借方として170を指定し、報告通貨に取得時金額として280を指定しました。
「GL/MRC: 貸借対照表換算タイプ」プロファイル・オプションは「期間平均」に設定され、「GL/MRC: 貸借対照表換算タイプ」プロファイル・オプションは「期末」に設定されているとします。2000年1月10日の日次換算レートは、次の表のようになります。
通貨:自 | 通貨:至 | 換算日 | 換算タイプ | 換算レート |
---|---|---|---|---|
EUR | GBP | 2000年1月10日 | 期間平均 | .631 |
EUR | GBP | 2000年1月10日 | 期末 | .628 |
GBP | USD | 2000年1月10日 | 期間平均 | 1.50 |
GBP | USD | 2000年1月10日 | 期末 | 1.60 |
生成される仕訳の詳細を、次の表に示します。
明細 | 勘定科目(勘定科目タイプ) | 借方 | 貸方 | 元帳通貨換算済借方 | 元帳通貨換算済貸方 | 報告通貨取得時換算レート | 報告通貨取得時換算金額(+借方/-貸方) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
10 | 01.1010(資産) | 1000 | 628 | ||||
20 | 01.3010(資本) | 250 | 158 | 1.56 | |||
30 | 01.3011(資本) | 250 | 170170 | 280 | |||
40 | 01.4002(収益) | 1500 | 947 | ||||
合計 | 1500 | 1500 | 956 | 947 |
明細10の資産勘定は期末レートを使用して換算され、明細20の資本勘定は指定された取得時レートを使用して換算され、明細30の資本勘定は入力済取得時金額を使用して換算され、明細40の収益勘定は期間平均レートを使用して換算されました。レートが異なるため、換算済借方は換算済貸方と等しくなりません。
損益勘定の01.5100は、元帳の端数処理差異勘定として識別されたとします。次に、仕訳が転記されると、この勘定は次の表に示すように元帳に表示されます。
明細 | 勘定科目(勘定科目タイプ) | 借方 | 貸方 | 元帳通貨換算済借方 | 元帳通貨換算済貸方 | 報告通貨取得時換算レート | 報告通貨取得時換算金額(+借方/-貸方) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
10 | 01.1010(資産) | 1000 | 628 | ||||
20 | 01.3010(資本) | 250 | 158 | 1.56 | |||
30 | 01.3011(資本) | 250 | 170170 | 280 | |||
40 | 01.4002(収益) | 1500 | 947 | ||||
50 | 01.5100(損益) | 9 | 1.50 | ||||
合計 | 1500 | 1500 | 956 | 947 |
転記によって、収益明細が残高換算済借方および残高換算済貸方に自動的に追加されました。また、必要なGBPからUSDへの換算レートが「報告通貨取得時換算レート」付加フレックスフィールドにロードされました。資産勘定では、期末換算レートが使用されました。収益勘定および費用勘定では、期間平均換算タイプが使用されました。明細20の資本勘定では換算レートがあらかじめ指定されているため、属性5の値が変化しませんでした。明細30の資本勘定では取得時金額が指定されたため、「報告通貨取得時換算レート」付加フレックスフィールドの値が空白のままになります。
前述の仕訳が転記されると、次の表に示すように報告用仕訳が作成されます。
明細 | 勘定科目(勘定科目タイプ) | 借方 | 貸方 | 換算済借方 | 換算済貸方 |
---|---|---|---|---|---|
10 | 01.1010(資産) | 1000 | 1005 | ||
20 | 01.3010(資本) | 250 | 246 | ||
30 | 01.3011(資本) | 250 | 280 | ||
40 | 01.4002(収益) | 1500 | 1421 | ||
50 | 01.5100(損益) | 0 | 14 | ||
合計 | 1500 | 1500 | 1531 | 1435 |
ここでも、換算レートが異なるために換算済借方が換算済貸方と等しくなりません。
報告通貨では、累積換算調整勘定科目の01.5000が端数処理差異勘定科目として定義されているとします。次に、報告用仕訳が転記されると、この勘定科目は次の表に示すように表示されます。
明細 | 勘定科目(勘定科目タイプ) | 借方 | 貸方 | 換算済借方 | 換算済貸方 |
---|---|---|---|---|---|
10 | 01.1010(資産) | 1000 | 1005 | ||
20 | 01.3010(資本) | 250 | 246 | ||
30 | 01.3011(資本) | 250 | 280 | ||
40 | 01.4002(収益) | 1500 | 1421 | ||
50 | 01.5100(損益) | 0 | 14 | ||
60 | 01.5000(資本) | 0 | 96 | ||
合計 | 1500 | 1500 | 1531 | 1531 |
累積換算調整明細(01.5000)は、残高換算済借方および残高換算済貸方に転記することで、自動的に追加されたことに注意してください。