Oracle Solaris オペレーティングシステムでのリソース管理の理解

リソース管理の主な概念は、システムが効率的に機能するにはサーバー上の作業負荷のバランスがとれていなければならないということです。リソース管理が適切に行われないと、誤って暴走した作業負荷によって進行が中断したり、優先度の高いジョブが不要に遅延したりする可能性があります。効率的なリソース管理を行えば、組織はシステムを統合して経費を節減することもできます。

Oracle Solaris オペレーティングシステムは、作業負荷およびリソースを整理するための構造を提供し、特定の作業負荷が消費できるリソースの量を定義するための制御を可能にします。システム管理者の視点から見たリソース管理の詳しい解説は、Oracle Solaris 11.3 でのリソースの管理 の 第 1 章, リソース管理の紹介を参照してください。

リソース管理の作業負荷の整理

作業負荷の基本単位はプロセスです。システム全体を通して順にプロセス ID (PID) が振られます。デフォルトでは、システム管理者によって各ユーザーがプロジェクトに割り当てられ、これがネットワーク全体の管理識別子となります。プロジェクトへのログインが成功するたびに、プロセスのグループ化メカニズムであるタスクが新しく作成されます。タスクには、ログインプロセスとそれに続く子プロセスが含まれます。

プロジェクトおよびタスクの詳細は、Oracle Solaris 11.3 でのリソースの管理 の 第 2 章, プロジェクトとタスクについて (システム管理者の視点について) またはこのドキュメントのワークロード階層のプロジェクトとタスク (開発者の視点について) を参照してください。

プロセスはオプションで非大域ゾーンにグループ化でき、これはセキュリティー目的でプロセスを分離するためにシステム管理者によって設定されます。ゾーンを使用すると、1 つまたは複数のアプリケーションを、システム上のほかのすべてのアプリケーションから分離した状態で実行できます。非大域ゾーンについては、Oracle Solaris ゾーンの作成と使用で詳しく説明しています。ゾーンで実行するリソース管理アプリケーションを記述するための特別な注意事項については、Oracle Solaris ゾーンでのリソース管理アプリケーションに関する設計上の考慮事項を参照してください。

リソースの整理

システム管理者は、特定の CPU やシステム内で定義された CPU グループに作業負荷を割り当てることができます。CPU はプロセッサセット (pset) にグループ化できます。さらに pset は 1 つまたは複数のスレッドスケジューリングクラスに関連付けることができ、これによってリソースプールに CPU の優先度が定義されます。リソースプールは、ユーザーがシステムリソースを利用できるようにするための便利なメカニズムをシステム管理者に提供します。Oracle Solaris 11.3 でのリソースの管理 の 第 12 章, リソースプールについてでは、リソースプールについてシステム管理者向けに説明します。プログラミングの考慮事項は、リソースプールで説明します。

次の図は、作業負荷およびコンピュータリソースが Oracle Solaris オペレーティングシステムでどのように整理されるかを示しています。

図 1  Oracle Solaris オペレーティングシステムでの作業負荷とリソースの整理

リソース制御

ユーザーが消費するリソースの量を管理する場合、作業負荷単位をリソース単位に割り当てるだけでは不十分です。リソースを管理するために、Oracle Solaris オペレーティングシステムにはフラグ、アクション、およびシグナルのセットが用意されており、これらをまとめてリソース制御と呼びます。リソース制御は、 zonecfg(1M) で説明する zonecfg コマンドを使用して /etc/project ファイルまたはゾーンの構成内に格納されます。たとえば、公平配分スケジューラ (FSS) は、作業負荷に指定された重要度係数に基づき、作業負荷間で CPU リソースの配分を割り当てることができます。これらのリソース制御を使用して、システム管理者は特定のゾーン、プロジェクト、タスク、またはプロセスに特権レベルおよび制限の定義を設定できます。システム管理者がリソース制御を使用する方法については、Oracle Solaris 11.3 でのリソースの管理 の 第 6 章, リソース制御についてを参照してください。プログラミングの考慮事項は、リソース制御を参照してください。

拡張アカウンティング機能

作業負荷とリソースの整理に加え、Oracle Solaris オペレーティングシステムには、システムリソースの使用率をモニターして記録するための拡張アカウンティング機能が用意されています。拡張アカウンティング機能は、プロセスとタスクに関するリソース消費の詳細な統計をシステム管理者に提供します。

この機能については、Oracle Solaris 11.3 でのリソースの管理 の 第 4 章, 拡張アカウンティングについてでシステム管理者向けに詳しく説明しています。Oracle Solaris オペレーティングシステムでは、開発者が拡張アカウンティング機能に C インタフェースと Perl インタフェースの両方を使用できます。C インタフェースについては 拡張アカウンティングに C インタフェースを使用を、Perl インタフェースについては 拡張アカウンティングに Perl インタフェースを使用を参照してください。