Solstice AutoClient 製品を使用して、AutoClient システムを設定したり、システムに対する変更を管理することができます。本章では、この後の章で説明する作業を正しく行うことができるように、AutoClient 製品について説明します。
この章では、次の事項について説明します。
Solstice AutoClient 2.1 には、次の新機能が追加されています。
AutoClient システムを追加、修正、削除する場合に、この機能でスクリプトをカスタマイズすることができます。AutoClient システムを追加する場合には、AutoClient システムを追加時と起動時それぞれの前後に実行されるようにスクリプトを指定することができます。修正する場合には、AutoClient システムの修正時の前後に実行されるようにスクリプトを指定することができます。
この機能についての詳細は、ホストマネージャのオンラインヘルプ、または第 5 章「ホストマネージャ」を参照してください。
AutoClient システムを追加、削除する場合に、ホストマネージャを使用してシステムのルートのパスワードを設定することができます。この機能についての詳細は、ホストマネージャのオンラインヘルプ、または第 5 章「ホストマネージャ」を参照してください。
ホストマネージャでの JavaStationTM のサポート
ホストマネージャで JavaStation のクライアントを追加することができます。この機能を使用するには、使用中のサーバーに JavaOSTM サービスを読み込んでおく必要があります。
この機能についての詳細は、ホストマネージャのオンラインヘルプ、または『Solstice AdminSuite 2.3 管理者ガイド』を参照してください。
ホストマネージャによって、複数のネットワークインタフェースを持つホスト用の IP アドレスを追加することができます。
従来のホストマネージャにはルートの機能に限界がありました。すなわち、ホストマネージャをルートとして実行している場合には、実行できる機能はほとんどありませんでした。ホストマネージャが更新されたことで、ホストマネージャのアプリケーションの実行中にも従来よりも多くの機能がルートで実行できるようになりました。
ホストマネージャによって OS サーバーから OS サービスを削除できるようになりました。
表 2-1 に、Solstice AutoClient 2.1 ソフトウェアでサポートされるサーバーとクライアントの構成を示します。
表 2-1 サポートされるサーバーおよびクライアントの構成
サーバー |
クライアント |
OS |
---|---|---|
Solaris 2.3 ‾ 2.5.1 が稼働している SPARC サーバー |
SPARC クライアント |
Solaris 2.4 ‾ 2.5.1 |
|
x86 クライアント |
Solaris 2.4 ‾ 2.5.1 |
Solaris 2.4 ‾ 2.5.1 が稼働している x86 サーバー |
SPARC クライアント |
Solaris 2.4 ‾ 2.5.1 |
|
x86 クライアント |
Solaris 2.4 ‾ 2.5.1 |
表 2-2 に、AutoClient サーバーおよび AutoClient システムに必要となるディスク容量を示します。
表 2-2 必要なディスク容量
システムタイプ |
ファイルシステム |
必要なディスク容量 (最低限) |
---|---|---|
AutoClient システムのサーバー |
/ (ルート) |
1 M バイト |
|
/usr |
4 M バイト |
|
/usr |
7.5 M バイト |
|
/export |
17 M バイト (各 OS ごとに) OS に最低限必要なディスク容量です。インストールする OS により異なりますが、実際に必要なディスク容量は、より大きなものになる場合があります。 |
|
/export |
20 M バイト (各 AutoClient システムごとに) 注 - AutoClient システムをサーバーに追加する時、各システムにつき 20 M バイトの領域を確保するディレクトリとして、デフォルトで /export/root ディレクトリが指定されます。ただし、使用可能なディスク領域がある任意のディレクトリを指定することもできます。詳細は、 「AutoClient システムの追加」を参照してください。 |
AutoClient システム |
/ ( ルート) および 共有された /usr 用のキャッシュファイル |
70 M バイト |
AutoClient は、システムのディスク全体を使用します (AutoClient のディスク構成についての詳細は、表 6-3 を参照してください)。すでにディスク上にあるデーターは上書きされてしまいます。データーが必要な場合は、システムを追加してブートを行う前に、別の場所にデーターを保存しておいてください (詳細は、「AutoClient システムの追加」を参照してください)。
Solaris 2.5 以降のオペレーティングシステムでは、ネットワークに新たに AutoClient システムを追加したり、表 2-3 のように AutoClient システムを変換したりすることができます。
表 2-3 AutoClient システムの変換
変換前 |
変換後 |
---|---|
汎用システム |
AutoClient システム |
スタンドアロンシステム |
AutoClient システム |
データレスシステム |
AutoClient システム |
AutoClient システム |
スタンドアロンシステム |
既存の汎用 (generic) システム、データレスシステム、スタンドアロンシステムを AutoClient システムに変換する場合は、再インストールとみなしてください。システム中の既存データーはすべて、AutoClient システムを最初にブートする時点で上書きされます。
AutoClient システムでは、1 ディスクまたは 2 ディスクの構成のみがサポートされます。AutoClient システムには、その他のディスク構成はお勧めできません。選択するディスク構成によっては、1 ディスクまたは 2 ディスク全体が AutoClient 製品によって上書きされることがあります。ディスク構成オプションについては、表 6-3 を参照してください。
AutoClient システムに変換されたスタンドアロンシステムにローカルなメール領域 ( /var/mail) がある場合は、このローカルディスクをキャッシュとして使用する前に、ローカルディスクからこのディレクトリをコピーしておいてください。AutoClient の設定では、一括管理によって管理作業をより簡単にできるように、サーバー上にメールスプールディレクトリを設定してください。
ネットワークのスタンドアロンシステム上にローカルファイルシステム (Solaris 分散ファイルシステム以外のファイルシステム) が存在する場合は、これらのファイルを保存してから、AutoClient システムに変換してください。AutoClient システムにローカルファイルシステムが残っていると、FRU (「AutoClient システム」および 「FRU の制限事項」参照) の利点や、バックアップが不要であるという利点がなくなります。
ホストマネージャを使用して AutoClient システムを設定すると、/opt ディレクトリが空になります。AutoClient システムが必要なファイルシステムをマウントできるように、サポートされるプラットフォームごとに特定の名前を付けた /opt ファイルシステム (たとえば、sparc_opt または x86_opt など) を設定する必要があります。
ファイルシステムの作成および管理は、ストレージマネージャを使用して行なってください。ストレージマネージャについての詳細は、『Solstice AdminSuite 2.3 管理者ガイド』を参照してください。
AutoClient システムをネットワークに設定する時には、次の制限事項に注意してください。
AutoClient システムでは、/usr ファイルシステムが読み取り専用になるので、/usr ファイルシステムを変更することはできません。AutoClient システムは、ディスクレスシステムやデータレスシステムの場合 (読み取り専用としてマウントされる) と同じように、/usr ファイルシステムを使用します。
pkginfo(1) は、AutoClient システムで利用できるソフトウェアすべてについての情報を表示するわけではありません。AutoClient システムのパッケージデータベースには、システムのルートディレクトリにインストールされたパッケージのみが含まれています。また、/usr にあるソフトウェアがすべて利用可能であっても、その情報は pkginfo(1) に反映されません。
すでに AutoClient システムを認識する NIS+ サーバーをネットワーク上で実行している場合は、通常 AutoClient システムを NIS システムとして正常にブートすることはできません 。AutoClient システムは自動的に NIS+ システムとして設定されます。ただし、bootparams ファイルを修正して、AutoClient システムに ns キーを追加すれば、この設定を変更することができます。ns キーについての詳細は、bootparams(4) を参照してください。
AutoClient システムが Solaris 2.4 で動作している場合に AutoClient サーバーが使用不可になると、AutoClient システムのコンソールに NFS server servername not responding (NFS サーバーの servername というサーバーが応答しない) というメッセージが表示されます。サーバーが使用不可になった場合でも、キャッシュ中のファイルシステムへアクセスが保証されるようにするには、Solaris 2.5 以降で AutoClient を実行する必要があります。切断時実行継続機能については、 表 6-2、またはオンラインヘルプを参照してください。
OS サーバーに OS サービスを追加した後に、ホストマネージャによって OS サービスを削除することはできません。
AutoClient では、Power ManagementTM 電源管理システム (システムの消費電力を節約するソフトウェア) はサポートされません。電源管理システムについての詳細は、『電源管理システムユーザーマニュアル』を参照してください。
AutoClient システムのインストール、設定、管理は、コマンド行インタフェースまたはホストマネージャのいずれを使用しても実施できます。ホストマネージャは、ネットワーク内の AutoClient システムを効率的かつ簡単に管理するためのグラフィカルユーザーインタフェースです。システム管理者はホストマネージャを使用して、次の作業を行うことができます。
ネットワーク環境で、AutoClient システム情報を追加、変更、表示、削除する
既存の汎用システム、スタンドアロンシステム、データレスシステムを AutoClient システムに変換する
複数の AutoClient システムに関する情報を 1 回の操作で変更する
ホストマネージャでは、AutoClient システムの /opt ディレクトリは設定されません。詳細は、「設定と移行」を参照してください。
AutoClient システムへの変換が簡単
簡単に AutoClient システムネットワークへ追加したり、既存システムを AutoClient システムに変換したりすることができます。
変更が簡単
「変更」ウィンドウを使用して、AutoClient システムを簡単に変更することができます。新しく追加された AutoClient や AutoClient に変換されたスタンドアロンシステムの変更を保存する前に、全ての属性を修正することができます。変更を保存した後では属性のサブセットの修正のみが可能です。
全体表示
ローカルネットワーク上の各システムを 1 つの画面で確認することができます。
一括処理
複数の AutoClient システムへの、追加、削除、変更の作業を、1 回の操作で実行することができます。
経過表示/状態表示
メインメニューの下にある領域に、1 回の操作で追加、削除、または変更されたシステムの数が表示されます。
表示/スクロール機能
スクロールバーを使用して、システム情報を簡単に確認することができます。またホストマネージャには検索機能も備えられています。
エラーメッセージの表示
操作中にエラーが発生すると、ポップアップウィンドウが表示されます。また、「表示」メニューから手動でウィンドウを開くこともできます。
これらの各機能については、第 5 章「ホストマネージャ」および第 6 章「AutoClient システムの管理」を参照してください。
本書では、ホストマネージャを使用して AutoClient システムを管理する方法を中心に説明を進めます。ホストマネージャの機能についての詳細は、オンラインヘルプ、または『Solstice AdminSuite 2.3 管理者ガイド』を参照してください。
表 2-4 に、ホストマネージャに対応するコマンドを示します。各コマンドは、OpenWindowsTM などの X Window System がなくでも実行できます。第 6 章「AutoClient システムの管理」で説明する処理はほとんど、コマンド行インタフェースを使用して同じ処理を実行することができます。
表 2-4 ホストマネージャに対応するコマンド行インタフェース
コマンド |
説明 |
---|---|
admhostadd |
システムまたは OS サーバーを新しく追加します。 |
admhostmod |
既存のシステムまたは OS サーバーを変更します。既存の OS サーバーに OS サービスを追加することもできます。 |
admhostdel |
既存のシステムまたは OS サーバーを削除します。 |
admhostls |
指定したネームサービスに登録されているシステム情報を表示します。 |
admhostls -h |
指定したネームサービスに登録されているシステムハードウェア情報を表示します。 |
表 2-5 に、AutoClient システムの追加や管理を行う時に、ホストマネージャで変更できるシステムファイルを示します。
表 2-5 ホストマネージャで変更できるファイル