クラスタのアップグレード
クラスタ化されたシステムでは、順次アップグレードを実行して、アップグレード実行中の停止時間をなくすことができます。このセクションは、Oracle ZFS Storage Appliance のクラスタ化モデルに精通していることが前提となっています。クラスタ化の概要や用語に精通していない場合は、まずOracle ZFS Storage Appliance 管理ガイド
の第 10 章クラスタ構成を参照してください。順次アップグレードの手順について説明するために、このドキュメントでは、クラスタ化された 2 台のストレージコントローラを A および B と呼びます。ここで、A は 1 番目に更新されるコントローラ、B は 2 番目に更新されるコントローラを表します。順次アップグレードの主要なベストプラクティスとして、クライアントにサービスを提供していないときに、各コントローラをアップグレードする必要があります。ここで説明する手順は、この要件を満たしています。さらに、上記で説明した一般的なすべてのアップグレードのベストプラクティスは、順次アップグレードにも適用されます。
クラスタのアップグレードの実行
重要: アップグレードの進行中は、テイクオーバー操作を実行しないでください。
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CLI または BUI を使用して、更新ソフトウェアのイメージを両方のストレージコントローラにアップロードします。
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最初に更新するコントローラを選択します。コントローラにストレージプールがない場合は、そのコントローラを最初に更新します。次の手順では、コントローラ A が最初に更新されるため、コントローラ A のストレージプールを使用しているクライアントで、テイクオーバーによる可用性遅延が最初に発生することになります。
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コントローラ A にログインし、CLI の maintenance system reboot コマンドまたは BUI のマストヘッドにある電源アイコン
を使用し、リブートオプションを選択してコントローラ A をリブートします。コントローラ B はコントローラ A からリソースをテイクオーバーします。
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コントローラ A にログインし、CLI または BUI を使用してソフトウェア更新をコントローラ A に適用します。アップグレード手順の最後で、コントローラ A が再度リブートし、新規ソフトウェアバージョンを実行します。
注 -
サービスの提供中は、コントローラでアップグレードを実行しないでください。
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コントローラ B にログインし、CLI の maintenance system reboot コマンドまたは BUI のマストヘッドにある電源アイコン
を使用し、リブートオプションを選択してコントローラ B をリブートします。コントローラ A は、すべてのリソースをテイクオーバーし、新規ソフトウェアバージョンを使用してサービスを提供します。
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コントローラ A で新規ソフトウェアバージョンを検証し、すべてのサービスがクライアントシステムで正しく動作することを確認します。
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重大な問題が発生した場合は、コントローラ A をロールバックします。コントローラ A がリブートし、コントローラ B がテイクオーバーして以前のソフトウェアバージョンを実行します。コントローラ A の回復時も同様に、以前のソフトウェアバージョンが実行されます。
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重大な問題が発生しない場合は、コントローラ B にログインし、CLI または BUI を使用してソフトウェア更新をコントローラ B に適用します。コントローラ B はリブートし、新規ソフトウェアバージョンを実行します。
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ファームウェアの更新がすべて完了していることを確認します。
注 -
コントローラが異なるシステムソフトウェアバージョンを実行している場合、コントローラファームウェアの更新は進行できません。
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通常の操作を復元し、リソースがそれぞれに割り当てられたコントローラに戻るには、コントローラ A にログインし、CLI または BUI を使用してコントローラ A でフェイルバックを実行します。フェイルバック操作については、Oracle ZFS Storage Appliance 管理ガイド
のクラスタのテイクオーバーとフェイルバックを参照してください。
アップグレード中のクラスタの状態
次の表は、上記の各手順の終了時のクラスタ状態を示しています。
Table 3-4 アップグレード中のクラスタの状態
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1、2
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CLUSTERED
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V
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CLUSTERED
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V
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3
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STRIPPED
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V
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OWNER
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V
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4
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STRIPPED
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V+1
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OWNER
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V
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5、6、7
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OWNER
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V+1
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STRIPPED
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V
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8、9
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OWNER
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V+1
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STRIPPED
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V+1
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10
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CLUSTERED
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V+1
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CLUSTERED
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V+1
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注 -
アップグレードの進行中は、どちらのストレージコントローラに対しても構成変更を行わないでください。コントローラでさまざまなソフトウェアバージョンが実行されている場合は、どちらかのコントローラの構成を変更しても、そのピアコントローラには伝播されません。
コントローラでさまざまなソフトウェアバージョンが実行されている場合に、BUI にアクセスするか、CLI にログインすると、構成の変更が伝播されないことを示す警告が表示されます。クラスタコントローラでさまざまなソフトウェアバージョンが実行されている場合に警告が生成されるようにアプライアンスを構成できます (「クラスタ再度参加の不一致」および「ピアでのクラスタ再度参加の不一致」イベント)。
アップグレード中にルートパスワードを変更し、クラスタをロールバックした場合、ロールバック後にノードを再度参加させることはできなくなります。