Oracle® Solaris Studio 12.4: 数値計算ガイド

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更新: 2015 年 1 月
 
 

3.1.1 標準数学ライブラリ

Oracle Solaris の標準数学ライブラリ libm には、Oracle Solaris オペレーティング環境が準拠しているさまざまな標準に必要な基本数学関数とサポートルーチンが含まれています。

Oracle Solaris 10 OS には、libm の 2 つのバージョンである libm.so.1libm.so.2 が含まれています。libm.so.1 は、Oracle Solaris 9 OS 以前のバージョンによってサポートされる標準に必要な関数を提供します。libm.so.2 は、Oracle Solaris 10 OS (C99 を含む) によってサポートされる標準に必要な関数を提供します。libm.so.1 は、Oracle Solaris 9 OS 以前のシステム上でコンパイルおよびリンクされたプログラムが引き続き変更なしで動作するように、下位互換性のために提供されています。libm.so.1 の内容は、これらのシステム上のセクション 3M のマニュアルページで説明されています。この章の残りの部分では、libm.so.2 について説明します。動的リンクや、プログラムが実行されるときにどの共有オブジェクトがロードされるかを決定するオプションと環境変数の詳細については、ld(1) とコンパイラのマニュアルページを参照してください。

Table 3–1 は、libm 内の関数のリストを示しています。 各数学関数について、この表では、倍精度バージョンの関数の名前のみを示しています。このライブラリには、同じ名前のあとに f が付いた単精度バージョンと、同じ名前のあとに l が付いた拡張/4 倍精度バージョンも含まれています。

表 3-1  libm の内容 
種類
関数名
代数関数
cbrtfdimfmafmaxfminhypotsqrt
基本超越関数
asinacosatanatan2asinhacoshatanh, expexp2expm1powloglog1plog10log2sincossincostansinhcoshtanh
高級超越関数
j0j1jny0y1ynerferfcgammalgammagamma_rlgamma_rtgamma
整数丸め関数
ceilfloorllrintllroundlrintlroundmodfnearbyintrintroundtrunc
IEEE 規格で推奨される関数
copysignfmodilogbnextafterremainderscalbnfabs
IEEE 分類関数
isnan
旧式の浮動小数点関数
frexpldexplogbscalbsignificand
エラー処理ルーチン (ユーザー定義)
matherr
複素関数
cabscacoscacoshcargcasincasinhcatancatanhccosccoshcexpcimagclogconjcpowcprojcrealcsincsinhcsqrtctanctanh
C99 浮動小数点環境関数
feclearexceptfegetenvfegetexceptflagfegetprecfegetroundfeholdexceptferaiseexceptfesetenvfesetexceptflagfesetprecfesetroundfetestexceptfeupdateenv
浮動小数点例外処理関数
fex_getexcepthandlerfex_get_handlingfex_get_logfex_get_log_depthfex_log_entryfex_merge_flagsfex_setexcepthandlerfex_set_handlingfex_set_logfex_set_log_depth
その他の C99 関数
nannexttowardremquoscalbln

Table 3–1 について、次の点に注意してください。

1. 関数 gamma_rlgamma_r は、gammalgamma の再入可能なバージョンです。

2. 関数 fegetprecfesetprec は、x86 システム上でのみ使用できます。これらの関数は、C99 規格では規定されていません。

3. libm 内の超越関数に関する誤差制限と監視される誤差は、libm(3LIB) のマニュアルページで表に示されています。