ルートドメインは、PCIe スロットに取り付けられた IB HCA や 10GbE NIC などの物理 I/O デバイスまたは物理機能 (PF) をホストする SR-IOV ドメインです。その CPU およびメモリーリソースはほとんどすべて、あとで I/O ドメインから使用できるようにパーク状態になります。各 PF から論理デバイス、つまり仮想機能 (VF) が作成され、PF はそれぞれ 16 個の VF をホストします。
ルートドメインは専用ドメインが現在行なっているのと同じように物理 I/O デバイスをホストするため、ルートドメインは基本的に専用ドメインと同じレベルに存在します。
ルートドメインが導入された結果、SuperCluster のドメイン構成のこれらの部分が初期インストール時に設定されるようになりましたが、その変更を行えるのは Oracle 担当者だけです。
ドメインのタイプ:
ルートドメイン
Oracle Solaris 11 が動作するアプリケーションドメイン (専用ドメイン)
データベースドメイン (専用ドメイン)
サーバー上のルートドメインと専用ドメインの数
どのドメインをルートドメインにするかを決定する際、最後のドメインが常に最初のルートドメインになる必要があり、残りのドメインはルートドメインまたは専用ドメインの任意の組み合わせにできます。ただし、あるドメインがルートドメインになるのは、そのドメインに関連付けられた IB HCA が 1 つまたは 2 つの場合のみです。あるドメインに関連付けられた IB HCA が 2 つを超える場合、そのドメインはルートドメインにはなりません。ドメイン (SuperCluster M7 の U4-1 ドメインなど) に 2 つ超の IB HCA が関連付けられている場合、そのドメインは専用ドメインになります。
ドメイン構成でルートドメインとして使用されているドメイン、およびそのルートドメインに関連付けられた IB HCA および 10GbE NIC の数に応じて、各ルートドメイン用に CPU コアおよびメモリーが一定量、常に予約されます。
ドメイン構成内の最後のドメイン:
1 つの IB HCA と 10GbE NIC を持つルートドメインでは、2 つのコアと 32G バイトのメモリーが予約される
2 つの IB HCA と 10GbE NIC を持つルートドメインでは、4 つのコアと 64G バイトのメモリーが予約される
ドメイン構成内のその他のドメイン — 1 つの IB HCA と 10GbE NIC を持つ残りのルートドメインでは、1 つのコアと 16G バイトのメモリーが予約される
各ルートドメインに関連付けられた残りの CPU コアおよびメモリーリソースは、次の図に示すように、CPU およびメモリーリポジトリ内でパーク状態にされます。
CPU およびメモリーリポジトリには、ルートドメインからのリソースだけでなく、専用ドメインからのパーク状態のリソースもすべて含まれます。CPU コアおよびメモリーリソースが専用ドメイン、ルートドメインのどちらからのものであっても、リソースがいったん CPU およびメモリーリポジトリ内でパーク状態になると、元のドメインとの関連性はなくなります。これらのリソースは均等に I/O ドメインから使用可能になります。
さらに、CPU およびメモリーリポジトリに含まれるパーク状態のリソースは、そのパーク状態のリソースを提供しているドメインを含む計算サーバーのものに限られます。つまり、計算サーバーが 2 つあり、どちらの計算サーバーにもルートドメインが含まれている場合、CPU とメモリーリポジトリは 2 セット存在し、それぞれの計算サーバーに、パーク状態のリソースを含む独自の CPU とメモリーリポジトリがあります。
たとえば前の図で示したように、計算サーバー上に 4 つのドメインがあり、そのうち 3 つがルートドメインであるとします。各ドメインに次のような IB HCA および 10GbE NIC があり、次のような CPU コアおよびメモリーリソースがあるとします。
1 つの IB HCA と 1 つの 10GbE NIC
32 個のコア
512G バイトのメモリー
この状況では、ルートドメインごとに次の CPU コアおよびメモリーリソースが予約され、残りのリソースは CPU およびメモリーリポジトリで使用可能になります。
この構成の最後のルートドメインでは、2 つのコアと 32G バイトのメモリーが予約される。このルートドメインの 30 個のコアと 480G バイトのメモリーが、CPU およびメモリーリポジトリで使用可能となる。
この構成の 2 つ目と 3 つ目のルートドメインでは、1 つのコアと 16G バイトのメモリーが予約される。
これらの各ルートドメインの 31 個のコアと 496G バイトのメモリーが、CPU およびメモリーリポジトリで使用可能になる。
これら 2 つのルートドメインで合計 62 個のコア (31 x 2) と 992G バイトのメモリー (496G バイト x 2) が、CPU およびメモリーリポジトリで使用可能になる。
したがって、合計 92 個のコア (30 + 62 個のコア) が CPU リポジトリ内でパーク状態にされ、1472G バイトのメモリー (480 + 992G バイトのメモリー) がメモリーリポジトリ内でパーク状態にされ、I/O ドメインから使用できるようになります。
ルートドメインでは、専用ドメインで行なったように、3 つのネットワークへの接続 (クライアントアクセス、IB、および管理) は NIC および HCA の物理ポートを経由します。ただし、ルートドメインで使用される 10GbE NIC および IB HCA が SR-IOV にも準拠している必要があります。SR-IOV 準拠カードの場合、各カード上で VF を作成でき、カード自体の中で仮想化が行われます。VF は、管理ネットワーク用に 1GbE NIC に作成されません。
次の図に示すように、各ルートドメインからの VF は、CPU およびメモリーリポジトリの場合と同様に IB VF および 10GbE VF リポジトリ内でパーク状態にされます。
各ルートドメインからの VF は VF リポジトリ内でパーク状態ではあるものの、その VF は各 10GbE NIC や IB HCA 上で作成されたため、それらの特定の 10GbE NIC および IB HCA カードを含むルートドメインに関連付けられています。たとえば前の図の構成例を見ると、最後の (右端の) 10GbE NIC および IB HCA 上で作成された VF は、最後のルートドメインに関連付けられています。