Go to main content

Oracle® Solaris Cluster 4.4 のリファレンス

印刷ビューの終了

更新: 2018 年 8 月
 
 

scinstall (8)

名前

scinstall - Oracle Solaris Cluster ソフトウェアの初期化と新しいクラスタノードの確立

形式

/usr/cluster/bin/scinstall -i -F [-C clustername] 
     [-T authentication-options] [-o]] [-A adapter-options] 
     [-B switch-options] [-m cable-options] [-w netaddr-options]
/usr/cluster/bin/scinstall -i -N cluster-member [-C clustername] 
     [-A adapter-options] [-B switch-options] [-m cable-options]
/usr/cluster/bin/scinstall -c net-image-source -U password-file 
     -h nodename -n nodeip-mac-options -W software-specs -F 
     [-C clustername] [-T authentication-options [-A adapter-options] 
     [-B switch-options] [-m cable-options] [-w netaddr-options]
/usr/cluster/bin/scinstall -c net-image-source -U password-file 
     -h nodename -n nodeip-mac-options -W software-specs 
     -N cluster-member [-C clustername] [-A adapter-options] 
     [-B switch-options] [-m cable-options]
/usr/cluster/bin/scinstall -c archive=archive-location[::cert=cert-file::
     key=key-file],action=initial -U password-file -h nodename
     -n nodeip-mac-options -F[-C clustername] [-f hostnames-map-file]
     [-T authentication-options] [-A adapter-options] 
     [-B switch-options] [-m cable-options] [-o] [-w netaddr-options]
/usr/cluster/bin/scinstall -c archive=archive-location[::cert=cert-file::
     key=key-file],action=initial -U password-file -h nodename
     -n nodeip-mac-options -N cluster-member[-C clustername] [-f hostnames-map-file]
     [-T authentication-options] [-A adapter-options] 
     [-B switch-options] [-m cable-options] [-o] [-w netaddr-options]
/usr/cluster/bin/scinstall -c archive=archive-location[::cert=cert-file::
     key=key-file],action=restore -h nodename [-F[-o]]
     -C clustername -n nodeip-mac-options [-T secureAI=yes]
/usr/cluster/bin/scinstall -c archive=archive-location[::cert=cert-file::
     key=key-file],action=replicate -h nodename [-F[-o]] 
     -C clustername -n nodeip-mac-options
     [-T node=archive-source-node::node-to-install[,…] [,secureAI=yes]
     [-f hostnames-map-file] [-w netaddr-options] -U password-file
/usr/cluster/bin/scinstall -u update-modes [update-options]
/usr/cluster/bin/scinstall -u update update-options [pkg_fmri_pattern …]
/usr/cluster/bin/scinstall -r [-N cluster-member] [–b be-name]
scinstall -p [-v]

説明

scinstall コマンドは、Oracle Solaris Cluster ノードの作成および更新について、次の各種のタスクを実行します。

  • –scinstall の「初期化」形式 (i) は、新しい Oracle Solaris Cluster の構成メンバーとしてノードを確立します。その際、新規クラスタで最初のノードとして確立 (–F) するか、既存のクラスタへノードを追加 (–N) することができます。scinstall コマンドのこの形式は、常にクラスタを作成するノードまたはクラスタに追加されるノードから実行します。

  • scinstall の「インストールクライアント追加」形式 (–c) は、指定された nodename を、このコマンドが実行されている Automated Installer (AI) インストールサーバー上のカスタム AI クライアントとして確立します。この形式の scinstall コマンドは、常に AI インストールサーバーから実行します。

  • scinstall の「削除」形式 (–r) は、クラスタ構成情報を削除し、クラスタノードから Oracle Solaris Cluster ソフトウェアをアンインストールします。

  • scinstall の「更新」形式 (–u) には複数のモードとオプションがあり、Oracle Solaris Cluster ノードを新しいリリースに更新します。このプロセスは、以前はソフトウェアアップグレードと呼ばれていました。scinstall コマンドのこの形式は、常に更新するノードから実行します。

  • scinstall の「リリース出力」形式 (–p) は、コマンドを実行したノードにインストールされた Oracle Solaris Cluster ソフトウェアについて、そのリリース情報およびパッケージバージョン情報を出力します。

オプションを指定しない場合、scinstall コマンドは対話型モードで実行を試みます。

「リリース出力」形式 (–p) を除くすべての scinstall コマンド形式は、root 役割として実行します。

ha-cluster/system/install ソフトウェアパッケージには、scinstall コマンドのコピーが含まれています。

このコマンドは、大域ゾーンからのみ実行できます。

オプション

基本オプション

次のオプションで、基本的なコマンドの形式および機能を指定します。

ただし、複数のオプションを同一のコマンド行で指定できません。

–c

「インストールクライアント追加」形式の scinstall コマンドを指定します。このオプションは、指定された nodename を、コマンドが発行された AI サーバー上のカスタム自動インストーラ (AI) クライアントとして確立します。この –c オプションは、2 つの仕様 -c net-image-source および -c archive=archive-location[::cert=cert-file::key=key-file],action={initial/restore|replicate} を受け入れます。

��オプション�大域ゾーン���使用����。

AI を使用して、IPS リポジトリから Oracle Solaris および Oracle Solaris Cluster ソフトウェアパッケージをインストールし、新しいクラスタを構成する場合は、net-image-source を指定する必要があります。これは、クラスタノードのアーキテクチャ (SPARC または i386) に基づき、install-image または solaris-auto-install IPS パッケージを取得するリポジトリとすることができます。

-c publisher=repo[::cert=cert-file=key-file],arch={sparc|i386}

net-image-source は、Oracle Solaris リリースの AI ISO イメージファイルとすることもできます。ファイルは、クラスタノードをインストールするように構成された、すでに確立された AI サーバーからアクセスできる必要があります (-c iso-file)。

統合アーカイブを使用して自動的にクラスタをインストールしたり、クラスタノードを復元したりする場合は、archive=archive-location,action={initial|restore|replicate} コマンドを使用してください。このコマンドは、統合アーカイブの場所を指定し、AI サーバーからアクセス可能なファイルシステム上のアーカイブへのフルパスか、HTTP または HTTPS の場所とすることができます。HTTPS の場所にアクセスする場合は、SSL 鍵および証明書ファイルを指定する必要があります。また、新しいクラスタを構成する (action=initial)、ノードを復元する (action=restore)、または同じハードウェア構成を持つ既存のクラスタから新しいクラスタをレプリケートする (action=replicate) 場合は、アーカイブの使用目的も指定する必要があります。restore アクションを使用する場合、アーカイブは、復元するノードと同じノード上で以前作成された復旧タイプのアーカイブでなければなりません。

この形式のコマンドを使用すると、各クラスタノード (つまり nodename) を、すでに確立された自動インストーラインストールサーバー上のカスタム AI クライアントとして容易に確立できるため、AI サーバーからの完全に自動化されたクラスタインストールが可能になります。

Oracle Solaris Cluster の場合、AI マニフェストファイルをカスタマイズできます。Oracle Solaris Cluster 5.0 ソフトウェアのインストール の How to Install and Configure Oracle Solaris and Oracle Solaris Cluster Software (IPS Repositories)およびOracle Solaris 12 システムの自動インストールを参照してください。

scinstall コマンドを使用してカスタム Oracle Solaris Cluster AI クライアントとしてノードを設定する前に、まず AI インストールサーバーを確立する必要があります。AI インストールサーバーの設定の詳細は、Oracle Solaris 12 システムの自動インストール の 第 3 章, Setting Up the AI Serverを参照してください。

–i

「初期化」形式の scinstall コマンドを指定します。この形式のコマンドは、新しいクラスタメンバーとしてノードを確立します。新規のノードは、scinstall コマンドを発行したノードとなります。

��オプション�大域ゾーン���使用����。

–i オプションに –F オプションを併用すると、scinstall は新規クラスタの最初のノードを確立します。

–F オプションに –o オプションを併用すると、scinstall は単一ノードクラスタを確立します。

–i オプションに –N オプションを併用すると、scinstall は既存のクラスタにノードを追加します。

–p

コマンドを実行したノードにインストールされた Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのリリース情報およびパッケージバージョン情報を出力します。これは、root 以外で実行できる唯一の scinstall の形式です。

��オプション�大域ゾーン���使用����。

–r

クラスタノードから、クラスタの構成情報を削除し、Oracle Solaris Cluster のフレームワークおよびデータサービスソフトウェアをアンインストールします。この処理の実行後は、ノードを再インストールしたり、クラスタからノードを削除することができます。このコマンドは、アンインストールするノード上のクラスタソフトウェアによって使用されていないディレクトリから実行してください。ノードは、非クラスタモードとします。

��オプション�大域ゾーン���使用����。

–u

scinstall コマンドを起動したノード上の Oracle Solaris Cluster ソフトウェアを更新します。scinstall の更新形式には複数の動作モードがあり、update-mode で指定されます。実行する更新タイプの詳細は、次の「更新オプション」を参照してください。

��オプション�大域ゾーン���使用����。

追加オプション

基本オプションに追加オプションを併用することで、各形式のコマンドのデフォルト動作を変更できます。各形式の scinstall コマンドで使用可能なオプションについては、「形式」セクションを参照してください。

サポートされる追加オプションには、次のものがあります。

–b be-name

新しいブート環境 (BE) に割り当てる名前を指定します。–b オプションは、「削除」 (–r) 形式のコマンドおよび「更新」 (–u update) 形式のコマンドでのみ有効です。–u update 形式のコマンドで使用するときは、–b オプションを –R オプションと組み合わせて使用することはできません。

このオプションを指定しない場合は、scinstall によって新しい BE の名前が割り当てられます。この名前は、currentBE-N という形式の現在の BE の名前に基づいており、接尾辞 -N は増分される数字です。

最初の新しい BE には currentBE-1、次の新しい BE には currentBE-2 という名前が付けられ、以降も同様です。BE が削除された場合、サフィックスの数字がそれより大きな BE 名が存在するときは、次の新しい BE にその名前は再利用されません。たとえば、sc4.4, sc4.4-1、および sc4.4-2 という BE が存在するときに、sc4.4-1 が削除された場合、次の新しい BE には sc4.4-3 という名前が付けられます。

すでに存在する BE 名を指定した場合、このコマンドはエラーで終了します。

–h nodename

ノード名を指定します。–h オプションは、「インストールクライアント追加」 (–c) 形式のコマンドでのみ有効です。

nodename は、カスタム AI インストールのために設定するクラスタノード (つまり、AI インストールクライアント) の名前です。

–v

リリース情報を冗長モードで出力します。–v オプションは、「リリース出力」(–p) 形式のコマンドで冗長モードを指定する場合にのみ有効です。

「リリース出力」の冗長モードでは、インストールされている各 Oracle Solaris Cluster ソフトウェアパッケージのバージョン文字列も出力されます。

–F [config-options]

クラスタ内の最初のノードを確立します。–F オプションは、「初期化」(–i) または「インストールクライアント追加」(–c) 形式のコマンドでのみ有効です。

最初のノードのインストールが完全にクラスタメンバーとしてインスタンス化され、新規クラスタノードの追加に必要なすべての処理を実行できる状態になるまでは、2 番目以降のノードは確立できません。–F オプションとともに –o オプションを使用すると、単一ノードクラスタが作成され、このクラスタ作成中は、新規にノードを追加できません。

–f hostnames-map-file

別のクラスタからクラスタをレプリケートしたり、initial アクションで復旧アーカイブを使用して新しいクラスタを作成したりするために使用する古いホスト名と新しいホスト名の組み合わせリストを含むテキストファイルを指定します。このファイルには、複数の行を含めることができます。各行は 2 列で構成されています。最初の列は、アーカイブが作成されるソースクラスタで使用されるホスト名または IP アドレスです。2 列目は、新しいクラスタに対応するホスト名または IP アドレスです。これらのホスト名は、論理ホスト名、共有アドレスリソース、およびゾーンクラスタ用に使用できます。

source-cluster-zc-hostname1          target-cluster-zc-hostname1
source-cluster-zc-hostname2          target-cluster-zc-hostname2
source-cluster-lh1          target-cluster-lh1
source-cluster-lh2          target-cluster-lh2

��オプション�大域ゾーン���使用����。

–N cluster-member [config-options]

クラスタ番号を指定します。–N オプションは、「初期化」(–i)、「インストールクライアント追加」(–c)、または「削除」(–r) 形式のコマンドでのみ有効です。

–N オプションを –i オプションとともに使用する前に、まず –N オプションに指定される cluster-memberclauth enable -n control-node コマンドを実行する必要があります。このコマンドは、control-node からのコマンドの受け入れを承認します。–N オプションを –c オプションとともに使用する場合は、前もって clauth コマンドを実行する必要はありません。詳細は、clauth(8CL) のマニュアルページを参照してください。

–i または –c オプションとともに使用される場合、–N オプションは、既存のクラスタにノードを追加するために使用されます。通常、cluster-member にはクラスタに対して確立される最初のクラスタノードの名前を指定します。ただし、cluster-member は、すでにクラスタメンバーとして参加している任意のクラスタノードの名前を指定します。初期化されるノードは、cluster-member がすでに有効なメンバーであるクラスタに追加されます。既存のクラスタへの新規ノードの追加処理では、新規ノードのローカルファイルシステムへの構成データベースのコピーの作成に加え、指定された cluster-member 内の構成データが更新されます。

–r オプションにこの –N オプションを併用する場合は、クラスタのアクティブなメンバー以外の任意のノードを cluster-member に指定できます。scinstall コマンドは、クラスタ構成を更新するために、指定された cluster-member に接続します。–N オプションが指定されないと、scinstall は既存のノードを探してアクセスを試みます。

構成オプション

config-options–F オプションとともに使用します。

/usr/cluster/bin/scinstall{–i | –c net-image-source –U password-file –hnodename -n nodeip-mac-options -W software-spec} –F [ –C clustername] [–T authentication-options] [–A adapter-options] [–B switch-options] [–m endpoint=[this-node]:name[@port],endpoint=[node:]name[@port]] [–o] [–w netaddr-options]
/usr/cluster/bin/scinstall {–i | –c net-image-source –U password-file –h nodename -n nodeip-mac-options -W software-spec} –N cluster-member [–C clustername] [–A adapter-options] [–B switch-options] [–m endpoint=cable-options]
–m cable-options

クラスタインターコネクトを指定します。このオプションが利用できるのは、–F または –N オプションを指定する場合だけです。

–m オプションは、クラスタトランスポートのアダプタおよびスイッチに存在する各種ポートのケーブル接続を構成して、クラスタインターコネクトのトポロジ確立を支援します。この形式のコマンドで新規にケーブルを構成すると、現在のノード上のクラスタトランスポートアダプタからクラスタトランスポートスイッチ上のポートへの接続、またはクラスタ内に存在するほかのノード上のアダプタへの接続が確立されます。

–m オプションを指定しない場合、scinstall コマンドはデフォルトケーブルの構成を試みます。ただし、scinstall の指定インスタンスで 2 つ以上のトランスポートアダプタまたはスイッチを構成した場合、scinstall でデフォルトは構成されません。デフォルトでは、シングル構成のトランスポートアダプタからシングル構成 (またはデフォルト) のトランスポートスイッチに対して、1 つのケーブルが構成されます。

–m cable-options は次のように指定します。

–m endpoint=[this-node]:name[@port],endpoint=[node:]name[@port]

–m オプションの構文では、2 つの終端の少なくとも 1 つを、構成しているノード上のアダプタとしてください。この終端については、明示的に this-node を指定する必要はありません。次にケーブル追加のサンプルコードを示します。

–m endpoint=:net1,endpoint=switch1

この例では、このノード (scinstall が構成しているノード) 上の net1 トランスポートアダプタのポート 0 が、トランスポートスイッチ switch1 上のポートにケーブル接続されます。switch1 に使用されるポート番号は、デフォルトでこのノードのノード ID 番号になります。

1 つの –m オプションに対して、常に 2 つの endpoint オプションを指定する必要があります。オプション引数の name コンポーネントは、ケーブルの一方の終端の、クラスタトランスポートアダプタまたはクラスタトランスポートスイッチの名前を指定します。

  • node コンポーネントを指定すると、name はトランスポートアダプタの名前になります。

  • node コンポーネントを指定しないと、name はトランスポートスイッチの名前になります。

port コンポーネントを指定しない場合、scinstall コマンドはデフォルトポート名の使用を試みます。アダプタのデフォルト port は、常に 0 になります。スイッチの終端の場合、ポートの name のデフォルト値は、クラスタに追加するノード ID と等しくなります。

ポートの割り当てやその他の要件の詳細については、clinterconnect(8CL) のマニュアルページを参照してください。

ケーブルを構成する前に、ケーブルの 2 つの終端でアダプタやスイッチを構成しておく必要があります (–A および –B を参照)。

–n nodeip-mac-options

ノードの IP アドレスと MAC アドレスを指定します。このオプションは、–c オプションも指定されている場合にのみ有効です。

–n nodeip-mac-options の構文は次のとおりです。

-n ip=node-ipaddr/N,mac=mac-address
–o

単一ノードクラスタの構成を指定します。このオプションが利用できるのは、–i および –F オプションを指定する場合だけです。

その他の –F オプションはサポートされていますが、必須ではありません。クラスタ名が指定されないと、ノードの名前がクラスタ名として使用されます。CCR に格納されるトランスポート構成オプションを指定できます。単一ノードクラスタが確立されたあとは、定足数デバイスを構成したり、installmode を無効にしたりする必要はありません。

–w netaddr-options

プライベートインターコネクト、つまり、クラスタトランスポートのネットワークアドレスを指定します。このオプションが利用できるのは、–F オプションを指定する場合だけです。

このオプションは、プライベートインターコネクトで使用するプライベートネットワークアドレスを指定するために使用します。このオプションは、デフォルトのプライベートネットワークアドレスが、すでにネットワークで使用中のアドレスと競合する場合に使用できます。このオプションは、プライベートインターコネクト用に予約されている IP アドレス範囲のサイズをカスタマイズするのにも使用できます。詳細は、networks(5) および netmasks(5) のマニュアルページを参照してください。

指定しない場合、プライベートインターコネクトのデフォルトのネットワークアドレスは 172.16.0.0 です。デフォルトのネットマスクは 255.255.240.0 です。この IP アドレス範囲は、最大で 62 個のノード、10 個のプライベートネットワーク、および 12 個のゾーンクラスタをサポートします。

–w netaddr-options は次のように指定します。

-w netaddr=netaddr[,netmask=netmask]

-w netaddr=netaddr[,maxnodes=nodes,maxprivatenets=maxprivnets,\
numvirtualclusters=zoneclusters]

-w netaddr=netaddr[,netmask=netmask,maxnodes=nodes,\maxprivatenets=maxprivnets\
,numvirtualclusters=zoneclusters]
netaddr=netaddr

プライベートネットワークアドレスを指定します。このアドレスの末尾 2 つのオクテットは、常に 0 にする必要があります。

[netmask=netmask]

ネットマスクを指定します。指定した値は、デフォルト以上の IP アドレス範囲に一致している必要があります。

デフォルト未満の IP アドレス範囲を割り当てるには、maxnodesmaxprivatenets、および numvirtualclusters オペランドを指定します。

[,maxnodes=nodes,maxprivatenets=maxprivnets,numvirtualclusters=zoneclusters]

クラスタに含まれると予想されるノード、プライベートネットワーク、およびゾーンクラスタの最大数を指定します。このコマンドは指定された値を使用して、プライベートインターコネクトが指定された数のノード、プライベートネットワーク、およびゾーンクラスタをサポートするのに必要な最小のネットマスクを計算します。nodes の最大値は 62 で、最小値は 2 です。maxprivnets の最大値は 128 です。最小値は 2 です。zoneclusters には、値として 0 を設定できます。

[,netmask=netmask,maxnodes=nodes,maxprivatenets=maxprivnets\ ,numvirtualclusters=zoneclusters]

クラスタに含まれると予想されるノード、プライベートネットワーク、およびゾーンクラスタのネットマスクと最大数を指定します。ネットマスクには、指定した nodes 数、privnets 数、zoneclusters 数を十分にカバーできるものを指定する必要があります。nodes の最大値は 62 で、最小値は 2 です。privnets の最大値は 128 です。最小値は 2 です。zoneclusters には、値として 0 を設定できます。

netaddr サブオプションだけを指定する場合、このコマンドは 255.255.240.0 というデフォルトのネットマスクを割り当てます。この IP アドレス範囲には、最大で 62 個のノード、10 個のプライベートネットワーク、および 12 個のゾーンクラスタが含まれます。

クラスタの確立後にプライベートネットワークアドレスまたはネットマスクを変更するには、cluster コマンドまたは clsetup ユーティリティーを使用します。

–A adapter-options

トランスポートアダプタと、オプションでトランスポートタイプを指定します。このオプションが利用できるのは、–F または –N オプションを指定する場合だけです。–c オプションも指定する場合、タグ付き VLAN アダプタはサポートされません。

1 つの –A オプションで、scinstall コマンドを実行するノードに接続したクラスタトランスポートアダプタを 1 つ構成できます。

–A オプションが指定されない場合は、デフォルトのアダプタおよびトランスポートタイプが使用されます。デフォルトのトランスポートタイプは dlpi です。SPARC プラットフォームでは、デフォルトのアダプタは hme1 です。

アダプタのトランスポートタイプが dlpi であれば、trtype サブオプションを指定する必要はありません。この場合、次の 2 つのいずれかの形式で –A adapter-options を使用できます:

–A [trtype=type,]name=adaptername[,vlanid=vlanid][,other-options]–A adaptername
[trtype=type]

アダプタのトランスポートタイプを指定します。trtype オプションは、アダプタのトランスポートタイプを指定する –A オプションごとに使用します。トランスポートタイプ type の例は dlpi です。

デフォルトのトランスポートタイプは dlpi です。

name=adaptername

アダプタ名を指定します。–A オプションごとに name サブオプションを使用して、adaptername を指定する必要があります。adaptername は 1 つの device name から構成され、その直後に 1 つの physical-unit 番号が続きます (hme0 など)。

–A オプションにほかのサブオプションを指定しない場合は、adaptername–A オプションのスタンドアロン引数として (つまり、–A adaptername として) 指定できます。

vlanid=vlanid

タグ付けされた VLAN アダプタの VLAN ID を指定します。

[other-options]

追加のアダプタオプションを指定します。ある特定のアダプタがほかのオプションを提供する場合、これらのオプションは –A オプションから指定することができます。

–B switch-options

トランスポートスイッチ (トランスポート接続点とも呼ぶ) を指定します。このオプションが利用できるのは、–F または –N オプションを指定する場合だけです。

1 つの –B オプションで、クラスタトランスポートスイッチを 1 つ構成できます該当するデバイスとしては、Ethernet ハブなどの各種タイプのスイッチやリンクなどがありますが、これだけに限られるわけではありません。

–B オプションを指定しない場合、scinstall は、最初のノードがクラスタノードとしてインスタンス化される時点でデフォルトのスイッチを追加します。クラスタにノードを追加すると、スイッチをデフォルトで追加されません。ただし、明示的に追加することはできます。デフォルトのスイッチの名前は switch1 で、そのタイプは switch です。

スイッチのタイプが switch であれば、type サブオプションを指定する必要はありません。この場合、–B switch-options を指定するには、次の 2 つの形式のいずれかを使用できます。

-B [type=type,]name=name[,other-options]-B name

指定されたスイッチ name にクラスタトランスポートスイッチがすでに構成されている場合、scinstall はメッセージを出力し、–B オプションを無視します。

直接ケーブル接続されたトランスポートアダプタを使用する場合は、トランスポートスイッチを構成する必要はありません。トランスポートスイッチのデフォルト構成を回避するために、次の特別な –B オプションを使用します。

–B type=direct
[type=type]

クラスタトランスポートスイッチのタイプを指定します。type オプションは、–B オプションごとに使用できます。Ethernet スイッチは、スイッチタイプが switch のクラスタトランスポートスイッチの例です。詳細は、clinterconnect(8CL) のマニュアルページを参照してください。

type サブオプションを direct に設定すると、すべてのデフォルトスイッチの構成を無効にできます。直接接続方式のトランスポートアダプタだけで転送を行う構成には、スイッチはありません。type サブオプションを direct に設定する場合、name サブオプションを使用する必要はありません。

name=name

クラスタトランスポートスイッチの名前を指定します。typedirect である場合を除き、–B オプションごとに name サブオプションを使用して、トランスポートスイッチ name を指定する必要があります。name は最大 256 文字の英字または数字で構成でき、最初の文字は英字にします。個々のトランスポートスイッチの名前は、クラスタの名前空間全体で一意でなければなりません。

–B でその他のサブオプションが必要なければ、スイッチの name–B のスタンドアロン引数として指定できます (つまり、–B name となります)。

[other-options]

追加のトランスポートスイッチオプションを指定します。ある特定のスイッチタイプがほかのオプションを提供する場合、これらのオプションは –B オプションで指定することができます。スイッチで使用する可能性のある特殊なオプションについては、clinterconnect(8CL) のマニュアルページを参照してください。

–C clustername

クラスタの名前を指定します。このオプションが利用できるのは、–F または –N オプションを指定する場合だけです。

  • 構成するノードが新しいクラスタ内の最初のノードの場合、デフォルトの clustername は、構成しているノードの名前と同じです。

  • 構成するノードが既存のクラスタに追加される場合、デフォルトの clustername は、cluster-member が所属しているクラスタの名前になります。

clustername に対して cluster-member が所属していないクラスタ名を指定すると、エラーになります。

–T authentication-options

クラスタのノード認証オプションを指定します。このオプションが利用できるのは、–F オプションを指定する場合だけです。

このオプションは、自身をクラスタ構成に追加しようとするノードの認証リストを確立するために使用します。特に、クラスタにクラスタノードとしてノードを追加するようマシンが要求している場合は、ノードが参加する権利を有しているかどうかの判定が行われます。権利を有している場合、このノードは認証されてクラスタへの参加が許可されます。

–T オプションの使用は、クラスタ内の最初のノードを設定するときに、scinstall コマンドとともに使用する場合に限られます。すでに確立されたクラスタ上で認証リストまたはポリシーを変更する必要がある場合は、claccess コマンドを使用します。

–T authentication-options は次のように指定します。

–T node=nodename[,…][,secureAI=yes]
–T node=archive-source-node::node-to-install[,…][,secureAI=yes]
–T secureAI=yes
node=nodename[,…]

ノード名を指定してノード認証リストに追加します。–T オプションに追加する node サブオプションは、最低 1 つ指定する必要があります。このオプションは、クラスタ内のノードとして構成が可能なノードリストに、ノード名を追加するために使用されます。認証リストが空であれば、どのノードもクラスタ構成への追加要求を行うことができます。ただし、リストに 1 つでも名前が登録されていれば、こうした要求のすべてに対して、認証リストによる確認が行われます。このノードのリストは、いずれかのアクティブなクラスタノードから claccess コマンドまたは clsetup ユーティリティーを使用していつでも変更またはクリアできます。

node=archive-source-node::node-to-install[,…]

node=archive-source-node::node-to-install オプションは、ノード名のペアを指定します。レプリケートするすべてのノードについて、ノードのペアを指定する必要があります。最初のノード名は、アーカイブが作成されるノードで、2 番目のノード名は、そのアーカイブからインストールする新規クラスタのノードです。この指定は、別のクラスタ上に作成されたアーカイブからクラスタをレプリケートする場合のみ使用し、新規クラスタノードは、アーカイブが作成されるソースクラスタノードと同じハードウェア構成 (またはスーパーセット) を持つ必要があります。

[secureAI=yes]

AI でセキュアインストールを使用することと、それが AI を使用してクラスタソフトウェアをインストールしている場合にのみ有効であることを指定します。secureAI=yes を指定しない場合、デフォルトのアクションでは従来の AI インストールが実行されます。セキュアインストール方式を使用してアーカイブからノードを復元するとき、-T secureAI=yes のみを指定する必要があります。node=nodename[,…] は必要ありません。

–U password-file

root ユーザーのパスワードを含むファイルの名前を指定します。このオプションは、–c オプションも指定されている場合にのみ有効です。

このオプションにより、Oracle Solaris の初期インストールおよび構成時の root パスワードの自動設定が可能になります。ユーザーは、インストールされているシステムの root ユーザーのパスワードとして使用するテキストを含むファイルを作成します。通常、password-file は、nodename インストールクライアントをインストールするように構成された、すでに確立された AI インストールサーバー上に存在するか、またはそのサーバーからアクセス可能です。scinstall ユーティリティーはこのファイルの内容を取得し、それを Oracle Solaris 構成ユーティリティーに提供します。

–W software-specs

1 つ以上のパブリッシャーとパッケージリポジトリの場所を指定します。また、AI を使用したセキュアインストールに必要な公開鍵と SSL 証明書の情報も指定します。このオプションは、IPS リポジトリからインストールするために、–c オプションが指定されている場合にのみ有効です。

–W software-specs は次のように指定します。

–W publisher=repo[::key=key-file::cert=certificate-file] \
::pkg[,…][:::publisher=repo[::key=key-file::cert=certificate-file]::pkg[,…]]…

読みやすさのために –W オプションが複数行に分かれていますが、1 つの連続した文字列で指定するようにしてください。

–W オプションの構文では、publisher はパブリッシャー名 ha-cluster または solarisrepo はリポジトリの場所、key-filecertificate-file は HTTPS リポジトリからのセキュアインストールに必要な公開鍵と SSL 証明書の情報、pkg はソフトウェアパッケージ名です。

セキュアな HTTPS リポジトリを使用して Oracle Solaris または Oracle Solaris Cluster をインストールするには、公開鍵と SSL 証明書の情報を指定する必要があります。公開鍵と SSL 証明書は、http://pkg-register.oracle.com のサイトにリクエストし、そこからダウンロードできます。

更新オプション

標準 (順次以外) 更新、順次更新、およびデュアルパーティション更新のための –u update-modes および update-options は、次のとおりです。

標準 (順次以外) および順次更新

クラスタノードを標準 (順次以外) または順次更新モードでより新しいリリースの Oracle Solaris Cluster ソフトウェアに更新するには、–u update モードを使用します。

  • 標準 (非順次) 更新プロセスでは、クラスタノードが引き続きクラスタ要求に対応している間に、既存のマウント済みブート環境 (BE) またはアクティブでない BE が更新されます。既存のアクティブでない BE またはマウント済みのアクティブな BE を指定しない場合は、scinstall ユーティリティーによって新しい BE が自動的に作成されます。更新が完了すると、アクティブでない BE が更新された場合、scinstall ユーティリティーは更新された BE をアクティブにしたあと、そのノードを更新された BE にリブートすることをユーザーに通知します。

  • 順次更新プロセスでは、一度に 1 つのクラスタノードだけが稼働を停止されます。このプロセスは、Oracle Solaris または Oracle Solaris Cluster ソフトウェア、あるいはその両方を、すでにインストールされているバージョンの更新リリースに更新するためにのみ使用できます。1 つのノードを更新している間、クラスタサービスは残りのクラスタノードで継続されます。ノードを更新したら、そのノードをクラスタに戻して、次に更新するノードでプロセスを繰り返します。すべてのノードを更新したら、1 つのクラスタノードで scversions コマンドを実行して、クラスタを更新されたバージョンにコミットする必要があります。このコマンドを実行するまで、更新リリースで導入された新しい機能の一部を使用できない場合があります。

  • オプションで、現在のイメージにすでにインストールされているパッケージ FMRI を指定できます。

標準および順次モード用の –u updateupdate-options は次のとおりです。

[–g | –Z excluded-zone-cluster-name …] \
[–b be-name | –R mounted-be-path] \
[–L {accept | licenses | accept,licenses | licenses,accept}] 
[pkg_fmri_pattern …]
–g

大域ゾーンのみを更新しますが、ゾーンクラスタは更新しません。

–g オプションは –Z オプションと併用した場合は無効です。

–L {accept | licenses | accept,licenses | licenses,accept }

更新するパッケージのライセンスを受け入れるか表示するか (あるいはその両方) を指定します。

accept 引数は pkg コマンドの --accept オプションに対応し、licenses 引数は --licenses オプションに対応します。

–L accept オプションの指定は、更新されるパッケージのライセンスを受け入れることに同意することを示します。このオプションを指定しないと、パッケージライセンスで受け入れが必要な場合は、更新操作が失敗します。

–L licenses を指定すると、更新されるパッケージのすべてのライセンスが表示されます。

accept および licenses の両方に –L オプションを指定すると、更新されるパッケージのライセンスが表示され、受け入れられます。accept および licenses 引数を指定する順序は、コマンドの動作に影響を与えません。

–R mounted-be-path

更新する既存のマウントされたブート環境 (BE) を指定します。

–R オプションは –b オプションと併用した場合は無効です。

–Z excluded-zone-cluster-name […]

更新してはいけないゾーンクラスタを指定します。–Z オプションは何度でも指定できます。更新は、グローバルクラスタと、–Z オプションを使用して指定されていないゾーンクラスタでのみ実行されます。

–Z オプションは –g オプションと併用した場合は無効です。

scinstall -u update コマンドは、更新するパッケージの pkg_fmri_patterns を指定する機能をサポートします。

[pkg_fmri_pattern …]

更新するパッケージを指定します。これらのパッケージは現在のイメージにインストールする必要があります。指定された pkg_fmri_pattern パターンの 1 つがアスタリスク (*) である場合、現在のイメージ内のすべてのインストール済みパッケージを更新できます。

デュアルパーティション更新

複数の段階のデュアルパーティション更新を実行するためのデュアルパーティション更新には、–u update-modes および update-options を使用します。

デュアルパーティション更新プロセスでは、まずクラスタノードが 2 つのグループ (つまり、パーティション) に割り当てられます。次に、一方のパーティションがクラスタサービスを提供している間に、もう一方のパーティションを更新します。その後、更新済みのパーティションにサービスを切り替え、残りのパーティションを更新し、更新済みの第 1 パーティションから成るクラスタに第 2 パーティションの更新済みノードを再度参加させます。デュアルパーティション更新の update-modes には、デュアルパーティション更新中に障害が発生したあとの回復のモードも含まれています。

デュアルパーティション更新のモードは、–u update 更新モードとともに使用されます。詳細は、Updating Your Oracle Solaris Cluster 4.4 Environmentを参照してください。

デュアルパーティション更新のための –uupdate-modes および update-options は、次のとおりです。

/usr/cluster/bin/scinstall -u begin -h nodelist
/usr/cluster/bin/scinstall -u plan
/usr/cluster/bin/scinstall -u recover
/usr/cluster/bin/scinstall -u status
/usr/cluster/bin/scinstall -u apply
/usr/cluster/bin/scinstall -u status
apply

パーティションの更新が完了したことを指定します。この形式のコマンドは、パーティションのすべてのノードが更新されたあと、その更新済みパーティションの任意のノードから実行します。

apply 更新モードは次のタスクを実行します。

第 1 パーティション

第 1 パーティションのノードから apply 更新モードを実行すると、第 1 パーティションのすべてのノードが新しいソフトウェアを実行するように準備されます。

第 1 パーティション内のノードでクラスタサービスをサポートする準備ができたら、このコマンドは、第 2 パーティション内のノード上にあるスクリプト /etc/cluster/ql/cluster_pre_halt_apps および /etc/cluster/ql/cluster_post_halt_apps をリモートで実行します。これらのスクリプトは、Resource Group Manager (RGM) で管理されていない Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC) などのアプリケーションを停止するユーザー製のスクリプトを呼び出すために使用されます。

  • cluster_pre_halt_apps スクリプトは、RGM で管理されているアプリケーションが停止される前に実行されます。

  • cluster_post_halt_apps スクリプトは、RGM で管理されているアプリケーションが停止されたあと、ただしノードが停止される前に実行されます。


注 -  apply 更新モードを実行する前に、必要に応じてスクリプトテンプレートを変更して、ノード上の特定のアプリケーションを停止するために作成したほかのスクリプトを呼び出すようにします。変更したスクリプトとそれらが呼び出すユーザー製のスクリプトを、第 1 パーティションの各ノードに配置します。これらのスクリプトは、第 1 パーティションの任意の 1 つのノードから実行されます。第 1 パーティションの複数のノードで実行されているアプリケーションを停止するには、ユーザー製のスクリプトを適宜変更します。未変更のスクリプトで実行されるデフォルトのアクションはありません。

第 2 パーティションのアプリケーションがすべて停止されたあと、このコマンドは第 2 パーティションのノードを停止します。シャットダウンにより、第 1 パーティションのノードへ、アプリケーションとデータサービスのスイッチオーバーが開始されます。その後、このコマンドは第 2 パーティションのノードをクラスタモードでブートします。

リソースグループのノードリストに第 1 パーティションのメンバーだけが含まれており、そのためリソースグループがオフラインであった場合、リソースグループはオンラインに戻ります。第 1 パーティションに属するノードがリソースグループのノードリストに含まれていない場合、リソースグループはオフラインのままになります。

第 2 パーティション

第 2 パーティションのノードから apply 更新モードを実行すると、第 2 パーティションのすべてのノードが新しいソフトウェアを実行するように準備されます。その後、このコマンドはノードをクラスタモードでブートします。第 1 パーティションのノードから成るアクティブなクラスタに、第 2 パーティションのノードが再結合されます。

リソースグループのノードリストに第 2 パーティションのメンバーだけが含まれており、そのためリソースグループがオフラインであった場合、リソースグループはオンラインに戻ります。

すべてのノードがクラスタに再結合されたあと、このコマンドは最終処理を実行し、定足数デバイスを再構成し、定足数投票数を復元します。

begin

更新する第 1 パーティションに割り当てるノードを指定し、デュアルパーティション更新プロセスを開始します。この形式のコマンドはクラスタの任意のノードから実行します。この更新モードは、plan 更新モードを使用して可能なパーティションスキームを判定したあとで使用します。

まず、begin 更新モードは各パーティションに割り当てるノードを記録します。次に、この更新モードは 1 つのノード上のアプリケーションをすべて停止し、そのノードをシャットダウンします。シャットダウンにより、リソースグループのノードリストに含まれている第 2 パーティションに属するノードへ、ノードの各リソースグループのスイッチオーバーが開始されます。第 2 パーティションに属するノードがリソースグループのノードリストに含まれていない場合、リソースグループはオフラインのままになります。

その後、このコマンドは第 1 パーティションの残りの各ノードで、一度に 1 ノードずつ、この一連のアクションを繰り返します。

第 1 パーティションの更新の間、第 2 パーティションのノードは稼働状態のままです。ノード上の定足数デバイスは一時的に構成解除され、定足数投票数は一時的に変更されます。

plan

クラスタのストレージ構成を照会し、共有ストレージの要件を満たす可能なパーティションスキームをすべて表示します。この形式のコマンドはクラスタの任意のノードから実行します。これはデュアルパーティション更新で最初に実行するコマンドです。

デュアルパーティション更新では、各パーティションの少なくとも 1 つのノードが各共有ストレージアレイに物理的にアクセスする必要があります。

plan 更新モードは、ゼロ、1、または複数のパーティションソリューションを返します。ソリューションが返されない場合、クラスタ構成はデュアルパーティション更新に適していません。代わりに標準更新方法を使用してください。

どのパーティションソリューションでも、更新する第 1 パーティションとしてどちらかのパーティショングループを選択できます。

recover

デュアルパーティション更新の処理中に致命的エラーが発生した場合、ノードのクラスタ構成を回復します。この形式のコマンドはクラスタの各ノードで実行します。

このコマンドを実行する前に、クラスタをシャットダウンし、すべてのノードを非クラスタモードでブートする必要があります。

いったん致命的エラーが発生したら、recover 更新モードを実行したあとでも、デュアルパーティション更新を再開したり再度開始したりできません。

recover 更新モードは、デュアルパーティション更新を開始する前に、クラスタ構成リポジトリ (CCR) データベースを元の状態に戻します。

次のリストでは、どのような状況で recover 更新モードを使用し、どのような状況でほかの手順を使用するかについて説明します。

  • –u begin 処理中に障害が発生した場合は、–u recover 更新モードを実行します。

  • –u begin 処理の完了後、ただし第 2 パーティションのシャットダウン警告が発行される前に障害が発生した場合は、エラーが発生した場所を特定します。

    • 障害が第 1 パーティションのノードで発生した場合は、–u recover 更新モードを実行します。

    • 障害が第 2 パーティションのノードで発生した場合は、回復アクションは必要ありません。

  • 第 2 パーティションのシャットダウン警告が発行されたあと、ただし第 2 パーティションに対する –u apply 処理が開始する前に障害が発生した場合は、エラーが発生した場所を特定します。

    • 障害が第 1 パーティションのノードで発生した場合は、–u recover 更新モードを実行します。

    • 障害が第 2 パーティションのノードで発生した場合は、障害の発生したノードを非クラスタモードでリブートします。

  • 第 2 パーティションに対する –u apply 処理の完了後、ただし更新が完了する前に障害が発生した場合は、エラーが発生した場所を特定します。

    • 障害が第 1 パーティションのノードで発生した場合は、–u recover 更新モードを実行します。

    • 障害が第 1 パーティションのノードで発生した場合は、第 1 パーティションが稼働状態のままであれば、障害の発生したノードをリブートします。

    • 障害が第 2 パーティションのノードで発生した場合は、–u recover 更新モードを実行します。

どの場合でも、標準更新方法を使用して更新を手動で続行することはでき、その方法ではすべてのクラスタノードをシャットダウンする必要があります。

status

デュアルパーティション更新のステータスを表示します。可能な状態は、次のとおりです。

Update is in progress

scinstall -u begin コマンドが実行されましたが、デュアルパーティション更新は完了していません。

デュアルパーティション更新の間に致命的エラーが発生した場合も、クラスタはこのステータスを報告します。この場合、回復手順を実行し、標準更新方法を使用してクラスタの更新を完了したあとも、この状態はクリアされません

Update not in progress

scinstall -u begin コマンドがまだ発行されていないか、デュアルパーティション更新が正常に完了しています。

status 更新モードはクラスタの 1 つのノードから実行します。ノードは、クラスタモードでも非クラスタモードでもかまいません。

発行するノードがデュアルパーティション更新のどの段階にあるかにかかわらず、報告される状態はクラスタのすべてのノードについて有効です。

デュアルパーティション更新モードでは次のオプションがサポートされています。

–h nodelist

第 1 パーティションに割り当てるすべてのノードをスペースで区切ったリストを指定します。plan 更新モードで、使用するパーティションスキームにおけるパーティションの有効なメンバーとして表示される出力から、これらを選択します。begin 更新モードに指定しない、クラスタの残りのノードは、第 2 パーティションに割り当てられます。

このオプションは、begin 更新モードでのみ有効です。

2 ノードクラスタの確立

次の例では、SPARC ベースのプラットフォーム上に Oracle Solaris Cluster ソフトウェアを使用した標準的な 2 ノードクラスタが確立されます。この例では、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアパッケージがすでにノードにインストールされていることを前提とします。

node1 上で、次のコマンドを発行します。

node1# /usr/cluster/bin/scinstall -i -F

node2 上で、次のコマンドを発行します。

node2# /usr/cluster/bin/scinstall -i -N node1

単一ノードクラスタの確立

次のコマンドでは、すべてのデフォルト設定を受け入れて、SPARC ベースのプラットフォーム上に Oracle Solaris Cluster ソフトウェアを使用した単一ノードクラスタが確立されます。この例では、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアパッケージがすでにノードにインストールされていることを前提とします。

# /usr/cluster/bin/scinstall -i -F -o

AI サーバー上のネットイメージ ISO ファイルを使用したインストールクライアントの追加

次の例では、2 ノードクラスタ内の SPARC ベースのプラットフォーム上に、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアをインストールおよび初期化するための AI インストールサーバーが設定されます。

インストールサーバー上で、次のコマンドを発行します。読みやすさのために –W オプションが複数行に分かれていますが、1 つの連続した文字列で指定するようにしてください。

# usr/cluster/bin/scinstall -c /export/home/11-ga-ai-x86.iso -h phys-schost-1 \ 
-U /export/pwdfile \ 
-C schost \ 
-F \ 
-W solaris=http://ipkg.us.oracle.com/solaris11/release::\
entire,server_install:::ha-cluster=cluster-repository::\
ha-cluster-framework-full,ha-cluster-data-services-full,
ha-cluster-geo-full \ 
-n ip=10.255.85.163/24,mac=12:34:56:78:90:ab \ 
-T node=phys-schost-1,node=phys-schost-2 \ 
-w netaddr=172.16.0.0,netmask=255.255.240.0,maxnodes=62,\
maxprivatenets=10,numvirtualclusters=12 \ 
-A trtype=dlpi,name=e1000g1 -A trtype=dlpi,name=nxge1 \ 
-B type=switch,name=switch1 -B type=switch,name=switch2 \ 
-m endpoint=:e1000g1,endpoint=switch1 \ 
-m endpoint=:nge1,endpoint=switch2 

# usr/cluster/bin/scinstall -c /export/home/11-ga-ai-x86.iso -h phys-schost-2 \ 
-U /export/pwdfile \ 
-C schost \ 
-N phys-schost-1 \ 
-W solaris=http://ipkg.us.oracle.com/solaris11/release::\
entire,server_install:::ha-cluster=cluster-repository::\
ha-cluster-framework-full,ha-cluster-data-services-full,\ 
ha-cluster-geo-full \ 
-n ip=10.255.85.164/24,mac=12:34:56:78:90:ab \ 
-A trtype=dlpi,name=e1000g1 -A trtype=dlpi,name=nxge1 \ 
-m endpoint=:e1000g1,endpoint=switch1 \ 
-m endpoint=:nge1,endpoint=switch2

デュアルパーティション更新の実行

次の例では、デュアルパーティション方法を使用して、クラスタのフレームワークおよびデータサービスソフトウェアを、新規リリースの Oracle Solaris Cluster に更新します。この例では、SPARC ベースのプラットフォーム上の Oracle Solaris Cluster バージョンを使用します。この例では、クラスタに有効なパーティションスキームを照会し、ノードをパーティションに割り当て、第 1 パーティションのノードをリブートし、更新後に第 1 パーティションを稼働状態に戻して第 2 パーティションのノードをリブートし、更新後に第 2 パーティションをクラスタに戻します。

# /usr/cluster/bin/scinstall -u plan
  Option 1
    First partition
      phys-schost-1
    Second partition
      phys-schost-2
…
# /usr/cluster/bin/scinstall -u begin -h phys-schost-1 phys-schost-3

ok boot -x

(第 1 パーティションのノードを更新します)

phys-schost-1# /usr/cluster/bin/scinstall -u apply
ok boot -x

(第 2 パーティションのノードを更新します)

phys-schost-2# /usr/cluster/bin/scinstall -u apply

フレームワークおよびデータサービスソフトウェアの更新 (標準または順次更新)

次の例では、クラスタのフレームワークおよびデータサービスソフトウェアを、新規リリースの Oracle Solaris Cluster に更新します。次の操作をそれぞれのクラスタノードで実行します。


注 -  順次更新の場合、clnode evacuate コマンドを使用して、すべてのリソースグループとデバイスグループをクラスタ内に残っているほかのノードに移動させたあと、これらの操作を 1 つのノードで一度に実行します。
# /usr/cluster/bin/scinstall -u update
# init 6

アーカイブファイルから最初のノードの復元

次の例は、セキュアな AI インストールを使用して、AI サーバーからアクセス可能なファイルシステム上に保存されているアーカイブファイルから、最初のノードを復元します。

# /usr/cluster/bin/scinstall -c archive=file:///net/storagenode/export/archive
     /phys-schost-1-recovery-archive,action=restore \
-h phys-schost-1 \
-C schost =\
-F \
-n ip=10.255.85.163/24,mac=12:34:56:78:90:ab \
-T secureAI=yes

アーカイブからの他のノードの復元

次の例は、セキュアな AI インストールを使用して、別のノード上で以前作成されたアーカイブから、それらのノードを復元します。

# /usr/cluster/bin/scinstall -c archive=file:///net/storagenode/export/archive
     /phys-schost-2-recovery-archive,action=restore \
-h phys-schost-2 \
-C schost =\
-n ip=10.255.85.164/24,mac=12:34:56:78:90:cd \
-T secureAI=yes

セキュアでないレプリケーションの実行

次の例は、セキュアでないレプリケーションを実行します。

# /usr/cluster/bin/scinstall -c archive=file:///net/storagenode/export/archive
     /source-node-1-archive,action=replicate \
-h phys-schost-1 \
-C schost \
-F \
-n ip=10.255.85.163/24,mac=12:34:56:78:90:ab \
-T node=phys-schost-1,node=phys-schost-2,secureAI=yes \
-U /export/pwdfile
# /usr/cluster/bin/scinstall -c archive=file:///net/pnass3/export/archive
     /vzono1a.clone,action=replicate \
-h phys-schost-2 \
-C schost \
-n ip=10.255.85.164/24,mac=12:34:56:78:90:cd \
-U /export/pwdfile

AI サーバー上の IPS リポジトリを使用したインストールクライアントの追加

次の例は、セキュアな AI インストールを使用して、IPS リポジトリから 2 ノードの x86 クラスタをインストールして構成します。

# /usr/cluster/bin/scinstall -c solaris=http://ipkg.us.oracle.com/solaris11
     /release::arch=i386 -h phys-schost-1 \
-C schost \
-F \
-W solaris=http://ipkg.us.oracle.com/solaris11/release::entire,server_install:::
     ha-cluster=http://ipkg.us.oracle.com/ha-cluster/release::ha-cluster-framework-full \
-n ip=10.255.85.163/24,mac=12:34:56:78:90:ab \
-T node=phys-schost-1,node=phys-schost-2,secureAI=yes \
-w netaddr=172.16.0.0,netmask=255.255.240.0,maxnodes=32,maxprivatenets=10,
     numvirtualclusters=12 \
-A trtype=dlpi,name=net1 -A trtype=dlpi,name=net3 \
-B type=switch,name=switch1 -B type=switch,name=switch2 \
-m endpoint=:net1,endpoint=switch1 \
-m endpoint=:net3,endpoint=switch2 \
-P task=quorum,state=INIT -P task=security,state=SECURE \
-U /export/pwdfile
# /usr/cluster/bin/scinstall -c solaris=http://ipkg.us.oracle.com/solaris11
     /release::arch=i386 -h phys-schost-2 \
-C schost \
-N phys-schost-1 \
-W solaris=http://ipkg.us.oracle.com/solaris11/release::entire,server_install:::
     ha-cluster=http://ipkg.us.oracle.com/ha-cluster/release::ha-cluster-framework-full \
-n ip=10.255.85.164/24,mac=12:34:56:78:90:ab \
-A trtype=dlpi,name=net1 -A trtype=dlpi,name=net3 \
-m endpoint=:net1,endpoint=switch1 \
-m endpoint=:net3,endpoint=switch2 \
-U /export/pwdfile

終了ステータス

次の終了値が返されます。

0

正常終了。

0 以外

エラーが発生しました。

ファイル

  • /etc/cluster/ql/cluster_post_halt_apps
  • /etc/cluster/ql/cluster_pre_halt_apps

属性

次の属性については、attributes(7) を参照してください。

属性タイプ
属性値
使用条件
ha-cluster/system/install
インタフェースの安定性
発展中

関連項目

lofi(4D)netmasks(5)networks(5)Intro(8CL)claccess(8CL)clauth(8CL)clinterconnect(8CL)clnode(8CL)clsetup(8CL)cluster(8CL)newfs(8)、scversions(8)

Oracle Solaris Cluster 5.0 ソフトウェアのインストール, Oracle Solaris Cluster 5.0 システム管理, Updating Your Oracle Solaris Cluster 4.4 Environment