Oracle Solaris OS では、次の 3 種類のファイルシステムがサポートされます。
ディスクベース
ネットワークベース
仮想
ファイルシステムのタイプを確認するには、ファイルシステムのタイプを調べるを参照してください。
「ディスクベースのファイルシステム」は、ハードディスクや DVD などの物理メディアに格納されます。ディスクベースのファイルシステムは、さまざまな形式で作成できます。次の表で、作成できる形式について説明します。
ディスクベースの各種ファイルシステムは、次のように特定のメディアのタイプに対応しています。
ZFS または UFS とハードディスク
HSFS と CD-ROM
PCFS と USB フロッピーディスク
UDF と DVD
SAM-QFS とハードディスクまたはテープ
PxFS とハードディスク - クラスタファイルシステムが高可用であるには、基になるディスクストレージが複数の Oracle Solaris ホストに接続されている必要があります。そのため、クラスタファイルシステム内に構築されたローカルファイルシステム (ホストのローカルディスク上に格納されたファイルシステム) は高可用ではありません。詳細は、Oracle Solaris Cluster Concepts Guide のCluster File Systemsを参照してください。
ただし、これらの対応関係は制限的なものではありません。たとえば、DVD 上に ZFS または UFS ファイルシステムを作成できます。
リムーバブルメディア上で UDFS ファイルシステムを作成する方法については、Oracle Solaris 11.2 でのデバイスの管理 のリムーバブルメディア上にファイルシステムを作成する方法を参照してください。
UDF ファイルシステムは、「DVD」(Digital Versatile Disc または Digital Video Disc) 光学式メディアに情報を格納するための業界標準形式です。
UDF ファイルシステムは、SPARC と x86 の両方のプラットフォームにおいて、動的にロード可能な 32 ビットと 64 ビットのモジュールとして提供されます。また、ファイルシステムを作成、マウント、および検査するシステム管理ユーティリティーも同時に提供されます。Oracle Solaris の UDF ファイルシステムは、サポートされている ATAPI と SCSI の DVD ドライブ、CD-ROM デバイス、およびディスクドライブで機能します。さらに、Oracle Solaris の UDF ファイルシステムは UDF 1.50 仕様に完全に準拠しています。
UDF ファイルシステムには次のような機能があります。
UDF ファイルシステムが入っている業界標準の CD-ROM や DVD-ROM のメディアにアクセスできます
さまざまなプラットフォームやオペレーティングシステムで情報を交換できます
UDF 形式に基づく DVD ビデオ仕様を使用することで、放送品質並みの映像、高品質のサウンド、すぐれた対話性という特長を備えた新しいアプリケーションを実装できます
次の機能は、UDF ファイルシステムにはありません。
書き込み可能なメディア (CD-RW) へのディスクアットワンス (Disk At Once) 記録、およびインクリメンタル記録
次に、UDF ファイルシステムの要件を示します。
SPARC または x86 プラットフォームがサポートされていること
CD-ROM または DVD-ROM ドライブがサポートされていること
Oracle Solaris で実装された UDF ファイルシステムには、次のような互換性があります。
業界標準の読み取り / 書き込み UDF Version 1.50 のサポート
完全に国際化されたファイルシステムのユーティリティー
「ネットワークベースのファイルシステム」は、ネットワークからアクセスされるファイルシステムです。ネットワークベースのファイルシステムは通常、1 つのシステム (通常はサーバー) 上にあり、ほかのシステムからネットワーク経由でアクセスされます。
NFS サービスで分散されたリソース (ファイルやディレクトリ) を提供するには、サーバーからそれらのリソースを共有して個々のクライアントでマウントします。詳細は、NFS 環境を参照してください。
Oracle SMB サービスで分散されたリソース (ファイルやディレクトリ) を Windows および Mac OS システムに提供するには、サーバーからそれらのリソースを共有して個々のクライアントでマウントします。詳細は、Oracle Solaris SMB サービスを参照してください。
「仮想ファイルシステム」は、特殊なカーネル情報と機能へのアクセスを提供するメモリーベースのファイルシステムです。ほとんどの仮想ファイルシステムは、ディスク領域を使用しません。また、一時ファイルシステム (TMPFS) などの一部の仮想化ファイルシステムは、ディスク上のスワップ空間を使用します。
一時ファイルシステム (TMPFS) は、ファイルシステムの読み取りと書き込みにローカルメモリーを使用します。TMPFS を使用すると、ローカルディスク上で、あるいはネットワーク経由で一時ファイルの読み書きを行う際のオーバヘッドを軽減でき、システムパフォーマンスを改善できます。一時ファイルは、たとえば、プログラムのコンパイル時に作成されます。OS は、一時ファイルを操作しているとき、多くのディスク処理またはネットワーク処理を行います。TMPFS を使用してこれらの一時ファイルを格納すると、その作成、処理、または削除が大幅に高速になります。
TMPFS ファイルシステムのファイルは、永続的に保存されるわけではありません。これらのファイルは、ファイルシステムのマウントが解除されるときと、システムがシャットダウンまたはリブートされるときに削除されます。
TMPFS は、Oracle Solaris OS 内の /tmp ディレクトリのデフォルトのファイルシステムタイプです。ZFS または UFS ファイルシステムの場合と同様に、/tmp ディレクトリとの間でファイルをコピーまたは移動できます。TMPFS ファイルシステムは、一時的な退避場所としてスワップ空間を使用します。
TMPFS ファイルシステムがマウントされたシステムのスワップ空間が足りないと、次の 2 つの問題が発生する可能性があります。
TMPFS ファイルシステムは、通常のファイルシステムと同様に容量不足になる可能性があります。
TMPFS はスワップ空間を割り当ててファイルのデータを保存するので (必要な場合)、一部のプログラムがスワップ空間不足のために実行できなくなる可能性があります。
TMPFS ファイルシステムの作成方法については、Chapter 2, ファイルシステムの作成およびマウントを参照してください。スワップ空間を追加する方法については、Chapter 3, 追加スワップ空間の構成を参照してください。
ループバックファイルシステム (LOFS) を使用すると、代替パス名を使用してファイルにアクセスできるように、新しい仮想ファイルシステムを作成できます。たとえば、 /tmp/newroot 上にルート (/) ディレクトリのループバックマウントを作成できます。このループバックマウントでは、NFS サーバーからマウントされたファイルシステムを含むファイルシステム階層全体が、 /tmp/newroot の下に複製されたように見えます。どのファイルにも、ルート (/) で始まるパス名または /tmp/newroot で始まるパス名を使用してアクセスできます。
LOFS ファイルシステムを作成する方法については、Chapter 2, ファイルシステムの作成およびマウントを参照してください。
プロセスファイルシステム (PROCFS) はメモリー内に存在し、/proc ディレクトリ内にアクティブなプロセスのプロセス番号別リストが格納されます。/proc ディレクトリの内容は、ps などのコマンドで使用されます。デバッガやほかの開発ツールも、ファイルシステムコールを使用して、プロセスのアドレス空間にアクセスできます。
![]() | 注意 - /proc ディレクトリ内のファイルは削除しないでください。/proc ディレクトリからプロセスを削除しても、そのプロセスは強制終了されません。/proc ファイルはディスク容量を消費しないため、このディレクトリからファイルを削除しても無意味です。 |
/proc ディレクトリは、管理が不要です。
次のタイプの仮想ファイルシステムは、参考のために掲載してあります。管理は不要です。
|
ZFS、UFS、NFS、および TMPFS ファイルシステムは、拡張ファイル属性を含むように機能拡張されました。アプリケーション開発者は、拡張ファイル属性を使って、ファイルに特定の属性を関連付けることができます。たとえば、ウィンドウシステムの管理アプリケーションの開発者は、表示アイコンとファイルを関連付けることができます。拡張ファイル属性は、論理的には、ターゲットファイルに関連付けられている隠しディレクトリ内のファイルとして表されます。
属性を追加し、拡張属性の名前空間内に入っているシェルコマンドを実行するには、runat コマンドを使用します。拡張属性の名前空間とは、特定のファイルに関連付けられた、非表示の属性ディレクトリです。
runat コマンドを使用して属性をファイルに追加するには、最初に属性ファイルを作成する必要があります。
$ runat filea cp /tmp/attrdata attr.1
次に、runat コマンドを使用して、ファイルの属性をリストに表示します。
$ runat filea ls -l
詳細は、runat(1)を参照してください。
属性認識オプションの追加により、多くの Oracle Solaris ファイルシステムコマンドがファイルシステム属性をサポートするようになりました。属性認識オプションを使って、ファイル属性を照会したり、コピーしたり、検索したりできます。詳細は、各ファイルシステムコマンドのマニュアルページを参照してください。
Oracle Solaris OS は、一部のディスクスライスをファイルシステムではなく一時ストレージとして使用します。これらのスライスを「スワップスライス」または「スワップ空間」と呼びます。スワップ空間は、現在のプロセスを処理するだけの十分な物理メモリーがシステムにない場合に、仮想メモリー記憶域として使用されます。
多くのアプリケーションは十分なスワップ空間が使用できることを前提に作成されているため、スワップ空間を割り当て、その使われ方をモニターして、必要に応じてスワップ空間を追加する方法を知っておく必要があります。スワップ空間の概要とスワップ空間の追加方法については、Chapter 3, 追加スワップ空間の構成を参照してください。