Solaris I/O マルチパス化は x86 ベースのシステムではデフォルトで有効にされており、Oracle Solaris OS を実行する SPARC ベースのシステムではオプションです。ソフトウェアには次の機能が含まれています。
パス管理 - Solaris I/O マルチパス化機能は、OS がサポートする任意のストレージデバイスへのパスを動的に管理します。デバイスへのパスの追加または削除は、パスがオンラインにされたりサービスから削除されたりしたときに自動的に実行されます。マルチパス化が有効なままであっても、デバイス名を変更したりアプリケーションを変更したりせずに、帯域幅および RAS を増加させるためにコントローラを追加できます。Oracle ストレージ製品では、構成ファイルを管理したりデータベースを最新の状態に保ったりすることは不要です。Oracle 以外のベンダー製ストレージについては、サポートを有効する方法と、そのストレージが Solaris I/O マルチパス化機能について認定されていることを確認する方法を、ストレージベンダーにお問い合わせください。
単一のデバイスインスタンス – Solaris I/O マルチパス化機能は Oracle Solaris OS に完全に統合されています。マルチパス化されたデバイスは、パスあたり 1 つのデバイスまたはデバイスリンクとしてではなく、単一のデバイスインスタンスとして表示されます。この機能により、パスごとに別々のデバイスではなく 1 つのストレージデバイス表現として表示することで、複雑なストレージアーキテクチャーを format コマンドなどのユーティリティーやボリューム管理製品で管理するコストを削減します。
フェイルオーバーサポート – 高いレベルの RAS を実装するには、ストレージデバイスへの冗長ホスト接続が必要です。Solaris I/O マルチパス化機能では、ストレージパスの障害を管理し、使用可能なセカンダリパスを経由してホスト I/O 接続を維持します。
次のコマンドを使用して、デバイスのフェイルオーバーサポートを判別できます。
# mpathadm show mpath-support libmpscsi_vhci.so mpath-support: libmpscsi_vhci.so Vendor: Sun Microsystems Driver Name: scsi_vhci Default Load Balance: round-robin Supported Load Balance Types: round-robin logical-block Allows To Activate Target Port Group Access: yes Allows Path Override: no Supported Auto Failback Config: 1 Auto Failback: on Failback Polling Rate (current/max): 0/0 Supported Auto Probing Config: 0 Auto Probing: NA Probing Polling Rate (current/max): NA/NA Supported Devices: . . .
対称/非対称型デバイスサポート - 次のディスクストレージデバイスがサポートされます。
すべての Oracle ディスクストレージ製品で、対称型と非対称型の両方。
T10/T11 規格に準拠したサードパーティー製のすべての対称型ディスクデバイス。
多くのサードパーティー製の非対称型ディスクアレイ。
T10 非対称論理ユニットアクセス (ALUA) をサポートする非対称デバイス用に、この T10 規格のサポートが追加されました。使用するデバイスがサポートされるかどうかを確認するには、ストレージベンダーにお問い合わせください。
ディスクストレージアレイで f_asym_lsi フェイルオーバーモジュールを使用する場合、次に示すように、f_asym_lsi を scsi_vhci.conf ファイルの末尾に移動することによって、ddi-forceload セクションの順序を手動で変更する必要があります。
ddi-forceload = "misc/scsi_vhci/scsi_vhci_f_asym_sun", "misc/scsi_vhci/scsi_vhci_f_asym_emc", "misc/scsi_vhci/scsi_vhci_f_sym_emc", "misc/scsi_vhci/scsi_vhci_f_sym_hds", "misc/scsi_vhci/scsi_vhci_f_sym", # "misc/scsi_vhci/scsi_vhci_f_tpgs_tape", # "misc/scsi_vhci/scsi_vhci_f_tape", "misc/scsi_vhci/scsi_vhci_f_tpgs", "misc/scsi_vhci/scsi_vhci_f_asym_lsi";
I/O 負荷分散 – 単純なフェイルオーバーサポートの提供に加えて、Solaris マルチパス化機能では、ストレージ デバイスへの任意のアクティブパスを使用して I/O を送信および受信できます。複数のホスト接続を経由して I/O が経路指定されるため、ホストコントローラの追加によって帯域幅を増加できます。ソフトウェアではラウンドロビン負荷分散アルゴリズムを使用することによって、個々の I/O 要求は、一連のアクティブなホストコントローラに向けて交互に経路指定されます。
キューの深さ – SCSI ストレージアレイは、論理ユニット番号 (LUN) の形式でシステムにストレージを提供します。LUN では有限のリソースセットが使用可能で、たとえば格納できるデータの量や、1 つのデバイスまたは LUN が一度に処理できるアクティブコマンドの数などがあります。デバイスが追加の I/O をブロックするまでに発行できるアクティブコマンドの数は、キューの深さとして知られています。Solaris I/O マルチパス化が有効になると、LUN がホストに対して持つ個々あるいは別個のパスの数に関係なく、LUN ごとに単一のキューが作成されます。この機能によって、ディスクドライバは LUN に対して 1 つのキューを維持し均衡させることができ、実質的にキューの深さを管理できます。Oracle Solaris OS 用に利用できるほかのマルチパスソフトウェアには、この機能はありません。
stmsboot コマンド – Oracle Solaris OS には stmsboot コマンドが含まれており、OS インストールが完了したあと、ブートデバイス上の Solaris マルチパス化機能を有効または無効にできます。このコマンドは SPARC ベースおよび x86 ベースの両方のシステムで使用でき、SAS マルチパス化のサポートを提供します。
SAS マルチパス化は Oracle Solaris OS では SPARC ベースまたは x86 ベースのいずれのシステムについてもデフォルトで有効にされていないため、マルチパス化を有効にするにはインストール後処理ステップとして stmsboot コマンドの使用が必要です。
SPARC ベースのシステムでは FC デバイスのマルチパス化をデフォルトで有効にしないため、インストール後処理ステップとして stmsboot コマンドが必要です。
X86 ベースのシステムでは FC デバイスのマルチパス化をデフォルトで有効にするため、インストール後処理ステップとしての stmsboot コマンドの使用は必須ではありません。
動的再構成 – Solaris I/O マルチパス化機能は動的再構成 (DR) 操作をサポートします。
マルチパス化されたデバイスの名前 - システムが Oracle Solaris OS にインストールされ、Solaris I/O マルチパス化が有効にされたあと、マルチパス化されたデバイスの名前は c0 で始まります。例:
# mpathadm list lu /dev/rdsk/c0t600A0B800026D63A0000A4994E2342D4d0s2 Total Path Count: 4 Operational Path Count: 4 /dev/rdsk/c0t600A0B800029065C00007CF54E234013d0s2 Total Path Count: 4 Operational Path Count: 4 /dev/rdsk/c0t600A0B800026D63A0000A4984E234298d0s2 Total Path Count: 4 Operational Path Count: 4 /dev/rdsk/c0t600A0B800029065C00007CF44E233FCFd0s2 Total Path Count: 4 Operational Path Count: 4 /dev/rdsk/c0t600A0B800026D63A0000A4974E23424Ed0s2 Total Path Count: 4 Operational Path Count: 4 /dev/rdsk/c0t600A0B800029065C00007CF34E233F89d0s2 Total Path Count: 4 Operational Path Count: 4 /dev/rdsk/c0t600A0B800026D63A0000A4964E234212d0s2 Total Path Count: 4 Operational Path Count: 4 /dev/rdsk/c0t600A0B800026D63A000099B94DE2DB34d0s2 . . .
MPxIO パス情報の表示 – prtconf コマンドおよび fmdump コマンドの両方が、MPxIO パス情報を提供するために更新されました。
たとえば次の出力は、マルチパス化されたデバイスを持つシステムからのものです。
# prtconf -v | grep path | more Paths from multipath bus adapters: name='path-class' type=string items=1 name='path-class' type=string items=1 name='path-class' type=string items=1 name='path-class' type=string items=1 dev_path=/scsi_vhci/disk@g600a0b800026d63a0000a4994e2342d4:a dev_path=/scsi_vhci/disk@g600a0b800026d63a0000a4994e2342d4:a,raw dev_path=/scsi_vhci/disk@g600a0b800026d63a0000a4994e2342d4:b dev_path=/scsi_vhci/disk@g600a0b800026d63a0000a4994e2342d4:b,raw dev_path=/scsi_vhci/disk@g600a0b800026d63a0000a4994e2342d4:c dev_path=/scsi_vhci/disk@g600a0b800026d63a0000a4994e2342d4:c,raw dev_path=/scsi_vhci/disk@g600a0b800026d63a0000a4994e2342d4:d . . .
ディスクまたはベイ受容体のディスク占有装置についてのシャーシ、受容体、および占有装置情報を表示する diskinfo コマンドも、マルチパス化されたデバイス名を表示するために使用できます。例:
# diskinfo -O occupant-compdev c0t50015179594B6F11d0 c0t5000C500335F95E3d0 c0t5000C500335F907Fd0 c0t5000C500335BD117d0 c0t5000C500335DC60Fd0 c0t5000C500335E106Bd0 c0t5000C500335BA8C3d0 c0t5000C500335FC3E7d0
デバイスドライバ構成 - ドライバのカスタマイズは、前のリリースでは /kernel/drv ディレクトリでしたが、/etc/driver/drv ディレクトリで実行します。この改善により、システムをアップグレードしてもドライバのカスタマイズが上書きされることがなくなります。/etc/driver/drv ディレクトリ内のファイルは、アップグレード時に保持されます。fp.conf、 mpt.conf、または scsi_vhci.conf への任意の変更は、/etc/driver/drv ディレクトリ内で実行する必要があります。