ipadm コマンドまたは ifconfig コマンドを使用すると、IPMP グループに IP インタフェースを追加できます。以前のバージョンの Oracle Solaris IPMP との下位互換性のために、ifconfig コマンドを使用した場合、IFF_NOFAILOVER でマークされていないデータアドレスはすべて、その IPMP グループに関連付けられた IPMP インタフェースに移行されます。ただし、ipadm コマンドを使用して IPMP グループに IP インタフェースを追加した場合は、現在 IP インタフェース上に構成されているすべてのアドレスがその IP インタフェースのテストアドレスになります。つまり、そのアドレスは、データアドレスとして IPMP インタフェースに移行されません。
IP アドレスを IPMP データアドレスにする場合は、次の例に示すように、まず IP インタフェースからそのアドレスを削除し、次にそのアドレスを IPMP インタフェース上で直接再構成する必要があります。
# ipadm NAME CLASS/TYPE STATE UNDER ADDR ... ipmp0 ipmp down -- -- net0 ip ok ipmp0 -- net0/v4 static ok – 192.168.11.1/24
# ipadm delete-addr net0/v4 # ipadm create-addr -T static -a local=192.168.11.1/24 ipmp0/v4 # ipadm NAME CLASS/TYPE STATE UNDER ADDR ... ipmp0 ipmp ok -- -- ipmp0/v4 static ok -- 192.168.11.1/24 net0 ip ok ipmp0 --
また、特定の IP インタフェースを使用して定義したルートは、これらのインタフェースがあとで IPMP グループに追加された場合、すべて機能しなくなることにも注意してください。IPMP の使用中にデフォルトルートが確実に保持されるようにするために、インタフェースを指定せずにそのルートを定義できます。この方法を使用すると、IPMP インタフェースを含むすべてのインタフェースをルーティングに確実に使用できようになるため、システムは引き続きトラフィックをルーティングできます。
IPMP の構成時にルーティングが失われる問題は、Oracle Solaris インストールとの関連でも発生する場合があります。インストール中に、システム上のインタフェース (プライマリインタフェースなど) を使用できるようにするためのデフォルトルートを定義する必要があります。そのあと、デフォルトルートを定義したのと同じインタフェースを使用して IPMP グループを構成した場合、そのインタフェースのアドレスが IPMP インタフェースに転送されているため、システムはネットワークパケットをルーティングできなくなります。次の手順では、IPMP の使用時にデフォルトルートを保持するための方法について説明します。
次のタスクでは、システム上のプライマリインタフェースが、デフォルトルートが定義されているインタフェースであることを前提にしています。ルーティングが失われるこのタイプの問題は、あとで IPMP グループの一部になる、ルーティングに使用されているすべてのインタフェースに適用されます。
この手順を実行するには、コンソールを使用する必要があります。ssh または telnet コマンドを使用してログインした場合、以降の段階を実行すると接続が失われます。
# netstat -nr
# route -p delete default gateway-address -ifp interface
# route -p add default gateway-address
# netstat -nr
# svcadm restart routing-setup
この例では、インストール時に net0 のデフォルトルートが定義されたことを前提としています。
# netstat -nr Routing Table: IPv4 Destination Gateway Flags Ref Use Interface ------------- ------------ -------- ----- ----------- -------- default 10.153.125.1 UG 107 176682262 net0 10.153.125.0 10.153.125.222 U 22 137738792 net0 # route -p delete default 10.153.125.1 -ifp net0 # route -p add default 10.153.125.1 # netstat -nr Routing Table: IPv4 Destination Gateway Flags Ref Use Interface ------------- ------------ -------- ----- ----------- -------- default 10.153.125.1 UG 107 176682262 10.153.125.0 10.153.125.222 U 22 137738792 net0