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Oracle® Solaris 11.3 カーネルのチューンアップ・リファレンスマニュアル

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更新: 2016 年 11 月
 
 

IP チューニング可能パラメータ

このセクションでは、IP プロトコルに関連するパラメータについて説明します。

_icmp_err_interval _icmp_err_burst

説明

IP で ICMP エラーメッセージを生成する頻度を制御します。IP は、_icmp_err_interval の間に最大で ip_icmp_err_burst の IP エラーメッセージを生成します。

_icmp_err_interval パラメータは、サービス拒否攻撃から IP を保護するためのものです。パラメータの値を 0 に設定すると、レート制限が無効になります。エラーメッセージの生成処理は無効になりません。

デフォルト

_icmp_err_interval は 100 ミリ秒

_icmp_err_burst は 10 エラーメッセージ

範囲

_icmp_err_interval は 0 から 99,999 ミリ秒

_icmp_err_burst は 1 から 99,999 のエラーメッセージ

動的か

はい

どのような場合に変更するか

診断の目的でエラーメッセージの生成頻度を増やし たい場合

コミットレベル

変更の可能性あり

_respond_to_echo_broadcast_respond_to_echo_multicast (IPv4 または IPv6)

説明

IP がブロードキャスト ICMPv4 エコー要求または IPv6 マルチキャスト ICMPv6 エコー要求に応答するかどうかを制御します。

デフォルト

1 (有効)

範囲

0 (無効)、1 (有効)

動的か

はい

どのような場合に変更するか

セキュリティー上の理由でこの動作を行いたくない場合、無効にします

コミットレベル

変更の可能性あり

説明

IPv4 または IPv6 が、ICMPv4 または ICMPv6 リダイレクトメッセージを送信するかどうかを制御します。

デフォルト

1 (有効)

範囲

0 (無効)、1 (有効)

動的か

はい

どのような場合に変更するか

セキュリティー上の理由でこの動作を行いたくない場合、無効にします

コミットレベル

安定

forwarding (IPv4 または IPv6)

説明

IPv4 または IPv6 が、パケットをソース IPv4 ルーティングオプションを指定して転送するか、IPv6 ルーティングヘッダーを指定して転送するかを制御します。

デフォルト

オフ

範囲

オフまたはオン

動的か

はい

どのような場合に変更するか

サービス妨害攻撃を防ぐためにこのパラメータは無効のままにします。

コミットレベル

安定

ttl

説明

IP 接続上で、アウトバウンド IPv4 パケットの IPv4 ヘッダーの TTL 値を制御します。

デフォルト

255

範囲

1 から 255

動的か

はい

どのような場合に変更するか

通常、この値を変更する必要はありません。

コミットレベル

安定

hoplimit (IPv6)

説明

IP 接続上で、アウトバウンド IPv6 パケットの IPv6 ヘッダーのホップ制限値を設定します。

デフォルト

255

範囲

1 から 255

動的か

はい

どのような場合に変更するか

通常、この値を変更する必要はありません。

コミットレベル

安定

_addrs_per_if

説明

実インタフェースに対応する論理 IP インタフェースの最大数を指定します。

デフォルト

256

範囲

1 から 8,192

動的か

はい

どのような場合に変更するか

この値は変更しないでください。論理インタフェースの数を増やす必要がある場合は、例外的に値を増やすことができるかもしれません。ただし、この変更が IP のパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。

コミットレベル

変更の可能性あり

hostmodel (IPv4 または IPv6)

説明

マルチホームシステム上の IPv4 または IPv6 パケットの送受信動作を制御します。このプロパティーの値には、weakstrong、および src-priority を指定できます。デフォルト値は weak です。

デフォルト

weak

範囲

weakstrong、または src-priority

  • weak

    • 送信パケット - 送信パケットの発信元アドレスは、送信インタフェースに構成されているアドレスに一致する必要はありません。

    • 着信パケット - 着信パケットの宛先アドレスは、着信インタフェースに構成されているアドレスに一致する必要はありません。

  • strong

    • 送信パケット - 送信パケットの発信元アドレスは、送信インタフェースに構成されているアドレスに一致する必要があります。

    • 着信パケット - 着信パケットの宛先アドレスは、着信インタフェースに構成されているアドレスに一致する必要があります。

  • src-priority

    • 送信パケット - パケットの IP 着信先への経路が複数ある場合は、パケットの IP 発信元アドレスが送信インタフェース上に構成されている経路が優先されます。

      そのような経路がない場合、弱い ES の場合と同様に、フォールバックによって最適な経路が選択されます。

    • 着信パケット- 着信パケットの宛先アドレスが、ホストのいずれかのインタフェースに構成されている必要があります。

動的か

はい

どのような場合に変更するか

厳密なネットワーキングドメイン (たとえばファイアウォールや VPN ノードなど) を通過するインタフェースがシステムにある場合は、このパラメータに strong を設定します。

コミットレベル

安定

重複アドレスの検出に関連した IP チューニング可能パラメータ

ネットワークの重複アドレス検出 (DAD) を実行するには次のパラメータを構成します。

_arp_defend_interval/_ndp_defend_interval

説明

システムが、ネットワークの重複アドレスを検出するために IPv4 ARP および IPv6 NDP のアドレス宣言をブロードキャストする間隔。

デフォルト

300,000 ミリ秒

範囲

0-360,000

動的か

はい

どのような場合に変更するか

なし

コミットレベル

変更の可能性あり

_arp_defend_period/_ndp_defend_period

説明

非請求の ARP または NDP アドレス保護メッセージがいずれかの物理ネットワークインタフェースで生成される時間間隔。これらのパラメータは、_arp_defend_rate/_ndp_defend_rateと連携して機能します。

これらのパラメータは、通常の ARP または NDP 解決、または競合が検出されたときのアドレス保護には適用されません。その代わり、これらのパラメータは、自発的な競合検出トラフィックに対してのみ実装されます。

デフォルト

3,600 秒

範囲

0-3,600

動的か

はい

どのような場合に変更するか

なし

コミットレベル

変更の可能性あり

_arp_defend_rate/_ndp_defend_rate

説明

いずれかの物理ネットワークインタフェースにおいて 1 時間で生成可能な非請求の ARP または NDP アドレス保護メッセージの数。時間間隔を変更するには、_arp_defend_period/_ndp_defend_periodを構成します。

これらのパラメータは、通常の ARP または NDP 解決、または競合が検出されたときのアドレス保護には適用されません。その代わり、これらのパラメータは、自発的な競合検出トラフィックに対してのみ実装されます。

デフォルト

100 メッセージ/時

範囲

0-20,000

動的か

はい

どのような場合に変更するか

なし

コミットレベル

変更の可能性あり

_arp_fastprobe_count

説明

転送 - 停止シーケンスにおいて、重複するアドレスを検出するために、この数のプローブが転送されたあと停止します。時間の長さは、_arp_fastprobe_interval で定義されます。このパラメータは、重複アドレスのプローブを高速化するために使用されます。

デフォルト

3 パケット

範囲

0-20

動的か

はい

どのような場合に変更するか

なし

コミットレベル

変更の可能性あり

_arp_fastprobe_interval

説明

重複するアドレスを検出するための、ある一定のプローブ数の送出間隔である _arp_probe_interval と同じ機能。基盤となるドライバがリンクアップまたはリンクダウンのイベントを正しく報告できる場合、システムは、IP インタフェースを起動するプロセスを高速化するために、このパラメータをプローブの送出間隔として使用します。このパラメータは、_arp_fastprobe_count とともに使用します。

デフォルト

150 ミリ秒

範囲

10-20,000

動的か

はい

どのような場合に変更するか

なし

コミットレベル

変更の可能性あり

_arp_probe_count

説明

転送 - 停止シーケンスにおいて、重複するアドレスを検出するために、この数のプローブが転送されたあと停止します。停止の長さは、_arp_probe_interval によって決まります。停止時間が経過すると、プローブが再開されます。

デフォルト

3 パケット

範囲

0-20

動的か

はい

どのような場合に変更するか

なし

コミットレベル

変更の可能性あり

_arp_probe_interval

説明

重複アドレスを検出するための、ある一定のプローブ数の送出時間間隔。各間隔のあとに送信されるプローブの数は、_arp_probe_count によって定義されます。

デフォルト

1,500 ミリ秒

範囲

10-20,000

動的か

はい

どのような場合に変更するか

なし

コミットレベル

変更の可能性あり

説明

ネットワークピアのアドレスキャッシュを更新するための非請求のアドレス宣言ごとに送信される IPv4 ARP および IPv6 NDP の各パケット数。これらの宣言は、ローカル IP アドレスが正常に稼働したあとに送信され、arp_publish_interval/ndp_unsolicit_interval パラメータによって制御される間隔で転送されます。

デフォルト

3 パケット

範囲

1-20

動的か

はい

どのような場合に変更するか

なし

コミットレベル

安定

arp_publish_interval/ndp_unsolicit_interval

説明

ローカル IP アドレスが正常に稼働したあと、システムが、IPv4 ARP および IPv6 NDP の各非請求アドレス宣言を送出する時間間隔。この宣言は、ネットワークピアのアドレスキャッシュを更新するために送信されます。各宣言におけるパケットの数は、 パラメータによって制御されます。

デフォルト

2,000 ミリ秒

範囲

1,000-20,000

動的か

はい

どのような場合に変更するか

なし

コミットレベル

安定

_defend_interval

説明

ローカルアドレスが、ほかのシステムの IP アドレスと競合していることが検出されたとき、そのローカルアドレスをシステムが保護する時間長。この時間間隔内におけるアドレス保護の試行回数は、_max_defend によって定義されます。

デフォルト

30 秒

範囲

0-999,999

動的か

はい

どのような場合に変更するか

なし

コミットレベル

変更の可能性あり

_dup_recovery

説明

非一時アドレスがリモートシステムの同じアドレスと競合しているため、システムがその非一時アドレスをダウン状態としてマーキングしたあとのプローブの送信間隔。ローカルシステムは定期的にプローブを送出して、競合が残っているかどうかをテストします。プローブの応答が返ってこない場合は、競合が解消されたとみなされ、アドレスが再度アップ状態としてマーキングされます。

デフォルト

300,000 ミリ秒

範囲

0-360,000

動的か

はい

どのような場合に変更するか

なし

コミットレベル

変更の可能性あり

_max_defend

説明

IP アドレスがほかのシステムの IP アドレスと競合している場合に、その IP アドレスが保護される回数。アドレスの保護は、_defend_interval で指定された時間内に実行されます。

デフォルト

3 回

範囲

0-1,000

動的か

はい

どのような場合に変更するか

なし

コミットレベル

変更の可能性あり

_max_temp_defend

説明

一時ローカルアドレスまたは DHCP によって管理されているアドレスがほかのシステムの IP アドレスと競合しているとき、システムがそのアドレスを保護する回数。_max_temp_defend の値を超えると、システムはそのアドレスを放棄します。

デフォルト

1 回

範囲

0-1,000

動的か

はい

どのような場合に変更するか

なし

コミットレベル

変更の可能性あり

特別な注意を要する IP チューニング可能パラメータ

次のパラメータの変更は非推奨です。

_pathmtu_interval

説明

IP がパス最大転送単位 (PMTU) 検出情報をフラッシュしてから PMTU をふたたび検出開始するまでの間隔をミリ秒単位で指定します。

PMTU の検出については、RFC 1191 を参照してください。

デフォルト

1,200 ミリ秒 (20 分)

範囲

2-999,999,999

動的か

はい

どのような場合に変更するか

この値は変更しないでください。

コミットレベル

変更の可能性あり

_icmp_return_data_bytes (IPv4 または IPv6)

説明

IPv4 や IPv6 は、ICMPv4 または ICMPv6 のエラーメッセージを送信するときに、エラーメッセージの原因になったパケットの IP ヘッダーを含めます。このパラメータでは、パケットのうち IPv4 や IPv6 のヘッダーを除いてあと何バイトを ICMPv4 や ICMPv6 のエラーメッセージに含めるかを制御します。

デフォルト

IPv4 の場合は 64

IPv6 の場合は 1,280

範囲

IPv4 の場合 8 から 65,536

IPv6 の場合 8 から 1,280

動的か

はい

どのような場合に変更するか

この値は変更しないでください。 ただし、ICMP エラーメッセージに含む情報を増やすとネットワークの問題を診断する上で役立つことがあります。この機能が必要な場合は、値を増やします。

コミットレベル

変更の可能性あり