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Oracle® Solaris 11.3 カーネルのチューンアップ・リファレンスマニュアル

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更新: 2016 年 11 月
 
 

ルート別のメトリック

ルート別のメトリックを使用して、一定のプロパティーを IPv4 や IPv6 のルーティングテーブルエントリに関連付けることができます。

たとえば、システムに、Fast Ethernet と Gigabit Ethernet という 2 つの異なるネットワークインタフェースがあるとします。recv_maxbuf のシステムデフォルト値は 128,000 バイトです。このデフォルト値は Fast Ethernet インタフェースには十分ですが、Gigabit Ethernet インタフェースには不十分な可能性があります。

recv_maxbuf のシステムデフォルト値を増やす代わりに、Gigabit Ethernet インタフェースのルーティングエントリに別のデフォルトの TCP 受信ウィンドウサイズを関連付けることができます。これにより、そのルートを通るすべての TCP 接続には、大きくした受信ウィンドウサイズが使用されます。

たとえば、IPv4 を使用する次のようなルーティングテーブルがあるとします (netstat -rn)。

Routing Table: IPv4
Destination           Gateway           Flags  Ref     Use     Interface
-------------------- -------------------- ----- ----- ---------- ---------
192.123.123.0        192.123.123.4         U        1      4     net0
192.123.124.0        192.123.124.4         U        1      4     net1
default              192.123.123.1         UG       1      8

この例では、次の処理が行われます。

# route change -net 192.123.124.0 -recvpipe x

この結果、net1 リンクの 192.123.124.0 ネットワークへのすべての接続には、デフォルトの受信ウィンドウサイズ 128,000 の代わりに、受信バッファーサイズ x が使用されます。

宛先が a.b.c.d ネットワークにあり、そのネットワーク固有のルーティングエントリがない場合は、そのネットワークに接頭辞ルートを追加し、メトリックを変更できます。例:

# route add -net a.b.c.d 192.123.123.1 -netmask w.x.y.z
# route change -net a.b.c.d -recvpipe y

接頭辞ルートのゲートウェイがデフォルトのルーターであることに留意してください。そのネットワークへのすべての接続は受信バッファーサイズ y を使用します。複数のインタフェースがある場合は、–ifp 引数を使用して、使用するインタフェースを指定します。それによって、特定の宛先に対してどのインタフェースを使用するかを制御できます。メトリックを確認するには、route get コマンドを使用します。