ソフトウェアの更新の適用に続いて、更新に新しいバージョンのファームウェアが含まれるハードウェアがアップグレードされます。アップグレードウィンドウの前に、Oracle ZFS Storage Appliance 管理ガイド、Release OS8.6.x の ストレージプールのスクラブ (BUI)に記載されているようにスクラブを実行することをお勧めします。
ファームウェア更新を使用できる可能性のあるデバイスにはいくつかのタイプがあり、それぞれが個別の特性を持っています。ディスク、ストレージエンクロージャー、および特定の内部 SAS デバイスは、バックグラウンドでアップグレードされます。これが発生すると、ファームウェアの更新の進行状況が BUI の「保守」 > 「システム」ビューの左パネル、または CLI の maintenance system updates コンテキストに表示されます。特定の遅延更新をハードウェア以外のコンポーネントに適用すると、いくつかの未処理更新が簡潔に表示されることがありますが、このようなファームウェアの更新はほとんどの場合がハードウェア関連です。
2010.Q3.4 時点では、未処理の更新が存在する場合、該当する更新の番号の横に情報アイコンまたは警告アイコンが表示されます。このアイコンをクリックすると「ファームウェアの更新」ダイアログが表示され、現在の未処理の更新が一覧表示されます。更新ごとに、コンポーネントの現在のバージョン、最後に試行された更新の時間、および最後の試行が成功しなかった理由も表示されます。
未処理の更新は、「保留中」、「進行中」、「失敗」の 3 つのうちいずれかの状態にあるものとします。更新は「保留中」状態で開始され、定期的に再試行されます。その時点で「進行中」状態に移行します。一時的な状態のためにアップグレードに失敗した場合、更新は「保留中」状態に戻されます。それ以外の場合は「失敗」状態に移行します。
一般に、問題の発生を示しているのは次の場合だけです。
「失敗」状態の更新が存在する。
残りの更新の数が減ることなく、更新が長時間にわたって (30 分以上)「保留中」状態 (または「保留中」と「進行中」の中間の状態) のままである。
次の条件は問題を示すものではありません。
複数のシャーシが更新されており、処理は進行している (残りの更新の数は減っている) が、一部のシャーシが一時的に保留中として表示され、ステータスが一部のディスクにパスが 1 つしかないことを示している。シャーシをアップグレードする場合は、そのエクスパンダの 1 つをリセットする可能性があるため、これも予測されます。エクスパンダをリセットすると一部のディスクが一時的にパスが 1 つしかない状態になるため、稼働状態で安全に再試行できる状態になるまでほかのシャーシに対する更新は保留されます。
現時点では、「ファームウェアの 更新」ダイアログは自動的にリフレッシュされないため、最新情報を確認するには、いったんダイアログボックスを閉じてから再度開く必要があります。
ハードウェア更新の適用は常に、完全に安全な方法で実行されます。つまり、システムがハードウェア更新を適用できない状態にある可能性があります。これは、クラスタ化構成のコンテキストでは特に重要です。テイクオーバーおよびフェイルバックが実行中の場合、処理中のファームウェアの更新は完了し、保留中のファームウェアの更新は、テイクオーバーまたはフェイルバックが完了するまで中断されます。テイクオーバーまたはフェイルバックが完了した時点で、新しいクラスタ状態のコンテキストで下記の制限が再評価され、可能な場合はファームウェアの更新が再開されます。
![]() | 注意 - 絶対に必要な場合を除いて、ファームウェアの更新の進行中はテイクオーバーおよびフェイルバックの操作を実行しないでください。 |
次に説明する順次更新手順は、これらのベストプラクティスをすべて満たしており、下記のデバイスクラスごとの制限にも対処します。クラスタ化された環境で更新を実行する場合は、常にこれに従うようにしてください。クラスタ化された環境とスタンドアロン環境のどちらでも、リブートまたは診断システムソフトウェアの再起動時にはこれらの条件も再評価されます。これにより、以前に一時停止された、または不完全なファームウェア更新が再開される可能性があります。
一般に、ディスクおよび特定の SAS デバイス以外のストレージコントローラ内部のコンポーネント (HBA やネットワークデバイスなど) は、ブート中に自動的にアップグレードされます。このような更新は表示されず、管理インタフェースが使用可能になるときまでに完了します。
ディスクまたはフラッシュデバイスのファームウェアをアップグレードするには、プロセス中にデバイスをオフラインにする必要があります。この操作を可能にするための冗長性がストレージプールに不足している場合は、ファームウェアの更新が完了せず、「stalled」と表示される可能性があります。ただし、ストレージプールがエクスポート済み状態の場合、ディスクは期待どおりに更新されます。ストレージプールに属しているディスクおよびフラッシュデバイスのうち、現在クラスタピアで使用されているもの (存在する場合) はアップグレードされません。
ディスクシェルフ内のファームウェアをアップグレードするには、すべてのエンクロージャー内のすべてのディスクへの両方のバックエンドストレージパスをアクティブにし、アップグレードされるすべてのシェルフでストレージを構成する必要があります。各コントローラに 1 つ以上のアクティブなプールを持つクラスタの場合、これらの制限は、ディスクシェルフファームウェアの更新は「所有者」状態のコントローラでしか実行できないことを意味します。
ファームウェアの更新プロセス中は、ハードウェアの取り外しと取り付け、またはオフライン化とオンライン化が行われているように見えます。これらのアクションによって発生するアラートが抑制されている場合、「保守」 > 「ハードウェア」画面または「構成」 > 「ストレージ」画面を表示すると、これらの更新の効果が存在しないデバイスまたはオフラインのデバイスの形式で UI に表示される場合があります。これについて心配する必要はありません。ただし、ハードウェアビューをリフレッシュしたあとも、デバイスが長時間にわたって (数分以上) オフライン状態または存在しない状態のままの場合は、デバイスに問題があることを示している可能性があります。「保守」 > 「問題」ビューで、関連する障害が確認されているかどうかをチェックします。さらに、ファームウェアの更新中に、ディスクシェルフ内のコントローラがオフライン状態のままである場合もあります。これが発生した場合は、この状況が修正されるまで、ほかのコントローラはアップグレードされません。エンクロージャーが単一のパスのみを持っていると長時間にわたって示される場合は、物理的なエンクロージャーをチェックして、SIM または IOM の背面にある緑色のリンクライトがアクティブであるかどうかを判定してください。アクティブでない場合は、SIM または IOM を取り外してから再度取り付けて、接続を再確立します。すべてのエンクロージャーに 2 つのパスで到達可能であることを確認します。