目次
このマニュアルについて
第 1 章 iPlanet Web Server の基礎知識
第 2 章 iPlanet Web Server の管理
第 3 章 管理プリファレンスの設定
第 4 章 ユーザとグループの管理
第 5 章 サーバ セキュリティ
第 6 章 サーバ クラスタの管理
第 7 章 サーバのプリファレンスの設定
第 8 章 ログ ファイルの理解
第 9 章 SNMP によるサーバのモニタ
第 10 章 サーバの設定によるパフォーマンス チューニング
第 11 章 プログラムによるサーバの拡張
第 12 章 コンフィグレーション スタイルの操作
第 13 章 サーバのコンテンツ管理
第 14 章 サーバへのアクセスの制御
第 15 章 Web パブリッシングの設定
第 16 章 検索機能の使用
付録 A HTTP (HyperText Transfer Protocol)
付録 B ACL ファイルのシンタックス
付録 C 国際化 iPlanet Web Server
付録 D Microsoft FrontPage のサーバ拡張機能
付録 E iPlanet Web Server
用語集
索引
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第 9 章 SNMP によるサーバのモニタ

この章の内容の大部分は、『Netscape Console によるサーバの管理』の SNMP の章の内容と同じです。ただし、iPlanet Web Server により合った内容にするために、一部の節が変更され、新しい節が追加されています。

SNMP (Simple Network Management Protocol) と Netscape/iPlanet のマネージメント インフォーメーション ベース (MIB)、HP OpenView などのネットワーク管理ソフトウェアを使って、ネットワーク内の他のデバイスと同じようにサーバをリアルタイムでモニタできます。Windows NT をご使用の場合は、SNMP が組み込まれているので既に有効です。

Unix/Linux で SNMP を使うには、Netscape/iPlanet サーバを設定する必要があります。この章では、Unix/Linux 環境の Netscape/iPlanet サーバで SNMP を使うために必要な情報を示します。この章には次の節があります。


SNMP の基本
SNMP (Simple Network Management Protocol) は、ネットワークの動作状況に関するデータを交換するためのプロトコルです。SNMP では、ユーザがリモートでネットワークを管理するネットワーク マネージメント ステーション (NMS) と管理対象デバイスの間でデータがやり取りされます。管理対象デバイスとは、ホスト、ルータ、Netscape/iPlanet Server など、SNMP が動作する任意のデバイスです。

NMS は一般に 1 つまたは複数のネットワーク管理アプリケーションがインストールされた強力なワークステーションです。HP OpenView などのネットワーク管理アプリケーションは、管理対象デバイスに関する情報をグラフィカルに表示します。たとえば、社内で稼働または停止しているサーバや、受信したエラー メッセージの数とタイプが表示されます。Netscape/iPlanet Server で SNMP を使うと、この情報は、次の 2 種類のエージェントによって NMS とサーバの間で転送されます。

SNMP サブエージェント
SNMP サブエージェントは、サーバに関する情報を収集し、その情報をサーバのマスター エージェントに渡します。Administration Server を除くすべての Netscape/iPlanet サーバにはサブエージェントがあります。

SNMP マスター エージェント
マスター エージェントは、各サブエージェントと NMS の間で情報を交換します。マスター エージェントは、Administration Server と共にインストールされます。

1 台のホスト コンピュータには、複数のサブエージェントと 1 つのマスター エージェントをインストールすることができます。たとえば、同じホストに ディレクトリ サーバ、iPlanet Web Server、および Messaging Server がインストールされている場合、各サーバのサブエージェントは、同じマスター エージェントと通信します。

図 9.1    NMS とホスト コンピュータ間のインタラクション


SNMP のしくみ
サーバなどの管理対象のエンティティには、ネットワーク管理に関係する変数が格納されます。マスター エージェントがアクセスできる変数を管理対象オブジェクトといいます。管理対象オブジェクトは、サーバのマネージメント インフォーメーション ベース (MIB) というツリー状の階層構造で定義されます。

各 Netscape/iPlanet サーバのサブエージェントは、SNMP 通信で使われる MIB を提供します。MIB は、サーバの管理に関係する変数が含まれるツリー状の階層構造です。サーバは、これらの変数を含むメッセージやトラップを送信することによって、重大なイベントをネットワーク マネージメント ステーション (NMS) に報告します。NMS がサーバの MIB にデータを要求したり、MIB の変数を変更したりすることもあります。

Netscape/iPlanet の MIB
各 Netscape/iPlanet サーバには、独自の MIB (management information base) があります。Netscape/iPlanet の MIB はすべて次の場所にあります。

サーバの MIB では、そのサーバのネットワーク管理に関係する変数が定義されています。MIB ツリーの最上位を図 9.2に示します。

図 9.2    MIB ツリーの最上位

図 9.2 は、internet オブジェクト識別子に、directory (1)、mgmt (2)、experimental (3)、private (4) の 4 つのサブツリーがあることを示しています。private (4) サブツリーには、enterprises (1) ノードがあります。enterprises (1) ノード内のサブツリーは、それぞれ 1 つのエンタープライズに割り当てられています。エンタープライズは、独自の MIB 拡張を登録した組織です。エンタープライズは、サブツリーの下に、製品固有のサブツリーを作成することができます。企業が作成する MIB は、enterprises (1) ノードの下に配置されます。Netscape/iPlanet の MIB は enterprises (1) ノードの下に配置されます。

iPlanet Web Server のネットワーク管理変数の詳細については、iPlanet Web Server の MIBを参照してください。

iPlanet Web Server の MIB
iPlanet Web Server の MIB は、netscape-http.mib というファイルです。

このファイルには、現在サポートされているすべてのサーバのオブジェクト識別子が記述されています。また、iPlanet Web Server のオブジェクト識別子 netscape 1 (http OBJECT IDENTIFIER : := { netscape 1 }) が定義されています。

SNMP メッセージのタイプ
SNMP では、GET と SET という 2 種類のメッセージが定義されています。GET メッセージと SET メッセージは、NMS からマスター エージェントに送信されます。Administration Server では、これらのいずれかまたは両方を使うことができます。SNMP では、ネットワーク情報がプロトコル データ ユニット (PDU) の形式で交換されます。PDU には、管理対象デバイスに保存された変数に関する情報が含まれます。これらの変数は管理対象オブジェクトとも呼ばれ、必要に応じて値やタイトルが NMS に報告されます。サーバから NMS に送信される PDU を "トラップ" といいます。GET メッセージ、SET メッセージ、トラップ メッセージの代表的な使用例は次のとおりです。

NMS が開始する通信 NMSは、サーバの情報を要求するか、サーバの MIB に格納された変数の値を変更します。例は次のとおりです。

    1. NMS が Administration Server のマスター エージェントにメッセージを送信します。メッセージは、データの要求 (GET メッセージ) か、MIB に変数を設定する指示 (SET メッセージ) です。
    2. マスター エージェントは、適切なサブエージェントにメッセージを転送します。
    3. サブエージェントは、データを取り出すか、MIB 内の変数を変更します。
    4. サブエージェントがマスター エージェントにデータまたは状態を報告し、マスター エージェントがメッセージ (GET メッセージ) を NMS に転送します。
    5. NMS は、ネットワーク管理アプリケーションを使って、データをテキスト形式またはグラフィック形式で表示します。

サーバが開始する通信 重大なイベントが発生すると、サーバのサブエージェントが NMS にメッセージ (トラップ) を送信します。例は次のとおりです。

    1. サブエージェントが、サーバが停止したことをマスター エージェントに通知します。
    2. マスター エージェントは、メッセージ (トラップ) を送信し、NMS にイベントを報告します。
    3. NMS は、ネットワーク管理アプリケーションを使って、情報をテキスト形式またはグラフィック形式で表示します。

iPlanet Web Server の MIB
各 Netscape/iPlanet サーバには、独自の MIB (management information base) があります。iPlanet Web Server の MIB は、netscape-http.mib というファイルです。この MIB では、iPlanet Web Server のネットワーク管理に関係するさまざまな変数が定義されています。これらの変数を管理対象オブジェクトといいます。iPlanet Web Server の MIB と、HP OpenView などのネットワーク管理ソフトウェアを使うと、ネットワーク内の他のデバイスと同じように Web サーバをモニタすることができます。

iPlanet Web Server の MIB は、オブジェクト識別子が netscape 1 (http OBJECT IDENTIFIER : := { netscape 1 }) で、server_root/plugins/snmp ディレクトリにあります。

iPlanet Web Server の MIB を使うと、Web サーバに関する管理情報を確認し、サーバをリアルタイムでモニタすることができます。表 9.1は、netscape-http.mib に含まれる管理対象オブジェクトとその説明の一覧です。

表 9.1 netscape-http.mib の管理対象オブジェクトとその説明 
管理対象オブジェクト
説明
httpEntityDescr
サーバの説明 (オペレーティング システムの情報を含む)。
httpEntityId
ベンダー用のエンタープライズのサブツリー (たとえば、Netscape/iPlanet の MIB のオブジェクト識別子は 1.3.6.1.4.1.1450)。
httpEntityProtocol
HTTP バージョン番号。
httpEntityVersion
サーバ ソフトウェアのバージョン番号。
httpEntityOrganization
サーバの担当組織。
httpEntityLocation
サーバのフル パス。
httpEntityContact
サーバの責任者 (1 人または複数) とその連絡先。
httpEntityAddress
サーバが動作しているマシンの IP アドレス。
httpEntityPort
サーバがリッスンしているポート番号。
httpEntityName
サーバの識別名 (server2.a.com など)。
httpEntityType
サーバのタイプ。
httpEntityMethods
サーバでサポートされているメソッド (GET、POST、PUT など)。
httpEntityMaxProcess
サーバ上のアクティブなプロセスの最大数。
httpEntityMinProcess
サーバ上のアクティブなプロセスの最小数。
httpEntityMaxThread
サーバ上のアクティブなスレッドの最大数。
httpEntityMinThread
サーバ上のアクティブなスレッドの最小数。
httpStatisticsPort
サーバがリッスンしているポート番号。
httpStatisticsAddress
サーバがバインドされた IP アドレス。
httpStatisticsStatus
サーバの状態 (稼働または停止)。
httpStatisticsUptime
サーバが起動してからの稼働時間。
httpStatisticsNumProcessIdle
アイドル状態のスレッドの数。
httpStatisticsNumProcessProc
リクエストを処理中のスレッドの数。
httpStatisticsNumProcessDns
ホスト名を解決中のスレッドの数。
httpStatisticsRequests
受信、生成されたリクエストの合計数。
httpStatisticsRequestError
検出された要求エラーの合計数。
httpStatisticsInUnknowns
受信、生成された不明なメッセージの合計数。
httpStatisticsInBytes
受信された合計バイト数。
httpStatisticsOutBytes
サーバから送信された合計バイト数。
httpStatisticsTimeOut
サーバがタイムアウトとなった合計回数。
httpStatisticsProcessNum
実行中のプロセス数。
httpStatisticsThreadNum
実行中のスレッド数。
httpStatisticsNumBytes
サーバから送信された合計バイト数。
httpStatisticsNum2xx
サーバで処理された 200 レベルの状態リクエストの数。
httpStatisticsNum3xx
サーバで処理された 300 レベルの状態リクエストの数。
httpStatisticsNum4xx
サーバで処理された 400 レベルの状態リクエストの数。
httpStatisticsNum5xx
サーバで処理された 500 レベルの状態リクエストの数。
httpStatisticsNum200
200 (Transfer OK) リクエストの数。
httpStatisticsNum302
302 (Moved Temporarily) リクエストの数。
httpStatisticsNum304
304 (Not Modified) リクエストの数。
httpStatisticsNum401
401 (Unauthorized) リクエストの数。
httpStatisticsNum403
403 (Forbidden) リクエストの数。


SNMP のセットアップ
一般に、SNMP を使うには、マスター エージェントと 1 つ以上のサブエージェントがシステムにインストールされ、動作している必要があります。サブエージェントを有効にするには、先にマスター エージェントをインストールする必要があります。

SNMP のセットアップ手順は、システムによって異なります。表 9.2は、状況ごとのセットアップ手順の概要を示します。手順の詳細については、この章の後半で説明します。

セットアップを開始する前に、次の 2 点を確認してください。

  • システムで SNMP エージェント (オペレーティング システムのネイティブ エージェント) が動作しているかどうか。
  • 動作している場合、ネイティブな SNMP エージェントが SMUX 通信をサポートしているかどうか(AIX プラットフォームの場合、システムは SMUX をサポートしています)。
確認の方法については、システムのマニュアルを参照してください。

表 9.2 SNMP のマスター エージェントとサブエージェントを有効にする手順
サーバの状態
必要な作業
(詳細については、後続の各節を参照)

ネイティブ エージェントが現在、動作していない

  1. マスター エージェントを起動します。
  2. システムにインストールされた各サーバのサブエージェントを有効にします。

  1. ネイティブ エージェントを停止して、Administration Server のマスター エージェントをインストールします。
  2. マスター エージェントを起動します。
  3. システムにインストールされた各サーバのサブエージェントを有効にします。

  1. SNMP プロクシ エージェントをインストールします。
  2. SNMP プロクシ エージェントを起動します。
  3. マスター エージェントのポート番号以外のポート番号を使って、ネイティブ エージェントを再起動します。
  4. マスター エージェントを起動します。
  5. システムにインストールされた各サーバのサブエージェントを有効にします。

  1. SNMP のネイティブ エージェントを再設定します。
  2. システムにインストールされた各サーバのサブエージェントを有効にします。


SNMP プロクシ エージェントの使用 (Unix/Linux)
既にネイティブ エージェントが動作中で、継続して iPlanet Web Server のマスター エージェントと同時に使う場合は、SNMP プロクシ エージェントを使う必要があります。セットアップを開始する前に、必ずネイティブなマスター エージェントを停止してください。詳細については、システムのマニュアルを参照してください。

図 9.3    SNMP のネイティブ エージェントを使う場合のプロクシ サーバの使用

ノート プロクシ エージェントを使うには、それをインストールして起動する必要があります。また、iPlanet Web Server のマスター エージェントが動作中のポート番号以外のポート番号を使って、ネイティブな SNMP マスター エージェントを再起動する必要があります。

SNMP プロクシ エージェントのインストール
システムで SNMP エージェントが動作中で、ネイティブな SNMP デーモンを継続して使う場合は、次の手順に従います。

  1. SNMP マスター エージェントをインストールします。SNMP マスター エージェントのインストールを参照してください。
  2. SNMP プロクシ エージェントをインストールして起動した後、ネイティブな SNMP デーモンを再起動します。SNMP プロクシ エージェントの使用 (Unix/Linux)を参照してください。
  3. SNMP マスター エージェントを起動します。SNMP マスター エージェントの有効化と起動を参照してください。
  4. サブエージェントを有効にします。サブエージェントの有効化を参照してください。
SNMP プロクシ エージェントをインストールするには、サーバのルート ディレクトリの plugins/snmp/sagt にある CONFIG ファイル (ファイル名は変更可能) を編集して、SNMP デーモンがリッスンするポートを追加します。また、MIB ツリーと、プロクシ SNMP エージェントが転送するトラップも追加する必要があります。

CONFIG ファイルの例は次のとおりです。

SNMP プロクシ エージェントの起動
SNMP プロクシ エージェントを起動するには、コマンド プロンプトに次のように入力します。

SNMP ネイティブ デーモンの再起動
SNMP プロクシ エージェントの起動後、CONFIG ファイルで指定したポートで SNMP ネイティブ デーモンを再起動する必要があります。SNMP ネイティブ デーモンを再起動するには、コマンド プロンプトに次のように入力します。

ここで、port_number は、CONFIG ファイルで指定したポート番号です。たとえば、前述の CONFIG ファイル例のポートを使う Solaris プラットフォームでは、次のように入力します。


SNMP ネイティブ エージェントの再設定
SNMP デーモンが AIX 上で動作している場合はSMUX がサポートされます。このため、マスター エージェントをインストールする必要はありません。ただし、AIX の SNMP デーモンの設定を変更する必要があります。

AIX は、複数のコンフィグレーション ファイルを使って通信のスクリーニングを行います。その中の 1 つのファイルであるsnmpd.conf を変更して、SNMP デーモンが SMUX サブエージェントからの受信メッセージを受け付けるようにする必要があります。詳細については、オンライン マニュアルの snmpd.conf のページを参照してください。各サブエージェントを定義する行を追加する必要があります。

たとえば、次の行を snmpd.conf に追加します。

IP_address は、サブエージェントが動作するホストの IP アドレスで、net_mask は、そのホストのネットワーク マスクです。

ノート ループバック アドレス 127.0.0.1 ではなく、実際の IP アドレスを使います。


SNMP マスター エージェントのインストール
サーバ マネージャを使って SNMP マスター エージェントをインストールし、起動するには、サーバが root で動作している必要があります。

サーバ マネージャを使って SNMP マスター エージェントをインストールするには、次の手順を実行します。

  1. root でログインします。
  2. SNMP デーモン (snmpd) がポート 161 で動作しているかどうかを確認します。
  3. SNMP デーモンが動作している場合、そのプロセスを終了 (kill) します。
  4. サーバ マネージャで、[Global Settings] タブの「SNMP Master Agent Trap」ページを選択します。「Manager Entries」ページ が表示されます。
  5. ネットワーク管理ソフトウェアが動作しているシステムの名前を入力します。
  6. ネットワーク管理システムがトラップをリッスンするポート番号を入力します (周知のポートは 162 です)。 トラップの詳細については、トラップ送信先の設定を参照してください。
  7. トラップで使うコミュニティ文字列を入力します。コミュニティ文字列の詳細については、コミュニティ文字列の設定を参照してください。
  8. [OK] をクリックします。
  9. サーバ マネージャで、[Global Settings] タブの「SNMP Master Agent Community」ページを選択します。「Community Strings」ページが表示されます。
  10. マスター エージェントのコミュニティ文字列を入力します。
  11. コミュニティのオペレーションを選択します。
  12. [OK] をクリックします。

SNMP マスター エージェントの有効化と起動
マスター エージェントのオペレーションは、CONFIG という、エージェントのコンフィグレーション ファイルで定義します。CONFIG ファイルは、サーバ マネージャを使って編集したり、手作業で編集したりすることができます。SNMP マスター エージェントをインストールしなければ、SNMP サブエージェントを有効にすることはできません。

マスター エージェントの再起動時に「システム エラー: ポートにバインドできませんでした」のようなバインド エラーが発生した場合は、ps -ef | grep snmp を使って magt が動作しているかどうかを確認します。動作している場合は、コマンド kill -9 pid を使ってプロセスを終了します。すると、SNMP の CGI が再度処理を開始します。

SNMP マスター エージェントの手作業による設定
SNMP マスター エージェントを手作業で設定するには、次の手順を実行します。

  1. スーパーユーザでログインします。
  2. SNMP デーモン (snmpd) がポート 161 で動作しているかどうかを確認します。
  3. サーバのルート ディレクトリの plugins/snmp/magt にある CONFIG ファイルを編集します。
  4. (オプション) CONFIG ファイルで、sysContact 変数と sysLocation 変数を定義します。
マスター エージェントの CONFIG ファイルの編集
CONFIG ファイルでは、マスター エージェントが取り扱うコミュニティとマネージャを定義します。マネージャの値は、有効なシステム名または IP アドレスでなければなりません。基本的な CONFIG ファイルの例は次のとおりです。

COMMUNITY public
ALLOW ALL OPERATIONS

MANAGER manager_station_name
SEND ALL TRAPS TO PORT 162
WITH COMMUNITY public

sysContact 変数と sysLocation 変数の定義
CONFIG ファイルを編集して、MIB-II 変数の sysContactsysLocation を指定する、sysContactsysLocation の初期値を追加することができます。この例では、sysContactsysLocation の文字列を引用符で囲んでいます。スペース、改行、タブなどを含む文字列は引用符で囲む必要があります。値は、16 進数で指定することもできます。

sysContract 変数と sysLocation 変数を定義した CONFIG ファイルの例は次のとおりです。

SNMP マスター エージェントの設定
サーバ マネージャを使って SNMP マスター エージェントを起動するには、次の手順を実行します。

  1. root でログインします。
  2. SNMP デーモン (snmpd) がポート 161 で動作しているかどうかを確認します。
  3. Administration Server にログインします。
  4. Administration Server で、[Global Settings] タブを選択し、[SNMP Master Agent Trap] リンクをクリックして「SNMP Master Agent Control」ページに移動します。「Manager Entries」ページが表示されます。次の情報を入力します。
  5. [SNMP Master Community] リンクをクリックします。「Community Strings」ページが表示されます。次のコミュニティ情報を入力します。
SNMP マスター エージェントの起動
SNMP マスター エージェントをインストールしたら、手作業で起動するか、または Administration Server を使って起動することができます。

SNMP マスター エージェントの手作業による起動
マスター エージェントを手作業で起動するには、コマンド プロンプトに次のように入力します。


INIT ファイルは、システムの場所や連絡先など、MIB-II システム グループ からの情報を含む不揮発性ファイルです。INIT が存在しない場合は、マス ター エージェントの初回起動時に作成されます。CONFIG ファイルに無効な マネージャ名があると、マスター エージェントの起動は失敗します。

マスター エージェントを非標準ポートで起動するには、次の 2 つの方法のいずれかを使います。

方法 1: CONFIG ファイルで、マスター エージェントがマネージャからの SNMP リクエストをリッスンする各インターフェイスの転送マッピングを指定します。転送マッピングによって、マスター エージェントは、標準ポートと非標準ポートで接続を受け付けます。マスター エージェントは、非標準ポートで SNMP トラフィックも受け付けます。同時 SNMP の最大数は、対象システムのプロセスあたりのオープン ソケットまたはファイル記述子の制限によって制約されます。転送マッピング エントリの例は次のとおりです。


CONFIG ファイルを手作業で編集したら、コマンド プロンプトに次のよう に入力して、マスター エージェントを手作業で起動する必要があります。

方法 2: /etc/services ファイルを編集し、マスター エージェントが標準ポートと非標準ポートで接続を受け付けるようにします。

Administration Server からの SNMP マスター エージェントの起動
Administration Server を使って SNMP マスター エージェントを起動するには、次の手順を実行します。

  1. Administration Server にログインします。
  2. サーバ マネージャで、[Global Settings] タブの「SNMP Master Agent Control」ページを選択します。「SNMP Master Agent Control」ページが表示されます。
  3. [Start] をクリックします。

SNMP マスター エージェントの設定
ホスト コンピュータのマスター エージェントを有効にし、サブエージェントを有効にしたら、ホストの Administration Server を設定する必要があります。ここでは、コミュニティ文字列とトラップ送信先を指定します。

コミュニティ文字列の設定
コミュニティ文字列は、SNMP エージェントが認証に使うテキスト文字列です。NMS は、エージェントに送信する各メッセージにコミュニティ文字列を添付します。エージェントは、コミュニティ文字列を使って NMS による情報の取得が認証されているかどうかを検証することができます。コミュニティ文字列は、SNMP パケットで送信されるときに隠ぺいされず、ASCII 文字列として送信されます。

SNMP マスター エージェントのコミュニティ文字列は、サーバ マネージャの「Community Strings」ページ (Unix/Linux)で設定することができます。また、特定のコミュニティが実行できる、SNMP 関連のオペレーションも定義します。サーバ マネージャでは、既に設定したコミュニティの表示、編集、削除も可能です。

トラップ送信先の設定
SNMP トラップは、SNMP エージェントが NMS に送信するメッセージです。たとえば、インターフェイスの状態が「稼働中」から「停止」に変わると、SNMP エージェントはトラップを送信します。SNMP エージェントは、トラップの送信先である NMS のアドレスを知っている必要があります。SNMP マスター エージェントのトラップ送信先は、iPlanet Web Server で設定することができます。既に設定したトラップ送信先の表示、編集、削除も可能です。iPlanet Web Server を使ってトラップ送信先を設定するときは、実際には CONFIG ファイルを編集していることになります。


サブエージェントの有効化
Administration Server に付属するマスター エージェントをインストールしたら、サーバ インスタンスのサブエージェントを有効にしてから起動します。マスター エージェントのインストールの詳細については、SNMP マスター エージェントのインストールを参照してください。サブエージェントは、サーバ マネージャを使って有効にすることができます。

Unix/Linux プラットフォームで SNMP 機能を停止するには、まずサブエージェントを停止し、次にマスター エージェントを停止します。マスター エージェントを先に停止すると、サブエージェントを停止できない場合があります。その場合は、マスター エージェントを再起動し、サブエージェントを停止してからマスター エージェントを停止してください。

SNMP サブエージェントを有効にするには、サーバ マネージャの「SNMP Configuration」ページを使います。サブエージェントを起動するには、「SNMP Subagent Control」ページ (Unix/Linux)を使います。詳細については、オンライン ヘルプの対応する節を参照してください。

サブエージェントを有効にすると、「SNMP Subagent Control」ページ (Unix/Linux)、または Windows NT の [サービス コントロール] パネルからの起動、停止、再起動が可能です。

 

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