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マニュアルページセクション 1M: システム管理コマンド Oracle Solaris 11 Information Library (日本語) |
- VRRP 管理ツール
vrrpadm create-router -V vrid -l link -A inet | inet6 [-p priority] [-i adv_interval] [-o flags] router_name
vrrpadm delete-router router_name
vrrpadm disable-router router_name
vrrpadm enable-router router_name
vrrpadm modify-router [-p priority] [-i adv_interval] [-o flags] [router_name]
vrrpadm show-router [-P | -x] [-p] [-o field[,...]] [router_name]
vrrpadm コマンドは、システム内の VRRP (Virtual Router Redundancy Protocol) サービスを管理するために使用します。
VRRP は選択プロトコルを指定し、この選択プロトコルによって、仮想ルーターの役割が LAN 内のいずれかの VRRP ルーターに動的に割り当てられます。任意の時点で、仮想ルーターに関連付けられた IPv4 または IPv6 仮想アドレスを制御する VRRP ルーター (「マスター」と呼ばれる) は 1 つだけであり、マスターはそれらの IP アドレスに送信されたパケットを転送します。マスターが使用不可能になった場合に、選択処理によって転送の役割が動的にフェイルオーバーされます。
各 vrrpadm サブコマンドの処理対象は VRRP ルーターです。VRRP ルーターは管理者から与えられた名前で識別されます。1 つの LAN 内で同じ VRID とアドレスファミリを持つ複数の VRRP ルーターによって 1 つの仮想ルーターが構成されます。仮想ルーターは一連の仮想 IP アドレスを保護します。
システム上に複数の VRRP ルーターが存在し、各ルーターがそれぞれ異なる仮想ルーターに所属できます。
次のサブコマンドがサポートされています。show-router 以外のすべてのサブコマンドでは、solaris.network.vrrp 承認が必要となります。show-router サブコマンドに特別な承認は不要です。
指定された構成で VRRP ルーターを作成します。
アドレスファミリ。IPv4、IPv6 のいずれか。
通知間隔 (ミリ秒)。デフォルトは 1000 (1 秒) です。有効な間隔は、10 から 40950 の範囲です。
VRRP ルーターの構成先となるデータリンク。これにより、この VRRP ルーターが動作する LAN が決まります。データリンクは物理リンク、VLAN、集約のいずれかになります。
横取りモードと受け入れモードをコンマで区切ったもの。使用可能な値は次のとおりです。
preempt
un_preempt
accept
noaccept
デフォルトでは、どちらのモードも真に設定されます。
preempt モードは、優先度の高い有効なバックアップルーターが優先度の低いマスタールーターを横取りするかどうかを制御します。preempt モードが真の場合は横取りが許可されます。それ以外の場合は横取りが禁止されます。VRRP ルーターが仮想 IP アドレスの所有者である場合には、preempt モードが真である必要があります。
accept モードは、仮想 IP アドレスのローカルパケットの受け入れを制御します。accept モードが真の場合、マスターは仮想 IP アドレスに送信されたパケットを受け入れる必要があります。accept モードが偽の場合、マスターはそれらのパケットを受け入れませんが、それらの受け入れない仮想 IP アドレスに対する ARP 要求や ND 要請/通知には応答します。さらにマスターは、このサブコマンドで指定されたルーターのパケットも転送する必要があります。VRRP ルーターが仮想 IP アドレスの所有者である場合には、accept モードが真である必要があります。このオプションの構文の例を次に示します。
-o preempt,no_accept
指定された VRRP ルーターの、マスター選択で使用される優先度。この値が高いほど、このルーターがマスターとして選択される可能性が高くなります。
デフォルト値は 255 です。この値は、指定された VRRP ルーターが IP アドレス所有者であり、すべての仮想 IP アドレスを所有していることを示します。IP アドレス所有者は、ICMP ping や TCP 接続などで発生する、いずれかの仮想 IP アドレス宛てのパケットに応答します。
1 から 254 の範囲は、仮想ルーターをバックアップする VRRP ルーターで使用できます。マスター選択では、優先度の高い VRRP ルーターが選択されるように重み付けされます。
仮想ルーター識別子 (VRID)。これとアドレスファミリの組み合わせによって、LAN 内の 1 つの仮想ルーターが識別されます。
VRRP ルーターの名前。この名前は、ほかの vrrpadm サブコマンドで VRRP ルーターを識別するために使用されます。
有効なルーター名の最大長は、31 文字です。使用可能な文字は、英数字 (a-z、A-Z、0-9) と下線 (「_」) です。
router_name で識別される VRRP ルーターを削除します。
router_name で識別される仮想ルーターを無効にします。無効化されたルーターは、仮想ルーターのマスター選択処理の対象から外れます。
router_name で識別される無効化された仮想ルーターを再度有効にします。このルーターが再度、仮想ルーターのマスター選択処理の対象になります。
router_name で識別される VRRP ルーターの構成を変更します。変更できるのは、優先度、通知間隔、横取りモード、および受け入れモードだけです。
この VRRP ルーターの新しい優先度。
新しい通知間隔。
新しい横取りモードと受け入れモード。どちらか 1 つを指定することも、両方を指定することもできます。両方を指定する場合は、両者の間をコンマで区切ります。例:
-o preempt,no_accept
router_name で識別される VRRP ルーターの情報を表示します。router_name が指定されなかった場合は、システム上のすべての VRRP ルーターの情報を表示します。
デフォルトでは (オプションの指定なし)、次のフィールドが表示されます。
VRRP ルーターの名前。
VRRP ルーターの VRID。
VRRP ルーターの作成先となるデータリンク。
VRRP ルーターのアドレスファミリ。IPv4 または IPv6。
この VRRP ルーターの、マスター選択で使用される優先度。
通知間隔 (ミリ秒)。
VRRP ルーターの現在の状態。INIT (初期化)、BACK (バックアップ)、または MAST (マスター)。
VRRP ルーターに関連付けられたフラグのセット。表示される可能性のある値は次のとおりです。
ルーターが有効化されました。
横取りモードが真です。
受け入れモードが真です。
仮想アドレス所有者。
この VRRP ルーター用に作成された VRRP VNIC。
ルーターが有効化されないかぎり、VNIC の名前は時間の経過とともに変化する可能性があります。
show-router サブコマンドのオプションは、次のとおりです。
指定された VRRP ルーターの追加情報を表示します。
VRRP ルーターによって選択されたプライマリ IP アドレス。
VRRP ルーター上で構成されている仮想 IP アドレス。
VRRP ルーターの以前の状態。
前回の状態遷移からの時間。
バックアップ VRRP ルーターの情報を表示します。このオプションが意味を持つのは、VRRP ルーターがバックアップ状態になっている場合だけです。
表示されるフィールドは次のとおりです。
VRRP ルーターの名前。
ピア VRRP ルーターのプライマリ IP アドレス。
ピアから受信した通知に含まれていた、ピア VRRP ルーターの優先度。
ピアから受信した通知に含まれていた通知間隔 (ミリ秒)。
前回ピアから通知を受信してからの時間。
マスター停止を宣言するまでの時間間隔 (ミリ秒)。
VRRP ルーターの情報を、マシン解析可能な形式で表示します。
表示する出力フィールドのコンマ区切りのリスト (大文字と小文字は区別されません)。フィールド名は、前述のフィールドのいずれか、またはすべてのフィールドを表示するための特殊な値 all にする必要があります。デフォルトでは (-o の指定なし)、vrrpadm show はすべてのフィールドを表示します。
属性についての詳細は、attributes(5) を参照してください。
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