IPMP は、IPMP グループの作成時に構成されたアクティブインタフェースとスタンバイインタフェースの元の数を保持しようとすることによって、ネットワークの可用性を維持します。
グループ内の特定のベースとなる IP インタフェースの可用性を判定するための IPMP 障害検出は、リンクベースまたはプローブベース、あるいはその両方にすることができます。あるベースとなるインタフェースが故障したと IPMP が判定した場合、そのインタフェースは故障としてフラグが付けられ、使用できなくなります。次に、故障したインタフェースに関連付けられていたデータ IP アドレスが、グループ内で機能している別のインタフェースに再分配されます。さらに、使用可能な場合は、スタンバイインタフェースも配備され、アクティブインタフェースの元の数を維持します。
次の図に示すような、3 つのインタフェースを含むアクティブ - スタンバイ構成の IPMP グループ itops0 を考えます。
図 2-1 IPMP アクティブ-スタンバイ構成
IPMP グループ itops0 は次のように構成されています。
このグループには、2 つのデータアドレス 192.168.10.10 と 192.168.10.15 が割り当てられています。
ベースとなる 2 つのインタフェースがアクティブインタフェースとして構成され、柔軟なリンク名 net0 と net1 が割り当てられています。
このグループにはスタンバイインタフェースが 1 つ含まれており、これにも柔軟なリンク名 net2 が割り当てられています。
プローブベースの障害検出が使用されるため、アクティブインタフェースとスタンバイインタフェースは次のような検査用アドレスで構成されています。
net0: 192.168.10.30
net1: 192.168.10.32
net2: 192.168.10.34
さまざまなオプションとともに ipmpstat コマンドを使用して、既存の IPMP グループに関する特定の種類の情報を表示できます。その他の例については、IPMP 情報のモニタリングを参照してください。
次のコマンドは、Figure 2–1の IPMP 構成に関する情報を表示します。
# ipmpstat -g GROUP GROUPNAME STATE FDT INTERFACES itops0 itops0 ok 10.00s net1 net0 (net2)
グループのベースとなるインタフェースに関する情報を表示するには、次のように入力します。
# ipmpstat -i INTERFACE ACTIVE GROUP FLAGS LINK PROBE STATE net0 yes itops0 ------- up ok ok net1 yes itops0 --mb--- up ok ok net2 no itops0 is----- up ok ok
IPMP は、アクティブインタフェースの元の数を維持できるようにベースとなるインタフェースを管理することで、ネットワークの可用性を維持します。したがって、net0 が故障すると、IPMP グループが引き続き 2 つのアクティブインタフェースを持てるように、net2 が配備されます。net2 のアクティブ化を次の図に示します。
図 2-2 IPMP でのインタフェースの故障
ipmpstat コマンドは、この図の情報を次のように表示します。
# ipmpstat -i INTERFACE ACTIVE GROUP FLAGS LINK PROBE STATE net0 no itops0 ------- up failed failed net1 yes itops0 --mb--- up ok ok net2 yes itops0 -s----- up ok ok
net0 が修復されると、アクティブインタフェースとしてのステータスに戻ります。一方、net2 は元のスタンバイステータスに戻されます。
別の障害シナリオをFigure 2–3に示します。このシナリオでは、スタンバイインタフェース net2 が故障します (1)。そのあと、アクティブインタフェースの 1 つである net1 が管理者によってオフラインに切り替えられます (2)。その結果、この IPMP グループには、機能しているインタフェース net0 が 1 つ残されます。
図 2-3 IPMP でのスタンバイインタフェースの故障
ipmpstat コマンドは、この図の情報を次のように表示します。
# ipmpstat -i INTERFACE ACTIVE GROUP FLAGS LINK PROBE STATE net0 yes itops0 ------- up ok ok net1 no itops0 --mb-d- up ok offline net2 no itops0 is----- up failed failed
この障害では、インタフェースが修復されたあとの回復の動作が異なります。この回復プロセスは、修復後の構成と比較した IPMP グループのアクティブインタフェースの元の数に依存します。次の図は、回復プロセスを表します。
図 2-4 IPMP の回復プロセス
Figure 2–4で、net2 が修復されると、通常、スタンバイインタフェースとしての元のステータスに戻ります (1)。ところが、この IPMP グループは依然として、アクティブインタフェースの元の数である 2 個を反映していません。これは、net1 が引き続きオフラインのままになっているからです (2)。したがって、IPMP は代わりに net2 をアクティブインタフェースとして配備します (3)。
ipmpstat コマンドは、修復後の IPMP シナリオを次のように表示します。
# ipmpstat -i INTERFACE ACTIVE GROUP FLAGS LINK PROBE STATE net0 yes itops0 ------- up ok ok net1 no itops0 --mb-d- up ok offline net2 yes itops0 -s----- up ok ok
FAILBACK=no モードも構成されたアクティブインタフェースが故障に関与している場合にも、同様の回復プロセスが発生します。その場合、故障したアクティブインタフェースが修復されても、自動的にはアクティブステータスに戻りません。Figure 2–2の net0 が FAILBACK=no モードに構成されているとします。そのモードでは、修復された net0 は、最初はアクティブインタフェースであったとしても、スタンバイインタフェースになります。この IPMP グループのアクティブインタフェースの元の数である 2 個を維持するように、インタフェース net2 はアクティブのままになります。
ipmpstat コマンドは、回復情報を次のように表示します。
# ipmpstat -i INTERFACE ACTIVE GROUP FLAGS LINK PROBE STATE net0 no itops0 i------ up ok ok net1 yes itops0 --mb--- up ok ok net2 yes itops0 -s----- up ok ok
このタイプの構成の詳細については、FAILBACK=no モードを参照してください。