Oracle® Solaris 11.2 リンカーとライブラリガイド

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更新: 2014 年 7 月
 
 

32-bit x86: 再配置型

次の表に、32 ビット x86 用に定義された再配置を示します。

表 12-18  32-bit x86: ELF 再配置型
名前
フィールド
計算
R_386_NONE
0
なし
なし
R_386_32
1
word32
S + A
R_386_PC32
2
word32
S + A - P
R_386_GOT32
3
word32
G + A
R_386_PLT32
4
word32
L + A - P
R_386_COPY
5
なし
この表のあとの説明を参照してください。
R_386_GLOB_DAT
6
word32
S
R_386_JMP_SLOT
7
word32
S
R_386_RELATIVE
8
word32
B + A
R_386_GOTOFF
9
word32
S + A - GOT
R_386_GOTPC
10
word32
GOT + A - P
R_386_32PLT
11
word32
L + A
R_386_16
20
word16
S + A
R_386_PC16
21
word16
S + A - P
R_386_8
22
word8
S + A
R_386_PC8
23
word8
S + A - P
R_386_SIZE32
38
word32
Z + A

注 -  スレッド固有ストレージの参照に使用できる再配置はほかにも存在します。これらの再配置については、Chapter 14, スレッド固有ストレージ (TLS)で説明しています。

いくつかの再配置型には、単純な計算を超えたセマンティクスが存在します。

R_386_GOT32

GOT のベースからシンボルの GOT エントリまでの距離を計算します。この再配置型はまた、大域オフセットテーブルを作成するようにリンカーに指示します。

R_386_PLT32

シンボルのプロシージャーのリンクテーブルエントリのアドレスを計算し、かつプロシージャーのリンクテーブルを作成するようにリンカーに指示します。

R_386_COPY

リンカーは、この再配置型を作成して、動的実行可能ファイルが読み取り専用のテキストセグメントを保持できるようにします。この再配置型のオフセットメンバーは、書き込み可能セグメントの位置を参照します。シンボルテーブルインデックスは、現オブジェクトファイルと共有オブジェクトの両方に存在する必要があるシンボルを指定します。実行時、実行時リンカーは共有オブジェクトのシンボルに関連付けられているデータを、オフセットで指定されている位置にコピーします。コピー再配置を参照してください。

R_386_GLOB_DAT

GOT エントリを、指定されたシンボルのアドレスに設定します。この特殊な再配置型を使うと、シンボルと GOT エントリの対応付けを判定できます。

R_386_JMP_SLOT

リンカーは、動的オブジェクトが遅延結合を提供できるようにするため、この再配置型を作成します。この再配置型のオフセットメンバーは、プロシージャーのリンクテーブルエントリの位置を与えます。実行時リンカーは、プロシージャーのリンクテーブルエントリを変更して指定シンボルアドレスに制御を渡します。

R_386_RELATIVE

リンカーは、動的オブジェクト用にこの再配置型を作成します。この再配置型のオフセットメンバーは、相対アドレスを表す値が存在する、共有オブジェクト内の位置を与えます。実行時リンカーは共有オブジェクトが読み込まれる仮想アドレスに相対アドレスを加算することで、対応する仮想アドレスを計算します。この型に対する再配置エントリは、シンボルテーブルインデックスに対して値 0 を指定する必要があります。

R_386_GOTOFF

シンボルの値と GOT のアドレスの差を計算します。この再配置型はまた、大域オフセットテーブルを作成するようにリンカーに指示します。

R_386_GOTPC

R_386_PC32 に似ていますが、計算を行う際に GOT のアドレスを使用する点が異なります。この再配置で参照されるシンボルは、通常 _GLOBAL_OFFSET_TABLE_ です。この再配置型はまた、大域オフセットテーブルを作成するようにリンカーに指示します。