ヘッダーをスキップ
Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Portal: Spacesユーザーズ・ガイド
11g リリース1(11.1.1.7.0)
B72923-01
  目次へ移動
目次
索引へ移動
索引

前
 
次
 

3 ソーシャルおよびコラボレーション・サービスの利用

今日、ブログやディスカッション、ソーシャル・メディア(FacebookやTwitterなど)との統合など、ソーシャル・ネットワークの概念なしに最新式のポータルの配置を実現することはできません。たとえば、CEOが製品の方向性をブログで発表すると、製品チームがオンライン・フォーラムでディスカッションを開始します。かつては珍しかったこのようなアクティビティが、今ではすべて基本となっています。異なる事業部門、さらにはパートナやサプライヤなど、異なる企業から担当者が集まって、特定のビジネス・タスクについてコミュニケーションを図りながら共同で作業できる仮想チーム・サイトでは、サポートを利用できる必要があります。

WebCenter Portal: Spacesには、アプリケーション全体にソーシャル・ネットワーキングを統合し、コミュニティやチーム内のコミュニケーションと共同作業を強化するための、習熟しやすい強力なサービスや機能が用意されています。

この章では、これらの機能の概要を説明するとともに、機能を実装する際に役立つ情報の参照先を紹介します。

この章の内容は次のとおりです。

対象読者

この章は、WebCenter Portal: Spacesを使用して優れた共同作業コミュニティを作成するためにソーシャル・ネットワーキング機能を利用することに関心のあるアプリケーション管理者を対象としています。

3.1 ソーシャル・ネットワーキングとは

FacebookやMySpaceなど、様々なソーシャル・ネットワーキング・サイトがあるため、Webベースのソーシャル・ネットワーキングについてはすでに十分に理解していることと思います。ユーザーが相互へのコネクションを作成します。そのコネクションによって、相互のアクティビティに関する情報や生成されるコンテンツに自由にアクセスできるようになります。つまり、関心があるサイト、写真のスライド・ショー、コネクションの現在の心理状態を示す発言などへのリンクが提供されます。2人のユーザー間のコネクションは急速に拡大します。推薦を通じて、また、ストリームされた投稿やリンクにコメントを入力したり、お気に入り登録することによって、各ユーザーのコネクションが自動的に作成されるためです。

Spacesアプリケーションは、ソーシャル・ネットワーキングの概念を新たにするものではなく、企業の目的により適した環境でソーシャル・ネットワーキングを実現することに重点を置いています。共通の関心や目標を持つユーザーが、関心のあるコンテンツにアクセスしたり、相互のアクティビティを追跡して有意義な情報を得られるようなコネクションを作成できます。

例: JohnとMary

Maryは、myCorpの財務アプリケーション担当マネージャです。Maryは、会社主催のセミナーでmyCorpの会計担当ディレクタであるJohnに会います。2人はコネクションを作成します。Johnは、アクティビティ・ストリームで、Maryが財務アプリケーションの将来に関するホワイト・ペーパーを発表していることを知ります。Johnはホワイト・ペーパーを読み、Maryが仮説を立てている革新技術の1つが自分の業務に重要な効率性をもたらすと考えます。そして、お気に入り登録によってそのホワイト・ペーパーに同意を示し、ストリームされたアイテムにコメントを入力します。Johnはそのコメントで、Maryのアイデアを活用すればすぐに効果がもたらされると考えていることをMaryに知らせ、会議を提案します。その会議から、社内会計改革コミュニティが生まれました。

3.2 コミュニティおよびチームとは

コミュニティおよびチームは、共通の目標を達成するため、または共通の関心を共有するために集められた個人のグループです。Spacesアプリケーションでは、コミュニティおよびチームという概念はスペースで実現されます。

スペースは、関連性があるサービス、ページおよびコンテンツにすぐにアクセスできる専用の領域を提供することによって、目的のプロジェクト・チームおよびコミュニティの形成と共同作業をサポートします。スペースでは、直接の追加、招待または自己登録によるチームおよびコミュニティ・メンバーの収集がサポートされています。権限やロールの割当てによる内部階層もサポートされています。これによって、スペースの機能やリソースへの異なるレベルのアクセスが提供されます。また、サブスペースの作成による構造的階層もサポートされています。これによって、サブチームや別の事業部門(LOB)に管理を委任できます。

スペースは、継続的な対話と情報共有のためにユーザーを仮想環境にまとめます。つまり、スペースを使用することで、ソーシャル・ネットワークを形成およびサポートできます。

例: 社内会計改革プロジェクト

Johnが作成したスペース、社内会計改革は、部門の会計ソフトウェアのカスタマイズ、デプロイおよびトレーニングという目標をサポートします。Johnは、この目標を達成するために、多数のLOBで構成されるチームを収集します。まず、スペース・ロールを作成し、様々なレベルの権限を割り当てます。そして、チーム・メンバーをスペースに追加し、各メンバーに与えようとするアクセスのレベルに従って、それぞれにロールを割り当てます。さらに、LOBごとにサブスペースを追加して、浅いスペース階層を作成します。その後、各サブスペースのモデレーションを各LOBリーダーに委任します。また、プロジェクトの成功を促進するコラボレーション・ツールにすべてのメンバーがアクセスできるように、有用なサービスを有効にし、構成します。


関連項目:

スペースおよびサブスペースの作成と管理の詳細は、第XI部「スペースの計画と構築」を参照してください。


3.3 ソーシャルおよびコラボレーション機能とサービスの利用

多数のスペース・サービスおよび機能によって、プロジェクトや関心に基づいたコミュニティの形成と成功がサポートされます。

この項では、これらのサービスおよび機能の概要を説明するとともに、Johnの目標を達成するという視点から、それぞれのサービスや機能を検討します。この項の内容は次のとおりです。

3.3.1 ソーシャル・ネットワーキングおよびコラボレーション・サービスとは

表3-1に、Spacesアプリケーションを通じて提供されるソーシャルおよびコラボレーション・サービスと機能の概要を示します。それぞれの説明には、詳細情報へのリンクが含まれています。

表3-1 WebCenter Portal: Spacesのソーシャルおよびコラボレーション・サービスと機能

サービスまたは機能 説明

アクティビティ・グラフ・サービス

既存のコネクションや、アプリケーション内で共通して使用しているオブジェクトに基づいて、ユーザーがコネクションを作成したいと考える可能性がある人物の推薦を提供します。また、ユーザーが現在表示しているスペースやアイテムの類似する使用に基づいて、関心があると思われるスペースやアイテムをユーザーに知らせます。詳細は、第60章「アクティビティ・グラフ・サービスの使用」を参照してください。

お知らせサービス

現在のスペース内のすべてのユーザーに対するメッセージを迅速かつ容易に作成し、すぐに、または指定した日時に配信できます。詳細は、第61章「お知らせサービスの使用」を参照してください。

ブログ

ドキュメント・サービスであるブログを提供すると、見解や意見を記録して、ビジネスの場でテクノロジの発信、専門知識の共有、および将来の方向性についての熟考を行うための公開されたオンライン日記を作成できます。詳細は、第50章「ブログの使用」を参照してください。

コメント

見解、意見および質問を特定のアプリケーション・オブジェクトに直接追加できます。詳細は、第37章「オブジェクトのお気に入り登録、コメントおよび共有」を参照してください。

ディスカッション・サービス

スペースの他のメンバーとのテキスト・ベースのディスカッションを提供します。ディスカッション・サービスのタスク・フローを使用して、フォーラムの作成、質問の投稿および回答の検索を行います。ディスカッション・フォーラムではさらに、ディスカッションを保存して再度アクセスすることもできます。詳細は、第62章「ディスカッション・サービスの使用」を参照してください。

イベント・サービス

会議、予定およびその他のタイプのイベントを計画するためのカレンダを、特定のスペースのすべてのメンバーに表示します。また、Microsoft Exchangeの個人用カレンダをホーム・スペース内に表示し、個人用カレンダの上にスペース・カレンダをオーバーレイしてすべてのスケジュールを1つのカレンダに表示することもできます。詳細は、第63章「イベント・サービスの使用」を参照してください。

インスタント・メッセージおよびプレゼンス・サービス

他の認証済ユーザーのプレゼンス・ステータスを表示できるとともに、インスタント・メッセージおよびメールにその場でアクセスできます。また、ユーザーが外出しているときには、Yahoo! Messengerなどのサード・パーティのネットワーク・プレゼンス・サービスに接続できます。詳細は、第64章「インスタント・メッセージおよびプレゼンス(IMP)サービスの使用」を参照してください。

お気に入り登録

ユーザー自身および他のユーザーが最も評価しているオブジェクトが一目でわかる、累積評価システムを提供します。カウンタによって、オブジェクトをお気に入り登録したユーザーの数が追跡されます。オブジェクトのグループの中で、お気に入りの数によって最も評価されているものを特定できます。詳細は、第37章「オブジェクトのお気に入り登録、コメントおよび共有」を参照してください。

リンク・サービス

リンクと呼ばれる、容易にアクセスできる参照ポイントを通じて、2つのオブジェクトを相互に明示的に関連付けることができます。リンク・サービスは、アプリケーション・オブジェクト間にこのようなリンクを設定する場合に役立ちます。たとえば、プロジェクト計画ドキュメントをプロジェクトの問題リストと関連付けることができます。ユーザーがリストにアクセスすると、リストに表示されているリンクをクリックして、プロジェクト計画にすぐにアクセスすることもできます。また、リンク・サービスでは、リンクを設定する際に新しいオブジェクトを簡単に作成することもできます。詳細は、第65章「リンク・サービスの使用」を参照してください。

リスト・サービス

リストを作成、公開および管理するためのツールを提供します。Excelスプレッドシートから、あらかじめ作成されたテンプレートから、または一からリストを作成できます。リストを作成すると、リソース・カタログで使用できるようになります。カタログのリストは、作成を行ったスペース内の任意のページに追加できます。詳細は、第66章「リスト・サービスの使用」を参照してください。

ピープル・コネクション・サービス

WebCenter Portal: Spacesにおけるソーシャル・ネットワーキングの主要機能であるピープル・コネクション・サービスでは、ユーザー間のコネクションを作成し、このサービスの他の機能を活用することができます。アクティビティ・ストリームでは、コネクションのアクティビティが表示されます。プロファイルにアクセスできます。パブリッシャ・タスク・フローまたはメッセージ・ボードからのファイルやリンクなど、添付ファイル付きのメッセージを送信することもできます。フィードバックを通じて作業に関する注釈を投稿することもできます。詳細は、次の項を参照してください。

投票サービス

オンライン投票を作成、管理および実行するためのツールを提供します。投票は、対象者へのアンケート、重要な情報を覚えているかどうかの確認、プレゼンテーションの有効性に関するフィードバックの収集など、チームの質を高めるための質問についての回答を求める場合に使用します。詳細は、第69章「投票サービスの使用」を参照してください。

共有

選択した対象者にとって特に関心があるアイテム、ファイルおよびURLをその場で配信できます。詳細は、第37章「オブジェクトのお気に入り登録、コメントおよび共有」を参照してください。

タグ・サービス

個人的に有用な検索語句をアプリケーション・オブジェクトに関連付け、検索結果からそのオブジェクトを容易に見つけられるようにすることができます。アイテムをタグで分類すると、共通点のないアイテムをひとまとまりの知識にして、他のユーザーと共有できます。詳細は、第59章「タグ・サービスの使用」を参照してください。

Wiki

Wikiを使用すると、権限を持つすべてのコミュニティ・メンバーが各自の情報をより大きなひとまとまりの知識に集約できます。Wikiは、コミュニティおよび共同作業の概念を典型的に示すものです。詳細は、第49章「Wikiドキュメントの使用」を参照してください。


3.3.2 ピープル・コネクションの利用

ピープル・コネクション・サービスは、コネクション、アクティビティ・ストリーム、プロファイル、メッセージ・ボード、フィードバックなどの機能を通じて、主要なソーシャル・ネットワーキング機能を提供します。

コネクションでは、Spacesアプリケーション・ユーザー間のコネクションを作成できます。ユーザー間にコネクションが作成されると、他方のユーザーのアクティビティに関する情報が相互に配信されるようになり、ピープル・コネクションを通じて他のソーシャル・ネットワーキング機能に即座にアクセスできます。

アクティビティ・ストリームでは、自分自身および他のユーザーのアクティビティに関する情報の継続的なストリームが提供されます。コネクションによってファイルがアップロードされると、ストリームでは、特定のタイプのアクティビティに関するステータス・メッセージ、リンクおよび通知として表示されます。このようなアクティビティには次のようなものがあります。

  • JohnがMaryとのコネクションを作成しました

  • MaryがドキュメントfinancialApplicationFutures.docxを改訂しました

  • Johnが社内会計改革スペースを作成しました

  • など

オブジェクトを指す、ストリームされた各アイテムによって、そのオブジェクトへのリンクが提供されます。オブジェクト自体のプレビューが表示されることもあります。

プロファイルは、特定のコネクションに関する情報への窓口となります。ほとんどが企業のLDAPアイデンティティ・ストアから生成されます。ユーザーのコネクションでは、連絡先電話番号、部門、役職、管理チェーンなどの有用な情報について、プロファイルの中の権限があるセクションを表示できます。

メッセージ・ボードおよびフィードバックでは、コネクション間のメッセージを入力および表示したり、フィードバックを投稿するための機能が提供されます。

指定したスペースの範囲内で発生したアクティビティのみをストリームするように、アクティビティ・ストリームのタスク・フローのインスタンスを構成できます。

例: 社内会計改革プロジェクト

それはまさにJohnが行ったことです。Johnは、コミュニティのアクティビティをストリームする価値を認識しています。結局のところ、Maryのホワイト・ペーパーについてストリームされたアイテムを見て、このプロジェクトを開始することになったためです。範囲が指定されたアクティビティ・ストリームでは、社内会計改革スペースのすべてのメンバーに他のメンバーのスペース関連のアクティビティが自動的に表示されることがわかっています。チーム・メンバーがこの機能に注目するように、スペースのホーム・ページに「お知らせ」タスク・フローを追加し、次のお知らせを投稿します。

Keep your eye on the stream! You can view all space-related activities streaming from every space member. Watch for activities, documents, and links of interest.

3.3.3 お知らせ、ディスカッションおよびイベントの利用

お知らせサービスでは、特定のスペースのすべてのメンバーに対してすぐに、または選択した時間にお知らせをブロードキャストできます。

お知らせが一方向の効果的なコミュニケーションを提供するのに対して、ディスカッション・サービスは、ディスカッション・フォーラムおよびトピックを作成して管理するための優れた手段を提供します。メンバーは、現在の取組みに関連する質問をしたり、質問に回答して、その情報を他のメンバーが参照したり、説明を要求できるように保存することによって、コミュニティのナレッジ・ベースを増強できます。ディスカッションでは、コミュニティ・メンバーが各自のスケジュールの制約に従って相互に協議、ディスカッションおよび共同作業を行うことができる仮想会議場が提供されます。

ただし、共通の予定時間を調整できる場合は、イベント・サービスを使用して会議やイベントを簡単に計画できます。イベント・サービスでは、プロジェクトおよびコミュニティの会議やイベントを計画して投稿するために使用できるコミュニティ・カレンダが提供されます。イベント・カレンダの有効範囲は現在のスペースなので、他のチームの不要な情報に煩わされることはありません。

例: 社内会計改革プロジェクト

Johnは、イベント・カレンダを使用して、すべてのLOBリーダーが参加する会議を計画します。目的は、将来使用する最適なテクノロジに関する問題を議論することです。その目的のためにチームのスペースに作成したLOB議事録Wikiで議事録を追跡します。LOBは、リストを3つのブランドに絞り込みます。Johnは、テクノロジ・ディスカッション・フォーラムを通じてチーム全体にディスカッションを公開します。このフォーラムで、Johnはそれぞれの選択候補に関するチームの意見を求めます。Alokが選択肢の1つに関する見解を示し、LOBリーダーが考慮しなかった短所を指摘します。15人のチーム・メンバーが、Alokからのトピックへの返信をお気に入り登録することによって、Alokの懸念に同意を示します。これは、その選択肢を除外して他の2つの選択肢から選択するための非常に強力な支持になると思われます。


関連項目:

お知らせ、ディスカッションおよびイベントの詳細は、次の章を参照してください。


3.3.4 お気に入り登録、コメントおよび共有の利用

お気に入り登録、コメントおよび共有は、多くのWebCenter Portalサービスとデフォルトで統合されています。チーム・メンバーは、これらの機能を使用して、ドキュメント、トピックへの返信、ストリームされたアイテム、Wikiおよびブログを共有したり、コメントを入力したり、同意を示すことができます。

お気に入り登録は、アプリケーション・オブジェクトの相対的な人気に関するその時点の情報を収集して返す、一種の簡易投票と考えることができます。

コメントでは、アプリケーション・オブジェクトに関するより詳細な意見を参照できます。お気に入り登録やコメントの機能がある場合、ユーザーは、該当するオブジェクトに対して直接、提案、意見、質問およびその他の関連する情報を入力できます。

共有では、関心があるコンテンツへのリンクを、選択した対象者に送信できます。

例: 社内会計改革プロジェクト

Johnは、頻繁に情報を共有します。プロジェクトに関連する情報が他のスペース・メンバーからストリームされると、スライド・プレゼンテーション、グラフ、テクノロジの更新などをプロジェクト・チームと共有します。Johnは今日、候補となっているテクノロジに関するAlokの懸念を裏付けるドキュメントをAlokに送信しました。

Alokは、Johnがそのドキュメントを共有したことを喜びます。ドキュメントに対する同意を示し、リンクをクリックしてドキュメントを読んだ後、ドキュメント上のJohnの名前をクリックして、その場で会話を始めます。


関連項目:

詳細は、第37章「オブジェクトのお気に入り登録、コメントおよび共有」を参照してください。


3.3.5 インスタント・メッセージおよびプレゼンスの利用

インスタント・メッセージおよびプレゼンス(IMP)サービスでは、他の認証済ユーザーのプレゼンス・ステータス(オンライン、ビジー、退席中およびオフライン)を監視でき、インスタント・メッセージやメールなどの対話オプションが提供されます。

インスタント・メッセージおよびプレゼンスを使用できる場合、プレゼンス・アイコンでユーザー名を公開するすべてのアプリケーション・オブジェクトが、様々な形態のインスタント・コミュニケーションを開始するためのパイプ役となります。ユーザー名を公開するWebCenterサービスは、IMPサービスと統合できます。このようなサービスには、ディスカッション、ドキュメント、メールおよびリストがあります。

例: 社内会計改革プロジェクト

Alokはドキュメントを読んだ後、Johnのプレゼンス・ステータスが「オンライン」であることに気付きます。テクノロジに関する記事のJohnの名前をクリックすると、Johnへの連絡手段を示すコンテキスト・メニューが開きます。Alokはインスタント・メッセージを選択し、会話を開始します。やりとりの一部を次に示します。

...
ALOK: will do! :) ... btw, is there a code name for this project?
JOHN: no, why?
ALOK: internal acct'ng refit is a mouthful.
JOHN: true
ALOK: how about AIR
JOHN: accounting internal refit? i like air, but
ALOK: right ... was discussing with team
ALOK: popular selections were zip, freeway, and bux (air was mine)
JOHN: if team is interested, let's run a poll
JOHN: i'm ok with any of these
ALOK: i'm on it!

3.3.6 投票およびアクティビティ・グラフの利用

投票サービスでは、オンライン投票を作成、管理および実行するためのツールが提供されます。投票は、対象者へのアンケート、重要な情報を覚えているかどうかの確認、プレゼンテーションの有効性に関するフィードバックの収集など、チームの質を高めるための質問についての回答を求める場合に使用します。

投票が他のユーザーの意見を求めるのに対して、アクティビティ・グラフ・サービスは、背後にあるインテリジェンスを収集して個々のユーザー向けに調整された意見を生成します。

アクティビティ・グラフ・サービスを使用すると、新しいコネクション、適切なアイテムおよび関連性があるスペースの推薦を提供することによって、Spacesアプリケーションでユーザーの関心の範囲を拡大できます。そのために、各ユーザーのアプリケーション・アクティビティがアクティビティ・グラフで追跡されます。アクティビティ・グラフ・エンジンによって、エンタープライズ・アプリケーションで収集されたアクションの集中リポジトリが提供されます。アクティビティが分析され、個々のユーザーに対する固有の推薦として返されます。また、カスタム・イベントを追跡し、独自のビジネス・オブジェクトを推薦できるため、アクティビティ・グラフ・サービスは拡張性にも優れています。

例: Buxプロジェクト

テクノロジの選択肢に関する調査で、Johnは、それぞれの選択肢の長所と短所を論じるいくつかの記事にアクセスします。その結果、アクティビティ・グラフ・タスク・フローの個人用ビューで類似する記事の推薦を見つけます。検索で簡単に見つけられるように、そのうちの1つにbuxというタグを付けます。さらに、財務部門および業務部門に根拠をあげて説明できるように、作成したページからその記事へのリンクを追加します。


関連項目:

投票およびアクティビティ・グラフの詳細は、次の章を参照してください。


3.3.7 タグおよびリンクの利用

タグを使用すると、個人的に有用な検索語句をアプリケーション・オブジェクトに関連付け、検索結果からそのオブジェクトを容易に見つけられるようにすることができます。タグによって、自分または他のユーザーがタグ付けしたアイテムが結果に追加されるため、自分および他のユーザーの検索結果からさらに関連性の高い情報を引き出すことができます。アイテムをタグで分類すると、共通点のないアイテムをひとまとまりの知識にし、タグ・センターまたは共有している保存済検索を使用して他のユーザーと共有できます。

リンクでは、関連性がある有用なオブジェクトを現在のコンテキストと関連付けることができるため、一種の非定型ナビゲーションを作成するためのメカニズムが提供されます。たとえば、ページからドキュメント、リストからディスカッション、リスト行からイベントなどにリンクできます。既存のオブジェクトにリンクすることも、その場でターゲット・オブジェクトを作成することもできます。

例: Buxプロジェクト

JohnとMaryは、プロジェクト・マイルストンのリストで共同作業を行いました。最初に計画したマイルストンは、プロジェクトのキックオフ・ミーティングです。Maryは、マイルストン・リストから、「新規にリンク」オプションを使用してイベントへのリンクを作成します。会議の日時を計画し、場所の詳細を指定できるダイアログが開きます。マイルストン・リストでリンクをクリックするか、コミュニティ・カレンダを参照することによって、必要なときにいつでも、チーム全体が会議の予定を確認できます。

Maryは、予定されているキックオフの進捗を追跡し、話題にのぼるように、ブログbuxBashBlogを作成します。チームの80%が様々なブログ投稿に対して同意を示したり、コメントを入力します。チーム全体が大きな期待を寄せています。


関連項目:

タグおよびリンクの詳細は、次の章を参照してください。


3.3.8 Wikiおよびブログの利用

Spacesアプリケーションでは、ブログおよびWikiの作成が非常に容易になっています。「ページの作成」ダイアログでブログまたはWikiオプションを選択すればよいだけです。その他の構成は必要ありません。

ブログは、選択したテクノロジ、論理的な変更、および推進しようとしているその他の組織の変革を広めるための優れた手段となります。

権限を持つすべてのコミュニティ・メンバーが各自の情報をより大きなひとまとまりの知識に集約できるWikiは、コミュニティおよび共同作業の概念を典型的に示すものです。Wikiページは、HTMLまたは単純なマークアップ言語を使用してその場で編集可能なWebページです。Wikiに対する十分な権限を持つユーザーは、コンテンツの追加、修正または削除を行うことができます。

WikipediaはWikiの好例です(http://www.wikipedia.com)。世界中のユーザーが共同でWikipediaページの作成および編集を行うことで、すべてのユーザーが恩恵を受けることができる充実した動的なナレッジ・ベースを得ることができます。

例: Buxプロジェクト

Alokとそのチームは、予定されているカスタマイズに関する情報の論理フローを作成しました。それぞれの意思決定ポイントを表に記録し、各ポイントで使用可能な選択肢に影響を及ぼす条件を記載したWikiで共同作業を行います。トレーニングLOBリーダーであるTinaが表に列を追加し、各ポイントについて提案や質問事項を入力します。

Alokは、Wikiへのリンクを付けてDorisにインスタント・メッセージを送信し、Tinaの質問への対応を要請します。Dorisは、要請に従ってWikiを編集します。その後、Tinaにインスタント・メッセージを送信して、すべてが解決したことを確認するためのフォローアップ会議を提案します。Tinaは、コミュニティ・カレンダで会議を計画します。Tinaは、自分のLOBのサブスペース内のトレーニングに関するプロジェクトの問題リストに移動して、プロジェクトの詳細の明確化対象分野の専門家の特定という問題に確認済の印を付け、リストの連絡先列にDorisの名前を入力します。さらに、計画した会議へのリンクを2行目に追加します。


関連項目:

Wikiおよびブログの詳細は、次の章を参照してください。


3.3.9 リストの利用

リストは、問題の追跡、プロジェクト・マイルストンの追跡、プロジェクトの割当ての公開など、非常に多くのスペース・アクティビティに有効です。Spacesアプリケーションでは、様々な複雑さのリストを作成できます。たとえば、まずチーム・メンバーのリストを作成し、その後、連絡先情報、プロジェクト・ロール、および関連ドキュメント(リスト内のチーム・メンバーに関連する計画や提案など)へのリンクを挿入するための列を追加することができます。

例: Buxプロジェクト

財務部門および業務部門がJohnのプロジェクトを承認し、予算を提供します。Johnはお知らせを投稿し、Maryにインスタント・メッセージを送信してお互いの成功を祝します。さらに、Johnはプロジェクト・マイルストンのマスター・リストを作成し、各LOBのマイルストンを記載したページに全体的なマイルストンの各行をリンクします。プロジェクトのアクティビティ・ストリームによって、新しいページ、新しいドキュメント、新しいコネクションなどに関する情報が配信されます。ディスカッション・トピックが大幅に増加します。投票が開始されます。すべてのメンバーがコミュニケーションを図りながら共同作業を行い、情報に基づいた一貫性のあるコンテンツを生成しています。


関連項目:

リストの詳細は、第66章「リスト・サービスの使用」を参照してください。