Oracle® Solaris 11.2 での監査の管理

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更新: 2014 年 7 月
 
 

監査ログ

    監査レコードは監査ログ内に収集されます。監査サービスでは、監査レコードのための 3 つの出力モードが提供されます。

  • 監査ファイルと呼ばれるログは、バイナリ形式で監査レコードを格納します。システムまたはサイトからの一連の監査ファイルによって、完全な監査レコードが提供されます。完全な監査レコードは監査トレールと呼ばれます。これらのログは audit_binfile プラグインで作成され、praudit および auditreduce 事後選択コマンドで確認できます。

  • audit_remote プラグインは、監査レコードをリモートリポジトリにストリーム出力します。リポジトリは監査トレールを保持し、事後選択ツールを指定する役割を果たします。

  • syslog ユーティリティーは、監査レコードの概要テキストを収集して格納します。syslog レコードは、完全なレコードではありません。次の例は、login 監査レコードの syslog エントリを示します。

    Oct 10  10:10:20 example_system auditd: [ID 6472 audit.notice] \
    login - login ok session 4076172534 by root as root:other

サイトでは、すべての書式の監査レコードを収集するように監査を構成できます。サイトにあるシステムを、バイナリモードをローカルに使用したり、バイナリファイルをリモートリポジトリに送信したり、syslog モードを使用したりするように構成できます。次の表では、バイナリ監査レコードを syslog 監査レコードと比較しています。

表 1-1  バイナリ、リモート、および syslog 監査レコードの比較
機能
バイナリレコードとリモートレコード
syslog レコード
プロトコル
バイナリ – ファイルシステムに書き込みます
リモート – リモートリポジトリにストリーム出力します
リモートログ記録に UDP を使用します
データ型
バイナリ
テキスト
レコード長
無制限
監査レコードあたり最大 1024 文字
場所
バイナリ – システム上の zpool 内に格納されます
リモート – リモートリポジトリ
syslog.conf ファイルで指定された場所に格納されます
構成方法
バイナリ – audit_binfile プラグインで p_dir 属性を設定します
リモート – audit_remote プラグインで p_hosts 属性を設定し、そのプラグインをアクティブにします
audit_syslog プラグインをアクティブにし、syslog.conf ファイルを構成します
読み取り方法
バイナリ – 通常、バッチモードでは XML でのブラウザ出力
リモート – リポジトリによって手順が規定されます
リアルタイムに、または syslog 用に作成されたスクリプトによって検索されます
標準テキストの出力
完全性
完全であることと、正しい順序で表示されることが保証されます
完全であることは保証されません
タイムスタンプ
協定世界時 (UTC)
監査されているシステム上の時間

バイナリレコードについて

バイナリ形式のレコードにより、強力なセキュリティーとカバレージが提供されます。バイナリ出力は、Common Criteria の監査要件などの、セキュリティー認定の要件を満たします。

audit_binfile プラグインは、レコードをスヌーピングから保護されたファイルシステムに書き込みます。単一のシステム上で、すべてのバイナリレコードが収集され、順番に表示されます。バイナリログ上の UTC タイムスタンプにより、1 つの監査トレール上のシステムがタイムゾーンをまたがって分散している場合の正確な比較が可能になります。praudit -x コマンドを使用すると、レコードを XML 形式でブラウザに表示できます。スクリプトを使用して、XML を解析することもできます。

audit_remote プラグインは、レコードをリモートリポジトリに書き込みます。このリポジトリは、ストレージと事後選択を処理します。

syslog 監査レコードについて

これに対して、syslog レコードでは、利便性と柔軟性が向上する可能性があります。たとえば、さまざまなソースから syslog データを収集できます。また、syslog.conf ファイル内の audit.notice イベントをモニターする場合、syslog ユーティリティーは現在のタイムスタンプで監査レコードのサマリーをログに記録します。ワークステーション、サーバー、ファイアウォール、ルーターなどのさまざまなソースからの syslog メッセージ用に開発された管理および分析ツールと同じツールを使用できます。レコードをリアルタイムで表示し、リモートシステム上に格納することができます。

syslog.conf を使用して監査レコードをリモートに格納すると、攻撃者による改変や削除からログデータが保護されます。ただし、syslog モードには、次のような欠点があることを考慮してください。

  • レコードがネットワーク攻撃 (サービス拒否や、なりすましソースアドレスなど) を受けやすくなります。

  • UDP プロトコルは、パケットを破棄したり、間違った順番でパケットを配信したりすることがあります。

  • syslog エントリを 1024 文字に制限すると、ログ内の一部の監査レコードが切り捨てられる可能性があります。

  • 単一のシステム上で一部の監査レコードが収集されず、順番に表示されない可能性があります。

  • 各監査レコードには、ローカルシステムの日付と時間がスタンプされます。したがって、複数システムの監査トレールを構築する際に、タイムスタンプを信頼できません。