ZFS は、Oracle Solaris のデフォルトのルートファイルシステムです。ルートプールはブート環境 (BE) を含んでおり、インストール中に自動的に作成されます。
スワップダンプボリュームのサイズは、物理メモリーの量によって異なります。ブート可能な ZFS ルートファイルシステムのためのプール領域の最小量は、物理メモリーの量、使用可能なディスク容量、および作成される BE の数によって異なります。
ハードウェアおよびソフトウェアの要件で推奨されている 7G バイトから 13G バイトの最小ディスク容量は、次のように消費されます。
スワップ領域とダンプデバイス – インストールプログラムが作成するスワップおよびダンプボリュームのデフォルトサイズは、システムメモリーの量などの変数によって異なります。ダンプデバイスのサイズは、システムの動作状態に応じて、物理メモリーのサイズの約半分かそれ以上になります。
スワップおよびダンプボリュームのサイズは、インストール中またはインストール後に調整できます。新しいサイズがシステム動作をサポートしている必要があります。ZFS スワップおよびダンプデバイスのサイズ調整を参照してください。
ブート環境 – ZFS BE は、約 4G バイトから 6G バイトです。別の ZFS BE から複製される各 ZFS BE に追加ディスク容量は必要ありません。BE のサイズは、BE が更新されたときに、その更新に応じて増加します。同じルートプール内のすべての ZFS BE は、同じスワップおよびダンプデバイスを使用します。
Oracle Solaris コンポーネント – OS イメージの一部である、/var を除くルートファイルシステムのすべてのサブディレクトリがルートファイルシステム内に存在する必要があります。スワップおよびダンプデバイスを除くすべての Oracle Solaris コンポーネントがルートプール内に存在する必要があります。
ZFS ルートプールを構成する場合は、次のガイドラインに従ってください。
EFI (GPT) ラベル付きディスクを使用している場合は、ミラー化されたディスク全体にルートプールを作成します。SMI (VTOC) ラベル付きディスクを使用している場合は、ミラー化されたスライスにルートプールを作成します。
ほとんどの場合、GPT 対応ファームウェアが搭載された x86 システムおよび SPARC システムでは EFI (GPT) ラベル付きディスクが使用されます。それ以外の場合、SPARC システムでは SMI (VTOC) ラベル付きディスクが使用されます。
システムがブートできなくなる可能性があるため、初期インストールのあとに作成されたルートプールの名前を変更しないでください。
シンプロビジョニングされた VMware デバイスをルートプールデバイスに使用しないでください。
ルートプールには、次の制限があります。
ルートプールでは、RAID-Z またはストライプ化された構成はサポートされません。
ルートプールに別個のログデバイスを使用することはできません。
ルートプール上に最上位レベルの仮想デバイスを複数構成することはできません。ただし、追加のデバイスを接続することによって、ミラー化ルートプールを拡張することは可能です。
gzip および lz4 圧縮アルゴリズムはルートプールでサポートされていません。
Oracle Solaris 12 システムの手動インストールに記載されているように、Live Media、テキストインストーラ、または AI マニフェスト付きの Automated Installer (AI) を使用して Oracle Solaris をインストールできます。3 つの方法はすべて、ZFS ルートプールを単一ディスクに自動的にインストールします。このインストールではまた、スワップおよびダンプデバイスもルートプールの ZFS ボリューム上に構成されます。
AI の方法では、ルートプールのインストールでのより高い柔軟性が提供されます。AI マニフェストでは、使用例 17, ルートプールのインストールをカスタマイズするための AI マニフェストの変更に示すように、ミラー化ルートプールを作成するために使用するディスクを指定したり、ZFS プロパティーを有効にしたりできます。
Oracle Solaris が完全にインストールされたら、次のアクションを実行します。
インストールによってルートプールが単一ディスク上に作成された場合は、そのプールをミラー化構成に手動で変換します。ミラー化ルートプールを構成する方法 (SPARC または x86/VTOC)を参照してください。
ルートファイルシステムがいっぱいにならないようにするために、ZFS ルートファイルシステムに割り当て制限を設定します。現時点では、ファイルシステム全体のセーフティーネットとして予約されている ZFS ルートプール容量はありません。たとえば、ルートプールのディスクが 68G バイトの場合、ZFS ルートファイルシステム (rpool/ROOT/solaris) に 67G バイトの割り当て制限を設定して、ファイルシステム領域を 1G バイト残すことを検討してください。ZFS ファイルシステムに割り当て制限を設定するを参照してください。
Oracle Solaris アーカイブユーティリティーを使用して、障害回復または移行の目的のためのルートプールの回復用のアーカイブを作成します。詳細は、Oracle Solaris 12 でのシステム復旧とクローンおよび archiveadm(8) のマニュアルページを参照してください。
この例は、次を実行するために AI マニフェストをカスタマイズする方法を示しています。
c1t0d0 と c2t0d0 から成るミラー化ルートプールを作成します。
ルートプールの listsnaps プロパティーを有効にします。
<target> <disk whole_disk="true" in_zpool="rpool" in_vdev="mirrored"> <disk_name name="c1t0d0" name_type="ctd"/> </disk> <disk whole_disk="true" in_zpool="rpool" in_vdev="mirrored"> <disk_name name="c2t0d0" name_type="ctd"/> </disk> <logical> <zpool name="rpool" is_root="true"> <vdev name="mirrored" redundancy="mirror"/> <!-- ... --> <filesystem name="export" mountpoint="/export"/> <filesystem name="export/home"/> <pool_options> <option name="listsnaps" value="on"/> </pool_options> <be name="solaris"/> </zpool> </logical> </target>使用例 18 サンプルのルートプール構成
次の例は、カスタマイズされたマニフェストによる AI インストールのあとのミラー化ルートプールとファイルシステム構成を示しています。
$ zpool status rpool pool: rpool state: ONLINE scan: none requested config: NAME STATE READ WRITE CKSUM rpool ONLINE 0 0 0 mirror-0 ONLINE 0 0 0 c8t0d0 ONLINE 0 0 0 c8t1d0 ONLINE 0 0 0 $ zfs list NAME USED AVAIL REFER MOUNTPOINT rpool 11.8G 55.1G 4.58M /rpool rpool/ROOT 3.57G 55.1G 31K legacy rpool/ROOT/solaris 3.57G 55.1G 3.40G / rpool/ROOT/solaris/var 165M 55.1G 163M /var rpool/VARSHARE 42.5K 55.1G 42.5K /var/share rpool/dump 6.19G 55.3G 6.00G - rpool/export 63K 55.1G 32K /export rpool/export/home 31K 55.1G 31K /export/home rpool/swap 2.06G 55.2G 2.00G -