Oracle® Solaris ゾーンの紹介

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更新: 2014 年 12 月
 
 

非大域ゾーンの状態モデル

非大域ゾーンの状態は、次の 7 つのいずれかになります。

構成済み

ゾーンの構成は完了し、安定した記憶領域に確定されています。ただし、ゾーンのアプリケーション環境の要素のうち、最初のブート後に指定する必要のあるものは、まだ含まれていません。

不完全

インストール処理やアンインストール処理の途中は、zoneadm によってターゲットゾーンの状態が「不完全」に設定されます。処理が正常に完了すると、適切な状態に設定されます。

損傷を受けたインストール済みゾーンには、zoneadmmark サブコマンドを使用して、不完全のマークを付けることができます。不完全な状態のゾーンは、zoneadm list –iv の出力に表示されます。

使用不可

ゾーンがインストールされているが、ゾーンを検証、準備、ブート、接続、または移動できないことを示します。ゾーンは次の時点で使用不可状態になります。

  • ゾーンのストレージが使用できず、svc:/system/zones:default が起動したとき (システムのブート中など)

  • ゾーンのストレージが使用できないとき

  • アーカイブの抽出に成功したあとでアーカイブベースのインストールが失敗したとき

  • ゾーンのソフトウェアと大域ゾーンのソフトウェアに互換性がないとき (不適切な –F (強制的) 接続のあとなど)

インストール済み

ゾーンの構成はシステム上でインスタンス化されています。zoneadm コマンドは、指定した Oracle Solaris システム上で、この構成を正常に使用できることを確認するために使用します。パッケージはゾーンのルートパスにインストールされます。この状態では、ゾーンに関連付けられた仮想プラットフォームはありません。

準備完了

ゾーンの仮想プラットフォームが確立されています。カーネルにより zsched プロセスが作成され、ネットワークインタフェースが設定されてゾーンで使用可能になり、ファイルシステムがマウントされ、デバイスの構成が完了しています。システムにより、一意のゾーン ID が割り当てられます。この状態では、ゾーンに関連付けられたプロセスは起動されていません。

稼働

ゾーンのアプリケーション環境に関連付けられたユーザープロセスが稼働状態です。アプリケーション環境に関連付けられた最初のユーザープロセス (init) が作成されるとすぐに、ゾーンの状態は「稼働」になります。

停止処理中および停止

これらは、ゾーンの停止処理の間に見られる遷移状態です。ただし、なんらかの理由でゾーンを停止処理できない場合は、ゾーンがどちらかの状態で停止します。

zoneadm コマンドを使用してこれらの状態間の遷移を開始する方法は、Oracle Solaris ゾーンの作成と使用 の第 3 章非大域ゾーンのインストール、ブート、停止処理、停止、アンインストール、およびクローニングおよび zoneadm(1M) のマニュアルページに記載されています。

さらに、Oracle Solaris カーネルゾーンには、現在のゾーン状態に関する追加情報とともにホストに通知するために使用される、3 つの補助状態があります。

中断中

プライマリ状態が停止で、補助状態が中断中です。

デバッグ

ゾーンは実行中ですが、ゾーンはネットワーク処理などの外部イベントに応答できません。zlogin はこの状態を確認して、状態がクリアされるまで待機してから zlogin セッションを開始します。

パニック発生

ゾーンでパニックが発生しましたが、ゾーンはリブートされるまで外部イベントに応答できません。

追加情報については、Oracle Solaris カーネルゾーンの作成と使用 および solaris-kz(5) のマニュアルページを参照してください。

表 1-2  ゾーンの状態に影響を与えるコマンド
ゾーンの現在の状態
適用できるコマンド
構成済み
zonecfg –z zonename verify
zonecfg –z zonename commit
zonecfg –z zonename delete
zoneadm –z zonename attach
zoneadm –z zonename verify
zoneadm –z zonename install
zoneadm –z zonename clone
zoneadm –z zonename mark incomplete
zoneadm –z zonename mark unavailable
zonecfg コマンドを使用すると、構成済み状態のゾーンの名前を変更できます。zoneadm コマンドを使用すると、構成済み状態またはインストール済み状態の Oracle Solaris ゾーンまたは Oracle Solaris 10 ゾーンの名前を変更できます。
不完全
zoneadm –z zonename uninstall
使用不可
zoneadm –z zonename uninstall は、指定されたシステムからゾーンをアンインストールします。
zoneadm –z zonename attach
zonecfg –z zonename は、zonepath、およびインストール済み状態のときに変更できないその他のプロパティーまたはリソースを変更するために使用できます。
インストール済み
zoneadm –z zonename ready (オプション)
zoneadm –z zonename boot
zoneadm –z zonename uninstall は、指定されたゾーンの構成をシステムからアンインストールします。
zoneadm –z zonename move path
zoneadm –z zonename detach
zonecfg –z zonename を使用すると、プロパティー attrbootargscapped-memorydatasetcapped-cpudedicated-cpudevicefsip-typelimitprivnetrctl、または scheduling-class を追加または削除できます。ゾーンの名前を変更することもできます。
zoneadm コマンドを使用すると、構成済み状態またはインストール済み状態の Oracle Solaris ゾーンまたは Oracle Solaris 10 ゾーンの名前を変更できます。
zoneadm –z zonename mark incomplete
zoneadm –z zonename mark unavailable
準備完了
zoneadm –z zonename boot
zoneadm halt とシステムリブートを実行すると、準備完了状態のゾーンがインストール済み状態に戻ります。
zonecfg –z zonename を使用すると、プロパティーの attrbootargscapped-memorydatasetcapped-cpudedicated-cpudevicefsip-typelimitprivnetrctl、または scheduling-class を追加または削除できます。
稼働
zlogin options zonename
zoneadm –z zonename reboot
zoneadm –zzonename halt を実行すると、準備完了状態のゾーンがインストール済み状態に戻ります。
zoneadm halt とシステムのリブートを実行すると、稼働状態のゾーンがインストール済み状態に戻ります。
zoneadm – z shutdown は、ゾーンを完全に停止処理します。
zonecfg –z zonename を使用すると、プロパティーの attrbootargscapped-memorydatasetcapped-cpudedicated-cpudevicefsip-typelimitprivanetnetrctl、または scheduling-class を追加または削除できます。zonepath リソースは変更できません。

注 -  zonecfg 経由で変更されたパラメータは、稼働中のゾーンには影響しません。変更を適用するには、ゾーンをリブートする必要があります。