Oracle® Solaris ゾーンの紹介

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更新: 2014 年 12 月
 
 

ゾーンのしくみ

非大域ゾーンは、1 つの箱と考えることができます。この箱の中では、システムのほかの部分と相互に作用することなく、1 つ以上のアプリケーションを実行できます。ゾーンは、ソフトウェアで定義される柔軟な境界を使用して、ソフトウェアアプリケーションやサービスを隔離します。これにより、Oracle Solaris オペレーティングシステムの同じ 1 つのインスタンス内で実行される複数のアプリケーションを互いに独立して管理できます。したがって、同じアプリケーションのさまざまなバージョンをそれぞれ異なるゾーンで実行でき、構成の要件を満たすことができます。

ゾーンに割り当てられたプロセスは、同じゾーンに割り当てられたほかのプロセスを操作、モニターしたり、これらのプロセスと直接通信したりできます。システムのほかのゾーンに割り当てられたプロセスや、ゾーンに割り当てられていないプロセスに対しては、このような機能は実行できません。異なるゾーンに割り当てられたプロセスどうしでは、ネットワーク API を介した通信のみ可能です。

ゾーンが独自の排他的 IP インスタンスを持っているのか、IP 層の構成と状態を大域ゾーンと共有しているのかに応じて、IP ネットワーク接続を 2 通りの方法で構成できます。排他的 IP がデフォルトのタイプです。ゾーンの IP タイプの詳細については、ゾーンネットワークインタフェースを参照してください。構成情報については、Oracle Solaris ゾーンの作成と使用 のゾーンの構成方法を参照してください。

Oracle Solaris システムごとに 1 つの大域ゾーンがあります。大域ゾーンは 2 つの機能を持っています。大域ゾーンは、システムのデフォルトのゾーンであり、システム全体の管理に使用されるゾーンでもあります。非大域ゾーン (単に「ゾーン」と呼ばれる) が、大域管理者またはゾーンのセキュリティープロファイルを持つユーザーによって作成されていない場合、すべてのプロセスが大域ゾーンで実行されます。

非大域ゾーンの構成、インストール、管理、およびアンインストールは、大域ゾーンからのみ行うことができます。システムハードウェアからブートできるのは、大域ゾーンだけです。物理デバイス、共有 IP ゾーンでのルーティング、動的再構成 (DR) といったシステムインフラストラクチャーの管理は、物理システムで実行されている大域ゾーンでのみ行うことができます。大域ゾーンで実行されるプロセスは、適切な権限が付与されていれば、ほかのゾーンに関連付けられているオブジェクトにもアクセスできます。

場合によっては、非大域ゾーンの特権付きプロセスには許可されていない操作を、大域ゾーンの特権のないプロセスが実行できることもあります。たとえば、大域ゾーンのユーザーは、システムのすべてのプロセスに関する情報を表示できます。この機能がサイトで問題になる場合は、大域ゾーンへのアクセスを制限します。

大域ゾーンも含め、各ゾーンにはゾーン名が割り当てられます。大域ゾーンの名前は常に global となります。各ゾーンには、一意の数値 ID も与えられます。これは、ゾーンのブート時にシステムによって割り当てられます。大域ゾーンは常に ID 0 にマップされます。zlogin をカーネルゾーンに対して実行した場合、これは仮想大域ゾーンであるため、ID 0 を持つことも報告されます。ゾーン名と数値 ID については、Oracle Solaris ゾーンの作成と使用 のゾーンの構成方法を参照してください。

各ゾーンには、ノード名も割り当てられます。これは、ゾーン名とは完全に独立した名前です。ノード名は、ゾーンの管理者によって割り当てられます。詳細は、Oracle Solaris ゾーンの作成と使用 の非大域ゾーンのノード名を参照してください。

各ゾーンには、ルートディレクトリのパスが設定されます。これは、大域ゾーンのルートディレクトリに対する相対パスです。詳細は、zonecfg コマンドの使用を参照してください。

デフォルトでは、非大域ゾーンのスケジューリングクラスは、システムのスケジューリングクラスと同じに設定されます。ゾーンのスケジューリングクラスを設定する方法については、スケジューリングクラスを参照してください。

ブロック型デバイスのマルチパスは、scsi_vhci(7D) によって処理されます。構成用に選択する lu: storage URI の形式によって、構成の使用方法が決まります。マルチパスでの lu: URI の使用の詳細は、suri(5) のマニュアルページを参照してください。