Oracle® Solaris Cluster ソフトウェアのインストール

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更新: 2014 年 9 月
 
 

定足数デバイスを構成する方法


注 -  次の場合は定足数デバイスを構成する必要はありません。
  • Oracle Solaris Cluster ソフトウェアの構成時に自動定足数構成を選択した場合

  • 単一ノードグローバルクラスタをインストールした場合

  • ノードを既存のグローバルクラスタに追加し、十分な定足数投票を割り当て済みの場合

クラスタの確立時に自動定足数構成を選択した場合は、この手順を実行しないでください。代わりに、定足数構成とインストールモードを確認する方法に進みます。


次の手順は、新しいクラスタが完全に形成された後に一度だけ実行します。この手順で定足数投票を割り当て、クラスタのインストールモードを解除します。

始める前に

  • 定足数サーバー – 定足数サーバーを定足数デバイスとして構成するには、次を実行します。

    • 定足数サーバーのホストコンピュータに Oracle Solaris Cluster Quorum Server ソフトウェアをインストールして、定足数サーバーを起動します。定足数サーバーのインストールと起動についての詳細は、Oracle Solaris Cluster Quorum Server ソフトウェアをインストールおよび構成する方法を参照してください。

    • クラスタノードに直接接続されているネットワークスイッチが次の基準のいずれかを満たすことを確認します。

      • スイッチは RSTP (Rapid Spanning Tree Protocol) をサポートしています。

      • スイッチ上で高速ポートモードが有効になっています。

      クラスタノードと定足数サーバー間ですぐに通信できるようにするには、これらの機能の 1 つが必要です。この通信がスイッチによって大幅に遅延すると、クラスタはこの通信の中断を定足数デバイスが失われたものと解釈します。

    • 次の情報を用意します。

      • 構成された定足数デバイスの名前

      • 定足数サーバーのホストコンピュータの IP アドレス

      • 定足数サーバーのポート番号

  • NAS デバイス – ネットワーク接続ストレージ (NAS) デバイスを定足数デバイスとして構成するには、次を実行します。

    • NAS デバイスのハードウェアとソフトウェアをインストールします。NAS ハードウェアおよびソフトウェアの要件とインストール手順については、Oracle Solaris Cluster With Network-Attached Storage Device Manual および使用しているデバイスのドキュメントを参照してください。

  1. 次の条件のどちらにも当てはまる場合は、パブリックネットワークアドレスの接頭辞長が正しく設定されていることを確認します。
    • 定足数サーバーを使用する場合。

    • パブリックネットワークが、classless inter domain routing (CIDR) とも称せられる可変長のサブネットマスキングを使用する場合。

    # ipadm show-addr
    ADDROBJ           TYPE     STATE        ADDR
    lo0/v4            static   ok           127.0.0.1/8
    ipmp0/v4          static   ok           10.134.94.58/24 

    注 -  定足数サーバーを使用するが、パブリックネットワークが RFC 791 で定義されたようにクラスフルサブネットを使用する場合、このステップを実行する必要はありません。
  2. 1 つのノードで、root 役割になります。

    あるいは、ユーザーアカウントに System Administrator プロファイルが割り当てられている場合、プロファイルシェル経由で非 root としてコマンドを発行するか、コマンドの先頭に pfexec コマンドを付加します。

  3. クラスタノードがすべてオンラインであることを確認します。
    phys-schost# cluster status -t node
  4. 共有ディスクを定足数デバイスとして使用するには、デバイスのクラスタノードへの接続を確認し、構成するデバイスを選択します。
    1. クラスタの 1 つのノードから、システムがチェックするすべてのデバイスの一覧を表示します。

      このコマンドを実行するのに root 役割としてログインする必要はありません。

      phys-schost-1# cldevice list -v

      出力は次のようになります。

      DID Device          Full Device Path
      ----------          ----------------
      d1                  phys-schost-1:/dev/rdsk/c0t0d0
      d2                  phys-schost-1:/dev/rdsk/c0t6d0
      d3                  phys-schost-2:/dev/rdsk/c1t1d0
      d3                  phys-schost-1:/dev/rdsk/c1t1d0
      …
    2. 出力にクラスタノードとストレージデバイス間のすべての接続が表示されていることを確認します。
    3. 定足数デバイスとして構成する各共有ディスクのグローバルデバイス ID を決定します。

      注 -  共有ディスクを選択した場合は、その共有ディスクが定足数デバイスとして使用する権限を持つ必要があります。定足数デバイスの選択の詳細については、定足数デバイスを参照してください。

      Step aStep a の出力を使用して、定足数デバイスとして構成する各共有ディスクのデバイス ID を識別します。たとえば、Step a の出力はグローバルデバイス d3phys-schost-1phys-schost-2 によって共有されていることを示しています。

  5. SCSI プロトコルをサポートしていない共有ディスクを使用する場合は、その共有ディスクのフェンシングが無効になっていることを確認します。
    1. 個々のディスクのフェンシング設定が表示されます。
      phys-schost# cldevice show device
      
      === DID Device Instances ===
      DID Device Name:                                      /dev/did/rdsk/dN
      …
      default_fencing:                                     nofencing
      • ディスクのフェンシングが nofencing または nofencing-noscrub に設定されている場合、そのディスクのフェンシングは無効化されます。Step 6 に進みます。
      • ディスクのフェンシングが pathcount または scsi に設定されている場合は、そのディスクのフェンシングを無効化します。Step h にスキップします。
      • ディスクのフェンシングが global に設定されている場合は、フェンシングもグローバルに無効化するかどうかを決定します。Step e に進みます。

        代わりに、単に各ディスクのフェンシングを無効化することもできます (そのディスクの global_fencing プロパティーは、どのような値が設定されていてもオーバーライドされます)。Step h にスキップして、個々のディスクのフェンシングを無効化します。

    2. フェンシングをグローバルに無効化するかどうかを決定します。
      phys-schost# cluster show -t global
      
      === Cluster ===
      Cluster name:                                         cluster
      …
      global_fencing:                                      nofencing
      • グローバルフェンシングが nofencing または nofencing-noscrub に設定されている場合は、default_fencing プロパティーが global に設定されている共有ディスクのフェンシングが無効化されます。Step 6 に進みます。
      • グローバルフェンシングが pathcount または prefer3 に設定されている場合は、共有ディスクのフェンシングを無効化します。Step h に進みます。

      注 -  各ディスクの default_fencing プロパティーが global に設定されている場合は、クラスタ全体の global_fencing プロパティーが nofencing または nofencing-noscrub に設定されている場合にのみ、各ディスクのフェンシングが無効化されます。global_fencing プロパティーをフェンシングを有効化する値に変更すると、default_fencing プロパティーが global に設定されているすべてのディスクのフェンシングが有効化されます。
    3. 共有ディスクのフェンシングを無効化します。
      phys-schost# cldevice set \
      -p default_fencing=nofencing-noscrub device
    4. 共有ディスクのフェンシングが無効になっていることを確認します。
      phys-schost# cldevice show device
  6. clsetup ユーティリティーを起動します。
    phys-schost# clsetup

    「初期クラスタ設定」画面が表示されます。


    注 -  代わりに「メインメニュー」が表示された場合は、クラスタの初期設定はすでに正しく行われています。Step 15 に進みます。
  7. 定足数デバイスを追加するかどうかを示します。
    • クラスタが 2 ノードクラスタの場合、1 つ以上の共有定足数デバイスを構成する必要があります。1 つ以上の定足数デバイスを構成するには、「Yes」 と入力します。
    • クラスタに 3 つ以上のノードがある場合、定足数デバイス構成はオプションです。
      • 追加の定足数デバイスを構成しない場合は、「No」 と入力します。次に、 Step 14にスキップします。
      • 1 つ以上の定足数デバイスを構成するには、「Yes」 と入力します。
  8. 定足数デバイスとして構成するデバイスの種類を指定します。
    定足数デバイスの種類
    説明
    shared_disk
    以下の共有 LUN
    • 共有 SCSI ディスク

    • Serial Attached Technology Attachment (SATA) ストレージ

    • OracleZFS Storage Appliance

    quorum_server
    定足数サーバー
  9. 定足数デバイスとして構成するデバイスの名前を指定し、必要な追加情報をすべて指定します。
    • 定足数サーバーの場合、次の情報も指定します。

      • 定足数サーバーのホストコンピュータの IP アドレス

      • クラスタノードとやり取りする際に定足数サーバーが使用するポート番号

  10. installmode をリセットしてもかまわないことを確認するために、Yes と入力します。

    clsetup ユーティリティーによって、クラスタの定足数構成と投票数が設定されたあと、「クラスタの初期化は完了しました。」というメッセージが表示されます。ユーティリティーは、「メインメニュー」に戻ります。

  11. clsetup ユーティリティーを終了します。

次のステップ

定足数構成とインストールモードが無効になっていることを確認します。定足数構成とインストールモードを確認する方法に進みます。

トラブルシューティング

scinstall が自動構成の実行に失敗するscinstall によって、共有ディスクを定足数デバイスとして自動的に構成できなかった場合、またはクラスタの installmode 状態がまだ enabled の場合、scinstall の処理の完了後に clsetup ユーティリティーを使用して、定足数デバイスを構成し、installmode をリセットできます。

中断された clsetup 処理 – 定足数設定プロセスが中断されるか、完了に失敗した場合は、clsetup を再実行してください。

定足投票数の変更 – 定足数デバイスへのノード接続の数をあとで増加または減少させた場合、定足投票数が自動的に再計算されることはありません。各定足数デバイスを一度に 1 つずつ取り外してもう一度構成に追加することにより、正しい定足数投票をもう一度確立できます。2 ノードクラスタの場合、定足数デバイスを取り外して、もとの定足数デバイスに戻す前に一時的に新しい定足数デバイスを追加します。次に一時的に追加した定足数デバイスを取り外します。Oracle Solaris Cluster システム管理 の第 6 章定足数の管理の「定足数デバイスのノードリストを変更する」手順を参照してください。

到達不可能な定足数デバイス – クラスタノードで定足数デバイスが到達不可能というメッセージが表示される場合、またはクラスタノードで「CMM: 定足数デバイスを獲得できません」というエラーメッセージが表示される場合、定足数デバイスまたは定足数デバイスへのパスに問題がある可能性があります。定足数デバイスおよび定足数デバイスへのパスが機能していることを確認してください。

引き続き問題が発生する場合、別の定足数デバイスを使用します。また、同じ定足数デバイスを使用する場合は、定足数のタイムアウトを次のように高い値に増やします。


注 -  Oracle RAC (Oracle RAC) の場合は、デフォルトの定足数タイムアウトである 25 秒を変更しないでください。一部のスプリットブレインシナリオでは、タイムアウト時間を長くすると、VIP リソースのタイムアウトが原因で Oracle RAC VIP フェイルオーバーが失敗する可能性があります。使用している定足数デバイスがデフォルトの 25 秒のタイムアウトに適合しない場合は、別の定足数デバイスを使用してください。
  • 1. root 役割になります。

  • 2. 各クラスタノードで、root 役割として /etc/system ファイルを編集して、タイムアウトを高い値に設定します。

    次の例では、タイムアウトを 700 秒に設定します。

    phys-schost# pfedit /etc/system
    …
    set cl_haci:qd_acquisition_timer=700
  • 3. ノードのどれか 1 つでクラスタを停止します。

    phys-schost-1# cluster shutdown -g0 -y
  • 4. 各ノードをブートしてクラスタに戻します。

    /etc/system ファイルに対する変更は、リブート後に初期化されます。